ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の流れやチェック項目を解説!

企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

訪日外国人の増加や地方への観光客の増加によりホテル・旅館業界の需要は増加しています。そのため、ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却は注目されています。そこでこの記事では、ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却についてその流れや注意点などについて紹介します。

目次

  1. ホテル業界の事業譲渡・事業売却解説動画
  2. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却
  3. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の流れ
  4. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却をする際のチェックポイント
  5. ホテル・旅館を事業譲渡・事業売却するメリット
  6. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の注意点
  7. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却におすすめの仲介会社
  8. まとめ
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    1. ホテル業界の事業譲渡・事業売却解説動画

    ホテル業界における新型コロナの影響と事業譲渡・事業売却(M&A)による課題解決について、M&Aコンサルタントが分かりやすく解説しています!

    2. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却

    近年、M&Aの成約件数は増加しており、ホテル・旅館業界の事業譲渡・事業売却の件数も増加傾向にあります。その理由には、訪日外国人の増加、地方の観光地へ訪れる人の増加の2つが考えられます。

    ホテルや旅館業界は、将来的な需要増加が見込まれるため、新規参入や事業規模拡大を目的に事業譲渡や事業売却が積極的に行われています。

    ホテル・旅館事業とは

    ホテル・旅館事業には、宿泊事業・飲食事業・観光事業などがあり、ビジネスホテル・旅館・リゾートホテルなどが含まれます。

    ホテル・旅館事業の特徴は、インバウンド客や訪日外国人の増加により、今後も大きな需要が見込まれることです。

    しかし、ホテルや旅館を運営していくためには、人件費や設備などの固定費がかかることや、従業員への教育やマーケティングのノウハウなど、安定した売上を計上することが困難というデメリットもあります。

    そのためホテル・旅館業界では、少しでもリスクを回避するため、事業譲渡による新規参入や事業拡大が活発に行われています。

    事業譲渡とは

    事業譲渡とは、対象とする事業を売買することをいいます。合併や買収では原則的に売却される会社との支配関係が生まれますが、事業譲渡では対象の事業のみ支配関係が発生します。

    そのため、事業譲渡では合併や買収と異なり、どのような資産を譲渡するか決めておく必要があります。例えば、合併・買収ではその会社の営業権だけでなく、その会社に従事している従業員やその会社の資産なども当然のように引き継ぐことができます。

    しかし、事業譲渡では対象とする事業の営業権は売却できますが、それに関係する資産や従事している従業員は引き継ぐことができません。

    承継する内容や量が異なると事業譲渡の取引金額も変わるため、買い手は自社にとって何が必要なのかを明確にしたうえで事業譲渡を行う必要があります

    事業売却とは

    事業売却とは売り手が事業を売却するときに用いる言葉で、事業譲渡と同様の意味で使われます。特に、中小規模・個人経営のホテルや旅館は、後継者問題などが原因で事業売却を希望するケースが増加しています。

    事業売却の案件は増加しているため、ホテル・旅館業界へ新規参入したい方や事業規模を拡大したい方は検索してみることをおすすめします。

    事業譲渡や事業売却の手続きなどについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

    ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の相場

    ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の相場は、不動産価値や市場の状況によるところが大きいため、売るタイミングによって値段が変動します。

    ただ、ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却のだいたいの相場は、年間営業利益の2、3倍くらいといえるでしょう。また、運営を行う従業員の引継ぎや返却の条件などの交渉により、値段は変動します。

    【関連】事業譲渡・事業売却の方法・手続きまとめ!契約書の書き方も解説【事例あり】

    3. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の流れ

    次はホテル・旅館業界の事業譲渡・事業売却の流れについて紹介します。事業譲渡・事業売却の流れは、以下の手順を踏んで行われることが一般的です。

    1. 専門家に相談
    2. 譲渡・売却先を選定
    3. 基本合意書の締結
    4. デューデリジェンスの実施
    5. 臨時株主総会での承認
    6. 最終契約書の締結
    7. クロージング

