【中小企業】後継者不足で廃業した事例15選!廃業理由や売却と廃業どちらが得かも解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

後継者不足に悩む経営者のために、後継者不足で廃業した中小企業から、15の事例を取り上げました。廃業する理由や廃業・売却の比較にも触れているので、後継ぎのいない中小企業は、廃業か、M&Aによる事業承継を選んで、問題を解決してみましょう。


目次

  1. 後継者不足の廃業問題とは
  2. 後継者不足の廃業問題
  3. 後継者不足による廃業理由
  4. 後継者不足により廃業した事例15選
  5. 後継者不足での廃業と売却【どちらが得か】
  6. 後継者不足による廃業を選ぶ前に
  7. まとめ
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1. 後継者不足の廃業問題とは

後継者不足の廃業問題とは

出典: https://pixabay.com/ja/%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB-%E5%AE%9F%E6%A5%AD%E5%AE%B6-%E4%BC%81%E6%A5%AD-%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%81%A7%E3%81%99-%E8%82%96%E5%83%8F%E7%94%BB-%E5%A4%A7%E4%BA%BA-%E7%94%B7-2911330/

中小企業が抱える悩みのひとつに、後継者不足による廃業問題があります。会社を任せられる後継ぎが見つからないため、廃業を選んでしまうのです。

このような悩みを抱える中小企業の経営者に向けて、後継者不足による廃業問題の概要や、廃業を選ぶ理由、廃業の事例などを紹介します。
 

  1. 後継者不足の廃業問題
  2. 後継者不足による廃業理由
  3. 後継者不足により廃業した事例15選
  4. 後継者不足での廃業と売却【どちらが得か】
  5. 後継者不足による廃業を選ぶ前に


後継ぎが見つからず廃業を検討している方は、こちらの記事を読んで、廃業以外の可能性を視野に入れてみましょう。

2. 後継者不足の廃業問題

後継者不足の廃業問題

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/326020?title=%E9%96%89%E5%BA%97%E3%81%AE%E7%9C%8B%E6%9D%BF

後継者不足を理由に廃業を選ぶ中小企業は、高齢を迎え、廃業が身に迫るまで後継ぎを見つけられず、育成もままならない状態のため、廃業を選んだといえます。

2018年の中小企業白書では、経営者の年齢が年々高くなっていると伝えていました。中小企業の経営者を対象にした年齢ごとのグラフを見てみると、経営者の数が最も多い年齢は、1995年で47歳、2015年は66歳という結果です。

引用:中小企業庁・2018年版中小企業白書より

さらに、年代別に見た後継者の決定状況を調べると、60歳以上の年代では約5割の経営者に後継ぎが見つかっていないことがわかりました。中小企業の指揮を執る多くの経営者は、後継者不足に悩まされているのです。

加えて、休廃業・解散した企業のうち、経営者の年齢が60歳を超えている企業は全体の7割以上という結果です。

引用:帝国データバンク/第10回全国「休廃業・解散」動向調査より

2014年の中小企業白書では、廃業の可能性を感じてから特別な対応をしなかった経営者が、40%近くもいたことを発表しています。後継ぎを探したり、育てたりする行動を取った経営者は、5%ほどでした。

廃業を選んだ中小企業の経営者は、そのほとんどが廃業を避けようとはせず、少数の経営者に限り、廃業が現実味を帯びた後、後継ぎを探しているのです。

引用:中小企業庁・2014年版中小企業白書より

廃業と倒産の違い

後継者問題による中小企業の廃業問題を取り上げたところで、廃業と倒産の違いに触れてみます。どちらも会社の運営を取り止めることに変わりはありません。違う点は、営業を取り止める理由です。

廃業は、後継ぎや高齢化、病気などの問題を理由に、経営者の判断で事業を停止することを指しています。これらの問題が解消されれば、事業の継続は可能です。

そのため、廃業を選んだ会社のなかには、親族・従業員への事業承継や、M&Aによる譲渡により、会社・事業を引き継いでもらえる企業もあるといえます。

一方、倒産は経営の行き詰まりを理由にした、運営の停止を指しています。資金繰りがうまくいかないため、経営を続けたくても、経営者の意志だけでは、事業を続けることができないのです。

