バス会社のM&A・買収・売却!業界動向・相場・ポイントを解説【成功事例あり】

会計提携第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

本記事では、バス会社のM&A・買収・売却について、バス会社の概要や業界の動向、M&A・買収・売却価格の相場を中心に解説します。また、バス会社のM&A・買収・売却を検討している方に向けて、取引価格の算出方法・押さえておくべきポイント・成功事例もまとめました。

目次

  1. バス会社のM&A・買収・売却
  2. バス会社の業界動向
  3. バス会社のM&A・買収・売却相場
  4. バス会社のM&A・買収・売却価格の算出方法
  5. バス会社のM&A・買収・売却のポイント
  6. バス会社のM&A・買収・売却の成功事例
  7. バス会社のM&A・買収・売却の際におすすめのM&A仲介会社
  8. まとめ
  9. バス業界の成約事例一覧
  10. バス業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
  • 経験豊富なM&AアドバイザーがM&Aをフルサポート まずは無料相談
  • バス会社のM&A・事業承継

1. バス会社のM&A・買収・売却

バス会社のM&A・買収・売却とは、具体的にどのような行為をさすのでしょうか。ここでは、まずバス会社の概要とM&A・買収・売却の特徴について解説します。

バス会社とは

バス会社とは、大人数の利用客を乗せて目的地まで輸送するサービスを提供している会社のことです。

バス会社は提供するサービスにより、乗合バス・貸切バスという2つの事業に分けられています。

乗合バス事業

乗合バス事業とは、決められたルートを走って利用客を運ぶバス事業です。同一の車両に複数の利用客が乗り合わせることから、乗合という名称が付けられました。

また、乗合バス事業は一般乗合旅客自動車運送事業とも呼ばれており、個別に運送の申し込み・運賃の支払いを求めてバス事業のサービスを提供している点が特徴的です。

乗合バス事業に分類されるサービスには、市内を走る路線バス・高速道路を使って長い区間を走る高速バスをはじめ、路線を決めて予約に応じて不定期に運行するバスや、区域・路線を決め予約に応じて走るデマンドバスなどが挙げられます。

貸切バス事業

貸切バス事業は、複数の利用客をまとめ1つの契約を結び目的地までの輸送を行う事業であり、一般貸切旅客自動車運送事業に分類されています。

貸し切りバスでは車両単位で輸送を行うため、乗合バスのように他の利用客と乗り合わせることはありません。

簡単にいうと、社員旅行・仲間内での旅行・旅行会社が組むツアーなどで利用されるサービスです。なお、一般貸切旅客自動車運送事業は、国土交通省令により「乗車定員が11人以上の自動車を用いる」と定義付けられているため、定員数でも乗合バスと規定が異なります。

貸切バス事業で提供するバスの具体例は、観光バス・ツアーバス・企業や学校が利用する送迎バスなどです。特に観光バス事業がよく利用されているため、観光バスを貸切バスと呼ぶケースも多く見られます。

観光バス事業

貸切バスに分類される観光バス事業は、観光を目的にした利用客に輸送サービスを提供する事業です。観光バス事業では、一般的に大型のバスが用いられます。

観光バス事業の車両には、荷物をしまうスペースが確保されていたり、車内にマイク・カラオケ・リクライニングシート・トイレなどの設備を備えていたりと、長距離移動に対応したバスを用意したうえで、特定の団体客・ツアー客などの輸送を行っています。

