食品メーカー・食品会社のM&A・買収・売却の業界動向!相場、手法、成功事例も解説【2022年最新版】

企業情報第四部 部長
長嶺 勇希

税理士法人系M&Aブティックにて調剤薬局・食品製造業・保険代理店業等のM&Aを成約に導く。会社法、会計、税務等の幅広い知識、M&A成約の経験を活かし、調剤薬局・食品製造・保険代理店業界を中心に担当。

昨今、食品メーカー・食品会社のM&A・買収・売却(譲渡)が盛況です。本記事では、食品メーカー・食品会社のM&A動向や買収・売却価格の相場を分析するにあたって、関連する製油業界や、代表的商品である冷凍食品、工場などとの兼ね合いも含めて解説します。

目次

  1. 食品業界とは?食品会社についての基礎知識
  2. 食品メーカー・食品会社のM&A動向
  3. 食品メーカー・食品会社がM&Aするメリット
  4. 食品メーカー・食品会社のM&Aポイント
  5. 食品メーカー・食品会社のM&A成功事例
  6. 食品メーカー・食品会社のM&A・買収・売却の業界動向まとめ
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    • 食品メーカー・食品加工・食品工場会社のM&A・事業承継

    1. 食品業界とは?食品会社についての基礎知識

    まずは、食品メーカー・食品会社の業界と動向を解説します。どのような会社なのか、概要を再確認することで、市場を理解しやすくなります。

    食品メーカー・食品会社とは

    総務省の日本標準産業分類「食料品製造業」によると、「食品製造業」は大分類「製造業」の中分類である「食料品製造業」に該当します。つまり、製造業における食料品製造業に該当し、食料品製造業に含まれる業種は具体的に以下のとおりです。
     

    • 畜産食料品、水産食料品などの製造
    • 野菜缶詰、果実缶詰、農産保存食料品などの製造
    • 調味料、糖類、動植物油脂などの製造
    • 精穀、製粉およびでんぷん、イースト、こうじ、麦芽などの製造
    • パン、菓子、めん類、豆腐、油揚げ、冷凍調理食品、惣菜などの製造

    食品メーカー・食品会社を経営している場合、自社がどのような業種に該当するのか確認しておきましょう。ここからは、業種についてより詳しく解説します。

    製造しているもの(業種)

    総務省の定義による「食料品製造業」で製造されているものは、前述のとおりです。なお、食料品製造業には、清涼飲料・酒類・茶・コーヒー・氷・たばこ・飼料・有機質肥料などの製造は含まれません。これらの製造は、「飲料・たばこ・飼料製造業」に分類されます。

    したがって、自社が上記の5つの業種に含まれない場合、定義上の食品メーカー・食品会社には該当しません。M&Aを成功させるためには、自社の業種を知ったうえで、相性の良い相手を探すことがポイントです。

    事業に見られる特徴

    食料品製造業に見られる代表的な特徴は、以下のとおりです。

    • 消費者の「安心・安全」を守るための取り組みが重要
    • 消費期限があり、大半が見込生産食品である
    • 季節性があり、繁閑対応が求められる
    • 販売価格の下落圧力が強い
    • 為替相場・原料相場の影響を受ける

    このうち特に重要度が高いものは、食品製造者の最も重要な使命である、「食品の安全性」に関する取り組みについてです。昨今は、食中毒の発生や異物混入など食の安全を脅かす事故が多発しており、消費者の「安心・安全」に対する要求が非常に高いです。

    食の「安心・安全」にまつわる事故は社会的な影響が大きく、一度発生してしまうと企業の存続自体が脅かされるおそれがあります。以上のことから、HACCPなど工程管理システムの導入、老朽設備の入れ替え、設備メンテナンスの実施など、安全に対するコストが年々増加傾向にある状況です。

    市場規模

    経済産業省が実施している工業統計調査の「2020年確報 産業別統計表」によると、2020(令和2)年における食料品製造業の市場規模概要は以下のとおりです。
     

    • 市場規模(製造出荷額):29兆8,571億8,800万円(前年比0.3%増)
    • 企業数従業員4名以上の事業所:23,648社(前年比3.2%減)
    • 従業者総数(従業員4名以上の事業所):1,136,951人(前年比0.8%減)

    参考:経済産業省「2020年確報 産業別統計表」令和3年8月13日公表・掲載

    業界動向

    食品メーカー・食品会社を取り巻く動向は、主に以下のとおりです。
     

    • 国内市場は縮小傾向
    • 原料価格上昇に伴い値上げ
    • 食品表示偽装などによる安全性への意識拡大
    • 健康ブーム、環境への配慮など多様なニーズの出現
    • コロナ禍による食品業界への影響

    これらの動向を押さえることで、食品メーカー・食品会社における業界の理解が進みます。それぞれ順番に解説します。

    国内市場は縮小傾向

    食料品製造業界では、食料品価格の下落や少子高齢化などの影響により、国内市場が縮小傾向です。市場の縮小に加えて、所得水準の伸び悩み・デフレ長期化を主因とする消費者における節約志向の強まりも見られます。企業側には、価格競争の激化とともに、より競争力が高い製品の開発や生産性の向上が求められている状況です。

