自動車整備業のM&A・事業承継!動向や相場、買収・売却事例も紹介【2022年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、自動車整備業のM&A・事業承継・譲渡・売却について、メリットや成功させるポイント、売却相場、手続きの流れなどを解説します。実際に行われた自動車整備業のM&A・事業承継・譲渡・買収事例も紹介するので参考にしてください。

目次

  1. 自動車整備業のM&A・事業承継・譲渡・売却
  2. 自動車整備業のM&A・事業承継の動向
  3. 自動車整備業のM&A・事業承継を行うメリット
  4. 自動車整備業のM&A・事業承継を行う流れ
  5. 自動車整備業のM&A・事業承継時の売却相場
  6. 自動車整備業のM&A・事業承継を成功させるポイント
  7. 自動車整備業のM&A・事業承継を行う際に仲介会社を使うメリット
  8. 自動車整備業のM&A・事業承継に関する相談先
  9. 自動車整備業のM&A・事業承継まとめ
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1. 自動車整備業のM&A・事業承継・譲渡・売却

まずは、自動車整備業界の概要と、M&A・譲渡・売却・事業承継の基本的な意味を解説します。

自動車整備業とは

自動車整備業では、自動車の修理やメンテナンス、車検などの検査、およびそれに向けた整備を行います。具体的な業務は以下のとおりです。

  • 車検整備
  • 定期点検整備
  • 事故整備
  • その他整備(ETC機器・カーナビの取り付けなど)

自動車整備業で車検を執り行うには地方運輸局の認可が必要です。以下の2種類の工場があります。
  • 認証工場:工場内で車検は実施できないため、陸運局に持ち込んで検査を行う
  • 指定工場:工場内で車検可能な工場

自動車整備工場は、普通自動車・小型自動車・軽自動車の3種に分類されるのが一般的です。それぞれ必要となる人員や設備が定められています。

自動車整備業の特徴

自動車整備業は、業態が以下の4種に分類される点が特徴です。

  • 専業:自動車整備業の売上高が総売上高の50%超の事業者
  • 兼業:兼業部門(自動車販売、部品用品販売、保険、石油販売など)の売上高が総売上高の 50%以上(=自動車整備業の売上高が全体の50%未満)の事業者(ディーラーは除く)
  • ディーラー:自動車製造会社または国内一手卸売販売会社と特約販売店契約を結んでいる企業が行う自動車整備工場
  • 自家:自社が保有する車両の整備を専門に行う事業者(タクシー会社、バス会社、運送会社など)

自動車整備業の市場規模

一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の「令和2年度 自動車特定整備業実態調査結果概要」によると、自動車整備業界の2020(令和2)年の総売上高は5兆6,561億円2020年6月末日現在の事業者数は72,523社(工場数は91,533、指定工場数は30,085)でした。

業態別の売上高は以下のとおりです。

  • 専業:1兆9,854億円
  • 兼業:6,796億円
  • ディーラー:2兆7,749億円
  • 自家:2,162億円

自動車整備業の課題と展望

自動車整備業の過去6年間の売上高を見ると、5兆4,000億円から5兆6,000億円の間を微増微減の横ばいで推移しています。自動車を公道で運転するには車検が必要ですから、絶対的な需要はあるものの、人口減による自動車販売数の低下状況の中、市場規模の拡大は望めません。

自動車の製法が高度化して部品がユニット化されてきたことや、電気自動車やハイブリッド車などの登場で、従来の自動車整備業の整備士の技術では対応できない環境になりつつあります。板金作業などの修理業務に転じるケースも見られるようになりました。

場合によっては、廃業を選ぶ自動車整備業者もいます。その一方で、自動車メーカーと直接のパイプがあるディーラーだけは、自動車の部品整備環境の変化に対応しやすいため、業績は保たれているのが実情です。

いずれにしても、高度な整備に対応できる人材確保と設備の導入・設置が、自動車整備業界で生き残る必須の条件となるでしょう。

M&Aとは

M&Aとは、事業譲渡株式譲渡など会社や事業を売買したり、合併会社分割など会社組織を再編したりする手法全般をさします。英語の「Mergers and Acquisitions」の略であり、日本語では「合併と買収」という意味です。

譲渡・売却とは

譲渡・売却は同義語です。M&Aでは以下のような意味合いになります。

  • 会社譲渡=会社売却=株式譲渡:売り手(オーナー経営者など)は会社の株式を譲渡(売却)し、買い手はその会社の経営権を取得すること
  • 事業譲渡=事業売却:売り手の会社の事業や資産を選別して売買取引すること

