会社買収の手続き・流れ・手順をフローチャートで解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

会社買収を行う企業は年々増加しています。会社買収を行う際、買収を行う経営者自身も会社買収の手続きや流れ、手順について知っておく必要があります。この記事では、会社買収の手続きや基本的な流れ、手順について詳しく紹介しましょう。

目次

  1. 会社買収とは
  2. 会社買収の基本的な手続き・流れ・手順【フローチャート】
  3. 会社買収の手続きに関する契約・書類
  4. 会社買収を成功させるポイント
  5. 会社買収の手続き・流れ・手順まとめ
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1. 会社買収とは

会社買収とは

近年、M&Aでの成約件数は増加しています。売却する会社が増えている原因には、経営者の高齢化と後継者問題があります。

経営者の高齢化は深刻化しており、中小企業白書によると現存する中小企業経営者の平均年齢は60歳以上です。そのため、この先10年間程度、会社の引継ぎを行う企業は増え続けると考えられます。

一方で、少子化や会社経営者の重責を背負いたくない若者の増加により、後継者不足に悩んでいる会社は増加しています。

このような問題を解決する手続きとしてM&Aがあり、この手続きを行う企業が増えているのです。

売り手の増加に伴い、会社買収する企業数も増加しています。主な理由としては、会社の成長や資金力・人材などの強化です。

時代の流れは年々速くなっているため、どの会社も将来の見とおしは不透明ですが、会社の経営の維持と成長を続けるための手続きとしてM&Aが行われています

この記事では、会社買収する企業に向けて、M&Aの手続きや一連の流れ・手順(フローチャート)を紹介します。

2. 会社買収の基本的な手続き・流れ・手順【フローチャート】

会社買収の基本的な手続き・流れ・手順【フローチャート】

次は、会社買収の基本的な流れ・手順(フローチャート)を紹介します。

以下、この手順(フローチャート)のそれぞれの手続きを解説します。

準備段階の手続き・流れ・手順

まず、買収先を決める前の準備段階の手続き・流れ・手順を紹介です。

M&Aの準備段階では、買い手企業と売り手企業とを問わず、M&A専門家と相談してM&Aの戦略・方針を定める必要があります。

①会社買収・M&Aの専門家に相談する

会社買収の準備は、売り手と買い手を問わず、M&A専門家への相談から始めると良いでしょう。会社買収には他分野にまたがる専門性が必要なので、企業内の人材だけでクロージングできるのは、ひと握りの上場企業に限られます。

M&Aの知見を補い、適切な買収相手を見つけるために、中小企業におけるM&Aでは、M&A専門家のサポートが必須です

M&A専門家には、多くの事業の中でM&Aサービスも行っている兼業系と、M&Aのみに特化した専業系がいます。

兼業系のM&A専門家には、金融機関、会計士、税理士などがいますが、専門分野が別にある分、M&A分野の知見が必ずしも高いとは限りません。

一方で専業系のM&A専門家には、M&A仲介会社、M&Aアドバイザリー、M&Aプラットフォーム、公的機関・事業引継ぎセンターなどがあります。

専業系のM&A専門家は、取り扱うM&A案件数が非常に多く、M&A分野への知見が高いです。実際、専業系のM&A専門家を選んだ方が、自社に合う買収相手を早く見つけられるでしょう。

②会社買収に関する委託契約

M&A専門家との相談により、会社買収の概要が決まったら、この先会社買収のサポートを行ってもらうM&A専門家と委託契約を締結します。

M&A仲介会社と結ぶ委託契約を仲介契約、M&Aアドバイザリーと結ぶ契約をアドバイザリー契約といいます。委託契約には、報酬体系、相手との直接交渉禁止、業務範囲などが規定するのが一般的です。

このとき、秘密保持契約も締結します。M&Aでは、最終的に売り手側の営業上の秘密も含めた全ての情報を開示しなければならず、機密情報はM&A専門家を経由して相手へ渡る場合が多いので、秘密保持契約を結ぶ必要があるのです。