このように、観光バス事業とは、大人数・長時間の輸送を想定した車両を用意したうえで、目的の観光地まで利用者を運ぶサービスです。

M&A・買収・売却とは

バス会社のM&A・買収・売却とは、自社のバス事業の譲渡や他社が営むバス事業を買収し、バス事業の継続や成長を図る行為です。

売却側は、大手の傘下に入って資本を獲得したりシナジーを獲得したりする目的で実施します。

これに対して、買収側は、事業領域の拡大・吸収合併による経営の効率化・連携を通じた地域の活性化などを目的に、バス会社およびバス事業を譲り受けるケースが多いです。

そのほか、異業種からの参入を図るためにM&Aを利用して、人材・資産・許認可を確保する企業も見られます。

【関連】バス会社のM&A・買収・売却・譲渡のメリットは?売買相場や成功事例を紹介

2. バス会社の業界動向

バス会社の業界では現在、どのような動きが見られるのでしょうか。ここでは、バス会社のM&A・買収・売却を行う際に把握しておくべき、バス会社の動向について解説します。

【バス会社のM&A動向】

  1. 倒産・廃業の件数が増加している
  2. M&Aによる業界再編の動きがある
  3. 現在は新規参入が難しい業界
  4. 大型車両の納品遅れによる影響
  5. 高齢化による人材不足も深刻
  6. ビジネスチャンスを求めて異業種からの参入

それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①倒産・廃業の件数が増加している

1つ目に挙げるバス会社の業界動向は、倒産・廃業数の増加です。2014年以降、貸切バス事業では新運賃・料金制度やインバウンド消費性向の変化により、仕事の確保が難しい傾向が続いています。

さらに、2017年度から始まった事業許可の更新制度により、廃業を余儀なくされる貸切バス事業者も見られました。

②M&Aによる業界再編の動きがある

2つ目に挙げるバス会社の業界動向は、M&Aによる業界再編についてです。公益社団法人日本バス協会が報告した『2018年度版(平成30年度)日本のバス事業』(最新版)より、2017年度における乗合バス事業者の収支を見ると、約67%の企業が赤字を出しています。

さらに、大都市を除いた地域に限定した場合、約85%の企業が赤字を計上している状況です。

このような現状から、財務状況を改善できない会社は、同業者や異業種企業へ事業を売却してバス事業を引き継いでもらったり大手の資本を得て事業の再建を行ったりしています。

③現在は新規参入が難しい業界

3つ目に挙げるバス会社の業界動向は、参入障壁の高さです。乗合バス事業を始めたとしても、既存のバス会社がすでにサービスを提供しているケースも少なくありません。

利用客は新規で参入した企業の存在を知らなかったり乗り慣れたバスを継続して選んだりと、自社のサービスを利用してもらえない事態が想定されるため、新規の参入が難しいです。

さらに、駅や空港などは他のバス事業者により停留所の場所が確保されているため、目的の場所に停留所を置けない可能性も大いにあります。

また、貸切バス事業では、コストの問題をクリアしなければ、参入しても早期の撤退を余儀なくされる状況です。

現在は高速ツアーバスによる事故の影響を受けて、貸切バス事業における規制が強化されています。安全性の確保にはコストが嵩むうえに運賃にも上下限が設定されたため、既存のバス会社にコスト面での競争を仕掛けるのは難しいです。

④大型車両の納品遅れによる影響

4つ目に挙げるバス会社の業界動向は、大型車両の納品遅れによる影響についてです。バス事業に必要な大型車両は、納品までに10カ月ほどの期間を要するとされています。

特に観光バスはシートなどの内装で差別化を図ることが多く、完成までに手間と時間がかかりやすいです。

そのため、バス事業の拡大や新規参入を図る企業は、既存のバス会社・事業を譲り受けて車両の納品に掛かる時間を節約している現状が多く見られます。

⑤高齢化による人材不足も深刻

5つ目に挙げるバス会社の業界動向は、高齢化による深刻な人材不足です。2019年7月の産経新聞のニュース『若者敬遠、老いるバス運転手 人材不足で路線縮小も』によると、バス運転手の平均年齢は、2018年6月時点で51.2歳と報じられています。(国土交通省による発表)

また、国土交通省自動車局の『バス運転者を巡る現状について』によると、2013年時点のバス運転手の労働時間(年間)は、全業種の平均労働時間より332時間多い2508時間に達していました。一方で給料については、35歳以上になると全職種よりも低い水準です。