また、一定期間内に不渡り手形を出したり(2回以上)、民事再生・会社更生法が適用されたりする場合も、倒産という表現が使われます。

廃業と会社解散の違い

廃業と会社解散の違いは、会社の状態です。廃業は、会社の休業を意味し、運営を停止した状態を指しています。対して、会社解散は、会社を閉鎖した状態のことです。清算の手続きを踏み、法務局への登記を済ませて、法人格を消滅させることを指しています。

会社解散は、廃業の後に行う手続きと捉えてみましょう。こうすれば、2つの違いが明確になります。

3. 後継者不足による廃業理由

後継者不足による廃業理由

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/386694?title=%E6%98%A0%E7%94%BB%E9%A4%A8%E8%B7%A1

中小企業の経営者が後継者不足で廃業を選んだ場合、具体的にどのような理由を以て、会社の運営を止めようと決心をしたのでしょうか。2014年度版の中小企業白書によれば、後継者不足による廃業理由で最も多かったのは、経営者の高齢化と健康面の問題です。

中小企業の経営者のうち、約5割が年齢や体力の低下を理由に挙げていました。それでは、そのほかの廃業理由には、どのような内容が見られたのでしょうか。中小企業の経営者は、後継者不足による廃業理由に、以下のような内容を挙げています。

 

  1. 業種の将来性に不安
  2. 後継者がいない・育てる時間がない
  3. 事業承継を終えられない

①業種の将来性に不安

後継者不足による廃業理由のひとつ目は、業種の将来に感じた不安です。高齢・健康面に次いで、二番目の割合でした。この廃業理由は、全体の12.5%を占めています。

廃業した中小企業の業種には、小売業や建設業、製造業などが多く見られました。これらの業種はネット販売や、高齢化による人手不足、機械化に取って代わられるなど、事業を続けても経営が成り立たない事態が想定されるのです。

そのため、後継者不足に悩む経営者は、自社の事業に対して不安を抱いて、廃業の道を選んでいます。

 

②後継者がいない・育てる時間がない

後継者不足による廃業理由の2つ目は、後継者がいないこと、育成する時間がないことです。親族・従業員の中から後継ぎを探そうにも、家業を継ぐ気がなかったり、事業承継による税金が支払えなかったりと、思うように後継ぎを見つけられません。

また、中小企業の経営者は、会社の運営に忙しく、後継ぎの育成を後回しにしてしまいます。このような背景から、中小企業の経営者は、後継ぎに事業を任せようとしても、ふさわしい人物を見つけられずに、廃業を選択しているのです。

③事業承継を終えられない

後継者不足による廃業理由の3つ目は、事業承継を終えられない点です。親族や従業員、M&Aを利用した第三者への事業承継は、完了までに時間を要します。

親族や従業員への事業承継では、相続・贈与の手続きや、資金の調達、取締役会の承認を得るなど、承継する人物に合わせた対応が求められるのです。

M&Aを通じた第三者への事業承継でも、買い手候補を探すには、時間がかかります。そのほかにもクロージングまでには、デューデリジェンスや、トップ同士の会談、契約書の締結など、いくつかの手続きを踏む必要があるのです。

そのため、中小企業の経営者は、後継者不足に見舞われると、事業承継までの時間を理由に、廃業を選択しています。

【関連】事業承継で親族・従業員に株式を承継する方法・ポイントを解説!株価はどうなる?

4. 後継者不足により廃業した事例15選

後継者不足により廃業した事例15選

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/1075682?title=%E7%A9%BA%E3%81%8D%E7%89%A9%E4%BB%B6

後継者不足を理由に廃業を選んだ中小企業は、どのような事情があって、経営を中止したのでしょうか。廃業した中小企業は、次のような理由で営業を止めています。

①羽衣文具株式会社-チョーク製造の大手メーカー

ひとつ目の後継者不足による中小企業の廃業事例は、羽衣文具株式会社。チョークの製造業を営んでいたものの、2015年の3月に、自らの意志で廃業を選びました。

企業説明

羽衣文具株式会社は、創業80年を越える老舗のチョークメーカー。愛知県春日井市に拠点を置く中小企業で、硫酸カルシウムや炭酸カルシウムを原料としたチョークを製造していました。

