建設業のM&A動向と売却・買収事例40選!メリットや成功へのポイントも解説!【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

近年、国内の建設業ではM&Aが盛んに実施されていますが、背景にあるのは事業承継問題など業界が抱える課題です。この記事では、建設業のM&Aの動向・メリット・成功させるポイントなどについて、実際に行われた事例紹介ととも解説します。

目次

  1. 建設業界の現状と市場動向
  2. 建設業界のM&A動向
  3. 建設業界のM&A事例40選
  4. 建設業のM&Aメリット
  5. 建設業のM&Aを成功させる5つのポイント
  6. 建設業界のM&A注意点
  7. 建設業界のM&Aの相場価格
  8. 建設業界のM&Aのまとめ
  9. 建設・土木業界の成約事例一覧
  10. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

1. 建設業界の現状と市場動向

建設業のM&A動向や事例を確認する前に、まずは建設業とM&Aの定義や現状、課題を簡単に紹介します。

建設業とは

建設業とは「建築業法に規定される建設工事の完成を請け負う営業」のことです。土木建築に関する工事を建設工事と呼び、建築・土木・その他の3つに区分されています。

建設と建築は混同されやすいですが、建設業が「ビルやマンションなどの建築物を含む施設・設備・インフラを造る業種」であるのに対し、建築業は「家やビルなどの建物を建てる業種」です。また、建設には道路やダムなどを新たに造ることなども含まれますが、建築業には含まれません。

建設業業法上の工事には29種類があり、下表のように一式工事が2種類と専門工事が27種類と細かく分類されています。
 

一式工事(2種類)
 
  • 土木一式工事
  • 建築一式工事

専門工事(27種類)
  • 大工工事
  • 左官工事
  • とび・土工・コンクリート工事
  • 石工事
  • 屋根工事
  • タイル・れんが・ブロック工事
  • 電気工事
  • さく井工事
  • 建具工事
  • 塗装工事
  • 防水工事
  • 内装仕上工事
  • 機械器具設置工事
  • 管工事
  • 鋼構造物工事
  • 鉄筋工事
  • 舗装装工事
  • しゅんせつ工事
  • 板金工事
  • ガラス工事
  • 水道施設工事
  • 消防施設工事
  • 熱絶縁工事
  • 電気通信工事
  • 造園工事清掃施設工事
  • 解体工事


一般的に、一式工事(土木一式工事あるいは建築一式工事)をまとめて請け負う業者を「総合建設業」と呼び、専門工事を請け負う業者を「専門工事業者」と呼びます。

建設業界の商流

建設業者は、「総合建設業」と「職別工事業」の2種類に分かれます。

総合建設業は、建築工事や土木工事などは発注者から直接請負い総合的に行う業者を指し、一般的に「ゼネコン」と呼ばれるのは、、設計から施工まで一貫して行う比較的大きな規模の業者です。一方、職別工事業は、建築工事や土木工事に関して一部分のみ工事を行う業者をいい、内装工事や大工工事などが該当します。

建設業界における最大の特徴は、ゼネコンと呼ばれる建築工事、土木工事などを総合的に担う総合建設業者が元請として発注者と契約を締結し、下請業者(職別工事業者)に各工事を委託する形で仕事が進行していくケースが多い点です。

下請業者は、さらに工事の一部を下請業者の下請業者に請け負わせるケースも多く、これを二次下請業者や孫請け業者といいます。

建設業界の現状と市場規模

国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題」を基に作成

出典:https://www.kensetsu-kikin.or.jp/news/57a42379796b2a6c1d23286d40ea5b611f163364.pdf

建設業界の市場規模は、国土交通省の資料「建設業の働き方改革の現状と課題」によると、1976年から1992年は建設投資額が右肩上がりに増加しており、1992年には約84兆円となりました。

その後は公共工事の減少や景気悪化による民間工事の減少などで市場規模は縮小が続き、2010年にはピーク時の半分となる約42兆円まで落ち込みました

しかし、復興需要や民間投資の回復、さらに政府建設投資などにより2021年度は約58.4兆円となる見通しと同資料では報告されています。
 

国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」を基に作成

出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610921.pdf

建設業許可を持つ業者数は1999年度末が約60万業者と最多、その後は緩やかに減少して2020年度末時点の事業者数は約47.4万業者です。

参照:国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題(令和3年)」

建設業界の課題

建設業界は、人手不足が深刻な課題です。少子高齢化による生産年齢人口減少は、建設業の担い手不足だけでなく、次世代への技術や技能の伝承できない事態も懸念されています。

総務省「労働力調査」を基に作成

出典:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200531&kikan=00200&tstat=000000110001&cycle=7&year=20220&month=0&tclass1=000001040276&tclass2=000001040283&tclass3=000001040284&result_back=1&tclass4val=0


建設業界の建設業就業者数は、1997年の685万人から2010年の498万人、2020年は492万人と減少傾向です。若年層就業者の減少は建設業界の課題でもある過酷な労働環境や賃金水準の低さが原因といえるでしょう。

業界の年間総実労働時間は、全産業と比べて360時間以上(約2割)長くなっているため、国では働き方改革の促進、工期の適正化、現場の処遇改善、建設現場の生産性向上など、課題の解決に向けて対策を行なっております。

参照:国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題(令和3年)」

2. 建設業界のM&A動向

これまで、建設業はM&Aおよび業界再編が行われにくい業種といわれていました。なぜなら、生産規模の拡大に応じて利益を獲得できる「規模の経済」の効果が生じにくいためです。

さらに、複数の企業が合併すると公共工事の入札参加機会が減少するといったデメリットも、M&Aが行われにくい要因の1つでした。しかし、近年は以前に比べ建設業でM&Aが盛んに実施されるようになっており、以下のような動向が目立っています。
 

①後継者問題による倒産・廃業件数の増加

総務省「労働力調査」を基に作成

出典:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200531&kikan=00200&tstat=000000110001&cycle=7&year=20220&month=0&tclass1=000001040276&tclass2=000001040283&tclass3=000001040284&result_back=1&tclass4val=0

他業種の中小企業と同じく、建設業でも後継者不在や人手不足による廃業が増加しています。建設業許可業者数は直近数年で微増となっていますが、ベテラン職人の多くが定年退職を迎えており、経営悪化や事故増加などにつながっている点は早急に改善すべき課題といえるでしょう。

国土交通省の資料「建設業の働き方改革の現状と課題」資料によると、建設業就業者の約36%が55歳以上を占める一方で、29歳以下の割合はわずか約12%です

そのようななか、就業者の高齢化が進む建設業界では次世代への技術継承が大きな課題となっています。

この課題を解決するため、中小の建設会社がM&Aによる事業承継を行うケースが増加してきました。大手・中堅企業は、高い技術を持つ人材を獲得するために同業種を買収するケースが増えています。

参照:国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題(令和3年)」

②異業種・関連業種からのM&A

建設業では、ハウスメーカーや不動産会社が自社グループで建築会社を持つなど、異業種・関連業種からのM&Aも顕著です。

特に建設業では、資材価格や人件費の高騰に対応するために、自社内でトータルサポートを行う戦略に移行する傾向が見られます。

③2021年以降の国内需要

日本建設業連合会の資料によると、近年の建設業は、東京オリンピックに向けたインフラ整備の影響を受けて、50兆円前後で市場規模を維持してきました。しかし、2021(令和3)年以降の国内需要は、落ち込むものとみられています