このように、バス事業会社では、高齢化や待遇の悪さにより退職・離職が進み、人材不足が深刻化しています。

⑥ビジネスチャンスを求めて異業種からの参入

6つ目に挙げるバス会社の業界動向は、ビジネスチャンスを求めた異業種からの参入についてです。

昨今の貸切バス事業では、乗合バスの事業者数について年々増加が見られます。これは、高速乗合バスの需要が高まっているためです。

中でも乗合高速バス事業では、インバウンドの需要に合わせた路線の見直しや、日本最大のバスターミナル「バスタ新宿」の開業、インバウンド向けの高速バス情報プラット フォーム「Japan Bus-Gateway」開設などが実施されています。

これにより、異業種企業は高速乗合バスの需要が高まっている点や需要に応えられる基盤が整備された点などを魅力に感じ、バス事業をビジネスチャンスと捉えて参入している状況です。

【関連】バス会社の事業承継のやり方や注意点を解説【貸切バス/観光バス】

3. バス会社のM&A・買収・売却相場

バス会社のM&A・買収・売却相場は、数十万~1,000万円以下ほどと幅広いです。ただし、所有するバスの台数・抱えている運転手の数などによって、会社の価値が高くなる傾向が見られます。

このような付加価値を備えているバス会社なら、1,000万円以上での売却も可能です。

バス会社のM&A・買収・売却では、会社の規模の他に所有するバスの台数・運転手の数によっても取引価格が上下することを把握しておきましょう。

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4. バス会社のM&A・買収・売却価格の算出方法

バス会社のM&A・買収・売却価格を算出する場合、3つの方法が用いられます。自社や他社のバス会社・事業の価値を調べるときは、以下のいずれかの方法を用いて算出するのが基本です。
 

  1. 純資産価額法
  2. 類似会社比準法
  3. DCF法

それぞれの方法を順番に見ていきましょう。

①純資産価額法

純資産価額法とは、企業が保有している資産を基準にして企業価値を算出する方法です。ここでは、企業が所有する時価の資産から負債を差し引いた額により企業価値を算出します。

ただし、バス会社に備わっているのれんや将来の利益が反映されないため、保有資産の把握に限った算出方法です。

②類似会社比準法

類似会社比準法とは、上場企業から自社と業種・事業規模が似ている会社を選んで企業価値を算出する方法です。ここでは、複数の上場企業を選んで株価の平均を出しながら、バス会社の株価を算出します。

類似会社比準法では非上場のバス会社でも株価をもとに企業価値を算出できるため、類似する上場企業を見つけられれば簡単に企業価値を計算可能という点がメリットです。

③DCF法

DCF法とは、将来に得られるキャッシュ・フローを基準にした算出方法です。算出の仕方を見ると、まず将来に獲得するキャッシュ・フローを将来の増減分で割り引きます。そして、非営業用の資産を加えて有利子負債を除けば、株式価値を算出可能です。

バス会社の事業は、所有するバスの台数により生み出される収益が上下します。そのため、将来に得られる収益を基準にしたDCF法であれば、所有する車両が生み出す利益を事業価値に反映できるのです。

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5. バス会社のM&A・買収・売却のポイント

バス会社のM&Aでは、買収・売却する側の立場で押さえておくポイントが異なります。ここでは、買い手側と売り手側それぞれの立場から、バス会社のM&Aを成功させるポイントを見ていきましょう。

