M&Aのための資金調達とは?経営者に必要な基本知識と方法を紹介【図解】

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aの資金調達は、大まかに直接金融(増資)と間接金融(融資)の2つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社に適切な方法を選択することが重要です。本記事では、M&Aの資金調達方法や返済期間について解説します。

目次

  1. 資金調達の基本的な手段
  2. M&Aのための資金調達の使いみち
  3. M&Aのための資金調達の方法
  4. M&Aのための資金調達の種類:①直接金融(増資)
  5. M&Aのための資金調達の種類:②間接金融(融資)
  6. 間接金融(融資)を利用したMBO・LBOについて
  7. M&Aのための資金調達方法の比較
  8. M&Aのために資金調達した際の返済期間
  9. M&Aのために資金調達した際の注意点
  10. 日本でM&Aを行う際に現実的な資金調達方法
  11. M&Aのために資金調達する際の相談先
  12. M&Aのための資金調達まとめ
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1. 資金調達の基本的な手段

M&Aを行うにあたっては、事業投資やプロジェクトファイナンスを行う場合と同様に、一定以上の資金が必要です。

買い手企業にとり、今後数年間で買収費用以上のリターンが得られないなら、M&Aを行う意味が有りません。資金調達の規模・手段は、最終的な買収費用にも影響するため、M&A戦略を踏まえて選択する必要があるでしょう

①自己資金

自社が保有する現預金および流動資産によりM&A資金を賄えるのであれば、それに越したことはありません。もちろん返済は不要ですので、経営の安定性と言う意味では最もデメリットのない方法でしょう

ただし、自己資金は自社の意向次第で何にでも使える資産です。リターンが得られる確率が高いM&Aにおいては、資本家や金融機関から資金を調達しやすい場合があります。自己資金はよりリスク・リターンの多い投資に回すために、あえて外部資金でM&Aを実施するという考え方もあり得ます。

②金融機関からの借り入れ

銀行をはじめとした金融機関から借入を行う方法です。いったんM&Aを検討する旨を金融機関へ相談すると、金融機関は会社の財務情報やM&A実施計画などの情報を確認し、その内容に基づいて融資限度額および利率を定めます

後述するエクイティ出資とは異なり、資本コスト(利率)が将来にわたって一定かつ低水準ですので、M&Aにより安定的にリターンが得られ場合には適した方法です。

③投資・出資

投資家に対して自社の経営権を譲り渡し(株式の発行)、資金の提供を受ける(資金の引受)方法です。新株を発行する場合もあれば、既存株主が保有する既発行株式を投資家へ譲渡させる場合も有ります。

投資家の目的は大別して2つに分かれています。すなわち、投資を行った先の会社の経営に関与する場合と、得た株式を将来より高値で売ることで利益を得る場合です。

借入に比して資本コストは高いですが、返済期限に縛られず事業を行うことが可能です

④補助金・助成金

近年、日本政府は「活力ある中堅・中小企業・小規模事業者の創出」を目的として、M&Aの活発化のための支援策を打ち出しています。

支援策としては例えば「事業承継・引継ぎ補助金」が有り、これは中小企業がM&Aをするにあたって一定の条件を満たした場合に、M&A費用の一部の補助金を受ける取れる制度です

このような国・地方自治体が提供する補助金・助成金の活用も一つの選択肢でしょう。

⑤親戚・知人からの借用

ある程度規模の大きい会社であれば用いられませんが、売り手企業と買い手企業の双方が個人商店程度の規模の会社であるM&A取引においては、親戚・知人から借用することも考えられます

借用と言うと、借入金として、利子を付けて返済するイメージが浮かびますが、最近ではエンジェル投資やクラウドファンディングも選択肢の一つに入るかもしれません。

⑥株式の発行

株式を発行し、その対価として資金を調達するというやり方自体は同じですが、株式の発行方法の工夫を検討可能です。

というのも、いわゆる「普通株式」とは何の条件もついてない株式ですが、「種類株式」とは議決権の制限や配当の制限などの条件が付された株式です。

議決権をより多く欲しい投資家や、配当をより多く欲しい投資家に対しては、このような種類株式の提案をすることで、効率的に資金調達が可能な場合もあります

⑦資産の現金化

自社の固定資産または流動資産を、短期間で現金化し、現預金残高を増やすことで資金調達する方法です。

具体的には、不動産の売却・売掛金のファクタリング・リースバックといった手段があり、一般的には、M&Aのための資金調達ではなく運転資金の確保を目的として行われる方法です

