2020年10月01日更新
製麺会社のM&A・売却・買収!事例や動向、価格相場を解説

税理士法人系M&Aブティックにて調剤薬局・食品製造業・保険代理店業等のM&Aを成約に導く。会社法、会計、税務等の幅広い知識、M&A成約の経験を活かし、調剤薬局・食品製造・保険代理店業界を中心に担当。
近年、製麺会社のM&A・売却・買収は増加傾向にあり、業界全体が徐々に縮小しているなか、積極的に買収を行う企業もみられます。当記事では、製麺会社のM&A・売却・買収の動向や価格相場を解説するとともに、丸亀製麺やフジオフードシステムなどのM&A事例を紹介します。
目次
1. 製麺会社のM&A・売却・買収・事業承継
ラーメン人気にも牽引され、製麺会社の市況は高い位置を維持しています。個人店から大規模多店舗展開をする企業が共存し、共にオリジナリティに富んだ商品性を前面に出すことで、消費者から公平な目線で評価されるため、ある種特殊な業界ともいえるでしょう。
近年、その製麺会社のM&A・売却・買収・事業承継が増加傾向にありますが、その背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
当記事では、製麺会社や麺類を扱う企業のM&A・売却・買収・事業承継について、具体的な事例を紹介しながら解説します。
製麺会社とは
主には、麺類を企画製造し、麺類を扱う店舗やスーパーなどに、麺類を卸売りする製麺所を指します。
最近では自家製麺へこだわる飲食店舗もあり、広義の意味では麺類を扱う会社や店舗全般を製麺会社と呼びます。
M&A・売却・買収とは
M&Aとは、企業や事業の売却・買収・譲渡・承継を意味する言葉です。広い意味では資本政策を伴う業務提携なども、M&Aのひとつの形態と捉えることもあります。
製麺会社のM&Aが行われる場合、事業拡大のひとつの手段として実施されることが多く、特に多店舗展開をしている製麺会社の買収は、一気に市場規模の拡大を実現できます。
加えて、同業者による買収の場合には、本業とのシナジーも図りやすいことから、製麺会社は積極的なM&Aが行われています。
事業承継とは
事業承継とは、会社などの事業を後継者に引き継がせることを意味します。引き継ぎは、親族へ行われる場合と親族外の社員・役員などへ行われる場合、M&Aによって第三者に引き継ぐ場合の3つがあります。
事業承継では、個別資産の売却や買収ではなく事業全体を引き継ぎ、営業権や各種契約の地位・信用や取引先・現預金や負債など、事業の全てを引き継ぐことで会社を継続させます。
昨今、後継者不在による事業承継問題は社会問題として大きくクローズアップされているなか、製麺会社も同じように、後継者不在によるM&Aが活発に行われている業態のひとつといえるでしょう。
2. 製麺会社のM&A・売却・買収事例
この章では、製麺会社のM&Aや売却・買収が行われた事例を4つ紹介します。
- フジオフードシステムによる買収事例
- 吉野家ホールディングスによる製麺会社の買収事例
- 創業新幹線による製麺会社の買収事例
- 株式会社JFLAホールディングスによるどさん子の買収事例
フジオフードシステムによる買収事例
1例目は、株式会社フジオフードシステムによる製麺会社の買収事例です。フジオフードシステムは、中期経営計画のなかで、M&Aや資本業務提携を成長戦略に掲げ、事業の拡大を積極的に図っています。
フジオフードシステムのメインブランドである「まいどおおきに食堂」「串屋物語」「かっぽうぎ」「つるまる」などを中心に、大衆系飲食事業に幅広く取り組んでいるなか、「博多ふくいち」「サバ6製麺所」「グレートイースタン」などを次々と買収しました。
2019年11月には、ミシュランガイドにも紹介された手打ち蕎麦専門店「土山人」を買収し、新しく蕎麦事業への進出に成功、その事業規模は急速な拡大を遂げています。
吉野家ホールディングスによる製麺会社の買収事例
2例目は、大手老舗チェーン吉野家ホールディングスによるラーメンチェーン店「せたが屋」の買収です。
せたが屋は、2000年に創業者である前島司氏が設立したラーメンチェーン店です。買収当初は国内に14店舗と米国3店舗を構え、年商は約15億円でした。