    近年は所得水準が伸び悩んでいます。消費税率が上がったことで国内市場が縮小している中で、ますます企業間の競争が激しくなっている状況です。中小規模の食品メーカー・食品会社は生き残るための経営戦略を綿密に立てなければなりません。

    原料価格上昇に伴い値上げ

    食料品は原材料の多くを輸入に頼っているため、小麦や大豆・食肉などの価格変動や為替動向の影響を大きく受けてしまうのが実情です。

    近年の世界的な食料品原料の市場におけるトピックとして、中国の市場拡大があります。これにより、原材料価格が高騰しているほか、為替の円安進行によってコストが増加傾向です。値上げが難しい食料品製造業者にとって、こうした価格変動は経営上の大きな課題だといえます。

    食品表示偽装などによる安全性への意識拡大

    近年、食品表示偽装問題の報道が相次いでいます。不適切な情報を提示し食料品を製造・販売していた業者が存在したため、消費者における食の安全性に対する意識がますますシビアな状況です。

    衛生管理が徹底していない食品メーカー・食品会社や、消費者からの信用が薄い食品メーカー・食品会社は競争に負けてしまう可能性が高く、食品について消費者の安全意識を裏切らない経営が求められています。

    健康ブーム、環境への配慮など多様なニーズの出現

    食品における安全性の観点から、トレーサビリティにも注目が集まっています。

    トレーサビリティとは、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階もしくは廃棄段階まで追跡できる状態のことです。日本では牛肉・コメ・コメ加工品に対して、こうした対応がすでに義務付けられています。

    健康ブームによる健康に対する意識が向上したことへの対応なども迫られている状況です。

    コロナ禍による食品業界への影響

    新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、食料消費面で市場が大きく変化しています。外出自粛・緊急事態宣言などにより、2020年以降の食料消費支出額では、外食への支出額が大きく減少しているのに対して、生鮮食品への支出額は増加し、高止まりしている状況です。

    生鮮食品への支出額が増加した要因の1つに、自宅での料理機会の増加が挙げられます。これに伴い、食品スーパーの売上高が増加傾向にあります。

    【関連】食品卸売業界のM&A・売却・買収!動向やメリット、注意点、成功事例、価格相場も解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

    2. 食品メーカー・食品会社のM&A動向

    消費者の求めるクオリティが年々上がっているため、消費者のニーズを満たせる経営を行わなければなりません。食品メーカー・食品会社ではM&Aが盛んに実施されています。

    食料品製造業は、素材型と加工型に大きく分類できます。M&A動向もこれら2つの分類によって異なるため、以下に特徴をまとめました。
     

    • 素材型:加工メーカーや外食産業への原料供給が主要業務(製糖、製粉、製油、飼料など)
    • 加工型:原料を仕入れ加工品を製造し家計へ供給することが主要業務(パン・菓子、調味料、冷凍食品、めん類など)

    食品メーカー・食品会社に共通するM&A動向には、以下のポイントが挙げられます。
     
    1. 多角化を目指す同業他社の買収が活発化
    2. 海外進出するために海外メーカーとのM&Aが増加
    3. 異業種からの新規参入M&Aが増加
    4. 地域密着型ファンドなどの参入
    5. コスト高を受けた業界再編

    それぞれのポイントを順番に確認し、食品業界のM&A動向を把握してください。

    ①多角化を目指す同業他社の買収が活発化

    「素材型」の食料品製造企業では、多角化を目指したM&Aが活発に実施されています。一般的に素材型では商品の差異化が難しいうえに、加工メーカーへの原料供給は規模が大きいほど効率的であるため、スケールメリットが非常に大きくなります

    その一方、関税引き下げなどに伴う輸入品との競争激化や、加工メーカー・外食産業からの値下げ圧力が働いている状況を受けて、同業他社の買収による再編が進みました。

    近年の動向で目立っている事例としては、2014(平成26)年10月に砂糖大手の三井製糖が、病院・介護施設向け栄養補助食品メーカーのニュートリー(三重県)を買収したニュースです。

    ②海外進出のための海外メーカーとのM&A増加

    日本国内は市場が飽和状態にあり競争が厳しいため、積極的に海外に打って出ようとする動きも見られます。加工型の食料品製造企業が実施しているクロスボーダーM&A(海外企業とのM&A)が、その典型例です。

    2014年9月に、味の素は、米国におけるアジア食の冷凍食品トップであるウィンザー・クオリティ・ホールディングスを買収しました。

    本件M&Aの狙いは、ウィンザーの持つ「冷凍食品における米国消費者に精通したマーケティング力」「冷凍食品における全米に広がる流通ネットワークと営業力」「冷凍食品における全米をカバーする生産拠点」を獲得することです。

    上記のように、大手企業を中心に海外メーカーとのM&Aが増加傾向にあります。資金力に余裕があるなら、海外企業とのM&Aを積極的に検討すると良いでしょう。

    ③異業種からの新規参入M&Aが増加

    異業種からの新規参入M&Aの動向を見ると、近い将来に増加が見込まれるのは健康食品を製造する企業の買収です。なぜなら、昨今は健康志向が高まっているためです。

    食料品製造企業には、老舗ながら後継者不在や経営不振に陥っていたり、特定地域のマーケットに強みを持っていたりする企業も多くあります。こうした企業の買収には、今後さまざまな業種が目を付ける可能性が十分に考えられます。