国内のシェアはおよそ30%。学校への納品を主体とし、活況時の1990年には、9,000万本ものチョークを生産していました。

引用:東京商工リサーチより

製造するチョークは、「羽衣チョーク」の名で親しまれ、滑らかな書き心地・折れにくい・消しやすい・粉が出にくい、などの特長を完備。教員や予備校教師などから支持を集めていました。

廃業理由

廃業を選んだ理由は、後継者不足です。体調を崩したことをきっかけに、親族・従業員から後継ぎを探したものの、ふさわしい人物は見つけられませんでした。子どもたちは女性ばかりで、会社の財務状況も赤字が続いていたため、事業承継を諦めたのです。

その後

多くの利用者を抱えていたことで、会社売却を検討しましたが、製造機械は自社で独自開発していたため、会社を丸ごと譲り受けてくれる買い手は見つかりませんでした。

しかし、製造機械だけの承継に手を上げてくれる相手が見つかり、3台のチョーク製造機械を譲り渡しています。1台は黒板メーカーへ譲渡し、従業員の引き継ぎも受け入れてもらえました。

残りの2台は、自社のチョークを輸入していた韓国へ譲り渡します。製造機械と一緒に、チョーク製造のノウハウも譲渡し、韓国の土地に適した配合を教えるとのことです。

②梅の花本舗-梅ジャムの製造メーカー

2つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、梅の花本舗。東京都の荒川区で梅ジャムを製造していたメーカーです。昭和20年代から子どもたちに親しまれる梅ジャムをつくっていましたが、2017年に廃業を選んでいます。

企業説明

梅の花本舗は、梅ジャムやかたぬき、えんぴつあめなどを製造してきた会社です。主力商品は、昭和22年から製造する「元祖梅ジャム」。

製造のきっかけは、紙芝居屋への納品です。戦後の貧しい時代に、家計の足しになればと、くず梅に味付けをした梅ジャムを、紙芝居屋に納めるようになりました。

復興に合わせ駄菓子屋が増えるとともに、小袋に詰めた梅ジャムを販売。瞬く間に子どもたちの心を掴み、現在に至ります。

廃業理由

廃業した理由は、高齢による体力の低下です。製造に伴う重労働で、膝・股関節を傷めていて、これ以上無理がきかない状態に至ったため、廃業を決断しました。

その後

廃業を決めてから、第三者から事業承継の申し出があったものの、駄菓子屋の減少や少子化、子どもの味覚が変わったことにより、採算が取れないと判断。事業承継の話を断り、廃業を受け入れています。

③八景亭-料理旅館

3つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、八景亭です。彦根城の中にお店を構え、玄宮園を見渡せる料理旅館として営業していましたが、2017年の11月で廃業しています。

企業説明

八景亭は、滋賀県彦根市の彦根城の中で営業していた料理旅館です。数寄屋造りの建物と、回遊式の庭園・玄宮園を見渡せる景色を特徴とし、静かな環境を好むお客へ、料理と庭の景色を提供していました。

建物が建つ場所は、かつて井伊直弼によって茶会が開かれていたと伝えられています。建物の前には池、背後には彦根城がそびえる絶好の場所。宿泊客には、琵琶湖で取れた海産物を食べながら、優雅なとき過ごせる宿として利用されていました。

廃業理由

廃業した理由は、病気を患ったためです。経営を任せられる後継ぎを探しましたが、子どもたちはそれぞれ独立し、仕事を持っています。

事業承継により、旅館の味を引き継いでくれる第三者を求めましたが、店主のお眼鏡に適う後継ぎは現れてはくれなかったのです。そのため、後継者不足が解消できず、やむなく廃業の道を選び、旅館の営業を止めています。

その後

八景亭は廃業後、彦根市に還されました。建物は老朽が進んでいるため、調査を経て改修し、その後は市によって保存・管理していくとのことです。

④竹林味噌醸造所-地元客に親しまれた味噌屋

4つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、竹林味噌醸造所。明治から続く老舗の味噌屋として営業していたものの、2016年の5月に廃業を選びました。

企業説明

竹林味噌醸造所は、新潟県新潟市で営業していた味噌屋です。創業は明治41年。新潟産のコシヒカリ・大豆を使った味噌や、野菜を漬け込んだ甘口の味噌などを提供していました。

