保険代理店のM&A・買収・売却のメリットは?相場や動向から事例も解説【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、保険代理店のM&Aについて買収・売却・取引のメリットやデメリットから相場などをまとめました。その他、保険代理店の動向や成功事例、M&Aの利点にも触れています。保険代理店におけるM&A・買収・売却の概要を知りたい方は必見の内容です。

目次

  1. 保険代理店のM&A・売却を行うメリット
  2. 保険代理店のM&A・売却を行うデメリット
  3. 保険代理店のM&A・売却相場
  4. 保険代理店のM&A手法
  5. 保険代理店とは?
  6. 保険代理店のM&A動向
  7. 保険代理店のM&A成功事例
  8. 保険代理店のM&Aにおける5つの注意点
  9. 保険代理店のM&Aを成功させるポイント
  10. 保険代理店のM&A・買収・売却のまとめ
  • 保険代理店のM&A・事業承継

1. 保険代理店のM&A・売却を行うメリット

保険代理店のM&A・売却を行うメリット

保険代理店のM&Aには、どのような利点があるのでしょうか。ここでは、保険代理店のM&Aで得られる利点を、売り手と買い手それぞれの立場から解説します。

買い手側の4つのメリット

保険代理店を買収する場合、買い手側の利点として以下の4つが挙げられます。

  • 低コストでスムーズな事業の開始
  • 一からの販路開拓が不要
  • 確実な事業拡大
  • ライバルの減少

低コストでスムーズな事業の開始

1つ目に取り上げる保険代理店の買収メリットは、コストを抑えたスムーズな事業展開です。売り手側の会社や事業を引き継げば、一から事業を興す必要がありません。店舗を探すことや従業員を集める費用が抑えられます。

買収することで迅速に事業が始められるので、保険代理店の買収は短い期間で事業開始の準備を終えたい場合に適しているでしょう。

一からの販路開拓が不要

2つ目の買収メリットは、販路を開拓する必要がない点です。M&Aで保険代理店を買収すると、売却側が所有する営業権を手に入れられます。

保険代理店では保険契約を勧誘する募集人の雇用が禁止されたため、新たな顧客を探すには店舗の従業員のみで行わなければなりません。

そこで、会社・事業譲渡を求める保険代理店を買収することにより、営業権を獲得してすでに開拓した販路を譲り受けるのです。従業員に負担をかけず、店舗の内外で保険商品の提供が可能になります。

確実な事業拡大

3つ目の買収メリットは、事業を拡大できる点です。一から事業を始めた場合、経営が軌道に乗る保証はありません。M&Aで既存の保険代理店を買収すれば営業権を得られるため、顧客がついた状態で事業を始められ保険料収入を得られます。

M&Aによる売買では、複数の店舗を譲り受けるケースも見られますが、これは進出を考える地域に売却側の店舗があれば一度の売買で事業を広げられるからです。一店舗の譲渡でも、買収した店舗を足がかりに事業の拡大が可能です。

ライバルの減少

4つ目に取り上げる買収のメリットは、ライバル企業の減少が挙げられます。M&Aで同業者を買収したり合併したりすれば、顧客を取り合うライバルの数が少なくなるので、競争による疲弊を避けられるでしょう。

買収ではまとまった資金が必要になります。しかし、M&Aを実行すればライバルが減り自社の存続も望めるので、一時的な出費は将来への投資といえるでしょう。

売り手側の6つのメリット

保険代理店を買収する場合、売り手側にも以下6つの利点があります。

  • M&Aで得られる売却利益
  • 資本力に支えられた安定経営
  • 従業員の雇用維持
  • 承継問題の解消
  • 事業の選択と集中を実現できる
  • 個人保証から解放される

M&Aで得られる売却利益

1つ目に挙げる売却側のメリットは、M&Aによる売却利益です。M&Aで株式譲渡を選択すると、売却益は株主の元に入ります

オーナーが売却する株式の大半を所有していればまとまった資金を得られ、引退後の生活に充てたり新しい事業を始める資金を賄えたりと、保険代理店業を離れた生活・仕事への移行が可能です。

資本力に支えられた安定経営

2つ目に紹介する売却のメリットは、資本力の支えによる安定経営です。大手の保険代理店に買収されると、有名企業のグループに入ります。
大手が収集したデータを共有できたり事務管理のコストを削減できたりと、経営を安定させる環境が整います。

顧客の動きを把握できれば、要望に応じて取り扱う保険商品を増やすことや来店型ショップに移行するなど、市場における変化の対応も可能です。

大手企業の傘下に入れば、知名度が高まります。見知った企業名を掲げることで、新規の顧客獲得につながるでしょう。

従業員の雇用維持

3つ目に取り上げる売却のメリットとして、従業員の雇用を維持できる点が挙げられます。保険代理店を廃業すれば、会社に尽くしてくれた従業員から職を奪ってしまうでしょう。
保険代理店の数は減少傾向にあるため、就職先が見つからない事態も想定しなくてはなりません。

