家業や親の会社を継ぐメリット・デメリット10選!タイミングや手続き方法を解説【事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットやデメリットにはどのようなものがあるのか、またタイミングはいつが適切なのでしょうか?当記事では家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリット・デメリット、適切なタイミングや手続き方法を事例とともに解説しています。


目次

  1. 家業や親の会社の引き継ぎとは
  2. 家業や親の会社を継ぐタイミング
  3. 家業や親の会社を継ぐことに悩む人は多い
  4. 家業や親の会社を継ぐメリット・デメリット10選
  5. 家業や親の会社を継ぐ際の手続き方法
  6. 家業や親の会社を継いだ事例を紹介
  7. 家業や親の会社を継ぐ際の相談先
  8. まとめ
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1. 家業や親の会社の引き継ぎとは

家業や親の会社の引き継ぎとは

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/1273818?title=%E4%BA%A4%E4%BB%A31

「家業を継ぐ・親の会社を継ぐ」とは、子どもによる事業承継のことです。代々続く老舗の家業を子どもが継ぐ場合や、創業者の親から二代目として会社を継ぐケースなどが当てはまります。

家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合には、タイミングや承継する方の意思、メリット・デメリットなどを考慮しなければいけません。

当記事では、これから家業を継ぐ・親の会社を継ぐ方に向けて、引き継ぎのタイミングやメリット・デメリット10選を紹介します。

2. 家業や親の会社を継ぐタイミング

家業や親の会社を継ぐタイミング

出典: https://pixabay.com/ja/%E4%BA%BA%E3%80%85-%E6%89%8B-%E7%94%B7%E6%80%A7-%E6%8F%A1%E6%89%8B-%E4%BA%BA-%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84-%E9%81%B8%E6%8C%99-%E5%8F%96%E5%BC%95-%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%84-3238943/

家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合、どのようタイミングで事業を承継しているのでしょうか。先代から事業を引き継いだ方は、次のようなタイミングで、事業承継を行っています。

【家業や親の会社を継ぐタイミング】

  1. 年齢的な事業承継
  2. 親の死による相続
  3. 周りからのプレッシャー
  4. 昔からの約束

承継のタイミング① 年齢的な事業承継

ひとつ目に挙げる家業を継ぐ・親の会社を継ぐタイミングは、親と子どもの年齢です。2017年度版の中小企業白書では、経営者の年齢について、経営を交代した前後の平均年齢を調査を行いました。

従業員の数が、5人以下から50人までの企業では、交代前の平均年齢は66.9歳で、交代後が約50.6歳という結果です。従業員の数が、51人を超える企業では、交代前の平均年齢が約64歳で、交代後が55.3歳でした。

このような結果から、小・中規模の会社では、親の年齢が67歳を迎えた頃が、交代のタイミングといえるでしょう。

規模の大きな企業では、小・中規模会社よりも若く、親の年齢が64歳に達すると事業の承継を行っています。

また、子どもの年齢から事業継承の時機を見ると、小・中規模の企業で50歳前後、規模の大きな企業では55歳あたりが承継のタイミングといえます。

承継のタイミング② 親の死による相続

2つ目に挙げる家業を継ぐ・親の会社を継ぐタイミングは、親の死です。親の死に合わせた承継では、相続という手法が用いられています。会社の株式や資産を引き継ぎ、経営者として事業に携わるのです。

ただし、相続では株式が分散したり、相続に対する税金を課せられたりと、承継後に適切な対応を求められます。そのため、親が突然死んでしまった場合には、事業を承継する子どもに一時的な負担と対処が課せられます

親が亡くなったタイミングでも、家業や会社を継ぐことを迫られるため、子どもは親の健康状態を把握し、承継のための心構えが必要といえます。

承継のタイミング③ 周りからのプレッシャー

3つ目に挙げる家業を継ぐ・親の会社を継ぐタイミングは、周囲からのプレッシャーです。経営者が歳を重ね、高齢に近づけば、後継ぎとして、長男や長女に事業を引き継いでもらいたいと考えます。

