製薬会社・医薬品業界の買収・M&A動向!売却の理由、相場・手法を解説!【成功事例一覧】

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執行役員 企業情報第一部 部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

製薬業界の特徴が買収・売却や合併などのM&Aが盛んなことです。近年の製薬会社のM&Aでは、業界大手による海外企業との間の大型買収や売却などのM&Aが多発しています。製薬会社のM&A(買収・売却・合併)の動向を見てみましょう。

目次

  1. 製薬会社・医薬品業界とは?買収・M&Aの基礎知識
  2. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&A動向
  3. 製薬会社・医薬品業界の現状
  4. 製薬会社・医薬品業界が買収・M&Aを行う理由
  5. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&Aの相場
  6. 製薬会社・医薬品業界M&Aを成功させるポイント
  7. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&A成功事例一覧
  8. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&Aまとめ
  • 製薬会社のM&A・事業承継

1. 製薬会社・医薬品業界とは?買収・M&Aの基礎知識

製薬会社・医薬品業界とは?買収・M&Aの基礎知識

製薬会社・医薬品業界では、M&Aによる買収や売却、合併、事業売却が盛んに行われています。小規模の譲渡などの事例から、最近では大型のM&Aによる買収や売却の事例が増えました。

製薬会社・医薬品業界のM&Aを検討する場合には、製薬会社・医薬品業界のM&Aの知識がなければ、買収や売却、合併などといった手段選びから悩むことでしょう。M&Aといえば買収や売却を考える方も多いですが、時には合併を選択すべきケースもあります。

本章では製薬会社・医薬品業界の定義や特徴を解説します。製薬会社・医薬品業界のM&Aについて理解を深めましょう。

製薬会社・医薬品業界の定義

製薬会社とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づき厚生労働大臣からの許可を得た上で、医薬品の製造を事業としている会社を指します。そんな製薬会社が属するのが、医薬品業界です。

医薬品業界とは、新薬の研究・開発や効果の確認、販売などに携わる業界です。医薬品は処方箋が必要な「医療用医薬品」と、ドラックストアなどで購入できる「一般医薬品」に分かれます。「一般医薬品」は個別ブランドでの販売も可能です。

製薬会社・医薬品業界の特徴

新たに開発した医薬品は、特許により保護ができます。これにより製造・販売の独占が可能です。

製薬会社・医薬品業界では、特許で保護された医薬品を販売し、利益を得ています。市場における割合では販売される医薬品の90%以上が「医療用医薬品」です。「医療用医薬品」は新薬とジェネリック医薬品に分けられ、これまで市場の多くを新薬が占めてきました。

しかし新薬の研究・開発には莫大な費用がかかるため、大手製薬会社でないと実施が困難です。

ジェネリック医薬品は特許期間の過ぎた、新薬と成分が等しく安価な医薬品です。近年は医療費抑制のために、政府主導でジェネリック医薬品の促進が行われています。

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2. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&A動向

製薬会社・医薬品業界の買収・M&A動向

製薬会社・医薬品業界では、M&Aによる買収や売却、合併がたびたび行われています。最近の製薬会社・医薬品業界のM&Aの動向はどのような点が挙げられるでしょうか。

製薬会社・医薬品業界のM&A動向については、以下の3点を理解しておきましょう。
 

  1. 武田薬品工業による巨額買収が話題を集める
  2. 大手によるM&Aは比較的多い
  3. 別業種からのM&Aもよくある
  4. 創薬コストの高さからM&Aが増加傾向にある

それぞれについて、順番に解説します。

①武田薬品工業による巨額買収が話題を集める

製薬会社業界のM&Aについては、武田薬品工業による巨額買収が非常に話題です。のちほど詳しく解説しますが、製薬会社業界で大型のM&Aによる合併が見られる中、もっともセンセーショナルな話題が、2018年の武田薬品工業によるシャイアー買収だといえます(買収が正式に完了したのは2019年1月)。

その買収以外にも武田薬品工業は2017(平成29)年2月にも、54億ドル(日本円にして約6,200億円)でアメリカの製薬会社であるアリアド・ファーマシューティカルズを買収しているのです。