    もしも自社がこうした状況なら、M&Aの際は幅広い視野で買い手を探すと良いでしょう。同業者以外から自社にふさわしい買い手が見つかる可能性も非常に高いです。

    ④地域密着型ファンドなどの参入

    一般的にファンドでは、経営関与を目的として株式を取得し、その企業の経営に関与することで株式価値を高めようとします。

    通常、ファンドは株式価値向上後に、株式の新規上場・ 再上場や他社への転売をつうじた投資利益の獲得を目指しますが、後継者難をカバーするケースもあります。これに該当するのが、「地域密着型ファンド」や「事業承継ファンド」などです。

    主な流れとしては、ファンドが会社の株式を取得し新たなオーナーとして経営を行いながら、人材を育て適任者を見つけて後継者の育成も並行します。その後、後継者に会社を任せて存続させる形です。

    ⑤コスト高を受けた業界再編

    食料品業界では、原料費が高騰傾向にあることに加えて、加工メーカーや外食産業からの値下げ圧力も受けています。こうした中で、「素材型」の食料品製造企業では、M&Aによる業界再編が進んでいます。統合により、原材料調達や間接業務の効率化・工場統廃合などによるコスト削減・販売先との価格交渉力向上を目指しました。

    業界再編で最も象徴的だった業界が、製油業界です。2000年代前半に、それまでの製油上位7社が製油3社(J-オイルミルズの製油企業、日清オイリオグループの製油企業、昭和産業の製油企業)に集約されました。

    このように、値下げ圧力に対抗するために、M&Aによる業界再編が進んでいます。自社が素材型の食品会社であれば、M&Aで業界が変わることを念頭に入れて経営しましょう。

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    3. 食品メーカー・食品会社がM&Aするメリット

    食品メーカー・食品会社がM&Aするメリットを把握し、自社が実施する際に多くのメリットを受けられるようにしましょう。本章では、譲渡側と買収側のメリットに分けて、順番に解説します。

    譲渡側のメリット

    食品メーカー・食品会社のM&Aでは、譲渡側のメリットとして、主に以下が挙げられます

    • 後継者問題が解決
    • 雇用の継続
    • 負債の解消と創業者の利益確保
    • グループに入ることによる経営の安定

    それぞれ順番に解説します。

    後継者問題が解決

    後継者不在の問題を抱える会社にとって、M&Aによる会社売却が問題の解決手段になり得ます。後継者がいなければ会社を存続させることが難しく、廃業を検討するケースもあります。しかし、他の会社にM&Aで売却すれば、経営を引き継いでもらいます。

    後継者は売買した相手側から選ばれるため、周囲に後継者候補がいなくても、M&Aであれば問題なく会社を存続させられます。

    雇用の継続

    一般的に、M&Aによる事業・会社の売却では、会社・工場と従業員の雇用関係がそのまま引き継がれます

    経営者からすると、これまで会社や工場に貢献してくれた社員を会社の都合で失業させるのは心苦しいです。特に中小企業の場合、M&Aによる事業・会社売却の目的が、雇用の維持に置かれることも少なくありません。

    食品会社や食品メーカーを廃業しそうな場合、M&Aで従業員の雇用を守ることを考えましょう。

    負債の解消と創業者の利益確保

    個人事業主や中小企業などでは、代表者が個人保証を利用しているケースが多いです。これらは廃業を選んでも残り続けるため、リタイア後の生活が苦しくなる可能性が高いです。

    しかし、M&Aで会社を売却すれば、負債にまつわる個人保証も買収側に移動します。これにより、廃業のように設備などの処分に必要なコストを抑えることが可能です。売却の対価として、まとまった資金も得られます。経営者(創業者)にとって、負債の解消と利益を得られる点は、見逃せないメリットです。

    グループに入ることによる経営の安定

    現状で経営不安を抱えている場合や業績の見通しが悪い場合は、自社よりも規模が大きく資本力のある会社(もしくはグループ)に吸収してもらうことで、当面の経営不安を解消できます。

    立て直せるかどうかはその後の運営次第ですが、資金や経営ノウハウが集まれば、経営立て直しの初期条件は大きく改善されます。大手企業の傘下に入ることで、経営が安定することは珍しくありません。

    自社の経営難を諦める前に、M&Aで改善できないかどうか考えると良いでしょう。

    買収側のメリット

    食品メーカー・食品会社のM&Aで、買収側のメリットは主に以下のとおりです。

    • 市場の拡大
    • 商品開発力・商品群・ブランド力の強化
    • 製造拠点の拡大
    • 販売チャネルの獲得
    • 人材確保
    • ​​​​​​スケールメリットの享受

