施工管理会社のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例11選を徹底解説【2024年最新】

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

施工管理会社のM&A・買収・売却は、需要が高まっている今がチャンスです。この記事では施工管理会社のM&A動向や買収・売却の解説だけでなく、メリットや成功事例も紹介しているので、しっかり押さえて自社のM&Aを成功させましょう。

目次

  1. 施工管理会社の動向
  2. 施工管理会社のM&A動向
  3. 施工管理会社のM&Aメリット
  4. 施工管理会社のM&A相場
  5. 施工管理会社のM&A成功のポイント
  6. 施工管理会社のM&A注意点
  7. 施工管理会社のM&Aにおける積極買収企業
  8. 施工管理会社のM&A成功事例11選
  9. 施工管理会社のM&Aまとめ
  10. 建設・土木業界の成約事例一覧
  11. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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1. 施工管理会社の動向

施工管理会社のM&Aを成功させるためには、M&Aを行う業界の動向を理解しておくことが重要です。M&A動向を把握しておけば、よりよいタイミングで実施することができるので、好条件でのM&A成立にも期待できます。

施工管理会社の市場規模

国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題」を基に作成

出典:https://www.kensetsu-kikin.or.jp/news/57a42379796b2a6c1d23286d40ea5b611f163364.pdf

国土交通省によれば国内の建設投資額は1976年度以降、右肩上がりに増加しており、1992年度の建設市場規模は約84兆円となりました。

その後は、景気悪化の影響を受けて民間工事数が減少したことや公共工事数が減少したことで市場規模は縮小傾向が続き、2010年度には約42兆円と、ピーク時の半分まで落ち込んでいます。

2011年度から数年は横ばいで推移しますが、政府建設投資や民間投資の回復、復興需要などにより2021年度は約58.4兆円まで回復しました。

参考:国土交通省「建設業を巡る現状と課題」

人手不足が業界全体の悩み

総務省「労働力調査」を基に作成

出典:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200531&kikan=00200&tstat=000000110001&cycle=7&year=20220&month=0&tclass1=000001040276&tclass2=000001040283&tclass3=000001040284&result_back=1&tclass4val=0

1997年以降、建設業就労者数は減少傾向が続いており、685万人だった就業者数が2022年には479万人とピーク時から約30%減少しています。そのようななか「人手不足」に悩む事業者も多く、人材確保が大きな課題です。

また、就業者数の年齢層は55歳以上が35.9%であるのに対し、29歳以下は11.7%しかおらず、若年層の従業員を確保するのが難しくなっています。

それにより、施工管理会社では人材不足からM&Aでの事業承継を検討している経営者が少なくありません。事業承継とは、会社や事業を後継者や別の会社に引継ぐことです。

身近に後継者候補となる人がいれば良いのですが、そうでなければ会社の外部から引継ぎ先を探すことになります。そのときにM&Aを活用すると良いでしょう。

経営者の高齢化

業界の就労者と同じように、経営者もまた高齢化が進んでいます。他業種と同様、団塊世代の経営者は引退時期に差し掛かっているケースが大半です。

経営者自身の周りに後継者候補がおり円滑に事業を引き継げればよいですが、後継者がいなかったり個人保証がネックとなり事業承継が進まなかったりするケースもあります。

そのような場合、M&Aは事業承継手段のひとつであり、近年は中小企業でも事業承継目的でM&Aを行うケースが増えてきました。

地方では廃業数も多い

収益力の低下や人材不足の影響で、特に地方の施工管理会社では廃業を余儀なくされている会社が多くあります。この問題を解消する施策として、地方にある施工管理会社のM&A動向に注目が集まっています。

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2. 施工管理会社のM&A動向

次は施工管理会社のM&A動向をみていきましょう。近年、施工管理会社のM&Aでは以下のような特徴がみられます。

過去最多のM&A件数を更新中である

これまでの施工管理会社はその特性上M&Aによるスケールメリットが働きにくかったり、M&Aによって2社以上の企業が合併することで公共工事の入札参加機会が限定されたりするなどのデメリットがあります。そのため、M&Aの成功事例は多くなく、むしろ廃業によって企業数が減ってしまう状態にありました。