このように、大手企業は積極的なM&Aを行っています。したがって、中小の製薬会社もうまくM&Aで買収や売却、合併を行い、生き残りを狙っていきましょう。

②大手によるM&Aは比較的多い

製薬会社業界のM&Aによる買収や売却による事業譲渡や合併などの動向は、大手による事例が増えているのが現状です。M&Aが成功した一覧を見ても、大手製薬会社の買収や売却が多く見受けられる状況となっています。

例えば、2017年の田辺三菱製薬によるイスラエルのバイオベンチャー・ニューロダームの買収では、約11億ドル(日本円にして約1,241億円)という金額が動きました。このように、以前の製薬会社業界のM&A相場以上の大きい案件が、最近ではよくあります。

世界の製薬会社業界の動向に目を向けると、1990年頃から欧米企業の規模拡大や合併などの大型M&Aが進んでいきました。こうした動きが世界中の製薬会社のM&Aの動向を加速させたと見られています。

③別業種からのM&Aもよくある

製薬会社の業界動向は、ジェネリック医薬品の需要や高齢化などの時代背景から伸びを見せています。そうした製薬会社の業界に新規参入してくるために、別業種の会社からのM&Aも行われているのが現状です。

製薬会社の買収などのM&Aに多くの価格を支払ったとしても、それ以上の価格を売り上げる可能性は十分に見込めます。なぜなら、製薬というジャンルの需要は減少しない可能性が高いからです。したがって、これからも別業種からの業界参入は増加することでしょう。

④創薬コストの高さからM&Aが増加傾向にある

製薬会社・医薬品業界の大規模なM&Aの背景には、創薬コストの高さが挙げられます。日本の大手製薬会社では、新薬の研究・開発に10年以上かかる上に、成功確率は25,000分の1と非常に低いです。そのため新薬の研究・開発にかかる1社あたりの費用は1,400億円を超えます。

研究・開発費の金額は、製薬会社の規模の大きさを表す指標のひとつです。巨額のM&Aを行うことで、資本が増えて研究・開発のための設備や人員の確保が可能になるでしょう。

近年は海外の製薬会社・医薬品業界において、「医療用医薬品」と「一般医薬品」の切り離しも盛んです。このような事業の選択・集中を目的としたM&Aも製薬会社・医薬品業界では行われます。

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3. 製薬会社・医薬品業界の現状

製薬会社・医薬品業界の現状

製薬会社・医薬品業界の動向が、M&Aによる買収や売却などの相場の価格を決定します。

製薬会社・医薬品業界のM&Aを知る前に、現状における製薬会社の業界動向を見ておきましょう。
 

  1. 市場規模は約11兆円(2019年度統計)
  2. ジェネリック医薬品製造の市場拡大
  3. 新薬開発の難易度は年々増加傾向
  4. 今後は技術の進歩でM&A活性化が見込まれる

それぞれの製薬会社の業界動向について、順番に見ていきます。

①市場規模は11兆円超(2019年度統計)

国内の製薬会社・医薬品業界の売上高は、2019年度の統計で11兆円を超える市場規模を示しました。

そして、大手企業として一覧にも挙げられるような製薬会社・医薬品業界の売上は、円高や薬品価格の改定などから増益となっています。

このように、製薬会社・医薬品業界の市場は非常に大きく、今後も増加する見込みです。したがって、M&Aによる買収や売却、合併などを行い、うまく生き残りを狙いましょう。例えば、大手企業の製薬会社に買収されたなら、事業の安定化が図れるはずです。

②ジェネリック医薬品製造の市場拡大

製薬会社を経営しているなら、ジェネリック医薬品は押さえておくべきです。医療品の現場では、ジェネリック医薬品の市場が拡大しています。拡大の理由は、日本政府が2020年度中に、ジェネリック医薬品のシェア率80%以上を目標としているからです。

2017年9月に発表されたジェネリック医薬品のシェア率が約56%のため、今後もジェネリック医薬品の開発が多く見込まれます

しかし、そもそもジェネリック医薬品とはどのような医薬品なのでしょうか。ジェネリックの定義を確認しましょう。

ジェネリックとは?

