建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&A・売却・買収!業界動向・相場・手法を解説【2023年成功事例あり】

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

建材・住宅設備機器の卸・問屋におけるM&Aによる売却や買収にはどのような特徴があるのでしょうか。今回は2023年最新版の、建材・住宅設備機器の卸・問屋における業界の特徴も含めて、建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aによる売却・買収のメリットや事例を解説します。

目次

  1. 建材卸業とは?
  2. 建材・住宅設備機器の卸・問屋とは
  3. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&A動向
  4. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&A成功事例13選
  5. 建材・住宅設備機器の卸・問屋がM&Aするメリット
  6. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aポイント
  7. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aまとめ
  8. 建材・住宅設備機器の卸業界の成約事例一覧
  9. 建材・住宅設備機器の卸業界のM&A案件一覧
  • 建材・住宅設備機器の卸のM&A・事業承継

1. 建材卸業とは?

建材卸業とは、メーカーから資材を仕入れ企業へ販売する事業をいいます。

主に、以下の卸売で営む企業で構成されています。

  • 建材(壁・天井・屋根などの外装となる材料)
  • 建設資材(木材・金属等)

取扱商品の品目が多岐にわたる

建材卸業では顧客ニーズが多様化しており、品目が多岐にわたる特徴があります。

例えば、素材や形状1つとっても多くのニーズがあるため量産体制が難しく商品別の管理も難しい特徴があります。さらに、商品別の採算・在庫管理などにも工数がかかります。

商圏内顧客の利用が多いローカルビジネス

建材卸業は、工務店やハウスメーカーが取引相手となるため商圏内顧客の利用が多いビジネスモデルだといえます。

基本的に地域密着型になるため、それぞれの建材卸売業者も地域ごとに存在しています。新設住宅着工数・リフォーム件数に売り上げが大きく左右されてしまう難点もあります。

契約形態が複数存在する

一部の建材卸売業者は加工も請け負っていることがあるため、契約形態が以下のように多様化しています。

  • 購買契約:規格品・市販品を対象とする売買契約
  • 製造委託契約:最終的な製品の仕様を指定して、製造を委託する契約
  • 材工一式契約:建築資材・工事作業を、建材卸業者が手配する契約

価格競争に陥りやすい

卸売業という性質上、加工を請け負っていない業者は商品の差別化ができません。

そのため、「いかに安く販売するか」という価格競争に巻き込まれやすくなっています。売り上げ総利益率が軒並み低い業界でありますが、リードタイムの短縮・アフターサービスなどで価格の差別化を図る業者も増えてきています。

2. 建材・住宅設備機器の卸・問屋とは

建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aによる買収や売却・譲渡などの動向を見る前に、まずは建材・住宅設備機器の卸・問屋の状況などを解説します。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の業務

建材・住宅設備機器の卸・問屋の業務として主なものは、新築住宅やリフォームなどによる住宅に向けた建材販売です。エンドユーザーである一般消費者は、コスト意識が高いのが特徴となっています。

住宅に対する施策などにより、消費者の購入動向に変化があることで売り上げが左右されます。それ以外にも、住宅の施主のほとんどが住宅ローンなどで購入するため、金利相場の動向などよって売上が左右されることも、特徴の1つとして挙げられるでしょう。

建材卸業界の特徴

建材卸業界のそのほかにもみられる特徴は、以下のとおりです。

  • 取扱商品の品目が多い
  • 商圏内顧客の利用が多い
  • 契約形態が複数ある
  • 価格競争に陥りやすい

建材卸業界は、顧客である工務店が地域密着型である場合が多く、多種多様な商品を各社に届けるために多層構造がみられます。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の市場規模

建材・住宅設備機器の卸・問屋の現状について、市場規模と企業実態を解説します。総務省の統計資料「2020年経済構造実態調査」によると、2020年の建築材料卸売業の年間販売額は、16兆6,220億1,500万円でした。

市場規模は縮小

建材・住宅設備機器の卸・問屋の市場規模は、縮小している状況がうかがえます。日本の人口が2008年を頂点として減少しているためです。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の市場規模は縮小しているものの、ストック住宅などのリフォームにより、売上を伸ばしている動向も見られます。それを後押しするように、国の施策やローン減税なども実施されているのが現状です。