2. M&Aのための資金調達の使いみち

M&Aのために用意した資金を、どのような支払いに充てるかを解説します。M&Aにおける費用は、下記の3種類に分類されることが一般的です。

以下で詳細について解説します。なお、上場企業によるM&A取引では、買収資金の内訳が開示される場合があります。適時開示を調べることで、上場企業のM&A取引におけるM&A費用の情報が得られるでしょう。

①買収資金

M&Aによる株式や事業の取得の対価として支払うべき資金そのものです。②、③と比較して高額になるため、M&Aに必要な資金のほとんどの部分を占める場合が多いでしょう。

買収資金の資金調達のタイミングは多岐に渡り、最終契約の締結後に調達を完了するスケジュールで進められる場合もあります。このような場合には、最終契約書の効力発生条件として、「資金調達の成功」が規定されることになるでしょう。

②納税資金

売り手企業に未払いの税金が存在する場合など、M&A取引後に多額の納税義務が発生する際には、あらかじめ買い手企業が資金を用意しておく必要があります。

売り手企業による税金の未払いなどは簿外負債とも呼ばれ、M&Aプロセスにおけるデューデリジェンスにおいて発見されることが通常です。しかし、常にこのような予想外の資金支払が必要となるリスクには注意すべきでしょう。

③専門家に支払う依頼資金

上記以外に、M&Aのアドバイザーへの手数料、仲介会社への仲介手数料、デューデリジェンスなどの外注費用が必要です

売り手企業をどのように見つけたかによって、手数料または仲介手数料は大きく異なります。金額の計算方法にはレーマン方式をはじめとして複数の種類があります。

デューデリジェンスの種類は、財務、税務、法務などがありますが、M&Aの規模などに応じてスコープを狭め、外注費用を抑えることが可能です。発注にあたっては、弁護士、会計士、税理士、コンサルなど、適した専門家を自社で選定することになります。

3. M&Aのための資金調達の方法

M&Aは、得られる効果が大きい一方で、実施するためには高額な費用が必要になります。買収やデューデリジェンスの際に必要な費用は非常に高額であるため、会社のプール金で全てを補うのは非現実的です。

そのようなケースでは、M&Aのために資金調達が行われるのが一般的です。適切な方法で資金調達をすることにより、会社の背負う負担・リスクを軽減しながら資金の問題を解決できます。

資金調達の方法には、直接金融(増資)と間接金融(融資)の2つがあるため、ここではそれぞれの特徴について解説します。

直接金融(増資)

直接金融(増資)とは、株式や社債を発行して直接的に資金を獲得する方法です。増資であるために明確な返済期間が存在せず、会社が抱えるリスクが少ない特徴があります。投資された資金は、M&A後の企業成長がうまくいき利益が出たら、配当などの形で還元することが一般的です。

かつて、企業の資金調達は間接金融(融資)が一般的でしたが、1996年から2001年度にかけた金融ビッグバンなどの影響もあり、直接金融(増資)が主流となりつつあります。

さらに、投資家個人でも企業情報を十分に取得して投資判断ができる、情報社会になっていることも影響していると考えられます。

【関連】第三者割当増資とは?株価への影響、メリット・デメリット、手続きを解説【事例付】

間接金融(融資)

間接金融(融資)とは、銀行など金融機関の第三者の介入を経て借入を受ける方法です。借入であるため、借り手に利息の支払いと元本の返済義務が課せられます。

この際、融資に使われているお金は預金者のものです。銀行は資金を回収しなければならないため、借り手の返済能力について厳しい審査を行います。

借り手は返済能力があることを証明するために、M&AやM&A後の事業戦略について具体的な提案をして融資を受けます。

4. M&Aのための資金調達の種類:①直接金融(増資)

M&Aの資金やその後の事業資金を確保するために資金調達が欠かせません。この章では、M&Aの際に資金調達する方法とメリット・デメリットを解説します。

まずは、増資によって投資家から資金調達する直接金融(増資)です。直接金融(増資)には、以下3つの方法があります。

【直接金融(増資)】

  1. 公募増資
  2. 株主割当増資
  3. 第三者割当増資

①公募増資

公募増資とは、新株式を発行して広く一般の投資家から投資を受ける方法です。この際の株式単価は、時価よりも若干低めに設定して決定されることが多くなっています。

あまり下げすぎると既存株主の利益を害する可能性があるため、調整が重要です。ただし、株主総会の特別決議において出席した株主の議決権数の2/3以上が得られれば、株式単価を大きく変更することも可能です。

