2023年05月17日更新
関連会社とは?定義や子会社・関係会社・グループ会社との違いもチェック!
関連会社という言葉を聞いたことのある方は多いと思いますが子会社・関係会社・グループ会社との違いについて理解している方が少ないです。
今回は、関連企業の定義や、子会社・関係会社・グループ会社との違いなどをわかりやすく解説します。
1. 関連会社とは?
関連会社とは、親会社に支配されていないが、親会社から影響を受けている会社のことです。
主に、自社株の20%以上を親会社が保有しており、親会社の連結決算対象になっています。
また、親会社が保有している株式が20%未満15%以上の場合でも、以下の5つの条件に1つでも当てはまれば、関連会社と判定されます。
- 親会社の社員が役員などの重要なポジションに就任している
- 親会社が重要な融資をしている
- 親会社が重要な技術を提供している
- 親会社と事業場で重要な取引がある
- 財務や事業など方針決定で重要な影響が推測される事実がある
会社計算規則での定義
関連会社の会社計算規則での定義は、主に以下の通りです。
会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社等(子会社を除く。)をいう。
(会社計算規則第2条3-18)
上記の説明を要約すると、「特定の会社に対して影響力がある会社のことを関連会社と呼ぶ」ということになります。
財務諸表規則での定義
財務諸表規則での定義は、主に以下の通りです。
「会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう。」(財務諸表規則第8条第5項)
上記の定義を要約すると、「会計上、子会社以外の会社に対して重要な影響与えることができる場合は関連会社と呼ぶ」ということです。
2. 関連会社と子会社の違い
関連会社と子会社は、どちらも親会社との重要な関係性を持っており、一見するとどちらも同じ意味を持つ言葉だと捉えてしまう場合が多いですが、関連会社と子会社には明確な違いあります。
ここでは、関連会社と子会社の違いと子会社と非連結会社との違いについて解説します。
関連会社は重要な影響を与える会社
関連会社は、親会社から支配されてはいないが、親会社から影響を受けている会社のことです。
関係会社と親会社は、事業や利益、経営方針や意思決定などが完全に親会社の意向によって決まることはありませんが、重要な影響を与えることがあるので、親会社との関係性は強くあります。
また、関連会社は親会社からの支配は受けていないものの、原則として親会社に自社株式の20%以上を保有されている会社ことになるので、決議権を少し親会社が保有している状態です。
そのため、関連会社は重要な影響を与える会社でもあります。
20%以上株式を保有している会社
関連会社は、原則として20%以上株式を保有している会社のことです。
ただ、20%未満の場合でも一定の条件に当てはまる場合には関連会社になります。
保有している株式が全体の15%以上20%未満の場合、主に以下の5つの条件のうち、いずれかに当てはまっている場合は関連会社になります。
- 親会社の社員が役員などの重要なポジションに就任している
- 親会社が重要な融資をしている
- 親会社が重要な技術を提供している
- 親会社と事業場で重要な取引がある
- 財務や事業など方針決定で重要な影響が推測される事実がある
子会社は経営を支配されている会社
子会社とは、議決権の50%以上を親会社が保有しており、親会社に支配されている会社のことです。
関連会社は、親会社の影響を受ける会社ではありますが、支配されていることはないので、関連会社と子会社の大きな違いの1つでもあります。
また、子会社が親会社と完全に支配関係にあるため、事業や利益、経営方針や判断は全て親会社の意向によって決定されます。
そのため、子会社は「連結法」に基づいて会計処理することから、親会社と子会社の財務諸表が合算され、子会社の財務諸表は親会社の財務諸表に直接的に反映されるようになっています。
主に50%以上の株式が親会社に保有されている会社
子会社は、主に50%以上の株式が親会社に保有されており、完全に経営が支配されている会社です。
関連会社は原則として20%以上の株式を保有している会社であり、子会社とは違い完全に支配されておらず影響を与えられる会社になります。
また、子会社は原則として50%以上の株式を保有していることが条件になっていますが、関連会社と同様に一定の条件に当てはまる場合には子会社として判定されます。
