美容院・美容室のM&A・売却・譲渡!相場・最新動向・案件の探し方も紹介【2024年成功事例あり】

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

美容院・美容室の業界でも、M&Aによる買収・売却事例が増加中です。ファンドへの売却のほかに、居抜きによる売却も増加傾向にあります。2024年最新版の美容院・美容室業界のM&A・売却・買収・譲渡の概要を、相場や成功事例を交えて幅広く解説します。

目次

  1. 美容院・美容室業界の現状
  2. 美容院・美容室業界の課題
  3. 美容院・美容室業界のM&A動向
  4. 美容院・美容室のM&Aで採用される手法
  5. 美容院・美容室のM&Aを行うメリット
  6. 美容院・美容室のM&A成功事例
  7. 美容院・美容室のM&A相場
  8. 美容院・美容室のM&A・売却を成功させるポイント
  9. 美容院・美容室のM&Aまとめ
  10. 美容院・美容室業界の成約事例一覧
  11. 美容院・美容室業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
  • 経験豊富なM&AアドバイザーがM&Aをフルサポート まずは無料相談
  • 美容院・美容室のM&A・事業承継

1. 美容院・美容室業界の現状

矢野経済研究所の調査によると、2022年の美容業界の市場規模(予測値)は1兆4,473億円です。一方、理容業界の市場規模(予測値)は6,127億円と報告されています。美容業界の市場規模は理容業界の約2倍に相当します。美容所は理容所の2倍を超える市場規模を持っています。美容院・美容室業界のM&Aを解説する前に、まずは業界の動向を解説します。

約9割の経営主体が個人

厚生労働省の「美容業の実態と経営改善の方策」(2018年)調査によると、経営主体別の構成割合を見ると、美容室の88.7%が個人経営であり、残りの10.6%は「株式会社・有限会社」であることがわかります(不詳を除く)。

従業員数規模の割合は、「1人」が32.4%と一番高く全体の3割を占めています。「2人」が28.2%で、「5~9 人」が 7.4%の結果でした。5人未満の美容室が、全体の約8割を占めている状況です。

少人数規模の美容室は個人経営が多く、20人以上の規模になると全てが法人で占められています。

参照:厚生労働省「美容業の実態と経営改善の方策」(2018年)

市場規模

矢野研究所「理美容サロン市場規模推移・予測」

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3287

美容院・美容室業界における近年の事業規模の動向は、コロナ禍前の水準となり上下はあるものの、おおむねコロナ禍前の水準に戻ってきています。矢野経済研究所の調査では、低価格化サロンが台頭し、高付加価値型サロンとの二極化が進んでいる状況です。多くの中価格帯のサロンは差別化が困難です。

2020年度の市場規模は1兆3,810億円と大幅に減少したものの、2023年度は1兆4,998億円と回復してきています。
 

売上 伸び率
2015 1兆5,220億円  
2016 1兆5,167億円 ▲0.3%
2017 1兆5,103億円 ▲0.4%
2018 1兆5,047億円 ▲0.4%
2019 1兆4,966億円 ▲0.5%
2020 1兆3,810億円 ▲7.7%
2021 1兆4,382億円  
2022 1兆4,804億円  
(出典:矢野経済研究所「理美容市場に関する調査」(2022年)、「理美容サロン市場規模推移・予測」(2023年))

店舗数や美容師は緩やかに増加

近年の美容院・美容室の事業者数の動向は、以下のとおりです(厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例の概況」より)。市場規模がわずかに減少傾向にあるのに対して、事業者の数自体は増加傾向にあります。

コンビニエンスストアの店舗数は5万5,000件以上とされていますが(日本フランチャイズチェーン協会調べ)、美容院・美容室はコンビニの約5倍の店舗数が存在している状況です。
 

年度 事業者数 伸び率
2013 234,089  
2014 237,525 1.5%
2015 240,299 1.2%
2016 243,360 1.3%
2017 247,578 1.7%
2018 251,140 1.4%
2019 254,422 1.3%
2020 257,890 1.4%
(出典:厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例の概況」(2020年)

