建設会社の事業売却は簡単?M&Aで売りたい場合にすべきことを徹底解説

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

一般的な業種に比べて、建設会社の事業売却の難易度が高めであるのは事実です。そこで、本記事では、建設会社の事業売却をできるだけ簡単に行う方法や売るときに行うべきこと、建設会社の事業売却で専門家を選ぶときのポイントなどを解説します。

目次

  1. 建設会社とは
  2. 建設会社の事業売却は簡単か?
  3. 建設会社を事業売却したい場合にすべきこと
  4. 建設会社を事業売却する目的
  5. 建設会社の事業売却相場
  6. 建設会社の事業売却の専門家を選ぶポイント
  7. 建設会社の事業売却の相談はM&A総合研究所へ
  8. 建設会社の事業売却の案件例
  9. 建設会社の事業売却まとめ
  10. 建設・土木業界の成約事例一覧
  11. 建設・土木業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
  • セミナー情報
  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

1. 建設会社とは

建設会社とは、建設工事の完成を請け負う会社のことです。建設会社は、建設業の許可を得ている会社といえばわかりやすいでしょう。

建設業の許可は29の業種に分類されています。例を挙げると、戸建て・マンション・ビルなどの土木・建築一式工事や、足場の組み立て・土砂などの掘削・地盤改良などのとび・土工 ・コンクリート工事、電気工事・管工事などの設備工事です。

建設業の許可を必要とする29業種は、以下のとおりです。
 

  業種   業種
1 土木一式工事 16 ガラス工事
2 建築一式工事 17 塗装工事
3 大工工事 18 防水工事
4 左官工事 19 内装仕上工事
5 とび・土工・コンクリート工事 20 機械器具設置工事
6 石工事 21 熱絶縁工事
7 屋根工事 22 電気通信工事
8 電気工事 23 造園工事
9 管工事 24 さく井工事
10 タイル・れんが・ブロック工事 25 建具工事
11 鋼構造物工事 26 水道施設工事
12 鉄筋工事 27 消防施設工事
13 舗装工事 28 清掃施設工事
14 しゅんせつ工事 29 解体工事
15 板金工事    


建設会社と呼ばれる企業は、主に土木一式工事・建築一式工事・大工工事などを行う会社とされています。手掛ける建築物は、マンションやビル、商業施設、公共施設などが一般的です。

戸建ての住宅を手掛ける会社は工務店と呼ばれるので、大きな規模の建設工事を請け負うのが建設会社といえます。

【関連】建設会社の事業譲渡のやり方・流れ・メリットを解説!建設業許可に関する注意点も

2. 建設会社の事業売却は簡単か?

「建設会社の事業売却は簡単に行えるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、建設会社の事業を売ることの難しさや、事業売却を簡単に行う手段などを解説します。

建設会社の事業売却が難しい理由

建設会社が営む事業を他社に売る場合、事業売却が思うように進まないことがあります。事業売却が難しいとされる理由には、以下の2点が挙げられます。

  • 入札などのスケールメリットがネック
  • 建設業界特有の許可・引き継ぎ・審査などがネック

入札などのスケールメリットがネック

1つ目に挙げる建設会社の事業売却を難しいとする理由は、入札などのスケールメリットが得られない点です。建設会社が公共工事の受注に重きを置いている場合、買い手側が売り手と同様の仕事を受注できない可能性があります。

公共工事を請け負う場合は入札に勝つ必要があり、公共工事を落札できないと売り手の業績に達せず、買収してもスケールメリットを得られない事態があり得ます。

会社を売る気があっても不確定なスケールメリットを提示していると、買い手の食指が動きません。受注する案件によって工事の内容が異なります。同じ工事は存在せず、請け負った工事ごとに資材・機械・人材を変えなければなりません。

スケールメリットを得られにくく、売ることを提案しても買い手が首を縦に振らないケースも想定されます。

建設業界特有の許可・引き継ぎ・審査などがネック

2つ目に挙げる建設会社の事業売却を難しいとする理由は、建設業界の許可・引き継ぎ・審査などへの対応です。

  • 建設業界特有の許可
  • 建設事業の引き継ぎ
  • 経営事項審査を受ける

建設業界特有の許可

建設業を行う場合は、業種ごとに許可を得なくてはなりません。許可する者は営業所の区域によって異なり、建設会社が複数の都道府県に営業所を置く場合は、国土交通大臣から許可を得ます。建設会社が1つの都道府県だけに営業所を置く場合は、都道府県知事からの許可が必要です。

