システム開発会社のM&A・買収・売却の完全マニュアル【成功事例6選あり】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

システム開発会社を含むIT業界のM&Aは年々、増加中です。システム開発会社のM&A動向を分析し、そのメリットや成功のポイントについて徹底解説します。合わせて、システム開発会社のM&A事例も掲示するので参考にご覧ください。

目次

  1. システム開発会社はM&Aの効果を得やすく件数も多い
  2. システム開発会社をM&Aで売却するメリットは多い
  3. システム開発会社は買収のメリットも多く買い手が見つかりやすい
  4. M&Aで売却しやすいシステム開発会社の特徴は?
  5. システム開発会社がM&Aを行った事例を6つ確認しよう
  6. システム開発会社がM&Aを行う第一歩目は専門家選びから
  7. システム開発会社の今後はM&A総合研究所にご相談ください!
  8. まとめ
  9. システム開発業界の成約事例一覧
  10. システム開発業界のM&A案件一覧
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1. システム開発会社はM&Aの効果を得やすく件数も多い

システム開発は、M&Aの件数が多い業界です。同業者同士のM&Aや、異業種が買い手となるM&Aが盛んに行われています。

また、IT業界では国外需要への対応を進めている企業も増えており、効率良く海外進出するためにM&Aが行われることも珍しくありません。

システム開発は、世界的に需要が高い状況です。しかし、中小規模のシステム開発会社は、従業員不足や営業力不足などから経営が厳しくなっていることもよくあります。

そのようなケースは、M&Aで同業他社に売却することで経営課題が解決しやすいです。システム開発会社には人手不足である会社が少なくないので、自社を必要としてくれる買い手は見つかるでしょう。

また、さまざまな業界の大手企業も、自社にシステム開発部門を新設する流れが増えています。今までは外部のシステム開発会社に委託していた業務も自社でまかなおうとしています。それによって、コストを抑えることや自社に最適なシステムを作ることを可能にしています。

大手企業のシステム開発を内製化する動きは、今後も急速に広がっていくはずです。社内に優秀な技術者がいない大手企業は、内製化に対応するためにシステム開発会社をM&Aで買収するでしょう。

以上のような状況なので、早急な解決が難しい経営課題を有するシステム開発会社である場合、M&Aを検討するのは良い選択です。

システム開発会社のM&Aは需要が高い今がチャンス

システム開発会社のM&Aは、需要が高い今がチャンスです。現在、急速に進化していくIT産業において、システム開発会社の人気も高くなっています。

スマートフォンやタブレット端末の普及によって、今まではあまり扱われてこなかったアプリ開発のニーズも高いです。需要に対応するため、スマートフォンユーザーも意識したシステム開発会社も増えています。

一方で、過去に構築されたシステムは、スマートフォンユーザーを意識できておらず不便なことも珍しくありません。そのような既存のシステムを最新技術によって使いやすくする、システムの再構築を行うシステム開発会社も需要が高いです。

このように、近年はシステム開発会社が行える業務も幅広くなり、いずれも需要があります。業務の発注者は同業他社であることもあれば異業種のこともあり、取引先の数も多いです。したがって、今後も伸びていく業界といえます。

しかし、需要の高さとは裏腹に、会社の将来に不安を感じているシステム開発会社の経営者も少なくありません。実は経営課題を抱えているときこそ、M&Aで得られるメリットは多くあります。どのようなメリットがあるのか、次項で見ていきましょう。

【関連】システム開発会社の問題を会社譲渡(株式譲渡)で解決しよう!業界動向や事例まで

2. システム開発会社をM&Aで売却するメリットは多い

システム開発会社をM&Aで売却するメリットは大きいです。売却側になってM&Aを成功させれば、具体的には以下のような利点があります。
 

  • 今よりも元請けに近い位置で業務ができるようになる
  • 従業員の待遇を良くして離職率を下げられる
  • 自社にないシステム開発技術を従業員に習得させられる
  • Web制作業務に従業員が悩まされることが減る
  • 後継者がいなくても会社を存続させられる

