保険代理店業界のM&A動向!売却・買収事例8選とメリットとデメリットを解説!【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、保険代理店のM&Aについて買収・売却・取引のメリットやデメリットから相場などをまとめました。その他、保険代理店の動向や成功事例にも触れています。保険代理店におけるM&A・買収・売却の概要を知りたい方は必見の内容です。

目次

  1. 保険代理店の概要
  2. 保険代理店業界の現状と市場動向
  3. 保険代理店のM&A動向
  4. 保険代理店をM&Aするメリット
  5. 保険代理店のM&Aデメリット
  6. 保険代理店のM&A成功事例
  7. 保険代理店をM&Aで売却する流れ
  8. 保険代理店のM&A・売却相場
  9. 保険代理店のM&A手法
  10. 保険代理店のM&Aにおける5つの注意点
  11. 保険代理店のM&Aを成功させるポイント
  12. 保険代理店の種類と傾向
  13. 保険代理店のM&A・買収・売却のまとめ
  14. 保険代理店業界のM&A案件一覧
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  • 保険代理店のM&A・事業承継

1. 保険代理店の概要

保険代理店とは

保険代理店とは、保険契約を仲介する事業者をさします。主な事業者は、個人・法人・財団などです。保険会社と業務委託契約を結び、内閣総理大臣による登録を受けて事業を営む形式です。

事業の内容は、保険に加入する人と保険会社との仲介役で、保険会社に代わり、保険の紹介や代理契約などを行います。

①保険代理店の主な業務

保険代理店では、どのような業務が行われているのでしょうか。保険代理店の主要な業務は、次の3つが挙げられます。

保険契約の各種手続き

保険代理店では、保険契約手続きを代行しています。主な手続きは、保険契約の締結・契約内容の変更・契約の解除です。

契約を結ぶ前は対象となる保険の説明(補償内容・補償額・保険料など)を行い、契約の意思を確認してから保険契約の手続きを代行します。

また、契約後の内容変更を受け付けたり契約の解除を進めたり、保険会社の代わりとなって保険契約にかかわる手続きを行うのも保険代理店の業務です。

保険商品の紹介

保険代理店の業務は、取り扱う保険商品の紹介です。顧客の要望に合った保険商品を提案し、重要説明事項の内容や補償を受けられないケースなど注意喚起の情報も伝えます。

給付金・保険金の請求案内

保険代理店は、契約者と保険会社の間に入り、契約に沿って給付金・保険内容の請求手続きをサポートします。契約者は、補償を受けるための手続きを正確に把握・理解していないことも少なくありません。

保険代理店が給付金・保険金における請求案内などの支援をし、保険契約の対象となる被保険者が死亡したり事故に遭ったりしたときに、適格なアドバイスを行い、スムーズな給付金・保険金の受取りへとつなげます

2. 保険代理店業界の現状と市場動向

保険代理店業界の現状

生命保険協会「生命保険の動向」より

出典:https://www.seiho.or.jp/

上のグラフでわかるように、保険代理店の店舗数と代理店使用人数はともに2017年以降少しずつ減少しています。

また、一般社団法人日本損害保険協会「2021年度(令和3年度)末の代理店統計について 」によれば、国内外41社(国内会社31社と外国会社10社の合計)の保険代理店数は160463店であり、2020年度末より4,722店の減少となりました。

同調査での損害保険における募集従事者数は2021年度が2,003,511人であり、代理店数と同じく2020年度と比べて36,975人の減少です。

緩やかな店舗数の減少を受け、保険代理店業界ではM&Aに実施件数は増加傾向となっています。

参考:一般社団法人 日本損害保険協会「 2021年度(令和3年度)末の代理店統計について 」

保険代理店業界におけるバレンタインショック

保険代理店業界におけるバレンタインショックを紹介します。2019年2月14日に、国税庁により、節税保険の取り扱いを見直す方針が発表されました。

それまでは、各生命保険会社が節税効果をうたった死亡定期保険が中小企業においてブームであり、保険代理店も死亡定期保険を競って販売していましたが、それが終わりを迎えたのです。

以前は、形式的に死亡定期保険の保険料は経費扱いでしたが、実態と離れた節税効果を売りにする保険商品も販売されていました。しかし、死亡定期保険における税務上の取り扱いを国税庁が見直したため、節税効果といったセールスポイントもなくなったのです。

数千億円規模にまで広がった市場が消失するので、保険業界にとって大きな衝撃となりました。節税保険ばかりを扱っていた保険代理店を知らずに買収すると、すでに有する契約のコミッションが入っても、これからの成長は難しいといえます。

保険代理店の減少について

2007年には銀行の窓口での保険販売が全面解禁され、さらに近年はインターネットなどで手軽に申込ができるサービスを行う保険会社が増えたこともあり、業界での競争は激化しました。

また、2016年には改正保険業法が施行されたことやNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の登場によって従来の貯蓄型保険はニーズが減少してきています。

