株式移転と株式交換の違いとは?手法やメリット、費用も解説【事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式移転と株式交換とは、手間や費用などのメリットが大きいことから、企業再編に用いられる事例の多い手法です。株式移転と株式交換とはどのような違いがあるのか、そのほかメリット・デメリット、手続き方法や費用などについて、事例も併せてご紹介します。


目次

  1. 株式移転とは
  2. 株式交換とは
  3. 株式移転と株式交換の違い
  4. 株式移転と株式交換が使用された事例
  5. 株式移転・株式交換を用いたM&Aの手続き
  6. 株式移転・株式交換のメリットとデメリット
  7. 株式移転・株式交換にかかる費用
  8. 株式移転での法的な効果
  9. 株式交換での法的な効果
  10. 株式の移転比率と交換比率
  11. 株式移転・株式交換に関する税務
  12. 株式移転・株式交換の際の役員・社員の扱い
  13. 株式移転・株式交換の相談はM&A仲介会社へ
  14. まとめ
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1. 株式移転とは

株式移転とは

株式移転とは、主に持株会社を設立する際に用いられる手法です。持株会社とは、自身は事業を行わず、子会社の株式を保有管理する会社のことです。

会社名に「ホールディングス」と付いている企業は、株式移転によって組織再編を行なっている企業が多く存在します。

株式移転の手法解説

株式移転は、株式移転を行う企業同士で新設会社を設立し、そこへ株式移転を行う企業がすべての自社株式を移転します。

完全親会社となる新設会社は、完全子会社となる企業へ株式などを対価として交付することで、株式移転が成立します。

完全親会社とは、株式移転で親会社となる新設会社のことで、完全子会社とは株式移転で子会社となる企業を指します。

完全子会社は1社から複数社まで可能ですが、株式移転を行えるのは、親会社・子会社共に株式会社だけです。

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2. 株式交換とは

株式交換とは

株式交換とは、相手企業を完全子会社化する際に用いられる手法です。株式を交換することによって買収できるので、現金が必要ない点が大きな特徴の1つです。

株式交換とは、親会社となる企業の株式を子会社となる企業の株式に割り当て、子会社の株式をすべて取得する手法です。交換する株式は、親会社1株に対して子会社1.5株といったように、当時会社同士で比率を決めます。

親会社が株式交換する相手企業は1社から複数社まで可能です。株式移転と同じく、株式交換によって親会社となる企業を完全親会社、子会社となる企業を完全子会社と呼びます。

株式交換ができるのは、親会社の場合株式会社か合同会社で、子会社は株式会社のみです。

株式交換の手法解説

3. 株式移転と株式交換の違い

株式移転と株式交換の違い

株式移転の場合は、新会社を設立して親会社とし、既存の企業はすべて子会社となります。一方株式交換は、既存の企業が親会社と子会社に分かれます。

また、株式交換は主に企業買収の手法として用いられますが、株式移転は主にグループ企業の再編に用いられます。

他にも、株式交換の効力発生日は、株式交換契約書に記載された日ですが、株式移転の効力は親会社が登記した時点で発生する点が違います。

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4. 株式移転と株式交換が使用された事例

株式移転と株式交換が使用された事例

株式移転と株式交換はさまざまなメリットがあるため、実際によく用いられています。株式移転が用いられた事例と株式交換が用いられた事例をご紹介します。

株式移転が使用された事例

まずは、株式移転が用いられた以下の事例をご紹介します。
 

  1. ドワンゴによる株式移転
  2. 第四銀行と北越銀行による株式移転
  3. 橋本総業HDによる株式移転

①ドワンゴによる株式移転

株式移転の事例1社目は、ドワンゴによる株式移転です。株式会社ドワンゴとは、動画配信サイトのニコニコ動画などで有名なIT企業です。

ドワンゴは2014年、出版事業や映画事業、デジタルコンテンツ事業を行う、株式会社KADOKAWAと統合しています。

株式移転によって、持ち株会社を新設し、ドワンゴとKADOKAWAが新設持ち株会社の子会社となりました。株式移転比率は、ドワンゴ株式1株に対して完全親会社1株、KADOKAWA1株に対して完全親会社1.168株となっています。

