ハッピーリタイアとは?意味やM&Aにおけるメリット・成功のポイントを解説!

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

最近では早期退職をする人が増えつつある中、日本では50歳前後を目安としてハッピーリタイアを検討する人々が少ないといわれています。
そのなかでハッピーリタイアを目的としたM&Aが注目され増えてきています。
このハッピーリタイアとはどういうものなのでしょうか。
ここでは、ハッピーリタイアの意味やそれまでに必要とされる資金はどれくらいのものなのか、M&Aにおけるハッピーリタイアのメリットとは何があるのか。
そして、ハッピーリタイアの成功へのポイント、注意点などについて解説していきます。

目次

  1. ハッピーリタイアとは?
  2. ハッピーリタイアの手法
  3. M&Aにおけるハッピーリタイアのメリット
  4. ハッピーリタイアの成功へのポイント
  5. ハッピーリタイアの注意点
  6. ハッピーリタイアを実現するなら早期に決断・準備が大事!
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1. ハッピーリタイアとは?

日本では50歳前後を目安としてハッピーリタイアを検討している人が多くなってきています。
そもそも、ハッピーリタイアとはどういう意味なのでしょうか。
ここでは、ハッピーリタイアの意味や必要な資金はどれくらいのものなのかを解説します。

ハッピーリタイアの意味

ハッピーリタイヤの意味とは、一般的にはゆたかな老後生活の資金を確保した上で退職(リタイア)し、自由気ままに思うがままに引退生活へと入っていくこと。
そして、定年を迎える前に生活資金を確保して早期退職(リタイア)することを意味しています。

ハッピーリタイアに必要な資金

ハッピーリタイアの意味とは悠々自適な引退生活をするために生活資金を確保して早期リタイヤをすることを意味すると解説しましたが、このゆたかな老後生活をするために必要な資金とはどれくらい必要となるのでしょうか。

年金支給開始年齢は原則65歳です。
50歳前後でのハッピーリタイアをする場合では、無収入での生活期間がおおよそ15年間となります。
退職するまでにこの無収入である期間の生活資金を確保しておかなければなりません。
今は人生90年といいますので、さらに25年分の生活資金も考えておかないといけません。

例えば、年間500万円で生活した場合、65歳までは7,500万円がかかります。
さらに65歳以降も見積もるとおおよそ1億円といったところではないでしょうか。
ハッピーリタイアに必要な生活資金には1億円かかるということです。

【関連】早期リタイアに必要な資金・貯金とは?計画の立て方やメリット・注意点や成功のポイントを解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. ハッピーリタイアの手法

最近はコロナ禍ということもあり中小企業の企業倒産が増えてきています。
そこで事業継承を目的としたM&Aのなかでもハッピーリタイアを対象としたM&Aが増加してきています。
ハッピーリタイアの手法は次の3つがあります。

  • 親族内承継
  • 親族外承継
  • M&A
この3つのハッピーリタイアの手法はどういうものなのか、メリットやデメリットを解説します。

親族内承継

ハッピーリタイアの手法の1つめは「親族内承継」です。
親族内承継の意味は、現在の経営者の子供などの親族に事業の継承をさせる方法ということです。

メリットとしては、親族に事業を継承することは受け入れやすい、早くから後継者が決められていることで準備期間の確保が可能である、そして、財産や資産などを後継者に相続ができるため、経営などが一体となる承継ができるなどです。
デメリットとしては、親族のなかで後継者候補がいるとは限らない、相続する人が複数いる場合に後継者の決定や経営権などの集中が厳しいことです。

【関連】家業や親の会社を継ぐメリット・デメリット10選!タイミングや手続き方法を解説【事例あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

親族外承継

ハッピーリタイアの手法の2つめは「親族外承継」です。
親族外承継の意味は、親族以外の役員や従業員に事業を継承させる方法ということです。
メリットとしては、親族以外の役員や従業員のなかで能力のある人を見極めて継承することが可能であり、今までの事業の経営方針などをたもつことができることです。