事業承継とは

事業承継とは、事業の経営を後継者に引き継ぐことです。誰に事業承継するかによって、親族内事業承継・社内事業承継・M&Aによる事業承継の3種に分類されます。

親族内事業承継

親族内事業承継とは、自分の子供や配偶者、親類などの存続を後継者とする事業承継です。親族であれば安心感がありますが、近年は少子化の影響もあり、事業承継できる親族がいないケースも多く見られます。事業承継の割合としては減少傾向です。

社内事業承継

社内事業承継とは、会社の役員や従業員などを後継者とする事業承継です。親族に後継者不在の場合によく行われます。ただし、後継者は親族のように株式を相続できないため、株式を買い取る資金が必要です。後継者が事業承継を辞退するケースも見られます。

M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継では、M&A仲介会社などを通して、親族でも社内の人間でもない第三者に事業承継します。事業や会社を売却し、その買い手が後継者(新たな経営者)となるでしょう。

M&Aでは、多数の承継先候補から最適な相手を選べるのがメリットといえます。相手は今まで面識のなかった第三者なので、交渉は慎重に行う必要があるでしょう。

2. 自動車整備業のM&A・事業承継の動向

車検も実施できる自動車整備業を行うには、以下の2つが必須です。

  • 運輸局からの認可
  • 国家資格である整備士の在籍

自動車整備業に新規参入したい場合は、参入障壁である上記2項目、および設備を獲得できる意味で、M&Aは打ってつけです。具体的には、自社で整備も行いたい中古車販売会社などがM&Aを実施しています。

人材確保や営業エリア拡張、事業拡大などを目的に、同業大手がM&Aをすることも多く見られます。その場合の譲渡・売却側である中小自動車整備業者側は、単独での事業継続が困難なことなどを理由に事業承継している状況です。ニーズが合致してM&Aが成立しています。

自動車整備業のM&Aで採用されるスキーム

自動車整備業のM&Aで主として譲渡・売却側になるのは、専業または兼業の自動車整備工場です。2020年6月末日現在の両者の数は以下のようになっています。

  • 専業自動車整備工場数:56,156
  • 兼業自動車整備工場数:15,498

専業自動車整備工場が譲渡・売却側となるM&Aでは、設備なども含め会社全体を買収することに意味があるため、株式譲渡が用いられることが多いです。一方、兼業自動車整備工場の場合、自動車整備業のみが売買対象ですから事業譲渡が用いられます。

自動車整備業全体としては、上記のように専業自動車整備工場の数が多いため、株式譲渡が用いられるM&Aが多いのは必然です。

3. 自動車整備業のM&A・事業承継を行うメリット

ここでは、自動車整備業のM&A・事業承継を行うメリットについて、売却側・買収側に分けて確認します。

売却側のメリット

自動車整備業でのM&A・事業承継で、売却側が得られる主なメリットには以下のようなものがあります。

  • 後継者不在問題を解決し事業承継が実現する
  • 廃業を免れることにより従業員の雇用が守られる
  • オーナー経営者であれば相応の売却益が獲得できる
  • 株式譲渡であれば負債は買い手が引き継ぐため、個人保証や担保差し入れが解消される
  • 大手企業傘下となれば資金やブランド力などが活用できるようになり経営の安定化・発展が望める

買収側のメリット

自動車整備業でのM&A・事業承継で、買収側が得られる主なメリットは以下のとおりです。

  • 貴重な人材(整備士)が獲得できる
  • 設備を割安で獲得できる(新品と比較した場合)
  • 運輸局認可を獲得できる(認証工場・指定工場を買収した場合)
  • 事業規模拡大・事業エリア拡張ができる(買収側が同業者の場合)
  • 低コストで新規参入できる(買収側が異業種の場合)

4. 自動車整備業のM&A・事業承継を行う流れ

ここでは、自動車整備業でM&A・事業承継を行う大まかな流れを売却側、買収側に分けて見てみましょう。

売却側の流れ

自動車整備業の売却側が最初に行うことは、売却相手探しです。ここでは大別して4つの選択肢があります。

  • M&A仲介会社などM&Aの専門家と契約し売却相手を探してもらう
  • 顧問税理士や取引金融機関などに相談し売却先候補を紹介してもらう
  • 各都道府県にある事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関に相談する
  • M&Aマッチングサイトに情報登録するとともに、買収希望登録者の中から候補を探す