バス会社を売却する側のポイント

M&Aでバス会社を売却する場合、どのような点を押さえておけば良いのでしょうか。売却側は、以下の3つを意識したうえで、譲渡の交渉・契約を進めましょう。
 

  1. 後継者問題の解決と廃業・倒産の回避
  2. 個人保証・負債の解消と譲渡益の獲得
  3. 雇用の継続

それぞれのポイントを順番に見ていきます。

①後継者問題の解決と廃業・倒産の回避

1つ目に挙げるM&Aでバス会社を売却する側のポイントは、後継者問題の解決と廃業・倒産の回避についてです。

バス会社・バス事業を譲渡すると自社の事業が他社に引き継がれるため、後継者不足や廃業・倒産を避けられます。

これにより、育ててきた会社・事業を後世に残せるため、取り組んでいる事業に愛着があるならM&Aによる売却を検討すると良いでしょう。

②個人保証・負債の解消と譲渡益の獲得

2つ目に挙げるM&Aでバス会社を売却する側のポイントは、個人保証・負債の解消と譲渡益の獲得についてです。バス会社・バス事業の売却により、買い手側が個人保証の解消を受け入れてくれれば、譲渡後の負担を軽減できます

また、事業譲渡での売却が成立すると、会社は譲渡益を獲得できるのです。得られた対価は会社が抱える負債の返済に充てられるため、借金も返済できます。

なお、株式譲渡での売却では、オーナーが譲渡益を得るため、引退後の生活費の一部を賄える点がメリットです。

③雇用の継続

3つ目に挙げるM&Aでバス会社を売却する側のポイントは、雇用の継続についてです。バス会社・バス事業の譲渡契約に雇用の継続を盛り込めば、従業員が職を失う事態を回避できます。

特に現在のバス業界では、高齢化による人材不足が顕著です。バス会社・バス事業を買収する側は、運営に必要な人材の承継を前提にバス会社を買収しています。

そのため、M&Aによる売却では、雇用を引き継いでもらえる可能性が高いです。

バス会社を買収する側のポイント

M&Aでバス会社を買収する場合、どのような点を押さえておけば良いのでしょうか。次は、買い手側の視点から、バス会社を譲り受ける際のポイントを3つ紹介します。
 

  1. 貸切バス事業の許可を得られる
  2. 車両や整備施設を獲得できる
  3. ドライバーなど免許を持った人材を獲得できる

それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。

①貸切バス事業の許可を得られる

1つ目に挙げるM&Aでバス会社を買収する側のポイントは、貸切バス事業許可の獲得についてです。

貸切バス事業では、高速ツアーバスの事故を受けて事業許可を得るための条件が厳しくなり、2017年以降は5年ごとに更新する制度が設けられました。

そのため、新規で貸切バス事業の許可を得るには、厳しい審査をクリアしたうえで申請の許可が下りるまで一定期間待たなくてはなりません。

しかし、M&Aによる買収を選択すれば、貸切バス事業の許可を即座に得られるため、短期間で事業を始められます。

②車両や整備施設を獲得できる

2つ目に挙げるM&Aでバス会社を買収する側のポイントは、車両や整備施設を獲得できる点です。

バス会社の運営には、営業所・停留所・仮眠施設の設置のほか、利用客を運ぶための車両・車両の整備施設が必要となります。

大型の車両は1台およそ2,500万~4,000万円ほどの価格となるため、必要な台数を購入するだけでも、多額の資金を用意しなければなりません。加えて、車両の整備・点検・清掃を行う施設も建てる必要があります。

そのため、M&Aによって対象企業・事業の車両と設備施設を入手できれば、事業を始めるための初期費用を大幅に抑えられるのです。

③ドライバーなど免許を持った人材を獲得できる

3つ目に挙げるM&Aでバス会社を買収する側のポイントは、ドライバーなど免許を持った人材の獲得です。

バス事業では、大型二種免許を持ったドライバーの雇用が求められます。新規で事業を始めた場合、人材不足の現状からドライバーが集まらない事態も想定される状況です。

そこでM&Aによる買収を選択すれば、既存のバス会社から事業を譲り受けるため、雇用していたドライバーもそのまま獲得できます。

バス会社のM&A・買収・売却を行う際は専門家に相談する

バス会社のM&A・買収・売却を成功させるには、M&Aに関する幅広い知識に加えて、バス業界の動向把握や自社の状況に応じた戦略策定などで専門的な知識・見解が必要になります。