ドワンゴのプラットフォームとKADOKAWAが持つコンテンツ力のシナジー効果を見込んで、株式移転による統合が決まりました。

②第四銀行と北越銀行による株式移転

株式移転の事例2社目は、第四銀行と北越銀行による株式移転です。2018年に第四銀行と北越銀行は、株式移転による経営統合を発表しました。

共同持株会社として第四北越フィナンシャルグループを新設し、第四銀行と北越銀行は完全子会社となります。

株式移転比率は、北越銀行の1株に対して完全親会社0.5株、第四銀行の1株に対して完全親会社1株となっています。金融緩和政策の長期化で地方銀行は軒並み苦戦しています。

第四銀行と北越銀行は今回の統合によって、金融機関としての付加価値を高め、経営を効率化することを目指しています。

③橋本総業HDによる株式移転

株式移転の事例3社目は、橋本総業HD株式会社による株式移転です。橋本総業HDとは、管工機材や住宅設備の卸売を営む住宅関連企業です。

橋本総業HDは2017年、健在卸売を営むJKHD株式会社と株式移転による統合を発表しましたが、その後統合に向けた協議を中止し、業務提携契約を締結しています。

住宅関連業界市場は現状悪くありませんが、今後市場は縮小していくことが予想されます。橋本総業HDとJKHDは、業務提携契約の締結により、環境の変化にいち早く対応できる体制を整えることを目指しています。

株式交換が使用された事例

続いて、株式交換が用いられた以下の事例をご紹介します。
 

  1. パナソニックによる株式交換
  2. 日産自動車株式会社による株式交換
  3. アイビーシーによる株式交換

①パナソニックによる株式交換

株式交換の事例1社目は、パナソニックです。パナソニック株式会社は2017年、パナホーム株式会社を株式交換によって完全子会社化しています。株式交換比率は、パナソニック株式1株に対してパナホーム株式が0.80株となっています。

株式交換による統合で、パナソニックは重点事業の1つである住宅事業の強化を図り、パナホームはパナソニックの経営資源を最大限活用できます。

②出光興産による株式交換

出光興産と昭和シェル石油は2018年、出光興産を完全親会社、昭和シェル石油を完全子会社として、株式交換による統合を発表しました。株式交換比率は、出光興産の株式1株に対して昭和シェル石油が0.41株となっています。

出光興産と昭和シェル石油の統合は長い間難航してきましたが、周囲の反対を乗り越えて石油業界の大型再編が実現することとなりました。

③アイビーシーによる株式交換

株式交換の事例3社目は、アイビーシー株式会社です。アイビーシーとは、システム開発・コンサルティングを行なっていIT関連企業です。

アイビーシーは2019年、ブロックチェーンの開発などを行う株式会社サンデーアーツを株式交換によって完全子会社化することを発表しました。株式交換比率は、アイビーシーの株式1株に対してサンデーアーツ株が410.51株です。

簡易株式交換による手続きのため、アイビーシーは株主総会を開催せずに手続きを進めています。アイビーシーはサンデーアーツの高度なシステム開発技術力を手に入れることで、新たな事業創出を目指しています。

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5. 株式移転・株式交換を用いたM&Aの手続き

株式移転・株式交換を用いたM&Aの手続き

株式移転・株式交換を行う際は、主に以下の手順で手続きを進めていきます。
 

  1. 株式交換契約の締結・株式移転計画の作成
  2. 事前開示書類の備置
  3. 株主総会による株式交換契約・株式移転計画の承認決議
  4. 債権者保護の手続き・株券などの提供公告
  5. 反対株主からの株式買取請求
  6. 公正取引委員会・金融商品取引法上の届け出
  7. 株券・新株予約権の証券提出手続き
  8. 株式交換・株式移転の効力発生
  9. 新株発行・設立・変更の登記申請
  10. 事後開示書類の備置・開示