    それぞれ順番に解説します。

    市場の拡大

    M&Aによる企業買収では、相手の会社・工場をまとめて買収できます。取引先や従業員を含めて、すべてです。

    単純に考えると、買収当初は相手の売上がそのまま自社にプラスされます。同業者を買収した場合、同じ市場で相手が得ていたシェアをそのまま獲得できるためです。

    特に大手企業で市場規模が大きいほど、単に市場でのプレゼンスが高まるだけで市場における発言力の強化につながるため、魅力的なメリットです。

    商品開発力・商品群・ブランド力の強化

    一般的に、企業買収は、市場シェアの拡大のみを目指すものではありません。相手会社におけるマーケット(エリア、対象顧客)、技術やノウハウを自社の事業と合わせて、プラス以上の効果を発揮させることを目指して行われます。この効果を、シナジー効果(相乗効果)と呼んでいます。

    食料品製造業におけるシナジー効果は、具体的にいうと、相手の会社を買収することで「商品開発力」が強化され、「商品群」が豊富になり、「ブランド力」が強化されることをさします。

    製造拠点の拡大

    食品の種類によるものの、加工型の食料品製造業では、製造拠点(工場)の拡大が他業種よりも企業買収を行ううえで大きなメリットになる場合が多いです。

    製造する対象にもよりますが、一般的に食料品は品質を維持できる期間が工業製品などに比べてはるかに短いです。製造拠点(工場)から遠方への配送などが難しい傾向があります。

    こうした状況で、自社商品を販売するエリアを広げるためには、そのエリアに製造拠点(工場)を置くことが大切です。自社で工場を新設する方法もありますが、立地の獲得から設備投資・従業員の採用まで非常に多くの手間・時間がかかってしまいます。

    しかし、M&Aによる企業買収であれば、製造拠点(工場)を立ち上げる手間・時間を大きく省略できます。

    販売チャネルの獲得

    大手企業では、国内でこれまで以上に市場シェアを広げるのは難しい状況に立たされており、手付かずの海外市場を目指す動きが活発化しています。つまり、M&Aにより海外企業を買収し、市場拡大とシェアを広げる企業が多いです。

    海外で商品を展開するには輸出する方法もありますが、ブランディングを構築できていない地域でゼロの状態から販売先を探し、その国の市場でプレゼンスを獲得するまでには膨大な時間がかかります。

    そこで、海外メーカーを買収し、海外メーカーが持っている販売チャネルをまとめて獲得する方法が効果的です。その国のブランドやプレゼンスは徐々に強化されますが、少なくとも初期段階で販売先を探す時間は大きく省略できます。海外の企業を買収すれば、現地で事業を展開するノウハウなども得られます。

    人材確保

    自社で工場を新設すると、立地の獲得から設備投資・従業員の採用まで、多くの手間・時間がかかります。

    従業員の採用は容易ではありませんが、まったく新しい人材を工場でゼロの状態から業務に慣れさせ、教育し望ましい生産水準まで向上させるには、さらに長い期間がかかるのは必須です。

    M&Aによる企業買収では、すでにその会社・工場で働いている人材をベースに自社の望む事業展開を進められます。最初から食料品業界および会社のノウハウを持つ人材を集められるため、教育にかかる手間・時間を軽減できます。

    スケールメリットの享受

    スケールメリットとは、事業規模の拡大によって生まれる生産性向上・効率性上昇・知名度向上・バイイング・パワー向上などの効果のことです。特にスケールメリットを享受しやすいのが、製造業だといえます。

    M&Aによって企業をまとめて買収することで、経営ノウハウから生産能力・収益までをすべて手に入れることが可能です。

    1社による大量仕入が可能になるため、原材料の仕入れコスト削減・部品調達コストを削減できます。製造機械の稼働率に余裕がある中で製品の市場シェアを拡大できれば、生産量増加によって製品1つ当たりの生産固定費を減らせます。

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    4. 食品メーカー・食品会社のM&Aポイント

    ここからは、食品メーカー・食品会社におけるM&Aを成功させるためのポイントを解説します。食品メーカー・食品会社に限ったポイントではないものの、食品メーカー・食品会社のM&Aにも該当するものです。

    1. 相場
    2. 手法
    3. タイミング

    それぞれのポイントを順番に解説します。

    ①相場

    M&Aで企業を売る際の相場価格は、「相手がどれだけ欲しがっているか」によって変動します。つまり、相手が高く評価すれば相場価格は高くなり、買いたい相手がいない場合はたとえ相場価格がゼロでも売れない可能性があるでしょう。

    ただし、計算上で大体の相場価格を算出できるため、数ある算出方法の中から代表的な2つの手法を掲示します。M&A交渉では、算出された相場価格をベースに話し合うことが売買合意への近道です。

    • DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法
    • 純資産法

    DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法

    DCF(Discounted Cash Flow)法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く方法を使って、価値を算出する手法です。

    売却する会社の資産や事業計画書などをもとに、M&Aの後にどれだけの収益・キャッシュフローが見込まれるかを計算し相場価格を算定します。

    純資産法

    純資産法の具体的な手法で代表的なものは、「簿価純資産法」と「修正純資産法」です。簿価純資産法は、帳簿価額に基づいた資産と負債の差額である純資産をもって相場価格を計算します。

    修正純資産法は、資産と負債を今の価値で再度どのくらい価値を持つのか調べ、純資金の金額を計算して相場価格を算出するものです。主要な土地や有価証券など資産のみを対象とし、負債と資産のすべてを対象としないケースもあります。