しかし、近年は商業圏内の拡大や人材不足解消の目的でM&Aが実施されたり、大和ハウスや積水ハウスなどのハウスメーカーが大手ゼネコンを買収したりするような事例も増えており、過去最多のM&A件数を更新中です。

同業社同士のM&A

近年は、2021年の東京オリンピックによる「市場の活性化」や「深刻な人材不足解消」などの業界動向から、同業同士のM&Aが実施されるケースが見られます。

人材不足に悩み廃業が差し迫った地方の会社が、M&Aによって同業者に会社売却・事業譲渡をすることにより、人材不足などの問題が解消可能です。買収した側も、人材の確保や商圏の拡大が期待できます。

地方にある中小企業が大手企業に買収

大手企業が地方の中小企業を買収するケースも割合多く、ノウハウ取得・地方エリアへの事業拡大・人材確保などM&Aの目的はさまさまです。

業界全体が人材不足であることは先に述べましたが、若年層の従業員や有資格者、経験豊富な従業員などをM&Aで一度に確保するケースも多くみられます。

異業種からのM&A

近年は異業種・他業種からのM&A・買収・売却が増えてきています。相手先はさまざまな業種ですが、親和性の高い不動産業界とのM&Aは非常に多く、たとえば施工・保守管理などに強みを持つ企業が内装工事を得意とする企業とM&Aを行えば事業領域拡大を図ることが可能です。

また、IT業界とのM&Aも目立っており、たとえばセキュリティー機器(監視カメラなど)の卸売企業が、電気工事会社をM&Aで取得して施工までのワンストップで提供できる体制を構築した事例もあります。

クロスボーダーの増加

近年は、日本国内の施工管理会社と海外企業が行うクロスボーダーM&Aも増えてきました。東京オリンピックまでは需要が拡大していた建設業界も今後は徐々に需要が落ち着くことが見込まれています。

そのため国内需要だけで業績拡大を狙うのは厳しい部分もあるという理から、クロスボーダーM&Aを行い海外進出を狙う動きも増えてきました。

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3. 施工管理会社のM&Aメリット

続いて、施工管理会社のM&A・買収・売却のメリットをまとめます。M&Aの売却側・買収側でメリットが異なってくるので、両者を分けて解説します。

売却側メリット

施工管理会社のM&Aにおける「売却側のメリット」を説明します。売却側のメリットとしては主に以下の5点があり、メリット享受のため施工管理会社でM&Aを行う売り手企業は多いです。それぞれのメリットについて、順番に確認しておきましょう。

従業員の雇用先を確保

売却側には、M&Aによる会社売却・事業譲渡によって「従業員の雇用先を確保できる」メリットがあります。M&A動向の部分でも解説したように、特に地方の中小企業などは、人材不足や需要の減少などによって、廃業を余儀なくされるケースが多く見られます。

M&Aを実施して、会社売却や事業譲渡を実現できれば、買収側の企業で従業員を働かせられるので、廃業によって従業員の雇用がなくなってしまう事態を防ぐことが可能です。

後継者問題の解決

「後継者問題を解決できる」ことが、売却側のメリットとして挙げられます。施工管理会社に限らず、日本にある多くの中小企業が直面するのが「後継者問題」です。

人材不足に加え、中小企業経営者の高齢化によって後継者問題が発生します。事業運営が難しくなる結果、廃業しなければいけないケースもあります。M&Aを実施し会社売却・事業譲渡などを達成できれば、この後継者問題を解消することが可能です。