従業美容師数は53万人を超えており、前年比1万271人(2.0%)の増加で過去最多を記録しています。(2019年3月末時点)

2. 美容院・美容室業界の課題

代表的かつ近年深刻化している課題として、以下の2つが挙げられます。

離職率の高さ

美容院・美容室は、美容師の離職率が高いことでも知られる業界です。美容師の離職率が高い主な要因としては、立ち仕事の時間が長く肉体的・精神的に疲弊する一方で、給料が安い点が挙げられます。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年)によると、理美容師(理容師・美容師)の平均年収は店舗・企業の規模にもよりますが、250万円〜270万円ほどです。

美容師の資格取得者の人数は減少していませんが、就職先として他業界・業種を選ぶ人も目立っているのが近年の動向といえます。今後の美容院・美容室業界では人材不足が深刻化する見込みです。

競争の激化

美容院・美容室業界では、市場規模が縮小している一方で店舗数自体は増えているため、競争激化が進んでいるものと見られます。ここに人材獲得の難しさが相まって、競争激化の動向に拍車がかかっている状況です。

低価格帯のチェーン店の台頭がみられ、顧客単価の伸び悩みが生じています。今後、人口減少が進んでいった場合、美容師1人あたりの顧客数の減少も見込まれるため、美容院各社での顧客の奪い合いが生じるおそれがあります。

競争が激しくなるなかで、最近では差別化を図る美容院・美容室も登場してきました。例えば、子供専門・訪問美容専門・ビジュアルに特化した美容院など顧客のターゲットを絞ったうえで、付加価値の高いサービスを提供する店舗の登場が目立ちます。

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3. 美容院・美容室業界のM&A動向

市場規模が緩やかに縮小する一方で、競争が激しくなっている動向が特徴的な美容院・美容室業界です。最近ではファンドへの売却事例も目立っています。

そのほかにも、居抜き物件として売買・買収して撤退・参入するケースも多くみられます。参入者の入れ替えも激しくなっている状況です。ここでは、美容院・美容室業界のM&A動向を詳しく解説します。

ファンドによるM&Aの大型買収事例

2017年頃より、大手美容室グループを投資ファンドが買収する事例が目立つようになりました。2018年3月、美容室大手のAguグループが、香港系投資ファンド「CLSAキャピタルパートナーズ」に売却されています。本件M&Aの売却価格は、およそ100億円でした。

買収側の投資ファンドであるCLSAキャピタルパートナーズは、アジア有数の総合金融機関であるCLSA傘下の資産運用部門です。

売却側のAguグループは「Agu Hair Salon」のブランド名で全国展開する美容室チェーンです。若い女性を主要なターゲットとしながらフランチャイズ展開を進めています。M&A実施前には271店舗(2018年2月末時点)を運営していました。

路面店中心ではなく雑居ビルの2・3階に入居して賃貸料を抑えつつ、提供するサービス価格も抑える形で店舗数を伸ばしていた会社です。

本件買収により、CLSAキャピタルパートナーズは、積極的な出店で収益を拡大して上場を目指すと発表しています。買収後はAguグループに複数の取締役を派遣し、人材の確保や店舗運営の効率化などに取り組んでいます。

居抜きや運営委託の増加

ファンドへの売却は、主に大規模グループにみられる事例です。個人事業レベルの最新動向をみると、M&Aによる売却や居抜き物件による売却および運営委託の事例が増えています。

M&Aと居抜きの違い

M&Aによる売却と居抜き物件の売却では、主に以下のような違いがあります。

  • M&A売却=従業員・経営権・営業権など店舗運営に関わるすべての権利譲渡・売却
  • 居抜き物件の売却=厨房設備や内装をそのまま残した状態での店舗施設の権利譲渡・売却