地元密着型の中小企業が多い

取り扱っている商材が多様な建材・住宅設備機器の卸・問屋などの商社は、地域に密着した中小企業が多い点も特徴です。大手の建材・住宅設備機器の卸・問屋メーカーは、地場の商社と手を組むことで、細かい地域まで商圏を伸ばしています。

建材・住宅設備機器の卸・問屋の大手企業一覧

建材・住宅設備機器の卸・問屋業界における、2020年度の売上上位10社を一覧にしました。

企業名 売上高(連結)
山善 4,347億4,400万円
ユアサ商事 4,321億8,500万円
三谷商事 3,969億7,300万円
JKホールディングス 3,432億5,400万円
伊藤忠建材 3,033億円
SMB建材 2,925億円
すてきナイスグループ 2,140億6,900万円
小野建 2,028億2,500万円
双日建材 1,452億円
南国殖産※ 1,408億5,984万円
※南国殖産は2020年9月決算、その他は2021年3月決算

建材・住宅設備機器の卸・問屋のライバル

建材・住宅設備機器の卸・問屋の業界では、激しい価格競争が行われています。価格競争のライバルは業界内だけではありません。以下に挙げる異業種からの価格競争が、建材・住宅設備機器の卸・問屋業界にはあります。

  • 住設機器メーカー
  • 家電量販店
  • オンラインによるリフォーム事業

住設機器メーカー

住設機器を取り扱っている大手メーカーでは、昨今のストック市場によるリフォームの売上上昇を見込み、需要を囲い込み始めています。その手法は、メーカーが店舗を開設したり、オンラインショップの開業でユーザーに直接販売したりする方法などです。

住設機器を取り扱っているメーカーには、直接販売での価格に対する優位性があるだけではありません。コマーシャルなどを積極的に行うことでエンドユーザーに認知され、市場でのシェアを広げられる強みもあります。

大手の住設機器メーカーが豊富な資金を投入して参入する動きに対して、建材・住宅設備機器の卸・問屋の主流となる地域の中小企業は、今まで培った人脈と販売網を駆使して対抗するしかありません。

家電量販店

建材・住宅設備機器の卸・問屋などのライバルに家電量販店があります。家電量販店のなかには、住宅メーカーをM&Aにより買収し、住宅業界に参入している企業もあるほどです。

家電量販店には、日々多くのエンドユーザーが買い物に訪れているため、直接営業をかけられるメリットがあります。販売店は各地に点在しており、潜在的なユーザーを取り込める可能性も高いです。

家電量販店で住宅を契約すると、家電の割り引きやポイントサービスを得られるなど、住宅設備プラスアルファのメリットもあります。建材・住宅設備機器の卸・問屋からは、家電量販店参入による顧客の流出が危惧されています。

オンラインによるリフォーム事業

最近では、インターネットに関連している企業が、オンラインを活用してリフォームを行うサービスがみられます。こうしたサービスは今後、成長を見せるのではないかと注目を浴びている状況です。

例えば、Amazon.co.jpが積水ハウスグループ、大和ハウスリフォーム、ダスキンといったリフォームに関連した商品を取り扱う専門サイトを開設したり、ソーシャルゲーム大手のグリーがオンラインでリフォームサービスを開始したりしています。

こうしたサービスに対して、消費者もインターネットでリフォームを行える容易さからニーズがみられます。それだけでなく、インターネットで資材価格を提示されることにより、商社が扱う商材の値崩れにもつながるのではと危惧されています。

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3. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&A動向

ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋におけるM&Aでの売却・買収動向を解説します。

事業承継がらみのM&Aが増加

日本の人口減少は非常に大きな問題です。人口減少は事業の担い手不足を招いています。地域に根ざした商社が多い建材・住宅設備機器の卸・問屋の業界では、後継者不足が深刻な問題です。

後継者不足により事業承継ができない建材・住宅設備機器の卸・問屋が、M&Aにより商社などの事業を売却する事例が多くみられています。M&Aによる売却や買収は、事業承継で有効的に働いているといえます。

同業他社による買収増加

建設業者である工務店などが、建材・住宅設備機器の卸・問屋の商社をM&Aによって買収や事業譲受するケースが目立ってきています。

激化する価格競争を生き残るため、より消費者に近い工務店などが、建材・住宅設備機器の卸・問屋事業も手掛けることで、価格低下を実現させている状況です。取り扱う商材の販売価格をより押さえるために、大手資本に入るなどといった動向もみられます。