①株式交換契約の締結・株式移転計画の作成

株式交換の場合は株式交換契約を締結し、株式移転の場合は株式移転計画を作成します。

株式交換契約書・株式移転計画書には、完全親会社となる企業や完全子会社となる企業の商号・事業内容・資本金などの企業情報を記載します。

また、株式交換・株式移転を行う目的や、親会社が子会社へ支払う対価、スケジュール、効力が発生する日なども明記します。

②事前開示書類の備置

株式移転・株式交換を行う当時企業は、株主や債権者への情報開示のために、事前開示書類を公開しなければなりません。

事前開示書類には契約内容や交付する対価の内容、相手企業の情報などを記載し、それぞれの会社の本店に備置します。

③株主総会による株式交換契約・株式移転計画の承認決議

株式交換・株式移転を行う企業は、株主総会の特別決議で承認を得なければなりません。

株主総会への招集通知は、株主総会の開催1週間前まで、上場企業の場合は2週間前までに通知します。また、電子投票の場合は非上場企業でも2週間前までに通知しなければなりません。

株主総会への招集通知と株式交換・株式移転の通知は同時に行っても問題ありません。なお一定の条件を満たしていれば、親会社となる企業は簡易手続きによって株主総会を省略でき、子会社となる企業は略式手続を行うことによって株主総会を省略できます。

④債権者保護の手続き・株券などの提供公告

株式交換・株式移転を行う企業は、必要に応じて債権者保護手続きや株券等の提供公告を行わなければなりません。債権者保護手続きが必要となるのは、完全親会社が株券以外の対価を交付する場合です。

当事企業は効力発生日の1ヶ月前までに官報公告と個別通知を行います。官報公告と共に日刊新聞での公告か電子公告を行う場合は、個別通知を行う必要はありません。

株式移転の場合は、新設会社の企業情報と、債権者から異議申立てを受け付ける旨を周知します。株式交換の場合は、相手企業の企業情報と、債権者からの異議申立て受付の周知が必要です。

また、完全子会社となる企業が株券を発行している場合、株式移転では完全親会社設立日まで、株式交換では効力発生日までに株券を提供するよう、株主に公告と通知を行わなければなりません。

公告と通知は、株式移転の場合は親会社設立日に行い、株式交換の場合は効力発生日の1ヶ月前までに行います。

もし該当の日までに株券を提出しない株主がいた場合は、株券を提供するまで対価を渡す必要はありません。

ただし、なんらかの理由で株券が提出できない株主に対しては、他の手続き方法によって対価を交付することができます。

⑤反対株主からの株式買取請求

少数株主を保護するため、当事会社は反対株主からの株式買取請求に応じなければなりません。当事会社は株式買取請求について、公告か通知によって株主に周知します。

反対株主は反対の意思を表明し、株主総会で反対票を提出します。その際、当事会社は効力発生日や会社設立日から60日以内に、適正な価額で対価を支払わなければなりません。

株式買取請求は、簡易手続きや略式手続によって株主総会が開催されない場合でも請求可能です。

⑥公正取引委員会・金融商品取引法上の届け出

規模の大きい株式移転や株式交換によって市場に悪い影響が及ばないよう、一定の条件を超えた株式移転・株式交換を行う場合は、独占禁止法の規定によって公正取引委員会への報告・届出が必要になります。

また、組織再編を伴う場合は、投資家などを保護するため、適正な情報開示・提供義務が金融商品取引法で定められています。

⑦株券・新株予約権の証券提出手続き

株式移転・株式交換では、完全子会社となる企業が株券を発行している場合や新株予約権証券を発行している場合、株券や新株予約権証券の提供を求める公告を行う必要があります。