1996年に5代目が就任し、2002年には新しい社屋と店舗を建てるなど、積極的に事業を進めていました。

廃業理由

廃業を選んだ理由は、食の変化に対応できずにいたことです。経営の代替わりも、これまでのようには進まず、後継者不足に悩まされていました。後継ぎが見つからないことに加えて、食卓で味噌を扱う家庭が少なくなり、味噌の需要が減ってしまっていたのです。

このような事情により竹林味噌醸造所は、廃業の道を選び、会社の運営を止めています。
 

その後

会社を清算する手続きは、2016年の5月10日までに行い、同月20日に会社の業務を停止ししています。

⑤株式会社タイガー商会-地球ゴマの製造会社

5つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、株式会社タイガー商会。人気商品の地球ゴマを製造していたものの、2015年の7月で廃業しています。

企業説明

株式会社タイガー商会は、名古屋市の千種区で事業を営んでいた地球ゴマの製造会社です。創業は、1921年。地球ゴマは海外へと販路を広げ、国内での販売は1960年代のCMをきっかけに、注目が集まりました。数多くの模倣品が、人気の高さを象徴しています。

会社を立ち上げてから90年近くもの間、職人の手で精度の高い製品を提供してきました。確かな技術力を持ち、ほとんどの部品を内製化でまかなっていたのです。
 

廃業理由

廃業を選んだ理由は、職人の高齢化、人材不足、材料費の高騰です。2代目の社長が亡くなってから後継者不足の問題が、一時浮上しました。このときは、親族に形だけの社長業をお願いすることで危機を乗り切ったのです。

ただ、今回の後継者不足では、後継ぎを探してはみたものの、適した人材を見つけることはできませんでした。

さらに、以前から職人不足・高齢化の問題で、フル稼働の状態に至っておらず、地球ゴマの製造に使う原材料の価格も上がってしまい、赤字を計上していたのです。

このような状態が続き、蓄えていた資産に限りが見えたことから、株式会社タイガー商会は、会社の活動を停止する廃業を選んでいます。

その後

会社で働いていた職人が、「タイガージャイロスコープ」という会社を立ち上げました。地球ゴマの販売を手掛ける会社として、元職人が新たに始めた会社です。

株式会社タイガー商会の廃業が表に出てから、数十件に及ぶ問い合わせがありました。新会社を立ち上げた元職人は、その中から金属加工に長けた会社を選び、地球ゴマの製造を任せたのです。

新会社での製品名は「地球ジャイロ」。2016年の11月に製品の発表が行われています。

⑥岡野工業-高い技術力を持つ町工場

6つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、岡野工業です。年商は8億円で、黒字経営の状態にあったものの、後継者不足を理由に、2020年に廃業することを発表しています。

企業説明

岡野工業は、東京都の墨田区で事業を行う町工場。高い技術力を持ち、深絞りによる金属板の加工や、痛くない注射器の開発などを手掛けてきました。数多くの特許を取得し、少数の従業員で高品質の製品を提供しています。

廃業理由

廃業を決めた理由には、ふさわしい後継ぎが見つけられなかったことを挙げています。娘が2人いるものの、後継ぎとして働く気はありませんでした。

娘の婿が社員として働き、技術を磨きましたが、経営者向きではないと判断し、事業承継を断念。孫に継がせることも検討したものの、金属加工業の需要に確信が持てず、後継ぎに向かえることを諦めました。

このような理由により、黒字経営を続けていても後継者不足が解消されず、廃業の道を選んでいるのです。

その後

岡野工業は、M&Aによる事業承継を行いません。取引先への影響を懸念して、取得した特許はメーカーの元に移すとのことです。技術が失われないよう、自社に社員を招いて、数年間技術の承継を行っていました。

そのほかの取引については、受けていた仕事を別の会社に引き継いでもらう予定。使用する機械類も、引き継ぎ先の会社へ譲り渡すとのことです。

⑧新右ヱ門 秀峰閣-老舗旅館

8つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、新右ヱ門・秀峰閣です。多くの文人に親しまれ、利用客の心身をいやしてきたものの、2018年の3月で閉館。廃業の道を選択しました。