売却・譲渡による利益の獲得

M&Aによって会社を売却したり事業を譲渡したりすると、売却利益・譲渡利益を獲得できます。特に売却側の創業者は、まとまった資金(創業者利益)を獲得できます。

債務や個人保証などの解消

売却側はM&Aを実施することで、債務や個人保証を買収側に引き継ぐことが可能です。そのおかげで、債務や個人保証などを解消できます

M&Aによって債務・個人保証などから解放され、まとまった資金が獲得可能です。このM&Aを機に経営から退き、安定した生活を送る経営者の方もいます。

廃業にかかる手間の削減

M&A動向でも解説したように、特に地方の施工管理会社では、廃業しなければならない会社も多いです。ただ、廃業を実施するためには「廃業手続き」が必要になり、非常に手間がかかります。M&Aを実施して、会社売却・事業譲渡に成功すれば、廃業にかかる手間を省けます

しかし、M&Aに対して「手続きに時間がかかりそう」とネガティブなイメージを持つ方も少なくないでしょう。廃業にかかるコストを減らしつつ、なるべく短時間でM&Aを行いたい場合、会社譲渡(株式譲渡)を選択するのがおすすめです。

以上が、施工管理会社がM&A・買収・売却を行うメリットでした。このように多くのメリットが受けられるのは魅力的です。

メリットが多くあるのは売り手側だけではなく買い手側も同様となっています。ここからは、施工管理会社の買収側のメリットを見ていきましょう。

買収側メリット

続いて、「買収側のメリット」を解説します。M&Aによって、会社を買収したり、事業を譲受したりするメリットには、以下のようなものが挙げられます。

事業エリアの拡大

施工管理会社がM&Aによる買収を実施することで、「事業エリアの拡大」が期待できます。都市圏の施工管理会社が地方の会社を買収すれば、その地方の地盤を獲得できるため、事業拡大につながります。

新規事業に低コストで参入

M&Aによって「異業種」の会社を買収することで、「新規事業に低コストで参入できる」メリットがあります。

通常、新規事業へ参入する場合はノウハウや経験などがないため、事業を成長させるために人件費などのお金や時間を多く費やす必要が出てきます。

しかし、すでにその市場での経験やノウハウを持つ会社を買収することにより、新規事業参入時に必要な費用や時間を抑えることが可能となるのです。

下請け会社の設立

施工管理会社をM&Aによって買収することのメリットは、下請け会社を設立できる点です。M&Aを実施して施工管理会社を買収することで、その買収した企業が自社グループの下請け会社になります。

大手ゼネコンなどは、自分たちのグループ会社の下請け会社を持つことで、より効率的な受注・生産が可能です

新規顧客・取引先・ノウハウの獲得

M&Aによって施工管理会社を買収することで、新規顧客や新しい取引先、買収した企業に蓄積されたノウハウなどを獲得できるメリットがあります。

買収した企業の新規顧客・取引先・ノウハウを獲得できれば、自社の経営資源と組み合わさることでシナジー効果が生まれ、さらなる事業成長が期待できます。

人材不足の解消

施工管理会社業界で顕著に表れている問題が「人材不足」です。特に、地方ではこの人材不足が原因で、廃業に追い込まれてしまう会社もあります。M&Aを通じて、不足しがちな技術力を持った人材の確保も期待可能です。

以上が、施工管理会社がM&Aを行う際の買い手側のメリットです。施工管理会社のM&Aに興味が出てきたなら、専門家であるM&A仲介会社に相談するのが良いでしょう。

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施工管理会社のM&AならM&A総合研究所にお任せください。M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーが担当させていただきます。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。まずは、お気軽に無料相談をご利用ください。

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4. 施工管理会社のM&A相場

施工管理会社のM&A・買収・売却の「相場価格」が気になる方も多いのではないでしょうか。実際、M&A対象企業の規模や資産価値によって売買価格は異なってくるため、一概に相場価格が決まっているわけではありません

相場の参考になる情報には、施工管理会社の過去のM&A事例があります。現在、多くのM&Aにおける取引価格が、インターネット上で公開されているので、自社と事業内容、業態、資産等が似ている会社の取引価格から相場を推測することが可能です。