M&Aにより保険代理店を売却すれば、買収側に雇用を引き継いでもらえるため、従業員の雇用を維持できるだけでなく、大手の企業に譲渡した場合は労働環境の改善も見込めます

従業員における将来のために、M&Aによる売却も視野に入れましょう。

承継問題の解消

4つ目に挙げる売却のメリットは、承継問題を解消できる点です。M&Aを選択することで社外の第三者から後継者を見つけられ、親族や社内に経営を任せられる人物がいなくても、保険代理店の事業を存続できます。

近年は経営者の高齢化が進み、事業承継を目的としたM&Aの件数が右肩上がりで2019年には600件を超えました(「2020年版中小企業白書」より)。

廃業を選べば顧客に引き継ぎ先の保険代理店を知らせたり、廃業に伴う登記・法手続きなどに追われたりと手間も時間もかかります。士業への支払いや借入金の返済、店舗の原状回復費などの費用も用意しなくてはいけません。

後継者不在により保険代理店の廃業を考える前に、M&Aの利用を検討したりM&A仲介会社へ相談したりするとよいでしょう。

事業の選択と集中を実現できる

保険代理店業を行う多くの会社は、保険に関連するほかの事業を行っています。
M&Aには、会社全体の売却ではなく、一部事業のみを譲渡する事業譲渡のスキームがあります。
M&Aにより、採算のとれそうな事業を残し難しそうな事業の売却が可能です。

個人保証から解放される

中小企業では、経営者自らが会社の債務を保証する個人保証をしている場合があります。個人保証は、資金調達が可能になるメリットがある一方で、大胆な経営判断や早期における事業再生の阻害要因です。

政府のガイドラインによれば、M&Aによる事業承継を行う際、金融機関は個人保証の要否を改めて判断し、場合によっては個人保証を引き継がせないべきとしています。

【関連】M&Aの売り手側のメリット・デメリット!被買収企業側のリスクや流れを解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. 保険代理店のM&A・売却を行うデメリット

保険代理店のM&A・売却を行うデメリット

保険代理店をM&Aによって売却する際は、以下3つのデメリットが存在します。

  1. 希望の条件で売却できるとは限らない
  2. 相手先企業が見つかるとは限らない
  3. 顧客が不利益を被るおそれがある

①希望の条件で売却できるとは限らない

M&Aを行う際は、買い手企業はできるだけ安く買いたいと考え、売り手企業はなるべく高く買いたいと考えるものです。

売り手企業の希望買収価格がそのまま認められるケースは少なく、買収価格は買い手企業との交渉で決定されます。M&Aの交渉内容は、譲渡価格のみならず経営方針や従業員の待遇など多くの要素が絡みます。

事業引継ぎハンドブックにもあるように、妥協できる部分とできない部分の整理を行い、交渉に臨むことが重要です。

②相手先企業が見つかるとは限らない

保険代理店のM&Aによる売却を検討する際は、相手先企業が現れない場合を想定しましょう。保険代理店の引き取り手がいない要因としては、会社の人材や販路などにおける魅力の薄さ、財務状況の悪化、収益性の低さなどが挙げられます。

M&Aの検討が長期間に渡り、事業承継前に経営者が死亡することも考えられるため、注意しましょう。

③顧客が不利益を被るおそれがある

M&Aでは、買い手会社の経営方針によって、買収後に既存の顧客が期待するサービスが提供されない場合があります。顧客のライフステージに応じて継続的な保険の代理サービスを提供している場合は、M&A・売却後も既存顧客との関係を維持できる買い手会社を選定しましょう。

3. 保険代理店のM&A・売却相場

保険代理店のM&A・売却相場

保険代理店のM&Aでは、どれくらいの価格相場で会社・事業の取引が行われているのでしょうか。この章では、M&Aの価格相場を以下の2つに分けて紹介します。

  1. 大手・中堅企業のケース
  2. 中小・小規模事業者のケース
  3. 保険代理店を高値売却するポイント

①大手・中堅企業のケース

大手・中堅企業の売買では10億円前後が相場で、相場の幅は数億から数十億円でした。多くの取引で株式譲渡が選ばれています。

ただし、中小・小規模企業の取引と違い、一度にすべての株式を取得しないケースが見受けられました。初めの取引では経営権が移る割合に留め、2度目の取得で残りの株式を取得しています。

②中小・小規模事業者のケース

中小・小規模事業者の売却では、4,000万円前後が相場で、相場の幅は1,000万から7,500万円です。大手・中堅と比べて売買価格が抑えられるため、一度の取引ですべての株式を譲り受けています。

