株式譲渡の方法を徹底解説【非上場会社/有限会社】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

当記事では、株式譲渡の方法についてまとめています。上場会社や非上場会社の株式譲渡方法から、株式譲渡手続きの流れ・手順、株式譲渡時の注意点などをそれぞれ徹底解説しています。株式譲渡の流れ・手順や注意点などを詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。


目次

  1. 株式譲渡とは
  2. 上場会社の株式を譲渡する方法
  3. 非上場会社の株式を譲渡する方法
  4. 株式会社と有限会社の違い
  5. 上場会社と非上場会社の違い
  6. 株式譲渡を完了させるまでの手続き方法とその流れを解説
  7. 株券発行会社の株式譲渡方法
  8. 株式譲渡する際に失敗しないための注意点・ポイント
  9. 株式譲渡のご相談は専門家まで
  10. まとめ
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1. 株式譲渡とは

株式譲渡とは

当記事では、「株式譲渡」に焦点を当てて、「上場会社や非上場会社が発行する株式の譲渡方法や譲渡手続きの流れ・手順」「株式譲渡を行う際の注意点」などを解説していきます。まずこの章では、「株式譲渡とは何か」について説明していきます。

「株式譲渡」とは、文字通り「株式を譲渡すること」であり、具体的には、株式を保有している株主が「買い手」に株式を譲渡することによって、会社の経営権を譲り渡す手続きのことです。

株式譲渡はM&A手法として一般的

この「株式譲渡」は、企業のM&Aを実施する際に「M&A手法」の一つとして利用されることが多いです。つまり、M&Aの売り手側企業の株主が、M&Aの買い手側企業に対して株式譲渡を行うことで、売り手側企業の経営権を買い手側に移行させるM&A手法です。

株式譲渡を実施するメリット(譲渡側)

株式譲渡を実施するメリットは、株式譲渡側・株式譲受側どちらにもあります。ここでは、株式譲渡のメリットを譲渡側・譲受側に分けて解説します。

まずは「株式譲渡側のメリット」からまとめていきます。株式譲渡側のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

【株式譲渡を実施するメリット(譲渡側)】

  • 譲渡した株式の対価を受け取ることができる
  • 会社の事業をそのまま存続させることができる
  • 後継者問題を解決できる
  • 複雑な手続きが必要ない

譲渡した株式の対価を受け取ることができる

株式譲渡を実施した場合、株式譲渡側は、譲渡した株式に応じた対価を現金として受け取ることができます

特に、「非上場」の中小企業が保有しているような「流動性の低い」株式は、売却することがなかなか難しいですが、株式譲渡を実施し、手続きを完了させれば、すぐに現金を受け取ることができます。

会社の事業をそのまま存続させることができる

株式譲渡を実施するメリットとして、「会社の事業をそのまま存続させることができる」というメリットもあります。

合併・買収などのM&A手法を採用した場合、売り手側企業の事業が消滅してしまう可能性も十分に考えられる一方で、株式譲渡によるM&Aでは、「株主が変わる」くらいで、その他の大きな変化は特に発生しません

株式譲渡が行われ、会社の経営権が譲受側に移行した後も、基本的に譲渡側企業が運営している事業は存続し続けます。

後継者問題を解決できる

株式譲渡を実施してM&Aをすることで、株式譲渡側は「後継者問題を解決できる」というメリットを享受できます。

近年では、特に中堅・中小企業で「後継者問題」が深刻化しています。「後継者問題」とは、中小企業の「経営者の高齢化」と「人材不足」が相まることが原因で起こる問題で、多くの中小企業を悩ませています。

ご高齢になった経営者が事業承継をすることで引退しようとしても、後継者がいないためになかなか引退できず、結果的に廃業・清算を余儀なくされている中小企業が増えているという現状があります。

株式譲渡によってM&Aを実施することができれば、後継者問題を解消し、事業承継を達成することが可能となります。また、会社を廃業・清算する必要が無いため、譲渡側企業が抱える「従業員の雇用」を維持することもできます