交渉段階の手続き・流れ・手順

M&Aの交渉相手を選択し、交渉する流れを紹介します。

現在、M&Aは売り手市場といわれていて、会社を売りたい企業に比べて会社を買いたい企業が圧倒的に多い状況です。

一つの売り手企業が複数の買い手企業と交渉することが多く、場合によってはオークション形式の入札が行われます。そのため、M&Aの交渉は、売り手市場を前提にして行われるのが普通です

①企業概要書からの検討

企業概要書とは、売り手企業が自社の業績や財務状況などをまとめた資料です。

売り手企業の企業概要書は、契約上M&A専門家が作成することが多いです。M&A専門家は、売り手企業の財務状況などに基づき、経営陣とのヒアリングなども活用して、良い企業概要書を作成します。

企業概要書には、売り手企業の機密情報が一部公開されているため、企業概要書には売り手企業の会社名が記載されないのが一般的です。この状態を、「ノンネーム」と呼びます。

②買収先会社の選定

買い手企業は、一般に、良い企業概要書の確認したときからM&Aの検討を始め、複数の企業概要書を比較し、自社ニーズに合致する売り手企業を選別します。

良い買収企業を見つけたら、M&A専門家を通じ売り手企業へのアプローチします。これに対し、売り手企業は、自社名や詳細な財務情報の開示の可否を判断可能です。

つまり、売り手企業が承諾してはじめて、売り手企業の会社名を買い手企業に開示するのです。これを「ネームクリア」といいます。

買い手企業は、会社名や詳細な財務情報を受取った上で改めて検討し、次のプロセスに進むか否かを判断します。

③トップによる会談

双方がM&A取引の検討を進めることに合意すると、会社トップの経営陣同士による会談が行われます。トップ会談とは、買収条件交渉と経営方針などの話し合いです。

買収条件とは、買収価格、買収スキーム、スケジュールといったM&A取引の内容です。

一方、経営方針とは、買収後の人事、事業計画、組織や人員の維持などに関する事項です。売り手企業側として譲れないポイントがある場合には、事前にトップ会談で話し合う必要があるでしょう。

④条件交渉

トップ会談で会社買収の条件交渉を行います。しかし、トップ会談だけでM&A相手の会社をすべて理解はできません。

そのため、基本的にはM&A相手の企業価値やM&A相手が希望している譲渡価格を参考に買収価格を提示します

M&A相手が会社買収の交渉から降りないような条件・価格の提示ができるように、M&A専門家と相談して交渉を行います。

⑤会社買収の意向表明書の提示

先ほどの条件交渉をとおして、会社買収を行う意思がある場合は、意向表明書を提示します。

なお、両社から意向表明書が提示されなければ次の手続きには進めません。つまり、その段階でM&A交渉は白紙に戻るということです。

契約段階の手続き・流れ・手順

最後に、契約段階の手続き、流れを紹介します。この段階では、基本合意書の締結から統合プロセスまでを行います。

①会社買収の基本合意書の締結

両社が意向表明書を提出した後は、会社買収の基本合意書を締結する流れです。先ほど紹介したとおり、基本合意契約書では、独占交渉権や独占交渉期間などの約束をします

基本合意書に締結すると買収先はその期間、ほかの会社と買収交渉ができなくなります。

②デューデリジェンスの実施

次に、デューデリジェンス(企業監査)を実施します。買収先の業務内容や経営状態は企業概要書で大まかに把握している状態です。

しかし、会社買収は基本的に包括承継なので買収先の負債やリスクなども引き継ぐ必要があるため、実際に調査し、引き継いでも問題はないかなどを判断します

デューデリジェンスには、大きく分けて以下の4種類です。
 

  • 財務状態などを調査する財務DD(デューデリジェンス)
  • きちんと納税できているかなどを調査する税務DD
  • コンプライアンスなどに問題はないかを調査する法務DD
  • 業務上に問題はないかなどを調査する業務DD

なお、デューデリジェンスを実施し、大きな問題を抱えていると判断した場合には、基本合意契約を破棄できます。

③会社買収の最終条件の交渉

デューデリジェンスの結果を受けて会社買収の最終条件交渉を行い、大きな問題がなければ、企業価値から算出した額に基づいたM&A取引額を買収先へ提示します。

多少問題があっても買収する決断をした場合、M&A取引額はその問題分を減額した金額を提示するなど、両社が納得できるまで条件交渉が続くでしょう。

④会社買収の最終契約書の締結

最終条件の交渉を経て、お互いに合意できれば、会社買収の最終契約書の締結を行います。なお、最終契約書は基本合意書と異なり、締結後に契約を破棄することは原則できません

