50歳のアーリーリタイアに必要な資産は1億円?引退方法も徹底解説!

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

50歳でアーリーリタイアや早期リタイアを目指す人は多いです。定年退職を迎える前の50歳でのアーリーリタイアや早期リタイアに必要な資産は、5,000万円〜1億円などの声も聞かれます。今回は50歳で引退する方法を詳しく解説します。

目次

  1. アーリーリタイアとは?
  2. 50歳でアーリーリタイアするうえで必要な資産
  3. 50歳でアーリーリタイアするメリット・デメリット
  4. 50歳でアーリーリタイアする際の不安点
  5. 50歳までに1億円貯めて引退する方法
  6. 50歳のアーリーリタイア後に使える資格取得
  7. 50歳のアーリーリタイアに必要な資産まとめ
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1. アーリーリタイアとは?

アーリーリタイアとは、会社などのメインで行っている仕事の定年を迎える前に退職することです。早期リタイアと同じような意味を持ちます。

50歳までにアーリーリタイアを目指す人は多く、ほとんどの場合、早期優遇退職制度などの条件に満たない人が退職することを意味しています。

アーリーリタイアは早期リタイアと同じで、早期退職後に貯金や貯蓄のみで生活をする「完全リタイア」と、時間のある生活を送りながら貯蓄と軽い収入で生活する「セミリタイア」の2種類のタイプに分かれるでしょう。

セミリタイアも、最近では憧れの多い早期退職の方法としてよく耳にします。

【関連】セミリタイアとは?アーリーリタイアとの意味の違いや条件を解説!

サザエさん症候群とハッピーリタイアの関係

例えば自営業やフリーランスの場合、退職する必要がないため自信の体が動くうちは働きたいと考えるケースが多いです。自営業は、将来的な不安、資金面の悩みなど苦労は尽きません。しかし、自営業やフリーランスは、自分の考えやペースに合ったスケジュールなど自由な働き方が可能です。

一方、ビジネスマンの場合、アーリーリタイアを考える人がいるかもしれません。会社組織の一員である場合、絶えず組織の重圧にさらされています。会社組織の意思決定も、合理的な判断よりも組織間の力関係が優先されてしまうケースもあるでしょう。

そのような仕事へのストレスが原因で起こる現象として「サザエさん症候群」があります。毎週日曜日の夕方(あるいは夜)になると、月曜日からの仕事を考えてしまい憂鬱(ゆううつ)な気分になる現象です。

そんな会社組織の一員としての生活を苦痛に感じ、早めに退職したいと考える人も多いでしょう。

2. 50歳でアーリーリタイアするうえで必要な資産

50歳でアーリーリタイアする場合、「1億円必要」とか「5,000万円必要」などといろいろな話がありますが、実際どのくらいの貯蓄や貯金があれば早期退職に踏み込めるのか見ていきましょう。

50歳でアーリーリタイアをする場合、ファイナンシャルプランナーの山崎俊介氏の一説では独身ではなく、家族がいる方は1億円資金を準備しなければなりません。

例として、50歳および60歳と高所得の60歳で退職して、年金支給の始まる65歳まで5年間貯金を切り崩して生活を送るケースを考えてみましょう。夫婦で年間400万円、5年で2,000万円を消費するため、大企業の退職金約2,300万円はこの時点でなくなってしまいます。

実際に年金受給者の実収入は公的年金約21万円ですが、支出の平均が26万円なのでこの時点でマイナスの数字が出ています。

50歳から65歳までで子供が2人いる場合の支出合計を計算すると、年間500万円では15年で7,500万円の資金が必要となり、早期退職したあと、65歳の老後のための貯金とは別に必要です。

【関連】サラリーマンがセミリタイアする方法!実例から5パターンを解説!

