2024年09月24日更新
LPガス業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例25選を徹底解説【2024年最新】
近年のLPガス業界は、M&A・買収・売却が活性化しています。その背景にあるのは、オール電化や新エネルギーの普及によりLPガスの需要が減退しつつあるといった現状です。本記事では、LPガス業界のM&A・買収・売却動向や相場・手法を、成功事例を交えて解説します。
目次
1. LPガス業界とは
ガスは、都市ガスとLPガス(プロパンガス)に分けられます。LPガスは都市ガスよりも料金が高い傾向にありますが、ガス管のインフラ整備が行き届いていない地域でも利用可能です。火力も高くさまざまな用途に使われています。
生活必需品ともいえるLPガスですが、近年は業界内の動向によって市場が縮小傾向です。この章では、LPガス業界の定義・特徴・動向を解説します。
LPガス業界の定義
LPガス業界とは、LPガス(プロパンガス)を供給する事業者です。元売・卸売・小売に分けられており、消費者に直接販売を行う小売事業者が大多数を占めています。
LPガスは、天然ガスを圧縮して常温でも液化できる状態にした燃料です。家庭業務用や一般工業用、自動車用と用途は多岐に渡ります。最も多く使用されるのは家庭業務用です。
家庭業務用とは、一般家庭や飲食店向けに販売しているLPガスであり、給湯器やガスコンロなどに使われています。そのほか、学校や病院などの公共施設にも供給されており、LPガスを活用した多種多様な製品が市販されています。
LPガスと都市ガスの違いは主成分と発熱量です。LPガスの主成分はプロパン、ブタンとする液化石油ガスに対して、都市ガスの主成分はメタンとする液化天然ガスです。この成分の違いによりLPガスの方が2倍以上も発熱量が高いです。しかし、一般家庭でガスコンロなどを使用する際は発熱量に応じガスが使われるため火力の差はありません。
LPガス業界の特徴
LPガス業界の特徴は、昔から自由度が高い点です。LPガスは以前より自由化されており、「特定地域の消費者は指定のガス会社から購入しなければならない」といった決まりがないため、消費者・ガス会社の双方が自由に選べる業界になっています。
2017年には都市ガスの自由化もされましたが、小売業に新規参入する事業者は少なく、実質的に自由化以前の料金体系が維持されているのが現状です。消費者の選択肢は増えましたが、国が期待するほどの競争環境は生み出せていません。
一方、LPガスは従来から多くの事業者が参入している業界です。料金にも縛りがなく、LPガス会社の数だけ料金プランが存在するといっても過言ではありません。消費者が自由に選べるので、昔から一定以上の競争環境が保たれています。
LPガス業界の市場規模
全国LPガス協会の資料によると、LPガス市場の国内需要は1996年度の1,970万トンがピークで、2014年度以降は1,400万トン程度で推移しています。2021年度のLPガスの総供給量は、約1,253万トンでした。
このデータから、LPガスの市場規模は大きく成長していないのがわかります。LPガスの総供給量のピークは1990年台で約1,950万トン前後となっているため、この30年ほどで700万トンほどのガス供給が減少しているのです。また、今後も減少の見通しです。
経済産業省「2023~2027年度石油製品需要見通し(案)液化石油ガス編」
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/sekiyu_shijo/pdf/009_03_00.pdf
需要量減少の背景
LPガス業界の競争は激しいといえます。理由は、市場の需要の大きな伸びが見込めないためです。
競争から離脱する事業者も多くなっています。ピーク時は40,000社以上のLPガス企業が存在していましたが年々減少しています。
需要量減少の背景には、LPガス業界内の競争が激化し、オール電化・新エネルギーの登場などの影響も受けて、値下げ競争が激しくなっていることが挙げられます。
資源エネルギー庁の「ガス事業生産動態統計の概況」によると、2021年1月度の都市ガスの販売量は前年同月比9.3%増加しました。
近年はオール電化住宅が年々増加しています。マイボイスコム社の「オール電化住宅に関するアンケート調査」によると、オール電化住宅の居住者割合は、2021年3月に14.3%と2018年よりも増加しました。
競争激化による収益性悪化や、後継者不足の要因により、LPガス業社数自体も減少傾向です。販売事業者数は約1万7,000事業所(2021年12月時点)となっており、1968年のピーク時と比べると約53%も減少しています。
今後も少子高齢化が進み、LPガスの販売先である消費者は減り続けていく見通しです。競争激化と事業者数の減少は避けられないといえるでしょう。
LPガス業界の課題と展望
LPガスの課題はガス機器の効率化による消費量の減少や少子高齢化などによる「需要の減少」、労働人口減少や働き方改革による「働き手不足」、生活に必要不可欠だからこその「安定供給」、ガスの自由化やオール電化、新エネルギーの登場などによる「競争の激化」、パリ協定による「二酸化炭素の削減」などが挙げられます。
環太平洋地域でのLPガスの増産体制が整えられることで、LPガスの安定供給が見込まれています。
その他の課題に対してもガス業界だけでなく民間さらには海外とのネットワーク構築により地球規模で考得ることが求められています。
2. LPガス業界のM&A動向
LPガスは生活必需品ともいえるエネルギーですが、LPガス業界ではM&A・買収・売却の動きが強まっています。M&Aが活性化する原因は、LPガス業界の動向や業界が抱えている問題点にあります。
この章では、LPガス業界のM&A・買収・売却動向を解説しましょう。
①LPガス(プロパンガス)市場の縮小と競争の激化
