事業承継の方法は5種類!方法別のメリット・デメリット、注意点、必要な準備を徹底解説

企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

事業承継とは、事業・会社を後継者に引き継ぐことです。事業承継には5つの方法があり、廃業を避けるためにも適切な方法を選ばなければなりません。この記事では、5つの事業承継方法におけるメリット・デメリット、注意点や必要な準備などについて解説します。

目次

  1. 事業承継とは
  2. 事業承継で引継ぐ要素
  3. 事業承継の5つの方法
  4. 事業承継方法の選択状況・データ
  5. 事業承継を行う大まかな流れ
  6. 事業承継を行う際の注意点3選
  7. 事業承継を成功させるポイント3選
  8. 事業承継に関する公的支援
  9. 事業承継の方法を専門家に相談すべき理由
  10. 事業承継の方法まとめ
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1. 事業承継とは

事業承継とは

事業承継とは、事業や会社の経営を後継者に引き継ぐことです。事業承継の定義は、経営権や経営理念、知的資産など事業に関する全てのものを引き継ぐことで、現金や不動産といった個別の財産だけを引き継ぐわけではありません。

経営理念や知的資産は目に見えませんが、引き継がなければ会社の経営が傾いたり従業員が働きにくいと感じたりするなど、会社の存続が危うくなるのです。会社は、後継者に引き継がなければ経営者のリタイアによって廃業となり、事業もなくなります。

事業承継に失敗すると、会社が持っている全ての資産を処分し、負債を支払って会社はなくなるのです。廃業した場合は、経営者自身の負担だけでなく、解雇される従業員や仕事を失う取引先など、周囲への迷惑・影響もあります。

しかし、事業承継に成功すれば、経営者のリタイア後も事業は継続され、後継者の新たな発想によって事業が成長することもあるでしょう。したがって、経営者であれば、何としても廃業を避け、事業承継を行うべきなのは明白です。

近年は後継者不足により、M&Aを活用した事業承継を行うケースも増えてきました。M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業同士の合併(Mergers)や買収(Acquisitions)のことです。

昨今、M&Aによって第三者に経営権を譲渡して会社を存続させる考え方が、中小企業の中でも広まっています。後継者不足に悩んでいる場合は、M&Aによる事業承継は有力な解決手段です。

事業承継の動向

日本における中小企業の事業承継は、深刻な社会問題となっています。経営者が高齢になったり、承継が円滑に進まなかったりするため、倒産を迎えてしまう会社が増加しているのです。

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者における M&Aの現状と課題」によると、現状を放置すれば、2025年に約245万人の経営者が70歳以上になります。中小企業の廃業が急激に増え、2025年までに約650万人が仕事を失う可能性があるデータも見られるのです。そして、第三者承継の必要性が顕在化する経営者が、これから大幅に増えると見られます。

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2. 事業承継で引継ぐ要素

事業承継で引継ぐ要素

この章では、事業承継で引継ぐ要素を確認しましょう。

経営権

事業承継を進める場合は、後継者へ経営者の座を譲る必要があります。会社の株式を買い取ってもらうなどして、後継者に経営権を移さなければなりません。

一般的な会社にとっては、経営者の交代は状況が変化する大きなイベントになります。従業員・取引先など、多くの影響がおよばされる人もいるので、事業承継は周囲の理解を得ながら慎重に進める必要があるのです。

事業用資産

会社経営を継続するための事業用資産も、事業承継で引継ぐ要素です。事業用資産と株式を承継する際は、贈与税や相続税がかかることに注意しましょう。

ただし、中小企業の事業承継を促すために、贈与税や相続税の支払いが猶予あるいは免除される事業承継税制が行われています。この制度は、中小企業に大きなメリットがあるので、中小企業の経営者は事業承継税制を確認してください。

