新設分割とは?吸収分割との違いや手続きから事例まで詳しく解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では新設分割について、吸収分割との違いや手続き、メリット・デメリットや最新事例を解説します。一部の事業を承継する会社分割には、新設分割と吸収分割の2種類があります。新設分割とは新会社に事業を承継するスキームです。会社分割を検討している方は必見です。

目次

  1. 会社分割とは
  2. 会社分割の2つの種類
  3. 新設分割と吸収分割の違い
  4. 新設分割のメリットとデメリット
  5. 新設分割の手続きとその流れ・スケジュール
  6. 新設分割の適格要件
  7. 新設分割の4つの活用方法
  8. 新設分割の事例
  9. 新設分割などM&Aの相談はM&A総合研究所へ
  10. まとめ
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1. 会社分割とは

会社分割とは、ある会社が営んでいる事業を他の会社に移す(承継する)M&Aスキームを指します。事業を承継するとは、その事業を営むために必要な資産・負債・権利・義務の所有者を、別の会社に変更するということです。

これは一般に「包括承継(または一般承継)」と呼ばれる取引で、包括承継の最も身近な例としては、親が死亡した時に資産を子が引き継ぐ相続があります。

親の持ち家や貯金の所有者が相続でまとめて子に移るのと同じように、会社分割では事業に関連する資産の所有者がまとめて別な会社に移ります。

承継する資産・負債・権利・義務に含まれるのは、事業を営むのに必要なもの全てです。例えば資産なら、工場や商品などの有形資産だけでなく、ブランドや商標、事業のノウハウや製造技術なども含まれ、ほかにも従業員との雇用契約や、取引先との契約や許認可なども、多くの場合承継されます。

会社分割については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割とは?吸収分割と新設分割の相違点、手続きの流れ、事例をわかりやすく解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. 会社分割の2つの種類

会社分割には、「新設分割」と「吸収分割」の2種類があります。両者は似ている部分と相違点があるので、それらを把握して適切な手法を選ぶことが大切です。

【会社分割の種類】

  1. 新設分割
  2. 吸収分割

新設分割

新設分割は、事業を承継するための新しい会社を設立して、その会社に事業を承継する方法です。会社法では下記のように定義されています。

新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。

新設分割は、承継した事業の対価を誰が受け取るかによって、「分社型新設分割」と「分割型新設分割」の2種類に分類されます。

さらに、2社以上の会社が事業を譲り渡す新設分割は「共同新設分割」と呼び、1社だけが譲渡する単独の新設分割と区別します。

【新設分割の種類】

  • 分社型新設分割
  • 分割型新設分割
  • 共同新設分割

分社型新設分割

分社型新設分割とは、譲渡した事業の対価を譲渡企業自身が受け取る新設分割のことです。事業を譲受した会社の株式を譲渡企業が保有するため、分社型新設分割を行うと譲渡企業が譲受企業を資本的に支配することになり、譲渡企業が1社のみで全株式を取得した場合、譲受企業は譲渡企業の完全子会社となります。

分社型新設分割を使う場面として考えられるのは、例えば会社を持株会社化する時です。複数の事業を営んでいる会社が、各事業を新設分割で新会社として独立させ、新会社の株式を譲渡企業が受け取れば、その会社は新会社をまとめる持株会社になります。

分社型新設分割の当事者は譲渡企業と譲受企業なので、譲渡企業の株主の保有株式に変化はなく、譲渡企業の株主構成も変化しません。

【分社型新設分割における株主構成の変化】

  分割前の株主 分割後の株主
A社(譲渡企業) 株主a 株主a
B社(譲受企業、新設会社) 設立前なのでなし A社

分割型新設分割

分割型新設分割とは、譲渡した事業の対価を譲渡企業の株主が受け取る新設分割のことです。分社型新設分割では譲渡企業自身が対価を受け取るのに対して、分割型新設分割では譲渡企業自身は対価を受け取らず、代わりにその会社の株主が受け取ります。

分割型新設分割を行うと、譲渡企業の株主は譲渡企業・譲受企業両社の株主になります。また、分社型新設分割と違って譲渡企業と譲受企業の間に資本的な支配関係は生じません。

分割後の両社はいわゆる兄弟会社の関係性になり、譲渡企業の株主構成が変化しないのは分社型と同じです。

【分割型新設分割における株主構成の変化】

  分割前の株主 分割後の株主
A社(譲渡企業) 株主a 株主a
B社(譲受企業、新設会社) 設立前なのでなし 株主a

共同新設分割

共同新設分割とは、譲渡企業が2社以上存在する新設分割のことです。譲渡企業が1社の場合は単に新設分割と呼ぶか、「単独新設分割」と呼ばれることもあります。

共同・単独という分類は譲渡企業の数に着目したもので、対価の受取先に着目した分社型・分割型とは別な分類方法です。よって、共同新設分割は分社型・分割型どちらでも行うことができます。