買収側からすると、M&Aは事業のすべてを買い取る行為です。会社や事業の所有者が変わるだけで、事業をそのまま存続させるケースが多いです。

その一方、買収側からみた居抜き物件には、すでにそろっている店舗施設のみを買い取り、新たな事業をスタートさせるイメージがあります。居抜き物件では施設に対する大きな投資を省けるため、初期費用が抑えられる点がメリットです。

運営委託とは

運営委託とは、店舗経営の管理と運営を第三者(受託者)へ委託する行為のことです。細かい方式や条件などは契約によってさまざまです。店舗・事業所の所有と経営が分離している点に特徴がみられます。

委託側からみると、費用負担・集客・求人などの運営サポートや収益の向上施策が得られるのと引き換えに、収益からロイヤルティーを支払う形が一般的です。経営に行き詰っていたり、美容師が独立を始めたりした場合に、運営委託を導入するケースが増えています。

スケルトンにした後で土地・建物を売却することも可能

自己所有の土地や建物であれば、スケルトンにした後に売却することも可能です。スケルトンとは、店舗内の床・壁・天井・内装などが何もない建物だけの状態をさします。

スケルトン物件は立地がよく、営業形態を問わず適用できる土地や建物であれば、好条件で売却できる可能性がある点がメリットです。

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  • 美容院・美容室のM&A・事業承継

4. 美容院・美容室のM&Aで採用される手法

美容院・美容室のM&Aで採用される手法として代表的に挙げられるのは、株式譲渡事業譲渡です。この2つの手法を簡単に説明します。

株式譲渡

株式譲渡とは、株式を譲渡して買い手に経営権や支配権を譲り渡すM&A手法のことです。いい換えると、買い手企業の子会社になることです。買い手は役員を送り込み、経営統合を目指します。

美容院・美容室の株式譲渡であれば、スタッフ・ノウハウ・ブランドなどの有形・無形の資産、将来見込まれる収益力、統合によるシナジー効果などが譲渡価格の算定に反映されます。高額で売却されることが期待できるでしょう。

事業譲渡

事業譲渡とは、会社の事業の全部または一部を買い手に譲り渡すことです。株式譲渡は買い手の支配下に入ります。事業譲渡は、譲渡対象の範囲を事業譲渡契約書で規定することで選別する点が特徴的です。

美容院・美容室業界のM&Aでは、個人経営・小規模の店舗の売却で多くみられます。

美容院・美容室のM&AならM&A総合研究所へ

最近では、美容院・美容室を対象とするM&A事例が多くみられます。M&Aには失敗リスクも存在するため、注意しなければなりません。美容院・美容室のM&Aを有利に進めるには、専門家のサポートを受けることがおすすめです。

M&A総合研究所では、支援実績豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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5. 美容院・美容室のM&Aを行うメリット

この章では、M&Aにより美容院・美容室を売却・買収するメリットを、売り手・買い手それぞれの立場から紹介します。

売却側のメリット

美容院・美容室のM&Aを行う場合、売却側のメリットは主に以下のとおりです。

  • 有力グループ店の傘下となる
  • 継続的経営の不安解消
  • 後継者問題の解決
  • スタッフ雇用の維持
  • 個人保証や借入金の解消
  • M&Aによる売却益を得る

それぞれのメリットを順番に解説します。

有力グループ店の傘下となる

美容院・美容室の運営に行き詰まっている場合には、有力グループ店の傘下となる形で経営権を売却する方法も有効な経営戦略の1つです。

有名かつ規模の大きい美容院・美容室のブランドや看板を利用できれば、集客力を高められます。有力グループの傘下となるのは、自店舗の状況によっては大きな効果が期待できる手段といえます。

継続的経営の不安解消

経営者が事業を始めた理由は人それぞれです。美容院・美容室業界に多い1店舗~数店舗を運営する経営者の場合、「自分のスキルを生かした仕事をすること」を最大の目的として掲げているケースが目立ちます。