知的資産

現経営者が持つノウハウや知識などの知的資産も、事業承継で引継ぐ要素として欠かせません。事業の知識や経営スキルがなければ、会社を経営できないでしょう。

事業用資産や株式と比較すると、知的資産の承継には時間がかかります。数年の時間が必要な業種もあるので、知的資産の承継は早めに取り組むことが重要です。

3. 事業承継の5つの方法

事業承継の5つの方法

事業承継の方法は、一般的に3つ紹介されるケースが多いです。しかし、厳密に手段を論じる場合は5つの方法があります。それらの概要とメリットとデメリットを、個別に見ていきましょう。

  1. 親族内事業承継
  2. 社内事業承継
  3. M&Aによる事業承継
  4. 信託による事業承継
  5. 株式上場による事業承継

①親族内事業承継

親族内事業承継とは、経営者の親族を後継者とする事業承継の方法です。子どもだけでなく、兄弟姉妹や配偶者、子どもや兄弟姉妹の配偶者などが引き継ぐことも親族内事業承継に含まれます。

親族内事業承継のメリット

親族内事業承継のメリットは、通常より税金負担の軽減が図られていることです。

2008(平成20)年に制定された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(中小企業経営承継円滑化法)が2018(平成30)年に改正され、中小企業の事業承継によって生じる贈与税と相続税の納税が猶予されます。

追加措置により、猶予後、最終的に免除されることも可能です。この制度を使えば、後継者の負担は格段に少なくなります。

ただし、利用するには所定の手続きを行い、都道府県知事からの認定を得なければなりません。認定のもと一定要件を満たす場合に限り、納税が免除されます。

現経営者の子どもが事業承継すると従業員や取引先の理解を得やすいメリットもあり、「社長の子なら納得できる」と受け入れる人も多いです。なお、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の内容は、通称「事業承継税制」と呼ばれます。

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親族内事業承継のデメリット

一方、親族内事業承継には、後継者の育成期間を十分に設けなければならないデメリットがあります。従業員と違って、後継者が他の会社で働いているケースが多いからです。

まずは、後継者を社内に呼び、一とおりの業務を覚えさせなければなりません。社風を引き継いでもらうために、経営者の考え方や理念も理解させる必要があります。このように、親族内事業承継は時間がかかることを覚えておきましょう。

現経営者に複数の相続人がいる場合は、後継者に会社の株式全てが渡る手配を生前に整える必要もあります。これは、経営者の遺産分配時に会社の株式が複数の相続人に分かれてしまうと、後継者の経営権が不確定になるのを防ぐためです。

②社内事業承継

社内事業承継とは、役員や従業員へ事業承継する方法です。すでに長い間、経営者とともに働いているため、引き継ぎしやすい後継者といえます。

社内事業承継のメリット

社内承継のメリットは、社風や経営戦略が大きく変わる可能性が低いことです。したがって、事業承継後は、良くも悪くも先代の経営方針が引き継がれることが予想されます。一緒に働いてきた従業員が、「経営者が変わって働きづらい」と感じることが少ないでしょう。

社内事業承継のデメリット

社内事業承継のデメリットは、能力と人柄を見極めなければリーダーシップが発揮できないことです。親族内事業承継のようなバックボーンがないため、従業員からの信頼がある人物を選ばなければなりません。

しっかりと経営者としての資質・人柄、仕事の能力を見極めて判断してください。

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③M&Aによる事業承継

身の回りに後継者にふさわしい人材がいなければ、M&Aを活用して事業承継するのも選択肢の1つになります。

M&Aとは、企業や個人などの第三者が企業を買収することです。つまり、M&Aを実行すれば、買い手側に経営権を譲渡し、自社の経営を引き継いでもらえます。

M&Aによる事業承継のメリット

M&Aによる事業承継をすると、後継者としての事業承継先を幅広く探せます。雇用関係や残債務などもそのまま引き継いでもらうことが可能です。後継者不足で悩む中小企業が増えている中、M&Aは有効な手段といえるでしょう。

