【2020年最新】SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡!成功ポイントは?事例20選!

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

SES事業会社がM&Aによる買収・売却・譲渡を実施する場合、業界動向を把握しておかないと失敗を招きかねません。本記事では、成功のポイント・業界動向を解説します。買収・売却・譲渡の事例を見ながら、SES事業会社のM&Aイメージを膨らませて成功につなげましょう。

目次

  1. SES事業会社のM&Aにおける成功事例20選
  2. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント
  3. SES事業会社のM&AはM&A総合研究所にご相談ください
  4. SES事業会社のM&Aはチャンス?現状と動向
  5. SES事業会社のM&Aに向かう前にすべき5つのアクション
  6. まとめ
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1. SES事業会社のM&Aにおける成功事例20選

SES事業会社のM&Aにおける成功事例20選

はじめに、SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡における成功事例を紹介します。これからSES事業会社においてM&A・買収・売却・譲渡を行う場合には、以下の事例を参考にして取引に活かしてください。

①じげんによるマッチングッドのM&A

1つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社じげんの事例です。2018年の12月、じげんはマッチングッドの株式をすべて取得して連結子会社化すると発表しています。

①株式会社じげん
譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 採用管理事業の強化・シナジーの獲得・新サービスの構築(人材の一括管理)

②ナレッジスイートによるビクタスのM&A

2つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、ナレッジスイート株式会社の事例です。2018年9月、ナレッジスイートはIT技術者派遣事業を手掛けるビクタスの株式取得を発表しています。本件M&Aにより、ビクタスを子会社化しました。
 

②ナレッジスイート株式会社
譲渡・売却価額 3億1,700万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 技術者の確保・育成基盤の強化による収益の拡大

③ITbookによるRINETのM&A

3つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、ITbook株式会社の事例です。2018年8月、ITbookは技術者派遣や受託開発事業などを行うRINETの株式を取得し子会社化すると発表しています。
 

③ITbook株式会社
譲渡・売却価額 1億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 事業領域の開拓とシナジーの獲得

④ナレッジスイートによるインプリムのM&A

次に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、ナレッジスイート株式会社の事例です。2018年7月、ナレッジスイートはプログラミング技術不要の業務用アプリなどを提供するインプリムと資本提携すると発表しています。
 

④ナレッジスイート株式会社
譲渡・売却価額 2,800万円
M&Aの手法 資本提携・第三者割当増による株式取得
M&Aの目的 自社アプリとの組み合わせによる企業価値の向上

⑤日本プロセスによるアルゴリズム研究所のM&A

5つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、日本プロセス株式会社の事例です。2018年5月、日本プロセスは、アルゴリズム研究所の株式を取得して株式交換すると発表しています。本件M&Aにより、アルゴリズム研究所を完全子会社化しました。
 

⑤日本プロセス株式会社
譲渡・売却価額 1億5,900万円
M&Aの手法 株式譲渡・簡易株式交換
M&Aの目的 お互いの強みを活かした事業協力・業務委託による企業の成長

⑥スリープログループによるヒューマンウェアのM&A

6つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、スリープログループ株式会社の事例です。2016年8月、スリープログループは、技術者派遣事業を営むヒューマンウェアの株式を取得して子会社化すると発表しています。
 

⑥スリープログループ株式会社
譲渡・売却価額 4億6,400万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 技術者の確保・近畿圏への営業領域の拡大

⑦トラスト・テックによるエムトレックのM&A

7つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社トラスト・テックの事例です。2016年8月、トラスト・テックは、英国エムトレック社の株式85%の取得を発表しています。本件M&Aにより、エムトレックを子会社化しました。
 

⑦株式会社トラスト・テック
譲渡・売却価額 約14億4,000万円〜23億900万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 製造系人材派遣サービスを英国や欧州に広げること

⑧アルプス技研によるパナR&DのM&A

8つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社アルプス技研の事例です。2016年6月、アルプス技研は、パナR&Dの株式をすべて取得して子会社化すると発表しています。
 

⑧株式会社アルプス技研
譲渡・売却価額 12億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 技術者派遣・受託開発事業の強化によるシナジー効果や企業価値向上