日本LPガス協会のデータより、LPガス(プロパンガス)の需要は1996年の1,970万トンをピークに年々減少傾向にあります。減少要因としては、オール電化市場の続伸が考えられます。
ガス代がかからないオール電化が一般家庭に普及したため、LPガスを必要とする場面が減りつつあります。オール電化住宅は2025年に1,000万戸を超えるとの見方です。今後も消費者が流れると予測されています。
また都市ガスの自由化やオール電化などの影響を受け、都市ガス・電力会社との競争が激化しています。競争が激しさを増すこの業界で生き抜くため、M&Aで事業規模を拡大させようと、LPガス事業者間のM&Aがさかんに行われつつあります。
売り手側は、売却益を獲得してリタイアする経営者も少なくありません。
②後継者・配送ドライバー不足が深刻
LPガス業界では、後継者問題を抱えている会社も多くなっています。厳しい競争環境で生き抜いて業績を順調に伸ばしている会社でも、事業承継ができなくては会社を存続できません。
配送ドライバー不足も深刻です。全国的に労働力不足が叫ばれる中、トラックドライバーはきつい・汚い・危険のいわゆる「3K」のイメージが強く、若手の参入が著しく低い業種でもあります。肥大化する配送コストも経営を圧迫する一因です。
M&Aならば、後継者を見つけて事業承継も可能なうえ、買い手側の経営資源を活用して労働力不足を解消できるでしょう。
③業界全体でM&Aが増加傾向
近年のLPガス業界では、M&Aを活用した業界再編が進んでいます。コスモ石油や昭和シェル石油のような大手石油元売のLPガス事業の統合によるジクシスの設立や、小売会社のM&Aによる経営資源の統合が目立っています。
買い手側がM&Aに対して積極的な姿勢を見せれば、LPガス業界は売り手市場になるでしょう。そうなれば、好条件によるM&A・売却が成立しやすい状況になり得ます。
動画ではLPガス業界でM&Aが増えている理由を解説しています。LPガス業界でのM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。
LPガス業界に精通したM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
会社売却・事業譲渡に関して、無料相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
3. LPガス会社同士のM&A事例22選
LPガス業界内でも競争が激しくなっており、近年では盛んにM&Aが実施されています。ここでは、LPガス会社同士のM&A事例を紹介しましょう。比較的大規模な会社が、海外進出のためにM&Aを行う事例が近年では増加しています。
日本海ガス絆ホールディングスによる北雄ホームサービスの子会社化
2024年7月、日本海ガス絆ホールディングスは北雄ホームサービスの株式を取得し、子会社化しました。
日本海ガス絆ホールディングスは、富山県富山市に本社を置き、富山県・石川県を中心にガス事業やインフラ設備事業、総合エネルギー事業を行っています。北雄ホームサービスは、富山県高岡市にてLPガスや灯油などのエネルギー販売、住宅設備機器の設計施工、水廻りのリフォーム工事などを展開しています。
今回のM&Aにより、経営資源を有効活用し、グループのシナジー効果を高め、さらなる地域に根差した提案・サービス提供を目指します。
参考:株式会社北雄ホームサービスの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ
SMBCキャピタル・パートナーズによるアクアクララレモンガスホールディングスなど2社の株式取得
2024年7月、三井住友銀行の投資会社であるSMBCキャピタル・パートナーズは、アクアクララレモンガスホールディングスとアクアクララの全ての株式を取得したと発表しました。
SMBCキャピタル・パートナーズは、事業の転換局面にある企業の株式をを取得してグループの企業価値向上を行っています。対象会社のアクアクララレモンガスは、LPガスの卸売・小売事業など行っており、アクアクララは、宅配水の製造・販売事業を展開しています。
今回のM&Aにより、三井住友銀行が持つネットワークを活かし、グループとしての顧客基盤の強化・拡大・地域社会への貢献を目指します。
参考:アクアクララレモンガスホールディングス株式会社およびアクアクララ株式会社の株式取得について
TOKAIにるフジプロの株式取得
2024年3月、TOKAIはフジプロの株式を取得する株式譲渡契約を締結したと発表しました。
TOKAIは、LPガス・宅配水を中心に、建築、設備工事、不動産売買事業も展開しています。特にLPガス事業は積極的な拡大戦略をとり、静岡県や関東エリアを中心に北は東北・仙台エリア、南は九州・熊本エリアまで広がっています。
フジプロは神奈川県茅ケ崎市を拠点に、神奈川県湘南・県央エリアを中心にLPガスを供給しています。創業以来70年の歴史を持ち、お客様一人ひとりに安心と快適を提供し、高い信頼と実績を築いてきました。今後はTOKAIグループに加わり、経営資源の拡充により経営の安定を図り、LPガス事業の拡大を目指します。
今回のM&Aによって、神奈川エリアの営業体制を充実させることで、業務効率が向上し、LPガスの安定供給と事業の拡大が期待されます。
参考:フジプロの株式取得に係る契約締結のお知らせ
東京高圧山崎による北海商事の事業取得
2024年3月、東京高圧山崎は北海商事が行うプロパン、酸素、アセチレンの販売及び之に付帯する器具の販売事業を譲り受けることを発表しました。
東京高圧山崎は、産業ガス・溶材機材事業とファイン製品事業を中心に展開しており、産業ガス・溶材機材事業では関東を中心に全国に向けて販売やサービスを提供しています。
北海商事社は、東京、埼玉、神奈川地区で産業ガス及び溶材機材の販売事業を行っています。