企業説明

新右ヱ門・秀峰閣は、石川県金沢市の湯涌温泉にあった旅館です。温泉が見つかって以来1,300年、加賀藩の前田家や、詩人の竹久夢二などに親しまれてきました。

名泉に数えられた温泉をはじめ、日本海でとれた海産物・地元の野菜・能登牛などを使った料理や、四季の移ろいを楽しめる客室など、都会の喧騒を忘れさせる旅館です。また、テレビアニメ「花咲くいろは」のモデルになったといわれています。

廃業理由

廃業を選んだ理由は、人材不足です。後継者不足を抱え、従業員の確保もうまく進んでいませんでした。後継ぎ問題と人材の確保に見通しが立たないため、廃業という選択を取っています。

その後

旅館が所有する不動産(土地と建物)は、第三者に譲り渡すことを決め、手続きを進めるとのことです。

⑨千代泉酒造所-泡盛の酒造所

9つ目の後継者不足による中小企業の廃業例は、千代泉酒造所です。琉球泡盛づくりに励んでいましたが、2013年に経営者が亡くなったことで、泡盛の製造はストップ。休業状態が続き、2018年の3月に廃業を選んでいます。

企業説明

千代泉酒造所は、沖縄県の宮古島市に拠点を置く、琉球泡盛の酒造所です。戦争が終わってすぐ、7名の仲間と共に事業を開始。使用する水に、琉球石灰岩から染み出した硬水を選ぶことで、キレ・コク・甘さを備えた泡盛に仕上げていました。

廃業理由

廃業した理由は、出荷量の減少です。経営者が亡くなった後も、会社は休業に近い状態が続いていましたが、泡盛の出荷量が減っているため、事業に将来性が見いだされず、後継ぎが現れなかったのです。

千代泉酒造所は、このような事情により事業承継を断念し、廃業することを選んでいます。

その後

貯蔵タンクに残されていた泡盛の原種を、協同する泡盛倉庫とカナイ経営支援研究所に譲り渡して、清算に入るとのことです。

⑩田中窯業-登り窯を使った蛸壺づくりの窯元

10番目の後継者不足による中小企業の廃業例は、田中窯業です。明治から末田焼をつくってきましたが、2代目の引退に合わせ、2016年に廃業しています。

企業説明

田中窯業は、山口県防府市に拠点を置く会社です。末田地区に窯を設け、登り窯による蛸壺づくりを行ってきました。

田中窯業の特徴は、土管づくりの製法を応用した蛸壺づくり。タコ漁師に向けて焼き物を生産し、繁盛していた時期には一年で2万の数を出荷していました。

廃業理由

廃業した理由は、需要の減少です。後継者不足に加え、タコ漁の仕方が変わり、蛸壺の需要が減ってしまいました。そのため、事業承継を選ばずに、廃業を選択しています。

その後

廃業していた蛸壺づくりは、3代目に引き継がれました。体験教室を通じ興味を持った男性が、後継ぎに立候補。中止していた事業を再開させています。今後は先代と共に、体験教室などを開いて、認知度を高める予定。

漁に使用する蛸壺のほかにも、室内に飾るインテリア用の焼き物も提供していくとのことです。

⑪ホテル山水-定山渓温泉の宿

11番目の後継者不足による中小企業の廃業例は、ホテル山水です。夫婦二人三脚で少数のお客を相手に、料理と宿を提供してきましたが、2018年の3月で廃業の道を選んでいます。

企業説明

ホテル山水は、北海道の定山渓温泉にあったホテルです。開業は、1960年。先代からバトンを引き継ぎ、1982年からは2代目夫婦がホテルを切り盛りしていました。

季節を感じられる料理をふるまい、再度訪れたお客には、前回とは違った料理を提供。内風呂と、眺めのいい露天風呂も人気でした。抑えた料金ながら、室のよいサービスが味わえるとあって、リピート客の多い宿として知られています。

廃業理由

廃業した理由は、年齢です。70歳までに辞めることを決めていたものの、高齢になっても後継者不足が解消されず、廃業することを選んでいます。

その後

ホテルは、第三者への譲渡が決まっています。買い手は、ホテル業以外での利用を考えているとのことです。

⑫城崎温泉街の宿-元置屋の木造建築

12番目の後継者不足による中小企業の廃業例は、城崎温泉街にある宿です。風情のある木造建築の建物で、宿泊客をもてなし、営業を行っていました。しかし、2016年に廃業を選んでいます。

