2022年11月10日更新
化粧品業界のM&A・譲渡・売却!事例や動向、価格相場を解説【2022年最新】
本記事では、化粧品会社のM&Aによる譲渡・売却について、近年のM&A動向や譲渡・売却価格相場、化粧品会社のM&Aを成功させるポイントを解説しています。化粧品会社のM&A事例や、化粧品会社のM&Aに関しても併せて紹介します。
目次
1. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却・買収
化粧品会社のM&A事例やM&A動向をご紹介する前に、まずは化粧品会社の定義やM&Aの意味を解説します。
化粧品会社とは
化粧品会社とは、化粧品の研究開発・製造・販売を行う企業をさします。化粧品会社が取り扱う化粧品には、スキンケア製品・メイクアップ化粧品・ボディケア化粧品・ヘアケア化粧品などがあります。
大手化粧品会社の場合は、研究開発・製造・販売までを一貫して行うケースが多く、中小化粧品会社は特化して事業を行うケースがほとんどです。
近年の国内化粧品市場は、インバウンド需要の高まりによって順調に伸びてきました。年齢層の高い女性向け化粧品や、高機能化粧品による購入単価の上昇、男性向け化粧品の普及による購入層の広がりなどの傾向が見られます。
化粧品業界の変遷
化粧の歴史は古く、化粧品製造業・販売業は17世紀末の元禄時代から発展しました。近代化粧品工業は 明治中期以降、文明開化の影響を受け、「資生堂」「桃屋順天館」「ライオン」など化粧品メーカーが誕生しています。
高度経済成長とともに1970年以降、化粧品メーカーは季節ごとに旬の女優やタレントを起用したテレビコマーシャルを流し、販売促進に活用しました。
1980年代〜1990年代は、自然派志向やソフト志向が顕著となり、化粧品の効果や成分を重視する化粧品時代でした。2000年代に入ると、美白・アンチエイジングなどの効果のある化粧品が多くのメーカーから発売されました。
近年は、インターネットを使った通販専業の化粧品メーカーも増え、異業種からの参入も相次いでいます。一躍注目を集めたのが、富士フイルムでしょう。
その後、味の素、サントリー、江崎グリコなど、さまざまな業種から化粧品業界への参入が相次いでおり、競争は激化しています。
化粧品業界の特徴
化粧品業界の特徴として、大きく以下の2種類に分けられます。
- リテール業態:百貨店やドラッグストア、ECサイトなど、一般消費者向けに購入できる業態
- プロフェッショナル業態:サロン専売品など、業務専用に開発された商品を扱う業態
リテール業態の中でも、メーカーから消費者に直接販売する場合は高利益となりますが、百貨店やドラッグストアなど小売店に卸す場合は、化粧品会社の利益率は低くなるでしょう。
法人向けの販売の場合、ディーラーが美容室やエステサロンなどの店舗に販売するのが通常です。大手化粧品会社は、自社で工場を保有し、商品開発からマーケティング、販売、PRなど全てを行っています。
化粧品業界を取り巻く環境
富士経済の発表によると、2021年の国内化粧品市場規模は前年比3.3%増の2兆8,415億円となりました。2020年の化粧品出荷額は、前年と比べて大きく落ち込みましたが、2021年は百貨店などの商業施設の営業状況が改善、外出機会も徐々に増えたため、売上が増加しています。
2021年はインバウンド需要の高いパックの需要回復は鈍いものの、スポットケアや美容液はメーカーによるオンラインカウンセリングの導入が進んでいるほか、外出機会の増加に伴い需要が回復し、市場が拡大しました。
2022年以降、ワクチン接種が進み、生活様式も変化することで市場は徐々に回復されると見られています。
デジタル・EC化の動向
経済産業省と日本化粧品工業連合会の「化粧品産業ビジョン」における資料によると、ベンチャー企業を中心にEコマースの普及、デジタル店舗の進展、SNSや口コミサイトを活用したデジタルマーケティングやECを基軸とする商品開発・販売が試みられます。
これによって消費者の嗜好(しこう)がダイレクトに伝わるため、消費者に合わせた商品の提供や、メーカーによる自社ECサイトでの直接小売販売が拡大しつつあるでしょう。大手メーカーはベンチャー企業や研究機関と協働で商品開発を進め、営業・販売もデジタル技術の活用が加速しています。
今後はオフラインとオンラインを融合した形のオムニチャネルモデルが確立され、自社サイトからのライブ配信やプラットフォーム型でのライブコマースが一般的となるでしょう。
商品・ブランドの多様化・細分化
化粧品ブランドは、プレステージブランド(一般的に高級なイメージが持たれているブランド)とマスブランド(大量生産・大量流通の低価格帯ブランド)に二分されていました。昨今はその中間を狙ったマスプレステージ(高価格帯ながらやや値ごろ感のあるブランド)といったブランドが広がりつつあるでしょう。
