商工会議所によるM&A支援を徹底解説!費用・事例・相談先まで

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

商工会議所は、地域の中小企業の経営を幅広くサポートしています。M&Aを含む事業承継についても様々な支援策を用意しており、円滑な事業承継を後押ししています。本記事では、商工会議所によるM&A支援の内容、費用、相談先などを詳しく解説します。

目次

  1. 商工会議所が提供するM&A支援とは?
  2. 商工会議所のM&A支援を活用するメリット
  3. 商工会議所のM&A支援にかかる費用
  4. 商工会議所が実施するM&A支援の取り組み
  5. 商工会議所が支援したM&A成約事例
  6. M&Aの相談先
  7. M&Aを成功させるためのポイント
  8. M&Aに関する最新情報と動向
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 経験豊富なM&AアドバイザーがM&Aをフルサポート まずは無料相談

1. 商工会議所が提供するM&A支援とは?

近年、商工会議所では事業承継の支援に力を入れており、年々相談件数も増加傾向にあります。本記事では、商工会議所の事業承継支援について紹介しますが、まずは商工会議所について解説します。

商工会議所とは

商工会議所は、地域経済の活性化を図るため、中小企業のM&Aを含む事業承継を積極的に支援しています。具体的には、以下のサポートを提供しています。

  • M&Aに関する相談窓口の設置
  • M&Aアドバイザーの紹介・斡旋
  • M&Aセミナーや個別相談会の開催
  • 事業承継計画策定支援
  • M&A後の経営統合支援

これらの支援策を通じて、商工会議所は、後継者不足の解消、事業の継続・発展、地域経済の活性化に貢献しています。
 

商工会議所が支援する事業承継

商工会議所では、事業承継診断の実施や事業承継に関する専門機関の紹介・斡旋、事業承継の準備や事業承継後のフォローなどを行っています。

特に、事業承継の準備段階である「事業承継に向けた準備の必要性の認識」と「経営状況・経営課題等の把握(見える化)」、「事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)」は早めの着手が重要です。

商工会議所ではこれらの支援を積極的に行っています。後継者の育成には時間がかかり、自社株式・事業用資産の承継準備も計画的に行う必要があります。しかし、すべての経営者が余裕を持って事業承継の準備を始められるわけではありません。

そこで、商工会議所は地域の中小企業・個人事業主へ事業承継の準備の必要性を伝えサポートすることで、事業承継を促しています。

商工会議所が事業承継を支援する理由・目的

経営者の平均引退年齢は60代後半から70代前半とされていますが、引退年齢に差し掛かっても引退できず、事業を継続し続けたり廃業を選択する経営者が増えています。

その原因にひとつとして、後継者がいないことが挙げられます。少子化や仕事に関する価値観の変化、先行きの見えにくい社会情勢などにより、近年は後継者がいない会社が増えています。

そのため、事業の継続は可能であるものの、後継者が確保できないことで経営者自身が事業を継続するか、廃業せざるを得ない会社が多く存在しているのが現状です。

事業の継続が可能であるにもかかわらず廃業してしまう会社が増えると、その会社が積み重ねてきた経営資源が失われるだけでなく、地域の衰退にもつながっていく可能性があります。

商工会議所は、地域の中小企業・個人事業主のサポートを行い、地域経済の維持・発展を目指しています。商工会議所が事業承継支援を実施することで、地域経済の維持・発展を支えています。

2. 商工会議所のM&A支援を活用するメリット

商工会議所のM&A支援を活用するメリットは多岐に渡ります。

  • 専門家による無料相談:M&Aに関する疑問や不安を無料で相談できます。
  • 幅広いネットワーク:M&Aアドバイザー、金融機関、弁護士、税理士など、M&Aに関わる様々な専門家を紹介してもらえます。
  • 中立的な立場からのアドバイス:売手と買手のどちらにも偏らない、中立的な立場からアドバイスを受けられます。
  • 地域密着型のサポート:地域経済に精通した担当者から、地域特性を踏まえたきめ細やかなサポートを受けられます。