ジェネリック医薬品は、日本語で後発医薬品と呼ばれています。医薬品の成分には特許が存在していますが、その特許切れをした医薬品を同様の成分により製造した医薬品です。

一般的にはジェネリック医薬品は、従来の医薬品より価格が安く設定されています。同じ効果が見込める医薬品の価格が安く提供できるため、需要が伸びているのです。

したがって、ジェネリック医薬品の製造に対応できる製薬会社は、今後も経営状態が良くなると考えられます。

③新薬開発の難易度は年々増加傾向

新薬開発の難易度は、年々高まっているのが製薬会社・医薬品業界の現状です。難易度が高まるとそれだけ開発コストが上がり、価格にも反映されます。

加えて、ジェネリック薬品や薬品価格の改定により売上が下がっている状況で、新薬の開発もなかなか進んでいない製薬会社が非常に多いです。

開発コストや人材の確保が難しい状況になり、製薬会社・医薬品業界ではM&Aを繰り返しているともいわれています。こうした状況を解決するには、自社のさまざまな課題を一覧に書き出し、業界の全体を見渡して再検討が必要です。

もしも自分の経営している製薬会社の課題が明確にならないなら、専門家に相談してみるのがよいでしょう。客観的な意見をもらうことで、自社の理解がより深まるはずです。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に扱っている仲介会社です。案件ごとに専任アドバイザーがつき、親身になってフルサポートをいたします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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④今後は技術の進歩でM&A活性化が見込まれる

製薬会社・医薬品業界では、AIやIoT技術を用いた新薬開発が注目されています。これにより製薬会社・医薬品業界におけるM&Aの、さらなる活性化が見込まれるでしょう。

後発の製薬会社はジェネリック医薬品が追い風となる一方で、競合の多さから大手からの買収リスクは避けられません。新薬の研究・開発費は年々増加傾向にあることから、今後は技術の進歩による成功率向上や、ジェネリック医薬品の市場拡大が重要です。

  • 製薬会社のM&A・事業承継

4. 製薬会社・医薬品業界が買収・M&Aを行う理由

製薬会社・医薬品業界が買収・M&Aを行う理由

本章では製薬会社・医薬品業界がM&Aにより買収や売却、合併をする理由を売却側、買収側それぞれの立場から解説します。

売却する側の理由

製薬会社・医薬品業界がM&Aにより売却や事業譲渡をする理由は以下の通りです。

  • 大資本による研究開発が狙える
  • 後継者問題を解決できる
  • 研究員・営業社員の雇用維持が狙える
  • 借入金や担保の解消を狙える
  • 創業者はM&Aによる売却益を得る

それぞれについて、順番に見ていきましょう。

大資本による研究開発が狙える

製薬会社がM&Aにより売却や事業譲渡などを行った場合、大資本による研究開発の恩恵を受けられる可能性があります。場合によっては想定以上の開発環境を得ることもあり、今まで以上に売上が見込めるはずです。

現状ではなかなか資本不足で研究に集中できない場合は、M&Aによる売却や事業譲渡を検討してもよいでしょう。また、必要に応じて合併を検討するのも選択肢の1つです。

後継者問題を解決できる

少子高齢化に伴い、製薬会社・医薬品業界では後継者問題も大きな課題とされています。良き後継者に恵まれなかった場合でも、M&Aによって事業承継を安心して行えるため安心してください。