⑨テクノプロ・ホールディングスによるオンザマークのM&A

9つ目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、テクノプロ・ホールディングス株式会社の事例です。2016年3月、テクノプロ・ホールディングスは、子会社のテクノプロによりオンザマークの株式をすべて取得して子会社化すると発表しています。
 

⑨テクノプロ・ホールディングス株式会社
譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 IT技術による受託開発事業の強化と収益の拡大

⑩トラスト・テックによるカナモトエンジニアリングのM&A

10番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社トラスト・テックの事例です。2015年8月、トラスト・テックは、カナモトエンジニアリングの株式をすべて取得して子会社化すると発表しています。
 

⑩株式会社トラスト・テック
譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 人材サービス業(技術者)の質上昇による業績の向上

⑪ソーバルによるアンドールシステムサポートのM&A

11番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、ソーバル株式会社の事例です。2015年3月、ソーバルは、アンドールシステムサポートの株式を取得して子会社化すると発表しています。
 

⑪ソーバル株式会社
譲渡・売却価額 1億200万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 組込み用ソフト・ハードウェアにおける受託開発業務の拡大

⑫アウトソーシングによるKDEホールディングスのM&A

12番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社アウトソーシングの事例です。2014年12月、アウトソーシングは、KDEホールディングスの株式を取得して子会社化すると発表しています。

本件M&Aにより、KDEホールディングスの子会社である共同エンジニアリングを傘下に収めました。
 

⑫株式会社アウトソーシング
譲渡・売却価額 14億2,500万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 大手の顧客や優秀な技術者の獲得による事業の拡大

⑬オーイズミによるアルプスの杜のM&A

13番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社オーイズミの事例です。2014年11月、オーイズミは、アルプスの杜の株式をすべて取得して子会社化すると発表しています。
 

⑬株式会社オーイズミ
譲渡・売却価額 1億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 介護事業獲得によるシナジー効果や企業価値の向上

⑭夢真ホールディングスによる岩本組のM&A

14番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社夢真ホールディングスの事例です。2014年7月、夢真ホールディングスは、岩本組が新設分割により建設事業を承継させた新会社の株式を取得すると発表しています。
 

⑭株式会社夢真ホールディングス
譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 ノウハウ活用による技術力の向上と職人育成事業への参入

⑮ミナトエレクトロニクスによるイーアイティーのM&A

15番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、ミナトエレクトロニクス株式会社の事例です。2014年2月、ミナトエレクトロニクスは、イーアイティーと株式を交換して完全子会社化すると発表しています。
 

⑮ミナトエレクトロニクス株式会社
譲渡・売却価額 普通株式/約1億1,000万円・新株予約権/約3,200万円
M&Aの手法 簡易株式交換
M&Aの目的 情報関連システム事業の獲得・既存事業の強化

⑯ヘリオステクノホールディングによる関西技研のM&A

16番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、ヘリオステクノホールディング株式会社の事例です。2013年5月、ヘリオステクノホールディングは、関西技研の株式を取得して簡易株式交換すると発表しています。
 

⑯ヘリオステクノホールディング株式会社
譲渡・売却価額 1億300万円
M&Aの手法 株式譲渡・簡易株式交換
M&Aの目的 ノウハウ共有によるシナジーの獲得

⑰イマジカデジタルスケープによるコスモ・スペースのM&A

17番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社イマジカデジタルスケープの事例です。2013年3月、イマジカデジタルスケープは、コスモ・スペースの株式を取得して子会社化すると発表しています。
 

⑰株式会社イマジカデジタルスケープ
譲渡・売却価額 非公開
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 映像関連の技術者獲得による事業規模の拡大と営業基盤の強化

⑱アデコによるVSNのM&A

18番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、アデコ株式会社の事例です。2012年1月、アデコは、技術者を派遣するVSNと株式譲渡契約を締結したと発表しています。
 

⑱アデコ株式会社
譲渡・売却価額 約91億円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 技術者の育成・派遣事業の強化

⑲アウトソーシングによるGIMのM&A

19番目に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、株式会社アウトソーシングの事例です。2011年9月、アウトソーシングは、エスプールの完全子会社であるGIMの株式を取得して完全子会社化すると発表しています。
 

⑲株式会社アウトソーシング
譲渡・売却価額 2億2,000万円
M&Aの手法 株式譲渡
M&Aの目的 Web専門の技術者の共有・高スキルエンジニアの協業による事業規模の拡大