売却先候補が見つかった後は、以下のようなプロセスが一般的です。
  1. 秘密保持契約書の締結
  2. 経営情報を開示し具体的な交渉を開始
  3. トップ面談
  4. 大筋で合意が形成された場合、基本合意書締結
  5. デューデリジェンス(買収側による売却側企業の監査)
  6. 最終交渉
  7. 最終交渉で合意できれば最終契約書を締結
  8. クロージング(契約内容の履行)

上記のプロセスを自社単独で行うのは非常に困難です。M&Aマッチングサイトで相手が見つかった場合でも、その後の交渉・手続きなどはM&A仲介会社などに依頼するのが一般的な流れとなっています。

買収側の流れ

自動車整備業の買収側が最初に行うことは、買収先探しです。買収側の場合、以下の3つの選択肢になります。

  • M&A仲介会社などM&Aの専門家と契約し売却相手を探してもらう
  • 顧問税理士や取引金融機関などに相談し売却先候補を紹介してもらう
  • M&Aマッチングサイトに情報登録するとともに、買収希望登録者の中から候補を探す

買収先候補が見つかった後の大まかなプロセスは、前項の売却側と変わりません。ただし、基本合意書締結前の交渉時に、意向表明書(買収条件を表明する書類)を提示する場合もあります。

デューデリジェンスは買収側が実施するものです。売却側の財務・税務・法務・労務・事業などについて、それぞれの専門家を起用して精密な調査を行います。経営上のリスクの確認、買収価額決定のための情報収集、クロージング後に実施するPMIのための情報収集などが目的です。

PMIとは、「Post Merger lntegration」の略で、M&A後の経営統合プロセスのことを意味します。PMIがM&Aの成否を決することになります。PMI計画策定にはM&A仲介会社など専門家のサポートを得るといいでしょう。

5. 自動車整備業のM&A・事業承継時の売却相場

自動車整備業のM&A・事業承継時の売却相場は、一般的な認証工場・指定工場の場合、数千万円から2億円程度で売買されることが多いようです。

自動車整備業はサービス内容で強い独自性を出すのはやや難しいので、整備士の充実、自動車メーカーとの連携や地域性などをアピールすると、売却価額が上昇する可能性もあります。

売却価額の算定方法

売却価額の算定方法としては、純資産を参考にする方法似た業種の上場企業の株価を参考にする方法割引キャッシュフローを参考にする方法などがあります。一般的に、市場での株価が存在する上場企業に比べて、非上場企業の算定はやや難しくなるのが実情です。

売却価額に影響を与えるポイント

企業価値評価の方法の一つに、年買法(年倍法)があります。これをもとに、売却価額に影響を与えるポイントを、純資産と将来性の観点からまとめました。

【純資産】

  • 評価を上げるポイント:整備工場の建物、敷地(自己所有の場合)、時価が高額である点
  • 評価を下げるポイント:銀行などからの借入が多い、回収できない売掛金・未払い残業代・退職金引当金などがある

【将来性】
  • 評価を上げるポイント:優良顧客を多く持つ、好立地、指定工場、認知度がある、一級整備士など優秀な整備士がいる、業務・人材育成などのシステムが確立されている点
  • 評価を下げるポイント:顧客とのトラブルや労使関係のトラブル、将来的に損害賠償に発展する問題などがある

6. 自動車整備業のM&A・事業承継を成功させるポイント

ここでは、自動車整備業のM&A・事業承継を成功させるためのポイントについて、売却側・買収側に分けて掲示します。

売却側のポイント

自動車整備業のM&A・事業承継を、売却側が成功させるポイントは以下の5点です。

  • 事前の準備・計画を練る
  • 契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない
  • 自社の強み・有資格者の人数などを提供資料用にまとめる
  • M&A・事業承継の目的を明確にする
  • 専門家に相談する

事前の準備・計画を練る

自動車整備業のM&A・事業承継を成功させるには、事前の準備・計画をしっかりと練ることが重要です。具体的には、会社の現状分析や問題点の洗い出し、後継者教育や事業承継計画書の作成などを行います。

特に後継者教育は数年間かかる場合もあるので、できるだけ早い時期から準備しておくことが、自動車整備業の事業承継を成功させる秘訣といえるでしょう。

契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない

たとえ会社や社員のためにM&A・事業承継を実行していても、従業員や取引先は不安を感じることもあります。自動車整備業のM&Aによる事業承継では、契約成立まで従業員・取引先などに情報を漏らさないほうがよいでしょう。