そのため、M&A仲介会社などの専門家に相談して進めましょう。専門家に協力を仰げば、相応しい相手を探してくれたり適正な取引価格を提示してくれたりと、M&Aに関するさまざまなサポートを受けられます。

そのほか、自社に合ったスキームの提案や交渉・契約の代行なども任せられるため、専門知識を持たない会社でもバス会社のM&A・買収・売却をスムーズに進められるのです。

バス会社のM&A・買収・売却を行う際は、M&A仲介会社や士業、公的・金融機関などの専門家に相談して進めましょう。

バス会社のM&A・買収・売却はM&A総合研究所へ

M&A総合研究所

M&A総合研究所

出典:https://masouken.com/

M&A総合研究所は、中堅・中小企業向けにM&A仲介サービスを行っています。案件ごとにM&A専門のアドバイザーが専任に就き、クロージングまでフルサポートしています

当社は完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は完全無料です。初期費用を抑えたい場合にもおすすめできます。

バス会社のM&A・買収・売却を検討されている方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。お電話・メールで無料相談をお受けしております。

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6. バス会社のM&A・買収・売却の成功事例

バス会社のM&A・買収・売却では、どのような企業が取引を成功させているのでしょうか。ここでは、バス会社のM&A・買収・売却の成功事例を紹介します。
 

  1. 阪急バスと阪急田園バスのM&A
  2. 茨城交通と日立電鉄交通サービスのM&A
  3. アルピコ交通によるアルピコ交通大阪のM&A
  4. 関東自動車による東野交通のM&A
  5. Car Club Pte LtdとWILLERS PTE. LTD.のM&A
  6. 岩手県北自動車による南部バスのM&A
  7. 第一交通による相互タクシーのM&A
  8. 神姫バスによる全但バスのM&A
  9. 京成電鉄による千葉交通のM&A
  10. みちのりホールディングスと地域活性化支援機構のM&A