当事会社は株式交換の効力発生日・株式移転の親会社設立日の1ヶ月前までに公告と株主への個別通知をしなければなりません。

また、株主が期日までに提出しなかった場合は対価の受け取り権利が無効となります。

⑧株式交換・株式移転の効力発生

株式交換の場合は、株式交換契約で定めた効力発生日に完全子会社から株式をすべて取得します。また株式移転の場合でも、親会社設立日に子会社の株式をすべて取得します。

ただし、期日までに債権者による異議申立てが解決していなかった場合は、株式交換・株式移転の期限は延期されることとなります。

⑨新株発行・設立・変更の登記申請

株式交換・株式移転では、完全親会社は基本的に登記が必要となります。しかし完全子会社は株主が変わるだけで発行株式数や資本金などに変化はありません。そのため、完全子会社は登記をする必要がありません。

登記申請は、株式交換の効力発生日・株式移転の親会社設立日から2週間以内に申請します。登記申請の際は、各種書面と共に登録免許税も支払います。

⑩事後開示書類の備置・開示

株式交換の効力発生後・株式移転の設立登記後は、速やかに事後開示書類を6ヶ月間本店に備置することと定められています。

速やかに備置の期限は明記されていませんが、当日、遅くても2週間以内に備置することが一般的となっています。事後開示書類には、株式買取請求や債権者異議申立ての進捗状況なども記載します。

6. 株式移転・株式交換のメリットとデメリット

株式移転・株式交換のメリットとデメリット

株式移転・株式交換にはさまざまなメリット・デメリットがあります。この章では、株式移転と株式交換のメリット・デメリットについて、それぞれ解説します。

メリット

まずは株式移転・株式交換のメリットから解説します。メリットは以下5点が挙げられます。
 

  1. 新株の発行を対価にすることで買収資金が不要
  2. 3分の2以上の買収先企業の株主の承認で100%子会社化が可能
  3. 買収後も別法人として存続できる
  4. 少数株主を一挙に排除することができる
  5. TOBの規制を受けることがない

①新株の発行を対価にすることで買収資金が不要

株式移転・株式交換では、買収資金が不要となるメリットがあります。

株式譲渡や事業譲渡といった他のM&A手法では、買収の対価として現金を用いる必要があります。そのため、企業に買収用の十分な資金がなく、買収を行うための資金集めに苦労する事例もあります。

一方、株式移転や株式交換の場合は、自社株を買収に用いることができるので、買収にかかる資金繰りが容易になるメリットがあります。

②3分の2以上の買収先企業の株主の承認で100%子会社化が可能

株式移転・株式交換では、3分の2の株主承認で完全子会社化ができるメリットがあります。

株式譲渡のように、株主から株式を買い集めて子会社化する方法の場合、原則すべての株主から株式を譲り受けることで完全子会社化することができます。株式の譲渡に同意しない株主が多いほど買収企業の経営支配権は低くなります。

実際、少数株主によって経営が滞る事例は多くあります。一方株式移転や株式交換であれば、株主総会の特別決議で3分の2以上の承認を得ることで完全子会社化ができる点がメリットです。

③買収後も別法人として存続できる

買収後法人格が消滅しない点もメリットです。株式移転や株式交換では、株主に変動はありますが、組織が消えるわけではありません。

そのため、事例によっては買収された後もそれまでとほとんど変わらず事業を続けることができています。

合併のように手続き後法人が消滅する場合、システムやルールを作り直す必要があったり、企業文化が大きく変わってしまったりと、統合後に苦労している事例は多くあります。

しかし、株式移転や株式交換であれば、統合後もスムーズな事業運営が可能となるメリットがあります。

④少数株主を一挙に排除することができる

株式移転や株式交換では子会社の株式を100%取得するので、少数株主がいません。少数株主とは、完全親会社以外の株主のことです。

少数株主がいても、親会社に友好的で全面的に協力してくれるのであれば問題ありませんが、実際には経営方針に反対したり、経営権を手に入れようとしたりする少数株主が問題になる事例もあります。

