2022年06月06日更新
バス会社のM&A・買収・売却・譲渡のメリットは?売買相場や成功事例を紹介
高速バスなどで再び注目を集めるバス業界ですが、路線バスや送迎バスなどの乗合バスの経営は厳しい状況です。そこで、バス会社の経営戦略としてのM&Aに着目し、M&Aのメリットや価額相場、ポイントなどについて事例も交えて解説します。
目次
1. M&A前にバス会社の定義を押さえよう!
バス会社のM&Aについて検討する前に、バス会社の定義や事業の内容などについて、おさらいしておきましょう。まず、一般にバス会社とは、バスの運行を事業として行う会社のことです。
バス会社が行う事業は大きく以下の2つに分かれています。
- 一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)
- 一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス)
乗合バスは送迎バスや高速バスなど、他人同士の乗客が乗り合って運行されるバスのことです。
一方、貸切バスは、団体ツアーや送迎用バスなど、特定のグループだけが乗り運行されるバスのことを指しています。
2000(平成12)年以前は、乗合バスも貸切バスも運行は免許制となっており、国や都道府県の認可がなければ経営ができない状況でした。しかし、2000年には乗合バス、2002(平成14)年には貸切バスの運行が許可制となったため、申請に関する手続きは以前に比べて減ったといえます。
そのため、特に2002年以降は、新しくバス事業に参入する会社が増え、苛烈な価格競争が繰り広げられるようになりました。そうした動きもあり、コストを下げられない小さなバス会社の廃業は、今後も増えると考えられるでしょう。
現在は、外国人観光客の増加により再び注目を集めるバス業界ですが、多数の会社があるなかで、どう差別化を行っていくかで今後の経営状況が決まっていくといえます。
2. バス会社の現状と今後は?
経営が厳しいといわれているバス業界ですが、実際にどのような背景や理由で、そのような状況に置かれているのでしょうか。
ここからはバス業界の現状と今後について、3つのポイントに分けて解説していきます。
- 地方でのバス利用者は減少
- 安全運行が重視される時代
- 中小のバス会社の今後は厳しい
M&Aの検討に入る前にバス業界全体の動向を知り、自分の会社が今後どうなるのかイメージしてみるとよいでしょう。
①地方でのバス利用者は減少
日本全体で人口の減少が問題となっていることも関係し、地方でのバス利用者は減少しています。
たとえば、乗り合いバスの利用者は1990年代には年間100億人だったものの、2016(平成28)年にはその約半分である45億人にまで減少しました。また、貸切バスについても利用者は減っており、特に地方では、このままの経営を維持するのが難しいといえるでしょう。
さらに観光バスについても、長距離を短時間で移動できる飛行機の低価格化により、競争は厳しいといえます。
今後は、どのエリアでも人口が減少し別の交通手段が登場してくると考えられるため、継続的な乗客の確保はバス会社の急務となっています。
②安全運行が重視される時代
高速バスでの事故が報道されて以降、バスの運行状況や経営体制に大きな注目が集まるようになりました。政府もバス事故を減らすため、新たに規制を設けるなどして対策を行っています。
もちろん安全運行は必要ですが、体制の見直しや向上には大きなコストがかかるため、対応しきれないケースも少なくありません。今後、バスの運行に関する規制はさらに強化される見込みもあり、十分な人員や設備を確保できないバス会社にとっては厳しい状況となるでしょう。
③中小のバス会社の今後は厳しい
安全性が重視される時代となり、競争相手となるバス会社が多くなっている現在、中小のバス会社が今後も運営を続けていくのは難しいといえるでしょう。
特に、バスの安全性を維持するため設備を新しくしたりドライバーの数を増やしたりする必要があるため、これまでの経営方法では赤字になってしまうという会社は少なくありません。
また、働き方改革などで運転手の労働環境が見直されるなか、運賃を下げるのは難しくなっており、大手バス会社との価格競争に敗れる可能性が高くなっています。
ブランド力や地元の人からの信頼が厚いバス会社であれば、規模に関わらず生き残り策はありますが、多くのバス会社が登場するなかで生き残るのは厳しい状況です。今後はさらなる経営改善を行うか、M&Aなどで他の企業と協力しサービス向上を行う必要があるでしょう。
以上が、バス会社の現状と今後でした。児童数・生徒数が減り、より効率的な経営が求められるなか、コストカットの難しい中小のバス会社は、さらに厳しい状況になっていきます。