商権譲渡のケースでは、副業型で主力事業に専念したい事業者が、商権譲渡による売却を選択して売却益を得たり、一定の保険料収入を獲得したりしています。

保険代理店のM&A相場は、保険の契約数や保険料収入・純資産などを目安に決めるのです。売買を検討する場合はデューデリジェンスで自社・買収候補の相場を算出しましょう。

③保険代理店を高値売却するポイント

保険代理店の売却金額は、収益性や純資産額などを基に企業価値を評価し、企業価値やデューデリジェンスの結果から買収側との交渉で最終的な金額を決めるのが基本的な流れです。

保険代理店を高値で売却するには、買収側から自社の保険代理店事業を高く評価してもらうことが大切になります。買収側から評価される点は、主に下記です。

  • 加入者が多い
  • 立地が良いなどテコ入れで収益性の改善ができる
  • 優れた従業員、接客ノウハウ、高い顧客満足度を有する 
  • 買収側が未進出の地域に商圏を持っている
  • 高い独自性のある販売方法を有する

できるだけ高値で売却するために、上記の点をクリアしましょう。上記のことをすでに満たしている場合は、その旨を最大限買収側へアピールしてください。

  • 保険代理店のM&A・事業承継

4. 保険代理店のM&A手法

保険代理店のM&A手法

保険代理店のM&Aでは、主に3つの手段が用いられます。ここでは、各スキームの特徴、メリット・デメリットを見ていきましょう。

  1. 会社ごと売却する「株式譲渡」
  2. 保険代理店式の事業譲渡「商権譲渡」
  3. 複数企業の法人格を1つに統合する「合併」

①会社ごと売却する「株式譲渡」

保険代理店のM&Aで選ばれるスキームの1つが、株式譲渡です。事業譲渡とは違い、会社そのものを譲り渡します
売り手は大手企業や同業者などを対象に自社の株式を売却し、後継者問題の解決や雇用の継続・廃業を避けるなどのメリットが得られるでしょう。

保険代理店M&Aの株式譲渡とは

買い手企業が売り手企業の株を取得し、経営権を譲り受ける手法です。
多くのM&Aで、売り手が所有するすべての株式を譲り渡します。
中小の保険代理店では大株主が会社の経営に携わっているため、株式譲渡によるM&Aを選ぶことが多いでしょう。

株式譲渡のメリット

株式譲渡のメリットは、簡易な手続きで売買を終えられる点です。株式の売買契約を交わし、対価が支払われると取引は完了します。

保険契約や従業員の雇用も引き継がれるため、個別に契約を結び直す手間がありません。株式の売却益はオーナーの元に入り、支払う税金も20%と低いため、まとまった現金が得られます。

株式譲渡のデメリット

株式譲渡にはメリットだけでなく、当然デメリットも存在します。

1つ目は、すべての事業を譲り受けなければいけないことです。株式譲渡は会社を丸ごと譲り受ける手法のため、売却側が保険代理店を含めいくつかの事業を展開していれば不要な事業も引き継ぐ可能性があります。

2つ目は、簿外債務の引き継ぎです。株式譲渡は事業譲渡とは違い、引き継ぐ資産を選べません。買収後に、借金の支払い義務が生じる保証債務や未払いの給与・賞与などが発覚することがあるでしょう。

これらのデメリットは買収後の経営に影響を与えるため、譲渡契約の前にしっかりとした調査が求められます。

②保険代理店式の事業譲渡「商権譲渡」

保険代理店のM&Aには、事業譲渡の一種である「商権譲渡」の手法があります。売買の対象は営業権です。通常の事業譲渡とは異なり、保険代理店業務の営業権のみを譲り渡します。

商権譲渡の利用は副業型の保険代理店に多く見られますが、理由は保険代理店業の業務を他社に任せられるからです。

本業に専念したい、後継者が見つからない、業務が広範囲に渡るなどの悩みを抱えている企業が、商権譲渡のスキームを選択しています。

保険代理店M&Aの商権譲渡とは

保険代理店のM&Aで利用される商権譲渡とは、保険代理店業務の営業権を売買の対象とする取引のことです。

商権譲渡により売却側は営業権を失い、引き継いだ買収側が保険代理店の業務を継続しますが、代理店分担契約の場合は、1つの保険契約を複数の代理店で管理します。
保険代理店を譲渡する側が非幹事、譲り受ける側が幹事となり、幹事を務める代理店が事務作業などを担当するでしょう。

商権譲渡のメリット

商権譲渡は売却・買収側の両方にメリットがあり、売却側のメリットは対価を得られる点です。商権を譲り渡すことで売却によるまとまった資金を手にでき、主力事業の拡大を図れます。

売却側におけるもう1つのメリットは、売却・買収側とで1つの保険契約を管理する代理分担契約をすれば、一定の手数料収入が期待できる点です。

買収側のメリットは、特定の事業だけを引き継げる点です。
保険代理店業のみを獲得できるので、ほかの事業や不要な資産を引き継がずに済みます。
店舗や従業員の雇用、保険契約など、保険営業に必要な資産を選ぶことが可能です。