完全親会社と完全子会社が円滑に事業を進めるにあたって、少数株主がいなくなることは大きなメリットといえます。

⑤TOBの規制を受けることがない

株式移転・株式交換では、TOBの規制を受けずに買収できる点がメリットです。TOBとは、株式公開買付とも呼ばれる、企業買収手法の1つです。

TOBでは買収する企業の保有株式を公開市場外で買い取ります。株主に対して価額と期限を提示して株式を買い集めますが、株主が買い取りに応じるかどうかは任意となっています。

TOBで集めることのできる株式数にも上限があるため、株式を100%集めることには向いていません。

一方、株式移転や株式交換であれば、公開市場で株式を集める必要はなく、株主総会で承認が得られればすべての株主から株式を買い取ることができます。市場の動向や規制に左右されない点がメリットです。

デメリット

続いて、株式移転と株式交換のデメリットについて解説します。デメリットには、主に以下の3つがあります。
 

  1. 上場企業を買収した場合には株価下落の可能性がある
  2. 買い手企業の株主に買収先企業の人間が加わり株主比率が変わる
  3. 複雑な手続きを行う必要がある

①上場企業が買収した場合には株価下落の可能性がある

株式移転や株式交換では、親会社は新株を発行して相手企業の株式を取得します。

新株を発行することによって1株あたりの価値は下がるため、株式移転や株式交換後に薄まった価値以上の成果を上げられないと、ネガティブな要素がなかったとしても株価が下がる可能性はあります。

株式移転や株式交換が好感されて株価が上がる事例は多くありますが、株式交換で赤字企業を買収する場合などは注意が必要です。

②買い手企業の株主に買収先企業の人間が加わり株主比率が変わる

株式交換の場合、自社株を相手企業に渡すので、相手の企業規模によって株主比率に与える影響は大きくなります。

形式上相手が完全子会社とはいえ、親会社と子会社の実質的な関係が対等となっている事例、または子会社の方が上という事例もあります。統合後、方針が対立した時などは注意が必要です。

③複雑な手続きを行う必要がある

株式移転や株式交換は、M&A手法の中でも比較的手続きが簡便な株式譲渡と比べると、手続きが複雑です。

完全親会社と完全子会社が、簡易手続きや略式手続きが活用できる関係であれば手続きは多少短縮できます。

それでも、債権者手続きや株券提供に関する手続きなど、手間と時間のかかる手続きを行わなければなりません。一方で、合併ほど統合後の組織整備は必要ないため、合併の前段階として株式移転や株式交換を行う企業も存在します。

7. 株式移転・株式交換にかかる費用

株式移転・株式交換にかかる費用

株式移転・株式交換に必要な費用は、対価に現金を用いた場合はその費用がかかります。M&Aに共通の費用に、M&Aアドバイザーなどの専門家に依頼する際の手数料があり、手数料は依頼する専門家や株式移転・株式交換の規模によって変わります。

株式移転にかかる費用としては、新設会社の登記をする際の登録免許税があります。登録免許税は、資本金に1000分の7を乗じて計算し、算出の結果15万円よりも低かった場合の登録免許税は15万円となります。