追い打ちをかけるように新型コロナの感染拡大によって外出規制がなされたため、利用者は対面での保険申し込みよりるネット型保険を選択するケースが増加しました。

このような背景により、対面型の保険代理店の販売高は減少し、ニーズや法改正に対応できなかった事業者は休廃業・倒産するケースもみられます。

東京商工リサーチの調査によれば、2021年における保険代理店の休廃業・解散は507件であり、2000年の調査開始以降、最多となりました。

また、中小規模の保険代理店では経営者の高齢化も進んでおり、大手・中堅の保険代理店への譲渡などM&Aを選ぶ経営者も増えてきています。

参考:株式会社東京商工リサーチ「2021年の保険代理店の廃業が最多、店舗乱立やコロナ禍が影響」

3. 保険代理店のM&A動向

この章では、保険代理店のM&A動向について解説します。業界で行われているM&Aの特徴は、主に以下の3つです。

①資本力を武器にした大企業によるM&A

資本力を武器にした大手企業によるM&A事例では、生命保険の大手である第一生命保険による買収が挙げられます。第一生命保険は、2018年に乗合型保険代理店業を営むアルファコンサルティングを買収し、すべての株式を取得しました。

アルファコンサルティングは愛知県名古屋市に拠点を置く中小企業であり、店舗は全国に22カ所、従業員の数はおよそ120人です。質の高いサービスを心がけ、顧客の要望に合わせた保険商品を提供しています。

第一生命保険は顧客の動向に注目し、複数の保険商品を取り扱うことを考えていたため、アルファコンサルティングをM&Aにより買収し、保険業界で店舗を増やしている乗合型の保険代理店を傘下に収めました。買収後は、アルファコンサルティングのノウハウを取り入れ、乗合型の保険商品を開発する予定です。

②中小の保険会社同士のM&A

中小の保険代理店同士で行われたM&Aでは、幸楽苑ホールディングスとヒューリック保険サービスによる売買が挙げられます。

幸楽苑ホールディングスは、2018年に子会社の保険代理店事業をヒューリック保険サービスへ1.55億円で譲渡しました。幸楽苑ホールディングスが子会社の保険代理事業を譲渡した目的は、事業の選択と資本の集中です。

中小の保険代理店は、少子化・保険業法の改正・大手の躍進などで苦しい経営を強いられているケースも多く、M&Aを利用して企業の存続を図るケースもみられます。

また、中小の保険会社同士におけるM&Aでは、同規模の保険代理店に事業を譲り渡したり事業を買い取ったりすることで、保険代理店業からの撤退、または規模の拡大を狙うケースが多いです。

③後継者問題からのM&A

保険代理店のM&Aでは、後継者不足を理由に会社・事業を譲渡するケースも少なくありません。多くの業種で問題となっている後継者問題は、保険代理店も例外ではなく、近年は第三者に経営を譲り渡すケースも増えてきました。

また、経営状況のよい会社でも、将来を見据えて大手や中堅・同じ規模の会社に事業を譲り渡す事例もみられます。

  • 保険代理店のM&A・事業承継

4. 保険代理店をM&Aするメリット

保険代理店のM&Aには、どのような利点があるのでしょうか。ここでは、保険代理店のM&Aで得られる利点を、売り手と買い手それぞれの立場から解説します。

買い手側のメリット 売り手側のメリット
  • 低コストでスムーズな事業の開始
  • 一からの販路開拓が不要
  • 確実な事業拡大
  • ライバルの減少
  • M&Aで得られる売却利益
  • 資本力に支えられた安定経営
  • 従業員の雇用維持
  • 承継問題の解消
  • 事業の選択と集中を実現できる
  • 個人保証から解放される

買い手側の4つのメリット

保険代理店を買収する場合、買い手側の利点として以下の4つが挙げられます。

低コストでスムーズな事業の開始

1つ目に取り上げる保険代理店の買収メリットは、コストを抑えたスムーズな事業展開です。売り手側の会社や事業を引き継げば、一から事業を興す必要がありません。店舗を探すことや従業員を集める費用が抑えられます。

買収することで迅速に事業が始められるので、保険代理店の買収は短い期間で事業開始の準備を終えたい場合に適しているでしょう。

一からの販路開拓が不要

2つ目の買収メリットは、販路を開拓する必要がない点です。M&Aで保険代理店を買収すると、売却側が所有する営業権を手に入れられます。

保険代理店では保険契約を勧誘する募集人の雇用が禁止されたため、新たな顧客を探すには店舗の従業員のみで行わなければなりません。

そこで、会社・事業譲渡を求める保険代理店を買収することにより、営業権を獲得してすでに開拓した販路を譲り受けるのです。従業員に負担をかけず、店舗の内外で保険商品の提供が可能になります。

確実な事業拡大

3つ目の買収メリットは、事業を拡大できる点です。一から事業を始めた場合、経営が軌道に乗る保証はありません。M&Aで既存の保険代理店を買収すれば営業権を得られるため、顧客がついた状態で事業を始められ保険料収入を得られます。

M&Aによる売買では、複数の店舗を譲り受けるケースも見られますが、これは進出を考える地域に売却側の店舗があれば一度の売買で事業を広げられるからです。一店舗の譲渡でも、買収した店舗を足がかりに事業の拡大が可能です。

ライバルの減少

4つ目に取り上げる買収のメリットは、ライバル企業の減少が挙げられます。M&Aで同業者を買収したり合併したりすれば、顧客を取り合うライバルの数が少なくなるので、競争による疲弊を避けられるでしょう。