今回のM&Aは、関東エリア市場における事業拡大を図るため、北海商事社の事業を引き継ぐこととなりました。
参考:事業譲受に関するお知らせ
東部ネットワークによるテーエス運輸の株式取得
2024年3月、東部ネットワークはテーエス運輸の発行済株式数の100%を既存株主から取得する株式譲渡契約を締結したことを発表しました。
東部ネットワークはトラック輸送事業、3PL事業、不動産賃貸事業、自動車整備事業、石油・セメント類といった商品販売を行なっています。利益率向上のため、不動産賃貸事業を拡大し、提案物流による施設提供や取引先の商品販売にも注力しています。
テーエス運輸は、フランスの Air Liquide SA の日本法人である日本エア・リキード合同会社の子会社として、産業用ガスの配送を半世紀以上行っています。また、新エネルギーとして期待される水素の輸送実績もあります。
今回のM&Aにより、産業用ガス輸送事業を拡大し、水素・アンモニアなど新エネルギーの輸送も強化します。また、産業用資材輸送事業の成長を加速さるとしています。
参考:テーエス運輸株式会社の株式取得(子会社化)
東京ガスによる米国ロッククリフ・エナジー社の株式取得
2023年12月、東京ガスは米国の天然ガス開発・生産事業会社 ロッククリフ・エナジー社の全株式を取得すると発表しました。約2,700百万米ドル(約4,050億円)で取得完了予定です。
東京ガスはLNG(液化天然ガス)の調達からお客様へのソリューション提供まで、一貫して対応しており、クリーンなガス・電力エネルギーの安定供給を実現しています。
ロッククリフ・エナジー社は米国テキサス州に拠点を置き、テキサス州およびルイジアナ州のヘインズビル層他の天然ガス開発・生産事業を行なっております。
米国内でLNG輸出基地の新設が進むなど、天然ガス需要の増加が見込まれています。東京ガスグループは、中期経営計画「Compass Transformation 23-25」において、北米でのシェールガス事業の拡大を掲げており、今回の株式取得により海外における収益基盤の構築を見込んでいます。
参考:天然ガス開発・生産事業会社「ロッククリフ・エナジー社」の全株式取得
東京高圧山崎によるオガワ産業の連結子会社化
2023年11月、東京高圧山崎はオガワ産業の株式を追加取得し、連結子会社化することを発表しました。
東京高圧山崎は、産業ガス・溶材機材事業とファイン製品事業を中心に展開しており、産業ガス・溶材機材事業では関東を中心に全国に向けて販売やサービスを提供しています。
オガワ産業は、京葉エリアで産業ガス・溶材機材事業を得意とし、柔軟な営業を展開しています。
オガワ産業の子会社化により、当社は京葉エリアでの営業力を強化し、業容の拡大が期待されます。
参考:持分法適用関連会社の株式取得(連結子会社化)
日本特殊陶業によるデンソーの一部事業の取得
2023年7月、日本特殊陶業はデンソーの一部事業のスパークプラグ事業、および排ガス用酸素センサに係る事業を譲受に関する基本合意書を締結したことを発表しました。
日本特殊陶業は主力事業の内燃機関製品において、技術開発を通じて供給の安定とエネルギー効率向上に注力している会社です。
デンソーは自動車部品やシステム及び生活関連機器の開発・製造・販売を行っています。
日本特殊陶業は今回のM&Aにより内燃機関製品の生産最適化による安定供給と業界全体の環境負荷低減に貢献すると共に、自動車関連事業を強化し、長期経営計画の事業ポートフォリオ転換を推進するとしています。
参考:デンソーの一部事業の譲受
アンビションDXによるDRAFTの株式取得
2023年4月、アンビションDXはDRAFTの全株式を取得し子会社化することを発表しました。
アンビションDXは賃貸 DX プロパティマネジメント事業を中心に、賃貸 DX 賃貸仲介事業、売買 DX インベスト事業、インキュベーション事業などを展開しております。DXによる自社の事業変革と不動産業界全体の変革を目指しております。
DRAFT 社は、新電力・ガス・ウォーターサーバーといった日常生活に関する商品や住宅環境設備に関する商品の訪問販売や営業を通じて、実務経験を積み、スキルや知識を習得するインターンシップを実施しています。
今回の子会社化により、DRAFT 社のライフライン営業を賃貸管理事業や賃貸仲介事業に展開することで、当社グループとのシナジー効果を生み出し、業容の拡大と企業価値向上に貢献すると判断いたしました。
参考:住宅環境に関する商品の営業代行を運営するDRAFT を子会社化
日機装による欧州CRYOTEC Anlagenbau GmbHの株式取得
2023年1月、日機装の連結子会社であるNikkiso Clean Energy & Industrial Gases Group(CE&IG グループ)はCRYOTEC Anlagenbau GmbHの全株式取得の株式譲渡契約を締結したことを発表しました。
CE&IG グループは、産業ガス・LNG関連分野で、ポンプや熱交換器の供給に加え、EPCを含む極低温のポンプ関連設備・プラントを一括提供できるソリューション企業です。米国やアジアを中心に事業を拡大し、現在はクリーンエネルギーを中心とした事業戦略の下、地域戦略を推進しながら、新たな技術開発や生産・販売・アフターサービス体制の強化に取り組んでいます。
CRYOTEC 社は、欧州や中近東などを中心に事業を展開しており、液化ガス・産業ガス関連機器・装置の設計、製造、販売、アフターサービスに関するノウハウを有しています。特に小型LNG液化プラントや空気分離プラント等のEPC(設計・調達・建設)を含めたエンジニアリング力が強みです。
今回のM&Aにより欧州に液化プラント、水素ステーション、CO2回収ビジネスなどのハブ拠点を擁しすことができます。また、グループ調達によりコスト競争力を高めつつ、販売ネットワークを活用して販売を強化できるなど、様々なシナジーを見込んでいます。