このように、M&Aではシステム開発会社の幅広い経営課題を解決することが狙えます。システム開発会社をM&Aで売却するメリットについて、詳しく見ていきましょう。

今よりも元請けに近い位置で業務ができるようになる

システム開発会社を自社よりも元請けに近い企業に売ることで、現在より元請けに近い立場で業務ができるようになります。

IT業界は多重下請構造となっており、元請けから二次請け、三次請け、四次請け、五次請けとピラミッドのように階層があるのが現状です。もしも自社が五次受けの位置にいるなら、三次受けの企業に買ってもらえば上の階層にいけます。

下の階層ほど中間マージンを多く取られているので、階層を上げられるのは非常に嬉しいメリットです。元請けに近い方が重要なシステム開発業務にも関われるので、技術者たちのモチベーションも高まります。

一般的には、階層を上げるためには営業力をつけなければなりません。しかし、それは一朝一夕にできることではないのも事実です。効率良く階層を上げるためには、M&Aで営業力の高い会社に売却してしまうのがよいでしょう。

従業員の待遇を良くして離職率を下げられる

従業員の待遇を良くして離職率を下げられるのも、システム開発会社をM&Aで売却するメリットです。

システム開発会社の多くは、従業員の定着率の低さによって人材不足に悩まされています。システム開発会社は単に人数が揃っていればよいというわけではなく、必要な技術を持っている従業員が必要です。スキルのある技術者の人数は多ければ多いほど、さまざまな案件を受注できます。

技術者が少なければ受注を断ることになるケースや、受注したもののスケジュールが厳しく従業員が離職してしまうケースに陥るでしょう。そのような事態を避けるためには、従業員の人数を確保して、落ち着いて最新のシステム開発技術を学ぶ時間も取れるようにしなければなりません。

M&Aによって、従業員待遇のよい会社に自社を引き継げれば、離職率も下がり事業はより発展していくでしょう。

自社にないシステム開発技術を従業員に習得させられる

M&Aをすれば、自社にないシステム開発技術を従業員に習得させやすくなります。

先ほど述べたように、勉強時間を確保できるようになることは大きな理由の1つです。ほかにも、売却先企業の技術者と交流することでモチベーションが上がるという理由もあります。

M&Aでシステム開発会社を買収しようとする企業は、はやりのシステムを開発して売上を伸ばしていることが多いです。そのような会社の技術者と一緒に働くことによって、新たな技術を習得することに自社の従業員も前向きになるでしょう。

Web制作業務に従業員が悩まされることが減る

現在、自社がWeb制作業務も請け負っているなら、M&A後は無理をして行う必要がなくなります

中小規模のシステム開発会社は、Web制作業務も自社で行っているケースが少なくありません。しかし、Web制作担当の従業員が揃っているという会社は少なく、システム開発担当の技術者が兼任していることがほとんどです。

技術者のWeb制作業務へのモチベーションが低ければ、もっとシステム開発に専念したいと悩んでいるかもしれません。そのような無理をさせている状況が続くと、優秀な技術者も離職してしまいます。

M&AでWeb制作部門がある会社に自社を売却すれば、従業員は今まで以上にシステム開発業務に専念できるでしょう。

後継者がいなくても会社を存続させられる

M&Aを行えば、システム開発会社の後継者がいなくても会社を残せます

従来は、事業承継といえば親族や従業員を後継者にするイメージでしたが、昨今はM&Aでの引き継ぎも多いです。大手のシステム開発会社に引き継いでもらえば、買収側の経営資源を活用して今まで以上に自社が発展することもあります。

廃業してしまうとパソコンなど設備の廃棄費用がかかることや、従業員の職がなくなることも気にかけなければなりません。

もしも、事業承継を考えているのに後継者が見つからないなら、廃業を決意する前にM&Aに取り組んでみましょう。システム開発会社の事業承継については、以下の記事も参考になるはずです。

【関連】システム開発会社の事業承継はどうする?承継方法と成功事例を紹介

以上、システム開発会社がM&Aで売却を行う5つのメリットを掲示しました。そのメリットでおわかりのように、システム開発会社が持っている経営課題のほとんどはM&Aで解決できます。