経営者は株式の譲渡対価として、まとまった資金を受け取ります。老後の豊富な生活資金、あるいは新しい事業の立ち上げ資金として活用できる金額を受け取れるのは、M&Aによる事業承継ならではのメリットです。

M&Aによる事業承継のデメリット

M&Aの場合は、成功率が100%ではないことも含め、適切な買い手を探すこととその後の交渉が難しいことがデメリットです。自社を安心して任せられる買い手を見つけるのは、難しいでしょう。

従業員や取引先との関係をそのまま継続してもらえるよう条件の交渉も行わなければなりません。しかし、事業承継先がなく廃業するよりは、M&Aを活用して会社を存続させたい経営者は多いといえます。

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④信託による事業承継

信託と聞くと、一般的には投資信託などの資産運用をイメージすることが多いです。しかし、あまり知られてはいませんが、信託制度を事業承継に転化させて用いられます。

元来の経営者が株式を所持し議決権を保有したまま委託者となり、後継者を受託者および生じた利益を得られる受益者とすることで、従来の事業承継とは異なる概念とでもいうべき、新しい事業承継が実施できるのです。

信託による事業承継のメリット

信託の手法には「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」があり、これを用いると、2代先の後継者まで指名できます。従来の事業承継では実現不可能な方法です。株式譲渡を伴う必要がないため、手続き面でとてもシンプルに事業承継が実施できます。

信託による事業承継のデメリット

本記事で初めて目にする人も多いのではないかといえるほど、信託による事業承継は一般に広まっていないため、周囲の理解を得ることが難しい可能性がある点はデメリットです。

従来の事業承継と比べて手続き自体はシンプルですが、後継者=受託者に通常の事業承継とは異なる法的な縛りが発生します。信託による事業承継が一般化していないだけに、その法的な縛りを警戒して、後継者=受託者のなり手が表れない可能性もあるでしょう。

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⑤株式上場による事業承継

株式上場で事業承継と聞くと、唐突な印象を持つかもしれません。しかし、株式上場が可能な企業であれば、非上場から上場企業に変わることで会社の体制は一変します。

オーナー経営者の後継者探しなどの観点はなくなり、上場企業として必然的に後継者の発掘、育成、事業承継が進むのは必定です。

株式上場による事業承継のメリット

上場企業となれば人材も集まりやすくなり、後継者候補は多くの人物から見いだすことが可能となるでしょう。後継者側のメリットは、非上場企業のように後継者が株式を買い取る必要がないため、資金を用意しなくて良い点です。

株式上場による事業承継のデメリット

株式上場は、大前提として、経営状況が数期に渡って好況でなくては望めません。上場の準備には多大なるコストと社内の労力を必要とします。したがって、事業承継を1つの目的として株式上場を検討するのは、ごく限られた一部の会社のみでしょう。

⑥事業承継できない場合は廃業せざるを得ない

事業承継が実施できなくても、現経営者が経営を続ければひとまず会社を存続できます。しかし、その状況で経営者が突然倒れると、後継者がいない会社は廃業しかありません。

従業員を即後継者とすることも可能ですが、株式取得の資金が要るので経営者の親族に後継者がいなければ、次の経営者をすぐに立てるのは困難といえます。後継者探しは余裕を持って行わなければなりません

能力不足の人が経営者となれば、会社の経営が一気に傾くリスクがあるので、親族内承継にも準備期間は十分に設けましょう。

4. 事業承継方法の選択状況・データ

少し古いデータにはなりますが、事業承継方法の選択状況・データとして、東京商工リサーチによる「後継者教育に関する実態調査」(2003年)のデータを見ていきましょう。
 

承継した時期(2003年を基準) 子息・子女 その他の親族 M&Aを含む親族外
0年~4年前 41.6% 20.4% 38.0%
5年~9年前 48.6% 20.2% 31.2%
10年~19年前 60.6% 24.3% 15.1%
20年以上前 79.7% 13.9% 6.4%
引用元:東京商工リサーチ「後継者教育に関する実態調査」