とくに、老舗の企業や、中小企業では親族に後を継がせる傾向が強く、本人の意向に関わらず、家業・会社の引き継ぎを打診するケースも少なくありません。

子どもに対して、家業・会社を引き継ぐ宿命があることを改めて示します。そして子どもは、周囲からのプレッシャーに耐えきれなくなったタイミングで、止むを得ず親の会社を継いでしまうのです。

承継のタイミング ④昔からの約束

3つ目に挙げる家業を継ぐ・親の会社を継ぐタイミングは、昔からの約束です。数年間のほかの会社で働く自由を許したり、親が一定の年齢に達するまで引き継がなかったりと、親と子どもの間で約束を設けることがあります。

先に挙げたプレッシャーと比べると、子どもたちは家業を継ぐことや、親の会社を継ぐことを受け入れているのです。そのため、承継のタイミングは、取り決めた約束事によって異なるといえます。
 

3. 家業や親の会社を継ぐことに悩む人は多い

家業や親の会社を継ぐことに悩む人は多い

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家業を継ぐ・親の会社を継ぐことは、子どもたちにとっては大きな悩みであり、誰もが親の事業を引き継ぎたいと思っているわけではありません。

そのため、経営者を親に持つ子どもは、次のような悩みを持っています。
 

  1. 後戻りができない
  2. 英語などの技能を習得しなければいけない

悩みの種① 後戻りができない

後継者の方が、家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合、後戻りができないことに不安を感じています。家業や会社の事業を継いでしまうと、仕事の継続を求められます。一般の会社のように、こちらの事情で会社を辞めることはできません。

事業承継を受け入れれば、後には引けないので、後継者の方は、家業を継ぐ・親の会社を継ぐことに躊躇ってしまうのです。

悩みの種② 英語などの技能を習得しなければいけない

2つ目に挙げる悩みの種は、英語などの習得を求められる点です。家業や親の会社が、ホテルやゲストハウスなど外国人と関わる事業を行っているなら、英語の習得を求められます。そのため、現在の職を活かせるとは限らないのです。

英語のスキルを身につけていなかったり、英語と無関係の学校に通っていたりすると、一から英語の習得に励む必要があります。もちろん、英語に限った話ではありません。英語をはじめとして、そのほかの特殊な技能でも、習得には時間と労力を要するのです。

つまり、後継者たちは、英語などの技能を身につけるまでの、長い道のりを想像して、家業を継ぐことに悩んでいます。

悩む理由には、後継者の得意・不得意も関係する

家業を継ぐ後継者には、得手不得手があります。英語が苦手・不器用など、不得意な技能でも、家業を継ぐために習得しなければいけません。器用さや才能があれば、短期間での習得も可能です。

しかし、英語を習得するために留学したり、ほかの会社でスキルを獲得したりと、場合によっては苦労することが目に見えているので、事業の承継を躊躇ってしまいます。

こうした理由から、後継者たちは承継を了承できず、悩みを抱えて過ごしているのです。

4. 家業や親の会社を継ぐメリット・デメリット10選

家業や親の会社を継ぐメリットとデメリット

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事業承継を悩んでいる方に向けて、家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合のメリットとデメリットを紹介します。家業を継ぐことの利点・不都合な点を知って、事業承継の決断に活かしてください。

家業や親の会社を継ぐメリット

家業を継ぐ・親の会社を継ぐと、いくつかのメリットが得られます。会社勤めでは得られなかった利点を享受できるので、親の事業を引き継ぐ方は、以下のようなメリットが挙げられます。

  1. 勤務時間の調整が可能
  2. 定年・リストラの心配がない
  3. 事業の方向性を決めることができる
  4. 自由時間が増える
  5. 休日を自分の裁量で決められる
  6. 今までにない人脈ができる
  7. 親族から認められる・親孝行になる
  8. 多くの資産を受け継ぐ
  9. 子どもに引き継ぐ事ができる
  10. 事業譲渡・会社売却で利益を得る