参考:CE&IG グループの欧州事業強化に向けた 事業会社の株式取得
大丸エナウィンによる株式会社クサネンの株式の取得(子会社化)
2022年6月に、大丸エナウィンによる株式会社クサネンの株式の取得(子会社化)したと発表した。
大丸エナウィンは、近畿圏を中心にLPガス、住宅設備機器の販売や、ミネラルウォーターの製造、宅配、在宅医療機器のレンタル及び医療産 業ガス等の販売事業を営んでいます。
クサネンは、滋賀県草津市を中心に取引先との信頼関係を構築、55 年という長きにわたってLPガス販売、住宅リフォーム等を行っており、地域密着企業と して頑強な営業基盤を持っています。
大丸エナウィンは、滋賀県での戦略的な事業エリア拡大と強化を図るとしている。
参考:株式会社クサネンの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
リケンによるJFE 継手の株式取得
2022年11月、リケンはJFE継手の株式を取得し子会社化することを発表しました。
リケンは次世代新事業として非ICE事業の拡大を目指し、親和性の高い事業領域でのポートフォリオを拡充するため、M&Aを積極的に検討しています。
JFE 継手は、JFE グループの一員として、幅広いラインナップの配管継手を製造・販売しています。高品質な製品力を背景に、多くの顧客との長年にわたる取引を通じた強固なリレーションを築き、業界のリーディングプレイヤーの一角として地位を確立しています。
今回のM&Aにより両社の強みを活かし、高品質な製品を継続して提供し、中長期的な経営の安定と持続的な成長、企業価値の向上を目指します。
参考:JFE 継手株式会社の株式の取得(子会社化)
Misumiによる石井商店の株式の取得(子会社化)
2022年5月に、Misumiによる石井商店の株式の取得(子会社化)したろ発表した。
Misumiはエネルギー、ライフスタイル、フード&ビバレッジの 3 つの事業領域を中心に暮らしに必要なサービス、商品を提供しています。
社石井商店は宮崎県を中心にLPガス及び器具の販売等を行っています。
Misumiは宮崎県内での販売網と情報を共有することでネルギー事業の宮崎県内での事業拡大を図れる等、Misumiの成長及び企業価値の向上を見込めるとしている。
参考:株式会社石井商店の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
東京ガスによるキャッスルトン・リソーシズの子会社化
2020年8月に、東京ガスがキャッスルトン・リソーシーズを子会社としました。米国シェールガス事業のオペレータを東京ガスが子会社とした初めての事業となります。
東京ガスは、米国テキサス州にてガス開発、生産事業を行うキャッスルトン・リソーシズへの出資比率を46%から70%超に引き上げ、子会社化しました。キャッスルトン・リソーシーズは、2021年3月に、社名を「TG Natural Resources LLC」に改称しています。
東京ガスは、引き続き北米での事業基盤の拡大に向けて投資を継続するとしています。今後もM&Aによって業容や売上規模の拡大を図る見込みでしょう。
参考:新たなガス田の権益の取得とキャッスルトン・リソーシズ社の子会社化
TOKAIホールディングスによるベトナム大手LPガス販売事業者の株式取得
2020年7月にTOKAIホールディングスの100%子会社であるTOKAIが、ベトナムの大手LPガス販売事業者のPETRO CENTER CORPORATIONにおける子会社MIEN TRUNG GAS JOINT STOCK COMPANYとV-GAS PETROLEUM CORPORATIONの株式取得を発表しました。
これにより、TOKAIホールディングスグループは、ベトナムのLPガス市場に参入します。株式取得割合は各45%でした。
TOKAIホールディングスは、グループでの両社の企業価値向上、さらなるベトナムLPガス市場の発展、インフラ基盤の充実を見込んでいます。ベトナムLPガス市場への進出により、グループLPガス事業の収益基盤の拡大・収益力強化も図っています。
参考:LP ガス事業のベトナム市場参入について ~ ベトナムの大手 LP ガス販売事業者 ペトロセンターグループへの出資 ~
東海ガスによるガス事業の取得
2019年5月に東海ガスは、秋田県にかほ市が運営するガス事業の譲受を公表しました。にかほ市のガス事業は、昭和30年代より各地域において市民の生活を支えてきた重要なライフラインです。
近年の競争環境の激化やガス事業の自由化により、経営状態は悪化していました。安定した供給を行うために、ガス事業の民営化が最適との判断に至っています。
2019年8月に東海ガスは新会社「にかほガス」を設立し、にかほ市のガス事業を引き継ぎ。今後はグループが保有する豊富な経営資源を活用して、安定したサービスを提供していくとしています。
参考:にかほ市ガス事業譲渡に関する契約の締結について
静岡ガスによる中遠ガスの子会社化
2019年2月に静岡ガスは、株式交換による連結子会社中遠ガスの子会社化を公表しました。同年5月1日に効力が発生しています。
中遠ガスは、静岡県掛川市を中心に天然ガス事業を展開するガス会社です。天然ガス供給やくらしサービスをとおして、天然ガスの普及拡大に貢献しています。
静岡ガスはより高いサービスを提供するため、経営資源を投下し、中遠ガスの効果的な事業展開を目指すとしています。
参考:連結子会社(中遠ガス株式会社)の完全子会社化
カメイによる最上ガスの子会社化
2019年1月にカメイは、最上ガスの全株式を取得して、グループ会社の1社として迎え入れたことを公表しました。最上ガスは山形県新庄市に拠点を構えるLPガス会社です。LPガス・灯油の販売事業を主軸として、配管工事業も手掛けています。