⑳アルファテクノロジーによるM&A

最後に紹介するSES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡は、アルファテクノロジーの経営陣による事例です。2011年1月、アルファテクノロジーは、代表取締役社長からのMBOに応えて、自社の株式を譲渡しています。
 

⑳アルファテクノロジー株式会社の経営陣
譲渡・売却価額 8,500万円
M&Aの手法 MBO
M&Aの目的 経営資源の集中

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2. SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡で注意したいポイント

SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡では、以下3つのポイントに注意しましょう。
 

  1. 最新技術や言語が求められているとは限らない
  2. 赤字部分もすべて見直して改善策を講じる
  3. M&A先を焦らず慎重に見極める

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。M&Aに動き出す前に確認してみてください。

ポイント①最新技術や言語が求められているとは限らない

1つ目のポイントは、いかなるケースでも最新技術や言語が求められているとは限らないという点です。

SES事業では、使い慣れた古い言語や技術を使用し続けている企業も多く存在します。これは、リスクを最小限に抑えておきたいという気持ちによるものです。

その一方で、それほど知見が揃っていない最新技術・言語などで作り上げたシステムでは、将来的に大きなトラブルが発生するおそれがあります。トラブル発生時のシステム復旧には時間がかかり、対処に遅れが生じるケースも少なくありません。

そのため、SES事業会社では、リスクを最小限に抑えながら、安定したサービスを提供できる使い慣れた古い言語や技術を用いる企業が多いです。

もちろん最新の言語や技術が必要ないというわけではありませんが、これらを用いてメリットを享受できるのは古い技術や言語で安定したシステムを提供できるという盤石な基盤があってこそだといえます。

もともと大手企業を取引先に持つ企業は、特に安全性と安定性を求める傾向があります。SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡を行うにあたって相手の期待に応えるには、買い手先の企業がいかなる意向・ニーズを持っているのか十分に把握しておくことが大切です。

ポイント②赤字部分もすべて見直して改善策を講じる

2つ目のポイントは、赤字部分もすべて見直して改善策を講じる点です。

SES事業に限りませんが、収益が安定していない企業よりも、安定した収益が期待できる企業の方が好まれます。とはいえ、赤字がまったくない状態にしておかないといけないというわけでもありません。

その一方で、赤字を放置して何も改善策を講じていない状態では信頼を大きく損ないます。将来的に赤字が出てしまった場合においても、改善せずにそのまま経営を続けてしまうおそれがあるためです。

そのため、改善策を講じて赤字に対処する意思を表示できれば、相手企業に好印象を与えられます。

急に赤字を黒字に変えることは困難であるため、まずはできることからリストアップして改善策を考えましょう。

ポイント③M&A先を焦らず慎重に見極める

3つ目のポイントは、M&A先を焦らず慎重に見極める点です。

もともとM&Aでは手続きが多いため、素早く進めたい場合には焦りやすくなります。しかし、M&Aを成功させるには、「自社の強みを明確にしておく」「売却価格を慎重に決定する」というように、交渉前に準備しておくべきプロセスが非常に多いです。

M&Aで焦ってしまえば、その分リスクも高くなってしまいます。

焦ることで起きてしまう代表的なトラブルは、以下のとおりです。
 

  • 譲渡の前後で社員の離職を招く
  • M&Aの目的を見失う
  • 自社の強みを明確にできない
  • 売却価格が下がる
  • 社員による情報漏えいが発生する
  • 事業や会社の売却を完了できない

社員が離職してしまえば、企業価値はもちろん下がります。自社の強みを伝えきれなくても、売却価格に悪影響を及ぼすことがあるのです。

他の事業と比べても、SES事業では、M&Aを好意的に捉える従業員が多いです。とはいえ、早い段階でM&Aの実行を伝えてしまうと、情報漏えいのリスクが高まります。

以上のことから、焦らず慎重に見極めながら、M&Aのリスクを最小限に抑えていく必要があるのです。

SES事業会社でのM&A・売却・譲渡を急ぎたい人は多く、リスクが高くても踏み切りたいという人もいます。こうした状況にある経営者の方は、M&Aの専門家に相談しましょう。