3. 50歳でアーリーリタイアするメリット・デメリット

50歳で実際にアーリーリタイアやセミリタイアをするとなると、現実的にそれまでどおりの生活をする場合は、独身でも5,000万円、家族がいると1億円の貯蓄や貯金が必要となります。

50歳でアーリーリタイアをしたときのメリットとしては、定年を迎える前に自由な時間とストレスから解放された生活が送れることです。

50歳といっても定年までに15年もの期間があり、この50歳からの15年は人生においても大切な時間であり、アーリーリタイアや早期リタイア、あるいはセミリタイアすることで、健康で人生を楽しめる最後の貴重な時間を有意義に過ごせます。

逆に50歳でアーリーリタイアするデメリットとしては、貯蓄の形成が困難でアーリーリタイアまでの生活が苦しい点です。

これは独身であるかどうか、給与・生活スタイル・貯金額によっても違います。しかし、先ほど解説したとおり50歳でアーリーリタイアや早期リタイアをする場合は、5,000万円〜1億円もの貯蓄が必要になります。簡単に貯貯蓄できる金額ではないため、30代から準備しなくてはなりません。

4. 50歳でアーリーリタイアする際の不安点

これまで50歳でアーリーリタイアするために必要な貯蓄や貯金額を解説してきましたが、ここでは必要とする貯蓄や貯金額などを含めて、50歳でアーリーリタイアする不安点を解説します。

50歳での早期リタイアは現実的か?

まずは本当に50歳での早期リタイアは現実的に可能なのかどうかです。先ほどの5,000万円〜1億円の貯蓄を目安にして考えると、50歳で1億円に到達するには、25歳から25年間、毎月10.5万円の積み立てが必要です。

これはかなり厳しい数字であることは予想がつきますが、さらに年間の利回りを8%で維持し続けなければなりません。

そして、50歳までに結婚や子育て・住宅ローンなどの支払いがあることを考えると現実味がなくなってしまい 、50歳でのアーリーリタイアは100年人生時代を考えるとかなり厳しいでしょう。

それでも少しでも近づけるためには、資産形成に励むことが必要です。50歳で完全早期リタイアできなくても、60代になる前にはかなり貯金に余裕ができるでしょう。

独身の方や生活スタイルによっては、5,000万円程度でもアーリーリタイアやセミリタイアができる人もいるため、一つの目安として考えてみるのも良いかもしれません。

【関連】アーリーリタイアできた独身男性の資金・貯金まとめ!【30代、40代、50代】

アーリーリタイア前に考えておくべき支払い

実際にアーリーリタイアや早期リタイアを考えたとき、生活費や娯楽費以外にも税金などの支払いがあることを忘れてはいけません。

年金は仕事をやめても前年度の所得がある場合は控除ができないため、最低でも1年間は支払うことになります。

国民健康保険は年収500万円の場合、毎月3〜3.5万円はかかり、住宅費・住民税なども支払わなければなりません。

独身ではなく妻子持ちの場合は、子供の学費なども支払いが必要でしょう。定年後にもらえる年金受給額が低くなるため、このような要素も踏まえてアーリーリタイアを考えておかなければなりません。

資産は1億円で足りるのか?

先ほど解説した計算で生活をすると、50歳で資産が1億円あればアーリーリタイアやセミリタイアを行ううえで十分なのかは、生活スタイルや独身か既婚者かによっても大きく異なるでしょう。独身であれば、5,000万円でも早期リタイアは可能な場合もあります。

ここではさまざまな生活パターンに分けて、資産1億円で50歳から生活する場合のシミュレーションを立てていきます。

貯金のみで生活していく場合

50歳から65歳の支出を算出すると、独身ではなく、妻と子供2人の4人世帯で、年間500万円で生活するケースでは、15年間で7,500万円が要ります。

そして、65歳〜85歳まで夫婦2人で生活する支出を年に300万円として計算したら、20年間で6,000万円が必要です。

この20年間は国民年金が支給され、年に約77万円の所得となるため、20年間に1,540万円が貯まります。
 

  支出 所得
50歳〜65歳 7,500万円 0円
65歳〜85歳 6,000万円 1,540万円
必要貯金 −7,500万円−6,000万円+1,540万円 1億1,960万円