上記のような目的を持つ経営者は、起業にあたって経営の実績を積んでいない人がほとんどです。経営者になること自体を目指していたわけではありません。経営者になったのは、あくまでも自身の目的を果たすための手段に過ぎません。

もともと経営のプロでないことに加えて、美容院・美容室業界は競争が激しいため、将来への不安を抱えている経営者は多いです。M&Aで自店舗を売却すれば、経営に関する不安を解消できます

後継者問題の解決

後継者問題は、経営者が比較的若い美容院・美容室業界にはそれほど該当しないかもしれません。しかし、後継者不在の問題を抱えている店舗・会社にとっては、M&Aによる売却が問題解決の手段となります。

経営者がオーナーを兼ねる中小企業からすると、後継者がいない場合には社内や外部の人間に経営を引き継いで事業承継をしない限り、会社を存続させられません。

とはいえ、社内の人間に会社の引き継ぎまでを求めるのは、資金面や連帯保証の点からみても難しいのが実情です。M&Aによる売却では、後継者にふさわしい人材を外部から探せます。

スタッフ雇用の維持

廃業や居抜きでの売却は、スタッフの雇用関係も維持できません。M&Aによる美容院・美容室の売却なら、基本的にスタッフの雇用関係もそのまま引き継がれます。

経営者の義務や責任を踏まえても、これまで自店舗に貢献してくれたスタッフに、会社都合による失業などの苦労をさせたくないと考えるのは当然のことです。

中小企業も、従業員の雇用維持を目的にしたM&Aによる事業や会社の売却を検討するケースが多くみられます。

個人保証や借入金の解消

美容院・美容室に限った話ではありませんが、個人保証や借入金の問題もあります。個人事業主の場合は事業主本人が借入を、会社の場合は会社の代表者が借入金に個人保証をしているケースがほとんどです。

M&Aで美容院・美容室を売却すれば、借入や保証を買い手に引き継いでもらえます。

M&Aによる売却益を得る

M&Aにより自店舗を売却すれば、廃業コストを省けるだけでなく、売却利益の獲得が狙えます。

獲得できる売却利益はまとまった金額となるケースが一般的です。経営引退後の生活資金や新事業に対する投資資金としても活用できます。ただし、売却益は課税対象となるため注意が必要です。

買収側のメリット

美容院・美容室のM&Aを行う場合、買収側のメリットは主に以下のとおりです。

  • 腕のある美容師の確保
  • 新規顧客・継続顧客の獲得
  • 内装など設備投資の低減
  • 新規事業への参入
  • グループの発展

それぞれのメリットを順番に解説します。

腕のある美容師の確保

M&Aで買収する場合のメリットの1つに、従業員をそのまま引き継げる点が挙げられます。特に美容院・美容室は、美容師個人の能力や魅力に対して顧客が付いているケースが珍しくありません。顧客からの人気がある美容師の確保が、その店舗の売上を左右します。

待遇などの面から離職率が高く、美容師の入れ替わりが激しい業界です。能力のある美容師には引き続き働いてもらえるような努力が必要です。そのまま働いてもらえた場合には、腕のある美容師を維持した状態で店舗の運営がスタートできます。

新規顧客・継続顧客の獲得

集客力のある美容院・美容室を買収する場合、新規顧客を獲得できるメリットも享受できます。ただし、一般的な集客力の店舗は、高く見積もっても買取前と同程度です。

美容院・美容室は、流行に大きく左右される業界でもあります。顧客の維持と獲得が課題ですが、それを達成するには買収後の継続的な努力が最も重要な要素です。

その一方、美容院・美容室のM&Aでは、新規顧客よりも継続顧客獲得の面で大きなメリットを期待できます。M&Aによるスタッフが大量辞職するようなトラブルが発生しない限り、継続顧客を想定して店舗運営を開始できます。