カメイは、LPガス・灯油の定期配送を中心とするホーム事業を行っている会社です。最上ガスの事業を活用することで、自社グループの収益向上につながるとしています。
参考:最上ガス株式会社の株式取得に関するお知らせ
東邦ガスによるヤマサの子会社化
2018年12月に東邦ガスは、傘下のヤマサの全株式を取得すると公表しました。ヤマサの子会社も同様に子会社とする予定です。
ヤマサは、LPガスを主たる事業とするガス会社です。エネルギー事業やサポート事業の他、地域密着・社会貢献も行っており、長年に渡って顧客との信頼関係を築いています。
今回のM&Aで獲得したヤマサのLPガス事業は、以前より掲げていた東邦ガスのLPガス事業の強化に活用する見通しです。
参考:株式会社ヤマサの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
静岡ガスによる島田瓦斯の子会社化
2018年3月に静岡ガスは、島田瓦斯の株式55.8%を取得して、連結子会社化すると公表しました。島田瓦斯は、静岡県島田市を拠点にLPガス・都市ガス事業を展開するガス会社です。平成19年からは天然ガス事業にも着手し、さまざまな形で地域に大きく貢献しています。
グループの経営資源を利用して、島田地域のガス普及拡大と多様化する顧客需要に対応していく見解を示しています。同年12月に強い事業シナジーを創出するため、100%の株式を取得しました。
参考:島田瓦斯株式会社の株式取得に関するお知らせ
コムシスホールディングスによるカンドーの子会社化
2017年3月にコムシスホールディングスは、株式交換によるカンドーの子会社化を公表しました。カンドーはガスインフラを主軸として導管事業・都市設備事業を手掛けているガス会社です。
東京瓦斯指定の工事会社ニューエスエンジニアリングとソーセツが合併して誕生した会社です。幅広い事業で顧客からの高い信頼を獲得しています。
コムシスは、グループが保有するガス・通信・電気などの経営資源を投下して、カンドーのサービス拡充を目指します。
参考:簡易株式交換による株式会社カンドーの完全子会社化に関するお知らせ
日本瓦斯による簡易ガス事業の事業承継
2014年8月に日本瓦斯は、秋山商店からの簡易ガス事業の取得を公表しました。費用は6,000万円で、同年10月に引き渡しが完了しています。
日本瓦斯は、秋山商店の主力事業である簡易ガス事業を取り込んで、自社の簡易ガス事業領域における市場競争力強化を目的としています。
4. LPガス会社と異業種によるM&A事例6選
次に、LPガス会社と異業種によるM&A事例を紹介します。
日本海ガス絆ホールディングスによる北陸電設の株式取得
2024年5月、日本海ガス絆ホールディングスは、北陸電設の全ての株式を取得しました。
日本海ガス絆ホールディングスは、都市ガス工事とLPガス供給設備の設計・施工、水道工事・消雪工事、道路舗装工事の施工を行っています。対象会社の北陸電設は、電気設備工事や光通信工事、機械計装工事の設計・施工を手がけています。
今回のM&Aにより、グループとして掲げている「総合エネルギーグループへの進化」の目標を目指し、事業領域を拡大させ、総合エネルギーグループとしてグループ全体に相乗効果を目指します。
参考:株式会社北陸電設の株式取得に関するお知らせ
東京ガスとITスタートアップの資本業務提携
2018年11月に東京ガスは、ITスタートアップのエコナビスタと資本業務提携契約を締結したと公表しました。エコナビスタは疲労・睡眠の医学的研究を行っているスタートアップです。
人々の健やかな暮らしを支えるのをコンセプトに、病院・高齢者施設向けにシステムを開発・提供していました。東京ガスは「ずっともプラン」の拡充のためにスタートアップへの投資を積極的に行っています。
東京ガスの暮らしに関する知見・実績とエコナビスタの疲労医学研究を活用して、新サービスの共同開発を試みます。
参考:睡眠・疲労回復サポートサービスの開発に向けた 資本業務提携契約の締結について
ミツウロコグループHDによるサンユウの株式取得
ミツウロコグループHDは、2018年5月にサンユウの全株式を譲り受けました。ミツウロコグループHDのLPガス事業では、販売顧客数や販売数量の拡大を目指し、エネルギー周辺事業の拡充を目指しています。この目的を達成するための株式取得です。
ミツウロコグループの連結子会社であるミツウロコヴェッセルが、サンユウの全株式を譲り受ける株式譲渡契約を結びました。サンユウのオール電化、太陽光発電、家庭用蓄電池の販売・設置工事のスキルをミツウロコグループHDのネットワ ークに落とし込み、さらなるシナジーを目指します。
西部ガスによるエストラストのTOB
2017年1月に西部ガスは、エストラストの株式51%をTOBで取得すると公表しました。1月24日から2月20日にかけて1株800円による買付を行い、2月24日付でエストラストを子会社化しました。
エストラストは、新築マンション販売の不動産分譲事業を軸とする不動産会社です。マンション管理などの住関連のサービスも幅広く手掛けており、着実に事業基盤を固めつつあります。
今回のM&Aは、西部ガスにとって異業種への参入となりました。暮らしに深くかかわるLPガスと不動産事業のシナジー効果によって、相互に安定性向上が見込めると判断し、M&Aに踏み切っています。
参考:株式会社エストラスト株式(証券コード 3280)に対する公開買付けの結果 及び子会社の異動に関するお知らせ
岩谷産業によるエヌ・ケイ・ケイの子会社化
岩谷産業株式会社は2016年9月に、エヌ・ケイ・ケイ株式会社の株式を100%取得し、子会社化するのに成功しました。岩谷産業は、産業・家庭用ガス専門商社で、LPガスの分野では日本の市場占有率1位の総合エネルギー企業です。
製缶から充填(じゅうてん)まで一貫して行うエアゾールメーカーであるエヌ・ケイ・ケイは、特にダストブロワー(ノズルから気体を放出し、ほこりなどを吹き飛ばす道具)に関しては、ノンフロン商品を独自の技術で製造している企業です。
