2023年11月01日更新
【55歳・56歳・57歳】早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金・貯蓄は?【実例まとめ】
55歳・56歳・57歳という定年が目前に迫る年齢で、早期退職・早期リタイアを考える人は少なくありません。本記事では、早期リタイアに必要な資金・貯蓄についてまとめました。55歳・56歳・57歳それぞれの年齢における早期リタイアの資金および実例を紹介します。
目次
- 早期退職(アーリーリタイア)とは?
- 早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金を決めるのは?
- 早期退職(アーリーリタイア)におけるメリットとデメリット
- セミリタイアと完全リタイアの違い
- 早期退職(アーリーリタイア)できる人の特徴
- 早期退職(アーリーリタイア)を実現するまでの流れ
- 55歳で早期退職(アーリーリタイア)したら?
- 56歳で早期退職(アーリーリタイア)したら?
- 57歳で早期退職(アーリーリタイア)したら?
- 早期退職(アーリーリタイア)が失敗するケース
- 早期退職(アーリーリタイア)を成功させるポイント
- 早期退職(アーリーリタイア)の資金は1歳違っても変わってくる
- 年代別に見る早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金と資産
- 早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金のまとめ
1. 早期退職(アーリーリタイア)とは?
早期退職とは早期リタイアやアーリーリタイアなどとも呼ばれており、一般的に定年とされる60歳~65歳を迎える前に仕事を辞めることです。
東京商工リサーチの調査「2022年(1〜6月)上場企業『早期・希望退職』実施状況」によると、早期・希望退職者を募集した上場企業は25社(募集人数4,515人)で、新型コロナ感染が拡大した2020年以降では、社数、募集人数ともに減少となりました。
ただし今後、長引く資源高や円安加速を背景に、早期・希望退職者の募集が増勢に転じる可能性もあるでしょう。
昨今、企業の経営者や役員などの地位に就いていた人が行うケースも増えている早期退職ですが、具体的にどのように行っていけば良いのかわからない人も少なくありません。そこで今回は、早期退職とはどういうものなのか、必要な資金などのケースを交えて紹介します。
FIREとの違い
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、早期に経済的な自立を目指してリタイアする考え方です。
これまで、アーリーリタイアするためには、残りの人生で使うお金を全て貯めて、そのお金を使いながら暮らしていく方法が考えられていました。この考え方では、お金を投資して増やすことは考慮していませんでした。
ですので、非常に高い収入がない限り、リタイア後も安心して生活するための資金を準備するのは難しかったです。多くのサラリーマンにとって、早くリタイアすることは遠い夢のようなものでした。
FIREは、一生分の生活費を全て貯めるのではなく、適切な資産を貯めてそれを賢く運用することで、運用から得られる収益で生活する考えが基本です。つまり、資産が一定の額に達したら、その収益だけで生活ができるようになり、早めにリタイアすることができます。実は、一般的な仕事を持つ人でも、しっかりと節約し貯金すれば、この目標は達成可能です。
2. 早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金を決めるのは?