M&Aの専門家への相談により、自社の強みを見つけてくれたり適切な売却価格を提示してもらえたりと、M&Aに関する手厚いアドバイスが受けられます。ここで、M&Aアドバイザーや仲介会社を利用すれば、対象企業の紹介・交渉や契約の代行を含めた手厚いサポートを受けられるのです。

失敗しやすい部分も確実にフォローしてもらえるため、焦っているときでもリスクを最小限に抑えられます。

【関連】IT・ソフトウェア業界のM&A事例25選!業界動向・M&Aの流れ・成功のポイントまで

3. SES事業会社のM&AはM&A総合研究所にご相談ください

SES事業会社のM&AはM&A総合研究所にご相談ください

もしもM&A仲介会社選びに迷ったときには、M&A総合研究所へお任せください。

M&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーが、M&A手続きをフルサポートいたします。M&A総合研究所にあるその他の強みは、以下のとおりです。
 

  • 国内最安値水準の成功報酬体系
  • 平均3~6ヶ月という短期間での成約
  • 高額売却の実績多数

SES事業会社のM&Aでは、スピードを重視したいという意見を多くいただいております。M&A総合研究所では買い手探しに独自のAI技術・ネットワークを用いることで、スピード成約を実現しました。

経験豊富なM&Aアドバイザーが手厚くフルサポートいたしますので、幅広い売上規模に対応できる点も強みです。

なお、M&Aでは、売り手側と買い手側の双方で以下のようなメリットが得られます。

売り手側のメリット 買い手側のメリット
大手資本の力で自社発展 人材不足の解消
従業員の雇用を確保 新しい技術・ノウハウの獲得
後継者問題の解決 弱点事業の補強
創業者利益の獲得 事業の拡大
債務・個人保証・担保からの解消 低コストでの新規事業・周辺事業への参入

今後を見据えて動き出す場合、将来性が高いM&Aという選択肢を検討してみると良いでしょう。

国内最安値水準の手数料体系に強みがあるほか、完全成功報酬制を採用しておりますので、成約に至らない限り費用は一切発生いたしません。そのため、M&A途中における費用の心配は不要です。

相談料は無料となっておりますので、SES事業会社のM&A実施に不安がある場合にはお気軽にご相談ください。

【関連】SES会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
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4. SES事業会社のM&Aはチャンス?現状と動向

SES事業会社のM&Aはチャンス?現状と動向

ここでは、SES事業会社のM&Aを検討する際に知っておきたい現状と動向を以下の項目に分けて紹介します。
 

  • 市場規模の拡大!今後も激化する現状がある
  • 動向から見るM&Aの需要

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

市場規模の拡大!今後も激化する現状がある

SES事業の会社が所属するソフトウェア業界はIT(情報通信)業界でも有数の企業数を誇っており、市場規模も拡大し続けています。技術は進歩し続けており今後も需要が増える見込みであるため、激化が進む現状を意識しておかなければなりません。

特に意識しておきたいポイントを、以下の2項目で解説します。
 

  1. 激化する現状の背景
  2. 勝ち抜くには独自の競争力が必要

それぞれ簡単に説明しますので、見ておきましょう。

①激化する現状の背景

SES事業が所属するソフトウェア業界は、IT(情報通信)業界で有数の企業数を誇ります。経済産業省は『2019年企業活動基本調査速報』において、2018年度の企業数を1,449と発表していました。

2位となる情報処理・提供サービス業界の企業数は616と報告されており、IT業界では競争相手が多いです。もともとIT業界は深刻な人材不足に悩まされているため、SES事業会社からすると、技術者を確保する点でも他社との競争にさらされています。

さらに見逃せないのは、ソフトウェア事業全体で売上高が拡大している点です。

経済産業省の『2019年企業活動基本調査速報』によると、SES事業会社が所属するソフトウェア業界の売上高は増加傾向にあります。2012年度から2018年度にかけての売上高を見ると、約11.9兆円・約14.4兆円・約17兆円・約17.1兆円・17.2兆円・17.1兆円と推移している状況です。

【経済産業省・2019年企業活動基本調査速報・ソフトウェア事業】

年度 売上高(百万円)
2012 11,852,970円
2013 14,393,787円
2014 16,933,803円
2015 17,073,612円
2016 16,875,994円
2017 17,238,000円
2018 17,122,500円