複雑な手続きが必要ない

株式譲渡を実施する際には、複雑な手続きをする必要がなく、比較的短期間に・スムーズに株式譲渡手続きを済ませることができます。

株式譲渡する人が、わざわざ取引先や債権者などから同意を得る必要が無く、「取締役会または臨時株主総会」で株式譲渡に関する承認を得て、会社側の株主名簿を買い替えるだけで株式譲渡自体は完了してしまいます。

株式譲渡を実施するメリット(譲受側)

続いて、株式を譲受する側のメリットをご紹介していきます。譲受側のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

【株式譲渡を実施するメリット(譲受側)】

  • 短時間でM&Aを実行できる
  • 許認可などの再申請をする必要が無い

短時間でM&Aを実行できる

譲渡側のメリットと同様、株式を譲受する側も、「複雑な手続き」が特に必要ありません。「事業譲渡」や「会社合併」のようなM&Aスキームを選択した場合には、複雑な手続きをしなければいけなかったり、「登記申請」や「定款変更」が必要になるケースもあります。

しかし、株式譲渡は簡易な手続きで済むため、「株式譲渡」をM&Aスキームとして選択することで、スムーズにM&Aを実行することが可能となります。スムーズにM&A手続きを進めることができるので、M&Aにかかる費用も低く抑えることができます。

許認可などの再申請をする必要が無い

M&Aスキームに「事業譲渡」や「新設合併」などが利用された場合、M&Aの買い手側企業は「許認可などの再申請」が必要になります。

しかし、株式譲渡によるM&Aは、M&Aを実施しただけで「許認可」も買い手側企業に移転されるので、許認可申請などの面倒な手続きを行わなくても大丈夫です。

株式譲渡を実施する際のデメリット

上記では、株式譲渡を実施するメリットをまとめてきましたが、ここではデメリットにも触れておきます。株式譲渡を実施する際に考えられるデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

【株式譲渡を実施する際のデメリット】

  • 税金が発生する(譲渡側)
  • 債券・債務などをすべて引き継がなければいけない(譲受側)
  • 株式を買収するための資金が必要(譲受側)

税金が発生する(譲渡側)

株式譲渡を実施すると、株式を譲渡した株主(個人)は「株式譲渡金額」を手にすることができます。ただし、株式譲渡金額は「譲渡所得」とみなされ、「所得税」および「住民税」の支払いが必要になります。

株式譲渡時に発生する税金の税率は「所得税:15%」「住民税:5%」で計20%となっています。

また、株式譲渡で株式を譲渡したのが「法人」の場合は、「法人税」を支払わなければいけません。株式譲渡時の法人税率は累進課税が適用され、「29%~42%」の課税率となっています。

債権・債務などをすべて引き継がなければいけない(譲受側)

株式譲渡によるM&Aが実施されると、M&Aの買い手側企業は、売り手側企業が持つものをすべて引き継ぐことになります。

これにより、「許認可申請が不要になる」などのメリットがある一方で、売り手側企業が抱えている「債権・債務」なども引き継がなければいけないというデメリットがあります。特に注意したいのが「簿外債務」の存在です。

「簿外債務」とは、帳簿上では明らかにされていない債務のことで、特に中小企業においては、その会計方式によって簿外債務が発生しがちです。

簿外債務は帳簿上では確認できない債務であるため、株式譲渡手続き時には発見できず、M&Aが完了した後に、いつの間にか簿外債務を抱える結果になってしまうというケースもあります。

株式譲渡によるM&Aによって簿外債務を抱えてしまうリスクを少しでも減らすために、「デューデリジェンス(DD)」を徹底するなどの対策をとるべきです。

「デューデリジェンス(DD)」とは、M&Aにおいて買収対象となっている企業を細かく調査し、「法務上・財務上問題の無い企業であるか」「買収するに値する企業であるか」を確認するためのM&Aプロセスです。

M&Aの「デューデリジェンス(DD)」は、財務面や税務面で「専門的知識を持つ専門家」に依頼するもので、その依頼先の一つが「M&A仲介会社」になります。

「M&A仲介会社」である【M&A総合研究所】は、M&A仲介業務実績が豊富で、知識・経験のあるスタッフが在籍しており、M&Aプロセスを一から専任でサポートしてくれます