商権譲渡のデメリット

商権譲渡のデメリットは、煩雑な手続きが必要な点です。商権譲渡は事業譲渡のため、引き継ぐ資産に取引・雇用契約が含まれていると、譲渡の際に契約を結び直さなければいけません。

M&Aに反発して従業員が雇用契約を結ばない事態も考えられます。商権譲渡を選ぶ場合は、売買を行った後のトラブルを想定しましょう。

トラブルを回避してM&Aを成功させるためには、M&A仲介会社のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

③複数企業の法人格を1つに統合する「合併」

「合併」とは、買い手企業と売り手企業の法人格を1つにするM&Aのスキームです。親子関係を構築する株式取得とは異なり、両企業が一体となって1つの法人になる点が特徴です。

保険代理店M&Aの合併とは

合併は、保険代理店のM&Aでは、グループ会社間でM&Aを行うグループ内再編や、同業の保険代理店同士における経営統合などの場面で採用されています。

合併のメリット

合併では、複数の企業が完全に1つの会社となるため会社としての一体感が生まれ、株式取得と比較してシナジー効果が発揮しやすいです。
実際、合併と同時に会社のリブランディング、従業員における連帯感の醸成、組織体制の再構築を図る企業も多くあります。

事業譲渡とは異なり、権利義務が包括的に承継されるので、ビジネスの継続性における対外的なアピールが可能です。

合併のデメリット

合併は、ほかのM&Aスキームと比較して法律上の制約が多く、事務手続きが煩雑で実行に期間を要します。例えば、合併を行うためには原則として株主総会の特別決議、債権者保護手続きなどが必要です。

保険代理店のM&Aは、M&A総合研究所へ

保険代理店のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、保険代理店のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが交渉からクロージングまで案件をフルサポートします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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5. 保険代理店とは?

保険代理店とは?

保険代理店とは、保険契約を仲介する事業者をさします。主な事業者は、個人・法人・財団などです。保険会社と業務委託契約を結び、内閣総理大臣による登録を受けて事業を営む形式です。

事業の内容は、保険に加入する人と保険会社との仲介役で、保険会社に代わり、保険の紹介や代理契約などを行います。ここでは、保険代理店の概要を以下6つのカテゴリーに分けて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

  1. 保険代理店の主な業務
  2. 保険代理店の運営形態
  3. 保険代理店の商品提供
  4. インターネットによる保険契約の傾向
  5. 来店型保険ショップによる契約の傾向
  6. 保険契約代理店の現状

保険代理店のM&Aを考えるなら、詳しい業務内容や保険代理店の形態、取り扱う保険商品の種類を知ることが大切です。

①保険代理店の主な業務

保険代理店では、どのような業務が行われているのでしょうか。保険代理店の主要な業務は、次の3つが挙げられます。

  • 保険契約の各種手続き
  • 保険商品の紹介
  • 給付金・保険金の請求案内

保険契約の各種手続き

保険代理店では、保険契約手続きを代行しています。主な手続きは、保険契約の締結・契約内容の変更・契約の解除です。

契約を結ぶ前は、対象となる保険の説明(補償内容・補償額・保険料など)を行います。それから契約の意思を確認し、保険契約の手続きを代行するのです。

その後も、契約内容の変更を受け付けたり契約の解除を進めたりと、保険会社の代わりとなって保険契約にかかわる手続きを行います。

保険商品の紹介

保険代理店の業務は、取り扱う保険商品の紹介です。個人の要望にふさわしい保険商品を提案して重要説明事項の内容を伝え、補償を受けられないケースなど注意喚起の情報も伝えます

では、保険代理店ではどのような保険商品を取り扱っているのでしょうか。取り扱う保険商品は、大きく次の2種類に分けられます。

  • 生命保険=死亡保険、介護保険、医療保険、養老保険など
  • 損害保険=火災保険・地震保険、自動車・バイクなどの自賠責、自動車保険(任意保険)など

1つ目は、生命保険です。人が亡くなったり一定の年齢まで生きていたりするなど、被保険者(保険の対象に据えられた人)の生死に応じて、給付が行われます。

一般的な生命保険は、死亡保険や医療保険、介護保険、などです。このほかにも、老後に備える・子どものために加入する養老保険があります。死亡したときに加えて、満期を迎えたときにも給付が受けられるものです。