買収ではまとまった資金が必要になります。しかし、M&Aを実行すればライバルが減り自社の存続も望めるので、一時的な出費は将来への投資といえるでしょう。

売り手側の6つのメリット

保険代理店を買収する場合、売り手側にも以下6つの利点があります。

M&Aで得られる売却利益

1つ目に挙げる売却側のメリットは、M&Aによる売却利益です。M&Aで株式譲渡を選択すると、売却益は株主の元に入ります。

オーナーが売却する株式の大半を所有している際はまとまった資金を得られ、引退後の生活に充てたり新しい事業を始める資金を賄えたりと、保険代理店業を離れた生活・仕事への移行が可能です。

資本力に支えられた安定経営

2つ目に紹介する売却のメリットは、資本力の支えによる安定経営です。大手の保険代理店に買収されると、有名企業のグループに入ります。
大手が収集したデータを共有できたり事務管理のコストを削減できたりと、経営を安定させる環境が整います。

顧客の動きを把握できれば、要望に応じて取り扱う保険商品を増やすことや来店型ショップに移行するなど、市場における変化の対応も可能です。

大手企業の傘下に入れば、知名度が高まります。見知った企業名を掲げることで、新規の顧客獲得につながるでしょう。

従業員の雇用維持

3つ目に取り上げる売却のメリットとして、従業員の雇用を維持できる点が挙げられます。保険代理店を廃業すれば、会社に尽くしてくれた従業員から職を奪ってしまうでしょう。
保険代理店の数は減少傾向にあるため、就職先が見つからない事態も想定しなくてはなりません。

M&Aにより保険代理店を売却すれば、買収側に雇用を引き継いでもらえるため、従業員の雇用を維持できるだけでなく、大手の企業に譲渡した場合は労働環境の改善も見込めます。

従業員における将来のために、M&Aによる売却も視野に入れましょう。

承継問題の解消


4つ目に挙げる売却のメリットは、承継問題を解消できる点です。M&Aを選択することで社外の第三者から後継者を見つけられ、親族や社内に経営を任せられる人物がいなくても、保険代理店の事業を存続できます。

近年は経営者の高齢化が進み、事業承継を目的としたM&Aの件数が右肩上がりで2019年には600件を超えました(「2020年版中小企業白書」より)。

廃業を選べば顧客に引き継ぎ先の保険代理店を知らせたり、廃業に伴う登記・法手続きなどに追われたりと手間も時間もかかります。士業への支払いや借入金の返済、店舗の原状回復費などの費用も用意しなくてはいけません。

後継者不在により保険代理店の廃業を考える前に、M&Aの利用を検討したりM&A仲介会社へ相談したりするとよいでしょう。

事業の選択と集中を実現できる

保険代理店業を行う多くの会社は、保険に関連するほかの事業を行っています。
M&Aには、会社全体の売却ではなく、一部事業のみを譲渡する事業譲渡のスキームがあります。
M&Aにより、採算のとれそうな事業を残し難しそうな事業の売却が可能です。

個人保証から解放される

中小企業では、経営者自らが会社の債務を保証する個人保証をしている場合があります。個人保証は、資金調達が可能になるメリットがある一方で、大胆な経営判断や早期における事業再生の阻害要因です。

政府のガイドラインによれば、M&Aによる事業承継を行う際、金融機関は個人保証の要否を改めて判断し、場合によっては個人保証を引き継がせないべきとしています。

【関連】M&Aの売り手側のメリット・デメリット!目的、被買収企業側のリスクや流れも解説

5. 保険代理店のM&Aデメリット

保険代理店をM&Aによって売却する際は、以下3つのデメリットが存在します。

①希望の条件で売却できるとは限らない

M&Aを行う際は、買い手企業はできるだけ安く買いたいと考え、売り手企業はなるべく高く買いたいと考えるものです。

売り手企業の希望買収価格がそのまま認められるケースは少なく、買収価格は買い手企業との交渉で決定されます。M&Aの交渉内容は、譲渡価格のみならず経営方針や従業員の待遇など多くの要素が絡みます。

事業引継ぎハンドブックにもあるように、妥協できる部分とできない部分の整理を行い、交渉に臨むことが重要です。

②相手先企業が見つかるとは限らない

保険代理店のM&Aによる売却を検討する際は、相手先企業が現れない場合を想定しましょう。保険代理店の引き取り手がいない要因としては、会社の人材や販路などにおける魅力の薄さ、財務状況の悪化、収益性の低さなどが挙げられます。

M&Aの検討が長期間に渡り、事業承継前に経営者が死亡することも考えられるため、注意しましょう。

③顧客が不利益を被るおそれがある

M&Aでは、買い手会社の経営方針によって、買収後に既存の顧客が期待するサービスが提供されない場合があります。顧客のライフステージに応じて継続的な保険の代理サービスを提供している場合は、M&A・売却後も既存顧客との関係を維持できる買い手会社を選定しましょう。

6. 保険代理店のM&A成功事例

保険代理店のM&Aは、どのようなスキーム・取引価格で売買が成立しているのでしょうか。ここでは、8件の成功事例を紹介します。

NHSインシュアランスグループから朝日生命への株式譲渡

2021年1月、生命保険の販売・引受事業、資産運用事業を有する朝日生命が、保険代理店事業のNHSインシュアランスグループをM&Aにより取得しました。朝日生命はNHSインシュアランスグループの全株式を取得して完全子会社化しており、取得価格は非公表です。

本M&Aでは、朝日生命がwithコロナ、afterコロナでの保険営業体制を構築する目的で、非対面での営業ノウハウを有するNHSインシュアランスグループを買収しています。