しかし、「自社に買い手がつくのだろうか?」と、不安を持つケースもあるでしょう。実は、システム開発会社の買い手は見つかりやすいので安心してください。

3. システム開発会社は買収のメリットも多く買い手が見つかりやすい

システム開発会社は買収のメリットも多いので、買い手が見つかりやすいです。システム開発会社をM&Aで買収するメリットには、以下のようなものがあります。
 

  • 新たなシステム開発技術を得られる
  • 優秀な技術者を効率よく確保できる
  • 新事業を短期間で立ち上げられる

これらのメリットを狙って、システム開発会社を買おうと考える企業が現れる可能性は高いです。M&Aの戦略を立てるために、それぞれのメリットについて見ておきましょう。

新たなシステム開発技術を得られる

自社にない技術を持っているシステム開発会社を買収すれば、効率よく新技術を手に入れられます。

在籍している技術者に新たなシステム開発の方法を習得させることは大切ですが、時間がかかってしまうものです。すぐに最新のシステム開発の案件を受注したいとき、M&Aによって短期間で新技術を手に入れられるのは大きなメリットであるといえます。

自社が人気の技術を持っているシステム開発会社なら、M&Aの際には積極的にアピールしましょう。

優秀な技術者を効率よく確保できる

優秀な技術者を効率よく確保できるというのも、システム開発会社をM&Aで手に入れるメリットです。

システム開発会社は従業員の定着率が低いケースが珍しくありません。しかし、採用に力を入れるのはコストも時間もかかってしまいます。そんなときM&Aを活用すれば、一気にまとまった人数の技術者を確保することが可能です。

技術者が増えれば今まで断っていた案件も受注できるようになり、収益性が高まります。M&Aで売却を行うなら、従業員にしっかり教育を行って、買い手が欲しいと感じる技術者を揃えておくのがよいでしょう。

新事業を短期間で立ち上げられる

システム開発会社をM&Aで買収すれば、システム開発に関する新事業を短時間で立ち上げられるようになります。

買収側企業がシステム開発事業をメインに行っていない場合、人員が揃わないことや、ノウハウがないせいでスムーズに立ち上げが進まないことも多いです。

M&Aでシステム開発会社を手に入れることで、そのような心配はなくなります。システム開発会社のM&Aの買い手は同業他社に絞らず、広い視野を持って探してみてください。

以上、システム開発会社をM&Aで買収するメリットでした。多用なメリットがあるので、買い手候補が短期間で複数見つかることも珍しくありません

できるだけ好条件で売るためにも、M&Aで売却しやすいシステム開発会社の特徴を確認していきましょう。

【関連】M&Aのメリット・デメリットを徹底解説!【大企業/中小企業事例あり】
  • システム開発会社のM&A・事業承継

4. M&Aで売却しやすいシステム開発会社の特徴は?

M&Aで売却しやすいシステム開発会社の特徴は、以下の3つです。
 

  • システム開発実績が豊富な会社
  • 技術者の数が多い会社
  • 従業員の定着率が高い会社

いずれかの特徴を満たしていれば、買い手がつきやすくなります。

M&Aまでに、できるだけ多くの特徴が当てはまるように会社を磨き上げていきましょう。それぞれの内容について、詳しく見ていきます。

システム開発実績が豊富な会社

システム開発実績が豊富な会社は、M&A市場では非常に人気です。

過去の実績は、技術力の証拠といえます。買収側は、M&Aによって効率よく技術者を確保したいと考えているので、技術力がある会社は好印象です。

難しいシステム開発や、新しい技術が必要なシステム開発の実績があれば、より一層M&Aを行いやすくなります。M&Aの際には、過去の実績を整理してアピール材料にしてください。

もしも、今まであまり大きな案件に関わってこなかったという場合でも、定期的に発注してくる取引先がある場合や、長年お世話になっている取引先がいる場合は、自社の魅力を伝えやすいです。

取引先との関係がよいということは信頼できる実力があるということなので、M&Aの際にはアピールしていきましょう。

技術者の数が多い会社

技術者の数が多い会社もシステム開発会社のM&Aでは人気となっています。

すでに述べたとおり、システム開発会社は人手不足なことが珍しくありません。一方で、技術者の数は多ければ多いほど、さまざまな案件に同時期に取りかかれますから売上向上につながります。

したがって、技術者の数が多ければM&Aでは買い手がつきやすいです。もしも技術者の数があまりいないという場合は、積極的に採用活動を行うことや、今いる技術者のスキルアップを行うことが重要であるといえます。