近年の売上高は横ばいで推移していますが、IT人材の不足を補えばさらなる増加が見込まれます。

以上のことから、競争の激化が進むと予想できるのです。

②勝ち抜くには独自の競争力が必要

競争激化が予想できる場合、勝ち抜くには独自の競争力が求められます。

競争力を得るためには、以下の観点から独自技術を意識すると良いでしょう。
 

  • 時代をリードするAI
  • 金融とテクノロジーを合わせたFintech
  • モノとインターネットをつなぐIoT 

独自の技術を持っていると、競争力を付けながら企業価値を高めることにつながります。先端技術を習得することで、対象企業から重宝されて技術者派遣サービスの需要を高められるという仕組みです。

しかし、独自技術の獲得は、決して簡単ではありません。

SES事業会社の多くは出向・派遣を主軸とした業務体系となっていて、社員は自社事業に関わる機会が少なく対象企業での労働が一般的です。定められた期間やプロジェクトの完了および成果物を提出するまでは、他社に駐在して業務に取り組みます。

そのため、以下のような状態を引き起こして、独自技術を学ぶ機会を逃してしまいやすいです。
 

  • ほとんどの技術者が社外に出ている
  • 最新の技術を習得する機会を設けられない

上記の状態では、競争を勝ち抜くための力を蓄えられません。

自社の強みを持ったうえで技術者を派遣していなければ、SES事業会社の市場価値を低下させていると判断されてしまいます。SES事業会社は競争力に応じた市場価値を持つ現状にあることも相まって、取引相手にアピールできる技術力がないと市場価値が低いと判断されてしまいかねません。

以上のことから、独自技術を学ぶ機会を作るのが難しいSES事業会社では、M&Aにより人材・技術をスピーディーに確保しようという動きが強まっています。

動向から見るM&Aの需要

動向に目を向けると、SES事業会社のM&Aは増え続けており、事業拡大・人材確保・技術の確保などが図られている現状が把握できます。

独自の技術を確保しながら競争力を高めて競争に勝ち抜くために、M&Aが選ばれているのです。ここでは、M&Aの動向を以下の項目に分けて解説します。
 

  1. 増え続けるM&A
  2. 事業拡大と人材確保の一手

上記2つに分けて、簡単に説明していきます。

①増え続けるM&A

SES事業のM&Aが増え続けている背景には、以下のような要因があります。
 

  • IT企業による人材確保
  • 海外の大手資本のコスト削減
  • 法改正による同業種からのM&A増加

IT業界では、人材不足が叫ばれていたり若年層の技術者が少なかったりと、今後も人材確保に力を入れなければなりません。ここでは、たくさんの技術者が在籍するSES事業会社を買収して、必要な人材を囲い込む戦略が有効策です。

海外の大手企業ともなれば、事業の規模が大きくシステム開発に莫大な資金が必要となります。また、システムを更新するたびに、費用の支払いが求められるのです。そこでSES事業会社を買収すれば、他社に依頼するよりもコストを抑えながら、自社システムなどの管理・運用を任せられます。

一方で、国内同業種からのM&A増加の背景には、労働者派遣法の改正により労働派遣事業が許可制となった影響が強く出ているといえます。

2018年9月30日をもって、許可を得ていない事業者は派遣業を行えなくなりました。許可を得るには、一定の資産を確保したり現預金を増やしたりといった諸条件をクリアしなければなりません。

自社のみで条件を満たせない場合には、M&A・売却で存続を試みる企業も多く存在します。資本力のあるSES事業会社が小・中規模のSES事業会社を買収して人材を補充する一方で、売り手側では事業からの撤退・雇用先の確保に努めている状況です。

以上の背景から、SES事業のM&Aが活発化しており需要は増え続けている現状が見て取れます。

②事業拡大と人材確保の一手

増え続けるM&Aの動向を見ると、SES事業会社におけるM&Aは事業拡大と人材確保の一手として用いられている状況にあります。

事業拡大と人材確保を目指すM&Aは、国内外問わず今後も活発化していく見込みです。

例えば、SES事業を展開するレバレジーズ株式会社は、2020年までに海外への投資を100億円にまで引き上げる計画を立てていました。投資の対象は主に発展途上国です。10年規模でインフラ整備に取り組み、海外での事業拡大を狙っていました。