参考:朝日生命保険相互会社「 NHSインシュアランスグループ株式会社の株式取得・子会社化について」

信和実業からトータル保険サービスへの事業譲渡

2021年1月、がん保険、医療保険、自動車保険など多種の保険代理店事業を展開するトータル保険サービスは、白洋舎のグループ会社である信和実業から、2億2,000万円で保険代理店事業を取得しました。

信和実業は、本件M&Aを通じて、主力事業である不動産事業に注力するとしています。

参考:株式会社白洋舍「連結子会社に係る事業譲渡契約締結、及び 特別利益(事業譲渡益)計上に関するお知らせ」

フォルテシモからメットライフ生命保険への株式譲渡

2019年6月、メットライフ生命は総合保険代理店であるフォルテシモの全株式を取得し、子会社化しました。メットライフ生命は外資系の大手生命保険会社です。子会社となったフォルテシモは、複数社の損害保険や生命保険を取り扱っています。

フォルテシモは、自社のさらなる成長を目的とし、メットライフ生命への売却を決断し本M&Aに至りました。

参考:メットライフ生命保険株式会社「 株式会社フォルテシモの子会社化について」

ファイナンシャル・ジャパンから新生銀行への株式譲渡

2019年5月に行われた、新生銀行のファイナンシャル・ジャパンにおける株式の取得は、保険代理店のM&A成功事例に挙げられます。

新生銀行は、既存株主からファイナンシャル・ジャパンの全株式を取得し子会社化しました。買収の目的は、新生銀行における個人向け保険事業の強化です。

幸楽苑ホールディングスからヒューリック保険サービスへの事業譲渡

2018年11月、幸楽苑ホールディングスはヒューリック保険サービスに対して保険代理店事業を譲渡しました。本M&Aは、幸楽苑ホールディングス傘下における保険代理店事業子会社の全株式を譲渡するスキームで行われています。

譲渡の理由は、ラーメン店などの飲食事業に資本を集中させるためです。ヒューリック保険サービスは従業員の引き継ぎを行わず、親会社の幸楽苑ホールディングスが雇用を継続します。

参考:株式会社幸楽苑ホールディングス「連結子会社の事業譲渡及び特別利益の計上 並びに連結子会社との合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」

フジトミがエイチ・エスライフ少額短期保険の株式を取得

2017年4月、フジトミによるエイチ・エスライフ少額短期保険の買収が行われました。先物の商品取引や保険事業などを営むフジトミは、エイチ・エスライフ少額短期保険の株式を取得し子会社化しました。

株式譲渡を決めた理由は、シナジー効果が見込めると判断したためです。売却側のエイチ・エスライフ少額短期保険は、少額短期保険業者になります。既存の顧客に向けて新しい保険商品の開発・提案が行えると考え、買収に至りました。

参考:株式会社小林洋行「株式会社フジトによる エイチ・エスライフ少額短期保険株式会社の株式譲渡契約締結」

日本生命保険がほけんの110番の全株式を取得


保険代理店のM&A成功事例として、2017年3月に行われた日本生命保険によるほけんの110番における買収があります。日本生命保険は、乗合型の保険代理店を営む「ほけんの110番」における株式を取得し子会社化しました。

買収を行った理由は、顧客のニーズに応えるためです。乗合型の保険代理店が増えれば、顧客は複数の保険商品からライフスタイルに合った商品を選べます。そこでほけんの110番における株を買い取り、事業に必要な資金を獲得させました。

参考:日本生命保険相互会社「株式会社ほけんの 110 番の株式取得に関する合意について」

東海東京フィナンシャル・ホールディングスによるETERNALの買収

2017年3月、東海東京フィナンシャル・ホールディングスがETERNALを買収しました。複数の証券会社を束ねる持ち株会社である東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、生損保の事業を展開するETERNALの全株式を取得し完全子会社化しています。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスの目的は、顧客の接点をつくることです。ETERNALが展開する来店型保険ショップに注目し、若い世代の取り込みを図るとしています。

参考:株式会社ETERNAL「株主変更に関するお知らせ」

7. 保険代理店をM&Aで売却する流れ

保険代理店を売却する際の流れ・手順は以下のように進みます。

M&Aの意思確認・戦略の検討

M&Aを売却する際には意思確認・戦略の検討を行います。まずは、現時点での自社の課題・今後の方向性や目標を決めるプロセスになります。自社で対処できる可能性を探ったり、M&Aの必要性などについて検討したりしたうえで、M&Aの最終的な意思決定を行いましょう。

意思確認の完了後は、M&Aの戦略検討です。詳細についてはアドバイザーと決定しますが、まずはM&Aの方法を含めて戦略決めを進めていきます。

M&Aの専門家へ相談

保険代理店のM&Aの検討を始めた場合、基本的にM&Aの専門家に相談を行います。相談の内容は売り手と買い手によって異なりますが、相手先企業の選定基準についてやM&Aを行う目的やメリットなどの相談を行うケースが多いでしょう。

M&A専門家との各種契約

中小企業M&Aの専門家と相談し、納得できた後は専門家との契約を行います。この段階で契約するのは「秘密保持契約」と「アドバイザリー契約」です。

 