内装など設備投資の低減

新店舗を作る場合、基本的に設備などに対して多くの初期投資の費用がかかります。M&Aによる買収および居抜き物件の買い取りでは、設備投資の費用を大幅に削減できます。

ただし、居抜き物件の場合、買収対象以外のすべての設備に関して、ゼロから開業する場合と同様の投資が求められる点に注意が必要です。

その一方、M&Aによる買収であれば、美容院・美容室事業に関するすべての経営資源を引き継ぐことができます。買収費用は高額になりやすくなりますが、開業に至るまでの時間を大幅に短縮できます。

新規事業への参入

自社で経験のない新規事業に参入する場合、最もスピーディーな手段はM&Aによる対象事業の買収です。特に問題が発生しない限り、従業員から顧客まですべてを引き継いだうえで新規事業を開始できます

グループの発展

特に美容室チェーンなどの大手企業に該当しますが、店舗数が多くなるほど街中の看板が増えて、宣伝力・ブランドが大きく成長します。店舗自体が、広告媒体として機能する仕組みです。M&Aによる買収では、広告宣伝効果が期待でき、グループの売上増・発展につながります

ただし、ゼロから店舗を立ち上げる手間はかからないものの、買収先店舗とのイメージがずれているケースも少なくありません。こうした事態を踏まえつつ、買収店舗を既存店舗のイメージに適応させるための投資費用を事前に検討しておく必要があります。

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6. 美容院・美容室のM&A成功事例

ここでは、美容院・美容室のM&Aの実際の成功事例を紹介します。

エム・エイチ・グループの会社分割によるアトリエ・エム・エイチへの事業譲渡

2023年8月、エム・エイチ・グループは、事業の一部を子会社のアトリエ・エム・エイチへ会社分割を行いました。

エム・エイチ・グループは、ヘアサロン「mod's hair」の運営管理、マネジメント業務、商品開発を行う事業持株会社です。アトリエ・エム・エイチはヘアサロン「mod's hair」の運営を行っています。

今回のM&Aによりグループ全体の成長を促進させ、迅速な意思決定とセグメント間のシナジー効果を目指します。また、安定的な経営基盤の構築と事業の成長投資を継続するなどを今後も実施する予定です。

ジャフコグループとAZ-Starによるヘッドライトの子会社化

2021年2月、日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコグループが管理・運営するジャフコSV6投資事業有限責任組合・ジャフコSV6-6投資事業有限責任組合と、AZ-Starが管理・運営するAZ-Star3号投資事業有限責任組合が、ヘッドライトを子会社化しました。

AZ-Starは、企業投資ファンド運営会社です。ヘッドライトは全国で美容室やアイラッシュサロン運営を展開しています。

ジャフコグループは、AZ-Starの有する経営ノウハウなどを活用し、内部管理体制の整備や企業価値向上に向けた支援を行っていくとみられます。

ヤマノHDによるL.B.Gの子会社化

2019年10月、美容室運営などを手掛けるヤマノホールディングスは、Webマーケティングなどを行うL.B.G.を子会社化しました。L.B.Gは社員の安定雇用を重視した正社員採用モデルを取り入れている点が特徴です。

ヤマノHDは、L.B.G.の特色を評価し、シナジー効果が実現できると発表しています。「La Bon heur」の全国展開を支援し、グループ全体として事業の成長を加速させる狙いです。

剣豪集団と潤首有限公司によるエム・エイチ・グループの株式取得(経営権取得)

2015年6月、剣豪集団と潤首有限公司が共同出資した剣豪1号投資事業有限責任組合が、エム・エイチ・グループの株式公開買付け(TOB)を行い、50.81%の株式を取得しました。取得価額は約19億円です。

エム・エイチ・グループは、「モッズ・ヘア」の直営店運営などを行っています。剣豪集団は、部品調達やM&Aコンサルティングなどを行っている会社です。

剣豪集団は、中国における美容サービス産業参入を目的に、日本の美容技術やFC運営などを取り入れるべく、エム・エイチ・グループを選定しています。中国国内の店舗展開などの観点から大連幸福家居世界有限公司も加わり、3社間でのM&Aに至りました。

