2023年05月22日更新
大阪府の事業承継マニュアル!事業承継・引継ぎ支援センター、大阪府の取組も解説
大阪府では、経営者の高齢化や後継者不足の影響により、事業承継に悩みを抱える企業・経営者が増加中です。本記事では、大阪府の事業承継マニュアルや事業承継する際のポイント、大阪府でM&Aによる事業承継を行うときの相談先などを紹介します。
目次
1. 大阪府の事業承継マニュアル
大阪府では、事業承継のタイミングを迎えている企業が増えています。しかし、後継者問題などの影響により、実際に事業承継を進めている企業は限定的になっているのが現状です。
この記事では、大阪府で事業承継を成功させるためのポイントや相談先などを紹介します。まず、この章では、事業承継の方法と大阪府の事業承継事情を解説します。
事業承継の方法
事業承継の方法は大きく分けて3つあり、それぞれに異なる特徴・メリットを持っています。
- 親族内での事業承継
- 社内での事業承継
- M&Aによる事業承継
親族内での事業承継
親族内での事業承継は、親族を後継者とする事業承継です。親から子への事業承継が一般的ですが、兄弟姉妹、甥姪、子の配偶者などへ事業承継するケースも見られます。最大のメリットは、事業承継の準備を計画的に進められる点です。
早期から後継者候補を定めておけるので、経営スキルの育成や覚悟の醸成などの期間を十分、取れます。一方で、後継者候補に経営者としての資質がないこともあり、その場合、事業承継後の経営に支障が出るので、見極めも必要になるでしょう。
社内での事業承継
社内での事業承継は、社内の役員や従業員を後継者とする事業承継です。社内の人材から選ぶので、経営方針や企業文化を熟知しているメリットがあります。周囲から慕われている人材であれば社内からの反発も少なく、事業承継もスムーズに進められるでしょう。
ただし、後継者候補にかかる経済的負担というデメリットがあります。一定の資力がないと株式買取資金を用意できないため、後継者を辞退するケースも少なくありません。
M&Aによる事業承継
M&Aによる事業承継は、第三者の企業・個人に会社・事業を売却する事業承継です。引き継ぎ対象は限定されておらず、広範囲から後継者を探せるメリットがあります。後継者候補を親族や社内に限定しないため、後継者問題を抱える企業にとって有効な事業承継方法です。
しかし、売却先候補の選定や交渉などが難しい方法でもあります。M&Aの専門的な知識も必要になるので、専門家のサポートは不可欠といえるでしょう。
大阪府の事業承継事情
大阪府はあらゆる業種の企業が集中している都市ですが、事業承継事情はどうなっているのでしょうか。ここでは、大阪府の事業承継事情を以下3つの視点から解説します。
- 経営者の高齢化が進む
- 後継者不足に悩む経営者が多い
- 開業率に比べ廃業率が高い
経営者の高齢化が進む
2019(平成31)年の大阪産業経済リサーチセンター調べによると、大阪府の経営者の平均年齢は60.2歳でした。全都道府県で最も低い数値ですが、「事業承継を考えるのはまだ早い」という考えもあることから、経営者の高齢化が進んでいます。
後継者不足に悩む経営者が多い
大阪府では、後継者未定が原因で事業承継できない企業が増加しています。後継者が決まらなければ事業承継の計画を進められないため、後回しにせざるを得ません。経営者の高齢化と相まって数多くの企業が廃業危機にひんしており、大阪府の事業承継事情は深刻な状況になりつつあります。
開業率に比べ廃業率が高い
大阪府の開業率・廃業率は、全都道府県と比較しても高い水準にあります。特に廃業率は、他の主要都市と比較して開業率を大きく上回る数値になっています。
大阪産業経済リサーチセンター調べによると、大阪府の廃業率が高い原因は「M&Aに対するネガティブなイメージ」との考察でした。M&Aを事業承継の1つの手段として取り入れられれば、大阪府の事業承継事情も改善されると考えられています。
2. 大阪府で事業承継を相談できる公的機関
大阪府で事業承継専門に支援を行っている公的機関は、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターです。大阪府事業承継・引継ぎ支援センターを中心に、他のさまざまな機関が連携して中小企業の事業承継を支援する体制も組まれています。
ここでは、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターの成り立ちや具体的な支援内容を確認しましょう。
大阪府事業承継・引継ぎ支援センター
従来、各都道府県に中小企業庁からの委託事業として設置された公的機関が、事業引き継ぎ支援センターです。それと並行して中小企業庁は、都道府県ごとに中小企業の事業承継を支援する各種機関のネットワーク(事業承継ネットワーク)を形成することも進めました。
そして、2021(令和3)年4月、事業引継ぎ支援センターと事業承継ネットワークは機能が統合され、新たに事業承継・引継ぎ支援センターが設置されました。以下に、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターの主な支援内容・事業を説明します。
支援内容
大阪府事業承継・引継ぎ支援センターが無料で行っている、事業承継支援内容は以下のとおりです。
- 大阪府事業承継ネットワークを介した登録機関の連携による事業承継支援(詳細は後述)
- 相談時に事業承継診断を行い、事業承継実施に向けた課題の抽出とアドバイス