それぞれの事例を順番に見ていきましょう。

①阪急バスと阪急田園バスのM&A

1つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、阪急バスと阪急田園バスのM&Aです。

路線バス・高速バス・貸切バス事業などを展開する阪急バスは、2019年7月に、兵庫県で路線バス事業を営む子会社・阪急田園バスと吸収合併を行いました。

阪急バスは吸収合併により、経営資源の一元化・人材の安定確保・フレキシブルな人材配置を図るとしています。
 

①阪急バスと阪急田園バスのM&A
M&Aのスキーム 吸収合併
M&Aの目的 経営資源の一元化
人材の安定確保
フレキシブルな人材配置

②茨城交通と日立電鉄交通サービスのM&A

2つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、茨城交通と日立電鉄交通サービスのM&Aです。

みちのりホールディングスのグループ企業・茨城交通と日立電鉄交通サービスは、2019年5月に、茨城交通を存続会社とする吸収合併を行っています。

両社は路線バス・高速バス・観光バスなどのバス事業やタクシー事業など多くの業種が共通しているうえに、隣接するエリアで事業を展開していました。

そこで一体経営に踏み切り、経営資源の最適化・ノウハウの共有・営業と管理部門の統合による経営の効率化などを目指すとしています。
 

②茨城交通と日立電鉄交通サービスのM&A
M&Aのスキーム 吸収合併
M&Aの目的 経営資源の最適化
ノウハウの共有
経営の効率化

③アルピコ交通によるアルピコ交通大阪のM&A

3つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、アルピコ交通によるアルピコ交通大阪のM&Aです。

両社は、交通・観光・レジャー事業などを手掛けるアルピコグループに属しています。アルピコ交通は、2019年4月に、アルピコ交通大阪との吸収合併を実施しました。

アルピコグループはアルピコ交通を通じた吸収合併により、事業の効率化と経営基盤の強化を図るとしています。
 

③アルピコ交通によるアルピコ交通大阪のM&A
M&Aのスキーム 吸収合併
M&Aの目的 事業の効率化
経営基盤の強化

④関東自動車による東野交通のM&A

4つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、関東自動車による東野交通のM&Aです。

栃木県を中心に路線バス・空港バス・高速バス・貸切バス事業などを展開する関東自動車は、2018年10月に、同じ栃木県内で乗合バス・高速バス・貸切バス・観光バス事業やロープウェイの運営などを手掛ける東野交通との吸収合併を行いました。

両社はみちのりグループの兄弟企業として事業の連携に取り組んでいたものの、合併による事業の一体化を図ることで、業務の再構築や営業・管理部門の統合を通じた組織力の強化を目指すとしています。
 

④関東自動車による東野交通のM&A
M&Aのスキーム 吸収合併
M&Aの目的 業務の再構築
営業・管理部門の統合を通じた組織力の強化

⑤Car Club Pte LtdとWILLERS PTE. LTD.のM&A

5つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、Car Club Pte LtdとWILLERS PTE. LTD.のM&Aです。

シンガポールでカーシェアリング事業を展開するCar Club Pte Ltdは、2018年8月に、シンガポールのWILLERS PTE. LTD.へ第三者割当増資を実施しました。

WILLERS PTE. LTD.の親会社・WILLERは、国内に拠点を設けて、高速バス事業や移動マーケティング事業を手掛けるとしています。

また、Car Club Pte Ltdの親会社である三井物産は、WILLERとの資本提携を通じて、シンガポールでのモビリティサービスを進めると発表しました。
 

⑤Car Club Pte LtdとWILLERS PTE. LTD.のM&A
M&Aのスキーム 第三者割当増資
M&Aの目的 シンガポールでモビリティサービスを進める

⑥岩手県北自動車による南部バスのM&A

6つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、岩手県北自動車による南部バスのM&Aです。

路線バス・都市間バス・高速バス・貸切バス事業を営む岩手県北自動車は、2017年3月に、青森県の南部地方で路線バス・高速バス・観光バス事業などを展開していた南部バスからバス事業を譲り受けました。

岩手県北自動車は、民事再生法の申請を適用した南武バスの事業を引き継ぐことで、運営していた路線の維持を図りつつ、路線バスのルート見直し・高速バスにおける新規ルートの開拓・国内外の利用客を呼び込む誘致などを強化するとしています。
 

⑥岩手県北自動車による南部バスのM&A
M&Aのスキーム 事業譲渡
M&Aの目的 バス事業の維持・再建
交通の確保
観光事業の活性化
環境への対応
M&Aの取引価額 約2.7億円

⑦第一交通による相互タクシーのM&A

7つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、第一交通による相互タクシーのM&Aです。

九州や沖縄県における路線バス・貸切バス・観光バスなどのバス事業や、全国各地に営業所を置くタクシー事業などを営む第一交通産業の孫会社・第一交通は、2016年2月に、相互タクシーの発行株式をすべて取得しています(自己株式を除く)。

相互タクシーは、タクシー事業とバス事業を展開している会社です。第一交通は本買収により、タクシー50台と貸切バス5台を増やしています
 

⑦第一交通による相互タクシーのM&A
M&Aのスキーム 株式譲渡
M&Aの目的 シナジーの獲得
需要の増加に対応する

⑧神姫バスによる全但バスのM&A

8つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、神姫バスによる全但バスのM&Aです。

生活サービスや自動車関連サービス事業のほか、路線バス・高速バス・貸切バス・観光バスなどの輸送サービス事業を手掛ける神姫バスは、2015年12月に、兵庫県で路線バス・高速バス・貸切バス事業などを営む全但バスの株式を取得しています。