共同新設分割は対価を受け取る者が複数いるので対価の分配比率が問題になりやすいため、各社が譲渡した事業の価値によって妥当と思われる比率を設定するのが一般的です。

共同新設分割が利用される場面としては、複数の企業が協働するために合弁会社を設立する時が考えられます。そのほかにも、グループ企業間で同じような事業を営んでいる時に、それらを統合して組織を整理するために用いられることがあります。

吸収分割

会社分割には、新設分割以外に吸収分割という手法があります。吸収分割とは、既存の会社が譲受企業となる会社分割です。吸収分割も新設分割と同様に、対価の受取先によって分社型と分割型に分類されます。

【吸収分割の種類】

  1. 分社型吸収分割
  2. 分割型吸収分割

分社型吸収分割

分社型吸収分割とは、譲渡した事業の対価を譲渡企業自身が受け取る吸収分割のことです。分社型新設分割の場合と同様に、譲渡企業は譲受企業に対して資本的な支配力を持つことになります。

新設分割と違って、吸収分割の譲受企業は既存の企業です。譲受企業には既存株主がいるので、分割後の譲受企業株式は譲渡企業と既存株主で持ち合うことになります。

【分社型吸収分割における株主構成の変化】

  分割前の株主 分割後の株主
A社(譲渡企業) 株主a 株主a
B社(譲受企業) 株主b A社と株主b

分割型吸収分割

分割型吸収分割とは、譲渡した事業の対価を譲渡企業の株主が受け取る吸収分割をさします。取引としては分割型新設分割と同じで、譲受会社が既存の会社である点の違いです。

分割型吸収分割は譲受会社が既存の会社なので、分割後の譲受企業の株主構成は、既存株主bと、分割によって対価を受け取った新しい株主aの両者がいることになります。

【分割型吸収分割における株主構成の変化】

  分割前の株主 分割後の株主
A社(譲渡企業) 株主a 株主a
B社(譲受企業) 株主b 株主aと株主b

吸収分割については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】吸収分割とは?新設分割との違いや手続き、メリットを解説【事例あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

分社型分割と分割型分割の違い

分社型分割と分割型分割の違いは、対価を譲渡企業自身が受け取るか、それとも譲渡企業の株主が受け取るかです。

この違いにより、分社型分割では、譲渡企業が譲受企業に対して資本的に影響力を持つことになり、多くの場合親会社・子会社となります。

これに対して分割型分割では、譲渡企業と譲受企業は兄弟会社となり、対等な関係性を持つのが相違点です。そのほかの違いとして、正式には会社法で規定されているのは分社型分割だけで、分割型分割は規定されていないという点もあります。

つまり、会社法に則って会社分割を行う場合、対価を譲渡企業の株主に直接交付することはできないということです。よって、分割型分割を行う場合は、一旦分社型分割で対価を譲渡企業に交付した後、その対価を配当などの名目で譲渡企業の株主に分配するという、2段階のプロセスを経ることになります。

分割型分割と分社型分割については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】分割型分割と分社型分割とは?適格要件や仕訳・会計処理、会社法上の扱いを解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. 新設分割と吸収分割の違い

新設分割と吸収分割の最も重要な違いは、譲受企業が新設会社か既存の会社かという点です。ただし、それ以外にも押さえておきたい違いはいくつかあります。

まず、吸収分割は金銭を対価にすることも可能ですが、新設分割では対価とすることはできません。新設分割で対価にできるのは、譲受企業の株式・社債・新株予約権・新株予約権付社債です。

また、許認可の取得に関して注意しておきたい相違点があります。会社分割は原則として許認可も承継されますが、建設業など一部の業種では承継できないので、譲受企業が新規取得しなければなりません。

この場合、吸収分割なら譲受企業が既存の会社なので、吸収分割の手続きと並行して許認可を取得しておけば、分割後すぐに営業を開始できます。

一方、新設分割はまだ譲受会社が設立されていないため、新設分割の手続きと並行して許認可を取得することができず、分割後すぐに営業を開始することができません。

4. 新設分割のメリットとデメリット

M&Aはどの手法にもメリットとデメリットがあるので、それらを把握して適切なスキームを選択しなければなりません。

この章では、新設分割を選択すべきか判断する時に知っておきたい、主なメリットとデメリットを解説していきます。

3つのメリット

新設分割の主なメリットとしては以下の3点が挙げられます。

【新設分割のメリット】

  1. 資産や契約上の地位をすべて引き継げる
  2. 資本準備金や資本剰余金の引継ぎが可能
  3. 要件を満たせば資産の含み益に課税されない

①資産や契約上の地位をすべて引き継げる

事業を他の会社に移すM&Aスキームとしては、会社分割以外に事業譲渡があり、こちらもよく利用されます。しかし、事業譲渡は包括承継ではないため、資産や契約上の地位の移転を1つずつ行わなければなりません。

一方、新設分割は包括承継なので、新設分割計画書が承認されれば、契約に含まれる資産や契約は全て引き継ぐことが可能です。資産や契約をまとめて引き継げるメリットは、譲渡する事業が大規模になるほど大きくなります。