【関連】事業承継について銀行に相談するメリット・デメリット、手数料を解説

3. 商工会議所のM&A支援にかかる費用

商工会議所が提供するM&Aに関する相談は、基本的に無料です。ただし、M&A成立後に、仲介手数料やアドバイザリー費用など、別途費用が発生する場合があります。費用の詳細は、個々のケースによって異なりますので、事前に商工会議所にご確認ください。

4. 商工会議所が実施するM&A支援の取り組み

商工会議所は、M&Aを推進するために、様々な取り組みを実施しています。

  •  M&Aセミナーの開催:M&Aの基本知識や事例、手続きなどを学ぶことができます。
  • 個別相談会の開催:M&Aに関する個別の相談に対応しています。
  • M&Aマッチングサイトの運営:売手企業と買手企業のマッチングを支援するサイトを運営している商工会議所もあります。
  • M&Aに関する情報提供:M&Aに関する最新情報や各種資料を提供しています。

後継者塾の開催

商工会議所では、中小企業の後継者候補や事業承継したばかりの後継者などを対象に、後継者塾を開催しています。後継者塾では、事業承継の専門家によって事業を引き継ぐための基礎知識を学ぶことができます。

また、事業承継の実践演習や事業承継経験者の体験談などを通じて、事業承継の実践的な力も付けることが可能です。

さらに、後継者塾に参加している仲間とグループワークを行ったりすることで、後継者仲間のネットワークができる点も魅力です。

後継者塾は、多くの場合3回~5回に分けて行われます。現在はコロナの影響もあり、オンラインで後継者塾を開催する商工会議所も増えています。

オンライン後継者塾の場合、オンラインで事業承継の基礎的な知識を学び、その後フォローアップ面談を行うなどのカリキュラムを組んでいるケースなどがあります。

各種セミナーの開催

商工会議所ではさまざまなテーマで事業承継セミナーを開催しています。セミナーの対象者もテーマによって変わります。

経営者・後継者・後継者候補が対象の場合もあれば、経営者の親がいてまだ事業を引き継ぐ予定のない子どもや経営者の妻など、各商工会議所ではさまざまなパターンのセミナーを開催しています。

また、士業等専門家や金融機関向けの事業承継セミナーなど、支援者側が対象のセミナーも増えてきています。

事業承継セミナーの内容はさまざまですが、多くは経営者や後継者候補に事業承継の覚悟と具体的なアクションを促すような内容になっています。

中小企業や小規模事業者の相談対応

商工会議所に事業承継の相談対応では、商工会議所で対応するケース、商工会議所と介して税理士などの士業等専門家を紹介するケース、商工会議所から事業引継ぎ支援センターへ紹介するケースなどがあります。

事業承継診断は自社の事業承継準備がどの程度進んでいるか現状把握し、今後どのように具体的な取り組みを行っていけばよいかを確認するためのツールで、約10分ほどで簡単に受けることができます。

また、士業等専門家を紹介するケースでは、商工会議所が税理士や中小企業診断士などへ事業承継の相談ができる場を設け、あらかじめ設定された日時で相談ができるよう対応している商工会議所もあります。

【関連】事業承継支援機関・サービス一覧!メリット・デメリット、選び方を解説

5. 商工会議所が支援したM&A成約事例

本章では、商工会議所が支援した事例のなかから4例をピックアップして紹介します。

  1. 葬儀総合サービス業A社の事例
  2. 梱包資材・包装資材の卸売会社B社の事例
  3. 特殊印刷業C社の事例
  4. 金属加工業D社の事例

1.葬儀総合サービス業A社の事例

商工会議所が支援した事例1件目は、葬儀総合サービス業A社です。A社では、Fさんが3代目社長に就任することとなりました。

大学卒業後、他社で経験を積んできたFさんでしたが、実際に家業を継いで経営者になってみると、うまくいかないことが数多くありました。

そのようななか、取引先金融機関から商工会議所の支援サービス利用を提案され、「社長60歳『企業健康診断』事業」を受けます。Fさんは、商工会議所の支援担当者や派遣された専門家と経営の改善を進めています。