保有している株式が全体の40%から50%以下の場合、子会社判定される一定の条件には、以下の5つがあります。
- 自己所有等議決権数の割合が50%
- 役員などの重要なポジションの構成員が親会社の社員で50%以上の割合
- 重要な財務・事業の方針決定を支配する契約をしている
- 資金調達総額に対する融資額(債務保証等含む)が50%以上ある
- その他の財務・事業の方針決定の支配が推測される事実がある
※自己所有等議決件数とは、以下3つの合計数のことです。
- 自己の計算で所有
- 取引関係などにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者が所有
- 自己の意思と同一の内容の議決権行使に同意している者の所有
子会社と非連結会社の違い
子会社とは、自社株式の50%以上を親会社が保有しており、完全に支配されている会社のことです。
また、会計基準第13項では、「連結決算では原則、全ての子会社を連結対象とします。」と定義されているので、子会社は連結会社に区分されます。
非連合会社とは、子会社というところでは同じものの、主に以下の理由で連結対象から外された子会社です。
- 親会社の支配が1時的な会社
- 金額的に小規模で重要性が低い会社
- 経営戦略上、重要性が低い会社
- 含み損などがなく、連結開示しなくとも、関係者に誤解を与えない会社
そのため、非連結会社は連結会社の子会社と違い、経営全体から見て重要性が低く連結対象から外された会社のことになります。
3. 関連会社とグループ会社の違い
関連会社とグループ会社の2つも子会社のように、同じ意味や扱いの言葉だと思っている方が多いです。
しかし具体的には、それぞれの言葉の意味や扱いは少し違います。
ここでは、関連会社とグループ会社の違いについて解説します。
グループ会社は法律的には関係会社のこと
グループ会社とは、親会社や子会社、関連会社などの関係性がある全ての会社のことです。
例えば、特定の親会社の利益を目的として資本関係のある子会社や関連会社などの会社は全てグループ会社と言えます。
ただ、グループ会社は法律によって定義されている言葉ではないので、法律的には「関係会社」のことになります。
親会社・子会社・関連会社など関係性を持つ会社のまとまり
グループ会社は、親会社・子会社・関連会社など関係性を持つ会社のまとまりを意味する言葉です。
また、グループ会社は同じ経営理念や方針、哲学を持っており、意思決定や意思疎通などがスピーディーかつスムーズに行われる特徴があります。
そのため、関連会社とは意味や扱いなどが違うことがわかります。
関連会社もグループ会社の一つ
関連会社とグループ会社の意味は少し違いますが、関連会社もグループ会社の1つです。
グループ会社は、主に以下の5つの種類があります。
- 関係会社
- 親会社
- 子会社
- 関連会社
- 持分法適用会社
そして、以上5つに含まれている関連会社も、親会社と関係性を持っている会社の1つなので、グループ会社に含まれています。
そのため、関連会社はグループ会社と少し意味が違いますが、グループ会社の中に含まれている言葉の1つでもあります。
4. 関連会社を設立するメリット
関連会社を設立することによって、主に以下の3つのメリットを得ることができます。
- 関連会社を設立して経営を分割することにより効率化される
- 後続者の育成・教育の場になる
- 節税効果
ここでは、以上3つのメリットを、それぞれ解説します。
関連会社を設立して経営を分割することにより効率化される
関連会社を設立する1つ目のメリットは、関連会社を設立して経営を分割することにより効率化されることです。
会社の規模が大きくなり関係者が増えてくると、会議や話し合いで意見が割れたり判断が決まらないなどの原因で、経営の意思決定が遅くなってしまう会社が多いです。
しかし、関連会社を設立した場合は、会社の規模が大きくなり関係者が増えることなく、少人数の関係者のみで経営の意思決定を素早く行えます。
ただ、経営を分割して効率化するためには、関連会社にどれだけ意思決定権を与えるのかが重要になってくるので、設立の際にそれらの意向も決めておくことをおすすめします。
そのため、多くの会社では関連会社を設立することで、経営を効率化させることが可能です。
後継者の育成・教育の場になる
関連会社を設立する2つ目のメリットは、後継者の育成・教育の場になることです。
後継者がすでに決まっている場合、会社の経営に関する知識や経験を積ませることはとても重要ですが、自社内では難しい場合があります。