逆に、小規模な事業なら事業譲渡のほうがむしろ簡便になるケースもあるので、スキームの選択はケースバイケースで考えることが大切です。

②資本準備金や資本剰余金の引継ぎが可能

事業資産の個別の売買契約である事業譲渡と違い、新設分割は事業の包括承継なので、資本準備金や資本剰余金など株主資本の引継ぎができます

引き継ぐ金額は、分割する事業の価値がどれくらいの株主資本に相当するかによって決まり、資本金・資本準備金・資本剰余金のそれぞれにいくら振り分けるかは、株主資本相当額の範囲内で自由に決めることが可能です。

ただし、承継する事業の純資産がマイナスの場合は、マイナスの株主資本変動を計上しなければなりません。

会社分割における純資産や資本金の引継ぎ方法については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割における純資産や資本金の引継ぎ方法を解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

③要件を満たせば資産の含み益に課税されない

新設分割で譲渡する資産は原則として時価評価されるので、含み益は課税対象です。しかし、含み益に税金がかかると新設分割の活用範囲が大きく制限されてしまいます。

特に、グループ企業内での再編などに使うことが難しくなるため、新設分割を含む組織再編行為では、一定の条件を満たせば含み益に税金がかからない、「適格要件」というものが定められています。

適格要件を満たす新設分割では、資産を時価ではなく簿価のまま引き継ぐ会計処理を行い、含み益を持ち越す(繰り延べる)ことで税金が発生しない仕組みになっています。

適格要件の詳細については後の章で詳しく解説しますが、大まかには譲渡企業と譲受企業が親会社・子会社であるか、つまり支配関係があるかがポイントです。

3つのデメリット

新設分割のデメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。

【新設分割のデメリット】

  1. 税務の取り扱いが煩雑になる
  2. 譲受側企業が非上場になる場合は株式の現金化が困難
  3. 会社法・労働契約承継法に基づく手続きが必要

①税務の取り扱いが煩雑になる

新設分割を活用するには、適格要件を満たして含み益に税金がかからないようにすることが重要です。しかし、適格要件を満たすかどうかの判定はやや複雑で、要件を満たすように新設分割を行うために注意を払う必要があります

特に、譲渡企業と譲受企業が親会社・子会社でない場合は要件が複雑になるので、弁護士やM&Aアドバイザーなど専門家のサポートをしっかり受けることが必須といえるでしょう。

もちろん、適格要件を満たさずに新設分割を行うことは可能ですが、税金の面で不利になるのに加えて、資産の時価評価など面倒な手続きを行わなければなりません。

会社分割の税金・税務については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割の税金・税務に関して解説!消費税の納税義務はない?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

②譲受側企業が非上場になる場合は株式の現金化が困難

新設分割は、買収資金を用意しなくても株式を対価に事業を承継できるのがメリットですが、その対価が受け取り手にとって魅力的なものである必要があります。

株式を対価にする場合、株式自体の価値が高いかどうかはもちろん、流動性がきちんと確保されているかも重要な点です。

たとえ価値が高くても、流動性が低く現金化するのが非常に面倒なら、対価として魅力を感じない可能性もあるでしょう。

特に、新設分割は対価を支払う会社が新設会社、つまり非上場企業なので、将来の上場が見込めるなど流動性に問題がない条件を求められる可能性もあります。

③会社法・労働契約承継法に基づく手続きが必要

新設分割は会社法で手続きが規定されているので、それに則って手続き進めていかなければなりません。もし法律上の手続きに不備があると、新設分割自体が無効になってしまう恐れもあります。

さらに新設分割では、会社法以外にも「労働契約承継法」という法律があるのが注意点です。新設分割は包括承継なので、事業譲渡のように従業員一人一人に同意を得る必要がありません。

従業員が不利益を被らないよう、労働契約承継法で雇用の承継の仕方が規定されており、労働組合などに対して新設分割の内容や雇用条件について協議・説明する必要があると定められています。

包括承継は個別の承継より手続きが簡便とされていますが、代わりに会社法・労働契約承継法に基づく手続きが必要なことは踏まえておくことが必要です。

会社分割のメリット・デメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割のメリット・デメリットを詳しく解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

5. 新設分割の手続きとその流れ・スケジュール

新設分割の手続きには、会社法に規定されたものと、労働契約承継法に規定されたものがありますが、ここでは会社法の手続きをベースに流れやスケジュールを解説していきます。一般的には2ヶ月以上かかることがほとんどのため、スケジュール例も参考にしてみてください。
 

新設分割の手続き・流れ スケジュール例
1.新設分割契約を締結する 2/1
2.新設分割の契約に関する書面等を備え置く 2/15
3.株主総会で承認を得る 3/1
4.株主への通知または公告を行う 3/8
5.債権者保護手続きを行う 3/10
6.新設分割に関する書面等の備え置く 3/15
7.新設分割の登記をする 3/16〜4/1
※あくまで一例です

