2023年04月30日更新
バス会社の事業承継のやり方や注意点を解説【貸切バス/観光バス】
近年、バス会社の経営者の多くが引退の年齢を迎えており、中小バス会社の事業承継件数は増加傾向にあります。この記事では、バス会社の中でも特に貸切バス事業と観光バス事業に注目をし、バス会社の事業承継の方法や注意点などを解説します。
目次
1. バス会社の事業承継とは?
バスを用いた事業には、路線バスや高速バスなどがありますが、なかでも中小企業が多く参入している事業は観光用のバスを用いた事業です。
観光用のバスを用いた事業には、貸切バス事業と観光バス事業の2種類があります。近年は、訪日外国人や新幹線・鉄道が通っていない地方への観光客増加を背景に、観光用のバスの需要は高まっています。
しかしながら、バス会社の経営者の高齢化により、バス会社の事業承継の成約件数は増加傾向にあるのが現状です。貸切バス事業と観光バス事業の事業承継を述べる前に、まずはバス会社の概要と事業承継を解説します。
バス会社とは
先述のように、バスを用いた事業には、路線バス・高速バス・特定輸送(送迎用バス)などがあります。
この中で、中小企業が多く参入しているのは、貸切バス事業と観光バス事業です。ここでは、貸切バス事業と観光バス事業それぞれの特徴を解説します。
貸切バス事業とは
貸切バス事業とは、依頼者の需要に応じて車両単位で貸切輸送を行う事業のことをいい、国土交通省令で定める乗車定員以上の貸し切りを行う場合は、貸切バス事業に分類されます。
貸切バス事業は、冠婚葬祭や観光などの団体客用に行われていますが、事業を始めるためには地方運輸局長の審査と認可が必要です。
観光バス事業とは
観光バス事業も貸切バス事業も同じようにバスを貸し切って運行しますが、2つの大きな違いは貸し切るバスの乗車定員数です。国土交通省令で定める乗車定員以下のバスの貸し切りを行う場合は、観光バス事業に該当します。
観光バス事業も認可制に変更されたため、参入事業者は増加傾向にありましたが、事業者数の増加により顧客確保のための競争が激化しました。運転手への労働条件が厳しくなったことから、大型バスによる事故が多発する結果となりました。
このような背景により、運転手への労働条件を改善するための対策が必要です。現在、新規参入数は減少し、貸切バス事業も併せて減少傾向にあります。
事業承継とは
事業承継方法は、大きく分けると以下の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aによる事業承継
親族内事業承継
親族内事業承継とは、経営者の親族が経営を引き継ぐ方法です。事業規模が小さい会社では、家族で経営を行っていることも多いため、親族内事業承継の割合は高くなります。
帝国データバンクが発表した『「後継者不在率」動向調査(2021年)』によると、事業承継は「同族承継」によって引き継いだ割合が38.3%と、全項目の中で最も高い結果となりました。
後述する親族外事業承継やM&Aによる事業承継も、近年では増加傾向にあります。しかし、特に事業規模の小さい会社では従来どおりの親族内事業承継が一般的です。
親族外事業承継
親族外承継とは、経営者の親族以外、特に自社の従業員や役員に経営を引き継がせる方法です。親族内承継と比べると、親族外承継では「社内の優秀な人材に経営を引き継がせられる」「親族に無理やり事業を引き継がせなくてもよい」などのメリットがあります。
しかし、家族経営から親族外承継を行う場合は、事業に関わる資産の引き継ぎがデメリットとなります。なぜなら、経営者から親族外へ引き継ぐ場合は、資産の売却が必要になるからです。
後継者は買い取るために資金が必要になるため、多額の借金を背負って経営を行うことにもなり得るので、大きなリスクになります。このようなデメリットはありますが、規模の大きい会社ほど親族外承継が行われる傾向があります。
M&Aによる事業承継
M&Aによる事業承継とは、経営者の親族や自社の従業員・役員ではない、第三者の人・法人に事業を引き継いでもらう方法です。近年、将来への不透明性と廃業コストなどの理由により、M&Aによる事業承継の件数は増加しています。
事業の将来が見通せないため、親族内で引き継ぎたい人や負債を背負ってまで経営者になりたい人はほとんどいません。廃業をする場合にも莫大(ばくだい)なコストがかかるでしょう。
M&Aによる事業承継ではこれらのデメリットを排除でき、バス事業の需要の増加が見込まれることから、第三者に事業を引き継いでもらうケースが増加しています。なお、バス会社におけるM&A事例を知りたい人は、下記の記事で詳しく紹介していますのでそちらをご覧ください。
2. バス会社の事業承継のやり方