身近に会社を引き継いでくれる人がいないようなら、売却や事業譲渡、合併を検討しましょう。

研究員・営業社員の雇用維持が狙える

経営不振や後継者不足による廃業などで、一番の問題となるのが雇用の維持です。雇用の維持は経営者にとって大きな責任と課題でもあります。

事業承継を目的に事業譲渡を行うことで、研究員や営業社員などの雇用維持が可能です。これは経営者にとって大きなメリットといえます。

今まで働いてきた社員たちの雇用を守りたいなら、M&Aによる売却や事業譲渡、合併を検討しましょう。

借入金や担保の解消を狙える

売却や事業譲渡などのM&Aにより、現金が手にできます。そうした収益を借入金や担保に当てることで事業の改善を見込めるはずです。

もしも借入金や担保の解消を考えているなら、積極的にM&Aで製薬会社の売却などを検討してください。

創業者はM&Aによる売却益を得る

製薬会社そのものや行っている事業を売却して譲渡することで、創業者や経営者は売却益を得られます。特に、廃業などを考えていた場合は、事業から身を引いた後の資金を確保できるわけです。

製薬会社はさまざまな設備を持っているため、廃業コストがかかりやすくなります。したがって、できるだけM&Aで会社や事業を売却してしまい、廃業を避けた方が金銭的に得でしょう。

もしも製薬会社の廃業を検討しているのであれば、M&Aを考えてみてください。

買収する側の理由

製薬会社・医薬品業界を買収する理由は以下の通りです。
 

  • 有能な研究員・営業の確保
  • 新たな知識・新技術の獲得
  • 設備投資の低減
  • 新規事業への参入
  • 事業を大きく拡大

それぞれについて、順番に見ていきましょう。

有能な研究員・営業の確保

製薬会社・医薬品業界のM&Aを行う大きなメリットは、有能な研究員や営業スタッフを確保できることです。研究員の教育は時間とコストがかかります。教育にかかる時間とコストを削減するためにも、M&Aによる買収は有効です。

自社だけで研究員や営業スタッフを確保するのは難しいため、製薬会社の事業の質を高めるためにM&Aでの買収を検討するのは良い選択肢だといえます。

新たな知識・新技術の獲得

製薬会社の経営では、新たな知識や新技術の獲得が重要です。ずっと過去の知識や技術のままでは、同業他社に追い抜かれてしまうでしょう。

新たな知識・新技術の獲得を狙うとき、M&Aによる買収が有効です。製薬会社のM&Aを行えば、現在の自社の開発能力だけではまかなえない知識や技術の取得を望める可能性があります。新技術などの獲得は売上に良い影響を及ぼすことが多く、数々のメリットをもたらすはずです。

自社で知識や技術が新たに生まれていないよ場合は、M&Aを検討してみましょう。

設備投資の低減

製薬会社・医薬品業界では、設備も重要です。新製薬品などを開発したりする場合には、新たに設備投資が必要となる場合もあります。

また、長年経営している製薬会社では、設備の老朽化などによる設備投資が必要です。製薬会社・医薬品業界のM&Aをすることで、設備投資に対するコストの低減が見込まれます

新規事業への参入

新たな分野に進出する際には、社員の教育やノウハウの蓄積が必要となります。しかし、M&Aによる事業買収は、社員への教育コストと時間の節約が可能です。

新たな展開に打って出るときには、市場の変動などに対処するためスピード感が大切になります。M&Aによる事業買収は、スピード対処としてうってつけです。

事業を大きく拡大

M&Aを行うことで、既存の事業を大きく拡大できる可能性が広がります。医療の現場は、今後も広がりを見せていくはずです。そうした状況に対処するために、また、事業展開の拡大を図るためにも、製薬会社のM&Aは有効な手段といえるでしょう。

以上が、製薬会社・医薬品業界を売却や買収、合併する理由になります。さまざまなメリットがあるため、製薬会社のM&Aは非常に盛んです。

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5. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&Aの相場

製薬会社・医薬品業界が買収・M&Aを行う理由

製薬会社・医薬品業界のM&Aの価格相場は、一概にはいえません。なぜなら、事業規模や所有する設備によって大きく変わるためです。したがって、実際にM&A仲介会社に見積もりを依頼した方がよいでしょう。

製薬会社・医薬品業界は、少子高齢化で国民ひとりひとりがより健康を気遣う時代背景もあり、今後も成長が見込める業界です。つまり、製薬会社のM&A相場も、少しの時間経過で変動が起きる可能性があります。