今後、人員確保や経営の効率化を行うため、M&Aなどの手法で経営を大きく変化させることが必要です。これからも従業員の雇用を守り、会社を存続させるためM&Aについて早めに考えていく必要もあるでしょう。
3. バス会社におけるM&A動向3つのポイント
高齢化の進行、人口減少が進むなか、生き残りのためM&Aを検討するバス会社は少なくありません。
バス会社におけるM&Aの特徴は、以下のとおりです。
- 同業種間での統合が多い
- 安全運行への対策
- 従業員高齢化への対応
それぞれの動向を確認し、参考にしてください。
①同業種間での統合が多い
バス会社におけるM&Aで目立つのは、同じバス会社同士のM&Aです。特に、大手バス会社が小さなバス会社を買収し、新しい地域での影響力を強めようとするケースが多くなっています。
また、少子化問題に対応するため、同じエリアのバス会社が統合する例も少なくありません。今後、少子高齢化の影響により、路線バスなどの客数は急速に減っていくと予想されています。
M&A市場が非常に活発な今の時期にM&Aを進めて事業を拡大しておき、早めにサービスや運行路線の充実を図ろうと考えるバス会社も多いです。
そのほかにも、鉄道会社や旅行会社など関連する事業会社が、サービス向上のためにバス会社を買収する例もあります。
バス会社を買収すればバス移動がセットの旅行プランを提案できるので、今後、増加すると見られる外国人観光客にも対応しやすくなるでしょう。
このように、少しでも多くの顧客を取り込むため、同業種間のM&Aは今後も継続して増えていくと考えられます。
②安全運行への対策
関越自動車道で起きた高速バス事故などをきっかけにして、バス会社の安全運行に対する監視の目は非常に厳しくなっています。
もちろん乗客の命を預かる事業であるため、安全に運行できる体制を確保することは必要です。しかし、十分な設備と人員を確保できず、廃業を選択する中小のバス会社は少なくありません。
特に、運行に関する規制が強化されて以降、人員が確保できず運行本数や路線を減らす会社も出てきました。そういった理由での廃業を避けるため、注目されているのがM&Aです。
規制を守れるような人員や資金力を手に入れるため、M&Aを行い経営の効率化を目指すケースが増えています。
③従業員高齢化への対応
高齢化するドライバーの離職に備えるため、人員確保の目的でM&Aが行われるケースも少なくありません。
現在、高齢のバス運転者は年々増加しており、国土交通省の資料「バス運転者を巡る現状について」によると、2012(平成24)年ではバス運転手の6人に1人が60歳以上(全体の16.4%)です。
また、2013(平成25)年におけるバス運転手の平均年齢は48.3歳で、これは全職種の平均年齢42.8歳を5.5歳、上回っています。
つまり、今後は少しでも若い人材を確保することが生き残りのカギだといえるでしょう。そのため、バス会社におけるM&Aでは、エリアを問わず、ドライバー確保のため積極的に大手バス会社が買収を行う事例が多くみられます。
4. バス会社におけるM&Aのメリット
ここまでバス会社の動向と今後について、お話してきました。人口が減少する地方においては、このままの体制でバス会社を経営するのが難しくなってきています。今後の経営のことを考え、M&Aを検討している経営者は多いでしょう。
そこで、ここからはバス会社がM&Aを行うメリットについて、売り手と買い手、それぞれの視点から解説していきます。自分の会社や今まで仕事を通して得てきた関わりを、これからも残していきたい方は、ぜひチェックしてください。
【売却側】バス会社M&Aのメリット
バス会社の規模が小さくても、M&Aでの売却は可能です。まずはメリットを確認しましょう。
売却側のメリットは、以下のとおりです。
- 運転手を増やせる
- 後継者不足を解消できる
- 負債も売却範囲に含められる
経営戦略としてもM&Aは活用できますから、確認してみてください。
運転手を増やせる
バス会社をM&Aで売却するメリットの1つは、運転手を短期間で増やせることです。
各バス会社において、単にバス運転手の高齢化が問題なだけではなく、団塊世代の大量離職が進んでいるため、経験豊富な運転手の確保が困難になっています。
バス会社を売却した場合、買い手側から運転手を確保できるため、現在の運行状況を維持することが可能です。
また、運転手の増加に伴い、新規運行経路の開拓や増便など増益を意識した経営が行えるようになります。さらには、既存運転手の雇用継続や雇用条件の改善で、離職率が下がる可能性も少なくないでしょう。
後継者不足を解消できる
M&Aによる売却で、後継者不足を解消できます。