秘密保持契約

M&Aの方向性が決まった後、売り手企業の機密を守るために結ばれるのが秘密保持契約です。秘密保持契約で締結される一般的な内容は以下のとおりです。

  • 秘密保持契約対象となりうる内容・期間
  • 秘密保持の義務を負う人物の決定
  • 情報漏えいがあった場合の損害賠償の可否
  • 秘密保持についての調査権限
  • 情報漏えいなどの問題があった際の裁判所の管轄

アドバイザリー契約

アドバイザリーとはM&Aに関する相談やアドバイスを行う業務のことです。アドバイザリー契約では、一般的にアドバイザーが行う業務の範囲・報酬・直接交渉の禁止などについて契約の締結を行います。

M&A戦略の決定・売却先選定

M&A戦略を決めた後、相手先候補の選定を行います。売却先候補の選定は、会社名が匿名になっている企業概要書(ノンネームシート)に書かれた売却先企業の情報を基に行うのが一般的です。

ノンネームシートはM&A仲介会社から提供される資料であり、具体的な企業名までは特定できないものの、業種・地域・売上高などの必買収を希望する理由など要最小限の情報が記載されています。この資料の情報を基に相手先候補との条件を照らし合わせ、自社のメリットについて検討していきます。

トップ面談

M&A先を決めた後にトップ面談を行います。トップ面談ではM&Aを行う企業の経営者同士がM&Aの面談を行います。ここでは、企業の将来を左右する大きな判断をします。企業のトップ同士が面談ではM&Aを決意する経緯や経営ビジョン、社風などを話し合います。

意向表明書の提示

トップ面談を行った後、M&Aを行いたい考えの場合、買い手から売り手に対して意向表明書の提示を行います。意向表明書は仲介役のアドバイザーに提出します。意向表明書の提出は義務ではないため省略される場合もあります。しかし買い手は前向きに買収を検討していることを売り手に伝えられるので、交渉がスムーズに進めやすくなります。

基本合意書の締結

基本合意書では、買収の条件・独占交渉権・守秘義務・スケジュール概略などが記されています。基本合意書は、合意内容確認書という位置付けであり法的拘束力はありません。ただし、独占交渉権やデューデリジェンスへの協力義務といった条項に法的拘束力を持たせます。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、基本合意書締結後に買い手が売り手企業の実態を把握するために行われる調査です。具体的には、M&Aの専門家や士業が売り手企業を訪問し、帳簿の確認や書面では把握できない会社状況をチェックを行います。デューデリジェンスで発生する費用(専門家への手数料)は、一般的に全て買い手が負担します。

条件交渉

デューデリジェンスで交渉を断念せざるを得ないリスクなどがない場合、最終合意に向けて交渉を行います。交渉では、売買条件の他に、経営者・従業員の処遇や最終契約までのスケジュールなど詳細な内容が含まれます。

最終契約の締結

売却価格やその他の条件にも決まった後に、最終契約の締結へと進みます。最終契約書の内容は、譲渡の内容と売買価格などが記されます。最終契約の締結を行うには、取締役会や株主総会の開催が必要な場合もあるため注意が必要です。

クロージング

最終契約書の締結後、買い手から譲渡代金を受け取り最終的な諸手続きを行うことで契約完了です。手続きとしては、売り手の経営者が個人的な目的で購入した資産の買い取りや株券・会社代表印の引き渡しなどがあります。この最終的な手続きがクロージングです。

8. 保険代理店のM&A・売却相場

保険代理店のM&Aでは、どれくらいの価格相場で会社・事業の取引が行われているのでしょうか。この章では、M&Aの価格相場や高値売却するポイントを紹介します。

大手・中堅企業のケース

大手・中堅企業の売買では10億円前後が相場で、相場の幅は数億から数十億円でした。多くの取引で株式譲渡が選ばれています。

ただし、中小・小規模企業の取引と違い、一度にすべての株式を取得しないケースが見受けられました。初めの取引では経営権が移る割合に留め、2度目の取得で残りの株式を取得しています。

中小・小規模事業者のケース

中小・小規模事業者の売却では、4,000万円前後が相場で、相場の幅は1,000万から7,500万円です。大手・中堅と比べて売買価格が抑えられるため、一度の取引ですべての株式を譲り受けています。

商権譲渡のケースでは、副業型で主力事業に専念したい事業者が、商権譲渡による売却を選択して売却益を得たり、一定の保険料収入を獲得したりしています。

保険代理店のM&A相場は、保険の契約数や保険料収入・純資産などを目安に決めるのです。売買を検討する場合はデューデリジェンスで自社・買収候補の相場を算出しましょう。

大まかな売却相場の計算方法

M&Aを行う場合、あらかじめ売却相場を知っておくことで安く買いたたかれたり、高値で打診してM&Aが成約できなくなったりする事態を避けることができます。

保険代理店のM&A相場の考え方は一般的に下記のように計算されます。

  • 売却相場=時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年

もう少し細かく計算したい場合は、
  • 株式譲渡の売却相場=時価純資産+ (営業利益 + 役員報酬) ×2〜5年
  • 事業譲渡の売却相場=事業資産+ 事業利益×2〜5年
で求めるとより近い金額がわかります。

企業価値評価の方法

最終的な売却価格は企業価値評価をもとに交渉によって決定します。企業価値評価にある算出方法のアプローチは以下の通りです。

コストアプローチ


コストアプローチでは、貸借対照表に載っている企業の純資産の金額をもとに算出します。代表的なものは、貸借対照表上の純資産をそのまま使う簿価純資産法や、評価するタイミングの時価純資産をもとに使う時価純資産法があります。