企業説明

旅館は、城崎温泉街にあった宿です。建物は、芸子さんの置屋をベースとした造り。城崎温泉の風情に合った建物で、宿泊客にサービスを提供していました。

廃業理由

廃業した理由は、主人の急逝です。2016年に亡くなってしまったため、後継者不足の問題が浮上。後継ぎがいなかったことで、廃業を選んでいます。

その後

木造建築は、ゲストハウスとして生まれ変わりました。子どもたちが、建物を活かす道を選択。趣きのある建物を壊さずに、女性専用のゲストハウスに改修することを選んだのです。

⑬京菓子匠 源水-老舗の和菓子家

13番目の後継者不足による中小企業の廃業例は、京菓子匠・源水です。江戸時代の後期から和菓子を提供していましたが、2018年の3月で廃業しています。

企業説明

京菓子匠・源水は、京都市中京区にお店を構えていた和菓子屋です。創業は、1825年。店名の源水は、初代の名前と近江を象徴する水から取られています。

提供する和菓子は多くの人に親しまれ、なかでも羊羹に大納言小豆を載せた「ときわ木」が人気でした。川端康成の好物としても知られています。

廃業理由

廃業した理由は、高齢による体力の低下です。立仕事で腰に負担がかかり、仕事を続けることができなくなりました。さらに、後継者不足も解消されなかったため、廃業することを選んでいます。

その後

後継ぎがいないため、2018年の3月を以て、営業を停止。お店を閉めています。

⑭春本旅館-学生に親しまれた宿

14番目の後継者不足による中小企業の廃業例は、春本旅館です。昭和初期から旅館を経営していましたが、2016年の10月に廃業しています。

企業説明

春本旅館は、鹿児島県鹿児島市にあった旅館です。創業は、1942年。「すべてのサービスを可能な限り安く提供する」ことを掲げ、豊富なコース料理を提供し、落ち着ける和室、宴会場などを完備する旅館です。

学生たちには遠征・センター試験などで利用されることが多く、スポーツ・学業に励む生徒を支えていました。また、旅館ではペット同伴で泊まれる部屋を用意。春本旅館は、ペットとの旅を支える旅館としても、利用されていました。

廃業理由

廃業した理由は、売り上げの減少です。子どもの数が減ったことで、利用者が減少。売り上げが落ち込んでしまい、後継者不足の問題も解消されずにいたため、廃業することを選択しました。

その後

M&Aによる事業承継は行われず、不動産の譲渡に留まっています。2016年の11月下旬に、土地の売却を行うとのことです。買い手は建物を使用せず、旅館の跡地にマンションを建てることを計画しています。

⑮矢部の湯-創業81年の銭湯

15番目の後継者不足による中小企業の廃業例は、矢部の湯です。地域から憩いの場として利用されていましたが、2017年の9月に廃業しています。

企業説明

矢部の湯は、横浜市の戸塚区にある銭湯です。創業は、1936年。3代続いた老舗の銭湯で、最盛期にはお風呂の椅子が足りなくなるほどの繁盛ぶりでした。

矢部の湯の特徴は、薪を使ったお湯です。やわらかい肌触りと湯冷めのしにくさが好評で、隣接する区からもお客さんが訪れるほどでした。

廃業理由

廃業した理由は、高齢化・設備の老朽化・燃料の不足・利用客の減少・近隣住民から苦情です。70歳を迎えたことで体が追いつかなくなりました。さらに、設備も古くなってきたり、燃料の薪を手に入れることも難しくなったりと、いくつかの問題を抱えていたのです。

また、マンションなどの集合住宅が増えたことで、利用客が減り、住民からは煙への苦情が寄せられるようになりました。このような事業が重なり、後継者不足の問題も解決されなかったため、廃業の道を選択しています。

その後

M&Aを通じた事業承継は行われていません。土地の売却に関する情報は得られていないものの、銭湯のあった場所にはアパートが建てられています。

【関連】後継者・跡継ぎがいない会社の選択肢まとめ!廃業・M&A・事業承継を比較!