1.新設分割契約を締結する

会社分割の手続きは、譲渡企業と譲受企業が分割契約を締結するところから始まります。契約書に盛り込む事項は会社法で規定されているので、漏れがないように記載しなければなりません。

ただし、新設分割では譲受企業がまだ存在していないので、譲渡企業と譲受企業が契約する代わりに、譲渡企業が「新設分割計画書」を提示します。

計画書の主な記載事項は、新設会社の商号や定款などの基本情報、承継される権利義務の詳細、対価の内容(株式か新株予約権かなど)、効力発生日などです。それ以外にも、共同新設分割の場合は対価の交付割合など、必要となる項目をもれなく記載します。

2.新設分割の契約に関する書面等を備え置く

新設分割契約を締結したら、その内容を株主や債権者に周知するために、事前開示書類を本店に備置します。備置する内容と期間は会社法で規定されているので、それに則って行わなければなりません。

本店まで閲覧しに行けない者のために、PDFファイルなどでネット上にも公開することが多いです。記載内容は、直近の決算報告の内容や債務の履行見込み、対価の設定の妥当性の説明などです。備置期間は、効力発生後6か月経過するまでとなっています。

3.株主総会で承認を得る

会社分割を実行するためには、株主総会で株主の了承を得なければなりません。新設分割では譲受企業がまだ存在しないので、譲渡企業のみ株主総会を行います

新設分割の承認は特別決議で行われ、3分の2以上の賛成で可決となります。開催期限は効力発生日の前日までです。

株主総会は原則として必要ですが、承継する資産が少ない場合は開催しなくてよいと定められています。これは「簡易分割」という制度で、適用されるのは承継する資産が会社の総資産の5分の1以下の場合です。

4.株主への通知または公告を行う

株主総会で新設分割が承認されたら、その日から2週間以内に株主に対してその旨を公告・通知します。公告・通知には、効力発生日、株主総会での決議日、および異議がある場合は申し出る旨などを記載します。

新設分割に反対する株主は、ここで株式買取請求権を行使できます。買取請求を受けた会社は、その株主の保有株式を「公正な価格」で買い取らなければなりません。

公正な価格がいくらかについては、株主と会社で協議して決めることになります。企業価値評価で理論的な価格を見積もり、それをもとに詳細を協議するのが一般的です。もし価格についてどうしても合意が得られない場合は、裁判所に申し立てて決着させることになります。

5.債権者保護手続きを行う

新設分割を行うと譲渡企業の資産が目減りするので、弁済能力が低下して債権者が不利益を被る可能性が考えられます。

また、譲渡した事業に関する債務の弁済義務が譲受企業に移ると、譲渡企業に請求できなくなるので、これが債権者にとって不利益となる場合があります。

これらの理由から、譲渡企業は債権者に対して公告・通知を行い異議のある債権者に対して弁済や担保の提供などを行わなければなりません。

会社分割の際の債権者保護手続きの流れについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割の際の債権者保護手続きの流れを解説!省略方法は?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

6.新設分割に関する書面等の備え置き

効力発生日を迎えたら、事後開示書類を本店に備置します。備置期間は効力発生後6か月間で、関係者は個別に交付を求めることも可能です。

記載するものは、効力発生日や承継した権利義務の内容などですが、株式買取請求や債権者異議手続きを行った場合は、その進捗状況なども記載します。

7.新設分割の登記をする

効力発生日を迎えたら、2週間以内にその内容を登記します。登記は譲受企業の本店所在地管轄の登記所で行い、譲渡企業も同じ登記所で同時に登記手続きをします。

譲渡企業の管轄の登記所が違う場合でも、まず譲受企業側の管轄の登記所に出向き、そこを介してしかるべき登記所へ登記する流れになります。

会社分割の手続き方法やスケジュールについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割の手続き方法やスケジュールを解説【吸収分割/新設分割】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

6. 新設分割の適格要件

新設分割では、適格要件という条件を満たすことによって、承継した資産の含み益が非課税(繰り延べ)になります。新設分割を行う際は、適格要件を満たすかどうかをチェックすることが重要です。

会社分割における適格要件とは

会社分割における適格要件とは、会社分割で承継した資産などに税金がかからない会社分割(適格分割)が認められるための要件のことです。

適格要件が満たされれば、資産の含み益が繰り延べされて課税対象から外れるのに加えて、引当金の引き継ぎなども認められます

適格要件は組織再編行為に対して設けられている制度です。そのため、新設分割以外にも、吸収分割や合併などでも活用することができます。

なぜ適格要件という制度があるのか

一般に資産を別な会社に承継させることは譲渡となるので、譲渡益に税金がかかります。しかし、例えば完全親会社が資産を自らの完全子会社に譲渡した場合、譲渡後もその資産は事実上完全親会社の支配下にあるので、譲渡はあくまで形式的なものです。