貸借対照表を使うため客観性に優れている一方、将来の収益性は反映されません。また、技術力やノウハウ・ブランドなど目に見えない資産は反映されないため、その場合は営業権を別途加える手法が取られます。

インカムアプローチ

インカムアプローチでは、評価対象企業の収益性をもとに企業価値に換算し算出します。DCF法では将来的に得るキャッシュフローを現在価値に割り引いたものを用いします。その他予想配当金を資本還元して企業価値を求める配当還元法などがあります。

将来の収益力や対象企業に固有の事情を反映できるメリットがある一方、企業価値算定の根拠となるキャッシュフローや配当金・利益は譲渡側が作成した事業計画書を使用するため、主観などが入りやすく客観的な企業価値を求めにくい面もあります。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは市場の企業価値にもとづき企業価値を算出する方法です。類似会社比較法といった事業内容が似ている上場企業の株価倍率(EBITDA、PERなど)を使う方法や過去の似たM&A取引の価格を基にする類似取引比較法などがあります。

客観性が高く、上場企業や類似上場企業がある非上場企業のバリュエーションで広く用いられます。しかし、類似した上場会社がない場合は使用できない方法であり、一時的な市場株価の変動で評価がゆがめられるケースもあります。

保険代理店を高値売却するポイント

保険代理店の売却金額は、収益性や純資産額などを基に企業価値を評価し、企業価値やデューデリジェンスの結果から買収側との交渉で最終的な金額を決めるのが基本的な流れとなります。

保険代理店を高値で売却するには、買収側から保険代理店事業を高く評価してもらうことが重要です。買収側からの評価につながりやすい点は、主に以下があります。

  • 加入者が多い
  • 立地が良いなどテコ入れで収益性の改善ができる
  • 優れた従業員、接客ノウハウ、高い顧客満足度を有する 
  • 買収側が未進出の地域に商圏を持っている
  • 高い独自性のある販売方法を有する

売却側はM&Aを行う前に上記のポイントを自社にあてはめて確認し、買い手にアピールできるよう資料にまとめておくとよいでしょう。

9. 保険代理店のM&A手法

保険代理店のM&Aでは、主に3つの手段が用いられます。ここでは、各スキームの特徴、メリット・デメリットを見ていきましょう。

①会社ごと売却する「株式譲渡」

保険代理店のM&Aで選ばれるスキームの1つが、株式譲渡です。事業譲渡とは違い、会社そのものを譲り渡します
売り手は大手企業や同業者などを対象に自社の株式を売却し、後継者問題の解決や雇用の継続・廃業を避けるなどのメリットが得られるでしょう。

保険代理店M&Aの株式譲渡とは

買い手企業は売り手企業の株を取得し、経営権を譲り受ける手法です。
多くのM&Aで、売り手が所有するすべての株式を譲り渡します。
中小の保険代理店では大株主が会社の経営に携わっているため、株式譲渡によるM&Aを選ぶことが多いでしょう。

株式譲渡のメリット

株式譲渡は、簡易な手続きで売買を終えられる点がメリットです。株式の売買契約を交わし、対価が支払われると取引は完了します。

保険契約や従業員の雇用も引き継がれるため、個別に契約を結び直す手間がありません。株式の売却益はオーナーの元に入り、支払う税金も20%と低いため、まとまった現金が得られます。

株式譲渡のデメリット

株式譲渡にはメリットだけでなく、当然デメリットも存在します。

1つ目は、すべての事業を譲り受けなければいけないことです。株式譲渡は会社を丸ごと譲り受ける手法のため、売却側が保険代理店を含めいくつかの事業を展開していれば不要な事業も引き継ぐ可能性があります。

2つ目は、簿外債務の引き継ぎです。株式譲渡は事業譲渡とは違い、引き継ぐ資産を選べません。買収後に、借金の支払い義務が生じる保証債務や未払いの給与・賞与などが発覚することがあるでしょう。

これらのデメリットは買収後の経営に影響を与えるため、譲渡契約の前にしっかりとした調査が求められます。

②保険代理店式の事業譲渡「商権譲渡」

保険代理店のM&Aには、事業譲渡の一種である「商権譲渡」の手法があります。売買の対象は営業権です。通常の事業譲渡とは異なり、保険代理店業務の営業権のみを譲り渡します。

商権譲渡の利用は副業型の保険代理店に多く見られますが、理由は保険代理店業の業務を他社に任せられるからです。

本業に専念したい、後継者が見つからない、業務が広範囲に渡るなどの悩みを抱えている企業が、商権譲渡のスキームを選択しています。

保険代理店M&Aの商権譲渡とは

保険代理店のM&Aで利用される商権譲渡とは、保険代理店業務の営業権を売買の対象とする取引のことです。

商権譲渡により売却側は営業権を失い、引き継いだ買収側が保険代理店の業務を継続しますが、代理店分担契約の場合は、1つの保険契約を複数の代理店で管理します。
保険代理店を譲渡する側が非幹事、譲り受ける側が幹事となり、幹事を務める代理店が事務作業などを担当するでしょう。

商権譲渡のメリット

商権譲渡は売却・買収側の両方にメリットがあり、売却側のメリットは対価を得られる点です。商権を譲り渡すことで売却によるまとまった資金を手にでき、主力事業の拡大を図れます。