特定の悩みにフォーカスした商品や嗜好(しこう)に沿った商品、独自の自然成分を活用した商品も発売され、ターゲットに合わせ多種多様なニーズに対応したニッチな市場が開拓されています。近年は男性向け化粧品の市場も拡大しています。
化粧品業界の課題・展望
化粧品業界の国内需要は、コロナ禍で長引く不況により消費者の節約志向が進んでいるため縮小傾向です。商品の単価が下がっていることや、化粧品自体が嗜好品(しこうひん)の位置付けされているため、化粧品業界全体の利益が減少している見方が大半です。
国内需要が見込めない昨今、日本の化粧品業界はグローバル展開へと拍車をかけるでしょう。海外への越境ECなど、アウトバウンド需要の獲得が加速するとみられています。
昨今は、ドラックストアで販売されているコスメが安価で高品質な商品が多く、需要も高いです。しかし、送料の発生するECサイトは、件数が多くても売り上げに伸び悩んでいる側面もあります。
化粧品業界のマーケティング戦略では、SNSの影響力も無視できません。Instagramなどを利用し、直接購入するのも可能なため、ターゲットを絞ってSNS広告を出稿するなどのマーケティング戦略も必要です。
ターゲット拡大の余地としては、男性用化粧品の開発です。大手の海外ブランドは、基礎化粧品、ファンデーションなどのメイクアップ商品なども男性用化粧品をそろえています。今後、幅広い顧客を取り込めれば、国内需要も拡大できるでしょう。
M&A・譲渡・売却・買収とは
M&Aとは、株式譲渡や事業譲渡、合併、株式交換、会社分割などの手法を用いて、事業の売買・統合・組織再編を行うことをさします。広義には資本業務提携もM&Aに含まるでしょう。
化粧品業界では前述したような環境の変化にあわせて、製品ラインアップ拡充や販路の拡大、ブランド力や技術力獲得目的のM&Aが行われています。
2. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却動向
化粧品会社のM&A動向は以下のように推移しています。
- 国内外で有名企業によるM&Aは行われている
- 研究施設や製造工場を求めるM&Aも増加
- 国内企業による海外企業の買収も見られる
- 異業種の参入による業界再編が目立つ
- ベンチャー企業を対象としたM&Aも増加
- 増える化粧品会社を買収する異業種企業
①国内外で有名企業によるM&Aは行われている
近年、大手化粧品会社は、国内外で積極的なM&Aを行っています。国内では、消費者ニーズの多様化や企業同士の競争激化に対応するためのM&Aが増加傾向です。
国外では、特に中国や東南アジアの顧客を獲得するため、M&Aによって販路を獲得するケースが目立ちます。
②研究施設や製造工場を求めるM&Aも増加
安くて高機能な化粧品を求める消費者ニーズに応えるため、研究施設や製造工場をM&Aによって獲得し、自社グループ内で研究開発・製造を行うケースも増加しています。
研究開発・製造効率を高める目的で、OEM(受託製造会社)をM&Aによって自社グループに取り込むケースもあります。
③国内企業による海外企業の買収も見られる
近年、国内化粧品会社による海外企業の買収先には変化が見られており、以前は欧米企業の買収や提携が目立っていた化粧品業界ですが、アジア企業の買収や提携が目立つようになってきました。
アジア市場の中でも、中国市場から東南アジア市場へのシフトが始まっています。
④異業種の参入による業界再編が目立つ
近年、自社の強みを生かして、化粧品市場に参入する他業種企業も目立つようになりました。本業の研究開発・マーケティング力・販路などを応用できるので、低コストでの事業参入が可能なことが要因に挙げられるでしょう。
近年、新規参入が急増していることで化粧品業界の競争は激化し、撤退を余儀なくされる他業種企業も存在します。そのような中、富士フイルムや味の素など大手の他業種メーカーが、自社の技術を生かし化粧品の開発に取り組み、成果を上げています。
特に富士フイルムの「ASTALIFT」は、消費者にも大きなインパクトを与えました。そして2007年の発売以降、エイジングケアブランドとして高い支持を維持しています。
ほかにも味の素のアミノ酸、サントリーの酵母、江崎グリコのグリコーゲンなど、異業種メーカー各社は、開発・商品化している成分を化粧品に応用しています。健康志向や、アンチエイジグ、再生医療などに消費者からの高い関心が寄せられているため、今後も追い風となるでしょう。
⑤ベンチャー企業を対象としたM&Aも増加