- 後継者が決まっている親族内承継・社内承継の場合に、事業承継計画策定・後継者教育・事業承継手続きなどのサポート
- 後継者不在事業者に対し、後継者バンクによる後継者候補の紹介(詳細は後述)
- 後継者不在企業がM&Aによる事業承継を目指す場合に、マッチング支援やM&A仲介会社の紹介
- 経営者保証解除に向けた各種支援
- 各種事業承継関連手続きのための専門家の紹介
上記のうち、士業やM&A仲介会社などの専門家を紹介するのは無料ですが、各専門家に実務を依頼した場合は、それぞれの機関が定める手数料が発生します。
大阪府事業承継ネットワーク
大阪府事業承継ネットワークとは、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターを中心に大阪府内の各種機関・団体が、大阪府の中小企業の事業承継支援を連携して行う取り組みです。
大阪府事業承継ネットワークに参画している機関に事業承継の相談をした場合、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターにも情報共有され、必要な各種事業承継支援を大阪府事業承継・引継ぎ支援センターが引き継いで執り行います。
大阪府事業承継ネットワークには、以下のような機関・団体が参画しており、その実数は2022(令和4)年9月現在126です。
- 商工会・商工会議所
- 大阪府中小企業団体中央会
- 公益財団法人大阪産業局
- 大阪府よろず支援拠点
- 金融機関
- 士業などの専門家団体
- 中小企業支援機関
- 国の機関
- 各自治体
後継者バンク
後継者バンクとは、後継者不在の中小企業・個人事業主と、事業承継による起業を希望する個人をマッチングするサービスです。後継者がいない事業者が大阪府事業承継・引継ぎ支援センターに相談した際に、事業者が希望すれば、登録されている個人の起業家で条件が合う者を紹介します。
起業希望者は後継者バンクに登録されるには、まず、連携する創業支援機関に創業の相談を行い、後継者バンク登録への面談申し込みが必要です。その後、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターの専門相談員が面談を行い、問題がなければ後継者バンクに登録されます。
大阪府の連携する創業支援機関は、以下のとおりです。
- 日本政策金融公庫 大阪ビジネスサポートプラザ
- 大阪商工会議所 経営相談サービス 専門相談(創業)
- 大阪信用金庫(だいしん総合研究所)
- ビジネスプラザおおさか(りそな銀行・関西みらい銀行)
なお、他の都道府県では後継者バンクと呼称せず、後継者人材バンクと呼称するケースが多いです。
3. 大阪府の事業承継支援を推進する取り組み
ここでは、大阪府内で実施されている中小企業・個人事業主向けの事業承継支援の具体内容を説明します。
- 商工会・商工会議所による支援
- ベンチャー型事業承継プロジェクト
- 大阪府版事業承継ハンドブック
- 経営承継円滑化法(事業承継税制)
- 民間企業との連携
商工会・商工会議所による支援
大阪府内の各商工会・商工会議所では、主に以下のような事業承継支援を実施しています。
- 経営指導員による事業承継の相談対応、各事業者の事業承継診断による課題の抽出
- 事業承継の意識啓発活動として、中小企業経営者・個人事業主向けに事業承継セミナーやワークショップなどの開催
ベンチャー型事業承継プロジェクト
ベンチャー型事業承継プロジェクトとは、先代から事業承継した後継者が、以下のような経営の取り組みを行おうとする際に各種支援を行うものです。
- 新規事業
- 新市場参入
- 業態転換
多くの後継者が上記のような経営に取り組むきっかけ作りとして、アイデアソンなどのワークショップ、啓発セミナー、ピッチイベント(ベンチャー企業などが自社のサービス、技術、アイデアを短時間でプレゼンテーションするイベント)なども行っています。
大阪府版事業承継ハンドブック
独立行政法人中小企業基盤整備機構では、事業承継の相談に乗る側(商工会・商工会議所の経営相談員、金融機関の相談担当者、士業専門家など)向けに、その手ほどきを示した「事業承継支援マニュアル」を公表しています。
大阪府でも、同様のツールとなることを目的に「ここからはじめる未来へのバトンタッチ」(大阪府版事業承継ハンドブック)を作成し公表しました。各相談員が事業承継に悩む中小企業・個人事業主の一助になれるよう、相談員のレベル・質を上げることが目的です。
経営承継円滑化法(事業承継税制)
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)は国の法律ですから大阪府独自のものではありません。しかし、事業承継税制を活用すると、相続や贈与で事業承継した後継者は、相続税・贈与税の猶予・免除を受けることが可能です。
ただし、そのためには都道府県知事への申請と承認など複雑な手続きを要します。そこで大阪府では、できるだけ多くの事業者がこの制度を活用できるよう、自治体の各窓口で広く相談を受けつけているものです。
民間企業との連携
2022年6月、大阪府は経営資源移転円滑化支援事業(インターネット事業引継ぎ支援プロジェクト)として、M&Aマッチングサイトを運営する民間企業3社と連携協定を締結しました。