    ②手法

    中小企業のM&Aにおける手法は、9割以上が以下の2点に絞られます。

    株式譲渡

    企業の株式の全部または一部を売却する方法です。中小企業の株式譲渡では、オーナー経営者がすべての株式を所有していることが多く、その場合は会社はまとめて買収者に引き渡されます。

    会社がまとめて譲渡されるため、事業や資産だけでなく債権債務や雇用契約などもそのまま買い手に承継されます。手続きは事業譲渡よりも簡便であるものの、原則として債務も買い手に引き継がれる点に注意しましょう。

    事業譲渡

    企業の事業の全部または一部を売る方法です。売り手は事業および資産の売りたい部分のみを売却でき、買い手は欲しい部分のみを買収できる点にメリットがあります。

    事業譲渡の場合、許認可は買い手に譲渡できないケースがほとんどです。譲渡できない場合、買い手側で取り直す必要があります。

    ③タイミング

    M&Aで企業を売却するタイミングで重要なのは、主に以下の3点です。

    • 業界再編が進行中のとき
    • 景気のよいとき
    • 経営者が元気なとき

    1つずつ順番に解説します。

    業界再編が進行中のとき

    再編が進行中の業界では、現在が会社を高く売るために適したタイミングだといえます。中でも最も適したタイミングは、業界再編が進行し、売主候補企業が少なくなった段階です。売り手市場となり、高く売れる可能性が高まるためです。

    ただし、業界再編は永久には続かないため、売り惜しみに注意しましょう。

    景気のよいとき

    当然ですが、景気のよいときほど企業は高く売れます。逆に、たとえ買収したい会社が複数現れても、景気が悪くなれば、その意欲は何事もなかったかのように胡散霧消するケースがあります。

    経営者が元気なとき

    M&Aで企業を売却するなら、経営者が元気なときにできるだけ早めに計画を立てながら進めるべきです。

    経営者の身に何かが起こってから急に会社を売却する必要に迫られた場合は、とにかく早く売ることが最優先となります。そうなれば、価格の要求をほとんどできなくなる可能性があるでしょう。

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    5. 食品メーカー・食品会社のM&A成功事例

    この章では、食品メーカー・食品会社のM&A成功事例を解説します。

    近年における食品業界のM&A事例10選

    近年における食品業界のM&Aから、10事例を掲示します。

    • ダスキンによる蜂屋乳業の売却
    • 三井物産による五洋食品産業の子会社化
    • ミツウロコグループHDによる静岡ジェイエイフーズの子会社化
    • DM三井製糖HDによる関門製糖の子会社化
    • 三光マーケティングフーズによる海商の全事業取得
    • ファーマフーズによる明治薬品の子会社化
    • 不二製油グループ本社によるトーラクの売却
    • フジッコによるフーズパレットの買収
    • 亀田製菓によるマイセンの買収
    • エア・ウォーターによる元気の買収

    ダスキンによる蜂屋乳業の売却

    時期 2021年11月
    売却側 ダスキン(蜂屋乳業)
    買収側 バンリュー
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価格 非公開

    売却側のダスキンは、大阪府吹田市に本社を置く日本の企業です。清掃業務を中心に外食産業なども展開しており、ミスタードーナツの事業本部でもあります。蜂屋乳業は、大阪市を拠点に、主にアイスクリームなどのOEM製造を事業とする業歴50年を有する老舗企業であり、大手乳業メーカーに安定した製品供給を行っていました。

    対する買収側のバンリューは、兵庫県姫路市を拠点に、出資企業株式の保有管理を事業として手掛けている企業です。

    本件M&Aにより、ダスキンでは、事業の選択と集中による事業ポートフォリオの適正化を進めており、食肉の加工・販売・外食を手掛ける子会社を傘下に持つバンリューと蜂屋乳業によるシナジーの獲得を図っています。

    三井物産による五洋食品産業の子会社化

    時期 2020年10月(同年12月完了と発表)
    売却側 五洋食品産業
    買収側 三井物産
    M&Aスキーム TOB(株式公開買付)
    譲渡価格 1株当たり買付価格:879円

    売却側の五洋食品産業は、福岡県糸島市に本社を置き、フローズンスイーツの製造販売を手掛けている企業です。対する買収側の三井物産は、三井グループの大手総合商社であり、三井不動産、三井銀行と並ぶ「三井新御三家」の1つとして位置付けられています。

    本件M&Aにより、買収側では、高付加価値の冷凍スイーツへの関心がアジア・太平洋市場で高まっていることなどを踏まえ、海外展開の拡大につなげると発表しています。

    ミツウロコグループHDによる静岡ジェイエイフーズの子会社化

    時期 2021年9月(実施は同年11月)
    売却側 静岡ジェイエイフーズ
    買収側 ミツウロコグループHD
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価格 非公開

    売却側の静岡ジェイエイフーズは、大手飲料メーカーからの依頼を受けて清涼飲料のOEM製造を手掛けているJA系列の企業です。対する買収側のミツウロコグループHDは、東京都中央区に本社を置く石油製品・LPガス・固形燃料の販売などを手掛ける企業グループの持株会社です。