株式譲渡によるM&Aの失敗を事前に防ぐためにも「デューデリジェンス(DD)」は必要不可欠なM&A手続きです。「これから株式譲渡によるM&A実施を検討している」「M&Aを成功させたい」と考えている方は、【M&A総合研究所】の利用を検討してみてください。

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株式を買収するための資金が必要(譲受側)

株式譲渡によって株式を譲受する側は、現金を支払って株式を買い取る必要があります。そのため、株式を買い取れるだけの資金を用意しなければいけません。

株式譲渡によるM&aを実施したいけれど手持ちの資金が少ないという企業は、株式を買収できるだけの資金を調達しなければいけない、場合によっては株式買収をあきらめなければいけなくなるというデメリットも考えられます。

【関連】株式譲渡とは?手続きからメリット・デメリット、税金に関して解説【成功事例あり】

2. 上場会社の株式を譲渡する方法

上場会社の株式を譲渡する方法

株式譲渡によって、株主が保有している株式を譲渡する方法は、保有株式が「上場会社の株式か」または「非上場会社の株式か」で変わってきます。

「上場会社の株式」を譲渡する場合は、基本的に「公開取引市場で売る」という方法がとられます。上場会社の株式は「公開取引市場」を利用して自由に売買することができます

そのため、保有する株式が「上場会社が発行している株式」であれば、公開取引市場で簡単に譲渡することが可能です。

3. 非上場会社の株式を譲渡する方法

非上場会社の株式を譲渡する方法

上場会社の株式が自由に売買できるものであるのに対し、「非上場会社の株式」は自由に譲渡することができません。非上場会社の株式を譲渡する場合には、主に「相対取引」という方法がとられます。

「相対取引」とは、「株式を保有する株主」と「株式を買いたい者・企業」が直接交渉をする取引方法です。また、非上場企業が発行する株式のうち、「譲渡制限」が設けられている株式を譲渡する際には、その対象企業からの「譲渡承認」を得る必要があります。

譲渡制限とは?

公開取引市場で自由に株式を売買できない「非上場会社」の株式は、原則として「相対取引」によって自由に譲渡することができます。しかし、非上場会社が定款に定めることによって、発行する株式に「譲渡制限」を設けているケースがあります。

「譲渡制限」とは、非上場会社が発行する株式を「自由に譲渡できないように」する制限のことで、譲渡制限株式を発行している会社のことを「株式譲渡制限会社(非公開会社)」と呼びます。

「譲渡制限」を設けることで、その株式を発行している会社にとって「不都合な第三者」に勝手に株式が譲渡されてしまうことを防いだりすることが可能になります。

譲渡制限株式は自由に譲渡できない

「譲渡制限株式」を譲渡する場合、「株主総会で承認を得る」「株主名義書換請求をする」などの手続き・流れを経る必要があります。そして、ほとんどの中小企業(非上場会社)では、この「株式の譲渡制限」を設けています

よって、非上場会社の株式譲渡を実施する際には、その株式に「譲渡制限」が設けられていないか確認する必要があります。

もし譲渡しようとしていた株式が「譲渡制限株式」であった場合には、以降の章で解説する「株式譲渡を完了させるまでの手続き方法とその流れ」を参考にして、株式譲渡を行ってください。

4. 株式会社と有限会社の違い

株式会社と有限会社の違い

株式譲渡手続きを完了させるまでの流れ・手順について解説する前に、「株式会社と有限会社の違い」についてここで確認しておきます。

大まかに説明すると、「株式会社」は「株式」を発行することで資本金を集める形態の会社で、「有限会社」は「決算の公告義務」がなく、「取締役の任期」に期限も設けられていない会社のことです。

この他にも、「最低資本金額」や「必要な役員数」などの細かい部分で多くの違いがあります。

株式会社と有限会社の違い
  現在の株式会社 現在の有限会社
商号(会社名) 「株式会社」と入れる必要がある 「有限会社」と入れる必要がある
資本金の最低額 1円以上 300万円以上
資本金の出資者 発起人が出資額に応じ株主になる 出資額に応じて社員になったものが株主になる
株式公開 任意 出来ない
必要な役員数 取締役最低1名 取締役最低1名
代表取締役 必要 任意
取締役の任期

