プライベートエクイティについて解説!種類やメリット・デメリットは?

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

プライベートエクイティとは、非上場企業の未公開株式のことです。
また、プライベートエクイティを扱う投資をPE投資といい、従来の株式投資は少し違います。
今回は、プライベートエクイティの種類やメリット、デメリットについて解説します。

目次

  1. プライベートエクイティとは?
  2. プライベートエクイティファンドの種類
  3. プライベートエクイティファンドの仕事内容
  4. プライベートエクイティの出資を受けるメリット
  5. プライベートエクイティの出資を受けるデメリット
  6. プライベートエクイティ投資を行う主な企業
  7. メリット・デメリットを理解してプライベートエクイティ投資も検討しよう
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1. プライベートエクイティとは?

プライベートエクイティとは、上場していない企業の未公開株式のことです。
上場企業の株式は証券取引所で公開されているので、売買ができます。

しかし、未公開株式は創業者やその親族、取引先などのみが保有しておらず、証券取引所で公開されていないので、売買できません。
また、未上場企業に投資を行うことを、プライベートエクイティ(PE)投資と言います。

プライベートエクイティ投資を受ける理由

プライベートエクイティ投資を受ける理由は、主に経営改善やノウハウを獲得するためです。

PE投資は、企業を成長させて将来的に株式を売却することで利益を得る投資方法なので、PUE投資を受ける企業とPE投資を行うファンドのどちらにも大きな効果が期待できます。

また、PE投資を受けた企業は、銀行融資よりも気軽に資金調達が行えます。

銀行融資とプライベートエクイティ投資との違い

銀行融資とプライベートエクイティ投資の違いは、主に審査基準の厳しさとビジネスモデルの重要さの2つです。

銀行融資を受けるには、信用や担保が必要です。
また、事業計画書、損益計算書、貸借対照表、資金繰り表、試算表などの提出も必要で審査が厳しいです。

しかし、PE投資であれば事業計画書からビジネスモデルを重要視して判断される傾向にあります。

プライベートエクイティファンドの投資対象

プライベートエクイティファンドの投資対象は、主に以下の3つです。

  • 大企業の子会社や非流通部門
  • オーナー経営の中小企業
  • ベンチャー・スタートアップ企業

ここでは、以上3つの投資対象についてそれぞれ解説します。

【関連】投資ファンドのM&Aを徹底分析!ファンドの役割や種類、メリット、買収された会社の処遇

大企業の子会社や非流通部門

すでに企業価値が高く市場規模も大きい大企業は、業績不振や子会社や非流通部門の売却を考えていることがあります。
プライベートエクイティファンドは、そういった子会社や非流通部門に将来性があると判断した場合、PE投資の対象になります。

オーナー経営の中小企業

オーナー経営の中小企業は、後継者不足によって価値の高い商品やサービスを提供しているのにも関わらず、廃業してしまうことが多くなっています。

PEファンドでは、そういった後継者問題に直面しているオーナー経営の中小企業を対象にPE投資を行います。
そして、企業価値を向上させ最終的に売却することで利益を得ます。

ベンチャー・スタートアップ企業

ベンチャー・スタートアップ企業は、高い技術やサービスを提供することができても、経営ノウハウが不足しており経営がうまくいかないことが多いです。

そのため、プライベートエクイティファンドが経営や上場に向けての手助けを行い、経営ノウハウを増やしながらPE投資を行います。

2. プライベートエクイティファンドの種類

プライベートエクイティファンドには、いくつかの種類があり、それぞれ投資方法や内容に違いがあります。
ここでは、プライベートエクイティファンドの投資の種類を、主に4つ解説します。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業やスタートアップ企業を対象に行う投資です。

PE投資は、ある程度成長している非上場企業を対象に投資を行いますが、ベンチャーキャピタルの場合、早期での事業拡大などを目的に行われます。
そのため、まだあまり成長していない企業に効果的なPE投資です。

バイアウト投資

バイアウト投資とは、企業の買収や買い占めなどのことです。

ある程度成長している状態でも、経営不振や後継者不足によって存続が困難になっている非上場企業の株式を買い取ります。
そして、PEファンドが経営に参画して企業価値を上げ、最終的に売却することを目指します。

