2021年08月11日更新
株式譲渡の際の源泉徴収や税金は?気を付けるポイントなどまとめ
株式譲渡で譲渡益がでた場合は納税することになりますが、源泉徴収すべきかどうかなど分かりにくい部分もあります。本記事では、株式譲渡時の源泉徴収や税金について、税率や税金の計算式、所得税や住民税の取り扱い、損失の繰越控除などを解説します。
1. 株式譲渡の際の源泉徴収や税金は?
株式譲渡を行うと譲渡益に対して税金がかかりますが、証券会社で源泉徴収ありの特定口座を使っている場合は、自動的に源泉徴収されて確定申告が不要となります。
株式譲渡の税金は、源泉徴収して確定申告しなくてよい場合と、確定申告したほうが節税できる場合があります。
しかし、確定申告すべきかどうかの判断は、株式譲渡が初めての人にとって分かりにくいものです。この章では、まず株式譲渡とは何か、その際にかかる源泉徴収と税金について解説します。
株式譲渡とは
株式譲渡とは、後継者(買い手)となる人物や企業が当該企業の株式を取得し経営権を得ることです。
株式譲渡という用語は単に株式を譲り渡すという意味ではなく、それによって経営権を譲渡するM&Aスキーム(手法)の意味で使われることが多いです。
株式譲渡はM&A・事業承継の最も一般的な手法で、事業譲渡などの他手法に比べて手続きが分かりやすいのがメリットです。
株式譲渡の際の源泉徴収や税金について
株式譲渡で得た譲渡益にかかる税金は、確定申告で納税することもできますし、証券会社に源泉徴収してもらうこともできます。
株式譲渡を行う際は、源泉徴収できるのはどのような場合か知るとともに、税率や税金の計算式について理解しておくことが大切です。
株式譲渡時の源泉徴収の有無
証券会社の口座から株式譲渡した場合、売却益が源泉徴収される場合とされない場合があります。
源泉徴収されるのは、源泉徴収ありの特定口座で株式譲渡した場合です。証券会社の口座には、源泉徴収ありの特定口座・源泉徴収なしの特定口座・一般口座の3種類があり、源泉徴収なしの特定口座と一般口座では源泉徴収されません。
源泉徴収されない口座で株式譲渡した場合は、自分で確定申告して納税することになります。
源泉徴収ありの特定口座は確定申告は原則不要ですが、損失がでた時は確定申告すれば納税額を減らせることがあります。
【口座の種類による源泉徴収の有無】
口座の種類 | 源泉徴収の有無 |
源泉徴収ありの特定口座 | 源泉徴収あり |
源泉徴収なしの特定口座 | 源泉徴収なし |
一般口座 | 源泉徴収なし |
株式譲渡時の税金の税率
株式譲渡で譲渡益が出た時の税金の税率は、譲渡益の額によらず所得税15%と住民税5%となります。事業所得などと違って累進課税ではないのが注意点です。
さらに、2037年までは復興特別所得税が課税されます。復興特別所得税の税率は所得税額の2.1%となっており、所得額ではなく所得税額に対して課せられるので注意しましょう。
【株式譲渡時の税金の税率】
税金の種類 | 税率 |
所得税 | 所得額の15% |
住民税 | 所得額の5% |
復興特別所得税 | 所得税額の2.1% |
株式譲渡時の税金の計算式
源泉徴収なしの特定口座で株式譲渡した場合は、税金を計算して確定申告する必要があります。また、源泉徴収ありの特定口座を使う場合でも、税金の計算式を知っておくのは有益です。
株式譲渡の税金は、譲渡価格ではなく所得額に対して課せられるので、まずは譲渡価格から所得額を計算する必要があります。株式譲渡の所得額は、譲渡価格から必要経費と各種控除を引いて求めます。
所得税と住民税の税率はそれぞれ所得額の15%と5%なので、先ほど求めた所得額に0.15または0.05を掛けると所得税額と住民税額が求まります。
そして、復興特別所得税の税率は所得税額の2.1%なので、先ほど求めた所得税額に0.021を掛けると求まります。
【株式譲渡時の税金の計算式】
- 所得額=(株式の譲渡価格)-(譲渡にかかった経費)-(各種控除)
- 所得税額=(所得額)×0.15
- 住民税額=(所得額)×0.05
- 復興特別所得税額=(所得税額)×0.021
2. 株式譲渡の際に気を付けるポイント
事業承継やM&Aで経営権を譲るために株式譲渡すると、会社の全株式または大部分の株式を譲渡するので、税金がかなり高額になるケースもあります。