M&Aまでの期間で少しでも技術者を増やし、成長させましょう。

従業員の定着率が高い会社

M&Aでは、従業員の定着率が高いこともアピールポイントです。

システム開発会社は従業員の離職率が高いです。そのため、買収側は、M&A後に従業員が離職してしまうのを心配することが少なくありません。

もしも、自社の従業員が長年働いているなら、買収側には魅力的に映るはずです。定着率にあまり自信がないのなら、今後、離職する従業員が減るように待遇をよくするなど会社を変えていきましょう。

以上が、M&Aで売却しやすいシステム開発会社の特徴でした。今からM&Aまでにできることも多いはずなので、積極的に会社を磨いていきましょう。

【関連】システム開発会社の事業譲渡(事業売却)の動向やメリット、手続きについて解説

5. システム開発会社がM&Aを行った事例を6つ確認しよう

システム開発会社がM&Aを行った事例として、今回は以下の6件を掲示します。
 

  • アクティブがクロスキャットに株式譲渡した事例
  • ソタシステムが小田原機器に株式譲渡した事例
  • ミュートスがファーマライズホールディングスに株式譲渡した事例
  • セレッテがあゆたに事業譲渡した事例
  • システム情報パートナーがCEホールディングスに株式譲渡した事例
  • ミックナインとアドベンチャーの資本業務提携の事例

実際に行われた事例を読み取り、自社のM&A戦略作りの参考にしてください。それぞれの事例について、順番に見ていきます。

アクティブがクロスキャットに株式譲渡した事例

1つ目は、アクティブがクロスキャットに株式譲渡する事例です。2020(令和2)年9月に発表され、同年11月に実施される予定のM&Aになります。クロスキャットは、4億8,000万円を支払ってアクティブの全株式を取得し、完全子会社化する予定です。

クロスキャットが展開している事業は、システムソリューション、システム開発サービス、BIビジネス、スタッフサービスなどになります。一方、アクティブが行っている事業は、システム開発、基盤ソリューション、組込みソリューション、パッケージソフトウエアなどです。

クロスキャットとしては、グループとして事業を成長させる手段として、アクティブとの経営資源の相互活用によって、既存ユーザーへのサービス向上と新規ユーザー獲得に向けたシナジー効果が得られるともくろんでいます。
 

売却側企業 アクティブ
URL http://www.active.jp/
買収側企業 クロスキャット
URL http://www.xcat.co.jp/

同業種による順当なM&Aの一例といえるでしょう。同業であるからこそ、相手側の利点と、M&A後に得られるシナジー効果もリアルに想定できるのです。

ソタシステムが小田原機器に株式譲渡した事例

2つ目は、ソタシステムが小田原機器に株式譲渡した2017(平成29)年11月の事例です。ソタシステムは、小田原機器に全株式を譲渡して完全子会社となりました。

小田原機器は、路線バスをターゲットにした運賃の精算システムを中心に開発している会社です。ソタシステムもシステム開発やソフトウエア設計を行っており、小田原機器はノウハウを手に入れるためにM&Aに踏み切りました。

それは、小田原機器の主な事業である路線バスの精算システムは、近年IC化が進んでおり業務比重が高まっていたからです。業務効率化を行うために、ソタシステムの技術力を活用するのが狙いになります。これによって、新事業を展開していくことも視野に入りました。
 

売却側企業 ソタシステム
URL http://www.sota.co.jp
買収側企業 小田原機器
URL https://www.odawarakiki.com

この事例のように、業務効率化を目的にシステム開発会社を買うケースも多いです。幅広い業界でIC化の波が訪れており、今後ますますシステム開発会社の需要は高まるでしょう。

システム開発を外注する会社もありますが、その場合にはノウハウや技術力が自社に蓄積されないことを懸念している経営者も少なくありません。したがって、M&Aで自社のシステム開発部門を強くしようと考える買収企業も多く、M&Aは今が大きなチャンスであるといえます。

セレッテがあゆたに事業譲渡した事例

3つ目は、セレッテがOrchestra Holdingsの連結子会社あゆたに事業譲渡した2017年7月の事例です。

セレッテは、あゆたにスマートフォン向けのアプリ開発・システム開発事業を譲渡しました。あゆたは、スマートフォンやタブレットを活用したオンライン相談プラットフォームの運営事業を行っています。

