食品メーカー・食品会社のM&A・買収・売却!業界動向・相場・手法を解説!【成功事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

食品メーカー・食品会社にとって、業界を取り巻く動向は厳しいものになっています。そうした中で、M&Aによる売却/買収もかなり多くなってきています。そんな食品メーカー・食品会社のM&Aの売却/買収について、事例ととともに概観していきます。

目次

  1. 食品業界とは?食品会社についての基礎知識
  2. 食品メーカー・食品会社のM&A動向
  3. 食品メーカー・食品会社がM&Aするメリット
  4. 食品メーカー・食品会社のM&Aポイント
  5. 食品メーカー・食品会社のM&A成功事例
  6. 食品メーカー・食品会社のM&Aまとめ
  • 食品メーカー・食品加工・食品工場会社のM&A・事業承継

1. 食品業界とは?食品会社についての基礎知識

食品業界とは

食品メーカー・食品会社の概要と動向について、簡単に述べておきます。

食品メーカー・食品会社とはどのようなものなのかを理解し、M&A実施の際に役立ててください。

食品メーカー・食品会社の市場規模や業界動向についても詳しく見ていきます。

食品メーカー・食品会社とは

食品メーカー・食品会社の定義から見ていきましょう。

総務省の日本標準産業分類「食料品製造業」によると、「食品製造業」は大分類「製造業」の中の中分類「食料品製造業」です。

つまり、製造業の中の食料品製造業というくくりとなっています。

食料品製造業に含まれている業種は、具体的には以下のようなものです。

  1. 畜産食料品,水産食料品などの製造
  2. 野菜缶詰,果実缶詰,農産保存食料品などの製造
  3. 調味料,糖類,動植物油脂などの製造
  4. 精穀,製粉及びでんぷん,ふくらし粉,イースト,こうじ,麦芽などの製造
  5. パン,菓子,めん類,豆腐,油揚げ,冷凍調理食品,そう(惣)菜などの製造
食品メーカー・食品会社の経営をしているのであれば、自社がどのような業種になるのかを確認しておきましょう。業種について、もう少し詳しく見ておきます。

製造しているもの(業種)

繰り返しになりますが、総務省の定義による「食料品製造業」において製造されるものは、以下の通りです。
 

  1. 畜産食料品,水産食料品など
  2. 野菜缶詰,果実缶詰,農産保存食料品など
  3. 調味料,糖類,動植物油脂など
  4. 精穀,製粉及びでんぷん,ふくらし粉,イースト,こうじ,麦芽など
  5. パン,菓子,めん類,豆腐,油揚げ,冷凍食品,そう(惣)菜など

なお、食料品製造業の中には清涼飲料、酒類、茶、コーヒー、氷、たばこ、飼料、有機質肥料の製造は含まれません。これらの製造は「飲料・たばこ・飼料製造業」に分類されます。

したがって、もしも自社が上記5つの業種に含まれていないなら、食品メーカー・食品会社というくくりではないので気をつけなければなりません。

M&Aを成功させるには、自社の業種を知った上で相性の良い相手を探すことがポイントとなります。

市場規模

2016年度のデータになりますが、上記の製造業の市場規模は以下の通りです。
 

  • 市場規模…27兆6,690億円
  • 上場企業数…92社
  • 非上場企業数…35,572社

業界動向

食品メーカー・食品会社をとりまく動向は以下の通りです。

  1. 国内市場は縮小傾向
  2. 原料価格上昇に伴い値上げ
  3. 食品表示偽装などによる安全性への意識拡大
  4. 健康ブーム、環境への配慮など多様なニーズの出現

これらの動向を押さえることで、食品メーカー・食品会社の業界への理解が進みます。それぞれについて順番に見ていきましょう。

国内市場は縮小傾向

食料品製造業界は、食料品価格の下落や少子高齢化の影響により、国内市場は縮小傾向です。

市場の縮小に加え、所得水準伸び悩みやデフレ長期化を主因とする消費者の節約志向の強まりもあります。起業側にとっては、価格競争が激化するとともに、より競争力の高い製品の開発や生産性の向上が求められることは間違いはありません。

また、近年では所得水準が伸び悩んでいます。さらに消費税率が上がったことによって、国内市場が縮小している中でどんどん企業間の競争が激しくなっているのです。

中小規模の食品メーカー・食品会社は生き残るための経営戦略をしっかり立てていかなければならないでしょう。

原料価格上昇に伴い値上げ

食料品は、原材料の多くを輸入に頼っていますので、小麦や大豆・食肉などの価格変動や為替動向の影響を大きく受けます。

近年の世界的な食料品原料の市場のトピックとして、中国の市場拡大があります。これにより原材料価格が高騰しているほか、為替の円安進行によってコストが増加傾向です。値上げが難しい食料品製造業者にとっては、こうした価格変動は経営上の大きな課題となります。