この事業は、後継者不在の大阪府内の中小企業・個人事業主が、インターネットを活用したM&Aによる事業承継を積極的に行えるよう、連携する3社に各種協力を依頼し、少しでもマッチングが推進されることを狙うものです。
4. 大阪府のM&A・事業承継に関する相談先
この章では、大阪府でのM&Aによる事業承継の相談先を確認します。M&Aの専門的な知識が必要になるので、まずは信頼できる相談先を見つけることが重要です。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&A・事業承継の高い専門性を持ち、M&Aによる事業承継の相談・仲介を請け負っています。数多くのM&A仲介会社があるので、自社に合うところを見つけましょう。
金融機関
金融機関は、融資以外にM&A支援も行っています。近年は、M&Aの専門部門を設立している機関が増えており、多数の専門家が在籍しているケースも多いです。ただし、金融機関は大規模案件を好む傾向があるため、規模の小さい事業承継案件は断られる可能性もあります。
弁護士・会計士・税理士などの士業
M&Aによる事業承継は、法務・会計・税務などの幅広い知識が必要となるので、各士業に相談する選択肢もあります。各分野で専門性の高い助言を受けられる心強い相談先ですが、特定分野に特化しているので、M&Aによる事業承継の一貫したサポートは受けられないこともあるでしょう。
マッチングサイト
マッチングサイトは、インターネット上でM&A・事業承継の売り手・買い手のマッチングを支援するサービスです。自由に案件を掲載できるので、売り手・買い手の双方が気軽に案件をチェックできます。M&Aによる事業承継の第一歩としても、おすすめの方法の1つです。
5. 大阪府で事業承継する際のポイント
大阪府で事業承継を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。この章では、特に大切なポイントを3つ解説します。
- 事業承継には入念な準備が必要
- さまざまな承継方法を検討する
- 専門家への相談を行う
事業承継には入念な準備が必要
事業承継を円滑に進めるためには、入念な準備が欠かせません。全体的な流れや必要な手続きなど、事業承継への理解を深めておくことが大切です。特に大阪府では、公的機関や民間のM&A仲介会社などの相談先が充実しているので、早期に相談しておけば入念に準備を進められます。
さまざまな承継方法を検討する
事業承継は早期から準備を進めておくことが大切ですが、現経営者の健康悪化や後継者候補の辞退などの不測の事態が起こることもあります。1つの承継方法に限定していると、思わぬ理由から事業承継計画が頓挫してしまうかもしれません。
親族内や社内での事業承継以外に、M&Aによる事業承継も検討しておくと、いかなる事態にも柔軟に対応可能です。
専門家への相談を行う
大阪府の事業承継は、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。必要な手続きや不測の辞退への対応などを一任でき、事業承継を円滑に進められます。大阪府の事業承継で特におすすめの相談先は、M&A仲介会社です。M&A・事業承継の専門家なので、さまざまな承継方法を同時に検討できます。
大阪府での事業承継のご相談はM&A総合研究所へ
大阪府での事業承継を検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、M&A・事業承継の専門家が多数在籍しており、中小企業の事業承継サポートの豊富な実績を持つM&A仲介会社です。
幅広い情報を活用してご希望条件に合った買い手をお探しし、クロージングまでアドバイザーがしっかりサポートします。事業承継・M&Aにご不安な場合も、対応可能です。
料金体系は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)で、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料です。無料相談は随時、受け付けています。大阪府での事業承継に関するご相談は、お気軽にM&A総合研究所へお問い合わせください。
6. 大阪府の事業承継マニュアルまとめ
大阪府の事業承継事情として、特に後継者問題を抱える企業は、思うように事業承継を進められていないのが現状です。事業承継は入念な準備が大切なので、早期から専門家に相談しておくことをおすすめします。
複数の相談先から自社に合った専門家を見つけておくと、万全の体制で事業承継に臨めるでしょう。本記事の概要は以下のとおりです。
・事業承継の方法
→親族内での事業承継、社内での事業承継、M&Aによる事業承継
・大阪府の事業承継事情
→経営者の高齢化が進む、後継者不足に悩む経営者が多い、開業率に比べ廃業率が高い
・大阪府で事業承継を相談できる公的機関
→事業承継・引継ぎ支援センターは無料で事業承継の相談や専門家の紹介を行っている
・大阪府で事業承継する際のポイント
→事業承継には入念な準備が必要、さまざまな承継方法を検討する、専門家への相談を行う
7. 大阪府の成約事例一覧
8. 大阪府のM&A案件一覧
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5000万円〜1億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
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