株式譲渡制限がある場合:最大10年

株式譲渡制限がない場合:2年

なし
社会保険の加入 義務 義務
決算の公告義務 あり(定款に方法を規定) なし
社員数の制限 なし なし
重要事項の決定機関 株主総会 株主総会
信用度 高い 株式会社よりは低い

ちなみに、「有限会社」という会社形態は2006年の新会社法の施行によって廃止されました。これによって「有限会社」は「特例有限会社」に移行しました。そのため、現在も「有限会社」と名乗っている会社は、2006年以降に有限会社として設立された会社です。

【関連】有限会社の売却ってどうするの?株式譲渡のやり方!

5. 上場会社と非上場会社の違い

上場会社と非上場会社の違い

続いて、「上場会社と非上場会社の違い」についてまとめていきます。同じ株式会社でも、上場を果たしている上場会社と、上場していない非上場会社では、様々な違いがあります。

そもそも「上場」とは、株式や債券などを市場において売買可能な状態にすることを意味しています。

つまり、上場会社が発行する株式は、「証券取引所」という公開取引市場において自由に売買することが認められていることになります。反対に、非上場会社は「非上場」であるため、非上場企業が発行する株式を証券取引所で自由に売買することはできません

これによって、上記で既に解説したように、「上場会社が発行する株式」と「非上場会社が発行する株式」では、取引の方法が異なるのです。株式譲渡方法の違いの他にも、上場会社と非上場会社では、以下のような違いがあります。

上場企業 非上場企業
・株式を公開している
・証券取引所で自由に株式を売買できる
・株式を所有しているのは主に「投資家(株主)」
・株式公開をしているので「資金を集めやすい」
・株式公開をしているので「買収(敵対的買収)のリスク」がある
・【経営】株主の意見に左右されやすい
・株式を公開していない
・証券取引所で自由に株式を売買できない
・株式を所有しているのは主に「創業者」
・株式を公開していないので「資金を集めにくい」
・株式を公開していないので「買収(敵対的買収)」のリスクがない
・【経営】株主の意見に左右されない

6. 株式譲渡を完了させるまでの手続き方法とその流れを解説

株式譲渡を完了させるまでの手続き方法とその流れ

ここからは、当記事のメインテーマでもある「株式譲渡の手続き方法とその流れ」について解説していきます。ここで解説するのは、「非上場企業」で「株式譲渡制限会社(非公開会社)」株式譲渡手続き方法とその流れになります。

非上場企業の株式は公開取引市場で自由に売買できないため「相対取引」をします。原則は「相対取引」で自由に株式譲渡が可能ですが、先述している通り、ほとんどの非上場会社(ほとんどの中小企業)は「株式譲渡制限会社」なので注意が必要です。

株式を発行している非上場企業が「株式譲渡制限会社」である場合には、株式に「譲渡制限」が設けられているため、勝手に取引相手に株式を譲渡することが認められていません。これから説明する流れで株式譲渡手続きを進めていく必要があります。

【株式譲渡を進めていく流れ】

  1. 株式譲渡承認請求を行う
  2. 取締役会・臨時株主総会を開催する
  3. 株式譲渡の承認通知をする
  4. 株式譲渡契約の締結
  5. 株式譲渡契約の締結
  6. 株主名簿記載事項証明書の交付請求
  7. 株式譲渡の完了

【手順①】株式譲渡承認請求を行う

株式譲渡方法の最初の手順は「株式譲渡承認請求を行う」ことです。譲渡制限が設けられている株式を譲渡する場合、株式の譲渡者は、「株式譲渡承認請求書」に「譲渡する株式の種類及び株式数」「株式を譲渡する相手の氏名又は名称」を記載し、承認手続きをします。