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料金体系は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)です。無料相談は電話・Webより受け付けています。建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aをご検討の際は、お気軽にご連絡ください。

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4. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&A成功事例13選

ここでは、建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aにおける成功事例を紹介します。

  1. アルコニックス
  2. サーラコーポレーション
  3. 伊藤忠エネクス
  4. M&A事例①タムラ建材
  5. M&A事例②ダイキアクシス
  6. M&A事例③コンドーテック
  7. M&A事例④前田工繊
  8. M&A事例⑤ナイス
  9. M&A事例⑥西武ホールディングス
  10. M&A事例⑦小野建
  11. M&A事例⑧キムラ
  12. M&A事例⑨OCHIホールディングス
  13. M&A事例⑩サンゲツ

①アルコニックス

2022年4月、アルコニックスはリチウムイオン電池向けの金属部品を製造するソーデナガノの株式を取得し、連結子会社化すると発表しました。取得価額は、約88億3,700万円です。取得予定日は2022年11月30日の予定です。

アルコニックスは、非鉄金属、レアメタル、レアアースなどの製品の販売、原材料の輸出入などを行っています。このM&Aは、中期経営計画のビジョンである「商社機能と製造業を融合する総合企業」を加速させ、グループ内でのシナジー効果向上と、企業価値向上を目的としています。

②サーラコーポレーション

2022年4月、サーラコーポレーションは連結子会社であった豊橋のアスコを吸収合併存続会社とし、エイ・エム・アイを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うと発表しました。アスコとエイ・エム・アイは、いずれも動物用医薬品等を販売しています。

今回のM&Aは、北関東地区で、アニマルヘルスケア事業の営業力強化、業務効率化により、収益向上とシェア拡大を図るために行いました。

③伊藤忠エネクス

2022年3月、伊藤忠エネクスはホームライフ部の産業ガス販売事業を、連結子会社である伊藤忠工業ガスに承継させると発表しました。これは、会社分割によるものです。伊藤忠エネクスを分割会社とし、伊藤忠工業ガスを承継会社とします。

伊藤忠エネクスは、国内トップクラスのエネルギー商社です。伊藤忠工業ガスは、工業用・医療用など各種ガス容器の耐圧検査・充填・配送の製造物流事業などを展開しています。

本件は、連結子会社と行うため、株式の割り当てなどの対価の交付は行いません。このM&Aは、経営資源を集約し、一元化を図ることで効率的に事業を推進することを目的としています。

④タムラ建材

2021年11月、福岡県久留米市のタムラ建材は、同県同市のタムラから建築資材販売事業を譲受しました。タムラ建材は、JKホールディングスの連結子会社であるブルケン・ウエストが、このM&Aのために同年10月に設立した会社です。取得価額は公表されていません。

JKホールディングスグループは、総合建材卸売事業、フランチャイズ事業、合板製造・木材加工事業、総合建材小売事業、建設工事事業、旅行・保険・金融業、倉庫・運送業などを行っています。グループとして福岡県および九州地区での建材卸売事業を拡大させることがM&Aの狙いです。

⑤ダイキアクシス

2021年10月、愛媛県松山市のダイキアクシスは、愛媛県新居浜市のアルミ工房萩尾の全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。アルミ工房萩尾は、住宅サッシ・エクステリア建材の施工・販売を行っています。

ダイキアクシスは、建材・住宅設備機器の販売・施工、排水処理装置の設計・施工・維持管理、合成樹脂製品などの製造・販売・設計・施工、バイオディーゼル燃料の精製・販売、飲料水の製造・販売、太陽光発電による売電事業などを行っている企業です。

ダイキアクシスとしては、シナジー効果によって、より質の高い商材・サービス提供を可能としています。

⑥コンドーテック

2021年10月、大阪府大阪市のコンドーテックは、愛知県名古屋市の栗山アルミの株式75.7%を取得し、子会社化しました。取得価額は公表されていません。コンドーテックは、産業資材・鉄構資材の製造・仕入・販売、電設資材の仕入・販売を行っています。