化粧品業界では、商品の高機能化、販売・マーケティングのWeb化が重要になってきています。高機能な化粧品の研究開発や、デジタルマーケティングへの対応などを目的とした、ベンチャー企業へのM&Aも増加しています。
⑥増える化粧品会社を買収する異業種企業
前述でも少し触れましたが、他業種企業が化粧品会社を買収するケースが増えています。写真フイルム事業が本業だった富士フイルムは、2006年に化粧品業界へ参入しました。
以降、写真フイルム事業で培った技術とM&Aによって獲得した技術を合わせ、ASTALIFTシリーズに代表される高機能化粧品で成功を収めました。
サントリーは、飲料の開発過程で研究を進めてきた成分をサプリメントや化粧品に応用しています。ほかにも、通販会社による化粧品会社の買収や、マーケティング会社による化粧品会社の買収など、本業とのシナジー効果を見込んだ買収が増加しています。
3. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却理由
ここでは、化粧品業界のM&A・譲渡・売却理由に関して譲渡側のメリットと買収側のメリットを紹介します。
譲渡側のメリット
化粧品会社は以下のような目的で、M&Aによる譲渡・売却を行っています。
- 後継者問題の解決
- 施設・設備への投資負担の影響
- 大手メーカーの傘下に入り安定したい
- 従業員の雇用先の確保
- 譲渡・売却益の獲得
①後継者問題の解決
中小規模の化粧品会社では、事業承継により後継者問題の解決を図るケースが増えています。政府や公的機関の後押しがあることや、M&Aに対する印象が以前よりも良くなっている点も増加理由の1つと考えられます。
②施設・設備への投資負担の影響
化粧品の開発・製造を自社で行っている中小化粧品会社の場合、近年化粧品の利益率が落ちている中で、開発・製造環境に投資し続けることは容易ではありません。
施設・設備への投資負担が大きくなったため、M&Aによる譲渡・売却を選択するケースもあります。
③大手メーカーの傘下に入り安定したい
トレンドの移り変わりが激しい化粧品業界では、安定的に事業を続けるために、大手化粧品会社の傘下に入ることを選ぶケースもあります。大手化粧品会社の傘下に入れば、資金・ブランド力・販路などを獲得でき、事業の安定を図れるでしょう。
④従業員の雇用先の確保
経営者が会社の将来を考える際に、従業員に対する責任の果たし方で悩むケースは少なくありません。したがって、従業員の雇用が確保できるM&Aは、経営者も大きなメリットがあるといえるでしょう。
⑤譲渡・売却益の獲得
譲渡・売却益の獲得を目的として、M&Aを行うケースもあります。譲渡・売却益の使い道はさまざまですが、引退後の生活資金への充当だけでなく、中には新しいスキンケア製品の開発を始める経営者もいます。
買収側のメリット
買収側のメリットは主に以下です。
- 事業の選択と集中
- 新製品や新技術の開発
- EC・デジタルマーケティングの強化
- 既存事業と化粧品事業の融合による業容拡大
買収側のメリットとして、1つ目は事業の選択と集中ができる点でしょう。不採算・ノンコア事業の切り離しが可能となり、コア事業への経営資源に集中できます。
2つ目は、新製品や新技術の開発を加速させられるメリットが受けられるでしょう。例えば化粧品原料メーカーを買収することによって、開発力強化が可能となります。
3つ目は、EC・デジタルマーケティングの強化が可能となる点です。ECやデジタルマーケティングを展開する企業を買収すれば、ブランドが直接消費者とコミュニケーションを取りマーケティングが実施できるでしょう。
4つ目は、既存事業と買収先の化粧品事業の融合による事業拡大が可能となります。昨今は、M&Aをとおして異業種から化粧品事業に参入するケースも多くあります。メンズコスメや化粧品D2Cなどの成長分野に属する企業へを買収し、事業領域の拡大が図れるでしょう。
4. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却価格相場
化粧品会社のM&A相場平均は、高くなる傾向にあります。その理由には、買収される化粧品会社は収益性の高いケースが多いことや、自社で製品の開発製造を行っている場合は、設備代や特許代などが上乗せされるためです。
ここでは、化粧品会社のM&A価格の算出方法を詳しくみましょう。
化粧品会社の価格算出
化粧品会社のM&A価格を算出する際は、コストアプローチ・マーケットアプローチ・インカムアプローチといった方法を用いて企業価値を算定します。そこに、将来的な収益力や商品開発力・企業のブランド力などを総合的に判断したのれん代を加えて、M&A価格を決定します。
しかし、化粧品会社のM&A価格を的確に算定するのは容易ではなく、最終的にはM&A当事者間の交渉によって変動するでしょう。
5. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例
ここからは、化粧品会社における以下のM&A・譲渡・売却事例をご紹介します。
- 資生堂によるドイツのヘンケル社への事業譲渡
- SACI-CFPAから住友商事へのM&Aによる譲渡・売却
- ジョンソン・エンド・ジョンソンによるシーズHDの買収
- 台湾千冠莉有限公司からビューティガレージへのM&Aによる譲渡・売却
- 資生堂からPUIG, S.L.への知的財産権譲渡
- 資生堂とFolli Folleの業務提携
- 資生堂とインドネシア企業による合弁会社設立
- 新日本製薬によるノインとの資本業務提携
- アジュバンコスメジャパンによる連結子会社の吸収合併
- インフィニティービューティーからナックへのM&Aによる譲渡・売却
- ファンケルによるグループ組織再編
- 資生堂からスクロールへM&Aによる連結子会社の譲渡・売却
- ファンケルによる子会社2社の吸収合併
- Laline JAPANからTSIホールディングスへのM&Aによる譲渡・売却
- マルコと健康コーポレーションによる資本業務提携
- アジュバンコスメジャパンによる連結子会社の吸収合併
- 花王の会社分割による持株会社体制への移行
- 資生堂による子会社への化粧品事業の承継
- 資生堂子会社からアインファーマシーズへのM&Aによる譲渡・売却
- 米久からDHCへのM&Aによるビール事業譲渡
- あらたグループとサハグループによるタイでの合弁会社設立
- フェヴリナHDの株式交換によるサイエンスボーテの買収
- 丸紅によるSHIGETAとの資本提携
- バルクオムによる刀との資本提携
- ナチュラピュリファイ研究所からスクロールへのM&Aによる譲渡・売却
- フォーシーズホールディングスの株式交換によるクレイトン・ダイナミクスの買収
- ユーグレナの株式交換によるエポラ買収
- トレンダーズによるH&BCの譲渡・売却
- 雑貨屋ブルドッグとアクサスの共同株式移転による経営統合
国内企業による海外企業へのM&A
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例から、まずは国内企業による海外企業へのM&A事例をご紹介します。
①資生堂によるドイツのヘンケル社への事業譲渡
資生堂は2022年2月、「SHISEIDO PROFESSIONAL」など、ヘアサロン向け業務用を中心としたヘアケア剤、ヘアカラー剤、パーマ剤、スタイリング剤など、日本とアジアで展開するプロフェッショナル事業をHenkel AG & Co. KGaAへ譲渡しました。
Henkel AG & Co. KGaAは、ヘアサロン、コンシューマー向けヘア領域に強みがあり、ビューティーケア事業をグローバルに展開している会社です。
譲渡により、事業ブランド「SHISEIDO PROFESSIONAL」に関する商標権の使用をライセンスすることになります。傘下のヘアケアを中心としたブランド商品に関しては、譲渡しました。
今回のM&Aにより、対象事業の日本国内での関連資産を承継する会社をとおして、資生堂は対象事業のさらなる成長をサポートする予定です。そして、欧米でのヘア領域の事業で豊富な実績を有するHenkelグループと一体化し、グローバルレベルの投資機会と事業体制を目指します。
②SACI-CFPAから住友商事へのM&Aによる譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、SACI-CFPAから住友商事へのM&Aによる譲渡・売却です。2019年4月、フランスで化粧品メーカーへ化粧品素材の卸売を行うSACI-CFPAは、住友商事へ株式譲渡を行い、子会社となりました。本買収により、住友商事は、地域のニーズに合わせた化粧品素材事業が行えるとしています。
③ジョンソン・エンド・ジョンソンによるシーズHDの買収
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、ジョンソン・エンド・ジョンソンによるシーズHDの買収です。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、「ドクターシーラボ」などのスキンケア製品を販売するシーズHDへTOBを行い、2019年1月に子会社化が完了しました。
これにより、ジョンソン・エンド・ジョンソンは商品ラインアップを拡充し、シーズHDの製品を世界に広がる販売網に乗せています。