元来、製薬会社のM&Aは他産業よりも相場は高めの傾向です。そこに新薬の開発能力や人材などの要素が加わることで、より高額の価格となる可能性があります。いずれにしても、専門家であるM&A仲介会社への相談がおすすめです。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが企業価値算定を無料で承っております。随時、無料相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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6. 製薬会社・医薬品業界M&Aを成功させるポイント

製薬会社・医薬品業界M&Aを成功させるポイント

製薬会社・医薬品業界のM&Aを成功させるには、ポイントを押さえて行うことが重要です。

本章では売却側と買収側の、それぞれのポイントを解説します。

売却側のポイント

売却側のポイントは、研究・開発している内容が、将来の社会にとっていかに有用かをアピールすることです。

研究領域の重要性や需要、単価はもちろん、競合他社との違いなど、将来どれだけの価値になるのかを示しましょう。

買収側のポイント

買収側のポイントは、売却側がいかに有用な製品を研究・開発しているか見極めることです。一般的なM&Aでは現在の財務状況などが重視するポイントのひとつになりますが、製薬会社・医薬品業界の場合は長期的な利益を重視します。

そのため研究・開発に取り組んでいる内容が、将来的にどれだけの利益をもたらすかに重点を置いて評価しましょう。

また、自社の持つリソースとのシナジー効果を狙うことも重要です。近年では製薬会社が健康食品の研究・開発などを行う会社を買収するケースもあります。組み合わせることでお互いの良さを引き出し合えるようなM&Aを行いましょう。

7. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&A成功事例一覧

製薬会社・医薬品業界の買収・M&A成功事例一覧

本章では製薬会社・医薬品業界のM&Aによる成功事例を紹介します。成功事例の一覧を見て、今後のM&Aの参考にしてください。
 

  1. 塩野義製薬によるTetra Therapeuticsの子会社化
  2. 米BMS社によるCelgene Corporationの子会社化
  3. 小林製薬による梅丹本舗の子会社化
  4. 日医工によるエルメッドエーザイの子会社化
  5. 武田薬品工業によるシャイアーの子会社化
  6. 大塚製薬によるVisterra Inc.の子会社化
  7. 小林製薬によるTrueNatureの子会社化
  8. 杏林製薬によるジェイタスの子会社化

それぞれの製薬会社・医薬品業界の事例について、順番に見ていきましょう。

①塩野義製薬によるTetra Therapeuticsの子会社化

2020年5月、塩野義製薬は、アメリカの医薬品研究・開発会社Tetra Therapeuticsの完全子会社化を発表しました。

Tetra Therapeuticsは、バイオテクノロジー関連の研究開発型企業です。従来、塩野義製薬とは出資契約をするなど協力関係にありました。塩野義製薬としては、中枢神経系の創薬ノウハウを活用し、同分野への進出を図りたい考えです。

②米BMS社によるCelgene Corporationの子会社化

2019年11月、米BMS社(Bristol-Myers Squibb)は、同国セルジーン社(Celgene Corporation)の完全子会社化を発表しました。

BMS社は重点疾患領域の治療薬を中心に研究・開発を行うバイオファーマ企業です。現在はライオンに商標を売却していますが、「バファリン」を研究・開発した会社でもあります。

セルジーン社はがんや炎症、免疫性疾患の治療薬を中心に研究・開発を行うバイオ医薬品企業です。日本法人では血液疾患領域治療薬や炎症、免疫性疾患領域に力を入れています。

この買収ではがんや免疫系疾患領域の強化や、年間売上10億ドル以上にもなる9製品を擁することによる、さらなる成長を期待して行われました。

M&A成立後は最初の3年間で450億ドル以上のフリーキャッシュフローが見込まれ、大規模な投資が可能になったため、がんや免疫系疾患領域における主導的地位の確立を狙います。