    本件M&Aにより、買収側では、清涼飲料水の生産能力を獲得することで、清涼飲料市場へ参入し、新たな事業分野において事業規模のさらなる拡大を図ると発表しています。

    DM三井製糖HDによる関門製糖の子会社化

    時期 2021年9月 
    売却側 関門製糖
    買収側 DM三井製糖HD
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価格 7億7,600万円

    売却側の関門製糖は、福岡県北九州市を拠点に、砂糖およびその副産物の製造・加工、糖蜜の保管業務、食品加工技術の研究・開発・調査などを手掛けている企業です。対する買収側のDM三井製糖HDは、東京都中央区を拠点に、グループ経営管理事業・不動産事業・資産管理事業・日本国外の駐在員事務所の運営および管理に関する事業などを展開しています。

    本件M&Aに伴い、関門製糖に折半出資する日本甜菜製糖から株式50%を取得し、持ち株比率を100%とし完全子会社化しています。なお、日本甜菜はこれまで関門製糖に精製糖の製造を委託しているが、全保有株の譲渡後も大日本明治を通じて関門製糖への製造委託を継続すると発表しています。

    三光マーケティングフーズによる海商の全事業取得

    時期 2021年8月(実施は同年11月)
    売却側 海商(民事再生手続き中の海商が新設分割し設立した新会社)
    買収側 三光マーケティングフーズ
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価格 非公開

    売却側の海商は、大阪市中央区を拠点に、煮魚や鮮魚など各種食料品小売業を手掛けている企業です。対する買収側の三光マーケティングフーズは、東京都新宿区を拠点に、飲食店経営・水産業などを展開しています。

    本件M&Aにより、買収側では、海商が培ってきた事業の強みを生かし、飲食事業の業態および商品強化・新たな販路の開拓・沼津での水産事業とのシナジー効果を生かすことで、早期に事業の確立していくと発表しています。

    ファーマフーズによる明治薬品の子会社化

    時期 2021年8月
    売却側 明治薬品
    買収側 ファーマフーズ
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価格 15億円〜23億円程度

    売却側の明治薬品は、東京都千代田区に本社を置き、医薬品・医薬部外品・医療用具・食料品(健康食品)・化粧品の製造およびその販売・輸出入、劇毒物の販売などを手掛けている企業です。対する買収側のファーマフーズは、京都市を拠点に、機能性素材、機能性製品の開発・販売およびバイオメディカル事業、Life Science Information事業を行っています。

    本件M&Aにより、買収側では、ファーマフーズの有する研究開発力・商品開発力および通信販売プラットフォームと明治薬品が有する製造・販路などの経営資源を融合させることで、収益拡大やグループの持続的成長と中長期的な企業価値向上の実現を図っています。

    不二製油グループ本社によるトーラクの売却

    時期 2020年7月
    売却側 トーラク(不二製油グループ本社)
    買収側 丸大食品
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 12億円

    売却側のトーラクは、不二製油グループ本社の100%子会社でした。不二製油グループ本社はグループとして、乳化・発酵素材、植物性油脂や業務用チョコレート、大豆加工素材などの開発・生産・販売事業を行っています。

    食品会社のトーラクは、「神戸プリン」「らくらくホイップ」など知名度が高い代表的商品を持つ会社です。丸大食品は、食肉加工品であるハム・ソーセージなどや、各種惣菜類を製造・販売する大手食品メーカーとして知られています。

    不二製油グループ本社は、この子会社売却(譲渡)によりトーラクのさらなる発展を鑑み、コアコンピタンス追及の一環として決断しました。

    丸大食品は、現事業のデザート部門でさらなる収益向上を目指すうえで、トーラクの商品力・企画開発力・販売力は大きなシナジーが得られると判断しています。

    フジッコによるフーズパレットの買収

    時期 2019年8月
    売却側 フーズパレット
    買収側 フジッコ
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 不明

    フジッコは、知名度のあるふじっ子やおまめさんを手掛けるだけでなく、健康食品の素材なども販売する会社です。フーズパレットは、四陸(フォールー)やチャイナチューボーなどのブランドで中華惣菜を販売しています。

    フジッコの全売上30%は惣菜製品で、主な事業の1つです。この買収により、フーズパレットのブランド力・商品力と、フジッコのマーケティング力・販売力が融合して事業が広がることを狙っています。

    亀田製菓によるマイセンの買収

    時期 2019年2月
    売却側 マイセン
    買収側 亀田製菓
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 不明

    買収側の亀田製菓は知名度のある柿の種やハッピーターンなどの米菓を製造販売し、売却側のマイセンは玄米パンやベジタリアンミートなどグルテンフリー食品の製造や販売を手掛けています。

    亀田製菓は、健康志向食品の需要が近年高まっていることから米菓以外の食品事業を強めるために、この買収を実施しました。玄米などを用いた新しい商品開発を促進し、両社で販路や製造ノウハウなどを共有する狙いです。

    エア・ウォーターによる元気の買収

    時期 2019年2月
    売却側 元気
    買収側 エア・ウォーター
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 不明

    買収側のエア・ウォーターは、農業・食品事業、産業ガス事業、医療関連事業などさまざまな事業を手掛けています。農業・食品事業では、農産物を栽培して調達し、食品を製造して販売するまで一貫して行っている会社です。