ただ、中小企業の株式譲渡の場合、会社の代表者(経営者)と株式譲渡者が同一人物であることが多いため、この手順を踏む前に合意が得られているケースが多いです。

【手順②】取締役会・臨時株主総会を開催する

続いての手順は「取締役会・臨時株主総会を開催する」ことです。手順①の「株式譲渡承認請求」が行われた際に、承認手続きを実施する機関は、会社により異なります。

その会社が「取締役会設置会社」である場合、原則として「取締役会」で株式譲渡承認請求の承認・不承認を決定します。

もし、取締役会が設置されていない会社であれば、「臨時株主総会」が開催されて、「臨時株主総会」で株式譲渡承認請求の承認・不承認を決定します。

【手順③】株式譲渡の承認通知をする

取締役会または臨時株主総会が開催されて、承認決議が行われた結果、「株式譲渡が承認」されたら、株式譲渡請求者に対して「承認を通知する手続き」が行われる流れになります。

会社は、株式譲渡承認請求がされた日から「2週間以内」に「承認・不承認の通知」を行わなければならず、2週間以内に通知がなければ、「株式譲渡の承認がされたもの」と認められます。

不承認の場合

もし株式譲渡承認決議の結果「株式譲渡が不承認」となった場合にも、株式譲渡請求日の2週間以内に「不承認通知」が届きます。

譲渡請求が不承認になった場合、「会社自らが買い取る」または「指定買取人が買い取る」あるいは「会社と指定買取人が共同で買い取る」という3種類の方法のうちどれかを選択し、手続きが進められる流れに移行していきます。

ちなみに、譲渡不承認となった株式を「誰が買い取るか」の決定は、取締役会設置会社なら「取締役会」が、「取締役会非設置会社」なら「株主総会」が行います。

【手順④】株式譲渡契約の締結

「株式譲渡の承認通知」が届いたら、その次の手順として「株式譲渡契約の締結」が実施されます。「株式譲渡契約の締結」は、株式の譲渡側と譲受側の双方が「株式譲渡契約書」の取りまとめをして、サインをする手続きです。

株式譲渡契約書への記載内容としては、以下のような項目があります。

  • 株式を発行している会社の情報
  • 株主の指名
  • 株式譲渡の価格
  • 対価の支払い方法と支払い期限
  • 株主からの除名を行う手続きに関する内容
  • 新しい株主として株主名簿の書き換え請求をする内容

【手順⑤】株主名義書換請求

次の流れは「株主名義書換請求」を行うことです。株式譲渡は、ただ株式を譲渡すれば成立するわけではなく、会社が株主名簿を書き換える手続きをすることで初めて有効となります。

そのため、譲渡側・譲受側総合が会社に対して「株主名簿書換請求」を行って、株主名簿を変更してもらう必要があります。

【手順⑥】株主名簿記載事項証明書の交付請求

「株主名簿書換請求」をした流れで「株主名簿記載事項証明書の交付請求」もしましょう。「株主名簿記載事項証明書の交付請求」をすることで、株式譲受側は「自分が新しい株主」となったことを確認することができます。

【手順⑦】株式譲渡の完了

上記の流れ・手順が完了すれば、株式譲渡も完了です。先述している通り、上記の株式譲渡の流れは「譲渡制限株式」を譲渡する際のものです。

7. 株券発行会社の株式譲渡方法

株券発行会社の株式譲渡方法

この章では、「株券発行会社の株式譲渡方法」について解説していきます。「株券発行会社」とは、その会社の株式に係る株券を発行することを定款に定めている会社のことを指しています。

平成16年に商法が改正される前までは、すべての株式会社は「株券」を発行しなければいけませんでした。しかし、商法改正以降は、定款に定めることによって、株券を発行しなくても良くなりました。

さらに、平成18年に制定された会社法によって、株券を発行しないことが通常となりました。すなわち現在も株券を発行している会社は、「会社法が制定される前に設立された株券発行会社」「定款に定めることで株券発行を選択している会社」ということになります。

この「株券発行会社」の株式を譲渡する場合、「株券不発行会社」の株式譲渡時と多少異なる方法をとる必要があるので、以下で解説します。

株式譲渡が成立した時の対応

「株券発行会社」の株式譲渡の流れと、上記ですでに説明している「株券不発行会社」の株式譲渡の流れに、大きな違いはありません。ただし、「株券発行会社」の場合、株式譲渡請求が承認され、株式譲渡が成立したタイミングで、「株券の交付」を行う必要があります。