建設業の許可では、下請けに対する工事の規模によって2つの種類に分かれます。1つは一般建設業、もう1つが特定建設業です。分類される条件は以下のとおりです。
 

請負う工事の規模 必要な許可
発注者から直接請け負った工事について1件につき4,000万円以上で下請けに発注する
(建設工事業の場合は、6,000万円以上)
特定建設業
上記以外の場合 一般建設業

ただし、軽微な工事に該当すれば、認可を得る必要がありません。軽微な工事は、以下のように規定されています。
 
建設業許可における軽微な工事
工事の種類 該当条件
建築一式工事 下記のどちらかに該当すれば軽微な工事
  • 工事1件の請負額が1,500万円未満の工事
  • 延べ床面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
建築一式工事以外の建設工事 工事1件の請負額が500万円未満の工事

建設会社が事業を売る場合は、買い手側に建設業の許可があるかどうかが重要です。買い手が許可を得ていないと、事業承継の前後で事業を行うための許可を得る必要があるため、事業売却の成立に影響が及びます。

建設事業の引き継ぎ

事業売却で建設事業の引き継ぎを行う場合、買い手側に建設業の許可は引き継がれません。買い手側は、事前に許可を得たり、承継後に許可を申請したりする必要があります。

異業種から参入を図る会社や、他の建設業の許可を得ている建設会社に自社の建設事業を売る場合には、買い手が許可を取得する必要があることがネックとなり買収をためらうことが想定されます。

経営事項審査を受ける

建設会社が公共工事の発注者から直接業務を請け負う場合には、建設業の許可を受けている・欠格要件に該当しない・税金を納めている、この3点のほかに経営事項審査を受ける必要があります。

ここでいう経営事項審査とは、公共事業に入札する建設会社・個人事業者を対象にした審査のことです。建設会社などの経営状況・経営規模・技術力・そのほかの事項を数値化し、点数をつけて審査が行われます。

買い手が公共工事を請け負うには審査を通過するための労力・時間・費用が必要となり、事業売却がスムーズに進まない事態もあり得ます。建設事業を売る場合は、公共工事の入札に定められている審査が事業売却のネックです。

【関連】建築会社の売却・M&Aの動向は?留意点やポイントから流れまで解説!

建設会社の事業売却を簡単にする手段

建設会社の事業売却は、どのような手段を取れば簡単に行えるのでしょうか。建設会社の事業売却では、以下の点を押さえれば会社の事業を売ることの確度が上がります。

  • 買収するメリットを提示する
  • 計画的なスケジュールを立てる
  • 事業売却の専門家に相談する

買収するメリットを提示する

1つ目に挙げる建設会社の事業売却を簡単にする手段は、買収のメリットを提示することです。事業を承継することで、以下のようなメリットが得られることを伝えましょう。

  • 技術力をもった従業員を確保できる
  • 自社にはない建設事業を補完できる
  • 建設事業の内製化を図れる
  • 工事の実績を引き継げる

買い手にメリットを明確に伝えることで、事業承継のデメリットがあっても買収を前向きに検討するようになります。

計画的なスケジュールを立てる

2つ目に挙げる建設会社の事業売却を簡単にする手段は、計画的なスケジュールを立てることです。事業を売る側は、買い手が許可を取得するまでの期間や、審査が終わるまでの期間を把握しておくことが求められます。

建設業の許可を申請してから、審査が完了するまでの標準的な期間は以下のとおりです。

  • 都道府県知事の許可:約30日
  • 国土交通大臣の許可:約3カ月

準備・審査の期間を勘案しておかなければ、事業売却が完了しても買い手が事業を始められない期間が生じます。そのような事態にならないように、あらかじめ譲渡の完了から許可の取得・審査完了までの期間を想定してスケジューリングしましょう。

事業売却の専門家に相談する

3つ目に挙げる建設会社の事業売却を簡単にする手段は、事業売却の専門家に相談することです。建設会社が事業を売る場合には、スケジュールの管理や資格・技術を有する人材の異動、取引の継続などに注意し、見落としがないことを確かめなければいけません。