多くの会社で後継者問題が騒がれており、バス会社も例外ではありません。一般的に、後継者は親族や従業員になってもらうことが多いです。ただし、最近では断られることが多く、後継者が見つからない事態に陥ってしまいます。
特にバス会社では、親族がバス会社の後継者に興味がないため断られることが少なくありません。一方で、従業員も高齢であるため断られるケースがほとんどとなり、後継者問題で非常に苦しい状況です。
しかし、バス会社を売却した場合、買い手側が後継者となるため、事業承継問題を解決することができます。
負債も売却範囲に含められる
負債を抱えている場合でも、M&Aでは売却範囲に含められます。バス会社は、バス購入代金などの初期投資やメンテナンス・維持費が非常に高く、負債を抱えていることが多いはずです。
また、自宅や土地などを担保にして個人保証を行っている場合もあります。負債を抱えたまま廃業を選択した場合は、返済を続けていくことになり窮してしまうことにもなりかねません。
しかし、M&Aで会社譲渡(株式譲渡)する場合は負債も含めて売却でき、経営者は返済義務から解放されます。買い手側にとっては節税対策につなげることも可能です。
ただし、一部の事業や資産だけを譲渡する事業譲渡というM&A手法の場合は、負債を引き渡せないこともあります。したがって、M&A実施の際には、専門家であるM&A仲介会社に業務を依頼しましょう。
M&A総合研究所には、豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが多数在籍しています。ご相談からクロージングまでの専任フルサポートとなっておりますので、スムーズなバス会社のM&A進行が可能です。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっております。着手金は完全無料となっておりますので、安心してご相談いただけます。
無料相談を受けつけておりますので、バス会社のM&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。
【買収側】バス会社M&Aのメリット
次は、バス会社のM&Aにおける買い手側のメリットです。少子化が進むなか、さらなる事業拡大や経営基盤の安定を目指し、エリアを問わず積極的にバス会社を買収する事例も多くあります。
また旅行会社など、シナジー効果が見込める関連企業が買収を行うケースも出てきました。
バス会社のM&Aにおける買収側のメリットは、以下のとおりです。
- 運転手と顧客を確保できる
- 経営の効率化を図れる
- 低コストで新規参入できる
以下では、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
運転手と顧客を確保できる
バス会社を買収するメリットは、運転手と顧客を同時に確保できることです。すでに事業を行っているバス会社を買収するわけですから、買い手側は多くの費用をかけることなく事業を拡大できます。
また、新たに運転手を採用する手間もなく、経験豊富なベテラン運転手を獲得できるため、新規採用・育成コストを抑えることも可能です。
特に運転手の不足が問題となっている状況ですから、優秀な人材を一度に多数確保できるM&Aでの買収は、大きなメリットといえます。
旅行会社や鉄道会社などにおいても、事業の拡大を迅速に行う目的で、バス会社の買収は非常に人気です。新規でバス事業に進出する場合、運転手や顧客の取り合いとなり、経営の安定化まで長期になることが予想されます。
経営の安定化に時間がかかると赤字や倒産にもつながるため、M&Aでの買収は費用対効果が高いといえるでしょう。
経営の効率化を図れる
事業規模を拡大することで、経営の効率化を図れます。
1つの事業を大きくすることで、事業運営にかかるコストは下げられ、小規模での運営時より利益率を上げることが可能です。会社規模が小さいと固定費ばかりが増加してしまう傾向にあります。
たとえば、バスの整備をする場合、バス1台を整備するために人員や機械を動かすよりも、5台同時に整備するほうが1台に費やした金額を安くすることが可能です。小規模バス会社では保有台数10台以下という場合もあり、一斉に整備できないため非常にコスト高となります。
このように、1回で整備できる台数を増やし経費削減を狙う企業も少なくありません。必要なコストを低く抑え利益率を高めることにより、経営の効率が改善します。
低コストで新規参入できる
バス会社を買収する企業には、低コストでの新規参入を目的にM&Aを行う会社もあります。
バス会社への参入は初期費用が非常に高く、バスの維持費や人件費、広告費やその他投入資金などが必要です。また、人材育成にも時間がかかり、当初予定していた経営プランどおりに進まない事例も少なくありません。
そこで、既存のバス会社を買収することで、バスやバス施設、運転手などをそのまま獲得できます。