栗山アルミは、非鉄金属の押出、アルミ押出型材などの製造開発、型材・板材・ステンレスなどの加工、アルミニュームの表面処理加工などの事業を行っている企業です。コンドーテックとしては、今後に需要が見込まれるアルミ商材をグループ内に取り込むことがM&Aの目的でした。

⑦前田工繊

2021年9月、福井県坂井市の前田工繊は、東京都新宿区のセブンケミカルの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は公表されていません。前田工繊は、土木資材・建築資材・各種不織布の製造・販売を行っています。

栗山アルミは、外壁用の防水材や保護・仕上げ材の製造・販売を行っている企業です。前田工繊としては、グループとしてシナジー効果が得られるとともに、事業領域の拡大も実現すると判断しました。

⑧ナイス

2021年8月、神奈川県横浜市のナイスは、群馬県高崎市のヤマダホールディングスと資本業務提携契約を締結し、ヤマダホールディングスが引き受け手となる第三者割当増資を実施しました。ヤマダホールディングスはナイスの株式18.49%を取得し、筆頭株主となっています。

ナイスが調達した資金は39億2,070万円です。ナイスは、企業グループとして建築資材事業、住宅事業、建築工事事業、情報サービス事業、コンサルティング事業などを行っています。

ヤマダホールディングスは、電化製品の小売販売事業、住宅建設事業、金融事業などを行っているグループの持株会社です。ナイスとしては、自社とは異なる経営資源を持つパートナーとの提携によって、企業価値向上を目指すための決断です。

⑨西武ホールディングス

2021年7月、東京都豊島区の西武ホールディングスは、100%子会社である埼玉県所沢市の西武建材の全株式を埼玉県さいたま市の東和アークスに譲渡しました。譲渡価額は公表されていません。

西武建材は、建築材料や鉱物・金属材料などの製造・卸売業を営んでいます。東和アークスは、建築材料や鉱物・金属材料などの製造・卸売業を行っている企業です。

西武ホールディングスとしては、グループ内のノンコア事業の売却を計画的に進めており、今回の株式譲渡もその一環となります。

⑩小野建

2019年10月、福岡県北九州市の鉄鋼・建材商社である小野建は、大阪府門真市の鉄筋販売・切断・加工・鉄筋工事を行う森田鋼材の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

小野建は所在地の福岡県だけでなく、全国展開で事業を行っています。森田鋼材をグループに加えることによって、京阪神エリアの事業展開を強化できると判断しました。

小野建の会社設立は1949年、森田鋼材は1958年と、どちらも長いキャリアがあり、それぞれが培ってきたノウハウや技術の交流も大きなシナジーになるとしています。

⑪キムラ

2018年3月、住宅資材の卸売の事業や不動産事業などを手掛けている札幌市のキムラは、帯広・十勝地区で住宅用足場や仮設材のレンタル、施工を行っているテクノ興国の全株式を取得し、完全子会社化しました。

キムラとしては、帯広市を含む十勝地域において、足場レンタル事業のさらなる展開が期待できるとしています。

⑫OCHIホールディングス

2017年12月、建材・生活・加工・その他の4つの事業を手掛けている福岡県福岡市のOCHIホールディングスが、長野県で建材・住設宅設備機器の卸売と建築工事を手掛ける丸滝の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。

OCHIホールディングスとしては、丸滝を中心に甲信越地域の事業展開を広げるとともに、人材と技術の交流や事業サポートを行うことでグループシナジーを向上させるとしています。

⑬サンゲツ

2017年12月、内装材販売の商社であるサンゲツは、シンガポールで内装材量販売を手掛けるGoodrich Global Holding Pte. Ltd.の過半数の株式を取得し、子会社化することを発表しました。

株式を買収されたGoodrich Global Holding Pte. Ltd.は、東南アジアを中心に6カ国12事務所を展開しており、内装材料の販売市場で多くのシェアを持っています。サンゲツはこのM&Aによって、日本・米国・中国の市場に加えて東南アジアまでも販売圏域にしました。

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5. 建材・住宅設備機器の卸・問屋がM&Aするメリット

建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aにはどういったメリットが考えられるでしょうか。ここでは売却・譲渡側と買収側のメリットに分けて解説します。

売却・譲渡側のメリット

建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aでの売却・譲渡側の主なメリットには、以下のようなものがあります。