    ①専門家に相談

    事業譲渡・事業売却を決めたら、まずは専門家に相談します。事業譲渡や事業売却には専門的な知識が不可欠であり、目的としている事業もしくは対象とする事業の売却先を探す必要があります。

    M&Aの専門家に依頼すれば、手続きの手間を省けるだけでなく、事業譲渡や事業売却の成功確率が上がるようにサポートを受けられます

    事業譲渡や事業売却を行うことを決めたときは、最初にM&Aの専門家に相談したり依頼したりするようにしましょう。

    秘密保持契約書の締結

    秘密保持契約とは、合併・買収・事業譲渡に関する情報を関係者や第三者に漏えいしないようにするための契約です。

    合併・買収・事業譲渡などのM&Aを行うことは、対象となる従業員だけでなく株主など利害関係者にも大きな影響を与えることになります。

    そのため、相談・サポートを依頼したM&A専門家とは、必ず秘密保持契約を締結します。また、譲渡先や売却先が決まった段階で、相手企業とも秘密保持契約を締結しておきます。

    ②譲渡・売却先を選定

    次に、譲渡・売却先を選定します。M&Aの専門家に依頼すれば、譲渡・売却先の候補先を選定してもらえるので、その中から譲渡・売却先を決めていきます。

    M&Aの専門家に相談する際は、できるだけ具体的な希望の譲渡先、あるいは売却先を説明できるように準備しておくことが重要です

    ③基本合意書の締結

    譲渡・売却先を選定した後は、譲渡する事業や売却先の資料を確認します。そして、その資料をもとに経営陣同士のトップ面談を行い、事業譲渡を行ってもよいか、事業売却をしてもよいかを判断します。

    両社ともに事業譲渡・事業売却に意欲的であれば、基本合意書を締結します。基本合意書とは、両社が事業譲渡や事業売却に意欲的であることを確認する契約書のことです。

    この契約書では両社の意志だけでなく、独占交渉権や独占交渉できる期間などについても取り決めることができますが、法的拘束力はありません。

    意向表明書の提示

    意向表明書とは、事業譲渡や事業売却を行う意向を示す書類のことです。経営陣同士のトップ面談後、事業譲渡や事業売却を行う意向があるときは、M&A専門家をとおして意向表明書を提出します。両社から意向表明書が提出されて初めて、基本合意書を締結します。

    ④デューデリジェンスの実施

    デューデリジェンスとは、企業監査のことです。基本合意書を締結するまでは、売り手が作成した資料をもとにトップ面談を行い、契約書を締結します。

    しかし、対象事業が簿外債務を抱えていたり、資料には提示されていない労働に関するトラブルなどを抱えていたりする恐れがあります。

    また、事業譲渡・事業売却の最終的な取引金額は、これらを考慮して決める必要があるため、必ずデューデリジェンスを実施します。

    デューデリジェンスを実施して見つかったトラブルが自社の経営に大きな影響を及ぼすと考えられる場合は、事業譲渡・事業売却を中止できます

    【関連】M&AにおけるビジネスDD(デューデリジェンス)とは?手法と目的を解説!

    ⑤臨時株主総会での承認

    事業譲渡・事業売却を行う際に株主総会での承認は必要ありません。しかし、以下の3つのいずれかに該当するときは、事業譲渡・事業売却を行う前に臨時株主総会を開催して特別決議を得なければなりません

    1. 売り手企業の全事業を売却するとき
    2. 買い手企業が相手企業の全事業を譲り受けようとするとき
    3. 売り手企業が総資産の5分の1以上の事業を売却するとき
    債権者については、事業譲渡・事業売却で債務者を売却先に変えようとする場合、各債権者の同意が必要になります。

    ⑥最終契約書の締結

    デューデリジェンスをもとに取引金額の交渉を行い、株主総会での承認が得られて両社が事業譲渡・事業売却に意欲的である場合、最終契約書を締結します。

    事業譲渡・事業売却では、対象事業の営業権についてのみ売買を行います。そのため、従業員や対象事業に関する資産などの引継ぎは、基本的には行われません。

    最終契約書では、クロージングを実施してから譲渡する資産・従業員などについて詳細に決める必要があります。なお、譲渡する従業員に関しては、個別で同意を求めなければなりません。