社内に事業売却の専門家がいない場合は、士業や公的機関・銀行・M&A仲介会社などへ相談を持ち掛けるようにしましょう。専門家にサポートしてもらうことで、通常の業務を続けながら建設事業を売ることが可能です。

建設会社の事業売却の相談は、M&A総合研究所へ

M&A総合研究所は、中小・中堅企業向けにM&A支援を行っているM&A仲介会社です。建設業の案件も多数取り扱っており、豊富な経験と実績を備えたM&Aアドバイザーが、相談時からクロージングまで事業売却を徹底サポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を受け付けていますので、建設会社の事業売却・M&Aをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。

【関連】建設・土木会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
0120-401-970
WEBから無料相談
M&Aのプロに相談する

3. 建設会社を事業売却したい場合にすべきこと

建設会社の事業を売却する場合、どのようなことをすればよいのでしょうか。これから事業売却を行う予定の方は、以下に挙げる行動を取って、建設会社の事業売却を進めましょう。

  1. 建設業許可の取得を促す
  2. 工事中・入札中の案件の引き継ぎを行う
  3. 経営事項審査に関する資料などをまとめる
  4. 粉飾決算の有無を確認する
  5. 事業売却の手段を検討する
  6. アピールできるように魅力的な経営を行う
  7. 事業売却する理由を明確にする
  8. 事業売却後の影響を想定する
  9. 事業売却した際のリスクも知っておく
  10. 専門家に相談する

①建設業許可の取得を促す

1つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、建設業許可の取得を促すことです。建設業の許可は、申請の資格をそろえたり、審査が終わるまでに一定期間を要したりと準備期間を必要とします。

買い手が承継し、すぐに事業を始めるには建設業の許可をあらかじめ取得しておくことが必須です。建設事業の買い手には、事前に承継する建設業の許可を得るよう促しましょう。

②工事中・入札中の案件の引き継ぎを行う

2つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、工事中・入札中の案件の引き継ぎです。譲渡日までに売り手側が、施工中の工事を終えられない場合は、注文者と協議を行う必要があります。

契約を書き換えたり、施工代金の支払いを取り決めたりと、譲渡を行う前に発注者と施工を終えていない工事に関して取り決めた契約を改めましょう。売り手が公共工事への入札を行い、譲渡日までに入札が完了しない場合は、あらかじめ発注者から承諾を得る必要があります。

③経営事項審査に関する資料などをまとめる

3つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、経営事項審査に関する資料などの収集です。国・都道府県・区市町村などが行う公共事業への入札資格を得るためには、経営状況分析を申請し、経営事項審査に通過しなければなりません。

経営状況分析の申請に必要な書類には、経営状況分析申請書や建設業許可を証明できる確認書、減価償却額を確認できる書類、審査日直前1年の財務諸表(初めての場合は3年分)などがあります。

経営事項審査に関する書類は、以下をそろえて提出または提示します。

【提出書類】

  • 経営規模等評価申請書
  • 経営規模等評価再審査申立書
  • 総合評定値請求書
  • 工事種類別完成工事高
  • 工事種類別元請完成工事高
  • そのほかの審査項目
  • 技術職員名簿
  • 経営状況分析結果通知書
  • 工事履歴書
  • 手数料証紙(印紙)貼付書など

【提示書類】
  • 建設業許可通知書か許可証明書
  • 建設業許可申請書
  • 決算報告書(変更届)
  • そのほかの変更届
  • 確定申告書(2年または3年分)
  • 消費税確定申告書の控え(2年または3年分)
  • 職員の常勤性を確認する書類
  • 技術者の資格を確認する書類
  • 雇用・健康・厚生年金保険への加入を確認する書類
  • 退職金共済金制度への加入を確認する書類
  • 退職金一時制度・企業年金制度への加入を確認する書類
  • 法定外労災補償制度への加入を確認する書類
  • 防災協定への締結を確認する書類
  • 建設業経理士・公認会計士などの資格を確認する書類など

申請に必要な書類は各都道府県・区市町村で異なるため、買い手が経営事項審査を受ける場合は確認をするよう促してください。

④粉飾決算の有無を確認する

4つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動として、粉飾決算の有無を確かめることがあります。決算書のつくり方には2種類があり、1つは工事完成基準に基づく作成の仕方、もう1つは工事進行基準に沿って作成する方法です。