①勤務時間の調整が可能

ひとつ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、勤務時間を調整できる点です。経営者として家業を継ぐため、従業員のように決まった勤務時間は設けられていません。

仕事の量に合わせて早めに切り上げたり、遅くまで残って仕事を完了させたりと、融通が利くのです。

②定年・リストラの心配がない

2つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、定年やリストラの心配をせずに済む点です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐため、60・65歳で定年を迎えたり、会社の都合によって解雇を言い渡されたりする心配がありません。

ただし、受け継いだ事業を順調に進められることが条件です。後継者の裁量によっては、定年を迎える年齢の前に倒産・廃業を余儀なくされることも考えられます。

③事業の方向性を決めることができる

3つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、事業の方向性を決められる点です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐことを選んでも、既存の事業を続ける必要はありません。自分の意見を通し、ほかの事業に換えることも可能です。

大幅な転換を行わない場合も、既存の事業を残して新しい事業を立ち上げたり、先代とは異なる方針で既存の事業を運営したりと、後継者の意思を反映させられます。

④自由時間が増える

4つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、自由な時間を増やせる点です。会社勤めでは、自宅から会社までの通勤に多くの時間を取られます。

一方、家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合には、職場と自宅を兼ねていたり、職場の近くに住まいを設けていたりするため、通勤時間が短くて済むのです。

そうなれば、朝の時間帯をゆっくりと過ごせるため、朝食を摂ったり、新聞を読んだりする時間を確保できます。

また、短時間で自宅に到着するので、通勤による疲労を軽減でき、帰宅後に体を休めたり、趣味に没頭したりと、平日でも自由な時間を確保することが可能です。

⑤休日を自分の裁量で決められる

5つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、自分の裁量で休日を決められる点です。経営者が現場に出なくても事業を行えるのなら、好きなときに休日を設定できます。さらに、先の仕事をまとめてこなせば、長期の休暇を取ることも可能です。

⑥今までにない人脈ができる

6つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、新しい人脈を獲得できる点です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐことで、他の会社に勤めていたときには出会えなかった人たちと、つながりを持てます。

しかも、先代から経営を引き継ぐので、一から関係性を築くよりも信頼関係を構築しやすいといえます。

⑦親族から認められる・親孝行になる

7つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、親族に認めてもらえる・親孝行になる点です。代々続く会社なら、親族たちの思い入れが強く、身内の誰かが事業を継ぐことを願うケースも少なくありません。

後継ぎが現れなければ、事業・会社の運営を止めてしまう状況なら、尚更です。このような状況で、家業を継ぐ・親の会社を継ぐことを決めれば、親族や親の希望を叶えてあげられます。

親族は事業・会社への想いを断ち切らずに済み、親は後継者不足の問題から解放されるのです。

⑧多くの資産を受け継ぐ

8つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、多くの資産を承継できる点です。親から家業を継ぐことで、会社が所有する資産を承継します。

一から資産を確保せずに済むため、不動産をはじめ、技術やノウハウ、特許、販売網、取引先・従業員との契約などを獲得する必要がありません。

⑨子どもに引き継ぐ事ができる

9つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、子どもへの承継です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐことを拒否すれば、親の代で事業や会社は途絶えてしまいます。

家業が多くの資産をもたらしているのであれば、後世に残すことを選んでみましょう。子どもたちへ、自身の暮らしを支える手段を残しておけます。

⑩事業譲渡・会社売却で利益を得る

10番目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐメリットは、事業譲渡や会社売却による利益の獲得です。家業や親の会社を継いでから、一定期間だけ経営を行い、その後に事業を譲渡したり、会社を売却したりすれば、利益を得られます。

事業譲渡を選べば会社に利益が入り、会社売却を選択すると、オーナーが利益を獲得できます。

家業や親の会社を継ぐデメリット

家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合には、どのようなデメリットが挙げられているのでしょうか。