  • 後継者問題が解決
  • 雇用の継続
  • 負債の解消と創業一族の利益確保

後継者問題が解決

後継者がいないために廃業を考える経営者も少なくありません。その場合、M&Aで経営権を譲渡することで後継者問題は解決します。特に地方での後継者問題は深刻です。課題に対処するために、M&Aによる譲渡に踏み込む動向もみられます。

雇用の継続

廃業や経営不振に陥った場合、従業員を雇用し続けることは困難です。こうした状況にもM&Aによる事業譲渡や会社売却(株式譲渡)を行うことで、従業員の雇用を継続させられるメリットがあります。

負債の解消と創業一族の利益確保

M&Aで会社を売却した場合、負債は買い手に引き継がれます。それに伴い、売却側経営者の個人保証や担保も解消されます。それだけでなく、創業者や経営者は、売却の対価として相応の現金を獲得できます。

買収側のメリット

建材・住宅設備機器の卸・問屋がM&Aを行うとき、買収側の主なメリットは以下のとおりです。

  • 営業拠点の拡大
  • スケールメリットを得られる
  • 新たな顧客を獲得できる

営業拠点の拡大

買収側の大きなメリットは、商圏が拡大することです。特に地元に根ざしている商社が多い建材・住宅設備機器の卸・問屋は、顧客との関係性も強いので、該当地域でしっかりとした基盤が作れます。

スケールメリットを得られる

買収により企業が大きくなれば、スケールメリットが得られます。事業拡大がもたらすスケールメリットの一例としては、銀行からの融資や地域での知名度向上などです。

新たな顧客を獲得できる

同業他社との競争のなか、新たな顧客を得ることは簡単ではありません。M&Aで買収を実施すれば、売却側の持っている顧客を新たに獲得して事業を展開できます。

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6. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aポイント

建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aを行うにあたり、重要なポイントとして以下の3点を解説します。

  1. 相場
  2. 手法
  3. タイミング

①相場

M&Aによる売却や買収などは、業種や事業によって市場相場があります。建材・住宅設備機器の卸・問屋の場合は、抱えている施設や商材、資材、顧客、売上といった総合的な観点から買収価格が決定する仕組みです。

取り扱っている資材の量や商圏の広さによって、相場以上の売却価格になることもあります。一概にはいえませんが、建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aによる相場は、数千万円から数億円程度です。

地元の商社であっても、店舗を多く構えていたり、自社でしか取り扱えない商品があったりすると、相場以上の価格になります。

②手法

建材・住宅設備機器の卸・問屋の商社を、売却または買収するM&Aの方法にはさまざまな方法が考えられます。一般的には、株式譲渡による売却・買収が多いようですが、事業譲渡や吸収合併などのM&A事例もあります。

M&Aの手法はさまざまで、一概にこれが適しているとはいいきれません。売却側や買収側に合ったM&Aを取り入れて、双方にメリットのあるスキームを選ぶべきです。

そのためにも専門家などを交えて、M&Aの相場や価格について話を進めていくと安心です。専門家であれば、豊富なM&Aの事例から、現在の動向や相場を総合的に見て価格や条件を設定してくれます。

③タイミング

売却側のM&Aを行うタイミングは、事業承継に適した時期や、売上が危うくなってきた時期が望ましいです。あまりに大きな負債を抱えてからでは、売却先をみつけられない場合もあります。それ以外にも、相手がみつかっても、売却価格が低くなるのは必定です。

M&Aで買収する側の企業は、対象商社の利益を見極めることが望ましいです。今後、新築住宅は減少する一方で、ストック住宅の改修などは市場が一定以上伸びていくことが見込めます。ストックに強い商社を選択するのも良策です。

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7. 建材・住宅設備機器の卸・問屋のM&Aまとめ

建材・住宅設備機器の卸・問屋をM&Aする場合のメリットは、売却側・買収側の双方にあります。ただし、売却・買収の価格相場は変動するのが一般的です。M&A仲介会社などの専門家と相談しながら、タイミングをしっかりと見極めてM&Aを進めることが非常に重要です。

8. 建材・住宅設備機器の卸業界の成約事例一覧

9. 建材・住宅設備機器の卸業界のM&A案件一覧

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