アルテサロンHDによるダイヤモンドアイズの完全子会社化

2014年12月、アルテサロンHDは、アイラッシュ事業(まつげエクステなどのサロン運営)を展開するルルテールの分割会社であるダイヤモンドアイズの全株式を取得し、子会社化しました。取得価額は1億2,400万円です。

アルテサロンHDは、独自ののれん分けシステムにより、首都圏中心の「アッシュ」など複数の美容室チェーン運営をしています。

アイラッシュ分野の市場規模拡大が見込まれることから、アルテサロンHDはアイラッシュ事業進出と事業内容・サービス内容の拡充を目指します

都内2店舗を運営する美容室チェーンの売却

ここでは、都内2店舗を運営する美容室チェーンの経営者が、自身のリタイアを目的にM&Aによる売却で事業承継を成功させたケースを紹介します。競争力の強い優良な美容院・美容室であれば、売り手側主導で売却交渉を進められることを示す好事例です。

売却側の美容室について

売却側の美容室は、以下の強みや高いブランド力により高い集客力を誇っていました。業績や財務内容も優れています。

  • 好立地 = 都内の高級住宅街で価格帯の高い美容院2店舗を運営
  • 内装・設備 = 立地にふさわしい高級感のある内装
  • サービス = 立地にふさわしい高品質のサービス

これほどに優れた素質を持つ美容室の売却を考えた理由は、事業からのリタイアを希望したためです。経営者自身が65歳と高齢になっており、納得のいくセカンドライフを実現すべく他社への売却を決断しました。

買収側の複合企業について

買収側の企業は、美容室・エステ・外食業と複数の事業を展開しており、以前から同業買収による規模拡大を検討していました。

そこで対象となる美容室をみつけて、好立地とブランド力を高く評価しました。買収を強く希望したために売却側の要望にも柔軟に対応した結果、トップ面談から3カ月ほどでのスピード成約を実現しています。

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CLSAキャピタルパートナーズによるAGUグループの買収

2018年、CLSAキャピタルパートナーズが運営するファンドである「Sunrise Capital」は、Aguグループを運営する「株式会社ロイネス」及び「B-first 株式会社」の株式を取得しました。

取得総額は未公開とされていますが、約100億円と推定されています、約100億円でのM&Aは美容院業界のM&Aにおいての大規模な事例の1つです。本M&Aにより店舗・フランチャイズビジネスの経営資源を活用し店舗開発を加速させています。

7. 美容院・美容室のM&A相場

美容院・美容室のM&A相場は、市場動向・規模・経営状態・売買のタイミングなどによって左右されます。一概に相場を挙げるのは困難です。1店舗あたりの譲渡価格(希望価格)は数百万円から千数百万円のケースが多くみられます。グループ企業であれば、億単位になることもあるでしょう。

ここでは、Web上で公開されている、美容院・美容室の売却案件を抜粋して相場を紹介します。居抜き物件の売却事例も掲載していますが、売却価格が非公開です。あくまでも参考資料としてお役立てください。

M&Aによる売却相場

美容院・美容室業界のM&Aでは、事業譲渡で1店舗あたり1,000万円程度の売却価格とする案件が多いです。
 

  エリア 店舗数 スキーム 希望売却価格(万円) その他
事例1 愛知県豊田市 3 事業譲渡 5,700  
事例2 東京都渋谷区 1 事業譲渡 1,000 税別・保証金490万円別
事例3 東京都23区 1 事業譲渡もしくは株式譲渡 1,500  
事例4 東京都千代田区 1 事業譲渡 800 税別
事例5 首都圏 2 事業譲渡 2,000 税別
事例6 東京都品川区 1 事業譲渡 980 税別
事例7 関東 1 事業譲渡 1,000  
事例8 東京都豊島区 1 事業譲渡 1,650 保証金600万円別
事例9 長崎県西彼杵郡 1 事業譲渡 2,000  
事例10 東京都23区外 1 事業譲渡 1,500 税別・保証金381万円別