表では、子息・子女への承継が減り、M&Aを含んだ親族外承継が大きく増えていることがわかります。以前の日本は、親族外承継への抵抗感がありましたが、それは昔の話です。

現代は、M&Aの専門家やサービスなども多いので、中小企業の経営者は会社を存続させるために、視野を広げて事業承継の方法を検討しましょう。

5. 事業承継を行う大まかな流れ

事業承継を行う大まかな流れ

事業承継方法の中で、親族内事業承継と社内事業承継の具体的なプロセスを確認しましょう。親族内承継と社内承継は、以下のステップに分けられます。
 

  1. 会社の現状分析
  2. 承継方法・後継者の確定
  3. 事業承継計画の作成
  4. 後継者育成
  5. 事業承継の実行

①会社の現状分析

事業承継を検討し始めたら、まずは会社の現状分析から始めましょう。現状を分析すれば、客観的な会社の現状を把握でき、後継者候補へ「継いでほしい会社はどのような会社なのか」を明確に話せます

以下の現状を確認し、どのような強み・弱みがあるのかチェックしてください。
 

  • 過去の売上高・利益率の推移
  • 顧客層
  • 取引先
  • 従業員の能力
  • 業界における会社の立ち位置

これらを洗い出し自社の特徴をあらためて考え、現時点で考えている課題があるならまとめると良いでしょう。直近で解決できる課題であれば、できるだけ事業承継の前に施策を実行し課題解決することも大切です。

②承継方法・後継者の確定

会社の現状分析に続いては、事業承継の方法(株式譲渡の方法)、そして後継者を決めます。仮に「会社は子どもに継がせる」と心のうちで決めていても、子どもはどう考えているかわかりません。

すでに子どもを社内で働かせている場合でも、あらためて「いつ事業承継したいのか」伝えるべきです。お互いの考えに相違がないよう意思の確認を行いましょう。

後継者は子どもなどの親族に限りません。従業員に承継するケースも増えています。どのような手段を用いて事業承継をするのか決めるのも、早い段階で後継者候補に自分の意思を伝えましょう。

③事業承継計画の作成

後継者が決まったら、後継者とともに事業承継計画を作成することが肝要です。事業承継計画を作成していく折に触れて、経営者として自分は会社をどう思っているのか後継者に伝えてください。

今まで信念にしてきたことや譲れないことなど、会社・経営に対する思いを伝えると良いでしょう。事業承継計画には以下の内容を記載します。
 

  • 会社の状況
  • 課題と解決策
  • 事業承継の時期
  • 事業承継の方法
  • 事業承継実行までのタスク・スケジュール
  • 事業承継後の中長期事業計画

これらは、経営者が変わるときに決めておきたい項目です。後継者と一緒に決めて、認識の食い違いが生まれないよう計画書にしっかり記載しましょう。

④後継者育成

事業承継計画が完成したら、実際に後継者育成を行います。後継者育成にしっかり時間をかけることで、事業承継後も安定した経営ができるのです。経営者としての能力を高めるため、外部のセミナーへ行かせるのも良いでしょう。

重要な商談に同席させたり、取引先へあいさつまわりに行かせたりすることも大切です。特に、社内業務が経験不足な親族へ事業承継するときは、従業員が行う小さな業務もこなせることが必要となります。

会社の業務を一とおり覚えさせると同時に、業界知識・経営スキルを身につけさせましょう。

⑤事業承継の実行

十分に後継者育成ができたら、事業承継を実行します。株式を後継者に譲渡し、経営権を譲るのです。

基本的には事業承継計画のとおりに事業承継を実行しますが、十分に後継者育成ができていない場合は無理に実行するべきではありません。今後における会社のことを考え、「十分に経営者として任せられる」と思えるタイミングで実行しましょう。

事業承継を実行したら、あらためて社内・社外における関係者へのあいさつにまわり、経営者が変わったことを周知させることが大切です。

【関連】事業承継の目的とは?事例から解説!