④台灣千冠莉有限公司からビューティガレージへのM&Aによる譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、台湾千冠莉有限公司からビューティガレージへのM&Aによる譲渡・売却です。2018年8月、美容サロン用の化粧品などを販売する台湾千冠莉は、プロ向け美容品の通販を行うビューティガレージへ株式譲渡を行い子会社となりました。
本買収により、ビューティガレージは、アジアの美容商社としての事業成長を図っています。
⑤資生堂からPUIG, S.L.への知的財産権譲渡
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、資生堂からPUIG, S.L.への知的財産権譲渡です。資生堂は2016年1月、資生堂子会社が持つJean Paul GAULTIERのフレグランスに関する知的財産権を、フランスのPUIG, S.L.へ譲渡しました。
資生堂のライセンス契約は2016年までありましたが、PUIG, S.L.がJean Paul GAULTIERを子会社化し、フレグランスも自社で行うことを希望していたことから、今回の譲渡に至っています。
⑥資生堂とFolli Follieの業務提携
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、資生堂とFolli Follie(フォリフォリ)の業務提携です。2015年8月資生堂は、ギリシャで資生堂ブランドの代理店事業を行っているFolli Follieと、業務提携を結びました。資生堂は、ギリシャで高い販売力とマーケティング力を持つFolli Follieと組むことで、ギリシャでのブランド力強化と事業成長を図っています。
⑦資生堂とインドネシア企業による合弁会社設立
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、資生堂とインドネシア企業による合弁会社設立です。資生堂は2014年7月、インドネシアのPT Sinar Mas Tunggal社と合弁契約を結び、合弁会社の営業を開始しました。このM&Aにより、資生堂は、成長著しいインドネシアでの市場開拓を進めています。
国内企業同士のM&A
続いて、化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例の中から、国内企業同士のM&A事例をご紹介します。
⑧新日本製薬によるノインとの資本業務提携
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、新日本製薬によるノインとの資本業務提携です。新日本製薬は2021年11月、ノインに対し出資および事業面の提携や人材交流などの資本業務提携を実施しました。新日本製薬は、福岡県福岡市中央区に拠点を置く、化粧品、健康食品、医薬品の販売を行う会社です。
対象会社のノインは、ダウンロード数250万DLを誇る日本最大級のコスメショッピングアプリ「NOIN(ノイン)」を運営しています。SNSのマーケティング力が高く、化粧品への情報感度の高いZ世代のユーザーから支持されています。
今回のM&Aにより、Z世代の顧客データベースとSNSマーケティングのノウハウ、高いシナジー効果が実現できるとしました。
⑨アジュバンコスメジャパンによる連結子会社の吸収合併
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、化粧品などの販売を手掛けるアジュバンコスメジャパンが行った吸収合併です。アジュバンコスメジャパンは、2019年12月に100%出資の連結子会社で化粧品、美容・理容器材の商品企画や生産・品質管理を行うアジュバンコスメティックを吸収合併しました。
これにより、アジュバンコスメジャパンは、意思決定の迅速化と組織運営の効率化を見込んでいます。
⑩インフィニティービューティーからナックへのM&Aによる譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、インフィニティービューティーからナックへのM&Aによる譲渡・売却です。2018年10月、化粧品の卸売などを行うインフィニティービューティーは、化粧品や健康食品の通信販売を営むナックの子会社へ株式譲渡を行いました。本買収により、ナックは美容事業の強化を図っています。
⑪ファンケルによるグループ組織再編
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、ファンケルによるグループ組織再編です。2018年1月ファンケルは、ファンケル発芽玄米を吸収分割会社、ファンケル美健を吸収分割承継会社として会社分割を行い、ファンケル発芽玄米の発芽米製造機能をファンケル美健に移しました。その後、ファンケル美健を存続会社として吸収合併を行っており、発芽米事業をまとめることで、事業運営の効率化を図っています。