次は、バス会社の事業承継の方法・流れを紹介します。親族内・親族外事業承継とM&Aによる事業承継で流れが異なるため、それぞれに分けて紹介しましょう。
親族内事業承継(親族外事業承継)の流れ
親族内もしくは親族外事業承継を行う際、一般的な流れは以下の順序で進めます。
- 事業承継計画の策定
- 後継者の育成・教育
- 資産・株式・許認可などの承継
- 個人保証・負債の処理
①事業承継計画の策定
親族内もしくは親族外事業承継では、まず事業承継計画を策定します。計画策定の目的は主に以下の2つが挙げられるでしょう。
- 現時点での会社や事業の状況を確認するため
- 事業承継の詳細なスケジュールや実行するべき項目を確認するため
事業承継計画を策定する際は、後継者とともに現在の財務状況や事業の将来性などを再確認し、現状を維持するためにはどうすべきか、今後どのような新事業を行うべきかを検討します。
経営に関して専門的な話になるため、中小企業診断士など経営の専門家に相談を依頼して行うとよいでしょう。
次に、事業承継の詳細なスケジュールや実行すべき項目を確認します。具体的には、後継者の育成で教育する内容や必要な期間、どの段階で何を引き継がせるのかなど、大まかな計画を立てます。
親族外承継を行う場合には会社の資産などをその後継者に引き継がせることに関して、親族の了承を得る必要があるでしょう。
②後継者の育成・教育
次は、後継者の育成・教育を行います。育成・教育の内容は、行っている事業や経営者の信念などにより大きく異なります。
社長になれば会社のことを全て知っておく必要があり、かつ全責任を負わなければなりません。後継者の育成・教育にはかなりの時間を要するため、経営者自身が事業承継の必要性にいち早く気づかなければなりません。
③資産・株式・許認可などの承継
事業承継計画にのっとり、会社の資産・株式・許認可などの承継を行います。資産や株式などを承継する際は、税金が発生するため注意が必要です。
税金は、資産や株式などを譲り渡す方(現経営者)は、譲り渡した資産に対する売却益が得られるため、所得税が課税されます。資産や株式を承継する方(次期経営者)は、譲り受けた資産に対して贈与税や相続税が課税されるので納税する分の資金も準備しておく必要があります。
なお、非公開の株式で後継者に引き継がなければならない株式は、相続税・贈与税が猶予される事業承継税制の制度があるので、該当する場合は申請しましょう。
④個人保証・負債の処理
最後に、個人保証・負債の処理を行います。通常では、経営者が抱えている個人保証・負債は当然後継者に引き継がれます。
しかし、経営者の個人保証が問題となり、事業承継がうまくいかない例も増加しているため、この問題を解決するために「経営者保証に関するガイドライン」が政府から出されました。このガイドラインでは、以下の条件を満たした経営者に対して、後継者に個人保証を求めないことと定められています。
- 法人と経営者の資産などが明確に分離されていること
- 法人と経営者間の資金のやり取りが適切な範囲であること
- 法人から適時適切に財務情報などを提供すること
- 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能であると判断し得ること
M&Aによる事業承継
M&Aによる事業承継を行う際、一般的な流れは以下のようになります。
- 仲介会社などへの相談
- 事業承継先の選定
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
①仲介会社などへの相談
M&Aによる事業承継を行う場合、まずは仲介会社などに相談します。M&Aを行うためには、専門的な知識や豊富な経験が不可欠であるため、仲介会社に相談するとスムーズに事業承継が行えるでしょう。
仲介会社などに相談して事業承継の一括サポートを受ける場合は、秘密保持契約書を締結する必要があります。秘密保持契約書とは、自社がM&Aや事業承継を行う手続きや過程など、その情報を漏らさないことを約束する契約書です。
事業承継を行うことは自社の従業員や取引先など利害関係者に大きな影響を与えるため、その情報が漏れないように秘密保持契約を締結します。
②事業承継先の選定
次に、事業承継先の選定を行いましょう。仲介会社へ相談する際に、具体的な希望の事業承継先を伝えておけば、事業承継先候補をいくつか紹介してもらえるので、その中から事業承継先を選定します。
具体的な事業承継先が決まると交渉が始まるので、その相手先企業とも秘密保持契約を締結します。
③基本合意書の締結
交渉が始まると、まずはじめに互いの作成した自社情報を確認し、資料をもとに経営者同士によるトップ会談を行います。トップ会談を行って事業承継に意欲的になれば、意向表明書を仲介会社に提出しましょう。両社が意向表明書を提出した段階で基本合意書を締結します。