大まかな相場の計算方法

M&Aの場合、最終的な価額(譲渡額)は売却側企と買収側企業の交渉で決まりますが、一般的に価額交渉のベースとなるのは「企業価値」です。

企業価値には資産・負債などのほかブランド力・ノウハウ・人的リソースなどさまざなま要素が反映されます。そのため、売上高が同程度の同業企業であってもM&A価額は大きく違うことも少なくありません。

ですが、大まかな相場(中小企業の場合)であれば「時価純資産+営業利益の2〜5年分」という簡単な計算で知ることができるので、M&A前に行っておくと買いたたきや高値掴みを防いで適正な価額でのM&A成立を目指すことができます。

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5. 施工管理会社のM&A成功のポイント

施工管理会社のM&A・買収・売却における「ポイント」をまとめます。このポイントも、「売却側」と「買収側」で意識すべき点が異なるので、それぞれに分けて解説します。

売却側のポイント

施工管理会社の売却側には、以下のようなポイントがあります。どれも重要なので、M&Aを成功させたいならしっかり押さえておくべき点なので確認しておきましょう。

過去の実績・受注記録などの確認

M&Aを実施する際、売却側は「過去の実績・受注記録などの確認」を行うようにしましょう。M&Aの買い手からすると、過去の実績や受注記録が豊富な会社である方が、買収したいと感じるものです。

これまでの自社の実績・受注記録をまとめて、買い手企業に対してアピールできる体制を整えておくことが、M&Aの成功に近づくポイントといえます。

企業価値評価の確認

M&Aの売却側は、M&Aが失敗に終わらないように、「企業価値評価の確認」を必ず行うようにしましょう。

どのように「企業価値評価」が決定されているか、自社の価値がどのくらいと評価されているのかを確かめずにM&A手続きを進めてしまうと、本来の企業価値よりも低い評価価額でM&Aが実施されてしまう可能性もあります。

従業員の引継ぎ準備

M&Aによって会社売却をする際は、「従業員の引継ぎ準備」をしっかり行うように意識しておきましょう。

「従業員の引継ぎ準備」をしておかないと、M&Aが実施され、会社が売却された後で、雇用に関して問題が発生してしまったり、多くの従業員が退職してしまったりする可能性も考えられます。

買収側のポイント

次に、施工管理会社がM&Aを実施する際の「買収側のポイント」を紹介していきます。買収側がしっかりと確認をとるべきポイントは、大きく分けて3つです。

仕事の内容

買収側がM&Aを成功させるために「確認すべきポイント」の一つが「仕事の内容」です。買収対象の企業が、これまでどのような仕事に携わってきたのかを、しっかり調査する必要があります。

【①過去の実績・受注記録などの割合を調査】
買収対象となっている企業の「過去の実績」や「受注記録」を調査して、買収するに値する企業か、自社の事業拡大に貢献してくれる企業かを確かめる必要があります。

具体的には、「民間工事・公共工事の割合」「建築・土木工事の割合」などをチェックすることが重要です。

【②難しい工事実績がある】
「難しい工事実績があるか」のチェックは買収側が意識すべきポイントの一つです。難易度が高い工事実績が豊富な企業は、M&Aによって買収するに値する企業と考えられます。

【③得意先の有無】
M&Aのメリットを享受するためには、買収対象企業の得意先の確認が重要です。得意先を複数抱えている企業を買収できれば、自社の事業規模の拡大が期待できます。

【④事業エリアの調査】
対象企業の事業エリアの調査は、自社が展開している事業エリアを補完できるか、自社が未開拓の事業エリアを確保できるかという観点から検討することがポイントです。

財務の内容

買収側が意識すべきポイントに、売却・譲渡企業の「財務の内容」があります。売却・譲渡を希望している企業の財務状態をしっかり確かめておくことで、M&Aの失敗を事前に防げます

【①デューデリジェンスの徹底】
M&Aの失敗を防ぐために、買収側は「デューデリジェンス」を徹底するようにしましょう。「デューデリジェンス」を確実に実施することで、「簿外債務の引継ぎ防止」や「粉飾決算等の不正の見極め」が可能です。