特に、大型バスや規制の厳しい貸切バスなどの資産や許可証も買収で獲得できるため、すぐに経営を行うことが可能です。新規に顧客を開拓しなくてもある程度の収益が保証されているので、参入へのハードルも低く、現実的な経営プランを建てられます。
運営についてもノウハウが蓄積されているわけですから、新規参入にはM&Aは適切な戦略ともいえるでしょう。
5. バス会社におけるM&A譲渡価額の相場
バス会社の譲渡価額は、規模の小さいバス会社の場合で数百万円~、バスを複数台所有している場合で数千万円がおおよその相場です。
もちろん、会社の規模が大きくなるほど相場価額がアップしますが、現在は外国人観光客の増加で観光バス、高速バスの需要が特に高まっています。観光バスを運営している会社は、今が譲渡のチャンスだといえるでしょう。
また、地方に拠点があり、なかなか固定客を取り込めないという場合も、人口の多いエリアと路線を結ぶことで利用者増の可能性は高くなります。そうした経営改善の見込みがあれば、今は売上を伸ばせていない会社であっても譲渡価額を上げることが可能です。
さらに、エリアを問わず、経験のある運転手やバスなど事業に必要な設備が揃っている場合も、譲渡価額は高くなります。また、会社資産とは別に、譲渡のタイミングやM&Aの手法によっても譲渡価額は大きく異なるものです。
実際に自社はどの程度の譲渡価額になり得るのか知りたい場合には、M&A仲介会社に相談するのが最も適切でしょう。
M&A総合研究所では、企業価値算定を無料で行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
6. バス会社におけるM&A成功事例4選
ここでは、実際のバス会社のM&A事例を見て、実情を確認しましょう。
バス会社のM&Aの代表的な成功事例は、以下の4件です。
- 阪急バスと阪急田園バス
- みちのりホールディングスと東野交通
- 神姫バスと全但バス
- 大阪バスと三洋観光バス
①阪急バスと阪急田園バス
2019(令和元)年7月、大阪の阪急バスは、100%子会社である兵庫県の阪急田園バスを吸収合併しました。阪急バスが存続会社、阪急田園バスが消滅会社です。
阪急バスと阪急田園バスとの間では、これまでも一般乗合バスの管理受委託契約のもと、連携を取って運営をしてきましたが、合併で完全に経営統合することによって経営資源を一元化した方が、さらなる向上を図れると判断しました。
具体的には、安定的な人材確保と柔軟な人員配置、輸送の安全性と乗客サービス向上ができるとしています。
②みちのりホールディングスと東野交通
関東や東北で路線バスの運営を行うみちのりホールディングスは、2016(平成28)年12月、関東エリアを中心に鉄道事業を行う東武鉄道より東野交通の株式65%を譲り受けグループ会社化しました。
みちのりホールディングスは、路線バスとモノレールの運区を行いつつ、関東・東北エリアの交通事業会社を多数傘下に収めています。
一方、東野交通は栃木エリアを中心に乗合バス事業、観光事業、ロープウェイ事業など交通に関わる複数の事業を行っている会社です。特に力を入れているのは、宇都宮などと首都圏を結ぶ高速バス事業で、地域を代表する会社として知られています。
このM&Aで、みちのりホールディングスは路線のさらなる拡大が可能となりました。グループ会社間でバス路線が地続きになるため、連携がうまくいけば多くのエリアで顧客を獲得できるでしょう。
なお、みちのりホールディングスは、2017(平成29)年11月に東野交通の残りの株式も取得し完全子会社化しました。さらに、2018(平成30)年10月には、子会社の関東自動車と東野交通を合併させています。なお、合併は関東自動車が存続会社、東野交通が消滅会社となる吸収合併でした。
③神姫バスと全但バス
兵庫県など関西圏で路線バスの運営を行う神姫バスは2015(平成27)年12月、兵庫県養父市の路線バス会社、全但バスの株式を追加取得し、関連会社としました。
この経緯として、2008(平成20)年11月、神姫バスは、経営が悪化していた全但バスの再建支援を目的に、10%の株式を取得し資本参加したのが始まりです。その後、株式所有比率を14.27%まで増やしていましたが、この追加取得で22.55%まで比率を高めて関連会社としました。
神姫バスは兵庫県内から大阪府、岡山までの広い範囲をつなぐ路線バス会社で、空港リムジンバスなど売上増が見込める事業も手掛けています。
一方、全但バスは兵庫県養父市を拠点に路線バスや観光バスの運行を行っている会社です。
神姫バスとしては、発言権を強めたことにより、両社間の連携を深め、運行路線を増やし多くのエリアで顧客を取り込むことを目指しています。
④大阪バスと三洋観光バス