その他にも、株式移転契約書や株式交換計画書の作成費用、株主総会関連の費用、債権者保護関連の費用など、各種事務費用が必要になります。

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8. 株式移転での法的な効果

株式移転での法的な効果

株式移転には、いくつかの法的効果があります。法的効果とは簡単に言うと、法令で定められている権利義務のことです。
 

  1. 完全親会社の設立
  2. 完全親会社による完全子会社の全株式の取得
  3. 必要に応じて完全子会社の株主に対価の交付

①完全親会社の設立

株式移転では、完全親会社となる新設会社を設立した時点で法律効果が発生し、親会社は子会社の株式をすべて取得しなければなりません。

また、完全子会社の株主は、新設会社設立に伴い、完全親会社から対価を受け取ることと法令で定められています。

②完全親会社による完全子会社の全株式の取得

株式移転では、完全親会社が設立された時点で、完全子会社の株式をすべて取得することと法令で定められています。

③必要に応じて完全子会社の株主に対価の交付

株式移転では、完全親会社が設立された当日に、完全子会社の株主に対価を交付することが法令で定められています。対価には、株式や現金、新株予約権などがあります。

9. 株式交換での法的な効果

株式交換での法的な効果

株式交換での法的効果は以下の通りです。
 

  1. 完全親会社による完全子会社の全株式の取得
  2. 必要に応じて完全子会社の株主に対価の交付

①完全親会社による完全子会社の全株式の取得

完全親会社は株式交換の効力発生日当日に、完全子会社の株式をすべて取得することが法令で定められています。

②必要に応じて完全子会社の株主に対価の交付

完全親会社は効力発生日当日に、対価を交付する必要のある株主に対して対価の交付を行うことが法令で定められています。

完全親会社が交付する対価とは、株式に限らず、現金や新株予約権なども含まれます。

10. 株式の移転比率と交換比率

株式の移転比率と交換比率

株式移転や株式交換の際には、完全親会社と完全子会社の間で株式を割り当てる比率を決める必要があります。株式移転の場合は株式移転比率、株式交換の場合は株式交換比率と呼ばれます。

株式移転の移転比率

株式移転比率とは、親会社が子会社に株式移転の対価として割り当てる株式の割合のことです。

株式移転比率は、子会社に割り当てられる株式の比率は、子会社の企業価値によってそれぞれ違います。

株式の割り当て方は、親会社1株に対して子会社A社は何株、子会社Bは何株という形で決めます。

株式交換の交換比率

株式交換比率とは、親会社と子会社が株式交換で交換する株式数の割合のことです。株式交換比率は、親会社の株式1株に対して子会社の株式何株といった形で決めます。

企業価値評価

株式交換比率は、株価や株式数を踏まえた企業価値評価を基に、当事会社の交渉によって決まります。

企業価値評価は、上場企業であれば比較的評価しやすいですが、非上場企業の場合は適正な評価が難しく、専門家による綿密な算定が重要です。

M&A仲介会社などの専門家の中には、企業価値算定に強い会社もあります。企業価値算定を依頼する専門家選びは重要なポイントです。

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11. 株式移転・株式交換に関する税務

株式移転・株式交換に関する税務

株式移転・株式交換の税務は、税制適格に該当するか税制非適格に該当するかで税務が変わります。

税制適格とは、簡単に言うと株式移転・株式交換を行う企業が同じグループ内の企業であることが条件となっています。

税制非適格とは、グループ以外の企業が株式移転・株式交換を行う場合です。グループ企業内株式移転・株式交換の税務について解説します。

完全親会社の税務

完全親会社の税務は、適格か非適格かによって税務上の処理方法が変わります。非適格の場合、完全子会社の株主から取得する株式の価額は、効力発生日に交換する際の時価となります。

適格の場合は、完全子会社の株主数によって変わります。株主数が50人よりも少ない完全子会社からの取得は帳簿価額を参考にします。50人以上であれば、簿価純資産を参考にします。