売却側におけるもう1つのメリットは、売却・買収側とで1つの保険契約を管理する代理分担契約をすれば、一定の手数料収入が期待できる点です。

買収側のメリットは、特定の事業だけを引き継げる点です。
保険代理店業のみを獲得できるので、ほかの事業や不要な資産を引き継がずに済みます。
店舗や従業員の雇用、保険契約など、保険営業に必要な資産を選ぶことが可能です。

商権譲渡のデメリット

商権譲渡のデメリットは、煩雑な手続きが必要な点です。商権譲渡は事業譲渡のため、引き継ぐ資産に取引・雇用契約が含まれていると、譲渡の際に契約を結び直さなければいけません。

M&Aに反発して従業員が雇用契約を結ばない事態も考えられます。商権譲渡を選ぶ場合は、売買を行った後のトラブルを想定しましょう。

トラブルを回避してM&Aを成功させるためには、M&A仲介会社のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

③複数企業の法人格を1つに統合する「合併」

「合併」とは、買い手企業と売り手企業の法人格を1つにするM&Aのスキームです。親子関係を構築する株式取得とは異なり、両企業が一体となって1つの法人になる点が特徴です。

保険代理店M&Aの合併とは

合併は、保険代理店のM&Aでは、グループ会社間でM&Aを行うグループ内再編や、同業の保険代理店同士における経営統合などの場面で採用されています。

合併のメリット

合併では、複数の企業が完全に1つの会社となるため会社としての一体感が生まれ、株式取得と比較してシナジー効果が発揮しやすいです。
実際、合併と同時に会社のリブランディング、従業員における連帯感の醸成、組織体制の再構築を図る企業も多くあります。

事業譲渡とは異なり、権利義務が包括的に承継されるので、ビジネスの継続性における対外的なアピールが可能です。

合併のデメリット

合併は、ほかのM&Aスキームと比較して法律上の制約が多く、事務手続きが煩雑で実行に期間を要します。例えば、合併を行うためには原則として株主総会の特別決議、債権者保護手続きなどが必要です。

保険代理店のM&Aは、M&A総合研究所へ

保険代理店のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、保険代理店のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが交渉からクロージングまで案件をフルサポートします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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10. 保険代理店のM&Aにおける5つの注意点

保険代理店のM&Aを行う際は、保険代理店に特有の注意点が存在するため、検討段階から留意が必要です。保険代理店に特有の注意点に次の5点が挙げられます。

①顧客の年齢層

保険代理店の手数料収入は、顧客が今後何年間保険に加入してくれるかによって変わります。今後の保険加入年数は、顧客の年齢層が高ければ短く、低ければ長いです。

売り手の保険代理店における顧客年齢層の高低は、企業の将来収益に大きくかかわります。M&Aを検討する際は、顧客の年齢構成を確認しましょう。

②顧客の居住地

顧客が地元に偏っている場合、サラリーマンには転勤があるため、年がたつごとに遠隔地へ転勤します。それらの顧客をフォローするために、保険代理店はある程度コストをかける必要があります。

特に対面による保全が義務付けられている場合は、売上上昇のボトルネックとなるケースもあるため、事前に確認が必要でしょう。

③顧客の属性

保険代理店は、どういったチャネルからどういった顧客と契約しているかを確認しなければなりません。地元法人との接点がある場合は、今後の契約が安定していると推測できますが、飛込営業中心であれば将来売上の変動は高いといえます。

顧客の属性は、既存顧客や営業担当とのシナジー効果にもかかわる重要な観点です。

④取り扱いのある保険会社

売り手企業が、買い手企業の取扱いがない保険商品を扱っている場合には注意が必要です。

買い手企業は、当該保険商品の販売を行うための作業・コストが必要となるため、買収後におけるPMIの負担が増加します。

⑤月次試算表

保険代理店における将来の収益性を予測し取引価格の参考とするためにも、売り手における保険代理店の月次試算表を確認することをおすすめします。月次資産表からは、代理店手数料の推移や代理店における営業方針の読み取りが可能です。

顧客に何度も保険商品を乗り換えさせる営業方針の代理店を買収してしまうと、キャッシュフローが安定しないうえに、レピュテーションリスクにもつながります

適正なM&A取引を行うためにも、月次試算表を確認することは必須といえるでしょう。

11. 保険代理店のM&Aを成功させるポイント

保険代理店のM&Aを成功させるためには、次のこと意識して進めていくことがポイントです。

経営課題を正直に伝える

M&Aの交渉の場面では強みだけでなく、自社の経営課題を伝えることが重要になります。経営課題を正直に伝えることは、買い手企業からの印象良くする可能性があるだけでなく、買い手企業は買収後に何をすべきかが明確となるため経営統合への活用することができます。

M&Aに伴う社員への影響を考える

M&Aでは、買い手企業が売り手企業の経営権を握ることにより買い手企業の経営方針が優先され、社風や働き方、報酬などが変わる可能性が大きいです。

保険代理店では、特に従業員のモチベーション、雰囲気が売上に直結しているため、M&Aによって売り手企業の良い部分が失われないように配慮する必要があります。

経営陣が買収後の経営方針や従業員の処遇における交渉をまとめるだけでなく、従業員間で疑心暗鬼が生まれないようケアする必要があるでしょう。従業員や顧客に配慮してくれる買い手企業の選定が欠かせません。