⑫資生堂からスクロールへM&Aによる連結子会社の譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、資生堂からスクロールへM&Aによる連結子会社の譲渡・売却です。2017年5月、資生堂は子会社で化粧品ブランドの通販を行うキナリを、化粧品や健康食品事業を営むスクロールへ株式譲渡により売却しました。
資生堂は、化粧品事業の強化を進めているスクロールへキナリへの譲渡で、キナリのさらなる成長やブランド価値向上につながると判断し売却に至っています。
⑬ファンケルによる子会社2社の吸収合併
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、ファンケルによる子会社2社の吸収合併です。2017年4月ファンケルは、子会社であるファンケル化粧品とファンケルサイエンスを吸収合併しました。本吸収合併により、ファンケルは経営環境の変化に対応し、中期経営計画を推し進める体制を整えられるとしています。
⑭Laline JAPANからTSIホールディングスへのM&Aによる譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、Laline JAPANからTSIホールディングスへのM&Aによる譲渡・売却です。オーガニック・自然派化粧品を販売するLaline JAPANは、2016年5月にアパレル会社のTSIホールディングスへ株式譲渡を行い、子会社となりました。
TSIホールディングスは、自社の店舗開発力をLaline JAPANのオーガニック・自然派化粧品展開に活用する方法で、さらなる成長が見込めるとしています。
⑮マルコと健康コーポレーションによる資本業務提携
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、マルコと健康コーポレーションによる資本業務提携です。補正下着や化粧品などを販売するマルコは、2016年5月にスキンケア化粧品や健康食品の販売などを行う健康コーポレーションと、資本業務提携を結んでいます。
業績が落ち込んでいたマルコは、健康コーポレーションのノウハウやRIZAPのブランド力を活用し、事業の立て直しを図りました。
⑯アジュバンコスメジャパンによる連結子会社の吸収合併
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、アジュバンコスメジャパンによる連結子会社の吸収合併です。化粧品などの販売を行うアジュバンコスメジャパンは、2016年2月に連結子会社でサロン経営支援などを行うイノベーション・アカデミーを吸収合併しました。
これにより、アジュバンコスメジャパンは、意思決定の迅速化と組織運営の効率化を図っています。
⑰花王の会社分割による持株会社体制への移行
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、花王の会社分割による持株会社体制への移行です。2015年9月、花王は子会社の花王カスタマーマーケティング準備会社を、吸収分割承継会社として会社分割を行い、持ち株会社体制へ移行しました。
これにより、花王は商品・サービスの提供力を高めるのを目的として、販売機能を一体化させています。
⑱資生堂による子会社への化粧品事業の承継
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、資生堂による子会社への化粧品事業の承継です。2015年9月、資生堂は化粧品事業の一部を会社分割により、子会社の資生堂販売に承継し、子会社の商号を「資生堂ジャパン」に変更しました。これにより、資生堂は顧客や市場の動きに対し、迅速に対応できる体制を整えています。
⑲資生堂子会社からアインファーマシーズへのM&Aによる譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、資生堂子会社からアインファーマシーズへのM&Aによる譲渡・売却です。2015年6月、資生堂は子会社で化粧品販売などを行うアユーララボラトリーズを、調剤薬局チェーン大手のアインファーマシーズへ株式譲渡を行いました。
これにより、資生堂は、コア事業へ経営資源の選択と集中を行っています。
⑳米久からDHCへのM&Aによるビール事業譲渡
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、米久からDHCへのM&Aによるビール事業譲渡です。2015年3月大手食品メーカーの米久は、会社分割によりビール事業を切り離し、DHCへ株式譲渡を行いました。化粧品やサプリメントなど美容・健康関連事業を行うDHCは、本買収により事業領域の拡大を図っています。