デメリットとしては、後継者としての候補がいない可能性がある、後継者の候補に株式取得などのための資金がない可能性がある、引き継ぎなどに問題が多いことです。

M&A

ハッピーリタイアの手法の3つめは「M&A」です。
M&Aの意味は「Mergers and Acquisitions」の略で企業の合併、買収という意味です。
親族外承継のなかでM&Aは株式や事業譲渡などにより承継をおこなう方法となります。

メリットとしては、もし後継者の適任者がいなかった場合に候補者を外部から探すことができることです。
デメリットとしては、M&Aとしての希望条件をクリアすることができる買い手を見つけることやいままでの経営方針などを継承することが難しいことです。

3. M&Aにおけるハッピーリタイアのメリット

M&Aにおけるハッピーリタイアのメリットには次の4つがあります。

  • 経営基盤の強化、事業の成長が期待できる
  • 従業員の雇用維持ができる
  • 創業者利益を獲得できる
  • 個人保証や担保から解放される

この4つのメリットについて解説します。

経営基盤の強化・事業の成長が期待できる

M&Aにおけるハッピーリタイアのメリットの1つめは「経営基盤の強化・事業の成長が期待できる」ということです。
ゼロからの事業を成長させることはとても時間を要します。
M&Aの買い手側としては、存在する企業などを買収することで市場へのアクセスがすぐに可能となります。
例えば、競合企業などが利益をすでに出しているような場合には、ゼロからスタートして競合企業に追いつくことは簡単なことではありません。
このようなゼロからのスタートではないM&Aでは会社の経営基盤などの強化や事業の成長が加速する可能性があり期待ができるということです。

従業員の雇用維持ができる

M&Aにおけるハッピーリタイアのメリットの2つめは「従業員の雇用維持ができる」ということです。
承継問題が行き詰っていたりなどで廃業に直面している中小企業がM&Aによって、事業の継承や雇用の継続を実現しているケースは多くあります。
とくにM&Aでの従業員の雇用維持は地域の活力維持につながります。
地域経済の根源は多くの中小企業によるものであって、それは中小企業による従業員の雇用維持ができているからといえます。

創業者利益を獲得できる

M&Aにおけるハッピーリタイアのメリットの3つめは「創業者利益を獲得できる」ということです。
M&Aは経営者がいままでの努力によって築き上げた事業としての価値を譲り受けた側の企業側が認めることで実現することができます。
このことは経営者にとってはとてもうれしい、誇らしいと思えることです。
さらにハッピーリタイアに十分な金額を受け取れるという創業者利益を獲得することができる場合があります。

個人保証・担保から解放される

M&Aにおけるハッピーリタイアのメリットの4つめは「個人保証・担保から解放される」ということです。
非上場企業ではM&Aのあとに個人保証や担保を外すことを求めることもあります。
買い手側がどのような対応をするのかはその交渉のなかでの重要なことですが、M&A対象企業の経営者が引退する場合、買い手側としては個人保証や担保を外すような対応をすることが通常となっています。

4. ハッピーリタイアの成功へのポイント

ハッピーリタイアを成功させるためのポイントは次の4つがあります。

  • 会社の業績が良いタイミングで会社を売却する
  • リタイア後のプランを考えておく
  • 優秀なM&Aアドバイザーや仲介アドバイザーを見つけること
  • 決算書に表れない価値を高めること

このポイント4つについて解説します。

会社の業績が良いタイミングで会社を売却する

ハッピーリタイアの成功へのポイントの1つめは「会社の業績が良いタイミングで会社を売却する」ということです。
会社の業績が良いタイミングで会社を売却することはとても重要なことです。
もし、業績が悪いときであると資金が準備できず身動きができなくなってしまうことがあるため、タイミングを判断することに注意することは重要です。
判断が遅れてしまったために資金を準備することができない状況になることもあります。
したがって、業績が良いタイミングで会社を売却することが成功へのポイントの1つめとなります。