M&Aの専門家に相談・依頼する

M&Aは、契約交渉、バリュエーション(企業価値評価)、デューデリジェンスなどの専門的な作業が必要な企業活動です。

M&Aの実行にあたっては、弁護士、公認会計士、コンサルなど専門家の力を借りることが不可欠ですが、全体のコーディネートはM&A仲介会社、M&Aアドバイザーなどへ依頼するのが一般的です。

M&A仲介会社は、M&Aの買い手候補、売り手候補の選定のみならず、相手先との交渉などサポートまで行うので、M&Aの検討時には最初に相談すべき相手でしょう。

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12. 保険代理店の種類と傾向

保険代理店の運営形態

保険代理店の事業者は、個人や法人、財団などです。これらの事業者は、取り組む事業によって2つの形態に分けられます。1つは専業形態、もう1つが副業形態です。

2つの運営形態には、どのような違いが見られるのでしょうか。ここでは、それぞれの形態を解説しますので、M&Aで売却・買収を考えている方は自社・売り手企業の形態を確認しましょう。

専業形態

専業業態は、保険業のみを行う保険代理店です。保険業以外の事業を行わず、保険商品の紹介・保険契約の締結・保険料の徴収・保管などを実施し、保険業に特化したサービスを提供します。

副業形態

副業形態は、本業の傍ら副業として保険代理店を行う事業者が該当します。よく見られる副業型の保険代理店は、自動車ディーラー・自動車整備工場、旅行代理店、不動産会社などです。

主に本業と関連のある保険を取り扱うことで、利用者が求める保険商品を提供します。特に大手の自動車ディーラー・整備工場は、自動車保険(任意保険)を取り扱い、大手の旅行代理店は旅行保険、不動産会社は火災・家財保険などに特化しているケースが多いです。

保険代理店の商品提供

保険代理店のタイプは、提供する保険商品の種類によって以下の2つに分けられます。

専従提供

専従型の保険代理店は、取り扱う保険商品を1社の保険会社に限定している事業者です。商品のバリエーションが乏しい反面、一つひとつの保険商品をしっかりと把握しており、保険の給付・事故発生における手続きなどで素早い対応を行います。

専従型は、契約ノルマを1社で済ませられ、対応する窓口・事務処理・帳簿付けなども1つにまとめられるので、従業員にかかる負担を減らせるのもメリットです。

乗合提供

乗合型の保険代理店とは、いくつかの保険会社と提携して各会社の保険商品を取り扱っている事業者のことです。複数の保険商品を扱っているので顧客ニーズに合った保険を紹介できますが、委託している保険会社が多ければその分のノルマをこなさなくてはなりません。

ノルマを達成するために従業員に負担をかけたり、顧客に無理な契約を結ばせたりなど、事業の質を損なう事態も想定されます。乗合型の保険代理店をM&Aの対象として検討している場合は、従業員の数や能力、保険会社のノルマなどを認識することが大切です。

インターネットによる保険契約の傾向

近年は、インターネットを通じた保険の契約が増えてきました。インターネットによる保険契約は、実店舗(従来の保険代理店)を介さない新しいタイプの保険契約を行うシステムであるため、次の動向がみられます。

手軽さをウリにした顧客の獲得

インターネット型保険の動向では、場所・時間を問わない利便性が受けて、顧客獲得につながっている状況です。

保険代理店とは違い、自宅にいながら契約を結んだり給付金を申請したりする手続きが可能なため、現代人の動向に合致して利用者が増えたと考えられます。

安い保険料による顧客の獲得

インターネット型保険は、保険会社や保険代理店などの実店舗を持っていません。仲介者に支払う手数料が発生しないので、手ごろな保険料の商品が多いです。インターネット型保険は、安い保険料で加入したい顧客に支持されています。

来店型保険ショップによる契約の傾向

来店型保険ショップとは、複数の保険会社から保険契約を委託された店舗のことです。従業員が自宅・職場に赴かず、設置した店舗でのみ営業して客にふさわしい保険商品を紹介したり契約を結んだりして、契約した後も相談に応じます。

近年は、来店型の保険ショップが増えており、その店舗形態は乗合型が多いです。来店型保険ショップによる契約動向を見ると、生命保険に加入した人の割合は、平成25~30年加入で全体の7.8%(生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」より)でした。

平成22~27年では4.7%だったので、来店して保険契約を結ぶ人が増えていることがわかります。損害保険では、2018年度の保険料を見ると、来店型の割合は全体の91.4%です。

2017年度と比較すると割合で0.1%減少していますが、保険料の合計では3,069億円増えています。(日本損害保険協会「日本の損害保険-ファクトブック2019」より)

13. 保険代理店のM&A・買収・売却のまとめ

この記事の要点を以下にまとめました。

【保険代理店売買での売り手側の利点】

  • M&Aで得られる売却利益
  • 資本力に支えられた安定経営
  • 従業員の雇用維持
  • 承継問題の解消
  • 事業の選択と集中を実現できる
  • 個人保証から解放される

【保険代理店売買での買い手側の利点】
  • 低コストでスムーズな事業の開始
  • 一からの販路開拓が不要
  • 確実な事業拡大
  • ライバルの減少

保険代理店業界では、店舗数の減少や競争の激化が予想されます。保険代理店の存続を希望する場合は、M&Aによる対処を検討しましょう。

14. 保険代理店業界のM&A案件一覧

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