メリット

公募増資のメリットは、大規模な資金調達が可能な点です。広く一般の投資家から投資を受けるため、短期間で効率的な資金調達が可能です。

また、新たな株主の増加や株式市場の流通性の底上げというメリットもあります。流通性が高い株式は換金性が高くさらなる株主の増加が期待できます。

これは本来の目的である資金調達とは異なりますが、企業として好ましい状態といえるでしょう。

デメリット

公募増資のデメリットは上場企業しか活用できない点です。上場していない中小企業は知名度も低く、一般の投資家から投資を受けるのは非現実的であるといえるでしょう。

また、株価の下落というデメリットもあります。既存株主にとっては、自分の資産価値が下がることを意味するため、反発を受けることも少なくありません。

②株主割当増資

株主割当増資は特定の既存株主に新規発行株式の取得権利を与えて資金調達する方法です。新規に発行する株式数は、既存株主が保有する株式割合に応じて決められます。

メリット

株主割当増資のメリットは株主構成の比率がほとんど変わらない点です。そのため、会社の経営への影響を微量に抑えられます。

また、既存株主が増資に応じやすい点もメリットです。時価と比べて低価格に設定されることが多いため、株主がリスクを取りやすくなっています。

デメリット

株主割当増資のデメリットは、既存株主が株式取得権利を行使するとは限らない点です。

株式単価が時価より安く設定されているとはいえ、会社の将来性が危ういと判断された場合、資金調達はできません。

また、資金調達できる資金が限定されるデメリットもあります。時価より安く設定する差額は会社の負担となり、M&Aに必要な資金を調達しきれない可能性も存在します。

③第三者割当増資

第三者割当増資とは、ある特定の第三者に新規発行株式の取得権利を与えて資金調達する方法です。

対象者に制限はなく、既存の株主を対象とすることもあれば、普段から付き合いのある取引先や役員に新規株式の発行権利を与えることもあります。

メリット

第三者割当増資のメリットは、利用者に制限がないことです。会社と関係性の深い第三者に権利を与えるため、増資の方法として安定性に優れており、会社の規模に関係なく実施できます。

また、売り手のM&Aの手段として利用することも可能です。割当者の株式保有率が過半数を超えるように割当することで、買い手に経営権を移転できます。

デメリット

第三者割当増資のデメリットは株式の希薄化です。1株あたりの相対的な価値が下がることで、既存株主の不利益に繋がる可能性があります。

株式時価の90%を下回る有利発行による割当の場合、既存株主に事前通知を行い、第三者割当増資の差し止め請求の機会を与えなければなりません。

5. M&Aのための資金調達の種類:②間接金融(融資)

次は、銀行など金融機関の第三者が介入する借入によって、資金調達する間接金融(融資)の解説です。利息の支払いと元本の返済義務が伴うため、計画的な借入を行う必要があります。

借り入れは、預金者のお金を銀行を介して使わせてもらう方法です。万が一、資金回収が不可能となった場合は銀行が責任を持たなければならないため、融資の際は事業の計画性や将来性をみて厳しい審査が行われます。

融資を受けるメリット

昨今のM&A需要の高まりを受け、銀行が積極的にM&A支援を行うようになり、融資制度も充実してきました。M&Aを目的とした借入がしやすくなっていますので、そのメリットを以下で解説します。

なお、銀行は、M&A支援としてM&Aアドバイザリー事業を手掛けていることが多く、M&Aの際は大手中小問わず銀行に協力を仰ぐことが多いです。

持株比率を希薄化させずに済む

直接金融と比較した際のメリットとして、直接金融と異なり、オーナーを始めとする持株比率を希薄化させないことです。

自社株式を新規発行(直接金融)すると、既に株式を持っている株主の持株比率が減り、議決権や経済権が低下します。融資による資金調達では会社の負債が大きくなるだけですので、持株比率の低下は生じません。

手元に資金がなくとも投資を行える

自己資金などによる場合と比較したメリットは、手元資金の用意をなくしてM&A、または資本提携ができる点です。M&Aに限らず新規事業への投資などにおいても言えることですが、外部資金を引き入れることで成長の時間軸を早め、非線形の成長が可能になると言われています。