自社の強み・有資格者の人数などを提供資料用にまとめる

自動車整備業のM&Aによる事業承継では、相手に自社の強みをアピールすることが重要になります。言葉で説明するだけでなく、事前に資料を用意しておくと相手が理解しやすくなります。

自社の強みや有資格者の人数など、数値的なデータも活用して、わかりやすい資料を用意しておきましょう。

M&A・事業承継の目的を明確にする

自動車整備業のM&A・事業承継では、M&A・事業承継の目的を明確にしておくことが必要です。M&A・事業承継の目的としては、後継者不在の解決・事業の選択と集中・アーリーリタイアなどがあります。

目的を明確にすると、譲れない条件と妥協してもよい条件がはっきりするので、相手との交渉も進めやすくなるでしょう。

専門家に相談する

自動車整備業のM&A・事業承継には専門的な知識が不可欠であるため、自社のみで行うことは難しいといえます。したがって、M&A仲介会社などの専門家に相談し、サポートを受けながら進めていくことが一般的です。成功する確率も高くなります。

相談先にはM&A仲介会社・金融機関・公的機関などの選択肢があるので、自社に合ったところを選びましょう。

買収側のポイント

自動車整備業のM&Aを買収側が成功させる最大のチェックポイントは、売却側の整備士の在籍人数とそれぞれの年齢です。引退年齢が近い少数の整備士しかいない自動車整備会社よりも、貴重な人材である若手整備士が多く在籍している会社を選びましょう。

整備士資格者だけでなく、車検検査員の有資格者が在籍していれば、さらにポイントは高いです。もう一つのポイントとして、売却側自動車整備会社の財務状況を細かく確認する必要があります。

自動車整備業の場合、設備投資に資金がいるため、大きな借入をしているかもしれません。業績と見合った債務かどうかよく勘案し、買収価額に反映させる必要がありますから、財務デューデリジェンスは念入りに行いましょう。

7. 自動車整備業のM&A・事業承継を行う際に仲介会社を使うメリット

自動車整備業のM&A・事業承継を行う際に、仲介会社を使う主なメリットは以下の3つです。

  1. 交渉や書類作成にかかる手間を軽減する
  2. M&A・事業承継先の選定・仲介を行う
  3. M&A・事業承継の戦略を考える

①交渉や書類作成にかかる手間を軽減する

M&A・事業承継を実行するには、相手との交渉に時間を割くだけでなく、多くの書類を作成するための手間も必要です。こういった交渉や書類作成をM&A仲介会社に任せることによって、手間を軽減して本業への支障を最小限に抑えられます。

②M&A・事業承継先の選定・仲介を行う

M&A・事業承継先は、マッチングサイトなどを利用して自分で探すことも可能です。しかし、専門家であるM&A仲介会社に頼んだほうが有利といえます。M&A仲介会社は、独自のネットワークで多数の案件を保有しており、経験も豊富なので、最適な承継先を選定できるからです。

③M&A・事業承継の戦略を考える

M&A・事業承継のスキームには、株式譲渡・事業譲渡などの種類があります。その中から自社に合った戦略を考えなければなりません。M&A・事業承継の戦略選定には、専門的な知識や見解も必要となるため、M&A仲介会社と相談しながら進めていく必要があります。

8. 自動車整備業のM&A・事業承継に関する相談先

自動車整備業のM&A・事業承継にお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、自動車整備業のM&A・事業承継の支援経験が豊富なM&Aアドバイザーが、専任となって案件をフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。自動車整備業のM&A・事業承継をご検討の際は、お気軽に無料相談をご利用ください。

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9. 自動車整備業のM&A・事業承継まとめ

自動車整備業のM&A・事業承継は、事前にしっかりと準備をして、有資格者の数など強みをアピールすれば、より高い価額での売却が見込めます。後継者不在や経営者の高齢などで廃業に追い込まれないためにも、M&A・事業承継の準備を早い段階から進めておくことが重要です。

本記事の概要は以下のようになります。

・事業承継の種類
→親族内事業承継、社内事業承継、M&Aによる事業承継

・自動車整備業のM&A・事業承継を行う際に仲介会社を使うメリット
→交渉や書類作成にかかる手間を軽減する
→M&A・事業承継先の選定・仲介を行う
→M&A・事業承継の戦略を考える

・自動車整備業のM&A・事業承継を成功させるポイント
→事前の準備・計画を練る
→契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない
→自社の強み・有資格者の人数などを提供用資料にまとめる
→M&A・事業承継の目的を明確にする
→専門家に相談する

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