売り上げは前年比を割ったことがなく、緩やかだが右肩上がりの成長だった「せたが屋」の株式売却について、前島氏は「成長のためのリソースの確保」であると述べています。また、経営の効率化による従業員の満足度も向上しました。
また、吉野家ホールディングスは、2006年に「はなまるうどん」を展開する株式会社はなまるを完全子会社化しています。
吉野家ホールディングスは、戦略性のあるM&Aの実行により、事業のさらなる成長を図っています。
創業新幹線による製麺会社の買収事例
株式会社創業新幹線は、2019年7月、株式会社グッドヌードルイノベーションの全株式を取得し、完全子会社にすると発表しました。
創業新幹線は、2009年の起業支援事業からスタートし、昨今では海外展開や飲食事業のコンサルティング、外食産業など幅広い事業を展開しています。
一方、グッドヌードルイノベーションは2014年に創業した企業です。ラーメン店「灯花」を運営するほか、飲食事業コンサルティングや食料品の卸売り事業などを展開しています。
創業新幹線とグッドヌードルイノベーションは、両社の持つ強みをさらに高めあいながら、国内外での事業展開を積極的に推進するとしています。
株式会社JFLAホールディングスによるどさん子の買収事例
かつて一世を風靡した味噌ラーメンチェーン店「どさん子」は、最盛期である1970年代には約1,200店舗を構え圧倒的な地位を得ていました。
しかし、1990年代初頭からの空前のラーメンブームにより、一時は株式公開を果たすまでに成長するも、加盟店の承継者不在の影響もあり店舗数が縮小しました。結果として赤字は解消されず、架空売上計上もあり、2012年に上場廃止しています。
2014年、アスラポート・ダイニング(現JFLAホールディングス)は「どさん子」を買収し、傘下におさめました。その後「どさん子リブランドプロジェクト」を進め、新生どさん子として再発進を遂げています。
3. 製麺会社のM&A・売却・買収動向
前章では、製麺会社のM&A・売却・買収事例を紹介しましたが、製麺会社を取り巻くM&Aの動向はどうなっているのでしょうか。ここでは、製麺会社のM&A・売却・買収動向にみられる4つの特徴を解説します。
【製麺会社のM&A・売却・買収動向】
- 丸亀製麺のような製麺製法が主流
- 市場規模は全体的に縮小傾向
- 断片市場ならではの競争がある
- 業界再編を睨んだM&Aが増加
①丸亀製麺のような製麺製法が主流
自家製麺にこだわり急速に拡大した丸亀製麺ですが、「ここのうどんは、生きている」という一見シンプルなキャッチコピーが、ファンの心を貫いています。
昨今の製麺会社は、丸亀製麺のような自家製麺にこだわる事業を展開するところが増加しています。店舗内の製麺機または手打ちにて製麺し、出来立ての香り高い麺を素早く提供します。
自家製麺にこだわる多くの店舗は、オープンキッチンやセルフサービスを採用することで、店内でのビジュアル感や香り、新鮮味やライブ感、臨場感や手作り感などを総合的に演出し、五感を刺激する体験が幅広い消費者から支持されています。
②市場規模は全体的に縮小傾向
製麺会社の市場規模は、若干の縮小傾向にあります。その理由にはさまざまなものがありますが、少子高齢化・世帯構成の変化・人手不足・後継者不在などが主な要因とみられています。
③断片市場ならではの競争がある
製麺会社がおかれる業界全体をみると、実に3,000社以上の中小製麺会社がひしめく競争の激しい業界であることが分かります。製麺会社は、典型的な断片市場といえるでしょう。
断片化された市場では競争が起きにくいとされていますが、ニッチ故にトレンドの移り変わりも激しく、こと製麺会社業界においては、スクラップアンドビルドが激しい市場であるといえます。
④業界再編を睨んだM&Aが増加
製麺会社は、そのような厳しい経営環境のなかで、今後は製麺会社業界再編が加速度的に進むものと考えられています。
そのため、事業の売却・買収などに代表されるM&Aは、先に触れた事業承継問題も後押しする形で、今後一気に加速することでしょう。
4. 製麺会社のM&A・売却理由
製麺会社のM&A、主に製麺会社の売却理由にはどのようなものがあるのでしょうか。この章では、主な5つの理由について解説します。
【製麺会社のM&A・売却理由】
- 後継者問題の解決
- 製麺会社の将来性に不安
