建具工事業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

建具工事業界を含む建設業の近年の経営課題は、就業者の高齢化や人材不足です。この課題を克服する手段としてM&Aが注目されています。本記事では、建具工事業を維持・成長させるために活用されるM&Aの背景やメリットや成功へのポイントをはじめ、事例も解説します。

目次

  1. 建具工事業界の概要と動向
  2. 建具工事会社をM&Aで売却するメリット
  3. 建具工事会社のM&A・買収・売却事例5選
  4. 建具工事業界のM&Aの成功のポイント
  5. 建具工事業界のM&A・事業譲渡まとめ
  6. 建設・土木業界の成約事例一覧
  7. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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1. 建具工事業界の概要と動向

建具工事業界のM&Aを行うには、建具工事業界の概要や動向を把握しておかなければなりません。ここでは建具工事業界の概要や市場規模および動向を解説します。

建具工事業界とは

国土交通省の「建設業許可の業種区分け」によると、建設業界の業務は、住宅をはじめ、ビルや公共施設などの建物を建築する建築業と道路やトンネルをはじめとしたインフラ工事や設備を行う土木業に分かれます。

さらに建設業法第2条では29業種を建設工事として定めていて、建具工事業もその中のひとつです。建設業者は大きく「総合建設業」と「識別工事業」の2つに分けられ建具工事業の業者は「識別工事業」に分けられます。

この2つをおおまかに説明すると、「総合建設業」は主にゼネコンのことです。一方の「識別工事業」は工事の一部分を請け負う業者を指し、建具工事業のほかに内装工事や大工工事などの業者が該当します。

業界の構造は、工事を受注する元請け業者があり、その下請け業者さらに孫請け業者、その下請け業者その孫請け業者、その下にさらに下請け業者とピラミッド構造になっています。

建具工事業界の市場規模と動向

建具工事業は、建設業という広い枠組みで見ても決して欠かせない業種であり、市況環境は常に変化しています。都市化により高層ビルおよびマンションなどの建設が増え、省エネの面において高断熱の窓やドアのニーズが高い傾向です。

国土交通省のデータによると、建具工事業が含まれる建設業界全体の市場規模は、1976年以降、建設投資額は右肩上がりに増え、ピークを迎える1992年には、約84兆円を記録しました。しかし、その後は公共工事の減少に加え、景気悪化に伴う民間工事の減少などの影響で2010年には約41兆円まで落ち込みました。

しかし、2020年には約63.1兆円まで回復しています。2011年に発生した東日本大震災からの復旧工事や大雨や台風などの被害に対する災害復興需要に加え、2020年に開催予定であった東京オリンピックに向けた新規需要の影響およびアベノミクスなどが後押しになりました。

一般社団法人日本建設業連合会の調査によると、2020年現在の許可業者数は47万4,000社程度、就業者数はおおよそ492万人です。一方で、ここ数年の許可業者数は増えているにも関わらず、就業者数が減少している点は見逃せません。

建具工事業界のM&A動向

近年の建具工事業界ではM&Aが盛んに行われており、この傾向は今後も続くことが予想されます。その背景として以下の要因が挙げられます。

まず注目すべきは、建設業界全体の不況です。一時期と比較すると最悪の状態は脱しているとはいえ、建設業界全体からみて需要が減少傾向であるのは否めません。そのため当然建具工事業界も受注量は減少しています。このような状況下で競争力を維持するためには企業規模の拡大が不可欠と言えるでしょう。

また、建具工事業界においては、常に新技術や素材の開発が求められています。単独の企業だけで技術開発を行うのは非常に困難であり、M&Aなどで技術力を向上させることが必要です。

2020年の建設・土木業界のM&A発表件数は31件で、2011年以降でみるとトップの2018年に次いで2番目に多くなっています。従来は労働集約的構造から規模の経済が働きにくく、複数の企業が統合すると公共工事の入札機会の減少が懸念され、M&Aはあまり行われてきませんでした。

しかし、最近では人材不足の解消や事業エリアの拡大、業務効率化などのさまざまな目的から、M&Aを積極的に行うケースが増加しています。

【関連】建設業のM&A動向と売却・買収事例36選!メリットや成功へのポイントも解説!【2023年最新】

2. 建具工事会社をM&Aで売却するメリット

前項でも述べた通り、建具工事業界ではM&Aを活用する企業が増えていますが、建具工事業界の売却側企業にはどのようなメリットがあるのでしょう。ここでは、建具工事業界のM&Aで売却するメリットを4つ紹介します。

売却利益の獲得

M&Aを実行し建具工事会社を譲渡すると、一般的には時価純資産に加え営業利益の2〜5年分程度の売却利益が譲渡後に手に入ります。売却資金は、新規事業や設備投資に投入可能です。また、経営者には会社員と違い退職金がないため、老後の生活資金に回すこともできます。