そこで、2021年以降の需要低下に備えるため、建築業ではリフォーム・リノベーションに経営資源をシフトする企業が増加してきました。

出典:日本建設業連合会「建設業ハンドブック 2020 3 建設市場の現状」

④震災関連の需要

日本では、2011(平成23)年の東日本大震災および、各地で頻発した地震・洪水などの自然災害に対する復興工事需要が継続しています。

日本建設業連合会の資料によると、東日本大震災の復興需要を受けて、2011年以降は建設投資が増加傾向にありました。実際に、2010(平成22)年には約42兆円だった建設投資は、5年後の2015(平成27)年には約57億円にまで増加しています。

しかし、最近では、復興関連の建築事業を受託しても、人手不足や経費高騰のため収益確保が難しい中小建設会社が増加している状況です。

出典:日本建設業連合会「建設業ハンドブック 2020 3 建設市場の現状」

3. 建設業界のM&A事例40選

ここでは建設業界で行われたM&A事例を紹介します。

清水建設による第一設備工業を完全子会社化

清水建設は、株式交換(簡易株式交換)により、連結子会社の第一設備工業株式会社を完全子会社すると発表しました。清水建設を完全親会社、第一設備工業を完全子会社とする株式交換(簡易株式交換)で行われます。

譲渡企業の概要

第一設備工業は、建築設備工事の請負事業を手掛ける総合設備エンジニアリング企業です。

譲受企業の概要

清水建設は、建設・土木・フロンティアなどの事業手掛ける大手総合建設会社です。土木構造物の設計・施工や再成工事などを多数手掛けています。高い技術力とノウハウを活かし国内外で事業を展開しています。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、グループ経営における機動性と柔軟性の向上です。清水建設は、第一設備工業を完全子会社化することで、経営環境の変化に対応可能な連結経営体制を構築を目指すとしています。

M&A手法

株式交換(簡易株式交換)
株式交換比率は1:0.9(第一設備工業の普通株式1株に対し清水建設の普通株式0.9株を割当交付)
※効力発生日は2023年10月31日

参考:清水建設株式会社「簡易株式交換による連結子会社(第一設備工業株式会社)の 完全子会社化に関するお知らせ」

清水建設による丸彦渡辺建設の子会社化

2023年5月、清水建設は丸彦渡辺建設の発行済み株式を取得して、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

丸彦渡辺建設は北海道の総合建築会社であり、建設業・不動産業・運送業を手掛けています。

譲受企業の概要

清水建設は、建設・土木・フロンティアなどの事業手掛ける大手総合建設会社です。土木構造物の設計・施工や再成工事などを多数手掛けており、高い技術力とノウハウを活かし国内外で事業を展開しています。

M&Aの目的

清水建設は、建築・土木事業の事業基盤強化を目的としてM&Aに至りました。清水グループの持つノウハウと丸彦渡辺建設のリソースを融合させることでシナジーを発揮し、当該事業の基盤強化を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:清水建設株式会社「 丸彦渡辺建設株式会社の株式取得(子会社化)について」

ナカノフドー建設によるトライネットホールディングスの子会社化

2023年3月、ナカノフドー建設はトライネットホールディングスの株式を取得し、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

トライネットホールディングスは長野県に本社を置く企業であり、建築工事・一般土木工事・リフォーム工事をグループで展開しています。長野県の飯田市を中心に安定した経営基盤を持っています。

譲受企業の概要

ナカノフドー建設は建設事業や不動産事業を行う企業で、耐震・免震工事技術に強みを持っています。

M&Aの目的

ナカノフドー建設はトライネットホールディングスの子会社化によって、ノウハウ・技術・リソースを相互活用し、土木事業の強化と企業価値向上を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社ナカノフドー建設「株式会社トライネットホールディングス及びそのグループ子会社の株式 の取得(子会社化)に関するお知らせ」

矢作建設工業による北和建設の子会社化

2023年3月、矢作建設工業は北和建設の発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

北和建設はマンション工事を主軸とする建設会社です。ホテル・福祉施設などの建築工事も行っており、関西エリアを中心に事業を展開しています。

譲受企業の概要

矢作建設工業は、建設事業や不動産事業などを手掛ける総合建設会社です。 マンション建設や鉄道関連工事を強みとしています。東海エリアを中心に事業を展開している企業です。

M&Aの目的

矢作建設工業は、中長期計画において事業エリアの拡大や新規技術・サービスの開発を重点的な取り組み事項に揚げています。

北和建設の子会社化も事業規模拡大に向けた取り組みの一環であり、事業エリア拡大と競争力強化を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:矢作建設工業株式会社「株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ」

メイホーホールディングスによる安芸建設コンサルタントの子会社化

2022年6月、メイホーホールディングスは子会社のメイホーエンジニアリングを通じ、広島県の安芸建設コンサルタントの全株式を取得して子会社化すると発表しました。

譲渡企業の概要

安芸建設コンサルタントは、建設コンサルタント業や測量業を手掛ける広島県の企業です。

譲受企業の概要

メイホーHDは、建設コンサルタント・建設・人材派遣・介護の4事業を手掛けており、建設コンサルタント関連企業6社を持っています。

そのうち、メイホーエンジニアリングは測量・設計・地質調査や土木インフラ調査などを行っており、豪雨災害復旧事業の実績も多い企業です。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、スケールメリットの享受およびシナジー創出による建設関連事業分野のネット ワーク強化と経営基盤安定化です。メイホーHDは互いのノウハウ・強みを合わせることで、地域社会へのさらなる貢献を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社メイホーホールディングス「当社子会社による株式会社安芸建設コンサルタントの株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ」

SDSホールディングスによるイエローキャピタルオーケストラのM&A

SDSホールディングスは2022年3月、イエローキャピタルオーケストラの株式を取得し、連結子会社しました。

譲渡企業の概要

イエローキャピタルオーケストラは、資産運用に関するコンサルティング 、宅地建物取引業、不動産の分譲、売買、賃貸、管理、不動産の仲介、コンサルティングなど幅広い事業を行う会社です。

譲受企業の概要

SDSホールディングスは、再生可能エネルギー事業、省エネルギー事業、施設ソリューション事業を行っている会社です。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、業容拡大と収益力向上です。SDSホールディングスは「脱炭素」をコンセプトとして収益規模の大きな不動産販売事業の展開を目指すとし、成長性のある事業の積極的な展開により業容の拡大を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:会社名:株式会社 SDS ホールディング「株式会社イエローキャピタルオーケストラの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

鹿島建設の連結子会社によるシンガポール企業のM&A

鹿島建設の子会社であるカジマ・デベロップメント・PTE・リミテッド(シンガポール、カジマ)は2022年3月、セントラル・キャヒタル・ホールディングス・PTE・リミテッド(シンガポール、セントラル)の全ての株式を取得し、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

セントラル・キャヒタル・ホールディングス・PTE・リミテッドは、シンガポール中心業務地区に所在するオフィスビル1棟を保有するなど、ビルの賃貸、管理を行う会社です。

譲受企業の概要

鹿島建設は、ゼネコン大手5社の1社であり、建設・建築事業のほか、多岐にわたり事業を展開しています。カジマ・デベロップメント・PTE・リミテッドは、アジア地区の開発事業を統括するシンガポールの鹿島建設子会社です。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、譲渡側セントラル・キャヒタル・ホールディングス・PTE・リミテッドがシンガポール中心エリアに保有するオフィスビルの取得です。