早期退職および早期リタイアを考えたときに、生活に必要な資金を決める要素は何でしょうか。ここでは、早期退職に必要となる貯蓄などの資金について解説します。
早期退職(アーリーリタイア)後の生活費
早期退職および早期リタイアを決断した場合、生活費は必要な資金を決めるうえで最も重要な要素です。いいかえると、必要となる生活費が見とおせないまま、早期退職に踏み切るのは非常に大きなリスクがあります。
まずは生活を維持する資金を確保できているのか、貯蓄額などを十分に見つめ直しましょう。
年齢
次に紹介する要素は年齢です。早期リタイアする年齢によって、必要となる貯蓄などの資金は大きく変動します。
年齢が若ければ若いほど、必要となる貯蓄などの資金額は増加するのです。本記事のテーマは55歳・56歳・57歳ですが、これらの年齢を見据えて若い頃から貯蓄をしておくと早期リタイア生活の先行きを見とおせます。
早期退職(アーリーリタイア)後の収入
早期退職および早期リタイアを行った場合、その後の収入を確保する方法についても検討する必要があります。
収入を得られる手段の有無によって、早期退職に必要な貯蓄などの資金は大きく変動するためです。ここでは、以下の項目について考えていきます。
- 退職金
- 年金
- 不労所得
退職金
まずは退職金のみを収入確保の手段とする場合です。このケースでは、退職金の額にもよりますが、余裕を持った貯蓄などの資金が必要です。
年金
年金を収入確保の主な手段とする方法もあります。しかし、年金受給までに年数が必要である点と年金の受給金額のみでは生活が苦しくなるおそれがある点を踏まえると、こちらもある程度の資金が必要です。
不労所得
最後に不労所得についてです。不動産などで不労所得を得られる場合には、月々の所得額によりますが必ずしも多くの資金が必要となりません。働いていた頃よりも収入は減りますが、生活するために必要な収入を得られれば十分に早期リタイアを実現可能です。
3. 早期退職(アーリーリタイア)におけるメリットとデメリット
早期退職にはメリットとデメリットの双方が存在するため、実践前には必ず確認しておく必要があります。
メリットとデメリットを把握しておかないと、「早期退職したのにまた働かなければならない…」「節約しないと生活すらままならない…」などのトラブルが生じかねません。それでは、早期退職のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
早期退職(アーリーリタイア)のメリット
早期退職の最も大きなメリットは、自由な生活を送れる点です。会社の仕事や人間関係の悩みがなくなるため、余計なストレスを感じることがありません。
会社とプライベートの自分に不一致を感じていた人は、本来の姿を取り戻せる感覚が得られます。時間的・金銭的に自由を得られるため、好きなことを好きなだけすることが可能です。
長期的に趣味やレジャーに挑戦できるだけでなく育児を手伝うなど、早期退職・早期リタイア後は何をしても自由です。もともと早期退職を実現する人の中にはハードワークをして生活資金を貯めていた人も多いですが、その苦労から解放されるために思いきり自由な生活を楽しめるでしょう。
早期退職(アーリーリタイア)のデメリット
早期退職のデメリットには、金銭的なリスクと精神的な不安の2つがあります。それぞれのデメリットについて、順番に見ていきましょう。
金銭的なリスク
早期退職および早期リタイアには金銭的なリスクが伴います。ある程度の収入を確保したうえで行うセミリタイアであれば金銭的な不安は軽減されますが、仕事をしていた頃より収入が減るため資金維持についてシビアに考えなければなりません。
早期退職・早期リタイア後に長い期間を経て資金が底をついてしまうと、再就職に成功する可能性は非常に低いです。生活資金が底をつく可能性がある場合には、早期退職を行うべきではないといえます。
精神的な不安
早期退職・早期リタイアには、生活の中に生きがいがなくなるといった精神的な不安も伴います。早期退職をきっかけに人間関係がなくなってしまい、孤独を感じるようになったケースも多いです。