ダストブロワーの多くが代替フロンを使用しているのに対し、エヌ・ケイ・ケイの製品はジメチルエーテル(DME)と二酸化炭素を使用しています。地球温暖化係数は一般的な代替フロンであるHFC134aと比較し1/1,430と、地球環境にやさしい製品作りをしています。
参考:エヌ・ケイ・ケイ株式会社の株式取得(子会社化)について
そこに注目した岩谷産業が、今回の子会社化を決めて実現に至りました。エヌ・ケイ・ケイも、国内ではOEM提供などにより約6割のシェアを有しているものの、今後は岩谷産業の販売網を活用して、海外マーケットへの拡販を図っていきます。
伊藤忠エネクスによる大阪カーライフグループの子会社化
2014年5月、伊藤忠エネクスによる大阪カーライフグループの子会社化が実現しました。取得総額は約60億円です。伊藤忠エネクスは、今回の買収によって燃料販売の枠組みを超え、自動車関連事業に本格参入しました。
伊藤忠エネクスは、燃料販売を中心とした事業基盤を強化し、シナジー効果の追求で顧客のカーライフに新しい価値を提案していきます。
参考:大阪カーライフグループ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
5. LPガスのM&Aメリット
買い手側 | 売り手側 |
・増販できる ・スケールメリット ・事業拡大 |
・従業員の雇用継続 ・後継者問題の解消 ・売却利益の獲得 ・個人保証・担保の解消 |
買い手側のメリット
増販できる
同業者同士のM&Aを実施すれば、LPガスの販売契約数を拡大させ、今まで以上にLPガスを販売することが可能になります。
家庭用のLPガスを販売する小売業者間の買収では、経営・経理・総務などの管理部門の業務を一本化でき、コストの削減を図ることができます。
買収により経営基盤を強化でき、縮小市場の中でも安定した事業を行えるようになります。
コスト削減
同業者同士のM&Aでは、LPガスの取扱量が増加するため今までよりも多く仕入れることができコストの削減が可能です。
特にLPガスの輸入や生産を行う元売業者は、LPガスの保管基地・輸入船といった、大型の設備を保有しているケースが多いです。そのため、管理費・整備費・燃料費など高額なコストがかかっています。
買収により基地の相互利用や輸入船の共同運航など、コストの大幅な削減を行え、経営基盤の安定化を図れます。
事業拡大
事業エリアの拡大も、同業者通しのM&Aで得られる大きなメリットの1つです。販売エリアではなかった地域の事業者を買収し、事業エリアを拡大できます。
買収を行わず独自に新規エリアを開拓するとなると、地域の住宅事業や都市ガス普及率といった情報が必要となります。需要が減る中で契約を取るLPガス業界では大きな労力・コストとなります。
一方で、LPガス小売業者を買収すれば、地域性を十分に理解しているためノウハウを生かしながら、事業エリアを拡大できます。
実際に社歴が長く地域に根差した経営を続けている優良な企業は、M&Aの相手として高い評価を得ています。
売り手側のメリット
従業員の雇用継続
事業の廃業や清算で従業員を解雇することは、経営者としては避けたい決断です。
事業を譲渡することで継続可能な状態にすることで、従業員の雇用は継続することができます。
また、経営が安定している企業であれば自社で雇用している時よりも良い処遇になる可能性もあります。
後継者問題の解消
LP業界に限りませんが、日本では中小企業において深刻な後継者不足が課題となっています。
経営者の体調不良などによって、業績自体は良好にも関わらず廃業を選択する企業もあります。
M&Aを行うことで、後継者問題を解決することができます。
売却利益の獲得
株式ごと売却した場合、株主が対価を得ることができます。
事業の規模やM&Aにかかる費用によって変わりますが、まとまった金額の利益を獲得することができます。
この利益によって、新規の事業やリタイア後の資金にすることができます。
個人保証・担保の解消
経営者個人が金融機関から借入を行う際、個人保証や担保を入れていることが少なくありません。
M&Aの際に確認・取り決めは必要ですが、会社を丸ごと買収側に手渡す会社売却では、会社の債務が買収者へ引き継がれます。
そのため、会社売却で個人の資産を守ることができます。
6. LPガス業界のM&A売却相場
LPガス業界の大まかな相場
大まかなM&A相場を把握しておくことで、相場よりも低く買いたたかれることを避けることができます。さらに、M&Aが最も適な選択肢なのか判断する際にも役立つでしょう。
LPガス業界のM&Aで用いられることの多いスキームは株式譲渡と事業譲渡です。それぞれの大まかなM&A相場は以下の計算式で求めることができます。
株式譲渡の相場=時価純資産額+営業利益×2年~5年分
事業譲渡の相場=時価事業純資産額+事業利益×2年~5年分
業種の特性や対象企業の特徴により営業利益・事業利益に掛け合わせる年数は違ってきますが、一般的には、2年または3年で算出するケースが多いようです。
企業価値評価の手法
LPガス会社のM&Aを検討するうえで、M&A・買収・売却相場も気になるでしょう。LPガス業界全体で共通する価格相場は存在しませんが、企業価値評価といった計算方法で大まかに予測できます。
企業価値評価とは、M&Aの取引価格を決めるうえで参考となる基準価値を算出する方法です。数ある計算方法の中から、会社の状況や業種に合わせた最適な方法を選択し、適正な企業価値を算出できます。
コストアプローチ
コストアプローチは、貸借対照表上の純資産を基に企業価値を評価する方法です。代表的な手法にには時価純資産法・簿価純資産法があります。
時価純資産法は下記の計算式になります。
企業価値=時価資産−時価負債