    元気は、日本初の黒にんにくを製造した会社で、青森産にんにくを原料に独自製法で「熟成黒にんにく」を製造販売しています。

    この買収でエア・ウォーターは、元気とのシナジー効果を狙い、青森産にんにくの調達力を高めて新しく健康食品分野の商品を持つことを見込んでいます。

    エア・ウォーターは2018年12月に、調理冷凍食品を販売する見方を買収しました。エア・ウォーターは、M&Aを生かした食品事業を強めています。

    異業種による食品業界のM&A事例3選

    異業種による食品業界のM&Aから、3事例を解説します。

    • 小林製薬による梅丹本舗の買収
    • 塩野義製薬による宝ヘルスケアの吸収合併・タカラバイオの健康食品事業の承継
    • ユーグレナによるフックの買収

    小林製薬による梅丹本舗の買収

    時期 2019年5月
    売却側 梅丹本舗
    買収側 小林製薬
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 不明

    小林製薬は、知名度のある熱さまシートなどの商品を持ち、医薬品や医薬部外品を製造販売しています。梅丹本舗は、健康食品を販売する創業94年の老舗メーカーです。

    健康食品事業にも注力する小林製薬は、本件買収により、健康食品事業をより強めることを狙っています。小林製薬が持つマーケティング力・販売力・研究開発力を活用して、売上を高める予定です。

    塩野義製薬による宝ヘルスケアの吸収合併・タカラバイオの健康食品事業の承継

    時期 2019年1月
    売却側 宝ヘルスケア・タカラバイオ
    買収側 塩野義製薬の子会社シオノギヘルスケア
    M&Aスキーム 吸収合併・事業承継
    譲渡価額 不明

    塩野義製薬は医薬品を手掛ける会社で、子会社のシオノギヘルスケアは主に一般用医薬品のヘルスケア事業を行っています。タカラバイオと宝ヘルスケアは宝ホールディングスの子会社です。健康成分のフコイダンを含んだ商品の開発や販売を手掛けています。

    シオノギヘルスケアは、さらに将来加速するであろう超高齢社会へ向けて、シニア層の健康増進をサポートする事業を強めています。宝ヘルスケアのフコイダンを含む健康商品はシニア層に人気があるため、高齢者に対する健康食品事業を強めるために、本件M&Aを行いました。

    ユーグレナによるフックの買収

    時期 2018年4月
    売却側 フック
    買収側 ユーグレナ
    M&Aスキーム 簡易株式交換
    譲渡価額 約18億円

    ユーグレナは、社名でもあるユーグレナなど微細藻類の研究開発やユーグレナを生かした食品などの製造販売を手掛ける会社です。フックは自社ECサイトを通じて、天然・自然由来の素材を用いた健康食品などの販売を手掛けています。

    今回の子会社化により、ユーグレナは、フックの主な顧客層である20代から30代の女性に販路を広げる予定です。ユーグレナのマーケティング力・商品開発力・資金力とフックのブランド力を融合して、ヘルスケア事業をさらに拡大することも見込んでいます。

    ユーグレナは、2016年12月に機能性食品を販売するクロレラサプライを買収しました。ユーグレナは、M&Aでの事業拡大に力を注いでいます。

    同業種による食品業界のM&A事例2選

    同業種による食品業界のM&Aから、2事例を紹介します。

    • 純和食品によるヨシムラ・フード・ホールディングスへの売却
    • 東ハトによる山崎製パンへの売却

    純和食品によるヨシムラ・フード・ホールディングスへの売却

    時期 2016年7月
    売却側 純和食品
    買収側 ヨシムラ・フード・ホールディングス
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 4億5,500万円

    売却側の純和食品は、1977(昭和52)年の設立以来、ゼリーなどのデザート類やレトルト食品などを製造し、販売してきました。イオングループをはじめとした大手スーパー量販店などのOEM生産を手掛け、外食産業や贈答品市場にも強みがあります。

    買収側のヨシムラ・フード・ホールディングスは、食品の製造や販売をする中小企業の支援と活性化を目的とした会社です。経営戦略の立案や実行、経営管理などをメインに活動しています。

    ヨシムラ・フード・ホールディングスは、本件買収以前にも、事業承継問題や単独での成長に限界を感じている全国の中小食品企業に対し、独自の「中小企業支援プラットフォーム」を提供して問題を解決してきました。

    純和食品は特に経営難ではありませんでしたが、ヨシムラ・フード・ホールディングスの子会社となることで経営基盤の強化と経営の効率化を図る見込みです。

    ヨシムラ・フード・ホールディングスは、純和食品が得意とする商品企画・開発・品質管理ノウハウを、自社の「中小企業支援プラットフォーム」に取り入れることで、強固な事業基盤の確立をもくろんでいます。

    東ハトによる山崎製パンへの売却

    時期 2006年7月
    売却側 東ハト
    買収側 山崎製パン
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 182億円

    売却側の東ハトは1952(昭和27)年創業の製菓大手ですが、バブル期に関連会社が手掛けたゴルフ場事業が失敗し、2003(平成15)年に民事再生法の適用を申請し倒産しています。買収側の山崎製パンは1948(昭和23)年の創業で、菓子パン製造会社で最大手です。