完全子会社の税務

完全子会社の税務も、適格か非適格かによって違います。非適格の場合、完全子会社の時価評価資産は、益金算入か損金算入をします。

時価評価資産とは、株式などの有価証券や土地、固定資産などのことです。適格の場合、税務上の処理は必要ありません。

完全子会社の株主の税務

株主交換によって完全子会社の株主が保有株式を売却すると、税務上、株式の譲渡として取り扱われます。

株式交換が非適格の場合は時価による譲渡とみなされますが、適格の場合は簿価での譲渡とみなされ、譲渡損益の繰延が認められます。

また、完全親会社から対価として株式のみ受け取った場合も、適格か非適格かは関係なく、譲渡損益の繰延が可能です。

株式移転後の連結納税について

株式移転によって完全親子関係になると、連結納税を採用することによって会社間の損益通算ができます。

連結納税とは、例えば完全親会社が黒字で完全子会社が赤字の場合、両者の損益を合わせた額に対して課税される仕組みです。

中には連結納税での節税対策も兼ねて株式移転を行う企業も存在しますが、連結納税の節税目的で組織再編・グループ再編を行うことはリスクも伴うので注意が必要です。

12. 株式移転・株式交換の際の役員・社員の扱い

株式移転・株式交換の際の役員・社員の扱い

株式移転・株式交換は組織再編を伴うため、当事会社の役員や社員にも少なからず影響が及びます。株式移転や株式交換を行った際の役員や社員、株主の扱いについて解説します。

役員の扱い

株式移転の場合、完全子会社となる企業で役員を務めている人の中から、新設される親会社の役員になる事例がよくあります。その他の役員は引き続き子会社の役員として残るケースが一般的です。

株式交換の場合は、完全親会社から役員として完全子会社に出向するケースがありますが、その際元々子会社にいる役員も残ることが多いです。

社員の扱い

株式移転・株式交換の場合、事業譲渡のように雇用契約をし直すことなどはなく、基本的には株式移転や株式交換が行われる前と同じ業務を続けることになります。

ただし、株式移転であれば、新設会社の下に移転した企業が横並びの立場になるので、企業間での不満はあまり出ることがありません。

しかし、株式交換の場合は一方が子会社となるので、立場が下だという不満を感じる従業員も少なくありません。

株主の扱い

株式移転・株式交換では、完全子会社の株主は基本的には完全親会社の株式を割り当てられるので、親会社の株主としてさまざまな権利を行使することができます。

親会社の株主になることが不服であれば、株式買取請求によって株式の売却も可能です。

ただし、親会社の株式割り当てを望んでいるにもかかわらず、保有している子会社の株式を期限内に提供しなかった場合は、権利を失ってしまいます。

もしやむを得ない理由で提供できない場合は、その旨を伝えることで対応してもらうことができます。

13. 株式移転・株式交換の相談はM&A仲介会社へ

株式移転・株式交換の相談はM&A仲介会社へ

株式移転・株式交換では、法的な手続きや税務処理だけでなく、組織再編後のマネジメントも重要です。

株式移転・株式交換後に思ったようなシナジー効果が出ず、失敗に終わったということにならないためにも、M&A仲介会社の専門家によるサポートが必要です。

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14. まとめ

まとめ

株式移転とは、共同持株会社を作る際などによく用いられる手法であり、株式交換は、買収先企業を完全子会社化する際によく用いられる手法です。

株式移転・株式交換は、どちらも以下の手続き方法で進めます。

  1. 株式交換契約の締結・株式移転計画の作成
  2. 事前開示書類の備置
  3. 株主総会による株式交換契約・株式移転計画の承認決議
  4. 債権者保護の手続き・株券などの提供公告
  5. 反対株主からの株式買取請求
  6. 公正取引委員会・金融商品取引法上の届け出
  7. 株券・新株予約権の証券提出手続き
  8. 株式交換・株式移転の効力発生
  9. 新株発行・設立・変更の登記申請
  10. 事後開示書類の備置・開示

株式移転・株式交換を行うメリットには、以下の5点が挙げられます。
  1. 新株の発行を対価にすることで買収資金が不要
  2. 3分の2以上の買収先企業の株主の承認で100%子会社化が可能
  3. 買収後も別法人として存続できる
  4. 少数株主を一挙に排除することができる
  5. TOBの規制を受けることがない

また、株式移転・株式交換にはデメリットも存在するため、以下の3点には注意が必要です。
  1. 上場企業を買収した場合には株価下落の可能性がある
  2. 買い手企業の株主に買収先企業の人間が加わり株主比率が変わる
  3. 複雑な手続きを行う必要がある

このように、株式移転・株式交換はさまざまなメリットがある手法ですが、組織再編後に成果を出すにはM&Aの専門家の協力が欠かせません。

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