5. 後継者不足での廃業と売却【どちらが得か】

後継者不足での廃業と売却

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/1853593?title=%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AD%90

後継者不足の問題を解消するには、廃業のほかにも、事業・会社を売却する手段も残されています。果たして、どちらの方法が中小企業の経営者にとって、得といえるでしょうか。

紹介する廃業と売却のメリット・デメリットを知って、得といえる方法を選んでみてください。

後継者不足による廃業のメリット・デメリット

後継者不足による廃業には、メリットとデメリットが存在します。廃業を検討する方は、実行に移す前に、これらの内容をしっかりと把握しておきましょう。

 

  1. 【メリット】①引き継ぎ問題の悩みがなくなる
  2. 【デメリット】①事業の中止や従業員の雇用問題
  3. 【デメリット】②資産売却や債務などのリスク

【メリット】①引き継ぎ問題の悩みがなくなる

ひとつ目の、後継者不足による廃業のメリットは、引き継ぎの問題を解消できる点です。廃業を選べば、後継ぎを探したり、育てたりする苦労から解放されます。

中小企業によっては、後継者不足と合わせて、経営者の高齢化の悩みも抱えています。後継ぎに事業承継するまでは、衰えた体で事業を続けなければいけません。廃業の道を選択すれば、引き継ぎを待つ必要がなく、高齢の体を労わることが可能といえます。

【デメリット】①事業の中止や従業員の雇用問題

ひとつ目の、後継者不足による廃業のデメリットは、事業の中止と雇用契約の解除です。廃業を選んでしまうと、これまでのように事業は継続されません。顧客と取引先に影響を与えるため、廃業する旨を知らせる必要があります。

また、従業員を雇う必要がなくなるので、雇用契約を解除しなければいけません。再就職先を手配したり、退職金・未払いの給料を支払ったりと、廃業による対応が必要とされます。

【デメリット】②資産売却や債務などのリスク

2つ目の、後継者不足による廃業のデメリットには、資産売却・債務などのリスクが挙げられます。在庫の製品・商品を売却するとしても、8割ほどの額でしか買い取ってもらえません。

また、工場などの事業所を取り壊す際には、解体費用がかかり、更地にするためにもお金を支払う必要があります。

そのほかのリスクは、借入金の支払い義務です。廃業を選ぶ場合、収入がない状態で借りたお金を返さなければならないので、経営者には借入金を支払える余裕が求められます。

後継者不足による売却のメリット・デメリット

では、後継者不足による売却には、どのようなメリットとデメリットが見られるのでしょうか。事業・会社の売却では、次のような良し悪しが挙げられます。
 

  1. 【メリット】①売却益を手にできる
  2. 【メリット】②従業員や事業の引き継ぎが可能
  3. 【メリット】③技術や名前などの継承が可能
  4. 【デメリット】①すぐに後継者が見つかるとは限らない
  5. 【デメリット】②望み通りの承継ができるとは限らない

【メリット】①売却益を手にできる

ひとつ目の、後継者不足による売却のメリットは、売却益の獲得です。買い手が売り手の特許や、営業権、事業の将来性を評価したり、既存事業とのシナジー効果を見いだしたりすれば、譲渡価格を上げられます。

廃業よりも高い売却益を得られる可能性があるため、M&Aによる事業承継にはメリットがあるといえるのです。

【メリット】②従業員や事業の引き継ぎが可能

2つ目の、後継者不足による売却のメリットは、引き継がれる雇用・事業です。M&Aを利用して事業承継を行えば、従業員の雇用契約を引き継いでもらえます。

事業譲渡の場合でも、譲渡契約に雇用の継続を盛り込めば、買い手や取引先などの承認によって、契約の再締結が可能です。

また、売却を選べば、事業はなくなりません。経営者の想いを汲んだ買い手に承継してもらえれば、事業は継続されます。
 

【メリット】③技術や名前などの継承が可能

3つ目の、後継者不足による売却のメリットは、技術・名前などの承継です。事業の売却を選ぶと、価値のある技術力が失われず、事業承継によって、買い手へと受け継がれます。これなら、業界・取引先への影響を抑えられるのです。

さらに、M&Aによる株式譲渡を選べば、会社の名前が残されます。株式の所有者が変わるだけなので、会社名は継続して使われるのです。

【デメリット】①すぐに後継者が見つかるとは限らない

ひとつ目の、後継者不足による売却のデメリットは、後継者を見つけるまでの時間です。事業・会社の売却を検討しても、すぐに後継ぎが見つかるとは限りません。第三者への事業承継でも、募集をかけてから買い手が現れるまでには時間を要します。