- 今後は原料費の高騰も懸念
- 倒産・廃業を回避する目的
- 譲渡・売却益の獲得
①後継者問題の解決
後継者不在問題は町工場だけの問題ではなく、こと製麺会社にも及んでいます。残念ながら小規模組織の中には次世代を担うような後継者が存在しないケースが多々あり、廃業を余儀なくされるケースが急増しています。
製麺会社の後継者不在問題を解決するひとつの手段として、事業の売却等M&Aが行われます。
②製麺会社の将来性に不安
先述したように断片化された製麺会社業界は競争が激しく、また製麺会社を取り巻く業界規模も緩やかに縮小しているなか、製麺会社業界の将来性に憂慮し事業を売却されるケースも増加しています。
その一方で、事業拡大に舵を切る製麺会社は買収に積極的に取り組んでおり、ニーズウォンツが合致し再編が進んでいます。
③今後は原料費の高騰も懸念
製麺原料に多く使われる小麦の国内自給率は約12%で、平成以降ほぼ横ばいの水準です。調達コストの上昇は、利益率を直接的に圧迫します。
米以外の輸入原料費は年々上昇傾向にあり、このあたりも懸念材料として事業を売却するひとつの理由になっています。
④倒産・廃業を回避する目的
後継者不在や業界規模縮小、利益率の悪化など明るい材料が伴わず、倒産や廃業を懸念し、それを回避する目的でのM&Aは今後も増えていくと考えられます。
倒産や廃業に伴うリスクは甚大であり、従業員の雇用も守れなくなることから、早めに手を打つ経営者は少なくありません。
⑤譲渡・売却益の獲得
M&Aによる譲渡益は税制面で圧倒的に有利であり、事業を整理した場合と比較すると大きな差があります。
早い段階で製麺会社事業を売却し、譲渡益でセカンドライフをと考えるハッピーリタイアを考える経営者も多くみられます。
5. 製麺会社のM&A・売却・買収価格相場
製麺会社をM&Aにより売却する場合、売却価格はどれくらいに設定すればよいのか、買収相場はどれくらいなのかと考える経営者の方もいることでしょう。
通常、飲食店の1店舗買収相場は100万円~250万円くらいだといわれています。一般的なM&Aの場合、純資産額に数年分の純利益、または償却前利益を足した金額を譲渡金額のベースとして交渉が開始されます。
しかし、製麺会社の場合はトレンドの変化が激しいため、一般的に評価額は抑えられる傾向にあります。
その一方で、地域におけるブランド力やその製麺会社の将来的な見込み収益なども考慮され、むしろ一般相場よりも高値で売却されるケースも多々あります。まずは、対象となる製麺会社の企業価値を正しく評価することから始まります。
企業評価価値の算定方法
企業価値の評価にはいくつかの方法がありますが、主に以下3つの手法がとられます。将来収益や株価評価、また移動資産ベースであったりと、それぞれ利点と不利な点が存在します。
また、企業価値評価の結果とM&Aによる譲渡金額は、必ずしも一致するものではありません。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
- コストアプローチ
インカムアプローチ
事業の収益性からアプローチする評価方法で、収益還元法やDCF法などによって、将来収益を推計して現在価値に換算する手法です。
マーケットアプローチ
市場で取引されている株価より、いくらの価額が妥当かを推計する評価方法です。非上場の場合、類似業種の上場会社の株価から類推して評価額を算定します。
コストアプローチ
貸借対照表の総資産より負債を除いたネット価額をベースとする手法です。簿価で計算する場合と時価で計算する場合とに分かれます。
難しい企業価値の算出はプロに任せる
先述したように、製麺会社のM&A・売却・買収を行う際は、正しい評価結果によって適正な売却金額を設定する必要があります。
また、買収企業側のメイン事業とのシナジーがあれば、単純評価額ではない金額で譲渡できる可能性もあります。
企業価値の算出には専門的な知識が不可欠であり、いずれにしても単純な作業ではないため、プロの手を借りた方が早くよい結果に繋がるといえるでしょう。
6. 製麺会社のM&A・売却を成功させるコツ
それでは、製麺会社のM&Aや売却を成功させるには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。ここでは、製麺会社のM&Aや売却を成功させる5つのコツを解説します。