    ⑦クロージング

    クロージングとは、ヒト・モノ・カネなどが最終契約書に基づいて移動することをいいます。事業の引継ぎがスムーズに行えるように、クロージングは計画的でなければなりません。

    一般的なM&Aのスケジュールについては、以下の記事で詳しく解説していますので、そちらも併せてご覧ください。

    【関連】M&Aのスケジュールを解説!【買収までの流れ・手順】
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    4. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却をする際のチェックポイント

    ここでは、ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却をする際のチェックポイントについて紹介します。

    ①ホテル・旅館の価値・強みをまとめておく

    1つ目のポイントは、ホテル・旅館の価値・強みをまとめておくことです。事業譲渡や事業売却の取引価格を決める際は、譲渡する資産の時価評価と将来的に得られる利益をもとに算出します

    資産の時価は客観的に評価できますが、将来的に得られる利益を客観的に評価することは困難です。

    対象となるホテルや旅館の価値や強みをまとめておき、価格交渉の際にアピールすることで将来的な価値が高いと判断され、売却価格が高くなる可能性があります。

    ②譲渡する理由や目的を明確にしておく

    2つ目のポイントは、譲渡する理由や目的を明確にしておくことです。特に、事業の買い手側は理由や目的を明確にしておくことが大切です。

    事業譲渡には多額の資金を要するため、クロージング後に売上が伸びないなど、失敗するわけにはいきません。

    事業譲渡後はどのようなシナジー効果が得られるのか、その事業の中長期計画はどのようなものなのかを明確にしたうえで、事業譲渡を行うようにしましょう

    また、売り手側はできるだけ多くの売却益を得ることが最大の目的と考えられます。そのため、多額の売却益が得られるような売却先の業界は何かなど、明確にしておいた方がよいでしょう。

    ③事業譲渡・事業売却の専門家に相談する

    3つ目のポイントは、事業譲渡・事業売却の専門家に相談することです。事業譲渡・事業売却には、専門的な知識が必要であるため、対象企業の経営陣だけで行うことはできません。

    また、事業譲渡や事業売却における戦略の策定や、成功確率を上げるための交渉などにも、M&Aの専門家によるサポートは不可欠といえるでしょう

    5. ホテル・旅館を事業譲渡・事業売却するメリット

    続いては、ホテル・旅館を事業譲渡・事業売却するメリットについて紹介します。数あるメリットの中から、ここでは以下の4つを取り上げます。

    1. 後継者問題の解決
    2. 従業員の雇用先の確保
    3. 新規事業の開始
    4. 譲渡益の獲得

    ①後継者問題の解決

    1つ目のメリットは、後継者問題の解決です。近年、経営者の高齢化に伴う後継者問題に悩む中小企業は多いです。経営者が負うリスクが大きいため、積極的に事業を引き継ごうという若物はなかなか見つかりません。

    このような状況はホテル・旅館業界にも当てはまり、老舗のホテル・旅館ほど後継者問題を抱えています。

    問題解決のためには、廃業か売却の方法があります。ホテル・旅館の経営が黒字である場合は、今後大きな需要が見込まれるため、事業譲渡・事業売却の選択をおすすめします。

    ②従業員の雇用先の確保

    2つ目のメリットは、従業員の雇用先の確保です。中小企業の事業承継において経営者が心配していることは従業員の雇用確保でしょう。

    事業譲渡や事業売却では買い手側が従業員も引き継いでくれる可能性が高いため、従業員の雇用先を確保することが可能になります

    ③新規事業の開始

    3つ目のメリットは、新規事業を開始するきっかけになることです。新規事業を起こすためには、ある程度の資金が必要になります。

    事業譲渡・事業売却を行えば売却益が手に入るため、それを元手に新規事業を開始できます。ただし、事業譲渡や事業売却をする際は、契約により競業避止義務を負う可能性があります。