このような形式的な譲渡に税金がかかるのは適切でないという考え方から、適格要件という制度が設けられています。

支配関係の強さによって要件が変わる

前節で解説した適格要件の趣旨から考えると、適格要件は原則として、完全親会社と完全子会社の組織再編行為のみに適用されるべきものです。

しかし、完全な支配関係がなくても、資産の譲渡が事実上形式的とみなされるケースもあるという考え方から、完全親会社・完全子会社ではない組織再編行為にも適格要件が設定されています。

適格要件の種類は、支配率が100%の場合、50%超から100%未満の場合、50%以下の場合の3パターンです。譲渡が形式的であるかという趣旨の帰結として、支配率が下がるほど要件が厳しくなります

新設分割における支配率とは

新設分割は、対価を譲渡企業が受け取る分社型と、譲渡企業の株主が受け取る分割型があります。それに加えて、新設分割は分割前に譲受企業が存在しないという事情があるので、支配率について考える時は、誰と誰の間の支配率を意味するのかに注意しなければなりません。

分社型新設分割の場合は、譲渡企業と譲受企業の間の支配率を考えることになり、例えば、分割後に譲渡企業と譲受企業が完全親会社・完全子会社になれば、100%の支配率となります。

一般に適格要件では、組織再編行為を行う前の支配率と行った後にその支配率が維持されているかを問題にしますが、分社型新設分割では分割前の支配率というものはないので、分割後の支配率だけで判定します。

分割型新設分割の場合は、譲渡企業と譲受企業の間に支配関係は生じないので、代わりに譲渡企業の株主と、譲渡企業・譲受企業の間の支配率を考えることになります。

1.支配率が100%となる場合

分社型新設分割で譲渡企業が譲受企業の完全親会社となる場合、または分割型新設分割で譲渡企業の株主が譲受企業の全株式を保有する場合、支配率が100%となります。支配率が100%の場合の適格要件は、対価が株式のみであること、分割後も完全支配関係が継続することの2つです。

さらに、分割型新設分割の場合は、「按分(あんぶん)型要件」と呼ばれる、対価の支払いが株式の保有比率に応じている要件が必要になります。

つまり、例えば譲渡企業の株式をそれぞれ60%・40%保有している株主a・株主bがいる場合、分割の対価となる譲受企業の株式を、株主aに60%、株主bに40%交付するということです。

【支配率が100%の場合の適格要件】

  1. 対価は株式のみ
  2. 分割後も支配関係が継続される
  3. 按分型要件を満たす

2.支配率が50%超~100%未満の場合

支配率が50%超~100%未満の場合は、支配率100%の場合の適格要件に加えて、さらにいくつかの要件を満たす必要があります。

具体的には、分割する事業に関わる主な資産・負債が譲受企業に承継されること、分割する事業で働く従業員の80%以上が引き続きその事業で働くこと、分割した事業が分割後も引き続き営まれることの3つです。

【支配率が50%超~100%未満の場合の適格要件】

  1. 支配率が100%の場合の適格要件を全て満たす
  2. 事業の主な資産・負債が承継される
  3. 分割する事業の従業員の80%以上が承継される
  4. 分割した事業を引き続き営むことが見込まれる

3.支配率50%以下(共同事業)の場合

支配率50%以下(共同事業)の場合は、支配率が50%超~100%未満の場合の適格要件に加えて、さらにいくつかの要件を満たす必要があります。

具体的には、受け取った対価を継続保有すること、「経営参画要件」か「同規模要件」のどちらか1つを満たすこと、「事業関連性要件」を満たすことの3つが必要です。

経営参画要件とは、譲渡企業の役員の少なくとも1人が、譲受企業の役員として経営に参加することです。譲渡企業が複数いる共同新設分割の場合は、全ての譲渡企業がこれを満たす必要があります。

同規模要件とは、共同新設分割において、複数の譲渡企業が譲渡するそれぞれの事業の規模が、おおむね同じくらい(5倍以内)であることです。単独の新設分割ではこの要件は関係ありません。

そして、事業関連性要件とは、共同新設分割で譲渡する複数の事業が、それぞれ互いに関連性があることです。この要件も、単独の新設分割の場合は関係ありません。

【支配率50%以下(共同事業)の場合の適格要件】

  1. 支配率が50%超~100%未満の場合の適格要件を全て満たす
  2. 受け取った対価を継続保有する
  3. 「経営参画要件」か「同規模要件」のどちらか1つを満たす
  4. 「事業関連性要件」を満たす(共同新設分割の場合のみ)

会社分割の適格分割・非適格分割については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社分割の適格分割・非適格分割を解説!改正はされた?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

7. 新設分割の4つの活用方法

新設分割が活用される場面としては、主に以下の4つが挙げられます。

【新設分割の主な活用方法】

  1. グループ内で組織再編を行う場合
  2. 合弁会社を設立する場合
  3. 第二会社方式によって企業再生を図る場合
  4. 事業を切り出して譲渡する場合(株式譲渡を併用)

1.グループ内で組織再編を行う場合

新設分割は、吸収分割や合併などと同様に、グループ企業の組織再編のために活用されています。再編といってもさまざまな形態がありますが、例えば持株会社化成長部門の子会社化不採算部門の切り離しなどに新設分割が利用できます。