当該物件は希少性が高く、鹿島建設は開発事業の不動産価値向上と収益性強化につながるものと判断し、本M&Aに至りました。

M&A手法

株式譲渡

参考:鹿島建設株式会社「当社連結子会社による株式の取得(特定子会社の異動)に関するお知らせ」

清水建設による日本道路のM&A

清水建設は2022年3月、日本道路の株式を取得し、連結子会社化しました。

譲渡企業の概要

日本道路は、建築事業・土木事業を中心に、不動産開発事業、エンジニアリング事業など幅広く事業を展開しています。

譲受企業の概要

清水建設は、1804年創業のスーパーゼネコン5社の1社で、メンテナンス事業にも定評があります。医療福祉施設の豊富な工事受注実績を持つ総合建設企業です。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、競争力の強化と工事受注件数の拡大です。清水建設グループは、日本道路グループと協働で受注拡大、両社の顧客網・技術・拠点網を活用した事業競争力の強化、研究開発体制の合理化により、さらなる成長・発展を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:清水建設株式会社「日本道路株式会社株式(証券コード:1884)に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ 」

インフロニアHDによる東洋建設のM&A

インフロニア・ホールディングスは2022年3月、株式公開買い付け(TOB)により東洋建設の株式を取得して子会社化すると発表しました。

譲渡企業の概要

東洋建設は、国内土木事業・国内建築事業・海外建設事業・不動産事業を展開する企業です。海洋土木工事に強みがあり、多数の施工実績を持っています。

譲受企業の概要

インフロニア・ホールディングスおよびグループは、前田建設工業、前田道路、前田製作所をはじめとする子会社62社、関連会社24社で構成されている企業です。

建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業、インフラ運営事業をメインとし、リテール事業から不動産事業まで幅広く事業展開しています。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、グループ全体の競争力強化および企業価値の向上です。今回のM&Aにより、インフロニア・ホールディングスは、公共インフラの包括管理、PPP・コンセッション分野での協業、グループ全体でのDXなど連携強化を図り、企業価値向上を目指すとしています。

M&A手法

株式公開買い付け(TOB)

参考:インフロニア・ホールディングス株式会社「東洋建設株式会社株式(証券コード:1890)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ」

瀧上工業による東京フラッグのM&A

2022年3月、瀧上工業は東京フラッグの発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

東京フラッグは、鋼構造物工事にて現場溶接を行う専門会社です。主に、各種鋼構造物工事の現場溶接を手掛けています。

譲受企業の概要

瀧上工業は、橋梁・鉄骨、鋼構造物の設計、製作・架設まで一貫した施工を行う専業メーカー。瀧上工業が保有する鉄骨製作工場は鉄骨加工業者の最高位である「Sグレード」に認定されており、確かな技術力と豊富な実績を持っています。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、鋼構造物製造事業の強化および事業ポートフォリオの拡大です。

瀧上工業は、東京フラッグの子会社化で溶接に関する技術を深化させて主軸である鋼構造物製造事業を強化するとともに、グループの不動産事業や海外事業の拡大や積極的な投資による事業ポートフォリオ拡大を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:瀧上工業株式会社「株式取得(子会社化)に向けた株式譲渡契約締結のお知らせ 」

東洋建設による子会社3社のM&A

2022年2月、東洋建設は連結子会社3社の合併を行うことを発表しました。本合併は吸収合併方式で行われ、東建サービスが存続会社、とうけん不動産および東建テクノが消滅会社となります。また、本合併に伴い、存続会社の東建サービスは「テクオス株式会社」へ商号変更されました。

消滅側企業の概要

とうけん不動産は、不動産売買事業・不動産仲介事業・不動産管理業を行う港区にある東洋建設の子会社です。東建テクノは兵庫県にある東洋建設子会社であり、関西エリアを中心として建築事業や建物管理事業を展開しています。

存続側企業の概要

東建サービスは、建築事業・建物管理事業を手掛ける東洋建設の子会社で、都内を中心に事業を展開しています。

M&Aの目的

本合併によって新会社となるテクオスは、東洋建設グループでのストックビジネス中核会社となります。東洋建設は、建築事業の強化戦略である「ReReC®」との高い親和性がありシナジー発揮に期待できるとの判断から本合併を決定しました。

M&A手法

合併(吸収合併)

参考:東洋建設株式会社「連結子会社間の吸収合併及び商号変更に関するお知らせ 」

東宝ファシリティーズによるシコーのM&A

2021年11月、東宝ファシリティーズはシコーの発行済み株式を全て取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

シコーは内装工事業を行う世田谷区の企業です。商業施設の内装工事や監理業務を強みとしています。

譲受企業の概要

東宝ファシリティーズは、清掃・設備管理・警備・建設などの総合ビルマネジメント事業を手掛ける企業です。映画の製作・配給などを手掛ける東宝の連結子会社であり、ビルマネジメントにおける保守・清掃・機器の運転を一貫受注できる体制を持っています。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、建設事業の業容拡大および技術力・営業力の強化です。東宝ファシリティーズはシコーを傘下に加えることで建設事業の業容拡大を図るとともに、技術力・営業力の強化などシナジー発揮によりグループの企業価値向上を目指します。

M&A手法

株式譲渡

参考:東宝株式会社「当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ」

ヒノキヤグループによる桧家住宅名古屋のM&A

2021年9月、ヒノキヤグループは連結子会社である桧家住宅と桧家住宅名古屋との合併(簡易合併)を行いました。本合併の存続会社は桧家住宅、消滅会社となるのは桧家住宅名古屋です。

消滅側企業の概要

桧家住宅名古屋は、東海エリアを中心に注文住宅における請負事業を手掛けています。ヒノキヤグループの主力ブランド「桧家住宅」を扱うフランチャイズ加盟企業(ヒノキヤグループの完全子会社)です。

存続側企業の概要

桧家住宅は、関東エリアを中心に注文住宅請負事業事業を展開するヒノキヤグループの完全子会社です。グループの主力ブランド「桧家住宅」シリーズの受注建築を主に手掛けています。

M&Aの目的

本合併の主な目的は、事業基盤の強化・事業エリア拡大・業務効率化です。ヒノキヤグループは注文住宅・分譲住宅の建築のほか、リフォーム事業や戸建賃貸の経営などを幅広く展開しており、本合併でグループの持続的成長を目指すとしています。

M&A手法

合併(吸収合併)

参考:株式会社ヒノキヤグループ「連結子会社間の合併(簡易合併)に関するお知らせ」

ブリヂストンによる米グループ会社のM&A

2021年1月、ブリヂストンは米グループ会社ブリヂストンアメリカスインクが、その子会社であるFirestone Building Products Company LLCをスイスのラファージュホルシム社に売却すると発表しました。

譲渡企業の概要

Firestone Building Products Company LLCは、アメリカのブリヂストングループ企業です。1980年から事業を展開している先進的企業であり、主に屋根材をはじめとする建築資材を取り扱っています。

譲受企業の概要

ラファージュホルシム社は、スイスの建設資材メーカーです。建築ソリューションのグローバルリーダーとして、高い知名度を持っています。

M&Aの目的

中長期事業戦略の観点から、ブリヂストンはFirestone Building Products Company LLCの位置づけを検討し、ラファージュホルシム社への譲渡が最善との判断から本M&Aに至りました。