食品表示偽装などによる安全性への意識拡大

近年、食料品の表示偽装問題の報道が相次ぎました。

不適切な情報を提示して食料品を製造・販売していた業者があったわけですが、これにより消費者の食の安全に対する意識はシビアになりました

したがって、衛生管理がなっていない食品メーカー・食品会社や、消費者からの信用が薄い食品メーカー・食品会社は競争に負けていく傾向にあります。

食品について消費者の安全意識を裏切らないような経営が求められているのです。

健康ブーム、環境への配慮など多様なニーズの出現

食品の安全性の観点からは、トレーサビリティにも注目が集まっています

トレーサビリティとは、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態のことです。日本では牛肉、コメ、コメ加工品にはこの対応が既に義務付けられています。

さらに、健康ブームによる健康に対する意識が向上したことへの対応なども迫られています

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以上、食品メーカー・食品会社の業界動向でした。

消費者の求めるクオリティは、年々上がっています。なので、消費者のニーズを満たせるような経営を行なっていかなければなりません。

そのために、食品メーカー・食品会社ではM&Aが盛んです。

2. 食品メーカー・食品会社のM&A動向

食品メーカー・食品会社のM&A動向

食料品製造業と言っても、大きく「素材型」と「加工型」に分けられます。

M&A動向については、この2つによって動向が分かれる面がありますので、最初に記しておきます。
 

  • 素材型…加工メーカーや外食産業への原料供給が主要業務(製糖、製粉、製油、飼料など)
  • 加工型…原料を仕入れ加工品を製造し家計へ供給することが主要業務(パン・菓子、調味料、冷凍食品、めん類など)
このように、素材型と加工型は違います。自社がどちらなのかを事前に確認しておくべきです。

そして、食品メーカー・食品会社のM&A動向には、以下のようなポイントがあります。
  1. 多角化を目指す同業他社の買収が活発化
  2. 海外進出のための海外メーカーとのM&A増加
  3. 異業種からの新規参入M&Aが増加
  4. 地域密着型ファンドなどの参入
  5. コスト高を受けた業界再編
それぞれのポイントについて順番に確認し、食品業界のM&A動向を把握しましょう。

多角化を目指す同業他社の買収が活発化

多角化を目指してM&Aが活発になっているのは、「素材型」の食料品製造企業です。

素材型は、一般的には商品の差異化が難しいと言われている上、加工メーカーへの原料供給は規模が大きいほど効率的です。つまり、スケールメリットがとても大きくなります。一方で、関税引き下げなどに伴う輸入品との競争激化や、加工メーカーや外食産業からの値下げ圧力が働いているところで、同業他社の買収による再編が進みました。

近年の動向で大きいところでは、2014年に砂糖大手の三井製糖が、病院・介護施設向け栄養補助食品メーカーのニュートリー(三重県)を買収しています。

海外進出のための海外メーカーとのM&A増加

日本国内は市場が飽和状態で競争が厳しいため、積極的に海外に打って出るための、加工型の食料品製造企業の海外でのM&Aの動向が増えています

2014年に、味の素が米国におけるアジア食の冷凍食品トップのウィンザー・クオリティ・ホールディングスを買収しました。狙いは、冷凍食品トップのウィンザー社が持つ、「冷凍食品における米国消費者に精通したマーケティング力」「冷凍食品における全米に広がる流通ネットワークと営業力」「冷凍食品における全米をカバーする生産拠点」を獲得することです。

このように、大手企業を中心として海外メーカーとのM&Aは増加しています。資金力に余裕があるなら、海外企業とのM&Aを積極的に検討してみてください。

異業種からの新規参入M&Aが増加

異業種からの新規参入M&Aで、今後増加が見込まれるのは健康食品を製造する企業の買収です。言うまでもなく、昨今の健康志向の高まりの動向を受けてです。

また、食料品製造企業には、老舗ながら後継者不在や経営不振に陥っていたり、ある地域マーケットに強い特徴を持った企業なども多くあります。こうした企業の買収には、今後様々な業種から手が挙がることも十分考えられます。