2つ目の保険商品は損害保険と呼ばれ、生活を送る中で偶然被った損害の補償を定めています。

主な損害保険は、自然災害に対する火災保険・地震保険、自動車事故での損害を補償する自賠責・自動車保険(任意保険)、日常生活で負ったケガを補償する傷害保険などです。

給付金・保険金の請求案内

保険代理店は、契約者と保険会社の間に入り、契約に沿って給付金・保険内容の請求手続きをサポートします。

契約者は、補償を受けるための手続きを正確に把握・理解していないことがあるため、保険代理店が給付金・保険金における請求案内などの支援を行うのです。

保険契約の対象となる被保険者が死亡したり事故に遭ったりしたときに、適格なアドバイスを行い、スムーズな給付金・保険金の受取りへとつなげます

②保険代理店の運営形態

保険代理店の事業者は、個人や法人、財団などです。これらの事業者は、取り組む事業によって2つの形態に分けられます。1つは専業形態、もう1つが副業形態です。

【保険代理店の運営形態】

  • 専業形態
  • 副業形態

2つの運営形態には、どのような違いが見られるのでしょうか。ここでは、それぞれの形態を解説しますので、M&Aで売却・買収を考えている方は自社・売り手企業の形態を確認しましょう。

専業形態

専業の形を取る保険代理店は、保険業のみを行っています。保険業以外の事業を行わず、保険代理店の運営だけに注力し、保険商品の紹介・保険契約の締結・保険料の徴収・保管などを実施し、保険業に特化したサービスを提供するのです。

副業形態

副業の形態を取る保険代理店は、本業の傍ら副業として保険代理店を行う事業者です。よく見られる副業型の保険代理店には、自動車ディーラー・自動車整備工場、旅行代理店、不動産会社などが挙げられます。

本業と関連のある保険を取り扱うことで、利用者が求める保険商品を提供するのです。

特に大手の自動車ディーラー・整備工場は、自動車保険(任意保険)を取り扱い、大手の旅行代理店は旅行保険、不動産会社は火災・家財保険などに特化して保険への加入を勧めます。

③保険代理店の商品提供

保険代理店のタイプは、提供する保険商品の種類によって以下の2つに分けられます

  • 専従型
  • 乗合型

ここでは、各店舗の特徴を見ていきましょう。

専従提供

専従型の保険代理店は、取り扱う保険商品を1社の保険会社に限る事業者です。

商品のバリエーションが乏しい反面、一つひとつの保険商品をしっかりと把握しており、保険の給付・事故発生における手続きなどで素早い対応を行います。

専従型は、契約ノルマを1社で済ませられ、対応する窓口・事務処理・帳簿付けなども1つにまとめられるので、従業員にかかる負担を減らせるメリットがあるのです。

乗合提供

乗合型の保険代理店とは、いくつかの保険会社と提携して各会社の保険商品を取り扱っている事業者のことです。複数の保険商品を扱っているので、顧客が求める保険を勧められます。

とはいえ、複数の保険会社から委託を受けていると多くのノルマをこなさなくてはなりません。そうなれば、従業員に負担をかけたり顧客に無理な契約を結ばせたりなど、事業の質を損なう事態も想定されます。

M&Aの対象に乗合型の保険代理店を据える場合は、従業員の数や能力、保険会社のノルマなどを認識することが大切です。

④インターネットによる保険契約の傾向

保険契約の動向を調べると、近年はインターネットを通じた保険の契約が増えています。インターネットによる保険契約は、実店舗(従来の保険代理店)を介さない新しいタイプの保険契約を行うシステムであるため、次の動向が見られます。

手軽さをウリにした顧客の獲得

インターネット型保険の動向では、場所・時間を問わない利便性が受けて、顧客獲得につながっている状況です。

保険代理店とは違い、自宅にいながら契約を結んだり給付金を申請したりする手続きが可能なため、現代人の動向に合致して利用者が増えたと考えられます。

安い保険料による顧客の獲得

2つ目に取り上げるインターネット型保険の動向は、安い保険料による顧客の獲得です。インターネット型保険は、保険会社や保険代理店などの実店舗を持っていません。

仲介者に支払う手数料が発生しないので、手ごろな保険料に抑えられるのです。インターネット型保険は、安い保険料で加入したい顧客に支持されているといえます。

保険の見直しを促した

インターネット型保険の動向から、顧客自身が保険の見直しを行っていることがわかります。

インターネット型保険はテレビのCMやインターネットの広告を多く利用しており、顧客の目に触れる機会が非常に多いです。その効果は保険に関心のない人たちの動向に影響を与え、保険の見直しや保険を切り替るきっかけをつくったと考えられます。

シェアは1割未満

4つ目に紹介するインターネット型保険の動向は、シェアの割合です。生命保険では平成25〜30年までの加入契約が3.3%、テレビ・雑誌などの広告を含めると6.5%でした。(生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」より)

2018年度の保険料ベースにおける損害保険のシェアは、テレビ・雑誌などを合わせても8%です。(日本損害保険協会「日本の損害保険-ファクトブック2019」より)