㉑あらたグループとサハグループによるタイでの合弁会社設立
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、あらたグループとサハグループによるタイでの合弁会社設立です。化粧品や日用品などの卸売を行うあらたグループは、2015年3月にタイで化粧品や日用品などを取り扱うサハグループと合弁契約を結び、合弁会社を設立しました。
合弁会社では、DHCの代理店としてタイ企業へ販売を行い、アジア市場の開拓を図っています。
㉒フェヴリナHDの株式交換によるサイエンスボーテの買収
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、フェヴリナHDの株式交換によるサイエンスボーテの買収です。フォーシーズホールディングスの子会社で化粧品通販を行うフェヴリナHDは2014年3月、同じく子会社のサイエンスボーテを吸収合併し、商号を「フェヴリナ・サイエンス」に変更しました。
これにより、フォーシーズホールディングスは、事業の効率化・経営資源の集中を図るとしています。
異業種によるM&A
最後に、異業種による化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例をご紹介します。
㉓丸紅によるSHIGETAとの資本提携
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、丸紅によるSHIGETAとの資本提携です。丸紅は2021年9月、フランスのクリーンビューティーブランドである「SHIGETA PARIS」を展開するSHIGETと資本提携を行いました。
クリーンビューティーとは、自然派商品かつサステナビリティへの配慮、エシカルソーシング(動物実験不実施や労働環境配慮など)の条件を満たした化粧品をいいます。
SHIGETA PARISは、セラピストCHICO SHIGETAによってパリで創設されました。オーガニックコスメ認証の中でもCOSMOS認証を取得し、パリの自社製造工場にて研究開発からパッケージングまで全てを行っています。
今回の資本提携により、丸紅はSHIGETAの日本およびアジア市場でのブランド認知向上、販売面支援、企業価値向上とともに、事業拡大を目指します。
㉔バルクオムによる刀との資本提携
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、バルクオムによる刀との資本提携です。メンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開するバルクオムは2021年3月、刀と資本提携を行いました。
バルクオムが「メンズスキンケアブランド世界シェアNo.1」をミッションとし、スキンケア商品を展開しています。刀は、マーケティングライセンシングカンパニーで、高度なマーケティングノウハウを持っており、消費者に向き合うブランド設計を行う会社です。今回の資本提携により、バルクオムは刀とともに最短かつ最大限の事業成長を目指します。
㉕ナチュラピュリファイ研究所からスクロールへのM&Aによる譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、ナチュラピュリファイ研究所からスクロールへのM&Aによる譲渡・売却です。天然化粧品の製造・販売などを行うナチュラピュリファイ研究所は、2017年1月にカタログ通販事業を営むスクロールへ株式譲渡を行い、子会社となりました。
スクロールは、ナチュラピュリファイのブランド力にスクロールの販売網やノウハウを活用し、高いシナジー効果が得られるとしています。
㉖フォーシーズホールディングスの株式交換によるクレイトン・ダイナミクスの買収
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、フォーシーズホールディングスの株式交換によるクレイトン・ダイナミクスの買収です。
化粧品や健康食品の通信販売を行うフォーシーズホールディングスは、2015年8月、カラーコンタクトレンズの卸販売などを行うクレイトン・ダイナミクスと株式交換を行い、クレイトン・ダイナミクスを完全子会社としました。フォーシーズホールディングスは、商品展開や顧客開拓などで高いシナジー効果を見込んで、今回の統合を行っています。
㉗ユーグレナの株式交換によるエポラ買収