また、本M&Aによってタイヤ・ゴム事業における収益力の再構築や、ソリューション事業への戦略的成長投資が実現可能になるともしています。

M&A手法

手法についての公表はなし

参考:株式会社ブリヂストン「ブリヂストン アメリカス インク 子会社売却のお知らせ」

ナガワによる鳥海建工のM&A

2020年10月、ナガワは鳥海建工の全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

鳥海建工は埼玉県の総合建設会社であり、戸建住宅・倉庫・店舗の工事を主に請負っています。

譲受企業の概要

ナガワは、ユニットハウスの製造販売およびレンタル事業・建設機械器具の販売およびレンタル事業などを手掛けおり、ユニットハウス「スーパーハウス」を主力製品として事業展開しています。

M&Aの目的

本M&Aは、システム・モジュール事業の体制強化が主な目的です。ナガワは経営戦略においてモジュール・システム事業の強化を重点事項に挙げており、M&Aにより当該事業の強化と事業基盤拡大を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社ナガワ「鳥海建工株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

第一カッター興業によるアシレのM&A

2019年7月、第一カッター興業はアシレの発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

アシレは、ウォータージェット工法によるコンクリートはつり事業・内外装クリーニングコーティング事業を手掛ける横浜市の企業です。高い技術力が強みであり、多数の施工実績を持っています。

譲受企業の概要

第一カッター興業は、コンクリート等の切断・穿孔事業・汚泥中間処理事業・ビルメンテナンス事業などを手掛ける企業です。ウォータージェット工法とダイヤモンド工法の2つを強みとしており、道路カッターの国内シェア率トップを誇ります。

M&Aの目的

本M&Aは収益力向上および中核事業の強化を目的として行われたものです。、第一カッター興業は両社が得意分野とする建築・土木で高いシナジーが見込めるとし、ノウハウ・人材の相互活用により中核事業の強化と収益力の向上を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:第一カッター興業株式会社「株式会社アシレの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

サーラ住宅による宮下工務店のM&A

2019年6月、サーラコーポレーション傘下のさーらじゅは宮下工務店の発行済み株式をすべて取得して、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

宮下工務店は、静岡県で注文住宅の建築などを行う企業です。

譲受企業の概要

サーラ住宅は、愛知県・静岡県西部地区を中心に注文住宅の請負建築業を手掛けています。サーラコーポレーションの連結子会社であり、サーラグループのハウジング事業の中核企業です。

M&Aの目的

サーラ住宅は「事業基盤強化」を中長期計画の重点事項としており、本M&Aは浜松エリアの事業基盤強化が目的です。サーラ住宅は宮下工務店が保有する浜松地区での用地調達力・集客経路を取得することで、当該地区の事業基盤を強化するとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考: 株式会社サーラコーポレーション「当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ」

不二サッシによる日本防水工業のM&A

2019年5月、不二サッシは、日本防水工業とその子会社である日本スプレー工業の株式を取得し、両社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

日本防水工業は、ビル・マンションのリニューアル工事を専門に手掛ける企業です。大規模修繕工事・設備改修工事・防水改修工事などを主に行っており、技術力の高さと対応力に定評があり多数の施工実績を保有しています。

譲受企業の概要

不二サッシは、ビル・住宅用のサッシ類やエクステリア商品などを主力とする建材メーカーです。建築材料の製造販売のほか、関連施工工事やアルミニウム製品の施工なども手がけています。

M&Aの目的

本M&Aは、窓改修などのリニューアル事業における施工体制構築が主な目的です。不二サッシはリニューアル事業を注力事業と位置付けており、日本防水工業の取得によってリニューアル工事全体を施工できる体制構築を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:不二サッシ株式会社「日本防水工業株式会社グループの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

京成電鉄による式田建設工業のM&A

2019年4月、京成電鉄は式田建設工業の発行済み株式を取得して、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

式田建設工業は、千葉県で建築工事業を手掛ける企業です。県内の官公庁舎建築工事などを行っており、安定した受注と豊富な実績を持っています。

譲受企業の概要

京成電鉄は鉄道業を主軸する京成グループの中核企業です。グループでは、鉄道事業のほかにも建設事業・不動産事業・百貨店事業などさまざまな事業を手掛けています。

M&Aの目的

本M&Aは、事業の多角化による収益基盤の強化が目的です。京成電鉄は国内人口の減少により鉄道事業の将来的な伸び悩みが想定されるとし、多角化経営による収益基盤の強化・安定を進めており、式田建設工業の子会社化もその一環で実施されました。

M&A手法

株式譲渡

参考:京成電鉄株式会社「式田建設工業が京成グループに加わりました」

KSG子会社による工藤建設へのM&A

2019年3月、KSGは子会社であるロケアホームが手掛ける介護施設事業を、総合建設会社の工藤建設へ事業譲渡(全部譲渡)しました。

譲渡企業の概要

ロケアホームは、介護施設「ロケアホーム」の運営する企業です。

譲受企業の概要

工藤建設は、総合建設業・不動産業・ 介護事業などを手掛ける横浜市の企業です。介護事業では、神奈川県を中心に介護付き有料老人ホーム「フローレンスケア」の運営しています。

M&Aの目的

ロケアは、介護施設の事業運営継続が困難になった企業から事業を譲受し、立直しを図る目的でKSGが設立した企業です。

KSGはロケアホームへの投資によって介護事業の経営安定化に成功し、今後の長期的な経営を考えると工藤建設への譲渡が適切と判断して事業譲渡に至りました。

M&A手法

事業譲渡

参考:株式会社KSG「当社子会社である株式会社ロケアホームの全部事業譲渡について」

西部ガスによる吉川工務店と吉祥開発のM&A

2019年2月、西部ガスは吉川工務店および吉祥開発の株式を取得して、両社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

吉祥開発は不動産売買や仲介業務、吉川工務店はマンションや福祉施設など幅広い施工を手掛ける建設会社です。両社とも福岡県都市部エリアを中心に事業を行っています。

譲受企業の概要

西部ガスは都市ガスの製造・販売および液化天然ガスの販売を主軸をする会社です。グループでは、不動産事業・レジャー関連事業・介護福祉士事業など、さまざまな事業を展開しています。

M&Aの目的

本M&Aは、西部ガスグループの不動産関連事業の強化および業容拡大を図ることが主な目的です。西部ガスはグループに総合建設業が加わることで、不動産関連事業の業容拡大と強化を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:西部ガス株式会社「株式会社吉川工務店、吉祥開発株式会社の 株式取得について」

日本創発グループによるササオジーエスのM&A

2019年2月、日本創発グループはササオジーエスの発行済株式をすべて取得して、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

ササオジーエスは、内装工事における設計・製作・施工を一貫して提供する企業です。高いデザイン力によるスペースプランニングを強みとしています。

譲受企業の概要

日本創発グループは、DTPなど印刷事業のほか、デジタルコンテンツとITメディアを組み合わせたセールスプロモーションの開発、映像コンテンツ制作事業などを行っています。

M&Aの目的

本M&Aは、大判加工・施工体制の拡充および対応力強化が主な目的です。日本創発グループはササオジーエスの子会社化によって、需要が増加しているサインディスプレイのプリントから施工までの対応力強化を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社日本創発グループ「株式会社ササオジーエスの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ」