低コストでの資金調達を目指せる

融資を受ける際の金利などの条件は、信用力が高いほど借り手にとって有利になります。信用力は、会社の会社規模、技術力、財務状況などを総合的に勘案して判断されます。優良企業であれば、低い金利で融資を受けることが可能です。

また、一般的に、融資の資本コストは直接金融と比較して低いと言われています。融資を受けられる余地が残っているのであれば、直接金融の前に融資・借入の検討をするのがセオリーです。

融資を受けるデメリット

M&Aは、長期的な事業計画を見据えて行われることが一般的であるため、即座に資金回収することは困難です。そのため、買収資金として多額の融資を受けた際には以下のようなデメリットが生じます。

返済の義務を負う

借入は将来的に全額の返済が必要です。そのため、M&Aによって得られる将来キャッシュフローを予測し、行った投資が何年間で回収できるかを計算する必要があります。

信用力の悪化により追加融資が受けられなくなる

会社が融資を受けられる限度額は、会社の信用力によってある程度決まってきます。会社に必要な資金はもちろんM&Aのみではなく、買掛金、賃金債務など多岐に渡ります。追加資金の借入ができなくならないように注意が必要です

倒産により経営者個人が返済義務を負うおそれ

中小企業は会社規模が小さく信用力が低いことから、融資の際に個人保証・担保が必要とされる場合が多いです

事業が軌道にのって全額返済するまでは、個人保証・担保の存在が経営者を悩ませる要因ともなります。

融資を成功させるコツ

融資を引き入れるためには、信用力を上げることが基本です。信用力を上げるために普段から気をつけるべきポイントがありますので、以下で3つ紹介します。

口座を開設して決済を多く行う

融資を受けたい金融機関で口座を開設し、その口座を利用した決済を多く行うことです。通常の業務で発生する金銭の収受を行う口座・金融機関をメインバンクと呼びますが、その口座での取引金額が大きいほどその金融機関からの融資は受けやすいでしょう

というのも、銀行側はその顧客(会社)の財務状況の良し悪しを口座の履歴で確認できるため、会社の信用力が増すことになるからです。

会社の信用力を向上させる

上述の通り、会社の信用力は、会社の会社規模、技術力、財務状況などによって決まります。いざ借入が必要となった場合に備えて、普段から優良会社に見えるように会社状況を整えて置くことが重要です

必要資料と合理的に説明できる準備をしておく

M&Aに際して実際に借入を受ける際には、会社の信用力だけでなく、M&Aの売り手企業の財務状況、事業計画、そのM&Aによって得られるリターン(シナジー)などの資料が見られます。

銀行の融資の審査の際に合理的であると納得させるだけの資料を準備することで融資を成功させる可能性を高めることが可能です。場合によってはM&Aアドバイザー、コンサルタントなどの手を借りることでより質の高い資料を準備するべきでしょう。

【関連】M&Aでの資金調達の方法・スキームを解説!銀行融資のポイントや返済期間は?

6. 間接金融(融資)を利用したMBO・LBOについて

MBO、LBOはそれぞれ、Management Buy Out、Leveraged Buy Outの略称です。MBOは会社の経営陣がその会社を買収する場合、LBOはファンドなどが会社を買収する場合に用いられるスキームです。

MBOの概要と仕組み

MBOは、企業の経営陣が企業のオーナーや株主から株式を譲り受けることによって、独立を果たすために行われるM&Aのスキームの1つです

買い手が内部者であるという点が他のスキームと異なっており、上場会社の非公開化の際に用いられることが多いです。

MBOのメリット

経営と所有を一致させることです。経営者イコール株主となるので、株主からの余計な干渉を受けずに経営の意思統合が実現でき、より効率的な経営が可能になると言われています。

MBOのデメリット

経営陣が多額の買収資金を準備する必要があることです。経営陣に自己資金がない場合は、銀行による融資で資金を調達することが多いです。その際の担保として、被買収会社の資産や将来のキャッシュフローが供される場合もあります。

MBOの事例

株式会社すかいらーくは、2006年に経営陣かつ創業家である横川家が中心となり行われたMBOにより、上場廃止(非公開化)されました

すかいらーくは2014年に再上場をしましたが、非公開化時よりも低い時価総額となったので、MBOによるキャピタルゲインはなかったことになります。なお、このMBOには投資ファンドが関与しており、経営陣はあまり融資を受けていないでしょう。