基本合意書には、独占交渉権やその交渉期間などが記載されており、内容に同意する場合はサインをします。
④デューデリジェンスの実施
次は、買い手側によるデューデリジェンス(企業監査)が行われます。トップ会談の時点で、財務状況など売却先企業の現状は把握していますが、その資料は売却側が作成したものであるため、報告漏れや虚偽報告の可能性があるかもしれません。
事業承継では多額の資金が移動するため、記載されている資料が本当なのか、報告漏れがないかを確認するためにデューデリジェンスを行います。
なお、買い手側が行ったデューデリジェンスで事業承継後に大きな影響を与えるトラブルを抱えていると判断された場合、交渉が白紙になる場合があるため注意が必要です。
⑤最終契約書の締結
デューデリジェンスを実施後、両社が事業承継に意欲的である場合、最終契約書を締結します。この契約では、移動させる資産・従業員の処遇・取引金額などを細かく決めます。
なお、取引金額はデューデリジェンスの結果をもとに、改めて買い手側から提示されるのが一般的です。金額が大きく下げられる可能性もあるので、どこまでが許容範囲なのかを事前に決めておくことが、交渉をスムーズに進めるためのポイントともいえるでしょう。
⑥クロージング
最終契約書を締結した後は、クロージングを行います。クロージングでは、最終契約書の内容に基づいてヒト・モノ・カネを移動させます。クロージングをもって、売り手側からのM&Aによる事業承継の完了です。なお、一般的なM&Aのスケジュールは以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
3. バス会社の事業承継が行われる理由
先述のとおり、バス会社業界でも事業承継の成約件数は増加傾向にあります。では、バス会社業界で事業承継の成約件数が増加している理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、バス会社業界で事業承継が増加している6つの理由をそれぞれ解説します。
- 廃業や倒産を回避するため
- 引退適齢期となり後継者問題を解決するため
- M&Aによる承継で利益を得るため
- 貸切バス事業の認可を引き継ぐため
- 従業員の雇用を安定させるため
- 大型車両や設備などを引き継ぐため
廃業や倒産を回避するため
1つ目の理由は、廃業や倒産を回避するためです。現在、バス会社は深刻な後継者問題を抱えており、将来的に経営を続けていくことが困難な状況になっています。
しかし、廃業するためには登記申請などのコストがかかるため、資金を準備しなければなりません。親族外事業承継もしくはM&Aによる事業承継を選べば、廃業コストが不要になり自社を存続させられます。
引退適齢期となり後継者問題を解決するため
2つ目の理由は、経営者が引退の適齢期となり後継者問題を解決するためです。中小企業を中心に経営者は高齢化しており、引退を考える年齢になっています。
この状況は、貸切バス・観光バスの事業にも当てはまりますが、後継者を見つけることは容易ではないため、後継者問題を抱えているバス会社は少なくありません。このような後継者問題を解決するため、バス会社でもM&Aによる事業承継が積極的に行われています。
M&Aによる承継で利益を得るため
3つ目の理由は、M&Aによる事業承継で利益を得るためです。観光バス業界は、訪日外国人や地方への観光客の増加により需要が増えており、今後もこの需要が増加すると見込まれています。
観光バス業界の需要増加を見込んだバス業界でのM&Aや、事業承継による新規参入が注目されています。このような背景により、利益が少ないバス会社でもM&Aによる事業承継で、売却益が得られる状況です。
貸切バス事業の認可を引き継ぐため
4つ目の理由は、貸切バス・観光バス事業の認可を引き継ぐためです。先述したように、貸切バス事業・観光バス事業は、運輸局の認可制になっています。
つまり、新たに貸切バス事業・観光バス事業を立ち上げるためには、認可されるまで待たなければなりません。この待機期間は経営者にとっては機会損失と考えられるため、事業をしたくても参入しにくい状態です。
しかし、事業承継により認可を引き継げれば、待機期間なく貸切バス事業・観光バス事業に参入できるでしょう。
従業員の雇用を安定させるため
5つ目の理由は、従業員の雇用を安定させるためです。経営者の引退を理由に廃業すれば、従業員を解雇しなくてはなりません。
そのような事態を回避するため、事業承継を行うバス会社が増加しています。特にM&Aによる事業承継では、一般的に売り手企業よりも規模の大きい企業が買い手になるため、従業員の雇用を安定させられます。