【②元請け率や赤字受注比率の調査】
M&Aを実施する際は、「元請け率」や「赤字受注比率」の調査を行うようにしましょう。これらをしっかり調査しておけば、M&A後もスムーズに事業運営を行えます

【③工事ごとの原価管理】
売却・譲渡企業がこれまで、工事ごとの原価管理を適切に行えていたかのチェックも、M&A成功の大切なポイントの一つです。

【④長期・短期の借入状況】
売却・譲渡企業の「長期・短期の借入状況」がどうなっているのかを調査しておくことで、必要以上の負債を引き継ぐリスクを未然に防げます

【⑤重機・設備の保有】
M&Aを実施する前に、売却・譲渡側企業が保有している重機や設備を確認しておきましょう。なぜなら、売却・譲渡側企業が利用していた重機や設備などが「リース」である可能性が考えられるためです。

人材の内容

売却・譲渡側企業の「人材の内容」も、どのような人材を確保できるかの判断材料となるため、買収側が事前に確認しておくべきポイントです。

【①有資格者の人数】
建設・土木・施工管理業界での資格として代表的なものが「建設施工管理技士」「土木施工管理技士」「建設機械施工技士」です。これらの資格を有していないとできない仕事もあります。

売却・譲渡側企業に在籍している人材の中の有資格者の人数は、M&Aの重要なポイントです。

【②労務問題や雇用形態】
M&Aを実施してすぐは、売却・譲渡側企業の雇用主たちが会社を退職してしまうことがよくあります。その理由の一つは、新しい職場環境や雇用形態が合わないことです。

M&Aを実施する際は、売却・譲渡側企業の労務問題や雇用形態をしっかり調査し、M&A後の人材流出を防ぐための対策が大切です。

【③優秀な技術者】
「有資格者の人数」と同様、売却・譲渡側企業に優秀な人材がいるかどうかも、M&Aのポイントの一つといえます。M&Aによって優秀な人材を確保できれば、自社の成長が期待できます。

【④従業員の年齢層】
売却・譲渡側企業に在籍している「従業員の年齢層」がどれくらいかも、チェックすべきポイントの一つです。

【⑤現場作業員の稼働率】
現場作業員の稼働率も、M&A実施前に確認しておきたいポイントの一つです。現場作業員の稼働率が高いことで、仕事の生産性が高まります

6. 施工管理会社のM&A注意点

施工管理会社のM&A・買収・売却には以下3つの注意点があります。注意点を知っておかなければ、M&Aがスムーズに進まなかったり、失敗したりする可能性もあるため、よく確認しておきましょう。

粉飾決算

建設業界は粉飾決算が起こりやすいといわれています。建設業界では、公共工事への入札を希望する場合は必ず経営事項審査を受けなければならず、審査では「客観的事項」「主観的事項」をそれぞれ点数化し、その総合点数で順位付けがなされます。

総合点数はA・B・C・Dとランク分けがされてランごとに受注できる工事額が変わるため、事業者にとって総合点数は非常に重要なものです。当然ランクが高いほど高額の工事案件を受注することができるため、経営事項審査でランクダウンすれば売上に大きな影響を及ぼすことになりかねません。

この経営事項審査でのランク維持は、粉飾決算が行われる理由のひとつです。建設業界では「建設業会計」という方法で会計処理を行いますが、これは建設事業は工事1県で数年に及ぶこともあるという特殊性を考慮した方法となっています。

「建設業会計」では工事にかかった費用を一旦資産計上するため、数字上では費用が減って実態よりも利益を大きく見せることが可能です。これを利用すればランク維持は可能ですが、結果的には多額の未成工事支出金が計上されています。

これが粉飾決算の仕組みですが、買収側はM&A前にしっかりデューデリジェンスで調査を行っておかなければ、経営への影響だけでなく自社のブランド力や信用力にも大きく損なう恐れがあるため注意が必要です。