インターネット型は安い保険料や簡単な手続きなどのメリットがあるものの、実店舗を脅かすシェアの獲得に至っていません。その理由は、応対の満足度にあります。

最近は、契約内容や事故を起こしたときの対応は店舗型の方がよいとの理由から、インターネット型保険の普及は落ち着き、店舗型との契約に戻す人が多いです。

適度な料金と対応力に満足する人がインターネット型を利用し続け、来店による時間を割いてでも満足できる対応を受けたい人は店舗型の保険を選んでいるといえます。

⑤来店型保険ショップによる契約の傾向

来店型保険ショップとは、店舗を構えて複数の保険会社から保険契約を委託されたお店のことです。
従業員が自宅・職場に赴かず、設置した店舗でのみ営業して客にふさわしい保険商品を紹介したり契約を結んだりして、契約した後も相談に応じます。

近年は、来店型の保険ショップが増え、その店舗形態は乗合型が多く複数の保険商品を扱うことで利用者のニーズに応えているのです。

来店型保険ショップによる契約動向を見ると、生命保険に加入した人の割合は、平成25~30年加入で全体の7.8%(生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」より)でした。

平成22~27年では4.7%だったので、来店して保険契約を結ぶ人が増えていることがわかります。

損害保険では、2018年度の保険料を見ると、来店型の割合は全体の91.4%です。
2017年度と比較すると割合で0.1%減少していますが、保険料の合計では3,069億円増えています。(日本損害保険協会「日本の損害保険-ファクトブック2019」より)

⑥保険契約代理店の現状

保険代理店の現状を調べてみると、店舗の減少が見られました。

生命保険では、法人の店舗数が2015年度から2019年度までほぼ横ばいで推移しており、個人の店舗はおよそ2,000店ずつ減少しています。

損害保険の店舗数は、2017年末では180,319店で、2017年から3.5%の減少です。こういった背景から、保険代理店業界では店舗の減少を受けてM&Aは増加傾向にあります。

生命保険協会:生命保険の動向2020年版
日本損害保険協会:日本の損害保険-ファクトブック2021

保険代理店業界におけるバレンタインショック

保険代理店業界におけるバレンタインショックを紹介します。2019年2月14日に、国税庁により、節税保険の取り扱いを見直す方針が発表されました。

それまでは、各生命保険会社が節税効果をうたった死亡定期保険が中小企業においてブームであり、保険代理店も死亡定期保険を競って販売していましたが、それが終わりを迎えたのです。

以前は、形式的に死亡定期保険の保険料は経費扱いでしたが、実態と離れた節税効果を売りにする保険商品が販売されていました。しかし、死亡定期保険における税務上の取り扱いを国税庁が見直したため、節税効果といったセールスポイントの根拠がなくなったのです。

数千億円規模にまで広がった市場が消失するので、保険業界にとって大きな衝撃となりました。節税保険ばかりを扱っていた保険代理店を知らずに買収すると、すでに有する契約のコミッションが入っても、これからの成長は難しいといえます。

保険代理店の減少とM&Aの関係

インターネット型や来店型の保険ショップを利用する人が増えている一方で、従来の保険代理店は減っています。これにあわせて、M&Aによる買収が活発になりました。

市場規模が縮小して新しい形の保険契約が現れたため、保険代理店は利益を得にくい状況です。加えて、保険業法が変わったことにより保険代理店は契約を委託する募集人を雇えなくなりました。

営業活動を店舗の従業員のみで行わなければならないため、新規の契約を取る機会を減らしているのです。

保険代理店も経営者の高齢化が進み、後継者不足に困る店舗も見受けられます。保険代理店は大手・中堅の保険代理店への事業譲渡を検討するなど、M&Aを選ぶ経営者が増えている状況です。

6. 保険代理店のM&A動向

保険代理店のM&A動向

この章では、保険代理店のM&A動向について見ていきましょう。業界で行われているM&Aは、大きく次の3つに分けられます。

  1. 資本力を武器にした大企業によるM&A
  2. 中小の保険会社同士のM&A
  3. 後継者問題からのM&A

①資本力を武器にした大企業によるM&A

資本力を武器にした大手企業によるM&A事例では、生命保険の大手である第一生命保険による買収が挙げられます。第一生命保険は、2018年に乗合型保険代理店業を営むアルファコンサルティングを買収し、すべての株式を取得しました。

アルファコンサルティングは愛知県名古屋市に拠点を置く中小企業であり、店舗は全国に22カ所、従業員の数はおよそ120人です。質の高いサービスを心がけ、顧客の要望に合わせた保険商品を提供しています。

第一生命保険は顧客の動向に注目し、複数の保険商品を取り扱うことを考えていました。そこで、アルファコンサルティングをM&Aにより買収し、保険業界で店舗を増やしている乗合型の保険代理店を傘下に収めたのです。