家業や親の会社を継ぐデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  1. サラリーマンほど安定していない
  2. すべて自分の裁量に委ねられる
  3. 従業員との関係性
  4. 新しい人脈とのしがらみ
  5. 伴侶や家族の理解が必要
  6. 廃業する決断が難しい
  7. 人のやっかみを受ける
  8. 思わぬところで自由を制限される
  9. 債務・借金も引き継ぐ
  10. 経営を傾かせる可能性もある

①サラリーマンほど安定していない

ひとつ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、不安定な処遇です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合、後継ぎの能力が承継後の業績を左右します。経営を上手に引き継げなければ、得られる収益を減らしてしまうのです。

もちろん、後継ぎに入る給料にも影響が及ぶため、サラリーマンのように安定した給料を得られないことがあります。

②すべて自分の裁量に委ねられる

2つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、後継者の裁量にすべてを委ねられてしまう点です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐと、承継後の経営を1人でこなさなければいけません。従業員の生活のために事業を継続しなければと思い、強烈なプレッシャーが襲います。

家業を継ぐことを決めたら、事業方針の転換や、新製品・新商品の開発、サービスの改善など、家業に見合った決定を下す必要があるのです。

 

③従業員との関係性

3つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、従業員との関係性です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合、従業員と良好な関係を築こうとしても、上手くいかないことがあります。

会社の重要なポストを担っている従業員が、事業承継に反対をしているケースです。このような状況では、彼らのサポートなしに、会社の舵を取らなければいけません。

そのため、経営を任されて間もない時期に、会社をよく知る者に助けを求められないこともあると、覚えておきましょう。

④新しい人脈とのしがらみ

4つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、新しい人脈とのしがらみです。家業を継ぐ・親の会社を継ぐと、後継ぎが取引先との交渉を行います。

親の代ではよい関係を築けていたものの、自分の代に変わると、取引の中止を言い渡したり、こちらの足元を見たりと、厳しい条件を提示してくるのです。

⑤伴侶や家族の理解が必要

5つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、伴侶・家族の理解を必要とする点です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合、これまでの地位やステータスを捨てなければいけません。事業の業績・規模によっては、得られる収入が減ってしまう事態が想定されます。

そのため、結婚相手や家族からの反発を受けることも少なくありません。家業を継ぐ・親の会社を継ぐときは、一緒に暮らす家族の理解を得ることが求められるのです。

⑥廃業する決断が難しい

6つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、廃業の決断に迷う点です。子どもが家業を継ぐ・親の会社を継ぐ以上、承継した事業・会社を続けていくために、仕事に取り組みます。しかし、業績によっては、志半ばで会社の運営を諦めることがあるのです。

廃業の危機が目の前に迫った場合に、無理をしてでも事業を続けるか、不可能だと割り切って廃業を選択するのかを決める必要があります。

⑦人のやっかみを受ける

7つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、人のやっかみを受ける点です。後継者に選ばれて、家業を継ぐ・親の会社を継ぐと、社員からやっかみを受けることがあります。

社長の座を奪われたことに対する嫌味など、皮肉交じりの言葉を浴びせられることもあるのです。

⑧思わぬところで自由を制限される

8つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、自由を制限される点です。子どもが家業を継ぐ・親の会社を継ぐとしても、自由に振る舞えない事態が想定されます。

休日を定めて休んでいても、急な呼び出しを受けて、仕事場に出向かなければいけなかったり、古参の従業員が幅を利かせて、事業の方針を変えにくかったりするのです。

⑨債務・借金も引き継ぐ

9つ目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、債務・借金を引き継ぐ点です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐことは、親が背負う個人保証などの借金も承継することになります。借金を返済する義務が、後継者に移るのです。