自社内で後継者が経営者の日々の業務や経営に関する意向などを見て教育させる方法もありますが、あまり効果的な育成・教育方法ではない場合が多いです。
しかし、関連会社を設立してそこで後継者に経営を任せることによって、後続者が効果的に経営に関する知識身に付けて経験を積ませることが可能です。
また、将来的に親会社を引き継ぐ場合も役立つ可能性が高いので、後継者の育成・教育の場として関連会社は大きく貢献します。
そのため、関連会社の設立は、経営や利益など以外にも後継者の育成・教育にも役立ちます。
節税効果
関連会社を設立する3つ目のメリットは、節税効果があることです。
親会社に大きな利益がある場合、その分法人税や消費税などの負担が大きくなりますが、関連会社を設立することで親会社の利益が分散されるので、税金の負担も分散されます。
また、親会社も関連会社も法人税の軽減税率を利用できるようになるので、軽減措置や免税措置を受けられる可能性があります。
そのため、節税対策として関連会社を設立する会社は多いです。
5. 関連会社を設立するデメリット
関連会社を設立することによって、さまざまなメリットが得られることがわかりましたが、その反対にデメリットも存在します。
関連会社を設立するデメリットは、主に以下の2つです。
- 会社設立に手続きや時間・費用を要する
- 関連会社の評判や失態が影響し合う
ここでは、以上2つのデメリットを、それぞれ解説します。
また、これから関連会社の設立を考えている場合は、以上2つのデメリットを理解した上で設立するようにします。
会社設立に手続きや時間・費用を要する
関連会社を設立する1つ目のデメリットは、会社設立に手続きや時間・費用を要することです。
関連会社を設立する場合、一般的な会社設立と同様に会社の登記申請や各種手続きなどをするための時間や費用が必要になります。
また、関連会社を設立した後も関連会社と取引を行う場合は、取締役会もしくは株主総会で取引に関する重要な事実を開示し決議を得る必要があります。
そのため、以上のような手続きにコストがかかることを理解しておくことが大切です。
関連会社の評判や失態が影響し合う
関連会社を設立する2つ目のデメリットは、関連会社の評判や失態が影響し合うことです。
万が一、関連会社が不祥事や失態を起こしてしまった場合は、その影響が親会社やその他関係会社にまで影響してしまう可能性があります。
当然、その反対に親会社が不祥事や失態を起こしてしまった場合も、関連会社に影響が及びます。
また、関連会社の起こした不祥事に親会社が関与していない場合でも、取引先や世間からの評判や信用が低下してしまう可能性が高いです。
そのため、関連会社を設立した場合、不祥事を防ぐためのリスク管理を徹底するようにしましょう。
6. 関連会社と混同されやすい他の会社
関連会社は、子会社や関係会社、グループ会社以外にも、混同されやすい会社がいくつか存在しています。
会社経営や会社設立を行う場合、会社の意味をしっかり理解しておくことがとても大切なことの1つです。
また、関連会社と混同されやすい会社は、主に以下の2つです。
- 持株会社
- 兄弟会社
ここでは、関連会社と混同されやすい以上2つの会社を、それぞれ解説します。
持株会社
持株会社とは、事業を支配することを目的として設立された子会社の株式を保有する会社のことです。
ホールディングカンパニーと呼ぶこともあり、日本の代表的な持株会社には、主に「セブン&アイホールディングス」「野村ホールディングス」「日清食品ホールディングス」などの大手企業が挙げられます。
持株会社には、自社で事業を行わず事業を支配するために株式を保有する「純粋持株会社」と自社で事業を行いながら株式保有で他者を支配する「事業持株会社」の2種類が存在します。
また、持株会社を設立することで、複数ジャンルの事業を経営をする場合でも、効率的に経営を行うことがで可能です。
兄弟会社
兄弟会社とは、同じ親会社を持っている子会社同士のことです。
親会社が2つ以上の子会社を保有している場合、その子会社同士は全て兄弟会社ということになります。
ただ、兄弟会社は関連会社のように、法律によって定義されているわけではないので、解釈や扱いに注意が必要です。
そのため、関連会社と兄弟会社には、「子会社同士の関係性かどうか」や「法律で定義されているかどうか」などの違いがあります。
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