50歳のアーリーリタイアでは、老後の20年を足して1億1,960万円の貯金が必要となるでしょう。老後貯蓄を使い始める平均年齢は、公益財団法人・生命保険文化センターによる資料では、65.1歳となっています。

あと何年で自分が65歳になるのか計算しておけば、どのくらいの期間で老後の資金を準備すべきなのかイメージしやすくなります。

株式や不動産投資を行い生活していく場合

次に50歳でアーリーリタイアして貯金と株式投資・不動産投資などで収入を作りながら生活していく場合、どのくらいの運用益を作りながら生活していくのが目標となるのか見ていきます。

まずは、先ほどご紹介した必要貯金の約1億2,000万円をカバーする必要があります。全て投資で賄うのは難しいので、5,000万円の貯金で暮らせるように資産運用をしていくのが理想です。

50歳〜65歳までの15年間で年間500万円の支出があるので、月に約42万円必要になります。

すなわち月42万円の支出の20万円を投資の運用益で賄えれば、50歳でアーリーリタイアをするときに必要な貯金額は約5,000万円程度です。理想の半分の貯蓄で早期リタイアやセミリタイアを実現することが可能でしょう。

どこで暮らすのが効率的なのか?

50歳でアーリーリタイアやセミリタイアをした場合、メリットを考えると都心などに住むのは望ましくありません。

そこで、田舎や海外で生活する計画を用いて考えていきます。

田舎への移住を計画

50歳でアーリーリタイア・早期リタイア、セミリタイアをしたとき、仕事をする必要はないので、都心など収入をメインにして考える必要はありません。

物価や住むために必要な住宅費を少しでも安く済ませることが、重要なポイントとなります。

田舎で居住費を安く済ませれば年間の支出を抑えられ、なおかつ住みやすく、自然のある土地でゆっくりと暮らすことで貯金面でも精神面でもゆとりのある暮らしが実現できるでしょう。

独身の方なら都心で、仕事で出会った仲間などとの時間もあるので都心のほうが良いかもしれませんが、子供や妻がいる家庭では、田舎のほうが暮らしやすいところもあるので移住先に適しています。

海外への移住を計画

50歳である程度の貯蓄がある独身の方は、アーリーリタイアあるいはセミリタイア後に物価の安い海外に移住を検討するのも良いでしょう。

国内で生活してきた方には少し難があるように感じるかもしれませんが、現在では東南アジアでも簡単な日本語が通じる国や移住者も多いことから、独身でなくても家族みんなで生活した場合にそれほど不便を感じなくなっています。

海外移住はビザなどの発行が必要になるので、専門のコンシェルジュなどに相談するのが良いでしょう。

退職金はもらえるか?

50歳で早期退職を考えたとき、国内では早期退職割増金の制度があります。大体の相場でいうともともとの退職金の賃金の2年分が上乗せされるような制度です。

このような早期退職制度の活用によって、50歳でアーリーリタイア後の生活資金にもできるでしょう。しかし、退職金には税金がかかることも忘れてはいけません。

退職所得にかかる税金には税負担を軽くする措置がされています。

 

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年以上 800万円+70万円×(勤続年数−20年)









以上のような退職所得控除の制度が整っています。

退職金にかかる所得税の計算式は以下です。
 
  • 退職金−退職所得控除額×(1/2)=税金課税分の退職所得金額

退職金の仕組み

退職金が出るかどうかは企業によって異なります。

それを調べるには、各企業の就業規則を見るとわかります。退職金制度をとり入れている企業は全体の4分の3程度であるといわれています。

この退職金制度は企業によっても異なりますが、勤続年数の長さ、仕事の貢献度や給与額、退職事由、会社規模や水準などによってもらえる退職金が変わるでしょう。

会社の就業規則などをみて計算することになるので、早期リタイアなどを考えている方は必ずチェックしましょう。

会社規模別の退職金額

退職金制度のある企業の会社規模別の退職金額を見ていきます。
 

  • 大企業(資本金5億円以上従業員1,000人以上の企業)大卒から勤続30年で1,970万円
  • 中小企業(従業員数300人未満の企業)大卒から勤続30年で750万円