応用地質によるシンガポールの建築会社2社のM&A

2019年1月、応用地質は、シンガポールのFong Consult Pte, Ltd.およびFC Inspection Pte. Ltd.の発行済み株式を取得して、両社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

Fong Consult Pte, Ltd.は、設計・施工管理などのコンサルタント事業を手掛けるシンガポールの企業です。FC Inspection Pte. Ltd.もシンガポールの企業で構造物点検・調査事業を行っています。

譲受企業の概要

応用地質は地質調査を手掛ける企業のなかでは最大手であり、地質調査や環境対策などに関わるモニタリング機器およびモニターなどの開発・製造も手掛けています。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、海外事業の拡大です。応用地質は、シンガポールの2社を取得することで東南アジアの土木・建築インフラメンテナンス事業などへ自社のサービスを展開し、海外事業の拡大を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡
M&A後の議決権所有割合は2社それぞれ51%

参考:応用地質株式会社「Fong Consult Pte, Ltd.社、FC Inspection Pte. Ltd.社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

ケイアイスター不動産による建新のM&A

2019年1月、ケイアイスター不動産は建新の株式を取得して、同社を子会社化しました。なお、本M&Aはケイアイスター不動産が保有していた建新の株式(議決権割合)を31.03%から72.41%へ引き上げて、子会社化したかたちです。

譲渡企業の概要

建新は、土木造成工事や戸建て分譲事業を手掛ける神奈川県の企業です。高低差の大きな土地の開発造成工事を得意としており、多数の施工実績を持っています。

譲受企業の概要

ケイアイスター不動産は、戸建分譲事業や注文住宅事業などを手掛ける企業です。関東エリアを中心として、さまざまな事業を地域密着型で展開しています。

M&Aの目的

両社は資本提携関係にあり、ケイアイスター不動産は建新の株式31.03%を所有していました。本M&Aでは、ケイアイスター不動産が株式を追加取得して持ち株比率を72.41%に引き上げ、建新を子会社化したかたちです。

ケイアイスター不動産は、建新の子会社化によって事業戦略を一体化させ、業容の拡大を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:ケイアイスター不動産株式会社「持分法適用関連会社の異動(連結子会社化)に関するお知らせ 」

戸田建設による佐藤工業のM&A

2018年12月、戸田建設は佐藤工業の発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

佐藤工業は福島県の総合建設会社です。1948年創業の歴史ある企業で、福島県内を中心に多数の実績を有しています。

譲受企業の概要

戸田建設は、建築・土木の一式工事を一貫で行う準大手ゼネコンであり、医療施設・福祉施設・教育施設などを多数手がけています。

M&Aの目的

戸田建設は、佐藤工業を傘下に加えることで東北地域での事業基盤を確立し、さらなる事業成長を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:戸田建設株式会社「佐藤工業株式会社(本社:福島県)の完全子会社化に関するお知らせ 」

ダイサンによるDRCのM&A

2018年11月、ダイサンはシェアリング関連事業を行うDRCの株式を取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

DRCはシェアリング関連事業を主軸とする企業です。

譲受企業の概要

ダイサンは、足場施工や建築金物・仮設機材の製造・販売を行う企業です。くさび緊結式の「ビケ足場」はダイサンの登録商標であり、多くの建設現場で使用されています。

M&Aの目的

本M&Aは、シェアリング関連事業のノウハウ獲得が主な目的です。ダイサンは建設現場でのシェアリングサービスを展開していくにはをDRCのノウハウが必要であるとの判断から本M&Aに至りました。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社ダイサン「DRC株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

大東建託によるさくらケア、うめケア2社のM&A

2018年11月、大東建託は、介護福祉事業のさくらケアおよびうめケアの株式を取得し、両社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

さくらケアとうめケアの両社は、ともに介護事業・訪問看護事業・居宅介護支援事業・障がい者総合支援事業を手掛ける世田谷区の企業です。

譲受企業の概要

大東建託は建設および不動産事業を手掛けており、アパート・マンションなど建物賃貸事業では最大手企業です。グループでは、建設・不動産事業のほかに介護保険事業なども全国展開しています。

M&Aの目的

大東建託は、さくらケアとうめケアが介護福祉事業において質の高いサービスを維持しており、人材採用のノウハウも持っています。また、両社の運営する施設は立地条件がよく今後も安定した需要が見込めるとし、本M&Aに至りました。

自社が持つデイサービス運営ノウハウと、さくらケアとうめケアの介護福祉事業施設運営ノウハウを共有することで、介護事業のさらなる強化と企業価値向上を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:大東建託株式会社「株式会社さくらケアおよび株式会社うめケアの 株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

ミサワホームによるオーストラリア建設会社のM&A

2018年11月、ミサワホームはオーストラリアの子会社を通じて、Homecorp Constructions Pty Ltd.株式51%を取得し子会社化すると発表しました。

譲渡企業の概要

Homecorp Constructions Pty Ltd.はオーストラリアの戸建住宅建設会社で、分譲住宅のデザイン性の高さに定評があります。

譲受企業の概要

ミサワホームは、木造住宅を得意とする住宅メーカーです。不動産事業・まちづくり事業なども手掛けており、海外ではアメリカ・オーストラリア・カナダなどで事業を展開しています。

M&Aの目的

ミサワホームのオーストラリア子会社であるMisawa Homes Australia Pty. Ltd.と、今回子会社となったHomecorp Constructions Pty Ltd.はテストプロジェクトを共同実施などによって関係構築を進めてきました。

ミサワホームは中期経営計画において海外事業を重点事業に位置付けており、本M&Aはオーストラリアでの本格的な住宅事業の展開を図ることが目的です。

M&A手法

株式譲渡

参考:ミサワホーム株式会社「豪州の住宅建設会社に出資」

淺沼組によるシンガポール建築関連会社のM&A

2018年10月、淺沼組はシンガポールSINGAPORE PAINTS & CONTRACTOR PTE. LTD.の株式を取得して、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

SINGAPORE PAINTS & CONTRACTOR PTE. LTD.は、建物塗装・修繕を手掛けるシンガポールの企業です。

譲受企業の概要

淺沼組は大阪府に本社を置くの総合建設会社であり、官公庁舎・オフィスビル・商業施設などの建設工事をてがけ、特に官公庁舎では多くの実績を有しています。

M&Aの目的

淺沼組はリニューアル事業の海外展開を目指しており、本M&Aは海外エリアへの進出が目的です。SINGAPORE PAINTS &CONTRACTOR PTE. LTD.の子会社化により、シンガポールなどアセアン地域での事業展開を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社淺沼組「「SINGAPORE PAINTS & CONTRACTOR PTE. LTD.」の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 」

JKホールディングスによる広島のM&A

2018年10月、JKホールディングスは、インテリア用具・工具のカタログ販売を手掛ける広島の株式を取得して、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

株式会社広島は、内装用工具のカタログ販売を主軸とする企業です。

譲受企業の概要

JKホールディングスグループはジャパン建材を中核企業とし、木材の加工販売業・合板製造販売業・合板二次製品の卸売業などを手掛けています。

M&Aの目的

本M&Aは、グループの事業基盤拡充と顧客満足の向上です。JKホールディングスグループは、広島の特色ある取り扱い製品や顧客基盤を取り込み、事業基盤の強化および拡充を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:JKホールディングス株式会社「株式会社広島の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