人によっては疎外感を覚えて、孤立してしまうといった負の連鎖に悩まされてしまいます。周りとのつながりをなくして孤独感から精神的な不安を覚えやすい点もデメリットの1つとして把握しながら、早期退職・早期リタイア後のコミュニティ形成に関して事前に検討しましょう。
4. セミリタイアと完全リタイアの違い
早期リタイアには、大きく分けて「セミリタイア」と「完全リタイア」の2種類があります。
セミリタイアとは、それまでの仕事を退職するものの、何らかの収入を得ながら生活を送ることです。その一方で完全リタイアは、あくまでも貯蓄のみに頼り、それ以外の方法で資金を調達しないリタイアを指します。
完全リタイアの方がより多くの資金を準備しなければなりません。セミリタイアと完全リタイアでは、貯蓄や資金の必要額が大きく変動します。
5. 早期退職(アーリーリタイア)できる人の特徴
早期退職できる人の2つの特徴を紹介します。
投資やM&Aなどで資産を貯めた人
早期退職で必要なのは、働かなくても生活を送れる十分な貯蓄や資産が必要でしょう。実際に50代でアーリーリタイアを実現させた人は、収入を得る方法は株式投資や不動産投資、M&Aなどで資産を貯めて引退を決意している人が多いです。
例えば早期退職を実現したDさんは、株式投資で生涯賃金の資産形成ができたことで会社を退職しました。仕事に費やしていた時間を自由に使えるようになったため、新しいことに挑戦したり、株主投資の講演を引き受けたりしながら家族と暮らしています。
不労所得を得ている人
貯金だけでなく安定的な不労所得があれば、早期退職をしても安心して暮らせます。不動産収入など不労所得として毎月安定した収入があれば、早期退職を目指せる可能性が高いでしょう。
例えばさまざまな事業を手掛けるFさんは、不動産投資で月数万円の収入があるため、会社を退職し、早期退職を実現させました。しかし完全にリタイアしたわけではなく、清掃業や訪問マッサージ業、太陽光発電設備などの事業も運営するなど、起業家としても事業を行っています。
6. 早期退職(アーリーリタイア)を実現するまでの流れ
早期退職を実現するまでの流れは、主に2つのステップがあります。早期退職を目指す場合には、あらかじめ綿密な計画を立ててから行動する必要があるでしょう。
必要資金の計算
まずはリタイア後の生活費を想定し、必要資金額を計算しましょう。どこで、どのような生活を送りたいかによって早期退職後の生活費は変動します。家賃や食費など毎月かかる固定費、税金など、会社員時代とは変わる点に注意が必要です。
例えば、社会保険料の種類や金額が変わり、保険料負担が増える可能性があるため、健康保険料や年金保険料なども事前に確認しましょう。
子どもがいる方は、教育費など家族のライフイベントも考慮しなければいけません。ライフイベントごとにかかる費用も早期退職後の資産運用によってまかなえるのか、あるいは別途資金を用意するのかを事前に計画する必要があります。
早期退職を実現するための指標である、「年間支出の25倍の資産」と「4%ルール」を活用します。「年間支出の25倍の資産」とは、例えば年間支出が400万円の場合、25倍の1億円の資産があれば生活できるといった意味です。
「4%ルール」とは、貯蓄に対して生活費を4%以内に抑えると資産が目減りしないといったルールです。1億円の資産がある場合、生活費を年間400万に抑えれば早期退職が可能となるでしょう。
投資の開始
必要な資産額を計算したら、その必要資金額を用意できるように投資をスタートします。
早くから投資をはじめ長期的な視点に立って運用すれば、効率良く増やせるでしょう。投資には株式や投資信託、不動産などさまざまです。投資の特徴やリスク度合いは、投資の種類ごとに違います。
過度なリスクを取らないように分散投資を心掛け、投資である以上、損失が出て資産が減る可能性がある点にも注意する必要があります。
積立投資のすすめ
早期退職を目指す人におすすめの投資方法が、積立投資です。積立投資は少額から手軽にはじめられるなど、投資初心者でもはじめやすい点が大きな特徴で、株式や投資信託といった金融商品が当てはまります。
まとまった金額を用意する必要もなく、投資をはじめる際のハードルはそれほど高くありません。長期間に渡って投資を継続すれば複利効果で効率良く資産を形成できるでしょう。
7. 55歳で早期退職(アーリーリタイア)したら?