もしもあなたの企業がそのような状況なら、M&Aの際には幅広い視野で買い手を探すのが良いでしょう。同業者以外から良い買い手が見つかる可能性も非常に高いのです。

地域密着型ファンドなどの参入

ファンドは、一般的に経営関与を目的として株式を取得し、その企業の経営に関与するこ とで株式価値を高めることを目的とします。

ファンドは通常、株式価値向上後に、株式の新規上場・ 再上場や他社への転売を通じた投資利益の獲得を目指していますが、後継者難をカバーするファンドもあります。よくあるのが「地域密着型ファンド」や「事業承継ファンド」などです。

こうしたファンドでは、まずファンドがその会社の株式を取得することで新たなオーナーとなります。その上で、その会社内の人材を育てるだけでなく、会社の後継者に足り得る人材を発見し、会社の経営を任せていくことで会社を確実に存続させる役目を果たします。

コスト高を受けた業界再編

「食品業界とは」にも挙げましたが、食料品業界は原料費が高騰傾向にあります。それに加え、加工メーカーや外食産業からの値下げ圧力にも晒されています。

こうした中で、「素材型」の食料品製造企業では、M&Aによる業界再編が進みました。統合によって、原材料調達や間接業務の効率化、工場統廃合などによるコスト削減や、販売先との価格交渉力の向上を目指したものです。

この業界再編で最も象徴的だったのが、精油業界です。2000年代前半に、それまでの精油上位7社が精油3社(J-オイルミルズという精油企業、日清オイリオグループという精油企業、昭和産業という精油企業)に集約されました。

このように、値下げ圧力に対抗するためにM&Aによる業界再編は進んでいます。あなたの会社が素材型の食品会社であれば、M&Aで業界が変わっていくことを念頭に入れて経営していきましょう。

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3. 食品メーカー・食品会社がM&Aするメリット

食品メーカー・食品会社がM&Aするメリット

食品メーカー・食品会社がM&Aするメリットを押さえて、自社が実施する際に多くのメリットを受けられるようにしておきましょう。

譲渡側のメリットと買収側のメリット、それぞれを順番に見ていきます。

譲渡側のメリット

譲渡側のメリットには、以下が挙げられます。
 

  • 後継者問題が解決
  • 雇用の継続
  • 負債の解消と創業一族の利益確保
  • グループに入ることによる経営の安定
それぞれについて、順番に見ていきましょう。

後継者問題が解決

後継者不在の問題を抱えている会社にとっては、M&Aによる会社売却が問題の解決手段になり得ます。

経営者がオーナーの中小企業にとって後継者がいない場合、社内や外部の人間、あるいは他の会社に経営を引き継いで事業承継をするしか会社を存続させる方法はありません。

しかしながら、社内や外部の人間に、会社の所有まで求めるのは、資金面や連帯保証の点からも難しいのが実情です。M&Aによる売却では、それらが可能になります。

したがって、もしも身近なところに後継者が見つからなくても、事業の存続を諦めずにM&Aを検討してみましょう。

雇用の継続

M&Aによる事業・会社の売却では、通常は会社・工場と従業員の雇用関係もそのまま引継がれます

事業や会社・工場に貢献してくれた従業員に、会社都合による失業などの苦労をさせないようにするのは、会社や事業主の義務と責任でもあります。

中小企業の場合ですと、M&Aによる事業・会社売却の目的が、この雇用の維持に置かれていることも少なくありません。

食品会社や食品メーカーを廃業してしまいそうなときがもし来たのであれば、M&Aによって従業員の雇用を守ることを考えてみてください。

負債の解消と創業一族の利益確保

個人事業主の場合は事業主本人が借入を、会社の場合は会社の借入金に代表者が個人保証をしているケースがほとんどです。

M&Aで事業や会社を売却すれば、借入や保証は買い手側に引継いでもらえることが通常です。

また、M&Aで会社や事業を売却すれば、廃業コストが省けるどころか、通常は売却益が得られます。

売却益はどんなに小さくても数百万~とまとまった金額が常です。株主兼経営者が株式譲渡のM&Aスキームで会社を売却すれば、このまとまった金額の創業者利益が得られます

グループに入ることによる経営の安定

後継者不在と同時に、もしくは別に経営不安を抱えていたり、業績見通しが悪い場合には、自社より規模も大きく資本力のある会社もしくはグループに吸収してもらうことで、当面の経営不安からは逃れられます