⑤クロージング

最終契約書を締結すると、ヒトやモノ、カネなどが移動するクロージングです。最終譲渡契約書の締結でM&Aの契約そのものは終わります。しかし、株式譲渡などではその後、経営者個人の目的で購入した資産(例えばクルーザーなど)を、経営者が対象会社から買い取るなどの手続きを進めなければなりません。

これらがすべて終わり、譲渡対価の決済、株券や会社代表印の引渡しなども終わることを、クロージングと呼びます。

一般的には契約日からクロージングまで一定期間がありますが、契約日までにクロージングに必要な手続きを終えているとき、または契約日後に必要な手続きを正しく終わらせる前提のときは、契約日と同時にクロージングを行うことも可能です。

⑥統合プロセスの実施

クロージングが一段落すると、次は統合プロセスを実施します。統合プロセスはM&Aの流れや手順(フローチャート)、手続きの中で一番難易度が高く、かつ完了するまでに最も時間がかかるでしょう

統合プロセスには、大きく分けるとハード面の統合とソフト面の統合があります。

ハード面はシステムや人事、経理などの統合を行うことです。一般的には、会社を買収した側のシステムを適用していくことになるため、約3~6カ月程度で終わらせられます。

一方でソフト面は企業文化や社風などを統一させることです。異なる会社をすぐに統合させることは困難であると容易に想像がつきます。

完了までの期間は、経営者のリーダーシップなどによって左右されます。統合が完了しなければシナジー効果を得られないため、戦略的な統合プロセスを行うように心がけましょう

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3. 会社買収の手続きに関する契約・書類

会社買収の手続きに関する契約・書類

会社買収を行うための手続きとして、契約を行ったり、必要な書類を作成したりする必要があります。ここからはM&Aの手続きに必要な契約内容や書類を紹介します。

会社買収の手続きに使われる主な契約

会社買収の手続きに使われる契約には、主に以下の4つがあります。
 

  1. 秘密保持契約
  2. アドバイザリー契約
  3. 基本合意契約
  4. 最終譲渡契約

①秘密保持契約

秘密保持契約は自社とM&A専門家との間で締結します。この契約でM&Aの契約や手続きなどの情報を漏らさない約束をします。情報漏えいにより、会社買収を行う側に損害が生じる可能性があるので注意が必要です。

公開会社の会社買収情報が漏えいすると、株式価格が大きく変動するため、自社株購入者が減少し株価が下がり、自社の資産を大きく減らす可能性があります。株式を発行していない会社でも、M&Aを行う情報を従業員が知ってしまうと、会社の経営が悪いと勘違いして大量の自主退職者を出す恐れがあります。

このような事態を避けるために、相談相手となるM&A専門家と秘密保持契約を締結するのです。

②アドバイザリー契約

アドバイザリー契約とは、M&A専門家と自社のために専属で交渉することを約束する契約です。自社のために専属でM&A交渉を行ってくれるM&A専門家をM&Aアドバイザリーといいます。

③基本合意契約

会社買収を行う自社と会社売却を行うM&A相手との間に基本的な合意ができた時点で締結するのが、基本合意契約です。

この契約で独占契約権や独占契約期間の設定を行うと、その期間においてほかの会社とM&Aの交渉ができなくなります。

④最終譲渡契約

最終譲渡契約とは、M&Aのためのデューデリジェンスや交渉が終了し、両社の合意のうえで締結する最終の契約です。

この契約が締結されるとM&Aが成約したことになり、ヒト・モノ・カネなどが移動し始めます。ヒトやカネなどの移動開始のことをクロージングといいます。

会社買収の手続きに使われる主な書類

会社買収の手続きに使われる書類は、主に以下の3つです。
 

  1. 意向表明書
  2. 基本合意契約書
  3. 最終譲渡契約書

①意向表明書

意向表明書は、提示された企業概要書やトップ面談などの結果、M&Aを行いたいという意思を確認するために提示します。意向表明書は、M&Aの意思を確認するだけなので、取り決めなどはありません。