情報漏えい

M&Aでは売却側企業・買収側企業とも情報漏えいに注意が必要です。特に売却側は自社の財務情報やノウハウ・技術力に関する内容など、さまざまな秘密情報を買収側へ開示します。

もしM&Aが成立する前にこのような情報が漏洩するようなことがあれば、企業価値を大きく損なうことにもなりかねません秘密情報を開示する際は必ず秘密保持契約を締結するとともに、情報漏洩が起こらないよう細心の注意を払うことが重要です。

また、M&Aが成立する前に従業員や関係先にM&Aを行うことが伝われば、動揺したり反発が起こったりする可能性もあります。M&A実施を関係先へ伝えるのはタイミングが重要なので、その時点まではM&Aの情報を共有する範囲を必要最低限にとどめておくことも情報漏えいを防ぐポイントです。

買い手とシナジー効果が発揮できる受注方針をすり合わせ

M&Aを行う前に、買い手の事業とシナジー効果を発揮できるような受注方針をすり合わせておきましょう。受注方針を細かくすり合わせておかなければ、スムーズに事業が引き継げない可能性があるからです。

例えば、買い手側の企業が人手不足の解消を目的にM&Aを検討していても、受注方針がこれまでと違えば売り手側の人材が即戦力とならない可能性があります。

売り手側における今後の受注を打ち合わせを行わず、買い手側のものへ切り替えるのは現実的とはいえません。

買い手側に過去5年間ほどの工事経歴書を提示して、買い手とシナジー効果が発揮できるような受注方針を立てておくことでスムーズに事業を引き継げるのです。

7. 施工管理会社のM&Aにおける積極買収企業

建設・土木の周辺業界で、特に積極的にM&A取引を行っている上場企業を5社紹介します。

①日立製作所

日立製作所は建設関連事業も手掛ける日本の電機メーカーですが、スイスの重工業会社であるABBの電力事業の取得や、台湾のエレベーターメーカーである永大機電工業の買収など、クロスボーダーM&Aに積極的です。

近年、外部のM&Aアドバイザーを使うだけでなく、M&A専門人材を採用して自社のM&Aチームを整備する動きを見せています。

②夢真HD

建設業界に対して、技術者専門の人材派遣事業を行っている夢真HDでは、グループ内の技術者数の増加を成長目標として掲げています。自社で人材採用を行うのみならず、積極的なM&A取引を通じて技術者の確保を行っています

③ミライトHD

ミライトHDは、東北地域を中心に総合エンジニアリングサービスを行っていますが、事業エリアの拡大のためにM&Aを活用しています。

実際、2018年に宮城県の塚田電気工事を買収し、2019年に千葉県のトーエイ電気通信を買収するなど、積極的な動きを見せています。

④応用地質

地質のエキスパートとして、インフラ、防災、環境、エネルギーソリューション事業を展開する応用地質は、海外展開を目的にクロスボーダーM&Aに積極的です。

実績として、シンガポールの土木・建築関連会社2社の買収、アメリカの地震探査ナビゲーション事業の会社の子会社化等が挙げられます。

⑤長谷工コーポレーション

マンションの設計・施工、管理、リフォームなどの事業を展開している長谷工コーポレーションは、成長戦略にM&Aを活用した事業領域の拡大を位置付けています

公表資料で数百億円規模のM&A投資を計画するなど、M&Aに積極的な姿勢はこれからも続くでしょう。

8. 施工管理会社のM&A成功事例11選

最後に施工管理会社が行ったM&Aの成功事例を紹介します。

大日本ダイヤコンサルタントによるウエルアップのM&A

DNホールディングスの子会社、大日本ダイヤコンサルタントは、2024年2月20日の取締役会で株式会社ウエルアップ(奈良県奈良市)の株式を取得し、子会社化することを決定しました。

大日本ダイヤコンサルタントは、建設コンサルタントや地質調査、測量、建築設計などを手掛けています。一方、ウエルアップは、建設コンサルタントや地域支援、住環境デザイン、ソフトウェア開発などを行っています。