もちろん、立て直せるかどうかはその後の運営次第ですが、資金や経営ノウハウが集まれば、経営立て直しの初期条件は大きく改善されます。

大手企業の傘下に入ることで経営が安定することは珍しくありません。

自社の経営難を諦める前に、M&Aで改善できないかどうかを考えてみましょう。

買収側のメリット

買収側のメリットは以下の通りです。
 

  • 市場の拡大
  • 商品開発力・商品群・ブランド力の強化
  • 製造拠点の拡大
  • 販売チャンネルの獲得
  • 人材を確保できる
  • ​​​​​​スケールメリットの享受
​​​​​​​それぞれについて、順番に見ていきましょう。

市場の拡大

M&Aによる企業買収では、相手の会社・工場を丸ごと買収できます。取引先や従業員まですべてです。

単純に考えれば、買収当初は相手の売上がそのまま自社にプラスされます。同業者を買収した場合は、同じ市場で相手が得ていたシェアをそのまま獲得することになるからです。

特に大手で市場規模が大きいほど、単に市場でのプレゼンスが高まるだけでも、市場における発言力の強化につながりますのでメリットになります。

商品開発力・商品群・ブランド力の強化

企業買収は通常、市場シェアの拡大のみを目指すものではありません。相手の会社のマーケット(エリア、対象顧客)から技術やノウハウに至るまで、自社の事業と合わせれば単にプラス以上の効果を発揮させることを目指して行われます。これをシナジー効果(相乗効果)と言います。

上記の「市場の拡大」で述べたシナジー効果は、食料品製造業において、具体的には相手の会社を買収することで「商品開発力」が強化され、「商品群」が豊富になり、「ブランド力」が強化される、というプロセスを辿ると考えられます。
 

製造拠点の拡大

食品の種類にもよりますが、加工型の食料品製造業の場合にはこの製造拠点(工場)の拡大が、他業種よりも企業買収のメリットになる場合が多いです。

製造しているものにもよりますが、食料品は品質を維持できる期間が工業製品などに比べてはるかに短くなります。このため、製造拠点(工場)からあまり遠方の場所などへの配送などが難しくなってしまうのです。

つまり、食料品において自社商品を販売するエリアを広げるためには、そのエリアに製造拠点(工場)を置く必要があるケースが多いと言えます。こうした場合、自社で工場を新設することもできますが、立地の獲得から設備投資、また従業員の採用まで、手間も時間もかかってしまいます。

M&Aによる企業買収であれば、製造拠点(工場)を立ち上げる手間と時間を大きく省略することができます。

販売チャンネルの獲得

大手企業は国内で今以上に市場シェアを広げるのは難しい状況のため、海外市場を目指す動きが活発になっています。そのために、海外での販売チャンネルの獲得を狙いとした、海外メーカーのM&Aが行われています。

海外で商品を展開するには輸出する方法もありますが、元々自社に関する認知のないところで、一から販売先を探してその国の市場でのプレゼンスを獲得するまでには、膨大な時間がかかります。

そこで、海外メーカーを買収することで、海外メーカーが元々持っている販売チャンネルを一気に獲得することができます。もちろんそれでも、その国でのブランドやプレゼンスは徐々に強化されていくものですが、少なくとも初期段階で販売先を探す時間は大きく省略することができます。

もちろん、相手の企業を買収することで、相手の現地国で事業を展開するノウハウなども得ることができます。

人材を確保できる

「製造拠点の拡大」と共通しますが、自社で工場を新設すると、立地の獲得から設備投資、また従業員の採用まで、手間も時間もかかってしまいます。

従業員は採用も大変ですが、全く新しい人材を工場で一から業務に慣れさせ、教育して望ましい生産水準まで上げるにはさらに長い期間がかかってしまいます。

M&Aによる企業買収では、既にその会社・工場で働いている人材をベースにして、自社の望む展開を描いて行くことができます。もちろん従業員も人間で相手のあることですので、いきなり大きく変えることは難しいですが、最初から食料品業界およびその会社でのノウハウを持っている人材が集まっているので、教育の手間と時間は少なくなります。

スケールメリットの享受

スケールメリットとは、事業規模の拡大によって生まれる、生産性向上や効率性上昇、知名度向上、バイイング・パワー向上といった効果のことです。そして、特にこのスケールメリットを享受しやすいのが製造業になります。

M&Aによって企業を丸ごと買収した場合、相手企業の売上から生産能力までそのまま入手することができます。

しかしそれに限らず、一社で大量仕入が可能となったことによる原材料の仕入れコスト削減や部品調達コストの削減といったことが可能になります。また、製造機械の稼働率に余裕がある中で製品の市場シェアを拡大できれば、生産量増加によって製品一つ当たりの生産の固定費を減らすことができます。