(参考)居抜き物件の売却案件

参考資料として、居抜き物件の売却案件を以下にまとめました。
 

  エリア 駅徒歩 賃料(円) 面積(平方メートル)
居抜き物件1 神奈川県川崎市 川崎駅1分 453,600 116.75
居抜き物件2 大阪府大阪市 北田辺5分 180,000 189.75
居抜き物件3 神奈川県横浜市 生麦駅3分 205,200 67.76
居抜き物件4 岐阜県岐阜市 岐阜駅20分 162,000 67.08
居抜き物件5 東京都新宿区 新宿御苑前3分 180,206 25.83
居抜き物件6 神奈川県横浜市 石川町1分 399,600 61.32
居抜き物件7 東京都中央区 銀座駅5分 795,636 122.6

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8. 美容院・美容室のM&A・売却を成功させるポイント

この章では、M&Aにより美容院・美容室の売却を検討する人に向けて、より高く売却するためのポイントを紹介します。

売却側のポイント

M&Aによる売却を検討したら、売却交渉に向けて以下のような施策が求められます。紹介するポイントを中心にM&Aの専門家と協議を重ねながら、売却手続きを進めていきましょう。

ライバル店との違いを明確化する

美容院・美容室は乱立状態で競争が激しい業界です。近隣のライバル店と比較したときの強みがないと、評価(売却価格)が下がりやすくなります。他店との違いや特別な要素があれば、それを明確化させることが売却交渉で非常に重要です。

具体的に以下のような強みがあり、競合との差別化ができていれば、魅力的な売却案件として買い手側が高く評価する可能性が高まります。

  • 売上高や利益率
  • 所属する美容師の質(受賞歴など)
  • 設備や造作
  • 店舗の立地
  • 幅広いメニューや競合店舗がまねできないメニュー・特技など

収益予測データを示す

美容院・美容室は、流行の影響を受けやすい業界です。現時点で大きな収益を得ていても、いつまで継続するかは不透明な部分があります。収益に自信があっても、売却価格が下がってしまうケースは少なくありません。

ライバル店との違いを根拠に収益予測を十分に提示できれば、M&Aによる売却の価格交渉で大きな武器となります。例えば、「1人1人の美容師が持つ顧客と、それにもとづく毎日・月間の収益予測」や「店舗の立地を踏まえて、安定して毎月どれほどの新規顧客が入るのか」「そのうち何パーセントが継続顧客となる見込みなのか」といったデータを売却交渉で示すと有効です。

店舗データを提示する

ライバル店との違いを根拠にする収益予測データとともに、実際の店舗データを裏付け資料として提示しなければなりません。当然ながら裏付ける資料がなければ、売却交渉では買い手側に信用してもらえないためです。

売却交渉時には、自店舗のデータはもちろん、ライバル店舗のデータもできる限り収集しましょう。比較して自店舗が勝っている点を明確に提示できれば、売却交渉における説得力は格段に上昇します。

相場を知っておく

M&Aは個別的な評価を加味したうえでの相対取引で、全体の売却価格の平均値にそれほど意味はありません。

美容院・美容室のM&A売却であれば、1店舗あたり1,000万円程度が標準的な売却相場です。これよりも高い売却価格を検討している場合には、十分な説得力のある根拠を準備しなければなりません。仮に提示できないと、売却交渉で交渉の余地がないと判断されてしまいます。

実際の売却交渉で最も重要視されるのは、妥当な売却金額の算出です。妥当な売却金額は、相場を踏まえ、過去のデータや収益予測をもとに、M&Aの専門家との相談により算出します。

ただし、この金額に100%従う必要はありません。売却価格を決めるのはあくまでも交渉当事者である経営者自身です。ここでは、妥当な売却金額に「思い入れ」などによる希望額を加算した価格が、現実的に交渉可能な金額であると理解しましょう。