2つの基準を使い分けて決算書を作成していると、粉飾決算とみなされる場合があります。例えば、赤字になりそうな年度では工事完成基準を採用して次の年度に収益を計上し、今年度に収益を計上したいときには工事進行基準を選択して決算書を作成するケースです。

このように決算書をつくる基準を使い分けていると粉飾決算とみなされてしまい、事業を承継した買い手が入札を行えなくなります。

売却前に指摘されれば、事業売却は白紙に戻されかねません。売却の機会を逃したくないなら、建設会社の事業売却を行う前に決算の仕方を確認しておくことが重要です。

⑤事業売却の手段を検討する

5つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、売却手段を検討することです。一般的に事業売却とは事業譲渡をさします。事業譲渡は、会社が所有する資産・負債・権利義務などを選別して売価するものです。売り手の会社は存続できますが、雇用・取引の契約などは買い手に引き継がれません。

M&Aには株式譲渡と呼ばれるスキーム(手法)もあります。株式譲渡は経営権を譲渡しますので、会社は丸ごと買い手に譲渡されることが事業売却と最大の違いです。買い手が新たな経営者となり、資産・負債・権利義務・許認可・人材などすべてが引き継がれます。つまり、株式譲渡とは、現経営者はその地位を失うものです。

そのほか、事業売却にあたっては、吸収分割や吸収合併の手法が採用されることもあります。吸収分割とは、譲渡対象の事業に含まれる権利義務の一切を包括的に譲受企業に移譲する手法のことです。結果的に事業譲渡と同様の状態が生じますが、権利義務がまとめて承継されるため、個別の移転手続きが不要となるのが基本です。

とはいえ、建設業許可の承継には事業譲渡と同様の手続きが求められます。

吸収合併とは、譲渡企業に関わる権利義務をまとめて譲受企業に移譲する手法のことです。譲渡企業は消滅し、譲受企業に一体化します。会社法による手続きと建設業許可に関する手続きが必要です。

事業譲渡がうまく進まないようなケースでは、専門家にも相談しながら、株式譲渡・吸収分割・吸収合併などの可能性も検討しましょう。

【関連】建設会社は事業譲渡/事業売却で経営を立て直す!譲渡のメリットと手順を詳しく解説
【関連】建設会社は会社譲渡(株式譲渡)で悩みを解決!譲渡の理由や成功するポイントを解説

⑥アピールできるように魅力的な経営を行う

6つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、魅力的な経営を実践することです。多くの売り手から自社を選んでもらうためには、買い手の目に留まる必要があります。以下の項目は、事業売却を成功させている建設会社の経営取り組み例です。

  • 特定の相手と定期的に取引を行う
  • 買い手が行っていない事業を手掛ける
  • 資格と経験のある技術者を確保している
  • 元請けとして施工を受注する
  • 工事にかかるコスト(人件費・材料費)を削減する

⑦事業売却する理由を明確にする

7つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、理由の明確化です。譲渡する資産がはっきりしない・譲れない条件を明確に決めていない場合、買い手候補にこちらの要望を伝えきれません。これでは買い手候補との交渉機会を逃してしまいます。

交渉の機会を逃さないためにも、後継者不足の解消・不採算部門の切り離し・大手企業の傘下に入るなど、建設事業を売却する理由を明確にしておきましょう。

⑧事業売却後の影響を想定する

8つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、事業売却後の影響を想定することです。事業売却を行うと自社や関係者に影響が及びます。事業売却を実行することで、自社および買い手や取引先などにどのような影響が出るか検討しておきましょう。

⑨事業売却した際のリスクも知っておく

9つ目に取り上げる建設会社を売るときの行動は、事業売却した際のリスクを知ることです。事業売却した場合、売り手は譲渡を行った日から20年の間、同一の市町村と隣接する市町村の区域内で同一の事業を行えません(競業避止義務、会社法第21条)。

事業売却の後に簿外債務などの不良債権が発覚した場合、損害賠償を請求されるリスクも想定されます。正式な事業売却の報告・説明を行う前に従業員や取引先などに情報がもれた場合、不安や反発などから人材流出・取引関係悪化なども懸念点です。

【関連】事業譲渡をする際の会社法上の注意点は?定義・手続きから特別決議・競業避止義務も解説!