「株券不発行会社」の株式譲渡は、譲渡側・譲受側での合意が成されれば株式譲渡が成立となります。一方、「株券発行会社」では、当事者間の合意に加えて、「株券の交付」が実施されて初めて株式譲渡成立となります

第三者に対する対応

株式譲渡を安全に実施するためには、「対抗要件」が重要になってきます。「対抗要件」とは、自分が特定の権利を有していることを第三者に主張するために必要な「条件」のことです。

「株券不発行会社」の株式譲渡における「対抗要件」は、「株主名義書換請求」をすることで、株主名義を変更してもらうことです。株主名義を譲渡側から譲受側に書き換えてもらうことで、譲受側は第三者に対して「自分が株主であること」を主張できます。

一方で「株式発行会社」の株式譲渡を実施した場合には、「株主名義書換請求」で株主の名義を変更してもらうことは「会社に対しての対抗要件」となります。「第三者への対抗要件」となるのは「株券を保有していること」です。

つまり、株券発行会社の株式を譲渡する際には、必ず譲渡側から「株券の交付」を受けて、株券を自分に手元に保管している状態にする必要があります。

株主名義書換請求に対する対応

株券発行会社と株券不発行会社では、「株主名義書換請求」に対する対応にも違いがあるので、確認しておきます。

「株券不発行会社」へ株主名義書換請求を実施する場合、原則として、株式譲受側が単独で請求することができません。必ず株式名簿に記載されている譲受側やその相続人、承継者と共同で書換請求をする必要があります。

一方で、「株券発行会社」に株主名義書換請求を行う場合は、「株券を会社に提示できる場合」に限り、譲受側が単独で書換請求することが可能です。株券を保有していることを会社側に証明できれば、譲受側と共同で書換請求する必要はありません。

8. 株式譲渡する際に失敗しないための注意点・ポイント

株式譲渡する際に失敗しないための注意点・ポイント

ここからは、株式譲渡で失敗をしないために注意すべきことをまとめていきます。これから株式譲渡の実施を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

有限会社の譲渡制限内容に注意

有限会社(現在は特例有限会社)でも、通常の株式会社と同様に株式譲渡を実施することが可能です。有限会社は取締役会を設置することができないため、株式譲渡の承認決議は「株主総会」で行われます。

ちなみに、有限会社の「株式の譲渡制限に関する規定」の内容を変更することは不可能であるため、有限会社はすべて「株式譲渡制限会社」になるという点に注意が必要です。

譲渡制限株式の価格の決定方法に注意

非上場会社の株式譲渡において、譲渡対象の株式に「譲渡制限」が設けられている場合、その価格決定方法に注意しておきましょう。譲渡制限株式の価格決定方法には以下のようなものがあります。

【譲渡制限株式の価格決定方法】

  • 純資産価額方式
  • 類似業種比準方式
  • 配当還元方式

純資産価額方式

「純資産価額方式」とは、貸借対照表上の純資産額そのものを評価額とする方式です。帳簿価格をベースに企業評価額を決定するため、「客観性がある」方式と言えます。

一方で、含み益・含み損などは価格決定に反映しないため、「割安」もしくは「割高」な評価額が算出されてしまう可能性があります。

類似業種比準方式

「類似業種比準方式」とは、株式譲渡対象企業と「同一業種・同一規模」の企業と比較して評価額を算出する方式で、「国税庁が定めた基準に沿って評価される」ため、客観性のある評価が可能というメリットがあります。

一方で、もともと「相続税評価に対応する評価額算定方式」であることから、株式譲渡の場合に利用すると、株式譲渡側にとって「株式価値が低くなってしまう」可能性があります。

配当還元方式

「配当還元方式」とは、株式の配当金額から1株当たりの評価額を算出する方式です。この算出方式は、配当金と資本金のみで評価額を算出するため、客観性が高い評価方法とは言い難いです。

また、類似業種比準方式と同様に、もともと「相続税評価に対応する算出方式」であるために、株式譲渡側にとって株式価値が低くなってしまうというデメリットがあります。

【関連】株式譲渡の金額・価格の決め方!低額譲渡・高額譲渡の注意点も解説!