そのほか、グループ企業間で似たような事業が複数ある時に、新設分割でそれらを統合することも可能です。

2.合弁会社を設立する場合

共同新設分割は、合弁会社を設立するためによく利用されています。共同新設分割は、単なる業務提携より強固な関係が築けるのに加えて、資本提携と違って支配関係がなくお互いの独立性を保てる点がメリットです。

3.第二会社方式によって企業再生を図る場合

経営不振の会社を、「第二会社方式」という手法で再生させるために、新設分割が利用されることがあります。

第二会社方式とは、経営不振の会社が複数の事業を営んでいて、優良事業と不採算事業が比較的はっきり分かれている場合に利用される企業再生手法です。

第二会社方式では、まず優良事業を新設分割で別会社にして、元の会社には不採算事業だけを残し、新設会社の株式を対価として受け取ります。

そして、優良事業だけを承継した新設会社が利益を上げて株式の価値を高めた後、元の会社はその株式を売却して債務を弁済するという流れです。

4.事業を切り出して譲渡する場合(株式譲渡を併用)

事業の選択と集中などで複数事業のうちのいくつかだけを売却したい時、新設分割と株式譲渡を併用して実施することが多いです。

このスキームでは、まず売却したい事業を新設分割で新設会社に承継して、新設会社の株式を株式譲渡で売却する流れになります。

8. 新設分割の事例

この章では、実際に行われた新設分割の最近の事例から、主なものを紹介します。

1.Z会が教育測定研究所の新設分割会社をM&A

2024年3月、Z会はEduLabのグループ会社である教育測定研究所における新設分割によってM&Aを行いました。

新設分割する会社は、2024年7月に設立予定で、テストセンターの運営を目的とする新会社です。Z会グループは、総合教育グループとして通信教育事業をはじめ、教室事業、法人事業、語学・留学事業などさまざまな事業を展開しています。

教育測定研究所は、e-Learning事業、Solution事業などを行っています。

今回のM&Aにより、両社が持つノウハウを共有することで事業の拡大と安定的運営の確保を目指します。

2.SMNが新設分割で子会社のWEB関連ソリューション事業を分社化

2022年5月に、SMN株式会社が、子会社であるSMT株式会社のWEB関連のソリューション事業を新設分割しました。効力発生日は7月の予定です。

新設会社の株式をSMN代表取締役社長の宮口文秀氏が譲受する、マネジメントバイアウト(MBO)の事例となっています。

SMNはソニーのグループ会社で、インターネット広告とその関連事業を手がけています。SMTは、インターネット広告などのソリューション事業を手がける企業です。本M&Aは、グループ企業の経営効率化を目指した組織再編の一環となっています。

3.HashPortが新設分割によりHashBankを設立

2022年4月に、株式会社HashPortが会社分割で株式会社HashBankを設立しました。HashPortは、資産の取引などを安全に行うための技術(ブロックチェーン)や、関連分野のコンサルティングなどを手がける企業です。

この新設分割でHashBankへ承継した事業は、暗号資産の保管場所を提供する「暗号資産ウォレット」の事業で、ほかにも新規事業を展開していく予定としています。

4.アイドマ・ホールディングスがターゲットメディアの新設分割会社を完全子会社化

2022年4月に、株式会社アイドマ・ホールディングスが、マーケメディア株式会社の全株式を取得し完全子会社化することを決定しました。完全子会社化は2022年6月に行う予定です。

マーケメディアは、ターゲットメディア株式会社が新設分割で設立した会社で、ターゲットメディアのメディア事業を承継しています。

アイドマ・ホールディングスは、経営や営業などに関するツールを提供している企業で、求人・転職サービスやM&Aプラットフォームなども手がけています。

そして、ターゲットメディアは、BtoBマーケティングのコンサルティングや、メディア運営を手がける企業です。

マーケメディアの事業内容がアイドマ・ホールディングスと親和性があり、シナジー効果が見込めるとしています。

5.ミンカブ・ジ・インフォノイドがBANQの新設分割会社を子会社化

2022年5月に、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが、株式会社WEB3 WALLETを子会社化しました。第三者割当増資により、51.2%の議決権を取得するスキームとなっています。

WEB3 WALLETは株式会社BANQが新設分割で設立した会社で、複製できないデジタルデータ(非代替性トークン)の事業を承継しました。

ミンカブ・ジ・インフォノイドは、金融機関などに対するソリューション事業や、投資関連メディアの運営などを手がけています。BANQは、ブロックチェーンやフィンテックに関する事業を手がける企業です。

ミンカブ・ジ・インフォノイドのWeb3ソリューション事業への参入が、本M&Aの目的となっています。

6.ダイヤ工業がペット商品事業を新設分割で承継

2022年4月に、ダイヤ工業株式会社が、ペット商品事業を新設分割で新会社に承継しました。

新設会社の商号は株式会社anifullで、犬用のコルセットやサポーターを始めとする、動物用介護用品のメーカーとなります。

ダイヤ工業はダイヤホールディングス株式会社のグループ企業で、主な事業は接骨院などに対するコンサルティングや、体を使う労働をサポートする運動器の製造・販売などです。