2011(平成23)年7月、貸切バス事業を行っていた大阪府のバス会社、大阪バスは、札幌を拠点とする三洋観光バスを完全子会社化しました。その際に、三洋観光バスは札幌バスに商号変更しています。
大阪バスは、これまでも全国各地の貸切観光バス会社を子会社化しており、観光バス事業をどんどん拡大させてきました。すでに別の北海道のバス会社も「北海道バス」として傘下に収めており、路線ネットワークを拡大させています。
一方、三洋観光バス(札幌バス)は、札幌を拠点に北海道内で貸切バスの運行を行っていた会社です。
このM&Aで、すでに北海道に進出していた大阪バスはさらなる路線の拡大に成功しました。また、三洋観光バス(札幌バス)が人口の多い札幌に拠点を持つバス会社ということで、顧客を確保する狙いもあったといえるでしょう。
三洋観光バス(札幌バス)側も、大手である大阪バスの傘下に入ったことで、経営基盤を整えることに成功しました。
7. バス会社におけるM&A失敗事例の特徴
バス会社のM&A失敗事例として多いパターンが、以下の3つです。
- M&A後にドライバーが退職してしまった
- 予想以上の税金が発生した
- 未払い賃金が判明した
ここでは、それぞれの失敗パターンについて詳しく解説します。
①M&A後にドライバーが退職してしまった
M&A後にドライバーが退職してしまったということは、多い失敗事例です。
バス運転手の給与は他の職種と比べ高くはありません。そのため、M&Aをきっかけに経営体制が変化し待遇が悪くなれば、別の職を求め会社を辞めるドライバーも出てくるでしょう。
待遇が悪くなった、給料が減ったということになれば大量に離職することも考えられます。
したがって、必ずM&Aでは従業員の待遇について話し合い、バス会社の運営の安定化と同時に待遇改善ができるように検討してください。
②予想以上の税金が発生した
バス会社に限った話ではありませんが、税金が予想以上に多かったということは少なくありません。
特に、バスなどの大型資産が多いと、税金がどこにどの程度、必要なのか把握しておく必要があります。もし、難しいのであれば税理士に相談しておくとよいでしょう。
買い手であっても売り手であっても、税金の把握と節税対策は必要不可欠ですから、失敗しないためにも確認しておくべきです。
③未払い賃金が判明した
バス会社の経営は厳しく、バス運転手に十分な給与が支払われていないケースもあります。働き方改革があったとしても、いまだにブラックな経営をしているところがあり得るのです。
あるいは意図的でなかったとしても、管理体制の不行き届きにより、残業代などの特別手当がきちんと把握されず、未支給になっている場合もあります。
これらの未払い賃金が残っていると、M&Aではそのバス会社の価値を著しく低下させるのは必定です。場合によってはM&A自体が破断になることさえあるでしょう。
財務状況は問題がないか、未払い賃金は残っていないかは必ず確認してください。その確認の際には、以下の点を重点的に見ておくとよいでしょう。
- 賃金・賞与
- 退職金
- 社会保険料
これらはデューデリジェンス(企業の監査)でも確認されます。隠してもすぐに見つかり、よいことはないので、問題があれば改善するよう心がけてください。
8. バス会社のM&Aは仲介会社に相談しよう!
バス会社のM&Aを検討しているなら、M&A仲介会社に依頼するのがおすすめです。M&Aの専門家に相談すれば、企業価値評価を行うことで適正な価格でのM&Aが可能となり、許認可や名義変更などの手続きについてもサポートが受けられます。
バス会社のM&Aをご検討の際は、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。多数のM&A支援実績を持ち、確かな知識があるM&Aアドバイザーがフルサポートいたします。
また、M&A総合研究所の特徴としては、通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月で成約した実績を有するなど機動力も強みです。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
9. まとめ
長距離を走る高速バスの需要は増えているものの、特に地方において乗合バスを利用する人は減少しています。しかし、バス会社を買収して、今後の新たな事業を進めたいという買い手は増えているのです。
したがって、バス会社の経営課題を解決して今後も運営を続けていくには、M&Aという選択肢も検討すべきといえるでしょう。
10. バス業界の成約事例一覧
11. バス業界のM&A案件一覧
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