企業再生投資

企業再生投資とは、経営不振に陥っている非上場企業を対象に行う投資です。

また、バイアウト投資と違い経営不振だけでなく業績不振の非上場企業も対象になっているので、再生に失敗し大きな損失を出してしまうリスクがあります。

そのため、株式は安く購入できますが、ハイリスク・ハイリターンの投資でもあります。

【関連】企業再生と事業再生の違いとは?条件、手続き、メリットを解説【成功事例あり】

ディストレス投資

ディストレス投資とは、破綻寸前や経営破綻した非上場企業を対象に行う投資です。

非上場企業の株式や債権を買い取り、経営再建することで高い利益を得ることが目的ですが、企業再生投資のように失敗すると大きな損失を出してしまうリスクがあります。

そのため、参入する投資家が少なく、競争率も低い投資です。

3. プライベートエクイティファンドの仕事内容

プライベートエクイティファンドの仕事内容には、主に以下の6つがあります。

  • 投資案件のソーシング
  • 投資のアレンジ・実行
  • 経営戦略策定支援
  • モニタリング
  • M&A支援
  • イグジット

ここでは、以上6つの仕事内容についてそれぞれ解説します。

投資案件のソーシング

投資案件のソーシングとは、投資案件の発掘や検討、交渉を行う仕事です。

主に、ファンドの投資方針や事前に設定した投資対象に合致した投資案件探しや成長余力の見極め、投資案件の提案などを行います。
そのため、投資案件の発掘から投資を行うまでに数年以上かかることもある仕事です。

投資のアレンジ・実行

投資のアレンジ・実行では、投資スキームの検討、ファイナンスのアレンジ、資本政策エグゼキューションなどの仕事を行います。
以上の業務は自社以外にも、証券会社や法律事務所など外部組織も利用して行われることがあります。

例えば、投資対象となる企業のデューデリジェンスに関しては外部のFASに依頼するなどの方法です。

経営戦略策定支援

経営戦略策定支援は、企業の買収後に経営価値を向上させるための仕事です。

主に、短中期の経営計画の策定、業務オペレーションの改善、財務再構築、成長戦略支援などの仕事を行います。
PEファンドで高い利益を出すためには、以上のような仕事がとても重要になってきます。

モニタリング

モニタリングとは、投資先企業の経営が問題なく行われているか、経営が順調か、などをPEファンドの社員が観察する仕事のことです。

PEファンドは投資先企業の半分以上の株式を取得するので、自社の社員を取締役として投資先に派遣します。
そして、取締役会で状況を聞くなどの方法によってモニタリングを行います。

M&A支援

M&A支援とは、投資先企業全体のM&A支援を行う仕事のことです。
投資先企業の価値向上に大きく貢献する企業の買収や資本提携などのM&Aを支援することによって、効果的にM&Aを行います。

また、M&Aが上手く進めば、PEファンドにも大きな利益が期待できます。

イグジット

イグジットとは、未公開株式の上場やM&Aによって、投資資金を回収する仕事です。

PEファンドは、イグジットによって投資資金の2倍以上の資金を回収することができれば、成功と言えます。
また、回収した資金から元手や投資家へのリターンを差し引いた額が利益なので、できるだけ多いことが望ましいです。

4. プライベートエクイティの出資を受けるメリット

プライベートエクイティの出資を受けることで、さまざまなメリットが得られます。
ここでは、主なメリットを5つ解説します。

資金調達ができる

1つ目のメリットは、資金調達ができることです。

ベンチャー企業やスタートアップ企業は、資金調達を行うことが難しく銀行から融資を受けられた場合でも、利子や返済に追われてしまう可能性があります。
しかし、PE投資では利子や返済がなく、企業価値に適した資金提供を受けられます。

そのため、ベンチャー企業やスタートアップ企業の経営者は、経営に集中しながら比較的気軽に資金調達が可能です。

企業価値の向上を図ることができる

2つ目のメリットは、企業価値の向上を図ることができることです。

PEファンドは、投資先企業の価値を向上させた後に株式売却を行い高い利益を得ることが目的なので自社の成長に大きく貢献します。

さらに、企業価値を向上させるためにPEファンドから専用チームが派遣され、さまざまな経営ノウハウを提供するので、投資を受ける企業にとって大きなメリットの1つです。

必要な人材を紹介してもらうことができる

3つ目のメリットは、必要な人材を紹介してもらえることです。

PEファンドは、さまざまな業界の企業に投資を行っているので、どのような人材が必要なのか明確化してもらうことができます。

さらに、信頼や将来性を獲得できれば自社にとって適切な人材を紹介してもらうこともできるので、人材不足や経営ノウハウ不足のベンチャー企業やスタートアップ企業に大きく貢献します。