2.梱包資材・包装資材の卸売会社B社の事例

商工会議所が支援した事例2件目は、梱包資材・包装資材の卸売会社B社です。梱包資材・包装資材の卸売などを行っているB社では、先代のGさんから末っ子のKさんに事業承継を行いました。

長男や従業員に継がせるという選択肢もあったなか、Kさんが会社を継ぎたいという強い意志を先代に伝えたことから、先代のGさんは末っ子であるKさんに継がせることを決めました。

Kさんはその後3年をかけて経営について学びながら準備を進めていきます。Kさんは社長就任後、自社の業績悪化を食い止めるために、商工会議所に相談しました。

商工会議所の支援員からは、経営のアドバイスとともに事業承継のアドバイスももらいながら、会社の立て直しを進めています。

3.特殊印刷業C社の事例

商工会議所が支援した事例3件目は、特殊印刷業C社です。特殊印刷を手がけるC社では、2016年に先代のEさんから次男のTさんへ事業承継を行いました。先代が2015年と2016年に2度の脳梗塞を患ったことから、腰を据えて事業承継の準備を開始しています。

Tさんは商工会議所に相談し、「社長60歳『企業健康診断』事業」を活用しました。家族内だけで悩むのをやめて第三者機関の客観的なアドバイスをもらえたことにより、さまざまな気づきを得ることができたと話しています。

4.金属加工業D社の事例

商工会議所が支援した事例4件目は、金属加工業D社です。金属加工業を営むD社では娘婿のOさんを入社させ、いずれ事業を継がせる予定で工場の現場で働いてもらっていました。

Oさんが入社して17年後、金融機関から融資を受けるためには後継者の合意も必要であったことから、事業承継を実施してOさんは社長となりました。

しかし、先代がまだ元気だったため実質的な経営は引き続き先代が行い、Oさんは現場の工場で働き続けます。

ところが、2017年に先代が急逝してしまい、それまで経営にほとんど携わってこなかったOさんはどうすればよいのかわからず戸惑い、信用組合から商工会議所を紹介されて相談することとなりました。

Oさんは商工会議所に相談したことで自社の課題が明確となり、何をしていくべきかのイメージができたと話しています。

【関連】事業承継マッチング支援とは?日本政策金融公庫による無料サービス

6. M&Aの相談先

M&Aに関する相談先は、以下のように多岐に渡ります。
 
  • 各都道府県・各地区の商工会議所
  • 中小企業庁の事業引継ぎ支援センター
  • M&A仲介会社
  • 金融機関
  • 弁護士、税理士、公認会計士などの専門家
  • M&Aマッチングサイト-

それぞれの相談先の特徴を理解し、自社に合った相談先を選ぶことが重要です

各都道府県・各地区の商工会議所

ここまでで紹介してきたように、商工会議所では事業承継の相談も受け付けています。商工会議所自体は手続きを行うことはできませんが、事業承継診断を行って事業承継を促したり、専門家を紹介・斡旋したりしています。

また、商工会議所ではセミナーを定期的に開催しているので、基礎知識や実践的なノウハウを身につけたりすることも可能です。

各都道府県の事業引継ぎセンター

各都道府県に置かれている事業引継ぎ支援センターでは、無料で事業承継の相談をすることができます。

センター内にある後継者人材バンクに登録することで、後継者を探している企業と起業を目指す人のマッチングを行うこともできます。

センター経由で手続きを行う場合は、地元の士業等専門家や金融機関などの関連機関と連携して手続きをサポートしてもらうことも可能です。ただし、その場合は別途手数料を支払う必要があるため注意が必要です。