今回の株式取得の理由は、大日本ダイヤコンサルタントの技術力とウエルアップのノウハウを組み合わせ、シナジー効果を生み出すことで企業価値を高めることです。特に発注者支援業務や施工管理業務での受注機会が増えると見込まれており、DNホールディングスグループの顧客基盤と高度な技術を活かして、事業の成長を図ります。

株式譲渡に関するお知らせ

イトーキによるイトーキエンジニアリングサービスの吸収合併

イトーキは、2024年1月29日に開催された取締役会で、連結子会社の株式会社イトーキエンジニアリングサービスを吸収合併することを決定しました。合併後、イトーキエンジニアリングサービスは解散し、イトーキが存続会社となります。

イトーキはオフィス家具の製造・販売を行い、イトーキエンジニアリングサービスはオフィスや設備機器の施工・施工管理を担当しています。今回の合併により、イトーキは施工事業と保守・メンテナンス事業を一体化し、受注から完了までのワンストップ体制を構築することで、営業力と収益力の向上を目指します。

連結子会社の吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

ホーチキによるホーチキエンジニアリングの吸収合併

ホーチキは、2024年4月1日を効力発生日として、100%子会社であるホーチキエンジニアリングを吸収合併することを決定しました。ホーチキが存続会社となり、ホーチキエンジニアリングは解散します。ホーチキは、火災報知設備、消火設備、情報通信機器、防犯機器の製造・販売・施工・保守を行っています。

ホーチキエンジニアリングは、防災・防犯システムや消火設備の販売、設計、施工、保守を手掛けています。合併の目的は、経営資源の集中による効率化、迅速な意思決定、東京エリアでのシェア拡大、グループ全体の資本収益性向上です。また、施工管理人材の不足が見込まれる中で、ホーチキエンジニアリングの強みを統合し、国内事業基盤を強化することを目指します。

アーバネットコーポレーションによるケーナインのM&A

アーバネットコーポレーションは、ケーナインの普通株式を全て取得し、子会社化することを決定しました。アーバネットコーポレーションは、不動産開発販売、ホテル事業、設計・施工管理を行っており、ケーナインは不動産の売買、仲介、賃貸借、管理、建設事業を展開しています。

今回の株式取得により、アーバネットコーポレーションは開発エリアを横浜・川崎まで拡大し、BtoC分野の経営資源を獲得することで事業を拡大します。また、建築工事部門や用地仕入れ要員の確保により、グループの成長を強化します。

株式会社ケーナインの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

光洋機械産業による日本海建設電気のM&A

光洋機械産業は、三菱マテリアル電子化成株式会社から新設分割で分社された日本海建設電気の株式を2023年10月2日に100%取得し、子会社化しました。光洋機械産業は建設産業機械やプラント機械、環境機器の製造・販売を行っており、日本海建設電気は三菱マテリアル電子化成の施設建設・メンテナンスを中心に施工管理を担当しています。

今回の株式取得により、光洋機械産業は秋田県内で高品質な事業を提供し、日本海建設電気とのシナジーを活かして安定した収益向上を目指します。

大成温調によるウッドテックのM&A

大成温調は、ウッドテックをグループ会社化することを決定しました。これは、ウッドテックの完全親会社であるホライズン5株式会社(東京都港区)を大成温調の完全子会社とすることで実現されます。

大成温調は、建設総合設備工事業を行い、空調や給排水衛生、クリーンルーム施工を手掛けています。ウッドテックは、千葉県を中心に東京都、茨城県で消火設備工事や一般管工事を行っています。今回のM&Aにより、大成温調は首都圏での消火設備工事などの施工管理機能とサービス提供力を強化し、「総合たてものサービス企業」への成長を目指します。

ウッドテック株式会社のグループ会社化に関するお知らせ

JESCOホールディングスによるマグナ通信工業のM&A

JESCOホールディングスは、マグナ通信工業の株式を取得し、子会社化することを決定しました。JESCOホールディングスは、国内およびアセアン地域で再生可能エネルギー設備工事や電気無線設備工事などのEPC事業を展開しています。マグナ通信工業は、発電所向け工業用監視設備や指令通話システムの企画、設計、製造、施工、メンテナンスを一貫して提供しています。