シンプルな計算で算出ができ、売り手・買い手ともに納得感が得られやすい点がメリットですが、一方で企業の特性や将来性が反映されないというデメリットもあります。
M&A実務上では、企業の特性や将来性をある程度反映させるために、資産にのれん(営業権)を加えるケースが多いです。
インカムアプローチ
インカムアプローチとは、対象企業の将来予測されるフリーキャッシュフローを基に企業価値の評価を行う方法です。代表的な手法には配当還元法・DCF法などがあり、DCF法は大企業のM&Aで多く活用されています。
最大のメリットは企業固有の特性や将来性が反映される点ですが、フリーキャッシュフローの予測は対象企業が策定した事業計画を基に行うため客観性は高いとはいえず、主観性が入りやすく正確な評価とならないケースがある点がデメリットです。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、対象企業と事業規模や事業内容が類似する上場企業を選び、その企業の市場株価や過去に行なったM&Aの取引価格などを基に企業価値評価を行う方法です。
代表的な手法には市場株価法・マルチプル法(類似会社比準法)があり、トレンドや動向など市場環境が反映される点や客観性が高い点がメリットとして挙げられます。
その一方で、中小企業の場合は類似条件に該当する企業をみつけることが難しい点や、選定時に主観が入りやすい点がデメリットです。
最終的な金額は交渉で決まる
先述の通り大まかな相場は計算することでわかります。しかし、必ずしも近い金額でM&Aが成立するというわけではありません。M&Aでは企業価値評価をもとに譲渡側・譲受側とが交渉して最終的な金額が決まります。
保有資産や将来的に見込める収益に加え、ブランド力やノウハウ・技術力など目に見えない部分も含めて総合的に判断されるため、相場より高い価格でM&Aが成立するケースも少なくありません。
7. LPガス業界のM&A手法
株式譲渡
株式売却(譲渡)とは、売り手が保有する株式を売却(譲渡)して経営権を移転するM&A手法です。株式会社は株式の保有率が経営に影響を及ぼします。経営権の移転は、買い手側の株式保有率が1/2を超えるように売却(譲渡)して成立します。
株式売却(譲渡)で実際に移動させるのは経営権のみです。会社の資産や権利義務はそのまま引き継ぎされるため、個別な手続きは不要です。数あるM&A手法の中で最も手続きが簡便とされており、主に中小規模の会社のM&Aで活用されています。
株式の売却益は株主個人に支払われます。一般的に中小規模の会社は経営者が株式を保有しているので、株式売却(譲渡)の売却益は経営者個人が獲得するケースが多いです。個人的な資産となるため、新規事業の立ち上げや生活資金などに使えるでしょう。
事業譲渡・商権譲渡
事業売却(譲渡)とは、事業の全部あるいは一部を売却(譲渡)するM&A手法です。売却対象は会社の事業・資産となっており、会社の経営権は維持されます。
事業売却(譲渡)を選択する最大のメリットは、売却対象を自由に選べる点です。会社が保有する事業・資産の中から自由に選べるため、不採算事業を切り離して事業再生を図る使い方がされています。
事業売却(譲渡)の売却益は会社に支払われます。会社の事業資金として活用できるので、規模を拡大させたい事業に効果的にリソースを集中させられるでしょう。
その他のM&A
LPガス業界のM&Aでは、TOB(株式公開買い付け)も活用されています。TOBとは、株式買付に関する事前公告を行ったうえで株式市場外から広く買付を行うM&A手法です。
大企業の株式は株式市場に分散しているケースが多いので、売り手と買い手のやり取りのみで経営権を移転させるのが難しい状況があります。TOBを活用して株式を買い集めれば、効率的に経営権を取得できます。
一定の価格で買い付けができるので、買収に要する費用を試算しやすい点がメリットです。しかし、全ての株主が買付に応じるとは限らないといったデメリットもあります。
その他、資本業務提携も活用することもあります。資本業務提とは自社だけでは困難なことを複数の企業の技術・ノウハウ、資金によって達成することを目標とした関係を指します。企業同士で結びつきを強化したり、将来M&Aや合併を見据えた形で経営権を取得しない位に出資しあう形で関係を築いていきます。
8. LPガス業界のM&Aの流れ
LPガス業界のM&Aを検討するうえで、何から手をつければよいかわからない人もいるでしょう。この章では、LPガス業界の一般的な進め方を解説します。
①M&A仲介会社などに相談
LPガス業界のM&Aを成功させるためには、業界に精通している専門家のサポートがおすすめです。M&A仲介を専門的に扱っている専門家であれば、業界事情やM&Aの手順について詳しい解説を受けられます。
M&Aの専門家はいくつかありますが、おすすめの相談先はM&A仲介会社です。LPガスの業界動向を踏まえたうえで、会社売却や事業承継などのあらゆる選択肢を模索したうえ、一貫支援を受けられるでしょう。
M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&Aの知識・経験豊富なM&Aアドバイザーが、親身になって案件をフルサポートいたします。
②M&A先の選定・交渉
相談先が決定したらM&A先の選定を行います。よりよい条件の相手を見つけるため、広範囲からM&A先を選定しましょう。
条件が一致する相手が見つかったらコンタクトを取って、M&A先との交渉を進めていきます。売り手は経営状況をわかりやすく伝えるための資料の提出、買い手は受け取った資料を精査して検討に入ります。
③基本合意書の締結
双方がM&Aに対して前向きである場合、現時点の意思確認を示すために基本合意書を締結します。M&Aの取引に関する諸条件が記載されますが、独占交渉権や秘密保持などの一部条項を除いて法的な効力は持ちません。