アサノ大成基礎エンジニアリングによる三協建設のM&A

2018年9月、アサノ大成基礎エンジニアリングは三協建設の株式を取得して、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

三協建設は静岡県拠点として事業を展開する建築会社です。

譲受企業の概要

アサノ大成基礎エンジニアリングは、建設関連の総合エンジニアリング企業です。計画・調査から施工・維持管理までの一貫サービスを行っています。

M&Aの目的

アサノ大成基礎エンジニアリングは、三協建設の子会社化によって建築分野で多くのソリューション提供が実現できるとし、本M&Aに至りました。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社ACKグループ「株式会社アサノ大成基礎エンジニアリング 株式譲渡契約締結のお知らせ 」

日成ビルド工業によるアーバン・スタッフのM&A

2018年7月、日成ビルド工業はアーバン・スタッフの株式を取得して、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

アーバン・スタッフは建築・土木工事設計事業、太陽光発電事業などを手掛ける企業です。
 

譲受企業の概要

日成ビルド工業は、システム建築や立体駐車場の販売・工事などを手掛ける企業です。

M&Aの目的

本M&Aは、日成ビルド工業の太陽光発電事業への新規参入が目的です。日成ビルド工業は、太陽光発電事業を手掛けるアーバン・スタッフを子会社化することで当該事業へ新規参入し、グループの収益拡大を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:日成ビルド工業株式会社「アーバン・スタッフ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

安江工務店によるトーヤハウスのM&A

2018年5月、安江工務店はトーヤハウスの発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

トーヤハウスは、熊本県を拠点として新築工事・リフォーム工事、不動産仲介業を手掛ける企業です。

譲受企業の概要

安江工務店は、住宅リフォーム事業やリノベーション事業を行う企業です。自然素材を活かしたデザイン力の高い住宅造りを得意とし、愛知・兵庫を中心に事業を展開しています。

M&Aの目的

安江工務店は、事業の親和性が高いトーヤハウスの子会社化により、事業規模の拡大と企業価値向上を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社安江工務店「株式会社トーヤハウスの全株式譲受に関する契約締結のお知らせ 」

桧家ホールディングスによるハウジーホームズのM&A

2018年4月、桧家ホールディングスはハウジーホームズの発行済み株式を全て取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

ハウジーホームズは、静岡県を拠点に住宅建築や不動産販売を行う企業です。

譲受企業の概要

桧家住宅は、関東エリアを中心に注文住宅請負事業事業を展開するヒノキヤグループの完全子会社です。グループの主力ブランド「桧家住宅」シリーズの受注建築を主に手掛けています。

M&Aの目的

本M&Aは、東海エリアでの事業規模拡大とサービスの拡充です。桧家ホールディングスグループはハウジーホームズの子会社化によって、東海エリアでの事業を拡大し、サービスの強化・拡充を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社桧家ホールディングス「子会社の異動を伴う株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

大和ハウス工業によるオーストラリア建設会社のM&A

2018年2月、大和ハウス工業は子会社を通じて、オーストラリアのRawson Group Pty Ltd.の株式を取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

Rawson Group Pty Ltd.は戸建住宅建設などを手掛けるオーストラリアの企業です。

譲受企業の概要

大和ハウス工業は、大阪本社を置く住宅総合メーカーです。住宅事業のほか、ビジネスホテルやビジネスホテル、ゴルフ場の運営なども手掛けています。

M&Aの目的

大和ハウス工業は、中期経営計画で海外事業の加速化を基本方針に掲げており、アメリカやオーストラリア、アセアン地域を重点エリアに位置付けています。本M&Aもその一環であり、海外事業の強化および拡大を目的として実施されました。

M&A手法

株式譲渡

参考:大和ハウス工業株式会社「Rawson Group Pty Ltd.の株式の取得に関するお知らせ」

鹿島建設によるシンガポール設備設計会社のM&A

2018年1月、鹿島建設はカジマ・オーバーシーズ・アジア社を通じて、シンガポールのInternational Facility Engineeringの株式の過半数を取得し、同社を子会社化しました。

譲渡企業の概要

International Facility Engineeringは、 医薬品・電機・半導体などの製造施設の設備設計業務を主に手掛けるシンガポールの企業です。

譲受企業の概要

鹿島建設は、東京都港区に本社を置くスーパーゼネコンです。超高層ビルの建設事業に強みがあり、高度な技術とノウハウを持っています。

M&Aの目的

鹿島建設はアジア地域のエンジニアリング事業の強化を進めており、本M&Aもその一環で行われました。鹿島建設は、International Facility Engineeringをグループに加え、アジア地域における経営基盤の強化を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:鹿島建設株式会社「シンガポール企業を買収、アジア地域でのエンジニアリング事業を拡大」

ヤマダ電機によるナカヤマのM&A

2017年11月、ヤマダ電機はナカヤマの発行済み株式を全て取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

ナカヤマは、住宅リフォーム事業・住宅建材製造事業・建築設計管理事業などを手掛ける埼玉県の企業です。

譲受企業の概要

ヤマダ電機は家電量販店「ヤマダデンキ」を全国展開する企業です。トータルリフォーム事業にも力をいれており「家電住まいる館YAMADA」の業態店舗も展開しています。

M&Aの目的

ヤマダ電機はナカヤマのノウハウや経営資源活用することで、注力しているトータルリフォーム事業の強化を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社ヤマダ電機「株式会社ナカヤマの株式取得(子会社化)に関するお知らせ 」

サーラ住宅による太陽ハウジングのM&A

2017年10月、サーラ住宅は愛知県の太陽ハウジングの発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

太陽ハウジングは愛知県にある住宅建設会社であり、地元不動産会社との広いネットワークを持ち、愛知県西三河地区での強固な経営基盤を有しています。

譲受企業の概要

サーラ住宅は新築一戸建て・分譲住宅の請負・施工・販売を手掛ける企業です。サーラコーポレーションの子会社であり、ハウジング部門の中核を担っています。

M&Aの目的

サーラ住宅は、中期経営計画の事業基盤強化の重点エリアに愛知県西三河エリアをあげており、本M&Aは当該エリアの事業基盤強化および事業拡大です。太陽ハウジングの子会社化によりシナジーを発揮させ、さらなる事業成長を図るとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:株式会社サーラコーポレーション「当社連結子会社による株式取得に関するお知らせ 」

コニシによる角丸建設のM&A

2017年7月、コニシは角丸建設の発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。を、株式譲渡により完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。

譲渡企業の概要

角丸建設は東海アリアを中心に、建築工事・土木工事・リノベーション工事を手掛ける企業です。 高い技術力とノウハウをもち、豊富な実績を有しています。

譲受企業の概要

コニシは、接着剤の製造・販売を主軸とする企業で、土木・建築工事事業や化成品商事部門なども手掛けています。

M&Aの目的

コニシは成長戦略の柱に土木建設事業を位置づけており、本M&Aもその一環で行われたものです。角丸建設の子会社化により互いのノウハウ・技術力・営業基盤を相互活用し、シナジー創出による収益拡大を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:コニシ株式会社「角丸建設株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