6. 事業承継を行う際の注意点3選

事業承継を行う際の注意点3選

現経営者は、是が非でも実行したいのが事業承継でしょう。しかし、焦りは禁物です。事業承継の検討を開始する際は、以下の注意点を知っておきましょう。

  1. 後継者の負担が大きい
  2. 株式譲渡すると経営者に税金が発生する
  3. 経営者の資質を持った後継者選び

①後継者の負担が大きい

どのような方法で事業承継をしても、後継者の負担が大きいことをあらかじめ理解してください。

  • 親族内事業承継:贈与税または相続税が発生
  • 社内事業承継:株式買い取りの費用が必要
  • M&Aによる事業承継:株式買い取りの費用が必要

親族内事業承継の場合、経営者から後継者への株式譲渡は贈与か相続で実施されます。このとき、後継者には贈与税または相続税が発生するので注意しなければなりません。

親族以外に承継するときやM&Aを実施する場合、後継者は株式を買い取るための資金が必要です。会社一つを買い取るため、それなりの金額を用意しなければなりません。

どのようなケースでも借入金や個人保証も後継者に引き継がれます。後継者には金銭面で大きな負担が生じるのが、事業承継の特徴です。特に、M&A以外の個人へ引き継ぐときは融資が必要な場合もあるので、あらかじめ話し合いをしましょう。

②株式譲渡すると経営者に税金が発生する

株式譲渡を行うと、現在の経営者に税金が発生します。社内事業承継やM&Aの方法で事業承継をすると、株式を譲り渡す対価を受け取り、譲渡価額から会社の資本金額や株式発行手数料などを差し引いた譲渡所得に対して税金が発生するのです。

事前にどれくらいの税金が発生するのか計算しましょう。

③経営者の資質を持った後継者選び

経営者にふさわしい後継者選びをしなければ、事業承継後の会社は安定して事業ができません。経営者にふさわしい人を見抜くために、以下のポイントを抑えましょう。

  • 真面目で勤勉に働く
  • 人の意見を聞く柔軟性がある
  • 我慢強さ・忍耐力がある
  • ポジティブに物事を考えられる

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7. 事業承継を成功させるポイント3選

事業承継を成功させるポイント3選

この章では、事業承継を成功させるためのポイントを確認します。

  1. 後継者探しを早くから始める
  2. 後継者育成に時間をかける
  3. 専門家の知識を借りる

①後継者探しを早くから始める

後継者探しを早い段階から始めましょう。「引退はまだまだ先」と考えていても、いつ働けなくなるかわかりません。

経営者となった時点で、いつかは事業承継をしなければならないので、普段の経営が忙しくても、後継者としてふさわしい人物が身の回りにいないか常にアンテナを張ってください

後継者候補を見つけたら、早い段階で「今後、会社を継いでほしい」と打診することも大切になります。本人に継ぐ気がなければ、他の後継者を探す必要があるからです。

身の回りにふさわしいと思える後継者がいなければ、M&Aを検討して会社を継続する方法を考えなければなりません。検討期間は長い方が良いので、できるだけ早く後継者探しを始めましょう。

②後継者育成に時間をかける

事業承継を成功させたければ、しっかりと後継者育成に時間をかけてください。後継者育成期間は、5年〜10年程度見ておくべきです。

後継者育成をおろそかにしてしまうと、経営者として1人前でない状態で独り立ちさせることになります。すると、会社の経営がうまくいかず倒産することもあり得るのです。

したがって、後継者育成はしっかりとプランを組み、着実に実行しましょう。具体的には、以下を行います。

  • 社員として日常業務を経験させる
  • 経営会議に参加させる
  • 大きな取引先との商談に同席させる

③専門家の知識を借りる

専門家の知識を借りて、事業承継を成功させましょう。相談に行くべき専門家は、事業承継コンサルタントと税理士です。

事業承継コンサルタントは、事業承継全般のコンサルタントを行い、事業承継計画の作成や後継者育成のサポートを実施します。

税理士も事業承継の際に欠かせない存在です。事業承継の場面では税金が発生するため、その対応を事前に講じるに越したことはありません。

できるだけ税負担を軽くするために、事業承継計画を立てる段階で節税のアドバイスを受けましょう。思い当たる税理士がいなければ、事業承継コンサルタントに相談すると紹介してもらえます。