⑩専門家に相談する

最後に取り上げる建設会社を売るときの行動は、専門家への相談です。事業売却では、スキーム(手法)の選択・適正な売却価額の判断・プランニング・契約手続きなど専門的な知識を必要とします。

自社にM&Aの専門家がいない場合には、自社の希望に沿った事業売却が行えるよう士業・金融機関・公的機関・M&A仲介会社などに業務を依頼しましょう。

【関連】M&Aの相談先はどこがおすすめ?【徹底解説】
  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

4. 建設会社を事業売却する目的

建設会社を事業売却する目的はさまざまですが、代表的な内容は下記になります。

  1. 事業拡大
  2. 新しい業界への進出
  3. 両社の得意分野・ノウハウを活用
  4. 海外進出
  5. 後継者不在問題の解消
  6. 廃業の回避(従業員の雇用の確保)
  7. 財務安定やブランド力の向上

事業売却では、ほとんど場合で複数の目的が存在します。ただし、売却相手との交渉のプロセスには、すべての目的がかなうとは限りません。目的には優先度をつけておき、交渉の進捗状態に応じて柔軟に対処しましょう。

【関連】建設会社を事業承継するには?準備から引き継ぎまでの完全ガイド
【関連】建設会社の売却額はいくら?計算方法や相場、高値売却の方法を解説!

5. 建設会社の事業売却相場

ひとことに建設会社といっても、大手ゼネコン会社もあれば小規模の専門工事業者もあり、売却額には数百万円から数百億円まで大きな幅があります。たとえ同規模であっても、財務状況・事業内容・経営資源・買い手企業との相性・市況・当事者の思い入れなどの要因により、売却額は変動するため、一概に売却額の相場を提示することは不可能です。

とはいえ、中小規模の建設会社の場合、時価純資産に2〜5年分の営業利益を足した金額が大まかな相場と考えられています。

一般的に、以下の特徴を備えた建設会社は売却額が高額になりやすいです。

  • 将来的に高い収益・成長が見込まれる
  • 魅力的かつ安定的な顧客基盤を持つ
  • 財務体質が健全である
  • 高価値・希少な資産を持つ
  • コンプライアンス意識が強い
  • M&A取引・経営統合の支障となるような問題が見当たらない

6. 建設会社の事業売却の専門家を選ぶポイント

事業売却の専門家を決めるときは、どのような点に注目するとよいのでしょうか。これから事業売却の専門家を選ぶ方は、以下に挙げるポイントを押さえておきましょう。

  1. 建設会社・業界のM&A・事業売却の実績を持っている
  2. 過去に取り扱った案件規模が自社と同等以上
  3. M&Aや事業売却に関して幅広い知識・経験を持っている
  4. 依頼した際の手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
  5. 担当スタッフの対応・相性

①建設会社・業界のM&A・事業売却の実績を持っている

1つ目に挙げる事業売却の専門家を選ぶポイントは、建設会社や建設業のM&A・事業売却の実績を有していることです。

建設会社や建設業のM&A・事業売却を取り扱ってきた経験があれば、ふさわしい買い手候補を紹介してくれたり、適正な譲渡価額を提示してもらえたりするほか、建設業特有の注意点などを踏まえて売却の手続き・契約を支援してくれます。

②過去に取り扱った案件規模が自社と同等以上

2つ目に挙げる事業売却の専門家を選ぶポイントは、自社と同じ規模の案件を扱っていることです。取り扱っている案件の規模が異なると、思うように買い手が見つからないといった事態も起こり得ます。

専門家を選ぶ場合は、自社と同じ規模の案件を取り扱っていることを確認しておきましょう。公式サイトを調べたり、メール・電話で問い合わせたりすることで、過去に取り扱った案件の規模を確認できます。

③M&Aや事業売却に関して幅広い知識・経験を持っている

3つ目に挙げる事業売却の専門家を選ぶポイントは、M&Aや事業売却の知識・経験を深く有していることです。建設会社の事業売却では、譲渡する資産の価値を測る・自社で発注先の承諾を得る(施工・入札中の案件)ことなどが求められます。