その他、創業者利益も得られます。創業者利益とは、売却側企業の創業者が自社株を売却して得る譲渡益です。未上場株式は相続時を除き、売買する機会はほとんどありません。M&Aでは、土地や商品をはじめとする会社の資産を時価評価した上で、営業権を加味すると純資産額よりも高い株価評価を受けるケースも多い傾向です。

自社の株式の譲渡は大きなキャッシュポイントになり得ます。

後継者不足の解消

M&Aが広く知られるようになったきっかけは、後継者問題を解決する手段でした。中小企業庁の調査によると、2020年時点で30万人以上の社長が70歳以上になると同時に、中小企業全体のうち7割の企業が後継者は不在と回答しています。

後継者問題を抱えている企業にとって、M&Aは後継者問題と事業の成長を一気に解決できる選択肢になり得るでしょう。近年では、子どもがいても親の建具工事業を継がないケースが増えています。また、会社内においても後継者を探すのが難しい売却側企業にとっては、M&Aは大きなメリットです。

経営者の債務や負担の軽減

多くの中小企業では、融資を受ける際に個人保証を行っているケースも多くあります。その場合、会社をM&Aで譲渡する際に債務も買収側に引き継ぐといった手法もあるため、個人保証や担保の解消が可能です。

従業員の雇用の維持

企業が廃業すると、従業員は失業してしまいます。一方で、廃業ではなくM&Aで会社を譲渡・売却すれば、従業員の雇用は守られることがメリットとして挙げられます。

中小企業のM&Aでは多くの場合において、「従業員の雇用維持」が買収先への条件のひとつに加えられています。M&A実行後、従業員は新たな経営陣のもとで継続して雇用され、取引先もそのまま継続されるケースが一般的です。特にM&Aの買収側企業が大手企業の場合、従業員は今まで以上に安定した環境で働けます。

【関連】建設会社の事業売却は簡単?M&Aで売りたい場合にすべきことを徹底解説

3. 建具工事会社のM&A・買収・売却事例5選

建具工事会社のM&Aの目的やスキームを理解するには、過去に建設会社が実施したM&Aが参考になる場合があります。ここでは、建設工事会社のM&A・買収・売却事例を5例紹介しますので、ぜひ参考にお役立てください。

日創プロニティがいちえホールディングスを子会社化した事例

2022年2月7日、日創プロニティ株式会社は当社の連結子会社である日創エンジニアリング株式会社を通じて、いちえホールディングス株式会社の全株式を取得し子会社化しました。

日創プロニティは、金属パネルや内外装材が主力の製品分野です。一方のいちえホールディングスは持ち株会社で建築金物・金属製建具工事を主力事業にしており、傘下に壷会を持っています。壷会の主力工事分野は日創プロニティと同一の供給網上に位置付けられています。
 

今回のM&Aで業容拡大などのシナジー効果を期待しています。

参考:いちえホールディングスを子会社化

キムラが東洋ガラス工業を子会社化した事例

2018年1月11日、株式会社キムラが東洋ガラス工業株式会社の全株式を取得に伴い子会社化しました。キムラは北海道札幌市で住宅総合商社として、住宅資材の卸売や不動産事業をはじめ、住宅足場リース、子会社のホームセンター経営など住まいに関する多岐に渡る分野で事業の展開を進めています。

一方の東洋ガラス工業は、北海道石狩市に本社を構え、新築や改修のビル・住宅のガラス、サッシ工事の設計から施工まで一貫して行っています。アルミサッシ、ガラスの鋼製建具工事を事業の柱に据え住宅エクステリア、自動ドア、改修工事など多種多様な営業種目を扱っています。

今回のM&Aでグループの一体化により、従来外部に委託していた各種施工が、グループ内で対応できるようになりました。迅速な対応とサービス幅の拡大を目指します。

参考:東洋ガラス工業を子会社化

ラックランドが静清装備から事業取得した事例

2017年6月1日株式会社ラックランドは静清装備株式会社から全事業を取得しました。ラックランドが新たに興した同名会社の静清装備にすべての事業を譲渡されました。

ラックランドは店舗の企画や設計・施工をはじめ、商空間の総合サービス提供事業を行っています。一方の静清装備は、静岡県に本拠地を構え木工を中心とした内装仕上工事、建具工事の設計施工・受託を中心に展開しています。

今回の事業取得で新会社は、木工を中心に建具工事や家具・什器の製造事業を勧め静岡地区での営業力強化を目指します。

参考:静清装備より事業取得

三井松島産業がコンフォートに事業を譲渡した事例

2014年2月17日、三井松島産業株式会社はコンフォート株式会社へ「キッチンカウンター」「木製建具」「輸入キッチン」「ウッドデッキ」をはじめ、「その他の家具備付け事業」を、コンフォート株式会社へ会社分割により承継しました。

三井松島産業は建機材事業の業績や事業全体を考慮した結果、住宅用やマンション用の建材部材販売を主力としているコンフォートとの間で事業譲渡することが自社の業績にプラスになると判断し合意しました。