8. 事業承継に関する公的支援

事業承継に関する公的支援

先述した事業承継税制も公的な事業承継支援の一つですが、他にも公的な事業承継支援策が用意されています。代表的なものは以下です。概要を説明します。

  1. 事業承継・引継ぎ支援センター
  2. 事業承継・引継ぎ補助金

①事業承継・引継ぎ支援センター

経営者の高齢化、後継者不在の状況は深刻で、さらに新型コロナウイルス感染症の影響により2020年における休廃業などの件数は過去最多です。より強力な事業承継・引継ぎの促進が求められています。

こうした状況の中、中小企業庁は、2020年6月の産業競争力強化法改正に伴って、第三者承継支援を実施していた「事業引継ぎ支援センター」に親族内承継支援を実施していた「事業承継ネットワーク」の機能を合わせた「事業承継・引継ぎ支援センター」を設けました。

事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継・引継ぎのワンストップ支援を行います。後継者不在に悩む中小企業の経営者や、事業承継・引継ぎに取り組む中小企業の経営者は、積極的に活用しましょう。

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②事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業再編や事業統合を含んだ中小企業における経営者などの事業承継・引継ぎを発端とする新しい取り組みをサポートしたり、廃業にかかる費用の一部を補助したりします

事業再編や事業統合に必要な経営資源の引継ぎに要する経費の一部をサポートする事業を行って、日本の活性化を促進します。

制度のポイントは以下です。

  • 本補助金の交付申請はjGrants(補助金の電子申請システム)で行う
  • 創業支援型の補助金を新設
  • 経営資源の引継ぎを促すための支援と実現させるための支援における区分が廃止となり申請類型が統一
  • 事前着手が認められる

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9. 事業承継の方法を専門家に相談すべき理由

事業承継の方法を専門家に相談すべき理由

事業承継の方法を専門家に相談すべき理由は、以下です。

  • 正しい方向性で事業承継計画が立てられる
  • 事業承継以外に税務・法務のサポートも受けられる
  • 手続きを代行してもらえるので本業への時間が確保できる
  • M&Aの際は相手探しをサポートしてもらえる
  • 不測のトラブルに対処してもらえる など

M&A・事業承継の専門家は複数存在するので、自社に最も適した専門家を選択することが必要です。多くのステップを踏むM&A・事業承継では、複数の専門家がそれぞれの分野における業務に取り組むスタイルが一般的なので、考えたい選択肢はM&A仲介会社への相談になります。

M&A仲介会社はさまざまな工程をサポートし、各専門家とのネットワークも構築しているので、M&A仲介会社に相談すれば、各分野の専門家を紹介してもらえる可能性が高まるのです。その結果、専門家探しに手間をかける必要もなくなります。

最近は、経営者からの相談を無料で受け付けるM&A仲介会社も多いので、事業承継の悩みや不安がある経営者は、気軽に相談してみましょう。

10. 事業承継の方法まとめ

事業承継の方法まとめ

事業承継には、以下の方法があります。

  1. 親族内事業承継
  2. 社内事業承継
  3. M&Aによる事業承継
  4. 信託による事業承継
  5. 株式上場による事業承継

それぞれメリット・デメリットがありますが、早めに後継者を決めることでデメリットへの対策ができます。

ふさわしい後継者がいない場合は、早い段階から事業承継・M&Aの専門家に相談し、M&Aによる事業承継も視野にいれましょう。引退はまだ先だと思っていても、早くから準備を始めることで事業承継の成功率が上がります。

M&Aの専門家を頼りながら、事業承継後もさらに成長する会社を後継者に残しましょう。

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