そのため、売却を選んだとしても、後継者の育成を怠っていたり、買い手候補の出現までに時間がかかったりすると、止むを得ず廃業の道を選択せざるを得ない事態も想定されるのです。

【デメリット】②望み通りの承継ができるとは限らない

2つ目の、後継者不足による売却のデメリットは、承継内容への妥協です。事業承継の場合、買い手によって譲り受ける事業や資産、特許、債権などが選ばれます。そのため、売り手が望んでいても、必ず承継してくれるとは限らないのです。

【関連】事業承継と廃業(清算)を比較!どちらが得する?

6. 後継者不足による廃業を選ぶ前に

後継者不足による廃業を選ぶ前に

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/728842?title=%E6%8B%92%E5%90%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3

後継者不足を抱える中小企業は、廃業を選ぶ前に、次の方法を検討してみましょう。状況によっては、廃業を避けられるかもしれません。
 

  1. 後継者を育成する
  2. 強みをPRし譲渡先企業を募集する
  3. 専門家に相談する

①後継者を育成する

ひとつ目の、後継者不足による廃業回避の手段は、後継者の育成です。親族・従業員・役員から後継ぎが見つからなかった場合には、後継者を育成しましょう。後継ぎ候補を選んだら、自社の各部門を経験させ、経営への参加を許可してください。

また、ほかの会社で経験を積ませることも、ひとつの手段です。自社にはない考えやノウハウなどを獲得できれば、承継後の会社経営に活かせます。

ただし、後継者の育成は、短期間では終えられません。廃業を考えてから育成が終わるまで、経営を続けられる体力を残していることが条件といえます。

②強みをPRし譲渡先企業を募集する

2つ目の、後継者不足による廃業回避の手段は、自社の強みを押し出した募集です。自社にはアピールするほどの魅力がないと、思い込んではいけません。

買い手によっては、今後の経営を後押ししたり、既存事業とのシナジーを得られたりと、魅力的な売り手企業と映ります。そのため、廃業を選ぶ前に、丹念に自社の強みを調べてみましょう。PRのポイントを絞ると、買い手企業の目に留まりやすいといえます。

③専門家に相談する

3つ目の、後継者不足による廃業回避の手段は、専門家への相談です。後継者の育成が間に合わず、強みをアピールしても買い手が見つからない事態も考えられます。そんなときは、会計士などの士業や、金融機関、M&Aアドバイザー・仲介業者に相談をしましょう。

ふさわしい買い手を紹介してくれたり、言いにくい要望などを相手に伝えたりしてくれます。そのほかにも、デューデリジェンスへの対応や、クロージングまでのサポートなど、売却の手続きを任せられるのです。

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M&A総合研究所は、事業・会社売却の仲介を行う会社です。こちらの仲介会社では、以下のような強みにより、多くの成約をもたらしています。

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  2. クロージングまでは、平均で3~6カ月
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仲介手数料は、成功報酬のみの支払いです(レーマン方式マイナス1%)。着手金・中間金を支払わずに済むため、気軽に売却の相談を持ち掛けられます。

また、クロージングまでは平均3~6カ月と短いことから、廃業が身に迫った中小企業に向いています。独自のAIシステムを活用することで、ふさわしい買い手を抽出。事業・会社売却を手助けします。

中小企業の経営者で、後継者不足による廃業の悩みを抱えている方は、M&A総合研究所への相談を検討してみましょう。無料で相談を受け付けているので、気軽に問い合わせをしてみてください。

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7. まとめ

まとめ

出典: https://www.photo-ac.com/main/detail/1276081?title=close%E3%81%AE%E6%A1%88%E5%86%85

後継者不足で廃業した事例と、廃業・売却の選択について紹介しました。中小企業の多くは、後継者不足の問題を抱えています。また、体力が低下したり、病気にかかったりして、止む無く廃業を選ぶ企業も少なくありません。

後継者が見つからない場合は、廃業のほかにも、売却という手段を考えてみましょう。M&Aの仲介会社に相談すれば、短期間での事業承継も可能です。得られる売却益や、従業員や取引先への影響などを考慮して、ふさわしい手段を選んでみてください。

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