大型車両や設備などを引き継ぐため
最後の理由は、大型車両や設備などを引き継ぐためです。貸切バス事業・観光バス事業で使用していたバスは大型であるため、ほかの事業や会社への転用は困難です。
廃業を選べば大型車両を処分するためのコストも必要になるでしょう。しかし、事業承継を選べば大型車両やその他の設備なども引き継げるため、バス会社は積極席に事業承継を行っています。
事業の成長を目指せるため
事業規模が大きい大手の企業に事業承継をした場合、傘下に入ります。M&A後に、その企業が有するノウハウやブランド力、資金などを活用できるため、業績改善や安定化、事業の成長速度アップが目指せるでしょう。
4. バス会社の事業承継を行う際の相場
バス会社をM&Aによって事業承継する際の相場は、対象会社の事業規模や業績、所有するバスや運転手の数によって変動するため、明確に断定するのは難しいでしょう。ここでは、バス会社のおおまかな相場や企業価値評価の方法を紹介します。
大まかな相場の算出方法
主に中小規模のバス会社の大まかな相場は、「時価純資産 +( 営業利益 × 2〜5年分の営業利益)」で算出し、最終的な売却金額を検討するケースが多いです。
(例)時価純資産が8,000万円、営業利益(3年平均)が2,000万円であるバス会社の場合
8,000万円 +(2,000万円×3)=1億4,000万円
企業価値評価の方法
バス会社は、ビジネスモデルや所有するバス・運転手の数、買収する側が期待するシナジー効果で変化します。したがって、実際のM&Aでは企業価値を算出し、それをもとに売買価格を決定するケースが多いでしょう。
企業価値の評価方法は、主に以下の3つです。
- コストアプローチ:評価対象会社の貸借対照表(バランスシート)の純資産額を基準に、企業価値を算出する方法
- マーケットアプローチ:市場取引の観点から企業を評価する方法
- インカムアプローチ:将来得られるであろう収入や利益に基づいて企業価値を算出する評価方法
各方法によって、メリットやデメリットは異なります。状況に応じてよりよい方法を選択し、複数の方法を用いて多面的に評価額を検討するのが大切です。
5. バス会社の事業承継の注意点
バス会社が事業承継を行う際は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、バス会社が事業承継を行う際に注意すべき点をそれぞれ解説します。
- 従業員・ドライバーから賃金未払いによる請求を受ける可能性
- 債権者による同意が得られない可能性
- M&Aによる承継は買い手との折り合いがつかない可能性
- 承継までに後継者が育たない可能性
- 事業承継は十分な準備期間が必要
- バス会社の事業承継に精通する専門家に相談する必要
従業員・ドライバーから賃金未払いによる請求を受ける可能性
1つ目は、従業員・ドライバーから賃金未払いによる請求を受ける可能性があることです。
会社から何らかの理由で従業員やドライバーに賃金が支払われていない場合、事業承継が行われてしまうと未払い賃金が請求できないのと考られて、事業承継前に請求されることがあります。
したがって、事業承継を行う際は未払い賃金など利害関係者から請求を受けるかどうかを確認する必要があります。請求された場合に備えて、いくらか資金を準備する必要もあるでしょう。
債権者による同意が得られない可能性
2つ目の注意点は、債権者による同意が得られない可能性があることです。事業承継を行うと、債務は買い手側に移ることになります。事業譲渡による事業承継を行う場合、債権者に個別で同意を得る必要があり、全員にその同意を得なければなりません。
なお、吸収合併や会社分割による形態で事業承継を行う場合は、債権者に対して債権者保護手続きをとる必要があるため、債権者に個別の同意を求める必要はありません。
M&Aによる承継は買い手との折り合いがつかない可能性
3つ目の注意点は、M&Aによる承継で買い手と折り合いがつかない可能性があることです。M&Aによる事業承継を行う場合、譲渡する資産や取引金額などに関して買い手側と交渉を行いますが、交渉の折り合いがつかないことも考えられます。
互いに交渉の条件が受け入れられない場合は交渉が長期化し、場合によっては交渉が決裂することもあるでしょう。このような事態を避けるためには、譲歩できる範囲や条件をあらかじめ考えておく必要があります。
承継までに後継者が育たない可能性
4つ目の注意点は、事業承継までに後継者が育たない可能性があることです。これは、親族内事業承継・親族外事業承継でよくみられることですが、後継者は会社の財務状況や事業内容などを全て把握しなくてはなりません。