会社が倒産したり、廃業したりすると、後継者が借金を返さなければならず、事業承継を受け入れると、多大なリスクを抱えてしまいます。

事業を受け継ぐ際は、債務・借金の有無を正確に把握しておきましょう。借金の負担を重荷と感じる方は、承継を見直したり、承継するまでに借金を完済・減らす努力を求めたりして、借金を避ける選択肢を確保してください。

⑩経営を傾かせる可能性もある

10番目の家業を継ぐ・親の会社を継ぐデメリットは、業績を悪化させる可能性です。家業を継ぐ・親の会社を継ぐことは、世代交代の始まりに過ぎません。経営の指揮を取り始めて、ようやく現実を知ることができるのです。

そのため、会社の運営が、思い描いていたように進まないケースも想定されます。親の代ではしっかりと収益を出していたのに、自分の代になって、経営不振に陥ってしまうことがあるのです。

【関連】事業承継の失敗事例10選!失敗要因は?

5. 家業や親の会社を継ぐ際の手続き方法

家業や親の会社を継ぐ際の手続き方法

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/1122385?title=%E9%96%8B%E6%A5%AD%E5%B1%8A

家業を継ぐ・親の会社を継ぐ場合、事業の形態(個人・法人)によって、手続きの仕方が異なります。

この章では、承継する事業体を、個人事業と法人に分けて、必要な手続きをご紹介します。

個人の場合

個人事業を継ぐ場合には、後継者と現経営者が、承継を完了させるための手続き・届出を行わなければいけません。個人事業を継ぐ場合には、次の手続き・届出が必要です。

【個人の場合】

  1. 現経営者の廃業届
  2. 後継者の開業届
  3. 従業員や取引先への挨拶
  4. 資産の確認と引き継ぎ

【関連】個人事業主の事業承継のやり方と注意点まとめ!固定資産税や借入金はどうなる?

①現経営者の廃業届

ひとつ目に挙げる個人事業を承継するための手続きは、現経営者による廃業届の提出です。親が個人事業を行っている場合、課税の対象は個人となります。

そのため、法人のように事業承継によって、課税の義務が後継者に移行することはありません。

子どもに事業を譲るケースでは、経営者の親が、個人事業の廃業届を提出しなければなりません。また、廃業届のほかに、次に挙げる書類の提出も必要になるので注意が必要です。

【現経営者が提出する届出書・手続き】

  • 個人事業の開業・廃業等届出書
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 事業廃止届出(消費税を支払っていた場合)
  • 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請(予定納税に該当する場合)

②後継者の開業届

2つ目に挙げる個人事業を承継するための手続きは、後継者による開業届の提出です。個人事業の承継は、親の廃業届と同じく、課税の対象を個人としています。そのため、家業(個人事業)を継ぐ場合、後継者が新たな個人事業主となるため、開業届を提出する必要があるのです。

家業を継ぐ後継者にも、開業届のほかに、提出が義務付けられている届出があります。以下に必要な届出をまとめたので、こちらを参考に引き継ぎに必要な書類・手続きを把握してください。

【後継者が提出する届出書・手続き】

  • 個人事業の開業・廃業等届出書
  • 青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書(生計を共にする家族に給料を支払う場合)
  • 給与支払事務所等の開設の届け出(従業員を雇う場合)

③従業員や取引先への挨拶

3つ目に挙げる個人事業を承継するための手続きは、従業員と取引先への挨拶です。個人で行う家業を継ぐ場合でも、事業承継により経営を引き継いだら、親しい従業員や取引先へ経営交代の事実を伝えましょう。

とくに取引先への挨拶を怠ってしまうと、今後の取引に影響が及びます。経営者の変更を知らされなかったことを理由に、取引の中止を申し出ることも想定しなければいけません。直接出向いたり、挨拶状を送ったりして、経営者が交代したことを知らせましょう。

また、取引先へは、事業口座の名義変更や、新しく開設した口座を伝えてください。既存の事業口座は、前経営者の名前で口座がつくられていることもあるためです。挨拶に加えて、事業口座の変更点についても知らせるようにしてください。