今回の株式取得は追加による取得であり、全但バスの議決権比率を22.55%にまで高めました。全但バスを関連会社とすることで、首都圏や播磨地区から但馬地区へ利用客を運んで、当該地域での回遊性を高める目論見です。

また、兵庫県の活性化を図るために、両社の連携を強化して企画や運営に取り組むとしています。
 

⑧神姫バスによる全但バスのM&A
M&Aのスキーム 株式譲渡
M&Aの目的 首都圏・播磨地区などから但馬地区への客送
但馬地区での回遊性の向上
兵庫県の地域活性化

⑨京成電鉄による千葉交通のM&A

9つ目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、京成電鉄による千葉交通のM&Aです。

鉄道・バス(路線バス・高速バス・都市間バス)・タクシーなどの交通事業や、流通事業およびレジャー・サービス業などを手掛ける京成電鉄は、2014年3月に、連結子会社の千葉交通と株式交換を行っています。

京成電鉄を完全親会社・千葉交通を完全子会社とする取引で、簡易株式交換のスキームで完全子会社化を進めました。

京成電鉄は、当時の中期経営計画でグループの全体経営とシナジーの最大化を掲げていたのです。そこで、対象企業の完全子会社化により、素早い意思決定とフレキシブルな展開ができる体制を構築するとしました。
 

⑨京成電鉄による千葉交通のM&A
M&Aのスキーム 簡易株式交換
M&Aの目的 グループの全体経営
シナジーの最大化
株式交換比率 京成電鉄:千葉交通=1:3.60

⑩みちのりホールディングスと地域活性化支援機構のM&A

10番目に紹介するバス会社のM&A・買収・売却の成功事例は、みちのりホールディングスと地域活性化支援機構のM&Aです。

みちのりホールディングスは、貸切バス・観光バス・路線バスなどのバス会社や、モノレールの運営会社などを束ねる持株会社として会社運営を行っています。

そこで、2013年8月に、乗合バス・高速バス事業などを手掛ける会津乗合自動車の株式を地域活性化支援機構から取得し、完全子会社化しました。

みちのりホールディングスは、買収後に路線の見直しやICカードの導入を行うことで、隣接するエリアとの連携を図るとしています。
 

⑩みちのりホールディングスと地域活性化支援機構のM&A
M&Aのスキーム 株式譲渡
M&Aの目的 広域連携による交通・観光の発展

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7. バス会社のM&A・買収・売却の際におすすめのM&A仲介会社

M&A総合研究所では、バス会社のM&Aに精通したアドバイザーが専任に就いて、交渉からクロージングまでフルサポートいたします。

M&A総合研究所は、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系です。着手金は完全無料となっておりますので、安心してご依頼可能です。

バス会社のM&A・買収・売却を考えている方は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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8. まとめ

バス会社のM&A・買収・売却について、バス会社の概要・M&A動向・取引価格の相場などを紹介しました。

バス会社の業界では、廃業・倒産や異業種の参入および人材不足などにより、事業の売却・買収を選択する動きが見られます。

【バス会社の業界動向】

  • 倒産・廃業の件数が増加している
  • M&Aによる業界再編の動きがある
  • 現在は新規参入が難しい業界
  • 大型車両の納品遅れによる影響
  • 高齢化による人材不足も深刻
  • ビジネスチャンスを求めて異業種からの参入

【バス会社を売却する側のポイント】
  • 後継者問題の解決と廃業・倒産の回避
  • 個人保証・負債の解消と譲渡益の獲得
  • 雇用の継続

【バス会社を買収する側のポイント】
  • 貸切バス事業の認可を得られる
  • 車両や整備施設を獲得できる
  • ドライバーなど免許を持った人材を獲得できる

ただし、M&A・買収・売却では専門知識を必要とするため、自社にM&Aの専門部署がない・M&Aの専門家を置いていない場合には、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。

9. バス業界の成約事例一覧

10. バス業界のM&A案件一覧

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