譲渡制限株式は損益通算が出来ない

株式譲渡における確定申告の場面で、「損益通算」を活用することで、支払う税金(所得税・住民税)を抑えることができます。しかし、株式譲渡で損益通算が行えるのは「上場企業の株式譲渡」のみである点に注意しましょう。

公的機関・役所の管理、法務局への申請がない

「株式譲渡」とはそもそも自由に行うことができるもので、株主譲渡の当事者間で取引が完結します(株式譲渡自由の原則)。そのため、株式譲渡が実施されても、「登記申請」や「定款変更」の手続きを行う必要がありません

ただし、株式譲渡によって、「株主兼役員」であった人が株主と同時に役員も辞めることになった場合に限っては、法務局で「役員変更登記」の手続きを行う必要があります。

また、公的機関・役所の管理や法務局への申請が必要ないことから、株式譲渡手続きの流れの中で「書類に何かしらの不備」があっても指摘されることがないため、のちにトラブルが発生する危険性もあるので注意が必要です。

【関連】株式譲渡した際、登記申請や定款変更は必要?

株式譲渡には税金がかかる

株式譲渡を実施すると、「税金」が発生します。株式譲渡によって対価を得た場合、その対価は「譲渡所得」とみなされ、「所得税・住民税」の課税対象となるためです。また、法人が株式譲渡をした場合には「法人税」の対象となります。

個人が株式譲渡をした場合は、「申告分離課税」が適用され、所得税が「15%」住民税が「5%」となります。また、平成25年から「復興特別所得税(実質税率0.315%)」が課税されているため、それも含めると全部で「20.315%」の課税率となります。

非上場株式を株式譲渡した結果、「譲渡価額が1,000万円 / 必要経費が300万円」だった場合、譲渡所得は「1,000万円-300万円=700万円」となります。これに税率をかけて、「700万円×20.315%=1,422,050円」がこの株式譲渡における税金です。

また、法人が株式譲渡をした場合、「総合課税方式」が適用され、累進課税によって「29%~42%」の間で税率が決定することになります。

【関連】株式譲渡の税金まとめ!税金の種類と計算方法を徹底解説!

9. 株式譲渡のご相談は専門家まで

M&A総合研究所

出典: https://masouken.com/lp01

ここまで「株式譲渡方法」について徹底解説してきました。株式譲渡は、他のM&A手法と比較すると複雑な手続きが少なく済みますが、株式に譲渡制限が設けられている場合は、譲渡承認請求を行ったり、株主名義書換請求を行ったりする必要があります。

また、株式譲渡によって税金が発生したり、譲渡価格決定方式によっては株式価値が低くなる可能性があるなど、注意しておきたいポイントもあります。

安心して株式譲渡を実施したいとお考えの方は、株式譲渡の専門家まで相談することをおすすめします。【M&A総合研究所】への相談は無料となっていますので、株式譲渡について不安・疑問がある方はお気軽にご相談ください。

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10. まとめ

まとめ

今回は、「株式譲渡の方法」について解説してきました。特に「非上場会社(株式譲渡制限会社)の株式譲渡」では、いくつかの手順を踏みながら譲渡手続きを進めていく必要があるので、しっかり確認しておくことが大切です。

【非上場会社(株式譲渡制限会社)の株式譲渡を進めていく流れ】

  1. 株式譲渡承認請求を行う
  2. 取締役会・臨時株主総会を開催する
  3. 株式譲渡の承認通知をする
  4. 株式譲渡契約の締結
  5. 株式譲渡契約の締結
  6. 株主名簿記載事項証明書の交付請求
  7. 株式譲渡の完了

また、株式譲渡の際に注意すべきポイントについても解説したので、ぜひ参考にしてください。

【注意すべきポイント】

  • 有限会社の譲渡制限内容
  • 譲渡制限株式の価格決定方法
  • 譲渡制限株式の損益通算
  • 株式譲渡時の公的機関・役所への申請
  • 株式譲渡にかかる税金

【関連】M&Aの手法・株式譲渡の手続きを徹底解説!

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