    東ハトは一度倒産したものの、本業の食品事業は黒字経営で、倒産の原因となった不動産事業は他社の支援を受ける形で分離していました。その最中でヒット商品開発に乗り出し、再建に取り組んでいたのです。この過程で、現在も続くヒット商品も生まれています。

    山崎製パンも製菓事業を行っていましたが、東ハトが持つ製品のブランドを得ることで、新しい経営基盤を目的に買収しました。これにより、東ハトは倒産を乗り越え大手の傘下に入り山崎製パンはブランド力もシェアもある製菓事業を手に入れることに成功しています。

    食品業界のクロスボーダーM&A事例4選

    食品業界のクロスボーダーM&Aから、4事例を解説します。

    • 味の素によるモア・ザン・グルメ・ホールディングス社の買収
    • アサヒグループHDによるFULLER, SMITH & TURNER P.L.C.社のビール・サイダー事業取得
    • 不二製油によるBLOMMER CHOCOLATE COMPANY社の買収
    • 山崎製パンによるBAKEWISE BRANDES社の買収

    味の素によるモア・ザン・グルメ・ホールディングス社の買収

    時期 2019年8月
    売却側 モア・ザン・グルメ・ホールディングス
    買収側 味の素
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 約38億円

    味の素は、日本で最大手の調味料メーカーです。味の素などさまざまな調味料や加工食品を販売しています。モア・ザン・グルメ・ホールディングスは、だし汁のブロス・ソースなど液体調味料事業を手掛け、アメリカに住む人の嗜好などに合わせた高価格帯の調味料が強みです。

    本件買収により、味の素は自社の素材や調味料を組み合わせて、モア・ザン・グルメ・ホールディングスの加工食品メーカーや外食企業とのつながりを生かし、北米市場での販路を広げることを狙っています。

    アサヒグループHDによるFULLER, SMITH & TURNER P.L.C.社のビール・サイダー事業取得

    時期 2019年4月
    売却側 FULLER, SMITH & TURNER P.L.C.のビール・サイダー事業
    買収側 アサヒグループホールディングス
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 約370億円

    アサヒグループホールディングスは、ビール業界で日本トップの市場シェアを占め、スーパードライなどのブランドが有名です。

    FULLER, SMITH & TURNER P.L.C.は、主にロンドンでよく知られているビールブランドの「London Pride」「Frontier」、サイダーブランドの「Cornish gold cider」などを持ちます。

    本件M&Aにより、アサヒグループホールディングスは、Fuller’s社の海外ブランドを得て、高級ビールのブランドをベースとした欧州事業を強める予定です。Fuller’s社は主にロンドンに複数のパブやホテルを持つため、アサヒグループのブランド販路を広げることも狙っています。

    不二製油によるBLOMMER CHOCOLATE COMPANY社の買収

    時期 2019年1月
    売却側 BLOMMER CHOCOLATE COMPANY
    買収側 不二製油
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 約848億円

    植物用油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の事業を手掛ける不二製油は、業務用チョコレート業界で世界第4位です。BLOMMER CHOCOLATE COMPANYは、業務用チョコレート業界で世界第3位で、主に北米でチョコレートやココア豆を販売しています。

    不二製油は、以前にもブラジルやマレーシア、オーストラリアの業務用チョコレートメーカーとM&Aを実施し、業務用チョコレート事業を広げました。

    今回の買収で、不二製油は、世界第3位の業務用チョコレートメーカーになります。売上高も約800億円から約1,800億円に上昇する予定です。

    不二製油は、自社の油脂技術をBlommer社に導入し、原料調達を一本化してチョコレート事業をより強める見込みです。Blommer社の販売網を生かして、北米での販売を広げることを狙っています。

    山崎製パンによるBAKEWISE BRANDES社の買収

    時期 2016年7月
    売却側 Bakewise Brandes
    買収側 山崎製パン
    M&Aスキーム 株式譲渡
    譲渡価額 不明

    山崎製パンは、食パンや菓子パン、和菓子などを販売する会社です。Bakewise Brandesは、ベーグルを製造してニューヨークなど主にアメリカ東部の量販店で販売しています。手作りに近い食感のパンを作り、ホテルやレストランへ販売するTom Cat Bakery社が子会社です。

    こ本件買収により、山崎製パンは、アメリカで事業規模を広げることを狙っています。両社の製パン技術を日本での商品開発に活用することも見込んでいます。

    【関連】M&A成功事例50選!【2021年最新版】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

    6. 食品メーカー・食品会社のM&A・買収・売却の業界動向まとめ

    食料品製造業界では、食料品価格の下落や少子高齢化の影響により、国内市場が縮小傾向です。原材料価格の高騰にも悩まされています。こうした中で、多角化を目指した同業他社の買収やスケールメリットの獲得を目指したM&Aによる業界再編が進んできました。

    中でも近年、最も激変したのが製油業です。2000年代に7社あった製油の大手企業は、J-オイルミルズ、日清オイリオグループ、昭和産業における3つの製油企業になりました。海外へ目を向けると、大きい事例としては、味の素によるアメリカの冷凍食品会社買収があります。

    食品業界・食品メーカーでM&Aを行う際は、相場、手法、タイミングの3点を頭に入れることが肝要です。

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