買収後は、アルファコンサルティングのノウハウを取り入れ、乗合型の保険商品を開発する予定です。

矢野経済研究所:来店型保険ショップ市場に関する調査

②中小の保険会社同士のM&A

中小の保険代理店同士で行われたM&Aでは、幸楽苑ホールディングスとヒューリック保険サービスによる売買が挙げられます。

幸楽苑ホールディングスは、2018年に子会社の保険代理店事業をヒューリック保険サービスに1.55億円で譲渡しました。幸楽苑ホールディングスが子会社の保険代理事業を譲渡した目的は、事業の選択と資本の集中にあります。

中小の保険代理店は、少子化・保険業法の改正・大手の躍進などで苦しい経営を強いられている現状です。そこで、M&Aを利用して企業の存続を図るケースも見られます。

中小の保険会社同士におけるM&Aでは、同規模の保険代理店に事業を譲り渡したり事業を買い取ったりすることで、保険代理店業からの撤退、または規模の拡大を選ぶのです。

③後継者問題からのM&A

保険代理店のM&Aでは、後継者不足を理由に会社・事業を譲渡するケースも少なくありません。

多くの業種で問題となっている後継者問題は保険代理店でも起こっており、第三者に経営を譲り渡している状況が多いです。経営状況のよい会社でも大手や中堅・同じ規模の会社に事業を譲り渡す事例があります。

保険代理店のM&AならM&A総合研究所

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保険代理店のM&Aをお考えの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーが親身になって案件をクロージングまでフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を行っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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7. 保険代理店のM&A成功事例

保険代理店のM&A成功事例

保険代理店のM&Aは、どのようなスキーム・取引価格で売買が成立しているのでしょうか。ここでは、7件の成功事例を紹介します。

NHSインシュアランスグループから朝日生命への株式譲渡

2021年1月、生命保険の販売・引受事業、資産運用事業を有する朝日生命が、保険代理店事業のNHSインシュアランスグループをM&Aにより取得しました。朝日生命はNHSインシュアランスグループの全株式を取得して完全子会社化しており、取得価格は非公表です。

本M&Aでは、朝日生命がwithコロナ、afterコロナでの保険営業体制を構築する目的で、非対面での営業ノウハウを有するNHSインシュアランスグループを買収しています。

信和実業からトータル保険サービスへの事業譲渡

2021年1月、がん保険、医療保険、自動車保険など多種の保険代理店事業を展開するトータル保険サービスは、白洋舎のグループ会社である信和実業から、2億2,000万円で保険代理店事業を取得しました。

信和実業は、本件M&Aを通じて、主力事業である不動産事業に注力します。

ファイナンシャル・ジャパンから新生銀行への株式譲渡

2019年5月に行われた、新生銀行のファイナンシャル・ジャパンにおける株式の取得は、保険代理店のM&A成功事例に挙げられます。新生銀行は、既存株主からファイナンシャル・ジャパンの全株式を取得し子会社化しました。

買収の目的は、新生銀行における個人向け保険事業の強化です。

幸楽苑ホールディングスからヒューリック保険サービスへの事業譲渡

2018年11月、幸楽苑ホールディングスはヒューリック保険サービスに対して保険代理店事業を譲渡しました。本M&Aは、幸楽苑ホールディングス傘下における保険代理店事業子会社の全株式を譲渡するスキームで行われています。

譲渡の理由は、ラーメン店などの飲食事業に資本を集中させるためです。ヒューリック保険サービスは従業員の引き継ぎを行わず、親会社の幸楽苑ホールディングスが雇用を継続します。

フジトミがエイチ・エスライフ少額短期保険の株式を取得

2017年4月、フジトミによるエイチ・エスライフ少額短期保険の買収が行われました。先物の商品取引や保険事業などを営むフジトミは、エイチ・エスライフ少額短期保険の株式を取得し子会社化しました。

株式譲渡を決めた理由は、シナジー効果が見込めると判断したためです。売却側のエイチ・エスライフ少額短期保険は、少額短期保険業者になります。

既存の顧客に向けて新しい保険商品の開発・提案が行えると考え、買収に至りました。

日本生命保険がほけんの110番の全株式を取得

保険代理店のM&A成功事例として、2017年3月に行われた日本生命保険によるほけんの110番における買収があります。日本生命保険は、乗合型の保険代理店を営む「ほけんの110番」における株式を取得し子会社化しました。

買収を行った理由は、顧客のニーズに応えるためです。乗合型の保険代理店が増えれば、顧客は複数の保険商品からライフスタイルに合った商品を選べます。そこでほけんの110番における株を買い取り、事業に必要な資金を獲得させました。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスによるETERNALの買収

2017年3月、東海東京フィナンシャル・ホールディングスがETERNALを買収しました。複数の証券会社を束ねる持ち株会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、生損保の事業を展開するETERNALの全株式を取得し完全子会社化しています。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスの目的は、顧客の接点をつくることです。ETERNALが展開する来店型保険ショップに注目し、若い世代の取り込みを狙っています。