これにより、海外拠点については、これまでにメキシコ・シンガポール・インド・ベトナムの4カ国に支社を設立しています。さらに、今後はミャンマー・インドネシア・タイ・中国などの国に展開していく予定です。

このような動向も相まって、SES事業の会社でも海外への投資件数が増えているものと見られます。

その他にも、経済産業省の『IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果』によれば、IT技術者の数は2019年をピークに2030年まで下がり続けると報告されています。このようなデータを踏まえると、SES事業会社では、人材獲得のためにM&Aを選ぶ傾向が強まっているためにM&Aの増加が顕著です。

以上をまとめると、SES事業会社では人材の取り合いになっている現状から、M&Aが活発に行われています。M&A活用による会社や事業の売却・譲渡を検討している場合、高価格で譲渡しやすい状況です。

【関連】M&Aにおける課題とは?現状から対策までを解説

5. SES事業会社のM&Aに向かう前にすべき5つのアクション

SES事業会社のM&Aに向かう前にすべき5つのアクション

最後に、SES事業会社がM&Aに向かう前に検討すべき5つのアクションを紹介します。
 

  1. 顧客基盤を強化する
  2. 収益性の見直しをする
  3. 人材の把握と強化をする
  4. 市場への対応力を磨く
  5. アピールポイントを整理しておく

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

アクション①顧客基盤を強化する

1つ目のアクションは、顧客基盤を強化することです。

はじめに、自社において特定の顧客を持っているのかどうか確認してみてください。

特定の顧客を抱えていれば、安定した売上を確保できます。取引している期間が長ければ長いほど、技術者を派遣している実績をアピール可能です。

買い手は他社との差別化を求めている傾向があるため、特定分野で優れたサービスを提供していれば強みとなります。これにより、目に留まりやすくなって、交渉の機会を増やせるのです。

次に、自社で抱える技術者がいかなるスキルを持っているのか洗い出してみてください。

例えば、以下のようなスキルの保持者を中心に調べておきましょう。
 

  • 習得したプログラミング言語の種類
  • 広く使われているJava
  • インフラを構築しやすいAWS(Amazon Web Services)
  • Web上のアプリを作成するRuby

ここでは、できる限り詳しく調べてまとめておきます。

調査結果を見れば、業界内での人気を考慮してアピールできる分野を把握可能です。

最後に、調べた結果をまとめて、いかなる戦略を講じれば顧客基盤がより強化できるのか検討してください。売却に向けて改善を進めて強化していけば、アピールポイントが増えて買い手の興味を引きやすくなります。

SES事業会社ではM&Aが活発に行われているため、顧客基盤を強化して差別化できれば、交渉がスムーズに進みやすいです。

アクション②収益性の見直しをする

2つ目のアクションは、収益性の見直しをすることです。

安定した収益性を持ちM&A後の経営計画が立てやすい企業は、買い手に良い印象を与えられます。

そのため、収益性の見直しは、アピールポイントを増やしながら他社との差別化を図るうえで効果的です。

例えば、以下の項目を中心に洗い出してみましょう。
 

  • 特定分野の収益性をまとめる
  • サービスごとの料金体系・業務体系を明確にする
  • 人件費のバランスが取れているのか確認する

特定分野を得意分野として伸ばせるのであれば、見直してさらなる強化を図りましょう。

他の分野で活躍できそうであれば、検討して収益性を高める方針を取るのも有効策です。

また、以下のような項目で各サービスの料金体系・業務体系を明確にすれば、ビジネスモデルもイメージしやすくなります
 

  • 技術者が提供できるサービス
  • システム設計・データベース構築・システム実装
  • 取引に応じた技術者の数・取引期間
  • 常駐・派遣の選択を行っているかどうか

適正な業務体系を備えれば、人材不足ながらも効率的なサービスを提供しているという状態を示せます。

なお、人件費の見直しについては、原価率の改善・フリーランスを雇うといった対策で、買い手に魅力的な案件として好印象を与えやすいです。ただし、コストの削減により社員や給料を減らすと、収益減少や技術者の離職を招きかねないため注意してください。