場合によっては、買い手側に建設業の許可取得を促し、事業開始までの空白期間を短縮するために売却スケジュールを立てることもあり得ます。専門家を選ぶ場合は、建設会社・建設業の事業売却に関する知識と経験を有していることが重要です。

④依頼した際の手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい

4つ目に挙げる事業売却の専門家を選ぶポイントは、わかりやすい手数料・相談料・報酬体系を提示していることです。事業売却の専門家によっては、公式サイトに手数料などを明記していないことがあります。

料金体系などが掲載されていても、ケースごとに支払う料金や報酬体系が異なり把握しにくいこともあるため、事業売却の専門家を選ぶときは、わかりやすい手数料・相談料・報酬体系の機関を選ぶと安心です。

⑤担当スタッフの対応・相性

5つ目に挙げる事業売却の専門家を選ぶポイントは、担当スタッフの対応・相性です。事業売却では、担当スタッフの良し悪しが売却の成功を左右します。

経験の浅いスタッフが就く・質問の返答が遅い・こちらの希望を正確にくみ取ってくれないなどの要因により、望んだ売却ができない事態もあり得ます。

対応や相性が自社に合わないと感じたときは、スタッフを交代してもらう・別の専門家に依頼するなどの対策により、事業売却の機会を逃さないようにしましょう。

【関連】建築会社の事業承継・譲渡の相談先は?仲介会社の選び方を紹介!

7. 建設会社の事業売却の相談はM&A総合研究所へ

建設会社の事業売却を検討されている方は、M&A総合研究所へご相談ください。全国の中小企業のM&A・事業売却に数多く携わっているM&A総合研究所では、建設会社のM&A・事業売却も多数、サポートしています。

M&A総合研究所では、建設会社のM&A・事業売却に精通したM&Aアドバイザーがフルサポートすることで、通常は6カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3カ月でスピード成約する機動力も強みです。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を受け付けていますので、建設会社のM&A・事業売却をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。

【関連】建設・土木会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
0120-401-970
WEBから無料相談
M&Aのプロに相談する

8. 建設会社の事業売却の案件例

現在、M&A総合研究所が取り扱っている建設会社の売却案件で公開可能なものを3件掲示します。これら3件は、事業売却ではなく株式譲渡による会社売却です。

  1. 土木工事・解体工事を中心に手掛ける建設会社
  2. 注文住宅・アパートの建築業
  3. 不動産業・建設業

①土木工事・解体工事を中心に手掛ける建設会社

エリア 関東・甲信越
売上高 2億5,000万〜5億円
営業利益 1,000万〜5,000万円
譲渡希望価額 1億〜2億5,000万円
売却理由 後継者不在
詳細情報 https://masouken.com/list/145

②注文住宅・アパートの建築業

エリア 関東・甲信越
売上高 5億〜10億円
営業利益 1,000万〜5,000万円
譲渡希望価額 希望なし
売却理由 既存事業の拡大
詳細情報 https://masouken.com/list/114

③不動産業・建設業

エリア 新潟県
売上高 5億〜10億円
営業利益 ~1,000万円
譲渡希望価額 1億〜2億5,000万円
売却理由 財務的理由
詳細情報 https://masouken.com/list/70

【関連】【2022年最新】住宅建設業界のM&A動向【ハウスメーカー/ビルダー/工務店】
【関連】建設業界・ゼネコン業界のM&A動向!買収・売却事例32選、譲渡案件、メリットも紹介【2022年最新】

9. 建設会社の事業売却まとめ

建設会社の事業売却に関して、譲渡の難しさや売るときのポイントなどを紹介しました。建設会社の事業売却では、買い手側にとってネックとなる問題を解消することがポイントです。

建設会社の事業売却には、工事・入札中の案件の取り扱いや、建設業許可の引き継ぎ不可などがあり、特殊なM&Aといえます。事業売却を成功させるには、やはりM&A・事業売却の専門家に相談するのがおすすめです。

10. 建設・土木業界の成約事例一覧

11. 建設・土木業界のM&A案件一覧

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬!
  2. 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
  3. 上場の信頼感と豊富な実績
  4. 譲受企業専門部署による強いマッチング力
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

>>完全成功報酬制のM&A仲介サービスはこちら(※譲渡企業様のみ)

関連する記事

新着一覧

最近公開された記事
建設・土木会社のM&A・事業承継