M&Aの専門家からアドバイスを受ける

自店舗のデータや収益予測は手持ちの資料をそろえる必要があります。しかし、実際の売却交渉でライバル店舗との違いや強みを効果的に伝えるのは難しいです。

経営者のなかには「自身が所属する業界なのだから、自身の方が魅力的に映る部分などは詳しい」と考えてしまう人もいます。経営者が考えていることと、M&Aの売却交渉で魅力的に映るポイントや、買い手側が売却交渉で評価するポイントは異なっているケースも多くみられます。

例えば、経営者自身は「売上高」や「利益率」に強みがあると考えていたのに、実際の売却交渉では相手に魅力的に感じてもらえたのは「幅広いメニュー」や「美容師の質」だったようなケースは少なくありません。

M&Aは頻繁に経験する行為ではありません。不慣れな経営者がほとんどです。M&Aの専門家であれば、その業界では自店舗のいかなる部分が強く、どのようにアピールすれば高く売却できるのかを熟知しています。専門家のサポートを得ながら売却価格交渉などを進めることが望ましいです。

M&A総合研究所には、M&Aに関する知識・経験が豊富なアドバイザーが在籍しており、フルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

買収側のポイント

次に、買収側のポイントをまとめました。M&Aによる買収を検討中の方はぜひご参考ください。

シナジー効果の大きさと獲得可能性を調査する

売り手側の事業に関して、買収価値があるものかどうかを判断する決め手は、買い手の経営戦略との相性で決まります。相手側から高い評価が得られれば、当然、譲渡額は高額となります。M&Aによる事業拡大や雇用の維持も実現可能です。

経営を統合することによって、どのようなシナジー効果が得られるのかを十分検討する必要があります。企業価値がマイナスにならないような相手を慎重に選定しなければなりません。

シナジー効果の獲得可能性やコスト面なども含めて、M&Aに詳しい専門家に相談しましょう。

簿外債務・偶発債務のリスクを把握する

M&Aを考えている場合、相手側の事業に含まれるリスクも背負い込むことを念頭に置いておく必要があります。特に簿外債務・偶発債務は慎重に調査し、どのようなリスクがあるのか把握しましょう

簿外債務とは、帳簿には載らない債務をさします。例としては、未計上の退職給付引当金などがあります。偶発債務とは、将来的に負債を発生させるようなリスクです。

美容院・美容室業界は、待遇や労働環境面の問題から、従業員の離職率が高いことが課題です。残業代未払いなどの問題があれば、買収後に元従業員から損害賠償の訴訟を提起されることも考えられます。労働問題が簿外債務・偶発債務になる可能性は高いです。

従業員・顧客の流出を防ぐ

美容院・美容室業界の場合、技術力が高い美容師個人に顧客がつくことが多く見られます。M&A後に経営方針や職場環境が変わり、優れた美容師が離職してしまうケースもあります。美容師の離職は、サービスの質の低下や顧客の流出など大きなマイナス要因につながりますので、注意が必要です。

M&Aの検討に入る前の段階から、従業員との話し合いや説明を丁寧に進めて、離職しないような対策を講じておくことをおすすめします。

美容院・美容室のM&Aを有利に進めるには、専門家のサポートを受けることがおすすめです。M&A総合研究所では、支援実績豊富なアドバイザーによるフルサポートを行っています。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください

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9. 美容院・美容室のM&Aまとめ

美容院・美容室業界では、M&Aによる売却・買収や居抜き物件の売買が増えています。2018年には大手の美容室がM&Aによりファンドに売却された事例が話題になりました。

美容院・美容室のM&Aでは、売却側には事業承継問題の解決・従業員の雇用維持などのメリットがあります。買収側からすると、実力のある美容師を確保できたり、新規顧客や継続顧客を引き継いだ状態で事業を開始できたりする点がメリットです。

10. 美容院・美容室業界の成約事例一覧

11. 美容院・美容室業界のM&A案件一覧

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