基本合意書の目的は、あくまでも今後のM&A取引の進行を円滑にする点にあります。取引価格やM&A手法は、今後の交渉やデューデリジェンス次第で変更される可能性があります。
④デューデリジェンスの実施
デューデリジェンスとは、M&A取引対象の価値・リスクを調査する活動です。売り手が潜在的リスクを抱えていないか、財務・法務・税務などのあらゆる面から徹底的に調査を行います。
特に焦点となるのは簿外債務です。貸借対照表に記載されない債務で、存在に気づかないまま買収すると、買い手側は想定外のリスクを抱えこみます。
M&A成約後に損害賠償問題に発展してしまう場合もあるので、適正なM&A取引を実現するためにも欠かせない大切な工程です。
⑤最終契約書の締結
デューデリジェンスで大きな問題が見つからなかった場合は、最終契約書の締結に移ります。基本合意書の内容にデューデリジェンスの結果を反映させて最終契約書を締結します。
全ての条項において法的な効力を伴うので、不利な条件が盛り込まれていないか確認するのが大切です。日常の業務で利用しない難解な表現が使われている場合もあるため、わからない条項は相談先の専門家に尋ねて確認しておくとよいでしょう。
⑥クロージング
クロージングでは、売り手が引き渡しを行い、買い手が取得対価を支払います。クロージングが行われたら、M&Aが成約したことを意味します。
引き渡し準備はある程度の期間を要するため、最終契約書の締結から一定期間を空けて行われるケースが一般的です。株式売却(譲渡)の場合は手続きが簡便なので、双方の準備が十分であれば最終契約書の締結と同時にクロージングを行う場合もあります。
9. LPガス業界のM&Aを成功させるポイント
LPガス業界でM&Aを実施する際、いくつかの重要ポイントがあります。これらを押さえておくとM&Aの成功率アップにもつながります。
①M&A実行日までに経営の黒字化を目指す
M&Aの会社売却は黒字である必要はありませんが、買い手側の視点で見ると、財務状況は大切な指標の一つなので、可能ならば経営状態は黒字が好ましいです。
財務状況の悪化によりM&Aを検討している場合は、黒字化が難しいケースもあるでしょう。その際は、少しでもよいので経営状態の健全化を図っておくと買い手も見つかりやすくなります。
具体的には、短期・中期別に実現可能な目標を設定して少しずつ改善していくとよいでしょう。
②M&A・買収・売却のために入念に準備する
M&Aは長い時間をかけて行われるものなので、入念なM&A戦略策定が求められます。M&A戦略で特に大切なのは、目的の明確化と資料準備です。
M&Aの目的は多岐に渡ります。売り手は会社売却の利益獲得や従業員の雇用先の確保、買い手は人材確保や技術獲得による事業規模の拡大などが挙げられます。用いる手法によっては臨んだ結果が得られないケースもあるため、目的の明確化が大切です。
会社売却における準備で大切なのは、買い手に対して財務状況を伝えるための資料作成です。財務状況を正しく伝えたうえで、強み・魅力を効果的にアピールできれば、好条件の買い手を見つけやすくなるでしょう。
③情報の漏えいに注意する
M&Aの情報が外部に漏えいすると、従業員に動揺を与えたり株式市場をいたずらにあおったりと、さまざまなリスクが想定されます。基本的にM&Aは水面下で進行するのが鉄則とされており、情報漏えいには細心の注意を払わなくてはなりません。
M&Aの交渉にかかわる人員はごく一部に限定しましょう。従業員や家族に対しても口外するのを禁止する必要があります。
情報公開するタイミングは、一般にM&Aの最終契約書が締結されたときです。それ以降は会社全体で情報を共有して、会社売却のための準備に取り掛かります。
④簿外債務などミスをチェックする
簿外債務とは、貸借対照表に記載されない潜在的リスクです。現金主義の会計処理の場合は経常的に発生するものなので、売り手側は事前に調査を行って資料を提出しておく必要があります。
その一方で買い手側は、財務デューデリジェンスを実施して簿外債務の洗い出しに努めます。財務面以外に法務・税務の潜在的リスクも存在しているため、並行して実施するのが一般的です。
⑤信頼できる相談先を見つける
ここまで紹介したポイントを全て実践するためには、M&Aの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。信頼できる専門家を探して、M&Aのサポートを依頼しましょう。
特におすすめの相談先はM&A仲介会社です。売り手と買い手の仲介に入り友好的M&Aを目指す仲介型が一般的で、M&Aを円滑に進められる特徴があります。
10. LPガス業界のM&A・買収・売却する際におすすめの仲介会社
LPガス業界のM&A・買収・売却をご検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aの経験・知識が豊富なM&Aアドバイザーが、相談からクロージングまで一貫してサポートいたします。
LPガス業界の動向調査や資料作成など、万全の体制を整えたうえでM&Aに臨みます。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
会社売却・事業譲渡に関して、無料相談をお受けしておりますので、LPガス業界のM&Aをご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。
11. LPガス業界のM&A・買収・売却まとめ
LPガスは幅広い用途に使われているエネルギーです。しかし、近年のLPガス業界は、業界内の競争激化や新エネルギーの台頭により、市場が縮小傾向にあります。
業界内の再編が続いてM&A・買収・売却は活性化しますが、業界動向に注意しておくと、買収・売却のタイミングを見計らうのも可能でしょう。
12. LPガス業界の成約事例一覧
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