M&A仲介業者

M&A仲介業者は第三者へ事業を引き継ぐM&Aを専門に扱っており、幅広い情報によって承継先を探すことができる点が強みです。

ただし、M&A仲介業者によってネットワークの豊富さや交渉力、報酬体系などには大きな違いがあります。また、特色もM&A仲介業者によってさまざまであるため、M&A仲介業者選びが重要です。

M&A総合研究所では、さまざまな業種・規模で多数の支援実績を持つM&Aアドバイザーが、M&Aによる事業承継を丁寧にサポートいたします。

完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料です。

電話またはメールによる無料相談は随時受け付けておりますので、M&Aによる事業承継をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご連絡ください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
0120-401-970
WEBから無料相談
M&Aのプロに相談する

金融機関

金融機関でも相談を受け付けています。メガバンクや都市銀行は大手企業のみに対応していることがほとんどですが、地方銀行の場合は中小企業が相談をすることができます。

また、金融機関でも定期的にセミナーを開催しているケースが増えているので、セミナーで知識を身につけることも可能です。

ただし、金融機関の事業承継担当者は士業等専門家やM&A仲介業者に比べると専門性が低いことが多いので、実際に手続きを依頼する際は他の専門家を紹介されるケースがほとんどです。

弁護士、税理士、公認会計士など

弁護士、税理士、公認会計士といった士業専門家は、特定分野で専門性を発揮します。また、士業事務所によっては、より幅広く手続きをサポートしているケースもあります。

ただし、多くの小規模士業事務所はサポートできる範囲に限界があることがほとんどなので、ほかの専門家と連携したりM&A仲介業者を紹介することでカバーしているケースが多くみられます。

マッチングサイト

中小企業や個人事業主がM&Aによる事業承継を行う場合は、マッチングサイトを通して相手を探すことが可能です。小規模の案件であれば、専門家に依頼せず直接交渉して事業承継を成立させることもできます。

ただし、直接交渉の場合は交渉が難航したり決裂したりするリスクが高くなるので、マッチングサイトを運営しているM&A仲介業者や提携しているM&A仲介業者に仲介を依頼すると、成功率を上げることができます。

7. M&Aを成功させるためのポイント

M&Aを成功させるためには、以下のポイントに留意することが重要です。

  • 早期の準備:M&Aは、準備に時間を要するプロセスです。後継者問題が顕在化する前に、早めに準備を始めましょう。
  • 目的の明確化:M&Aの目的を明確にし、その目的に合った戦略を立てることが重要です。
  • 専門家との連携:M&Aは複雑な手続きを伴います。弁護士、税理士、M&Aアドバイザーなどの専門家と連携し、スムーズなM&Aを実現しましょう。
  • 相手企業との信頼関係構築:M&Aは、企業同士の信頼関係が不可欠です。相手企業とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を構築しましょう。

8. M&Aに関する最新情報と動向

中小企業のM&Aを取り巻く現状

2025年問題を目前に控え、中小企業の廃業が社会問題となっています。後継者不足による廃業を回避する手段として、M&Aへの関心が高まっています。経済産業省は、中小M&Aの活性化を促進するために様々な施策を展開しています。

M&Aのデジタル化の進展

M&Aのプロセスにおいてもデジタル化が進んでいます。オンラインでの面談やデューデリジェンスの実施など、M&Aの効率化とコスト削減に貢献しています。AIを活用したM&Aマッチングプラットフォームも登場し、M&A市場の活性化が期待されています。

サステナビリティを重視したM&Aの増加

近年、ESG経営への関心の高まりから、サステナビリティを重視したM&Aが増加しています。環境問題への取り組みや社会貢献活動に積極的な企業は、M&Aにおいても高く評価される傾向にあります。

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬!
  2. 最短49日、平均7.0ヶ月のスピード成約(2024年9月期実績)
  3. 上場の信頼感と豊富な実績
  4. 譲受企業専門部署による強いマッチング力
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

>>完全成功報酬制のM&A仲介サービスはこちら(※譲渡企業様のみ)

関連する記事

新着一覧

最近公開された記事