今回のM&Aにより、JESCOホールディングスは原子力発電所や情報通信分野でシナジー効果を目指し、さらに多くの資格保有者を擁するマグナ通信工業の人的資本も強化することを狙っています。

日本エコシステムによる葵電気工業のM&A

日本エコシステムは、葵電気工業の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。日本エコシステムは、環境、公共サービス、交通インフラに関する事業を展開し、特にトータリゼータシステムの設計・製造・販売・設置や空調衛生設備の提供を行っています。

葵電気工業は、大規模マンションや大型商業施設の空調・給排水設備工事の施工管理を主力としています。今回のM&Aにより、日本エコシステムはファシリティ事業のサービスを拡大し、新規取引先の開拓を目指します。

ナガワによる鳥海建工のM&A

2020年9月、ナガワは、総合建設事業を行う鳥海建工を全株式取得により子会社化しています。ナガワグループは、ユニットハウス事業やモジュール・システム建築事業、建設機械事業を行っている会社です。

このM&Aにおける手法は「株式取得」です。ナガワは、鳥海建工の株式を取得することで子会社化しました。

このM&Aにより、ナガワは経営戦略としているモジュール・システム建築事業の体制を強化することを見込んでいます。

参考:鳥海建工株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

日本リビング保証による横浜ハウスのM&A

2020年5月に、日本リビング保証によって横浜ハウスが子会社化されました。横浜ハウスは住宅建設やリフォーム工事を行っている会社です。

このM&Aの手法は「株式取得」です。

経営戦略である住宅関連リアルサービスを供給する構造を強めることを、日本リビング保証は狙っています。

参考:横浜ハウス株式会社の完全子会社化について

中電工による昭和コーポレーションのM&A

2020年2月、電気工事や空調管工事事業を行う中電工は、同業界の昭和コーポレーションをM&Aによりグループ会社にしました。昭和コーポレーションは、プラントや民間施設における熱絶縁工事などの設計・施工事業と、熱絶縁配管支持金具などの製造販売事業を行う企業です。

中電工は、昭和コーポレーションの全株式をPEファンドであるニューホライズンキャピタルから譲受しました。昭和コーポレーションは60年以上の歴史のある会社ですが、2018年、事業承継を行うに際してニューホライズンキャピタルの資本を受け入れていました。

M&A取引の目的は、昭和コーポレーションが中電工の傘下に入ることで、両社の各都市圏での営業活動が連携でき、シナジー効果が見込まれることです。熱絶縁工事事業と設備工事事業でそれぞれの強みを生かし協業することで、より付加価値の高いサービスが提供できるとしています。

参考:M&Aによる株式会社昭和コーポレーションのグループ化について

9. 施工管理会社のM&Aまとめ

今回は、施工管理会社のM&A・買収・売却をまとめました。当業界でM&Aの実施を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【M&Aによる売却側のメリット】

  1. 従業員の雇用先を確保
  2. 後継者問題の解決
  3. 売却・譲渡による利益の獲得
  4. 債務や個人保証などの解消
  5. 廃業にかかる手間の削減

【M&Aによる買収側のメリット】

  1. 事業エリアの拡大
  2. 新規事業に低コストで参入
  3. 下請け会社の設立
  4. 新規顧客・取引先・ノウハウの獲得
  5. 人材不足の解消

【売却側が意識すべきポイント】

  1. 過去の実績・受注記録などの確認
  2. 企業価値評価の確認
  3. 従業員の引継ぎ準備

【買収側が意識すべきポイント】

  1. 仕事の内容
  2. 財務の内容
  3. 人材の内容

【関連】住宅建設業界のM&Aの動向は?今後の展望やメリットから目的まで解説!

10. 建設・土木業界の成約事例一覧

11. 建設・土木業界のM&A案件一覧

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