しかし、両社から意向表明書が提示されなければ、M&Aの交渉は決裂したことを示します

②基本合意契約書

先述のとおり、基本合意契約書では、独占交渉権や独占交渉期間などが記されています。この内容に両社が合意した場合、基本合意契約を締結します。

③最終譲渡契約書

最終譲渡契約書に記載されるのは、今まで交渉してきた内容を踏まえて買収金額や譲渡する会社や事業などです。両社がこの内容に合意した場合、最終譲渡契約が締結され、その後にクロージングが行われます。

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4. 会社買収を成功させるポイント

会社買収を成功させるポイント

最後に会社買収を成功させるポイントについて、以下の5つを紹介します。
 

  1. 買収期間をあらかじめ算定
  2. 必要に応じてロックアップ期間を設ける
  3. デューデリジェンスを徹底する
  4. 統合プロセスを実施
  5. 会社買収・M&Aの専門家に相談する

①買収期間をあらかじめ算定

会社買収成功のポイント1つ目は、買収期間をあらかじめ算定しておくことです。一般的に事業拡大やシナジー効果を期待して会社買収を行います。

しかし、近年の時代の流れが早くなったことで、買収先を探索する時間が長すぎると外部環境が大きく変わり、期待しているほどの事業拡大ができなかったり、シナジー効果を得られなかったりする可能性があります。この事態を避けるために会社買収にかける時間をあらかじめ算定しておく必要があるでしょう。

万が一、買収期間が想定よりも時間がかかる場合には、ひとまず会社買収をあきらめましょう。

②必要に応じてロックアップ期間を設ける

2つ目は、必要に応じてロックアップ期間を設けることです。ロックアップ期間とは、買収先の経営者に引継ぎを行うために自社で働いてもらう期間を意味します

統合プロセスは、時間がかかるうえに難易度が高い手続きです。買収先の経営者のリーダーシップを用いて比較的短時間で統合プロセスが終わるように協力をしてもらいます。なお、ロックアップ期間は買収先の経営者の自由な時間を拘束することになり、モチベーションが下がりやすいと考えられるため、適切なロックアップ期間の設定が重要です。

③デューデリジェンスを徹底する

3つ目は、デューデリジェンスを徹底することです。先ほども紹介したように、会社買収は原則的に包括承継なので、買収先が抱えている負債やリスクなども引き継ぎます

その負債やリスクなどが大きく、それが原因で自社が倒産するこの事態を回避するために、デューデリジェンスを徹底的に実施します。

④統合プロセスを実施

4つ目は統合プロセスを実施することです。会社買収を行ったが、従業員がばらばらのままでは、期待しているシナジー効果などを得られません。そのため、会社買収後は統合プロセスを実施します。

統合プロセスのソフト面は難易度が高く、時間もかかるため戦略的に行わなければなりません。具体的には、会社買収後に全社的なイベントを実施したり、ロックアップ期間を設けて買収先の経営者に統合プロセスの協力をしてもらったりする方法があります。

⑤会社買収・M&Aの専門家に相談する

会社買収成功のポイントの最後は、会社買収・M&Aの専門家に相談することです。会社買収・M&Aには経営の知識以外に経営法務などの知識も必要です。

一経営者が会社買収・M&Aを行うよりも、専門家に相談することで成功確率を上げられます

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5. 会社買収の手続き・流れ・手順まとめ

会社買収の手続き・流れ・手順まとめ

会社買収を行うためには、多額の資金が必要です。そのため、会社買収を失敗させられません。経営者自身も会社買収を理解しておきましょう。

不明な点があれば、M&Aの専門家に積極的に相談するのが良いでしょう。

会社買収の手続きや基本的な手続き・流れ・手順のポイントは以下のとおりです。
 

  • 会社買収に関する契約:秘密保持契約などM&A専門家と締結するものや基本合意書などM&Aの流れで、重要な契約書などがあります。
  • 会社買収を成功させるためのポイント:会社買収を成功させるために、デューデリジェンスやロックアップの設定を行うようにしましょう。

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