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以上、食品メーカー・食品会社のM&Aにはさまざまなメリットがあることがわかったはずです。

メリットを見て、実際に食品メーカー・食品会社のM&Aを実施したいと考えた人も多いのではないでしょうか。そこでここからは、食品メーカー・食品会社のM&Aを成功させるためのポイントを見ていきます。

4. 食品メーカー・食品会社のM&Aポイント

食品メーカー・食品会社のM&Aポイント

食品メーカー・食品会社に限ったことではないですが、M&Aで会社を売る際のポイントを載せておきます。

もちろん、すべて食品メーカー・食品会社のM&Aにも当てはまることです。

  1. 相場
  2. 手法
  3. タイミング
それぞれのポイントについて、順番に見ていきましょう。

①相場

M&Aで企業を売る相場価格は、相手がどれだけ欲しがっているかにかかっています。相手が高く評価していればいくらでも相場価格は高くなりますし、買いたい相手がいない場合は相場価格がタダでも売れない可能性があります。

ただ、計算上で大体の相場価格は出せますので、二点紹介します。交渉においてもこれらで算出された相場価格をベースに話し合うことが、売却合意への近道です。

相場価格についても詳しくは、M&A専門会社に相談しながら進めましょう。
 

  • DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法
  • 純資産法

DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法

DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く(ディスカウント)ことで企業価値を算定する方法です。売却する会社の売却する資産や事業計画書などをもとに、M&Aの後にどれだけの収益・キャッシュフローが見込めるかを計算して相場価格を算定します。
 

純資産法

純資産法には、「簿価純資産法」と「修正純資産法」の二種類あります。

【簿価純資産法】
簿価純資産法は、帳簿価額に基づいた、資産と負債の差額である純資産をもって相場価格を計算します。

【修正純資産法】
修正純資産法は、帳簿上の資産と負債を時価で再評価したうえで、純資産の金額を計算して相場価格を計算する方法です。実務的には、すべての資産と負債を時価評価に直すのではなく、主要な土地や有価証券等の資産のみを直に評価しなおすこともあります。

②手法

中小企業のM&Aにおける手法は、9割以上が以下の二点に絞られます。
 

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡

株式譲渡

企業の株式を全部または一部を売却する方法です。

会社の債権債務や、雇用契約などもそのまま買い手に承継されます。手続きは事業譲渡よりも簡便ですが、債務なども原則として買い手に引き継がれることに注意が必要です。

通常は経営権や営業権などの権利譲渡も行われます。

事業譲渡

企業の事業の一部を売る方法です。

売り手は売りたい部分だけを売却できますし、買い手は欲しい部分だけを買収することができるメリットがあります。

事業譲渡の場合、経営権や営業権などの権利を買い手に譲渡するのは、法的に不可な場合があることに注意が必要です。その場合は買い手側で取り直す必要があります。

③タイミング

M&Aで企業を売却するタイミングで重要なのは、以下三点です。
 

  • 業界再編が進行中の時
  • 景気の良い時
  • 経営者が元気な時

業界再編が進行中の時

再編が進んでいる真っ只中の業界は、会社を高く売るのに良いタイミングだと言えます。

中でも最も良いタイミングは、業界再編が進行し、売主候補企業が少なくなってきた段階です。売り手市場となり、高く売れる可能性が高くなります。

ただし、業界再編は永久には続きませんので、売り惜しみには注意が必要です。

景気の良い時

言うまでもありませんが、景気の良い時ほど企業は高く売れます。むしろ、景気の良いときしか買いたいという相手は表れないと考えておくくらいがちょうど良いです。

逆に、買収したい会社がいくつか表れたとしても、急に景気が悪くなればその意欲は何事もなかったかのように胡散霧消してしまうことがあります。

経営者が元気な時

M&Aで企業を売却するなら、経営者が元気な時に、なるべく早めに計画を立てながら進めるべきです。

これは逆に、経営者の身に何かが起こってから急に会社を売却する必要に迫られた場合は、とにかく早く売ることが最優先になってしまうからです。そうなってしまうと、価格について要求はほとんど出来なくなってしまいます。