    競業避止義務とは、同一地域で譲渡した事業を行ってはならないという義務です。ホテルや旅館など同じような事業の検討を行っている場合は、契約の際に競業避止義務について確認しましょう。

    ④譲渡益の獲得

    最後のメリットは、譲渡益を獲得できることです。事業譲渡・事業売却をすることで、相当額の譲渡益を獲得できます。

    特に、利用客が多かったりブランドがあったりなど、秀でているものがあるホテルや旅館の譲渡額は客観的な取引額よりも高くなる傾向があります

    得た譲渡益をもとに新規事業を起こしたり、リタイア後の生活を送ったりできます。ただし、譲渡益は収入になるため課税対象です。

    税理士などの税務の専門家と相談して、必要な納税額を把握したうえで残りの譲渡益を使うようにしましょう。

    6. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の注意点

    最後にホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の注意点について紹介します。ここでは、以下の3つについて解説します。

    1. 収益性や経営に関わるデータをまとめておく
    2. 交渉の長期化にも準備しておく
    3. 譲渡希望額にならない可能性がある

    ①収益性や経営に関わるデータをまとめておく

    1つ目は事業譲渡・事業売却するホテルや旅館の収益性や経営に関わるデータをまとめておくことです。事業譲渡や事業売却の取引金額を決めるときには、必ずそのホテルや旅館の収益性などのデータが必要になります。

    また、譲渡するホテルや旅館の強みを交渉の際にアピールすることで、取引金額が高くなる可能性があります

    また、買い手側からのデューデリジェンスの際、簿外債務などが発覚すると信用がなくなり、取引金額が大きく低下する、もしくは事業譲渡・事業売却自体がなくなる可能性があります。

    そのため、事業譲渡や事業売却を行う前には、必ず収益性や経営に関わるデータをまとめておくようにしましょう。

    ②交渉の長期化にも準備しておく

    2つ目の注意点は、交渉が長期化した場合に備えて、準備をしておくことです。事業譲渡・事業売却は、通常2~3か月かかります。

    デューデリジェンスを実施した後、取引金額や従業員の引継ぎなど詳細な条件を決めていきますが、この際に折り合いがつかなければ、交渉が長期化して半年以上かかるケースもあります。

    そのため、交渉の長期化に備えて準備をしておく必要があります。具体的には、妥協案を決めておく、交渉が白紙になったことを考えて新たな取引相手を探索しておくことなどが挙げられます

    ③譲渡希望額にならない可能性がある

    最後の注意点は、譲渡希望額にならない可能性があることです。事業譲渡・事業売却を行った際、取引金額が希望どおりにいかないケースもあります。

    しかし、交渉を長期化させると、事業譲渡・事業売却自体が白紙になる可能性もあります

    対策として、事前に譲歩できる金額を想定しておき、それを超えるようならば契約を行い、下回るようであれば交渉の破棄をするなど、自身で条件を決めておきましょう。

    7. ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却におすすめの仲介会社

    観光客の増加によりホテル・旅館の事業譲渡・事業売却が行いやすい状況になっています。しかし、希望に沿う事業譲渡・事業売却を行うためには、M&Aの専門家によるサポートが不可欠です。

    M&A総合研究所では、M&Aに関する豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、事業譲渡・事業売却の相談からクロージングまで一括サポートいたします

    当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっており、着手金は完全無料です。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却をご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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    8. まとめ

    ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却について紹介してきました。ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却を行う際は、以下のポイントについてあらかじめ理解を深めておきましょう。

    • ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の現状→観光客の増加に伴いホテル・旅館の売却は需要増
    • ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の流れ→譲渡の条件によっては株主総会で承認が必要
    • ホテル・旅館の事業譲渡・事業売却の注意点→データ管理や交渉長期化の対策を講じておく

    ホテル・旅館は需要増加が見込まれること、従業員がいないと経営できないことから従業員を引き継がせる必要があるなど、ほかの業界と比べて事業譲渡・事業売却を行いやすい業界であると考えられます。

    しかし、売却先の選定や希望譲渡額への交渉には専門的な知識・経験が必要となるため、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

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