飛鳥建設による杉田建設興業のM&A

2017年7月、飛鳥建設は杉田建設興業の発行済み株式をすべて取得し、同社を完全子会社化しました。

譲渡企業の概要

杉田建設興業は、千葉県にある総合建設会社です。千葉県や東京都小笠原でのインフラ工事を安定受注しており、多くの施工実績を持っています。

譲受企業の概要

飛島建設は、トンネルなどの土木工事や防災工事を得意とする中堅ゼネコンです。防災技術の高さには定評があり「防災の飛島」と呼ばれるほどの技術力を有しています。

M&Aの目的

本M&Aの目的は、事業エリアの拡大および工事の安定受注獲得です。杉田建設興業の強固な影響基盤を活用して新しい営業エリアの開拓するとともに、リテール対応力の強化を目指すとしています。

M&A手法

株式譲渡

参考:飛島建設株式会社「杉田建設興業株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

4. 建設業のM&Aメリット

建設業のM&Aには、売り手・買い手それぞれ以下のようなメリットがあります。
 

売り手側のメリット 買い手側のメリット
  1. 後継者問題の解決
  2. 倒産や廃業を回避
  3. 従業員の雇用安定
  4. 売却益の獲得
  1. 技術やサービスの強化
  2. 人材の確保
  3. 事業規模やエリアの拡大
  4. 相互補完を図れる

売り手側のメリット

建設業のM&Aにおける売り手側のメリットには、以下4つが挙げられます。

①後継者問題の解決

経営は順調であるにもかかわらず、後継者不在により事業の継続が難しくなる建築会社が増加中です。その場合、後継者問題を解決するための対策として事業・会社を譲渡し、買い手を後継者に据えた事業承継を行う選択肢が効果的とされています。

事業承継の実施では、単に後継者問題が解決できるだけでなく、事業成長の可能性も期待できます。

②倒産や廃業を回避

倒産や廃業を回避する手段として、M&Aによる売却を行うことも選択肢の1つです。倒産や廃業の場合、負債が残るうえに廃業コストの負担が必要ですが、M&Aを実施すれば、それらの負担は回避できます。

③従業員の雇用安定

事業が継続できなくなった場合、従業員の仕事を失わせてしまいます。しかし、M&Aを実施すれば、売却先企業に従業員の雇用を引き継げるため、従業員を失業させずに済みます

④売却益の獲得

売却益を得られると、生活費・老後資金・新たな事業への資金などに充てることが可能です。倒産や廃業を選択する場合と比べて、資金的・精神的に大きな余裕が生じます。

買い手側のメリット

建設業のM&Aにおける買い手側のメリットには、以下4つが挙げられます。

①技術やサービスの強化

買収する側からすれば、技術やサービスの強化などを目的にM&Aを行います。建築業は競争が厳しい業種でもあるため、生き残るうえで優れた技術やサービスを保有しなければなりません。

技術やサービスの強化を自社のみで行うことは難しいですが、M&Aを行えばスムーズにノウハウを獲得できます。自社で行っていない技術・サービスを取り込めば、手間や時間をかけずに安定度の高い事業参入が可能です

②人材の獲得

建築業の業務は特殊な技術・知識・経験が必要であるため、優秀な人材を育て上げるまでに相当な時間がかかります。過酷な労働を強いられるイメージから、若い世代の人材が少ない点も課題です。

建築業の会社は常に人材不足に頭を抱えています。そこで、M&Aの実施により技術・知識・経験が豊富な人材を獲得し、人材不足の解消を図る動きが目立っています。

M&Aを行えば、これまで人材不足により受注できなかった仕事にも対応可能です。このように、優秀な人材を獲得できれば、会社の成長が図れるでしょう。

③事業規模やエリアの拡大

買い手側は、事業規模やエリアの拡大を目的としてM&Aを行うケースも多いです。建設業は隣接する企業が多いためシナジー創出が見込みやすく、外注していた業務を内製化したり、顧客へのサービスを拡充したりすることもできます。

また、隣接エリアでの事業展開や、地方から都心あるいは都心から地方への進出が実現できるのも大きなメリットです。建設業界は地域特性などもあるため、新たなエリアで事業基盤を構築するまでには時間を要しますが、M&Aを行うことで大幅に短縮できます。

④相互補完を図れる

同じ建設業に属していても、民間に強い企業もあれば官公庁に強い企業もあります。安定した業務受注には幅広い顧客を持つことが重要ですが、M&Aで同業種あるいは関連業種を買収することで相互補完が可能です。

互いの強みを活かすことで受注が安定するだけでなく、別の業務内容を加えることで閑散期も仕事が平準化しやすくなります。

5. 建設業のM&Aを成功させる5つのポイント

建築業のM&Aを成功させるには、以下のポイントを実践する必要があります。

①M&Aを行う理由を明確にする

自社がどのような業種であっても、M&Aを実施する際は「なぜM&Aを行うのか」を明確にしておくことが必要です。

たとえば、事業承継を目的とするのか、事業規模の拡大を目指すのか、なにを理由に行うかによって相手先選びの判断基準が変わってきます。

まずは自社がM&Aを行う理由を明確にし、そのうえで希望条件などを決めていくとよいでしょう。

②M&A先の選定をしっかりと行う

なぜM&Aを行うのかという理由が明確になったら、次はM&A先の選定をしっかり行うことが大切です。どんなに規模の大きい企業へ売却できても、自社の目的や希望に合わなければ満足度の高いM&A実現とはならないでしょう。

事前に自社の希望条件とその優先順位をはっきりさせておくと、相手先の選定もしやすくなります。また、M&Aの専門家にサポートを依頼する場合は、自社の価値観や風土などを伝えておくのもよい方法です。

③許認可・従業員・設備など強みに関してまとめる

M&Aの交渉を進めていくうえでは、自社の強みをしっかり相手先へ伝えることが重要です。そのため、M&Aに着手する前に、自社の強みを分析・把握し、許認可・従業員・設備などを資料にまとめておくと役立ちます。

また、この段階で改善できる点があれば事前に対応しておくなど、磨き上げをしておくことも成功のポイントです。

④事業シナジーを考える

M&Aを成功させるためには、どのような事業シナジーが見込めるかを考えることも必要です。たとえば、スケールメリットによって材料コストが下げられる、顧客の認知度が上がるなど、さまざまなシナジーが考えられます。

相手先の事業内容をよく分析して、想定されるシナジーを具体的にイメージしておくことは、売り手・買い手双方にとって満足度の高いM&A実現にもつながるでしょう。

⑤M&A仲介会社等に相談する

M&Aの工程は非常に多いため、日常の事業運営をしながら自社のみで進めていくのは現実的に難しい部分が多いでしょう。M&Aを仲介会社等では手続き面をサポートすれば、業務への支障を最小限にとどめながらM&Aを進めることができます。

M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には、M&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートいたします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. 建設業界のM&A注意点

建設業界でM&Aでは、業界特性による注意点があります。事前対応が必要な事項もあるので、実施前に確認しておくことが重要です。

M&A手法により建設業許可の引き継ぎ方法が違う

建設事業を行ううえでは事業内容にあった建設業許可が必要です。建設業界のM&Aではどのスキームを用いるかによって許認可の引継ぎ方法が異なります。

株式譲渡を用いる場合は、包括承継となるため売り手のもつ許認可を買い手はそのまま引き継ぐことが可能です。事業譲渡の場合は、事前手続きを踏むことで建設業者としての地位を空白期間なしで引き継ぐことができます。