平均はこのような金額となります。

5. 50歳までに1億円貯めて引退する方法

50歳でアーリーリタイアや早期リタイアを考えたとき、1億円の貯金が必要になることがわかりました。ここでは1億円を貯めるにはどのようにしたら良いのかを解説します。

20年で1億円を生み出す際の年利

50歳まで20年で1億円を生み出すためには、毎月11万円以上を貯金し、年間10%の利回りで増やしていく必要があります。

これは非常に厳しい条件で、30代に入った段階で月に11万円以上を貯金に回し、利回り10%を維持しなければなりません。

資産を効率的に増やす投資

利回り10%の運用を20年間も続けるのは、非常に厳しいです。

そこでこの項では、資産を効率的に増やしていく投資を解説します。

株式投資

株式投資とは、企業が発行する株式を売買して利益を得ることで、自分が購入する株式銘柄を選び自分で売るタイミングを決めなければなりません。

株式は保有しているだけで株主配当や株主優待を受けられるため、得をすることが多く株価の上昇によって高い利回りを実現することも可能です。

この方法を実行するにはある程度の知識と経験が必要になるため、セミナーなどでの勉強が必要です。初心者には少しハードルの高いものとなりますが、資産を増やすためにはこの方法は覚えておくと役立つでしょう。

不動産投資

不動産投資とは、マンションの一室やアパートを購入し、その物件を貸し出すことで家賃収入を得る方法です。

住居以外では、コインランドリーや駐車場などの経営をする方法もあります。

仕組みがわかりやすく安定した収入を得られやすいのが不動産投資の良い点であり、初心者でも物件がよければ株などのように変動性があまりないため、資産運用しやすいといえます。

資金が必要になりますが5,000万円以上の資金があれば、できるだけ早めに始めておきたい投資方法です。

外貨預金

外資預金は利率が高いことでも有名ですが、資金が多くある方は行っておきたい資産運用の方法です。

外資預金は円よりも利回りが高く、為替レートの変動によっては評価益なども受け取れるので、時期がよければ利息+評価益の2つで得です。

50歳で早期退職して海外移住なども考えている方には、この方法が適しています。

投資ファンド

投資ファンドは、投資家から集めた投資資金をテーマにしたがって投資先に投資して、そこから上がる配当や売却益などを分配します。

一方では投資信託ともいい、投資はプロに任せるのが一番ですが、元金保証などはあるものの損をするリスクもあるので注意が必要です。

初めて投資を行う方などは、プロに任せてリスクの少ない資産運用を行いましょう。

6. 50歳のアーリーリタイア後に使える資格取得

アーリーリタイアで早期退職後、新事業を起こしたい方や再就職を考える方もいます。

ここでは、アーリーリタイアや早期退職後に持っておくと便利な資格をご紹介します。

国家資格

弁護士や司法書士・公認会計士などの資格を持つと、自ら事務所を立ち上げられるため50歳以降で再就職などを目指さなくても仕事ができます。

事業を立ち上げなくても資格を持つことで再就職の道ができるため、早期退職をして行き場を失っても安心です。

自身で事業を行っている場合は事業を売却して、アーリーリタイア・セミリタイア後の資金としても活用できます。

事業売買をご検討されている方は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A事業承継の経験や知識が豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

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7. 50歳のアーリーリタイアに必要な資産まとめ

50歳でのアーリーリタイアや早期リタイアあるいはセミリタイアをしようと考えた場合、一般的に独身でも5,000万円、家族も含めると1億円などの貯蓄が必要になります。

ただし、生活スタイルや早期退職の割増退職金制度などの活用をうまくすれば、5,000万円〜1億円よりやや少ない資産でも実現可能です。

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