アクション③人材の把握と強化をする

3つ目のアクションは、人材の把握と強化をすることです。

SES事業会社において、人材は企業価値に大きく影響します。いかなる技術・能力を持つ人材がいるのかを把握しながら強化していくと、価値を高めてアピールしていくことが可能です。

具体的には、以下のような人材の有無を調査します。
 

  • 管理能力のある優秀な人材
  • IT関連の有資格者や能力開発を行っている人材
  • 案件や事業ごとに適切な人材配置ができているかどうか 

高い技術力を備えて社員の管理を行える優秀な人材は、M&A後にサービス提供を開始する際に重宝します。適切な人材配置ができていれば、利益の損失を避けながら最大限に収益性を向上できるのです。

また、以下のような技術的な資格を持つ人材も見逃せません
 

  • 基本情報処理技術者
  • 応用情報処理技術者
  • LPIC
  • Java SE 8

一定の知識・技術を持ち合わせている人材は、非常に貴重です。もしも自社で技術者のために学習の機会を設けていれば、企業価値はより高まります。

人材の把握と強化を進めていくことで、他社との差別化および自社の強みをアピールできます。ぜひ一度検討してみてください。

アクション④市場への対応力を磨く

4つ目のアクションは、市場への対応力を磨くことです。

市場は拡大し続けており、ニーズも多様化しています。現在では、事業拡大から新規参入まで幅広く検討している買い手が数多く存在するのです。

そのため、市場への対応力を磨くことはM&Aの成功率を高める結果につながります。

例えば、以下の項目を中心に確認します。
 

  • 最新の技術に対応する知識などを持っている
  • ユーザーが求めるICT利用に対応できている
  • 自社が持っている技術などに将来性がある 

需要の拡大が見込まれる技術(AI・Fintech・IoTなど)を持っていれば、市場の変化に対応できます。

この他にも、現在ICT(情報通信技術)によるサービスは多岐にわたっており、ホームページ・メールの送受信・動画投稿サイト・SNS・インスタントメッセンジャー・金融取引などに活用されています。こうした点も相まって、需要が高い技術に関連する技術者や取引先が存在すれば、対応力の高さをアピール可能です。

また、将来性が見込める技術・ビジネスモデルを持っていても、対応力が高いと判断されます。

市場への対応力を高めればSES事業でのM&Aも成功しやすくなるため、アクションを起こしてみてください。

アクション⑤アピールポイントを整理しておく

5つ目のアクションは、アピールポイントを整理しておくことです。

たとえ自社では強みと思っていなくても、買い手企業からすると魅力的なポイントがあるケースはゼロではありません。細かい点においても、綿密に洗い出してみましょう。

数字で出せるポイントは、買い手側の信頼を得るうえで非常に効果的です。

例えば、以下のような要素がアピールポイントになりやすいです。
 

  • 人材の数が多い
  • 従業員のスキル・経験が豊富である
  • 特定の取引先がある
  • 得意な分野がある
  • 従業員の教育・研修制度が整っている
  • 情報管理・コンプライアンス管理を徹底している

口頭で伝えても根拠がないことから、信憑性に欠けてしまうケースもあるでしょう。そのため、できる限り整理しながらリストや資料にまとめるなど、わかりやすく伝える工夫が大切です。

なお、ここまで紹介した以下4つのアクションによる結果を整理してまとめておくだけでも、伝わり方に大きな差が出ます。
 

  • 顧客基盤の強化
  • 収益性の見直し
  • 人材の把握と強化
  • 市場への対応力

整理した資料は、自社のビジネスモデルをなるべく相手に手早く理解してもらううえで必要不可欠です。

十分に企業価値を把握してもらうことは、納得できる内容で話し合いを終えるためにも必要となるため、ぜひ整理してみてください。

【関連】M&Aを失敗する理由・事例25選【海外・日本企業】

6. まとめ

まとめ

本記事では、SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡について、業界の動向・M&Aのポイント・M&Aの事例などを紹介しました。SESに関する業界は、IT人材・後継者不足のほか労働者派遣法の改正を受けて、M&Aの活発化が予想されます。

そのため、取引相手は比較的見つけやすいですが、相性も十分に把握しておきましょう。経営理念や技術者のスキルを考慮しておくことも大切です。

自社のみで進めるのが難しい場合は、専門家のアドバイス・サポートを受けられる仲介会社を活用してください。

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