以前は事業譲渡により許認可取得の空白期間が生じるケースもありましたが、2020年に事業譲渡における建設業許可に関する制度が新設されたことでスムーズな引継ぎが可能となりました。ただし、事前許可申請は、買い手側の法人が建設業の許可要件を満たしていることが前提となります。

経営管理責任者の確認をする

国土交通省「許可基準の見直しについて(建設業法第7条関係)」 3ー(1)許可基準の見直しについて

出典:https://www.mlit.go.jp/common/001365752.pdf

建設業許可の認定を受けるためには、建設業法により定められた経営管理責任者を配置しなければなりません。法令で定められた体制には「経営管理責任者のみを配置」「常勤役員+それを直接補佐する者」の2パターンがあり、それぞれ上図のように要件が設けられています。

基本的には「経営管理責任者のみを配置」するパターンが多いです。それ以外のケースでは個々に審査があるため、詳細は国土交通省HPか同省の問い合わせ先でご確認ください。

粉飾決算の有無を把握する

建設業の会計は「建設業会計」という方式で行われます。建設業では1つの受注案件が数か月~数年かかることも少なくないため、その性質を考慮した会計方式です。

この方式では、工事費用を資産として一旦計上するため、数字上では実態よりも利益が大きくなります。会計の性質上、経営者が意図していなくとも粉飾決算が起こりうるため、買収前はデューデリジェンスを徹底し粉飾決算の有無を確認することが重要です。

7. 建設業界のM&Aの相場価格

M&Aの価格は企業(あるいは事業)規模で異なりますが、同程度の規模でも財務状況・保有しているリソースの内容・M&A時の市場動向によっても違いがでます。

また、M&A最終的な価格はこのような要素を加味したうえで、売り手側・買い手側の交渉で決まるため、どの程度が相場価格なのかを判断するのは難しいものです。

ですが、中小規模の建設会社が行うM&Aであれば「時価純資産+営業利益の2〜5年分」をひとつの目安にすることができます。

M&Aの最終的な価格は交渉で決まりますが、その際は「企業価値」をベースに進めるのが一般的です。企業価値の評価方法にはコストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチの大きく3種類があり、そのなかから自社に合った方法を選び(あるいは複数の方法を併用して)価値を算出します。

コストアプローチ

コストアプローチは、貸借対照表上の純資産を基に企業価値を評価する方法をいい、代表的な手法にには時価純資産法・簿価純資産法があります。

シンプルな計算で算出ができ、売り手・買い手ともに納得感が得られやすい点がメリットですが、一方で企業の特性や将来性が反映されないというデメリットもあります。

M&A実務上では、企業の特性や将来性をある程度反映させるために、資産にのれん(営業権)を加えるケースが多いです。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、対象企業の将来予測されるフリーキャッシュフローを基に企業価値の評価を行う方法です。代表的な手法には配当還元法・DCF法などがあり、DCF法は大企業のM&Aで多く活用されています。

最大のメリットは企業固有の特性や将来性が反映される点ですが、フリーキャッシュフローの予測は対象企業が策定した事業計画を基に行うため客観性は高いとはいえず、主観性が入りやすく正確な評価とならないケースがある点がデメリットです。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、対象企業と事業規模や事業内容が類似する上場企業を選び、その企業の市場株価や過去に行なったM&Aの取引価格などを基に企業価値評価を行う方法です。

代表的な手法には市場株価法・マルチプル法(類似会社比準法)があり、トレンドや動向など市場環境が反映される点や客観性が高い点がメリットとして挙げられます。

その一方で、中小企業の場合は類似条件に該当する企業をみつけることが難しい点や、選定時に主観が入りやすい点がデメリットです。

コンプライアンスを遵守している

売り手企業が過去に談合を行っていたり、社会保険の未加入や残業代の未払い分があったりする場合、買い手企業は知らずに買収してしまうと後に大きなトラブルを招くリスクがあります。

売り手企業がコンプライアンスを遵守しているかは売却価格に大きく影響する要素です。中小規模の建設会社の場合、社会保険加入義務があっても未加入で事業運営をしているケースもみられますが、2020年に行われた建設業法改正で社会保険への加入が建設業許可の要件となっています。

また、未払い残業代がある場合は退職済み従業員からの訴訟リスクや、談合した事実があれば独占禁止法違反に問われる恐れもあるため、売却価格が不利になるだけでなくM&A交渉自体が進まない可能性もあるでしょう。

高額売却を実現するためには、自社がコンプライアンスを遵守しているかをM&A前に再確認し、問題がある場合は可能な限り是正しておくことが重要です。

経営事項審査および競争参加資格審査の評価点が高い

公共工事の受注は入札によって決まりますが、入札に参加するためには経営事項審査と競争参加資格審査を受けていることが前提です。

経営事項審査は各地域の許可行政庁が行うもので、経営規模・技術力・労働環境や状況などが審査されます。一方の競争参加資格審査は、独自審査項目による評価です。

2つの合計点でランク(格付け)が決まりますが、それによって入札参加できる公共工事の規模が違います。ランクが高いほど大きな規模の公共工事に入札できるため、評価点の高い建設会社は高額売却につながりやすいです。

安定した受注先(取引先や下請け先)を持っている

建設会社は、公共工事だけでなく民間企業や個人の仕事も受注します。受注案件数が多いほど当然利益もあがるため、建設会社の事業成長には安定した受注先の確保が不可欠です。

そのため、安定した受注先を多く持っている売り手企業ほど、買い手側からの評価は高くなる傾向にあり、取引先や下請け先が多ければ高額売却につながる可能性も上がります

技術・ノウハウ・特許・優秀な人材などを持っている

最新技術や特許製法を持っているなど技術力が高い会社や、独自ノウハウを持っている会社は買い手からの評価が高くなりやすい傾向にあります。

また、建設業界は慢性的な人材不足であるうえ、特に若手人材が少ないのが課題です。技術力・特許などだけでなく、若手従業員が多く在籍している売り手企業の場合は、高額売却につながる可能性も高くなります。

財務・税務面が健全である

建設業界のM&Aに限ったことではありませんが、財務面・税務面で正しい処理がなされているのは高額売却の必須条件ともいえるものです。

特に建設業界の会計は「工事進行基準」「工事完成基準」など他業種とは異なる基準が設けられており、2021年度からは「新収益認識基準」が上場企業への適用が義務付けられました。

会計・税務面での正しい処理が行われていない場合、デューデリジェンスによって発覚することがほとんどであり、そのようなケースでは売却価格が引き下げられたり、問題が大きければM&Aが白紙撤回される可能性もあります。

売り手企業はM&A前に自社の会計・税務面を再度確認し、問題点がある場合は可能な限り解消しておくことが重要です。

8. 建設業界のM&Aのまとめ

建設業は、これまでM&Aおよび業界再編が行われにくい業種として知られていました。しかし、現在ではM&Aが盛んに実施されるようになっています。

M&Aでは買い手・売り手ともにさまざまなメリットがあるものの、成功させるには工夫が必要です。スムーズにM&A手続きを済ませるためにも、M&A仲介会社などの専門家にサポートを求めると良いでしょう。

9. 建設・土木業界の成約事例一覧

10. 建設・土木業界のM&A案件一覧

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