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食品メーカー・食品会社のM&Aポイントは以上です。

ここからは食品メーカー・食品会社のM&A事例を見ていきましょう。

5. 食品メーカー・食品会社のM&A成功事例

食品メーカー・食品会社のM&A成功事例

近年のM&Aの動向から、二点事例を紹介します。

  1. 東ハトの売却
  2. 純和食品の売却
それぞれについて、順番に見ていきましょう。

M&A事例:東ハトの売却

東ハトが山崎製パンに売却した事例です。

売却側と買収側

売却側…東ハト
買収側…山崎製パン

売却側の東ハトは1952年創業の製菓大手ですが、バブル期に関連会社が手がけたゴルフ場事業が失敗し、2003年に民事再生法の適用を申請して倒産しています。

買収側の山崎製パンは1948年創業の、菓子パン製造では最大手です。

2006年にM&Aが行われました。

価格

当時、東ハトは倒産後の経営再建中でしたが、山崎製パンは取得総額182億円で東ハトを買収しました。

手法

株式譲渡の手法により、M&Aが行われました。

双方のメリット

東ハトは一度倒産したものの、本業の食品事業については黒字経営で、倒産の原因となった不動産事業は他社の支援を受ける形で分離していました。またそのさなかで、ヒット商品開発に乗り出し、再建に取り組んでいました。その過程で今に続くヒット商品も生まれています。

山崎製パンも製菓事業を元々持っていましたが、ロングセラーからヒット商品まで、東ハトが所有するこれらの菓子ブランドを取り込むことで、製菓事業の新たな柱を獲得しようというのが狙いで買収しています。

東ハトは倒産したものの、大手の傘下に入ることができました。また、山崎製パンにしても、ブランド力もシェアもある製菓事業を手に入れることができました。

M&A事例:純和食品の売却

次に確認するのが、純和食品の売却事例です。

売却側と買収側

売却側…純和食品
買収側…ヨシムラ・フード・ホールディングス

売却側の純和食品は、1977年の設立以来、ゼリー等のデザート類やレトルト食品等を製造し、販売してました。イオングループをはじめとした大手スーパー量販店などのOEM生産を手掛けたり、外食産業や贈答品市場にも強みがありました。

買収側のヨシムラ・フード・ホールディングスは、食品の製造および販売をおこなう中小企業の支援・活性化を目的とした持株会社で、グループ全社の経営戦略の立案・実行および経営管理をおこなっています。

ヨシムラ・フード・ホールディングスはこの買収以前にも、事業承継問題や単独での成長に限界を感じている全国の中小食品企業に対し、独自の「中小企業支援プラットフォーム」を提供することで、これらの問題を解決してきました。

2016年にM&Aが行われました。

価格

ヨシムラ・フード・ホールディングスは4億5,500万円で純和食品を買収しています。

手法

株式譲渡の手法により、M&Aが行われました。

双方のメリット

純和食品は特に経営難と言うわけではありませんでしたが、ヨシムラ・フード・ホールディングスの子会社となることで経営基盤の強化と経営の効率化を図る目的です。

一方のヨシムラ・フード・ホールディングスは、純和食品が得意とする商品企画・開発・品質管理ノウハウを自社の「中小企業支援プラットフォーム」に取り入れることで、強固な事業基盤を確立する目的です。

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6. 食品メーカー・食品会社のM&Aまとめ

食品メーカー・食品会社のM&Aまとめ

まとめ

食料品製造業界は、食料品価格の下落や少子高齢化の影響により、国内市場は縮小傾向ですし、原材料価格の高騰にも悩まされています。そうした中で、多角化を目指した同業他社の買収や、スケールメリットの獲得を目指したM&Aの業界再編が進んできました。

近年最も激変したのが、精油業です。2000年代に三社あった精油の企業は、J-オイルミルズという精油企業、日清オイリオグループという精油企業、昭和産業という精油企業の3つの精油企業になりました。

海外へ目を向けると、大きい事例としては味の素によるアメリカの冷凍食品会社の買収があります。

2014年、味の素は、アメリカでは冷凍食品最大手のウィンザー・クオリティ・ホールディングスという冷凍食品会社を買収しました。同社が持つ「冷凍食品における米国消費者に精通したマーケティング力」「冷凍食品における全米に広がる流通ネットワークと営業力」「冷凍食品における全米をカバーする生産拠点」を獲得することが目的です。

食品業界・食品メーカーでM&Aをするには、①相場、②手法、③タイミング、について頭に入れておくことが必要です。

M&Aの専門家に相談すれば、それらをすべて相談に乗ってもらえますし疑問点は解消されます。M&Aの専門家が身近にいないなら、M&A総合研究所にご相談ください。食品業界のM&Aに詳しい専門家が親身に相談に乗らせていただきます。

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