そのため、株式譲渡を行う際は、源泉徴収や税金について気をつけるべきポイントを押さえて、節税できる方法を理解しておくことが大切です。
源泉徴収で気を付けるポイント
株式譲渡にかかる税金を源泉徴収で済ますのは便利ですが、場合によって確定申告したほうが得になることがあります。株式譲渡の源泉徴収では、確定申告すべきか正しく判断することが大切です。
基本的には、譲渡損がでた場合に確定申告すれば得になりますが、ほかにも譲渡益の額や株式の種類(上場株式か一般株式か)など、さまざまな要素が影響します。
これらの要素も全て考慮したうえで判断すべきですが、これは専門家でないと難しい部分もあります。株式譲渡を行う際は、税理士などの専門家から源泉徴収についてサポートを受けるとよいでしょう。
所得税と住民税の申告について
所得税と住民税は別々の課税方式で納税できる場合もあり、うまく使えば節税できる可能性もあります。
選択できる課税方式は、上場株式か一般株式か、譲渡所得か配当所得かなどの条件によって変わってきます。課税方式の判断はやや複雑なので、必要なら税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
例えば、上場株式の配当所得の場合、所得税の課税方式は総合課税・申告分離課税・申告不要制度のなかから選択できます。
所得額などの条件によっては、所得税は総合課税にして住民税だけ申告不要制度にすると、納税額が少なくなったり国民健康保険料が安くなる場合があります。
税金で気を付けるポイント
株式譲渡は譲渡益がでている場合は源泉徴収で納税することもできますが、損失がでている場合は別途確定申告を行わないと税金面で不利になることがあります。株式譲渡では、損失が出た場合の税金の取り扱いに気をつけることがポイントです。
株式譲渡で損失がでた場合に行うのは、損益通算と繰越控除です。複数の株式を売却して利益がでた株式がある場合は、確定申告で損益通算しておくと節税できます。
損益通算してもまだ損失がある場合は、確定申告で繰越控除しておけば来年以降の利益と相殺できます。
譲渡損失に対する繰越控除について
株式譲渡で譲渡損失がでた場合は、その旨を確定申告することで損失を来年以降に繰り越すことができ、来年利益がでた場合は、繰り越した損失と相殺することが可能です。
相殺してもまだ損失が残る場合は、再来年に繰り越して同様に利益と相殺できます。譲渡損失の繰越控除は3年先まで行うことができます。
3. 株式譲渡におすすめのM&A仲介会社
株式譲渡は税金を源泉徴収で済ませるか、それとも確定申告するべきかなど、分かりにくい点が多くあります。M&A仲介会社に相談して、専門家のサポートを受けながら手続きを進めていくのがおすすめです。
M&A総合研究所は、中堅・中小企業M&Aを手がけている仲介会社です。株式譲渡の経験豊富なアドバイザーがM&Aをフルサポートいたします。
M&Aによる株式譲渡では、シナジー効果の高い買い手をみつけることが大切です。当社では独自のマッチングシステムを使い最適な買い手を探すとともに、譲渡価格の交渉や面談指導も行っています。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
4. まとめ
株式譲渡は譲渡益を源泉徴収すべきか、それとも確定申告すべきかなど、ポイントを押さえることが節税につながります。
所得税と住民税の申告方法や、損失がでた場合の損益通算・繰越控除などを理解しておくことが大切です。
【口座の種類による源泉徴収の有無】
口座の種類 | 源泉徴収の有無 |
源泉徴収ありの特定口座 | 源泉徴収あり |
源泉徴収なしの特定口座 | 源泉徴収なし |
一般口座 | 源泉徴収なし |
【株式譲渡時の税金の税率】
税金の種類 | 税率 |
所得税 | 所得額の15% |
住民税 | 所得額の5% |
復興特別所得税 | 所得税額の2.1% |
【株式譲渡時の税金の計算式】
- 所得額=(株式の譲渡価格)-(譲渡にかかった経費)-(各種控除)
- 所得税額=(所得額)×0.15
- 住民税額=(所得額)×0.05
- 復興特別所得税額=(所得税額)×0.021
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