④資産の確認と引き継ぎ

4つ目に挙げる個人事業を承継するための手続きは、資産の確認と引き継ぎです。親から家業を継ぐ場合、必要な資産(不動産・商品・設備・売掛金・預貯金)を確かめて、承継します。

資産の引き継ぎでは、2つの方法から選んでください。ひとつは、売買による引き継ぎです。後継者が、譲渡代金を親に支払い、資産を引き継ぎます。売買を選ぶと、譲渡代金と取得したときの資産の差から、所得税が課せられます。

もうひとつの引き継ぎは、贈与という方法です。無償で資産を承継できるものの、譲渡された資産(時価で計算)が110万円を超えると、贈与税が課せられます。ちなみに課税の対象は、資産から債務を引いた額です。

資産には債務・借金も含まれる

承継する資産には、債務や借金も含まれます。そのため、資産を引き継ぐ場合は、事業にとって必要かどうかを確かめてから、承継に応じましょう。個人保証などの借金は、先代から引き継ぐことで、承継後の負担を増やしかねません。

経営者としての負担を軽減したい方は、個人保証などの借金を前経営者に支払ってもらったり、承継までに借金の額を減らしたりといった対応を提案してみましょう。

法人の場合

法人(親の会社)から引き継を行う場合には、どのような手続きを必要とするのでしょうか。個人事業とは、異なる手続きが見られるので、次に紹介する方法をしっかりと確かめておいてください。

 

  1. 贈与・相続による引き継ぎ
  2. 株式の確保を行う
  3. 税金などの対策を行う

①贈与・相続による引き継ぎ

ひとつ目に挙げる法人を承継するための手続きは、贈与・相続による引き継ぎです。親の会社を継ぐには、一定数の株式を獲得しなければいけません。親が生きている場合には、贈与(生前贈与)を利用して、株式を承継しましょう。

一方、親の死によって株式を受け取る場合は、相続と呼ばれています。遺言の内容に従い、後継者に充てられた株式を譲り受けてください。

ただし、贈与や相続により株式を承継する場合は、親族の遺留分を侵害する恐れがあります。そのため、生前・死後の承継では、親族の権利に抵触しないように、相続分の決定してください。

②株式の確保を行う

2つ目に挙げる法人を承継するための手続きは、株式の確保です。親の会社を継ぐ場合は、経営権を握るために株式を取得しなければいけません。

取得する株式の割合は、議決権の2/3以上を目安にしましょう。これなら、拒否権の発動を抑えて、特別決議を行使できます。

③税金などの対策を行う

3つ目に挙げる法人を承継するための手続きは、税金対策です。親の会社を継ぐ場合、取得した株式に対して、税金が課せられます。承継後の負担を軽減するには、以下に挙げる方法を利用しましょう。

【税金対策】

  • 承継前に、株価を下げる(前経営者に退職金の支払う・土地や建物を買う)
  • 暦年贈与の利用(110万円までは非課税)
  • 相続時精算課税制度の利用(2,500万円までは非課税)

ただし、相続時精算課税制度と暦年贈与の併用はできません。また、相続時精算課税制度は、60歳を超える両親・祖父母から20歳を超える子ども・孫に対する生前贈与が対象です。

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6. 家業や親の会社を継いだ事例を紹介

家業や親の会社を継いだ事例を紹介

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国内外の企業には、家業を継ぐ・親の会社を継ぐ事例が見られます。そこで、主な事業承継の事例を紹介してみます。取り上げる事例から、事業承継のパターンを把握してください。

①ファーストリテイリンググループ

ひとつ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、ファーストリテイリンググループです。現在会長と社長を務める柳井正氏が、1984年に父親の柳井等から事業を受け継ぎ、社長に就任しています。

以後、フリースのヒットにより全国に店舗を拡大し、2018年8月末の段階で、国内の店舗は827店、海外では1,241店にまで達しています。

②星野リゾート

2つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、星野リゾートです。現在社長を務める星野佳路氏は、1991年に父・星野嘉助氏と対立し一度会社を離れたものの、親族からの要請により、再び入社。