セレッテの事業を買収することにした理由は、過去の開発実績の豊富さと技術力の高さです。企画からシステム開発までを自社でまかなえているところも、あゆたは評価しました。

今後は、あゆたとセレッテは協力して、互いに専門性を高めて開発体制の強化を行っていきます。なお、あゆたは、同じくOrchestra Holdingsの連結子会社であるエス・エス・アヴェニューと2018(平成30)年に経営統合され、Sharing Innovationsに社名を変更しました。
 

売却側企業 セレッテ
URL https://sarette.jp
買収側企業 あゆた(現Sharing Innovations)
URL https://sharing-innovations.co.jp
 
この事例のように、会社を売却するのではなく、システム開発事業だけの売却もできます。

開発実績や技術力が評価され、システム開発事業が買収されることは多いです。新たな事業を始めるために買収する企業を探している経営者は少なくないので、積極的にM&Aを検討していきましょう。

ミュートスがファーマライズホールディングスに株式譲渡した事例

4つ目は、ミュートスがファーマライズホールディングスに株式譲渡した2017年6月の事例です。ミュートスはファーマライズホールディングスに株式譲渡を行い、完全子会社となりました。売却価格は3億200万円です。

ファーマライズホールディングスは、調剤薬局事業を全国的に展開していました。ミュートスは、製薬企業をターゲットにした、営業支援のためのシステム開発や運用事業を行っていた会社です。

ファーマライズホールディングスは、今回のM&Aによってファーマライズの技術やノウハウを獲得しようとしました。調剤薬局事業を効率化するための医療用システムの開発を強化することや、新たな事業を開始することを狙っていたのです。
 

売却側企業 ミュートス
URL https://www.mythos-jp.com
買収側企業 ファーマライズホールディングス
URL https://www.pharmarise.com
 
この事例のように、専門分野に特化したシステム開発を行っているシステム開発会社は、技術やノウハウを欲しがる買い手が現れやすいです。

中小規模のままターゲットを絞った事業を続けるのは経営上厳しい場合でも、M&Aで買収側企業の経営資源を活用すれば経営が安定することはよくあります。

また、専門的なシステム開発を行っているなら、買収側企業から高く評価されやすいです。もしも、自社が専門性の高いシステム開発を行っているなら、積極的に高額売却を狙っていきましょう。

システム情報パートナーがCEホールディングスに株式譲渡した事例

5つ目は、システム情報パートナーがCEホールディングスに株式譲渡した2016(平成28)年11月の事例です。

システム情報パートナーは、CEホールディングスに全株式を譲渡して完全子会社となりました。売却価格は1億9,000万円です。

CEホールディングスは、電子カルテシステムを中心とした開発を行っているグループ持ち株会社で、積極的にM&Aを行っています。システム情報パートナーは、2000(平成12)年に会社を設立してから、システム運用やシステムの受託開発に取り組んできました。

CEホールディングスのM&Aの狙いは、システム情報パートナーの行っていた医療系の情報システム運用業務に関わることです。医療機関との関係性を今まで以上に強め、自社の提供するサービスや製品の強化を狙っています。

CEホールディングスは、自社の顧客にシステム情報パートナーのサービスや製品を紹介するなど、経営を支援しグループとしての収益性を高めていく考えです。
 

売却側企業 システム情報パートナー
URL https://www.s-i-p.jp
買収側企業 CEホールディングス
URL https://www.ce-hd.co.jp

この事例のように、M&A後に買収側企業のサポートを得て、売却側企業が収益を上げやすくなるケースは多いです。

M&Aは買収側のメリットに注目されやすいですが、売却側も大きく発展することが珍しくありません。システム開発会社の売却先を選ぶ際には、自社の今後について真摯に考えてくれる相手を選ぶのがよいでしょう。

ミックナインとアドベンチャーの資本業務提携の事例

6つ目は、ミックナインとアドベンチャーが資本業務提携を行うことになった2015(平成27)年3月の事例です。アドベンチャーはミックナインが新規に発行する株式を手に入れて、持株比率を14.9%としました。

株式譲渡や事業譲渡のようなM&Aと、資本業務提携は異なるように見えるかもしれません。しかしながら、資本業務提携も資本の移動を伴う会社間の取引契約であることから、広義のM&Aとされています。