動物用介護用品事業を分社化することでより機動的な経営を実現し、オーダーメイドサポーターの開発なども目指します。

7.シッピーノがEC事業などを新設分割で承継

2022年4月に、シッピーノ株式会社が、EC関連ツール事業などを新設分割で新会社「テープス株式会社」に承継しました。

シッピーノはEC業者向けの自動出荷ツールなどを手がける企業で、承継した事業は、プログラミングを使わずにEC関連ツールを開発できるEC特化ノーコードツール「テープス」の開発・販売です。

テープスの事業を独立させることで機動的な経営を実現するとともに、統一されたブランド名のもとで事業を促進していきます。

8.凸版印刷が新設分割で半導体関連事業の会社を設立

2022年4月に、凸版印刷株式会社が、新設分割で半導体用フォトマスク事業を、新会社「株式会社トッパンフォトマスク」に承継しました。

トッパンフォトマスクは、投資ファンドのインテグラル株式会社との合弁会社という形で設立され、株式保有割合は凸版印刷が50.1%、インテグラルが49.9%です。

凸版印刷は印刷業の大手ですが、半導体関連製品やセキュリティシステムなどの他事業も積極的に展開しており、半導体用フォトマスク事業を独立させることで競争力を強化し、拡大する半導体事業でのシェア拡大を狙います。

9.ZIZAIがアミューズメント事業以外の全事業を新設分割会社に承継

2022年3月に、株式会社ZIZAIが、新設分割でアミューズメント事業以外の全事業を、新設会社「株式会社MEDIX」に承継しました。さらに、合同会社DMM.comが、ZIZAIの全株式を取得して完全子会社化しました。

MEDIXはインターネット広告やBtoBマーケティングなどの事業を承継し、ZIZAIはパチンコ・パチスロ情報サイト「スロパチステーション」の運営事業などを引き続き手がけます。

DMM.comはウェブコンテンツの総合配信サイトなどの運営のほか、株やFX、自然エネルギーなど多様な事業を展開する企業です。今後スタンダードになっていくと考えられる動画メディア事業の強化などが、本M&Aの目的となっています。

10.ジーニーがマルジュの新設分割会社を完全子会社化

2022年2月に、株式会社マルジュが新設分割でSaaS関連事業を新会社に承継するとともに、新会社の株式を株式会社ジーニーが取得して完全子会社化しました。

マルジュはアフィリエイト広告などのSaaS型ツールを開発しているメーカーで、ジーニーは広告プラットフォームやマーケティングSaaSなどを手がける企業です。

広告プラットフォームやマーケティングSaaS事業を拡大することで、グループ全体のさらなる成長を目指します。

11.インプレスホールディングスとメディアドゥが新設分割で合弁会社を設立

2022年1月に、株式会社インプレスホールディングスと株式会社メディアドゥが、共同新設分割でプリントオンデマンド(POD)事業の新会社「株式会社PUBFUN」を設立しました。PUBFUN社株式の保有比率は、インプレスホールディングスが51%、メディアドゥが49%となります。

インプレスホールディングスは電子出版の会社などをまとめる持株会社で、メディアドゥは電子書籍を流通させる取次事業の大手です。両社がそれぞれ手がけていたPOD事業を統合することで、POD市場でのシェア拡大を目指します。

12.SKIYAKIがエンターメディアの新設分割会社を完全子会社化

2021年12月に、株式会社エンターメディアが新設分割で新会社「株式会社エンターメディアFC」を設立し、その全株式を株式会社SKIYAKIが取得して完全子会社化しました。

エンターメディアFCが承継したのは、エンターメディアが運営していたファンクラブ事業です。エンターメディアは、アーティストのファンクラブやサイト、野外フェスなどの運営を手がけています。

SKIYAKIは、クリエイターのためのプラットフォームサービス「Bitfan」の提供や、オンラインチケットサービス、音楽情報メディアなどを手がける企業です。

ファンクラブ事業のユーザーにSKIYAKIのプラットフォームを提供するなど、両社の資源を活用した事業拡大を目指します。

13.信越ポリマーが昭和電工マテリアルズの新設分割会社を完全子会社化

2021年8月に、昭和電工マテリアルズ株式会社が、新設分割で食品包装用ラッピングフィルム事業を承継するための新会社を設立し、さらにその会社の株式を信越ポリマー株式会社が取得して完全子会社化しました。

昭和電工マテリアルズはフィルムや樹脂、半導体の材料などを手がける化学メーカー、信越ポリマーは、携帯電話のボタンを始めとする、塩化ビニルやケイ素樹脂などの製品を手がける化学メーカーです。