③小林製薬による梅丹本舗の子会社化

2019年5月、小林製薬は梅丹本舗の完全子会社化を発表しました。

小林製薬は医薬品や医薬部外品などを製造・販売しています。一方の梅丹本舗は梅肉エキスを用いた健康食品の製造・販売をする企業です。

小林製薬ではヘルスケア部門を重点領域としており、その強化を狙い子会社化を行いました。小林製薬の持つ研究・開発能力と、90年以上の歴史を持つ梅丹本舗のブランド力を生かし、さらなる成長を目指します。

④日医工によるエルメッドエーザイの子会社化

2019年4月、日医工はエルメッドエーザイの子会社化をしました。エルメッドエーザイはジェネリック医薬品を研究・開発・製造・販売しているエーザイの子会社でしたが、日医工が段階的に株式を取得し全株式取得に至ったものです。

日医工とエーザイは2018年3月に資本業務提携を締結しており、その一環として決められていた子会社化でした。エルメッドエーザイは商号をエルメッドに変更し、日医工グループの一員としてジェネリック医薬品の製造販売事業を継続していく方針です。

⑤武田薬品工業によるシャイアーの子会社化

2018年5月に、日本の大手製薬会社である武田薬品工業が、アイルランドに会社を構えている製薬メーカーであるシャイアーを完全子会社化すると発表しました。

日本企業が海外企業に行ったIn-OutによるクロスボーダーM&Aの事例としては、国内M&A最大価格の約7兆円の資金調達が必要となり話題となった事例です。

このM&Aには賛同の意見が見受けられたものの、価格が巨額なだけに、市場が資金調達に不安を感じ、武田薬品工業の株式価格は暴落しました。

このM&A事例は、製薬会社・医薬品業界の中で世界的にも大きな話題です。そこで、武田薬品工業のM&Aによる買収について、成立までの経緯や手法などを簡単に見ていきましょう。

武田薬品工業とは?

日本の大手製薬会社の1つである武田薬品工業は、1781年に薬種商として、創業者である武田長兵衛が商売を始めた会社です。1925年には武田長兵衛商店という社名で、日本国内最大規模の製薬会社メーカーとなりました。

武田薬品工業はオーナー会社です。新薬の開発力とそれを売り込む営業力で、薬品会社業界では盤石な地盤を築いています。そして、2003年の長谷川閑史社長の就任後、グローバル化を目指して突き進んでいるのです。

その方針どおり、M&Aは積極的に行われています。2014年にクリストフ・ウェバー氏をヘッドハンティングすると、さらに武田薬品工業はグローバル化を躍進していきました。

シャイアーとは?

売却される側であるアイルランドに本社を置くシャイアーとは、希少疾患に関わる医薬品の開発や製造などを主力とする製薬バイオテクノロジー企業です。ロンドンの証券取引所とNASDAQに上場しています。

シャイアーの歴史は浅く、1986年にバイオベンチャーとして産声を上げました。骨粗鬆症の医薬品から始められた事業は、後に希少疾患の治療薬を開発し事業を広げていきます。

シャイアーのシェア率はアメリカでは過半数以上となる64%ですが、日本におけるシェア率は3%しかありません。

巨額買収が成立した経緯と手法

2017年度における世界の製薬会社売上高のランキングでは武田薬品工業が19位、シャイアーは20位です。武田薬品工業が約1兆7,700億円、シャイアーが約1兆7,000億円で、ほぼ同程度の金額でした。

武田薬品工業は主軸となる「アリナミン」からわかるように、栄養剤や感染予防で国内のシェアを拡大してきました。しかし、少子高齢化による人口減少により、日本国内の市場は減少する傾向が見られます。

こうした市場動向により、武田薬品工業は既存の展開では事業拡大は困難と判断し、新たな市場を求める形で海外へのM&Aを行っていました。

武田薬品工業がM&Aによって買収するメリットは、新薬の開発の短縮化や海外市場への事業拡大のほか、ブランドの獲得も含まれています。

今回の買収の事例で一番の問題となったのが資金調達です。買収金額約7兆円という膨大な資金を調達する必要があります。

そこで武田薬品工業がシャイアーを買収するのに取り入れた手法が、株式交換です。シャイアーの株主に対して武田薬品工業の新規株式交付を基本とし、希望に応じて現金での支払いにも応じる内容でした。