【関連】MBO(マネジメント・バイアウト)とは?方法・目的、メリットを解説【事例15選】

LBOの概要と仕組み

LBOは、被買収企業の資産や将来的価値を担保として、銀行などの金融機関から資金調達して買収するM&Aのスキームの1つです。日本では、投資ファンドによる買収の際に用いられることが多いようです。

LBOのメリット

LBOと一般的な融資との大きな違いは、買収企業ではなく被買収企業の資産を担保にして融資を受ける点です。そのため、買収企業が手元資金を保有しておらず、信用力が低い場合でも、被買収企業の信用力さえあれば融資が受けられます。

また、LBOを用いると、同額のリターンを稼ぐために必要な自己資金を低額に抑えることが可能です。そのため、ファイナンシャルエンジニアリングの1手法としても用いられます。

LBOのデメリット

M&Aの実施後、事前の返済計画通りに進行しなければ、返済の目処が立たず、巨額の負債を抱える場合があります。

また、利息・金利が高いというデメリットもあります。LBOは金融機関もリスクを背負うことになるため、金利を高く設定するのが一般的です。

LBOの事例

アメリカのファンド会社リップルウッドは、2003年に日本テレコムホールディングスをLBOにより完全子会社化(非公開化)しました

1年後の2004年には、ソフトバンクグループが日本テレコムホールディングを買収し、リップルウッドは数百億円のキャピタルゲインを稼いでいます。

7. M&Aのための資金調達方法の比較

資金調達方法の大まかな分類は以上です。それぞれの方法のメリットとデメリットをまとめると、以下の表のようになります

  メリット デメリット
公募増資 ・大規模な資金調達
・株式市場の流通性
・中小企業は非現実的
・株価下落リスク
株主割当増資 ・株主構成比率の無変化
・株主が投資しやすい
・株主が権利行使しない可能性
・時価との差額は会社が負担
第三者割当増資 ・会社の規模に影響されにくい
・M&Aに発展することがある
・株式の希薄化
金融機関からの借入 ・銀行の積極的なM&A支援 ・中小企業は担保が必要
MBO ・取得対価が現金 ・売り手の会社の経営権の喪失
LBO ・ローリスク・ハイリターン
・節税効果
・リターンを得られない可能性
・利息・金利が高い

8. M&Aのために資金調達した際の返済期間

M&Aのために借入で資金調達した場合、一定の期限までに全額返済する必要がありますが、返済に法的に定められた期間はありません。金融機関によって変動するため、借り手と貸し手の間で返済期限を設けて契約するのが一般的です。

返済期限の目安

返済期限の目安は何を目的とした資金であるかに左右され、主に「設備資金」か「運転資金」で大きく変わります。

【M&Aの際の借入金の返済期限の目安】

  • 設備資金
  • 運転資金

設備資金

設備資金とは、土地や建物など企業の長期的な活動に必要なものに関わる一時的な支出金のことをいいます。

M&Aの買収やデューデリジェンスにかかる費用はこの設備資金に該当します。設備資金は高額投資となるため、毎月の返済負担を減らす目的で長期間に設定されることが一般的であり、目安は10~15年です。

運転資金

運転資金とは、人件費など企業を運営していくために必要である継続的な支出金のことをいいます。

継続的にかかる支出に借入が必要な状況が続くと、経営が圧迫していくのは明らかであるため、できるだけ早期の改善を目指して返済できる事業計画を立てます。設備資金より短く設定されることが多く、目安は5~7年です。

返済期限を決めるポイント

前述の目安を元に借り手の事情を加味して返済期限を調整します。返済期限を決めるポイントは以下の2つです。

【M&Aの際の借入金の返済期限を決めるポイント】

  • 収益を生み出すタイミング
  • 現実的な返済プラン

収益性を生み出すタイミング

M&Aの際の借入金の返済期限を決めるポイント1つ目は、収益を生み出すタイミングです。M&A後の事業が軌道にのって、収益性を発揮するであろうタイミングを元に返済期限を設けます。

M&A後の統合プロセスを何年かけて行うのか、成功した場合はどのくらいの収益性があるのか、総合的に判断して返済可能である期間を見定めます。

現実的な返済プラン

M&Aの際の借入金の返済期限を決めるポイント2つ目は、現実的な返済プランです。総合的に払う利息や金利を抑えようと返済を急ぐと、毎月の負担が大きくなり事業計画に支障が出る可能性もあります。

収益性を実現させるための事業に支障が出ない程度に返済期限を定める必要があります。

【関連】M&Aでの資金調達の方法・スキームを解説!銀行融資のポイントや返済期間は?