8. 保険代理店のM&Aにおける5つの注意点

保険代理店のM&Aにおける注意点

保険代理店のM&Aを行う際は、保険代理店に特有の注意点が存在するため、検討段階から留意が必要です。保険代理店に特有の注意点は以下の5点です。

  1. 顧客の年齢層
  2. 顧客の居住地
  3. 顧客の属性
  4. 取り扱いのある保険会社
  5. 月次試算表

①顧客の年齢層

保険代理店の手数料収入は、顧客が今後何年間保険に加入してくれるかによって変わります。今後の保険加入年数は、顧客の年齢層が高ければ短く、低ければ長いです。

売り手の保険代理店における顧客年齢層の高低は、企業の将来収益に大きくかかわります。M&Aを検討する際は、顧客の年齢構成を確認しましょう。

②顧客の居住地

顧客が地元に偏っている場合、サラリーマンには転勤があるため、年がたつごとに遠隔地へ転勤します。それらの顧客をフォローするために、保険代理店はある程度コストをかける必要があります。

特に対面による保全が義務付けられている場合は、売上上昇のボトルネックとなるケースもあるため、事前に確認が必要でしょう。

③顧客の属性

保険代理店は、どういったチャネルからどういった顧客と契約しているかを確認しなければなりません。地元法人との接点がある場合は、今後の契約が安定していると推測できますが、飛込営業中心であれば将来売上の変動は高いといえます。

顧客の属性は、既存顧客や営業担当とのシナジー効果にもかかわる重要な観点です。

④取り扱いのある保険会社

売り手企業が、買い手企業の取扱いがない保険商品を扱っている場合には注意が必要です。

買い手企業は、当該保険商品の販売を行うための作業・コストが必要となるため、買収後におけるPMIの負担が増加します。

⑤月次試算表

保険代理店における将来の収益性を予測し取引価格の参考とするためにも、売り手における保険代理店の月次試算表を確認することをおすすめします。月次資産表からは、代理店手数料の推移や代理店における営業方針の読み取りが可能です。

顧客に何度も保険商品を乗り換えさせる営業方針の代理店を買収してしまうと、キャッシュフローが安定しないうえに、レピュテーションリスクにもつながります

適正なM&A取引を行うためにも、月次試算表を確認することは必須といえるでしょう。

9. 保険代理店のM&Aを成功させるポイント

保険代理店のM&Aを成功させるポイント

上記を踏まえて、保険代理店のM&Aを成功させ、顧客、会社、従業員の全てに利益をもたらすためには、最低限以下の2点を抑えましょう。

  1. M&Aに伴う社員への影響を考える
  2. M&Aの専門家に相談・依頼する

①M&Aに伴う社員への影響を考える

M&Aでは、買い手企業が売り手企業の経営権を握るため、買い手企業の経営方針が優先され、従来における保険代理店の社風、働き方、報酬などが変わる可能性が大きいです。

保険代理店では、特に従業員のモチベーション、雰囲気が売上に直結しているため、M&Aによって売り手企業の良い部分が失われないように配慮する必要があります。

経営陣が買収後の経営方針や従業員の処遇における交渉をまとめるだけでなく、従業員間で疑心暗鬼が生まれないようケアする必要があるでしょう。従業員や顧客に配慮してくれる買い手企業の選定が欠かせません。

②M&Aの専門家に相談・依頼する

M&Aは、契約交渉、バリュエーション(企業価値評価)、デューデリジェンスなどの専門的な作業が必要な企業活動です。

M&Aの実行にあたっては、弁護士、公認会計士、コンサルなど専門家の力を借りることが不可欠ですが、全体のコーディネートはM&A仲介会社、M&Aアドバイザーなどへ依頼するのが一般的です。

M&A仲介会社は、M&Aの買い手候補、売り手候補の選定のみならず、相手先との交渉などサポートまで行うので、M&Aの検討時には最初に相談すべき相手でしょう。

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10. 保険代理店のM&A・買収・売却のまとめ

保険代理店のM&A・買収・売却まとめ

この記事の要点を以下にまとめました。

【保険代理店売買での売り手側の利点】

  • M&Aで得られる売却利益
  • 資本力に支えられた安定経営
  • 従業員の雇用維持
  • 承継問題の解消
  • 事業の選択と集中を実現できる
  • 個人保証から解放される

【保険代理店売買での買い手側の利点】
  • 低コストでスムーズな事業の開始
  • 一からの販路開拓が不要
  • 確実な事業拡大
  • ライバルの減少

保険代理店業界では、店舗数の減少や競争の激化が予想されます。保険代理店の存続を希望する場合は、M&Aによる対処を検討しましょう。

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