改革のために株主の賛同を集めて、経営権を獲得し、社長に就任しています。就任後は、さまざまなリゾートホテルの再建を手掛けたり、高級志向のホテルを展開したりと精力的に事業の転換を図っています。

近年では、旅館・ホテルに投資するREIT(不動産投資信託)の会社を設立するなど、運営に特化した事業転換が見られます。

③山崎製パン

3つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、山崎製パンです。現在社長の職に就く飯島延浩氏は、1979年に叔父の飯島一郎氏から、会社を引き継いでいます。

④ウォルマート

4つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、ウォルマートです。社長職には外部の人間を登用しているものの、会社の株式は創業者の家族が所有し、経営権を承継しています。

ウォルマート株式の半数近くは、創業者サム・ウォルトンの長男ロブ・ウォルトンをはじめ、三男のジム・ウォルトン、娘のアリス・ウォルトンなどに集中しているのです。

⑤フォルクスワーゲン

5つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、フォルクスワーゲンです。フォルクスワーゲンの経営は、ピエヒ家とポルシェ家によって支配されています。

持ち株会社のポルシェSEが、フォルクスワーゲンの議決権の50%以上を所有し、ポルシェSEの株式はピエヒ家とポルシェ家が、100%の議決権を持っているのです。

フォルクスワーゲンは先のウォルマートと同様に、一族が株式の大半を所有して経営に対する発言権を持ちつつも、実質的な経営は社内・外部の者に任せています。

⑥ヤンマーホールディングス

6つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、ヤンマーホールディングスです。歴代の社長は、創業者の山岡孫吉にはじまり、長男の山岡康人、次男の山岡淳男が続き、現在は山岡敦男の長男・健人氏が社長を務めています。

⑦サントリーホールディングス

7つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、サントリーホールディングスです。歴代の社長は、創業者の鳥井信治郎から、次男の佐治敬三、長男の息子・鳥井信一郎、佐治敬三の息子・佐治信忠氏と引き継がれています。

ただし、現在の社長は親族外から登用され、かつてローソンの取締役社長・会長を努めていた新浪剛史氏が社長を務めています。

⑧竹中工務店

8つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、竹中工務店です。歴代の社長は、初代の竹中藤兵衛正高から17代目の竹中統一氏までを、一族から選んでいましたが、18代目からは親族外から社長を登用しています。

⑨大塚製薬

9つ目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、大塚製薬です。歴代の社長は、大塚製薬のはじまりとされる大塚製薬工場を含めると、初代の大塚武三郎氏から三代目の大塚明彦氏までを、一族が務めています。

それ以降は、外部の人材を登用し、現在に至ります。

⑩読売新聞

10番目に紹介する家業や親の会社を継いだ事例は、読売新聞です。歴代の社長は、創業して間もない時期こそ創業者たちや、その親族が務めていましたが、その後は親族を問わずに、社長が選ばれています。

ただし、株式の保有は、一定の割合を正力松太郎氏の一族によって占められています。現在の保有率は、約27%ほどです。

7. 家業や親の会社を継ぐ際の相談先

家業や親の会社を継ぐ際の相談先

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家業や親の会社を継ぐ場合には、金融機関や、M&Aアドバイザリー、M&Aの仲介会社などに相談をしましょう。

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8. まとめ

まとめ

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本記事では、家業を継ぐ・親の会社を継ぐ事業承継について、メリット・デメリット、必要な手続きなどを紹介しました。

後継者として親の事業を継ぐ方は、引き継ぐタイミングを見極めることが大切です。

また、承継の意思が固まっていなければ、前の仕事を引きずったり、引き継いだ事業に身が入らなかったりすることも懸念されまsす。

後継者となるかどうかを決めるときは、事業承継の良い点と悪い点を理解し、納得してから引き継ぐことを選択しましょう。

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