【製麺会社のM&A・売却を成功させるコツ】
- M&Aは計画的に準備を行う
- M&Aの目的がぶれないようにする
- 売却する際に譲れない条件はまとめておく
- M&Aの契約成立までは情報漏えいに気をつける
- M&Aの専門家に相談する
①M&Aは計画的に準備を行う
事業売却に限らずM&Aを行う際は、まず事前準備を入念に行うことが大切です。譲渡先企業の候補選定や情報の段階的な開示のための書類の準備、秘密保持契約書の締結に向けた準備や詳細情報の開示準備など、初動の準備だけでも多岐にわたります。
また、スムーズなM&Aを行うためには、買収元となる譲渡先企業への情報開示準備のための、経営資料のまとめなどもスムーズに行いたいところです。
当事者面談に向けての準備や基本合意契約締結に向けた確認と準備、デューデリジェンスの必要書類の用意など、やるべきことは非常に多いため計画的に準備を進めておくようにしましょう。
②M&Aの目的がぶれないようにする
製麺会社を売却する目的を明確にしておくことも重要です。交渉が進むにつれて、当初の目的から逸脱した形で最終合意を迎えてしまうことも珍しくはありません。
また、当事者面談では、譲渡候補先の社長に対してM&Aによる事業売却理由も説明することとなりますが、しっかり説明ができなければ不信感にも繋がるため、とても大切なポイントになります。
③売却する際に譲れない条件はまとめておく
例えば、製麺会社に長年勤めてくれた従業員の継続雇用についてや、お世話になった取引先の付き合いの継続など、いくつかの譲れない条件があるでしょう。
また、譲渡代金についても譲れない一線があることも多いので、あらかじめ譲れる範囲を明確にすることで、譲れない条件も自ずと明確になります。
④M&Aの契約成立までは情報漏えいに気をつける
情報漏えいは、もっとも注意すべき事項のひとつです。売り手企業にとっても買い手企業にとっても、情報が漏洩しないよう細心の注意を払わなければなりません。
万一情報漏洩が起こると、最悪の場合はM&A自体が白紙になったり、損害賠償請求の対象になったりすることも考えられます。念には念を入れて、確実な情報保全に努めることが重要です。
⑤M&Aの専門家に相談する
製麺会社のM&Aを成功させるためには、専門的な知識とスキルが必要です。また、製麺会社のM&Aの際に留意すべき点は多々あります。
専門的知識がないまま、製麺会社のM&Aが実施してしまうと大きな問題を抱えてしまう可能性もあります。さらに、M&Aだけでなく、税務・会計・法務などの専門的な知識も必要になります。
自社のみで進行するのは現実的ではないため、総合的にサポートを受けられるM&A仲介会社などの専門家に依頼し、サポートを受けることを強くお勧めします。
7. 製麺会社のM&A・売却・買収時におすすめの相談先
製麺会社のM&Aを検討されている場合は、M&A仲介会社へ相談することをおすすめします。M&A仲介会社では、売却事業の価値を正確に把握したうえで、適切なスキームや交渉・書類作成代行など、一括したサポートを行っています。
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8. まとめ
本記事では製麺会社のM&Aの具体例や業界そのものを取り巻く動向など、詳しく説明をしてきました。
今後製麺会社のM&Aは活発化するであろうと予測できます。業界全体の再編には、目が離せません。
【製麺会社を取り巻く業界動向】
- 製麺会社のM&Aは活発化している
- 製麺会社の事業承継問題も顕在化し未解決のまま
- 製麺会社を取り巻く環境は断片化している
- 製麺会社業界は緩やかな縮小傾向
- 製麺会社の原材料費は上昇傾向
- 製麺会社の業界再編は活発化の様相である
【製麺会社のM&Aで得られるメリット】
- 事業承継問題の解消
- 過当競争からの脱却
- 従業員の雇用保全
- 売却、譲渡益の獲得
製麺会社のM&Aや売却・買収は、業界に精通した幅広い知見と、M&Aに精通した高い専門性が必要です。
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