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、ユーグレナの株式交換によるエポラ買収です。ミドリムシを活用した健康食品や化粧品を製造・販売するユーグレナは、2015年6月、ユーグレナ製品の受託製造・販売を行うエポラを、株式交換により完全子会社化しました。
これにより、ユーグレナは両社の関係を強化し、エポラはユーグレナのブランド力を活用し、さらなる成長を図っています。
㉘トレンダーズによるH&BCの譲渡・売却
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、トレンダーズによるH&BCの譲渡・売却です。企業のPR・セールスプロモーションなどを行うトレンダーズは、2015年4月に化粧品の製造・販売などを行うH&BCの全株式を売却・譲渡しました。
トレンダーズは、自社のマーケティング力を生かしてH&BCとの成長を模索してきましたが、十分なシナジー効果が得られなかったことや、コア事業への集中投資を図るため、売却・譲渡に至っています。
㉙雑貨屋ブルドッグとアクサスの共同株式移転による経営統合
化粧品業界のM&A・譲渡・売却事例は、雑貨屋ブルドッグとアクサスの共同株式移転による経営統合です。2015年4月、雑貨屋ブルドッグとアクサスは共同株式移転による経営統合を行い、共同持株会社であるアクサスHDを設立しました。
雑貨小売事業を営む雑貨屋ブルドッグと酒類や化粧品の輸入卸事業などを営むアクサスは、資本業務提携により協業を続けてきましたが、雑貨屋ブルドッグは業績が悪化していく中、アクサスに支援を求める形で経営統合に至っています。
6. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却を成功させるポイント
化粧品会社がM&Aによる譲渡・売却を成功させるには、以下のポイントを意識して行うことが重要です。
- 準備を計画的に行う
- 希望する譲れない条件を決める
- M&Aの目的を明確にする
- 収益性や技術など自社の強みをまとめる
- M&Aの専門家に相談する
①準備を計画的に行う
化粧品会社の場合、買収後に想定していたシナジー効果が得られず、再び譲渡・売却が行われるケースも少なくありません。そのような事態を避けるためには、譲渡・売却先の選定など、M&Aの準備は計画的に行う必要があります。
②希望する譲れない条件を決める
近年は、化粧品業界に詳しくない他業界からのM&Aも増えていることから、さまざまな交渉方法や条件提示の仕方が見られます。希望する条件・譲れない条件を明確にするなど、交渉に臨む態度を毅然(きぜん)とさせるのも重要といえます。
③M&Aの目的を明確にする
M&Aによる譲渡・売却目的を明確にしておかなければ、条件の良し悪しだけに振り回されかねません。M&Aの目的を明確にすると、M&Aを仲介する専門家や相手企業との意思疎通が行いやすくなり、交渉をスムーズに進めることが可能です。
④収益性や技術など自社の強みをまとめる
国内消費が減少傾向にある化粧品業界では、買収側が利益を上げるには、M&Aによって他社と明確に差別化ができるようなシナジー効果を得なければなりません。
収益性や技術など自社の強みを明確にしておくことで、買収企業も明確なビジョンを描きやすくなります。
⑤M&Aの専門家に相談する
大手・中堅化粧品会社への譲渡・売却や、他業界企業への譲渡・売却を行うには、化粧品業界に精通した専門家のサポートがおすすめです。
できるだけ早い段階から専門家に相談しておくことで、戦略策定をしっかりと行え、結果としてM&Aによるメリットも得やすくなります。
7. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却時におすすめの相談先
化粧品業界でM&Aによる譲渡・売却を満足いく形で進めるには、M&Aや化粧品業界に精通した仲介会社によるサポートがおすすめです。
M&A総合研究所では、実務経験が豊富なM&A専門のM&Aアドバイザーによる専属フルサポートを行っており、化粧品業界でも重要性が増しているIT分野・マーケティング分野にも強みを持っています。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、化粧品会社のM&A・譲渡・売却をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
8. 化粧品業界のM&A・譲渡・売却まとめ
本記事では、化粧品会社のM&A事例や動向などをご紹介してきました。化粧品会社のM&A相場平均は、高い傾向にありますが、成功させるためには自社にあったスキームを選び、戦略をたてて進めることが大切です。
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