教育・育成にはかなりの時間を要するため、1〜2年で後継者を育てることは非常に困難です。事業承継時までに後継者を育成するには、事業承継計画を策定して承継までのスケジュールを把握しておくこと、事業承継をできるだけ早くから進めることが必要です。
事業承継は十分な準備期間が必要
5つ目の注意点は、事業承継には十分な準備期間が必要であることです。事業承継に要する期間は、M&Aによる事業承継で6カ月程度、親族内事業承継・親族外事業承継では5年程度かかるといわれています。
親族内事業承継・親族外事業承継では、後継者の教育・育成に最も時間がかかるため、M&Aによる事業承継と比べると長い期間が必要になります。
親族内・親族外事業承継を行う場合は、十分な準備期間が必要であることを認識しておくことが大切です。
バス会社の事業承継に精通する専門家に相談
最後は、バス会社の事業承継に精通している専門家に相談する必要があることです。各業界の事業承継では、それぞれ独自の傾向や抑えておくべきポイントがあります。
貸切・観光バス事業の事業承継に精通している専門家に相談して、適切なサポートを受けることで事業承継の成功確率は高くなるといえます。
6. バス会社の事業承継案件の探し方
最後に、バス会社の事業承継を行う際の相談先を紹介します。
地元の金融機関
1つ目は、地元の金融機関です。地元の金融機関では、その地域の会社に融資を行うために経営の分析を行っています。
つまり、事業承継を考えている企業に関する情報を持っている可能性があることです。メガバンクなどではM&A専門の部署を設置しており、事業承継も相談可能となっています。まずは取引している金融機関に相談してみるのもよいでしょう。
地元の公的機関
2つ目は、地元の公的機関です。ここでいう公的機関とは、事業承継・引継ぎ支援センターです。公的機関は事業承継に関する地元の案件を持っているため、相談するとマッチングしてもらえる可能性があります。
2020年5月27日に成立した「改正地域公共交通活性化再生法」により、路線バスなどは各自治体で事業承継の募集が可能となることから、今後は事業承継を自治体に相談する選択肢もあります。
地元の会計士・税理士・弁護士など
3つ目は、地元の会計士・税理士・弁護士などの専門家です。一般的に事業承継を行う際は、このような専門家のサポートを得て進めていきます。
したがって、地元の会計士・税理士・弁護士などの専門家は、事業承継に関する案件を持っている可能性があるので、相談してみるのもよいでしょう。ただし、事業承継に精通している会計士・税理士・弁護士は限られているため、相談先には注意しなくてはなりません。
マッチングサイト
4つ目は、マッチングサイトです。マッチングサイトとは、インターネットを通してM&Aや事業承継の売却先を選定するプラットフォームをいいます。
一般的には、事業承継やM&Aに関するプラットフォームの提供しか行わないため、料金は比較的安いところが多く、無料で利用できるマッチングサイトもあります。
M&A仲介会社
最後は、M&A仲介会社です。M&A仲介会社には、M&Aや事業承継に関する専門家が在籍しているため、最適なサポートが受けられます。
M&Aや事業承継に関してフルサポートを行っている仲介会社もあり、相談は無料で行える場合も多いので、まずM&A仲介会社に相談することをおすすめします。
7. バス会社の事業承継を行う際の相談先
バス会社が事業承継を成功させるためには、M&Aに関する知識・実績はもちろん、バス業界のM&Aに精通している専門家に依頼することが大切です。M&A総合研究所では、バス業界の事業承継やM&Aの豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、売却先の選定からクロージングまでフルサポートします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時、受け付けていますので、バス会社の事業承継をご検討の場合はお気軽にお問い合わせください。
8. バス会社の事業承継のやり方や注意点まとめ
今回は、バス会社の事業承継の方法や注意点を紹介しました。バス会社の事業承継も一般的な事業承継を同様に行われますが、業界独自の注意点・ポイントもあるのであらかじめ理解を深めておくとよいでしょう。
バス会社の事業承継を成功させるためには、業界の動向を把握しておくことも大切ですが、M&Aに関する幅広い知識・見解、交渉力も不可欠であるため、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けて進めていくことをおすすめします。
9. バス業界の成約事例一覧
10. バス業界のM&A案件一覧
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