経営に対する助言を受けることができる

4つ目のメリットは、経営に対する助言を受けられることです。

PEファンドは、投資先企業の経営権を獲得するので、自社の経営に対するアドバイスや助言などを受けられます。
自社が現在抱えている経営課題や業績不振などの改善策なども、経験豊富なPEファンドの人材によって的確に助言してもらえます。

そのため、自社の成長や経営ノウハウの蓄積などにも大きく貢献します。
 

M&Aのサポートを受けることができる

5つ目のメリットは、M&Aのサポートを受けられることです。

自社の事業承継の必要性や後継者不足問題などで悩んでいる場合、M&Aによる企業売却を目指すことが多いです。
そういった場合に、経験豊富なPEファンドからM&Aサポートを受けることができるので、とても頼りになります。

PEファンドからのサポートを参考に、M&Aを目指せば自社の課題や廃業危機などを改善させられます。

5. プライベートエクイティの出資を受けるデメリット

プライベートエクイティの出資を受けることで、とても大きなメリットがありますが、デメリットもあります。
ここでは、主なデメリットを2つ解説します。
 

経営の自由度に制限がかかる

1つ目のデメリットは、経営の自由度に制限がかかることです。

PEファンドから出資を受けると自社株式のほとんどを譲渡することになるので、PEファンドが経営に大きく影響し、経営を自由に行えなくなります。

そのため、経営者は経営方針や新規事業などを簡単に決めにくくなってしまうので、十分に注意が必要です。

イグジットの先を見据える必要がある

2つ目のデメリットは、イグジット先を見据える必要があることです。

PEファンドは、イグジットを目的に成長過程のベンチャー企業やスタートアップ企業に経営のアドバイM&Aサポートなどを行います。
PEファンドがイグジットによって高い利益を得ることができたら、PEファンドからのアドバイスやサポートは受けられなくなってしまいます。

そのため、プライベートエクイティファンドに依存せずに自社でも戦略や準備をしておくことが大切です。

6. プライベートエクイティ投資を行う主な企業

プライベートエクイティを行っている企業は数多く存在しており、国内でもさまざまな企業が行っています。
ここでは、プライベートエクイティを行う主な企業を4つのジャンルに分けて紹介します。

外資系企業

外資系企業とは、外国法人または外国人が一定以上出資をしている企業のことです。
主に以下の企業が外資系企業にあたります。

  • カーライル
  • ブラックストーン
  • ベイン・キャピタル
  • サーベラス など

以上の企業では、カーライルは「おやつカンパニー」への投資、ベイン・キャピタルは「スカイラーク」「ドミノピザ」「大江戸温泉」などへの投資を行っていることが有名です。

国内独立系

国内独立系とは、国内の独立した企業で、経営や業務、人事や組織改革、物流や製造などのコンサルティングを行う企業のことです。
主に以下の企業が国内独立系にあたります。

  • アドバンテッジ・パートナーズ
  • ユニゾン・キャピタル
  • エンデバー・ユナイテッド
  • インテグラル など

また、ユニゾン・キャピタルは「スシロー」「エノテカ」などへの投資、アドバンテッジ・パートナーズは「ダイエー再生」「ポッカコーポレーション」のMBOを行っています。

国内金融系

国内金融系とは、国内の銀行や証券会社、生損保会社やクレジット会社などのことです。
主に以下の企業が国内金融系にあたります。

  • みずほキャピタル・パートナーズ
  • ポラリス・キャピタル・グループ
  • 日本産業パートナーズ
  • T Capital Partners など

これまでに、みずほキャピタル・パートナーズは「日本ビューホテル」への投資、日本産業パートナーズは「VAIO株式会社」への投資などを行っています。

国内商社系

国内商社系とは、国内で幅広い産業分野の原料や加工品、サービスなどの取引を仲介する商社のことです。

  • 丸の内キャピタル
  • 三井物産企業投資
  • アイ・シグマ・キャピタル など

また、丸の内キャピタルは、「成城石井」への投資を行い、その後ローソンに売却しています。

7. メリット・デメリットを理解してプライベートエクイティ投資も検討しよう

プライベートエクイティ投資を受けることによって、経営ノウハウや人材の不足などさまざまな問題を抱えているベンチャー企業やスタートアップは、さまざまなメリットを得ることができます。

実際に、大手の外資系企業や国内商社系企業などは、経営不振や業績不振の企業にPE投資を行うことによって、大きく企業価値を高めていることが多いです。
しかし、PE投資には、経営の自由度の低下やPEファンド依存による経営不振などのデメリットも存在しています。

そのため、これからPE投資を受けようと考えている経営者は、ぜひ今回の内容を参考にして検討することをおすすめします。

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