リタイア後のプランを考えておく

ハッピーリタイアの成功へのポイントの2つめは「リタイア後のプランを考えておく」ということです。
ハッピーリタイアしたあと、どのような生活をしていくかなどは人それぞれ違います。
例えば、引退はするけれど何らかのかたちでかかわり続けたい、違う事業などを始めたい、のんびり余暇を楽しみたいなどいろいろなプランがあります。
どのように過ごしていくのかは、その後の人生においてはとても重要なことなので、リタイア後のプランを考えておくことが成功へのポイントの2つめとなります。

優秀なM&Aアドバイザー・仲介アドバイザーを見つけること

ハッピーリタイアの成功へのポイントの3つめは「優秀なM&Aアドバイザー・仲介アドバイザーを見つけること」ということです。
事業承継の結果の良し悪しを大きくわける理由には、優秀なアドバイザー、仲介アドバイザーを見つけることができたかどうかです。
事業承継などは経営者ひとりで計画から実行まですべてをうまく進めることはとても厳しいことです。
そのため、優秀なアドバイザーや仲介アドバイザーをみつけて一緒に計画を立てることが成功へのポイントの3つめとなります。

決算書に表れない価値を高めること

ハッピーリタイアの成功へのポイントの4つめは「決算書に表れない価値を高めること」ということです。
企業の価値というものは決算書の内容のみで決まるものではありません。
決算書には表れない価値があり、例えば譲渡価格などに影響したりします。
例えば、従業員の数や個々のスキル、取得している資格などは決算書には表れない価値であり、取引先の数やその取引先の評価なども決算書には表れない価値です。
このような自社の強みや弱みなどを事前に把握しておいてその価値を高めていくことで買い手側へアピールすることができますので、決算書には表れない価値を高めておくことが成功へのポイントの4つめとなります。

5. ハッピーリタイアの注意点

M&Aの方法やタイミングを間違えてしまうことでハッピーリタイアが実現できなくなることがあります。
ハッピーリタイアを成功させるためには注意点があります。

  • 経営環境を整えておくこと
  • 早い段階で決断し準備を進める

この2つの注意点について解説します。

経営環境を整えておくこと

ハッピーリタイアの注意点の1つめは「経営環境を整えておくこと」という注意点になります。
たとえば、M&Aでハッピーリタイアを実現する場合は経営者が変わることになります。
経営者が変わってしまうことで従業員のなかには退職してしまったり、仕事に対するモチベーションが下がり業績への悪化に繋がったりというパターンがあります。
このようなことにならないように、新しい経営者が経営しやすい環境を整えておくことが重要ですのでハッピーリタイアの注意点にあげています。

早い段階で決断し準備を進める

ハッピーリタイアの注意点の2つめは「早い段階で決断し準備を進める」という注意点になります。
ハッピーリタイアの成功へのポイントでも解説しましたが、会社の業績が良いタイミングで会社を売却するなどのようにタイミングはとても重要なポイントです。
ベストなタイミングで実現するには、早い段階で見極めて決断をしてその実現のために準備を進めておくことになります。
準備が足りないまま進めると失敗に繋がりますので、早い段階で決断し、準備期間を十分に確保して進めていくことを注意点として念頭においておかなければいけません。

6. ハッピーリタイアを実現するなら早期に決断・準備が大事!



ここまでハッピーリタイアについて、そもそもハッピーリタイアとはどういう意味なのか、どれくらいの資産を必要とするのか、ハッピーリタイアの手法などを解説しました。
そして、M&Aにおけるハッピーリタイアのメリット、成功へのポイントや失敗しないための注意点などについてまとめました。
ハッピーリタイアを実現するためには、最終的には引退後にどのような生活を送っていきたいかがとても重要なことになります。

引退後の生活資金は約1億円と言われています。
引退後の生活資金を多く残すことができ、従業員などの雇用維持なども実現するには、会社を売却することがベストです。
前述の成功へのポイント、ハッピーリタイアの注意点でも解説しましたが、業績の良いタイミングで売却することが重要です。
ハッピーリタイアを実現するのであれば注意点も考慮して早期に決断をして少しでも準備期間を多く確保することがとても大事なことになります。

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