参考:三井松島産業が事業譲渡

塩見ホールディングスがヤマト建材の株式を譲渡した事例

2008年9月29日、株式会社塩見ホールディングスは、当社の連結子会社の株式会社ヤマト建材の全株式をMBOにより、ヤマト建材の代表取締役社長に譲渡しました。

塩見ホールディングスは、各事業会社の再編により、施工効率や作業効率の向上など、原価を徹底的に下げる施策を実施しています。建築業界を取り巻く環境が一層厳しくなる中で、ヤマト建材を抱え続けることのマイナス面を考慮し、譲渡を決定しました。

参考:塩見ホールディングスが事業譲渡

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4. 建具工事業界のM&Aの成功のポイント

建具工事業界においてM&Aを行う場合は、成功させるためのポイントを押さえておきましょう。ここでは、建具工事業界のM&Aを成功させる5つのポイントについて解説しますので、売買を検討している方はぜひ参考にしてください。

専門家に相談する

建具工事業界でM&Aを実行する際は、M&Aの専門知識はもちろん、許可関係や工事での技術など建具工事業界ならではの知識が必要です。また、M&Aの過程において「法務」「税務」「財務」の専門知識が必要になり、相手方企業との交渉力も欠かせません。さらに、買収先を探す段階では幅広いネットワークが必要です。

これらの知識や交渉すべてを自社で行うのは困難であり、専門家に相談することで問題が解決できるでしょう。ただし、どの専門家に依頼するかによって、買収先探しや成約までにかかる期間や買収額が大きく変わるので専門家選びは慎重に行う必要があります。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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M&Aの目的をはっきりとさせる

建具工事業界でM&Aを成功させるには、M&Aの目的をはっきりさせる必要があります。M&Aの目的がはっきりしない状態で専門家に依頼しても、適切なアドバイスを受けることはできません。建具工事業界では、他の業種に比べて目的を明確化することが成功へのカギを握っています。

失敗することがないように、M&Aの目的を明確にした上でその目的にあった買収先を見つけましょう。業界内の動向も考慮した上で将来の展望を持ち、M&Aの明確な目的を専門家に伝えることが大切です。

売却先の選定は丁寧に行う

建具工事業界のM&Aでは、売却側・買収側どちらであっても、相手企業が信頼に足る企業である必要があります。M&Aにおいて買収先企業を絞る際には、その企業が信頼に値する企業かを見定め丁寧に選ばなければなりません。この過程をおろそかにしてM&Aを行うと、トラブルにつながるリスクが高いと言えるでしょう。

このような事態を避けるためには、売却先候補企業の事業内容や経営方針、収支状況などの詳細の分析に関して詳しく調査する必要があります。そして、条件に合う買収先が見つかった場合は、機会を逃すことのないよう早急にコンタクトを取りましょう。

自社の強みをわかりやすくアピールする

自社を高額で売却するためには、自社が持つ強みをはっきりさせ、買収先へわかりやすくアピールすることが大切です。例えば、有資格者の豊富さや所有機械類・特別な許認可等の自社の強みを明確化した資料を準備し、アピールするのが有効と言えます。

優れた技術を保有していても自社が把握していなかったり、買収先が認めていなければ高額での売却は難しいでしょう。自社の売却価格を決める基準は純資産や収益性だけではなく、売却側と買収先の交渉によって決定します。つまり、買収先企業が売却元企業を高評価すれば、相場と比較して高値での売却が実現する可能性があるのです。

受注済の長期案件の引き継ぎについて買収先企業と協議する

長期に渡る案件を受注している場合は、工事が進行中の状態でM&Aを行うケースもあります。そのようなケースでは、進行中の案件についての取り扱いを買収側企業と協議する必要があります。

主な売却方法は「買収先企業に案件を引き継いでもらう」もしくは「他の建設会社に案件を引き継いでもらう」の2パターンです。どちらであっても、あとでトラブルにならないように工事費用の割合を明確にしておくことが重要です。

別の企業に工事の引き継ぎを依頼する場合は、案件の発注者にもM&Aが行われ、担当が別の企業になる旨を説明しておかなければなりません。発注者が承諾しない場合は、M&Aに関してもスムーズに進みにくいため、関係者全員が納得した上でM&Aを進める必要があります。

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5. 建具工事業界のM&A・事業譲渡まとめ

建具工事業界のM&Aについて、譲渡側企業の視点で解説しました。M&Aを行えば、譲渡側企業は廃業を免れ従業員の雇用が守れます。ただし、従業員や取引先に迷惑をかけず、その上で売却利益を最大限に得られるようなM&Aにするには、専門的な知識と交渉力が必要です。専門家のアドバイスを受けつつ、迅速に行動しましょう。

建具工事業は、建設業という広い枠組みで見ても決して欠かせない業種であるため、M&Aはこれからも加速していくことが期待できるでしょう。

6. 建設・土木業界の成約事例一覧

7. 建設・土木業界のM&A案件一覧

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