食品包装用ラッピングフィルム事業の強化が、本M&Aの目的となっています。

14.イオンディライトがDNPフォトイメージングジャパンへKJSを新設分割(分社型)で譲渡

2020年6月に、イオンディライト株式会社が、新設分割で証明写真機事業を新会社に承継したうえで、その全株式を株式会社DNPフォトイメージングジャパンが取得して完全子会社化しました。

証明写真機事業は、イオンディライトの子会社であるKJS株式会社が営んでいる事業です。イオンディライトは、設備管理・清掃・警備・内装工事などを幅広く手がけています。

DNPフォトイメージングジャパンは大日本印刷の子会社であり、証明写真機やプリンターなどを手がける企業です。イオンディライトはグループの再編を進めており、本M&Aもその一環となります。

15.古河電工とNTTエレクトロニクスが共同新設分割で2社を設立

2016年12月に、古河電気工業株式会社とNTTエレクトロ二クス株式会社が、共同新設分割で合弁会社2社を設立しました。2社の合弁会社は、それぞれ平面光波回路と光半導体を手がけるメーカーとなります。

古河電気工業は光ファイバーや電線などのメーカーで、NTTエレクトロ二クスは集積回路やダイオードなどのメーカーです。

クラウドサービスの普及などに伴う光部品の需要に対応し、安定した生産体制を築くことが本M&Aの目的となっています。

16.アークランドサービスが新設分割でレストラン事業を分社化

2016年2月に、アークランドサービス株式会社が、レストラン事業を新設分割で分社化しました。

分割した事業は2つで、とんかつチェーン「かつや」事業を株式会社かつやに、イタリア料理店「Cento per Cento」事業をフィルドテーブル株式会社にそれぞれ承継しました。

また、本M&Aにともない、アークランドサービスは「アークランドサービスホールディングス株式会社」に商号変更しています。

アークランドサービスホールディングスは、「かつや」「江戸前天丼はま田」など、さまざまな飲食チェーンを展開している企業です。

グループ企業間での経営責任の明確化意思決定の迅速化などが本M&Aの目的となっています。

9. 新設分割などM&Aの相談はM&A総合研究所へ

新設分割を始めとするM&Aをご検討中の方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。多数の成約実績を持つアドバイザーが、クロージングまで親身になってフルサポートさせていただきます。

親族に後継者がいない、資金を得て次の事業に挑戦したい、会社を売却してセカンドライフを楽しみたい、こういった悩みを解決する手段としてM&Aは非常に有効です。

当社は全国のさまざまな業種の中堅・中小企業のM&Aを手がけており、高いシナジーが期待できる相手企業を幅広く探索し、より満足度の高いM&A実現を目指しています。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。新設分割を始めとするM&Aに関して、無料相談をお受けしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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10. まとめ

新設分割には分社型・分割型の2種類があり、適格要件を満たすことで税金がかからなくなるなど、やや複雑なスキームとなっています。

新設分割の活用法やメリット・デメリットを理解して、経営戦略に有効に活用できるよう知識を得ておくことが大切です。

【会社分割の種類】

  1. 新設分割
  2. 吸収分割

【新設分割の種類】
  1. 分社型新設分割
  2. 分割型新設分割
  3. 共同新設分割

【吸収分割の種類】
  1. 分社型吸収分割
  2. 分割型吸収分割

【新設分割のメリット】
  1. 資産や契約上の地位をすべて引き継げる
  2. 資本準備金や資本剰余金の引継ぎが可能
  3. 要件を満たせば資産の含み益に課税されない

【新設分割のデメリット】
  1. 税務の取り扱いが煩雑になる
  2. 譲受側企業が非上場になる場合は株式の現金化が困難
  3. 会社法・労働契約承継法に基づく手続きが必要

【新設分割の手続き・流れ】
  1. 新設分割契約を締結する
  2. 新設分割の契約に関する書面等を備え置く
  3. 株主総会で承認を得る
  4. 株主への通知または公告を行う
  5. 債権者保護手続きを行う
  6. 新設分割に関する書面等の備え置く
  7. 新設分割の登記をする

【支配率が100%の場合の適格要件】
  1. 対価は株式のみ
  2. 分割後も支配関係が継続される
  3. 按分型要件を満たす

【支配率が50%超~100%未満の場合の適格要件】
  1. 支配率が100%の場合の適格要件の全てを満たす
  2. 事業の主な資産・負債が承継される
  3. 分割する事業の従業員の80%以上が承継される
  4. 分割した事業を引き続き営むことが見込まれる

【支配率50%以下(共同事業)の場合の適格要件】
  1. 支配率が50%超~100%未満の場合の適格要件を全て満たす
  2. 受け取った対価を継続保有する
  3. 「経営参画要件」か「同規模要件」のどちらか1つを満たす
  4. 「事業関連性要件」を満たす(共同新設分割の場合のみ)

【新設分割の主な活用方法】
  1. グループ内で組織再編を行う場合
  2. 合弁会社を設立する場合
  3. 第二会社方式によって企業再生を図る場合
  4. 事業を切り出して譲渡する場合(株式譲渡を併用)

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