アドベンチャーは、航空チケットの予約販売を行うサイトの運営業務を行っている会社です。ミックナインは、スマートフォンアプリの企画やシステム開発を中心に、さまざまなサービスを行ってきました。

今回、アドベンチャーがミックナインと資本業務提携を行うことにしたのは、お互いにサービスや技術の提供を行っていくためです。

アドベンチャーは航空チケットの予約プラットフォームを制作したいと考え、その際にミックナインの力を借りようと考えました。ミックナインも子会社が運営している旅行関係の事業に関して、アドベンチャーの協力を期待しています。
 

資本業務提携した企業① アドベンチャー
URL https://jp.adventurekk.com
資本業務提携した企業② ミックナイン
URL https://www.mic9.co.jp

この事例のように、資本業務提携を行うという選択肢もあります。

「会社や事業を売ってしまうのはまだすぐには決断できない」というとき、資本業務提携によって相手企業のサポートを得ることで現在の経営課題が解決できるかもしれません。

現在、システム開発会社の需要は高い状況です。相互に協力し合おうという会社が存在する可能性は十分にあります。

ただし、資本業務提携は効果のある相手と行うことが重要です。売却ではなく資本業務提携を行う場合も、M&A仲介会社など、システム開発会社について詳しい専門家に相手探しを手伝ってもらいましょう。

【関連】システム開発会社の売却・M&A事例30選!計算方法や相場は?高値で売る方法を解説

6. システム開発会社がM&Aを行う第一歩目は専門家選びから

種々の目的があり、M&Aは行われています。M&A後に売却側が発展することも多いので、そのような、自社のためになる売却を意識しましょう。そして、M&Aを成功させるためにまず行うべきことは、専門家選びです。

M&Aを行うときは、M&A仲介会社に依頼をしてサポートを受けます。M&A仲介会社に依頼して手伝ってもらえるのは、売却先探しや詳しい条件の交渉、契約書の作成といった幅広い手続きです。

M&Aを自力で成功させることは難しいので、まずはM&A仲介会社を探してください。

M&Aの手続きは、主にM&A仲介会社が進めてくれるので心配はいりません。M&A仲介会社を選んだ後、どのような流れでM&Aが進んでいくのかを知りたいなら、以下の記事が参考になるはずです。

【関連】事業売却とは?会社売却との違いやメリット・デメリットを解説!
【関連】会社売却の手続きってどうするの?M&Aの流れを解説!

M&A仲介会社を選ぶときには、システム開発会社のM&Aに関する実績や知識が豊富かどうか、そして、報酬体系がわかりやすいかを考えるのがよいでしょう。

全てのM&A仲介会社がシステム開発会社のM&Aを行ったことがあるわけではないので、気をつけなければなりません。

また、料金体系も各社によって異なります。完全成功報酬制の会社なら、M&Aが成約しなければ報酬を支払う必要がないので相談しやすいです。事前に詳しく見積もりを出してもらえば、安心して依頼できるでしょう。

どのM&A仲介会社に依頼するのかを決めかねている場合は、ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。

【関連】M&Aの相談先はどこがおすすめ?【徹底解説】

7. システム開発会社の今後はM&A総合研究所にご相談ください!

システム開発会社のM&Aをご検討中でしたら、ぜひともM&A総合研究所にお任せください。

中小企業のM&Aを主に手がけるM&A総合研究所は、さまざまな業種で多くの支援実績を有しています。案件ごとに豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが専任となり、システム開発会社のM&Aを徹底サポートします。

通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月で成約を実現した機動力もM&A総合研究所の大きな特徴です。

当社は、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系です。随時、無料相談を受けつけていますので、システム開発会社のM&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

【関連】システム開発会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
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8. まとめ

システム会社を売却すれば、経営者にはさまざまなメリットがあるので前向きにM&Aを検討するべきです。

たとえば、元請けに近い立場に会社を置けるようになることや、従業員の待遇をよくして離職率を下げられること、自社にないシステム開発技術を従業員に触れさせられることが挙げられます。

買い手側にも、新たなシステム開発技術を効率よく得られたり、技術者を確保できたりとメリットが多いのでM&Aは成約しやすいです。システム会社のM&Aを成功させて、自社の経営を安定させましょう。

9. システム開発業界の成約事例一覧

10. システム開発業界のM&A案件一覧

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