9. M&Aのために資金調達した際の注意点

M&Aを実施する際、資金面で問題に衝突することがあります。しかし、計画性の欠いた資金調達は非常に危険です。この章では、M&Aのために資金調達した際の注意点を解説します。

【M&Aのために資金調達した際の注意点】

  1. 資金調達によるコストがある
  2. 資金調達がうまく進まない

①資金調達によるコストがある

M&Aのために資金調達した際の注意点1つ目は、資金調達によるコストがあることです。資金調達に関連して発生するコストのことをさす言葉であり「株主資本コスト」と「負債コスト」に分けられます。

株主資本コスト

株主資本コストは、直接金融(増資)による資金調達で発生するコストです。主に利益率に応じて株主に分配する配当金のことをさし、株主によって配当率が変わるため、正確な金額の計算が難しい特徴があります。

【株主資本コストの計算方法】

  • 株主資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケット・リスク・プレミアム

  • リスクフリーレート:銀行預金などの安全な資産の収益率
  • β:資産の市場に対するリスク(数字が高いほどハイリスク)
  • マーケット・リスク・プレミアム:安全な資産からリスクのある資産に向ける際の超過収益率

負債コスト

負債コストは、間接金融(融資)による資金調達で発生するコストです。銀行などの金融機関からの借入金の利息・金利が該当し、利子率が明確になっているので簡単に計算できます。

【負債コストの計算方法】

  • 負債コスト = 利子率 × (1−法人税率)

②資金調達がうまく進まない

M&Aのために資金調達した際の注意点2つ目は、資金調達がうまく進まない可能性があることです。資金調達する方法はさまざまですが、いずれの方法も成功するわけではありません。

直接金融(増資)で資本を増やそうとしても、投資家の目に止まるような魅力あるいは将来性がなければ、資本を増やせず手続きコストを費やすだけに終わることもあります。

また、間接金融(融資)の場合も同様であり、銀行はリスクを極端に嫌うため、厳しい審査で返済能力の有無をチェックされます。返済能力がないもしくは事業計画に欠陥があると判断されれば、融資を受けられません。

M&Aの資金調達をスムーズにするには、投資・融資することで十分な見返りが期待できることを効果的にアピールする必要があります。

10. 日本でM&Aを行う際に現実的な資金調達方法

さまざまなM&Aの資金調達方法を紹介してきました。大手企業は自社の事情に合わせた方法を利用することで効率的な資金調達が可能です。しかし、中小企業の場合は実行が非現実的な方法があるのも事実です。

中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法

公募増資は広く一般の投資家から募る特徴があるゆえ、上場企業のように知名度がなければ満足に資金を調達できません。

株主割当増資は対象者が自社を除く既存株主のため、社外のつながりがない企業は限定的になってしまいます。このような特徴から、中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法は「第三者割当増資」と「銀行からの借入」になります。

【中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法】

  • 第三者割当増資
  • 金融機関からの借入

第三者割当増資

第三者割当増資は割当の対象者に制限がありません。自社内の役員や従業員、付き合いのある取引先などに株式の発行権利を与えられます。知名度が低い中小企業でも友好的に活用可能です。

金融機関からの借入

第三者割当増資による資金調達も難しい場合、金融機関からの借入が現実的です。個人保証や担保を提供する必要はありますが、資本が少ない中小企業もM&Aに必要な資金を調達できます。

【関連】M&Aでの銀行の役割まとめ!相談先になる?

11. M&Aのために資金調達する際の相談先

M&Aのために資金調達する際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では実務経験豊富なM&Aアドバイザーによるフルサポートを行っており、あらゆる可能性を模索したうえで最適な資金調達プランをご提案いたします。

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12. M&Aのための資金調達まとめ

昨今は大手・中小企業問わずM&Aが活性化しており、業界のあちこちで企業再編の動きが見られています。生き残り戦略をかけたM&Aは成功させなければなりません。

しかし、M&Aは買収やデューデリジェンスに高額な費用がかかってしまい、資金調達に苦労するケースが多く見受けられます。

スムーズに資金調達するには、資金調達の特徴や方法を把握した上で、自社に適切なものを選択する必要があります。

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