また、シャイアー社の株主の賛同を得るための手法として、「スキーム・オブ・アレンジメント」という方法が用いられました。

イギリスの制度であるこの「スキーム・オブ・アレンジメント」は、「株主の半数以上が買収に賛同し、なおかつ議決権を保有している株主75%以上の賛同」があれば全株式を取得できる方法です。

この方法であれば、シャイアー側の株主の中で売却に反対をした株主がいたとしても、武田薬品工業に株式を売却する必要性が生じます。しかし、実際には99.8%と高い賛成率でした。なお、武田薬品工業の株主総会での今件の賛成率は89.1%です。

武田薬品工業が取り入れたM&Aの手法は、海外の事業を譲渡してもらう際に活用されるものです。巨額な資金が必要なときには有効な手続きといえるでしょう。

一般的な製薬会社における買収や売却などのM&Aでは、基本的に株式売却(買収)による子会社化が多く見受けられる傾向となっています。

武田薬品工業とシャイアーの今後の展開

武田薬品工業とシャイアーのM&Aは、2019年1月に手続きが完了しました。これにより、2社分の売上高を単純合算すると、2018年ベースで約3兆4,700億円です。武田薬品工業は、世界の製薬会社売上高ランキングで8位に躍進します。

ただしその後、武田薬品工業は事業の選択と集中を実施し、2019年5月、シャイアーが行っていた眼科用治療薬「シードラ」事業を、スイスのノバルティスに約5,800億円で売却することを発表しました。

武田薬品工業では、シャイアー買収の際に5兆円を超える有利子負債を負ったとされ、それを軽減したい思惑もあっての売却と見られます。

⑥大塚製薬によるVisterra Inc.の子会社化

2018年8月、大塚製薬はビステラ社(Visterra Inc.)の全株式を、大塚製薬の100%子会社である大塚アメリカインクを通して取得し、完全子会社化しました。

大塚製薬は医薬品や医療機器、食料品などの製造・販売・輸出入などを行っています。一方のビステラ社は、コンピューター上のシミュレーションを用いて、抗体医薬を設計する独自の抗体プラットフォーム技術を有する企業です。

大塚製薬では最重点領域の中枢神経、がんに加え、腎・循環器、眼科・皮膚科、感染症領域などを中心に、医薬品の研究・開発を行っています。

大塚製薬の技術とビステラ社の抗体プラットフォーム技術を用いた、さらなる医薬品開発や、ビステラ社の持つ豊富なパイプラインの獲得を目的として、子会社化を行いました。

⑦小林製薬によるTrueNatureの子会社化

2018年6月、小林製薬は、神奈川県にある化粧品製造販売会社True Natureの全ての株式を取得することで子会社化しました。この子会社化により小林製薬は、自社のマーケティング力や販売力にTrue Natureのブランド力が融合して新たな分野で展開を図るとしています。

⑧杏林製薬によるジェイタスの子会社化

2017年7月、杏林製薬は、東京都にある産総研発ベンチャーであるジェイタスの全ての株式を取得する手法で子会社化しました。ジェイタスは、超高速遺伝子定量装置「GeneSoC(R)」を開発するなど技術的に優れている会社です。

杏林製薬の親会社であるキョーリン製薬ホールディングスでは、ジェイタスが保有している技術を活用し、感染症の診断などの幅広い事業に展開を図るとしています。

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8. 製薬会社・医薬品業界の買収・M&Aまとめ

製薬会社・医薬品業界の買収・M&Aまとめ

製薬会社のM&Aにおける現状や相場などについて解説しました。製薬業界では以前からM&Aによる事業統合などが多く行われています。最近では、大手によるM&Aが盛んに行われている業界です。

また、製薬会社は少子高齢化により今後も成長を見せていく業種だといわれています。ここで紹介した事例などを参考に、業界の動向に注視して相場を把握しながらM&Aを検討するとよいでしょう。

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