ここからは、ケースをもとに早期リタイアのメリット・課題について解説します。まずは、55歳で早期リタイアしたケースです。
実例紹介
まずは55歳で早期リタイアを行った男性Aさんのケースです。早期退職の理由は、持病による通院と子供たちとの時間的余裕を作るためでした。
早期リタイア後は趣味である旅行もしたかったため、セミリタイアとしてアルバイト・資格取得なども視野に入れながら必要な資金を検討しています。そこで、早期退職割増金と投資信託による収入を生活費に充てる計画のもと、Aさんは55歳で早期リタイアを実行しました。
生活費
早期リタイア実施前、Aさんは55歳から60歳までの生活費を27万円と見積もっています。しかし、実際に早期リタイアしてみると、27万円では賄えませんでした。理由は、想定よりも行動範囲が広かった点、およびお酒代を含めていなかった点にあります。
55歳のAさんは、時間的余裕があり自由に暮らせるがあまり、当初想定していた金額以上のお金を使ってしまいました。今後は、年金受給に向けて生活費を抑えながら生活すると語っています。
リタイア後の満足度
早期リタイアにより、子供だけでなく親との時間も持てるようになりました。金銭面では計画どおりにいきませんでしたが、家族との絆が深まったことで満足感を得ています。
資金に関するポイント
ここでは、55歳で早期リタイアを実行する場合の資金面で必要なポイントについて解説します。最も大切なポイントは、Aさんのケースにもあるように年齢的な若さによるレジャー費用などの検討です。まだまだ動いて遊べる年齢であるからこそ、自由な時間に資金を浪費してしまいます。
お酒をたしなむ場合には、仕事をしていた頃以上に飲酒する機会が増えがちです。早期リタイアをすると、時間的拘束がなく、いつでも好きなときにお酒を飲めてしまいます。しかし、ゆとりのある生活を目指すのであれば、資金面でもゆとりが必要です。
生活パターンによる必要額
55歳の早期リタイアについて必要とされる資金額をまとめました。ここでは、厚生労働省が発表した「平成30年簡易生命表の概況」より、2018年時点の日本人の平均寿命(女性87.32歳・男性81.25歳)の平均値(84.285歳)を取って、55歳から84歳までの生活費を算出しています。
最低限
まずは55歳で早期リタイアする場合に、最低限必要な生活費の金額を紹介します。居住環境にもよりますが、毎月22万円を最低限の生活費と考えると、55歳で早期リタイアした後に最低限必要な金額は約7,700万円です。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがカギとなります。
少しゆとりがある生活
次に55歳で早期リタイアして少しゆとりがある生活を過ごす場合です。これも住んでいる環境によりますが、毎月の生活費を30万円として考えると、55歳で早期リタイアした後に必要な金額は約1億500万円となります。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
余裕を持つなら
最後は、55歳で早期リタイアしてゆとりがある生活を過ごす場合です。ゆとりある生活として毎月35万円程度の生活費を見込むとすれば、55歳で早期リタイアした後に必要な金額は約1億2,200万円となります。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
8. 56歳で早期退職(アーリーリタイア)したら?
次は56歳の年齢で早期リタイアするケースです。ここでは、56歳で早期リタイアした男性Bさんのケースをもとに紹介します。
実例紹介
56歳でIT会社を早期退職したBさんは、完全リタイアは目指さずにタクシードライバーとして第2の人生を歩み始めます。ここでBさんが選んだのは、タクシーの中でも介護タクシー分野です。
56歳で早期退職をした後はタクシーに必要な第二種運転免許および介護ヘルパー資格を取得して、介護タクシーの世界へ飛び込みました。
想定外だったのは需要の多さです。思いのほか介護タクシーの需要は高く、少し稼げれば良いと思っていたBさんには重労働となってしまいました。
時間に余裕を持つ生活どころか、忙しい毎日を送っています。
生活費
介護タクシードライバーとしての仕事が思いのほか忙しくなったため、56歳で早期退職したBさんの生活費は潤う結果となりました。しかも生活費において困ることはありません。
リタイア後の満足度
56歳で早期退職をしたものの介護タクシードライバーとしての仕事で時間的余裕がなくなったBさんですが、「ありがとう」の言葉にやりがいを感じています。IT会社では人と触れあう機会が少なかったため、人との触れ合いにより満足感を得られたのです。
資金に関するポイント
介護タクシーの需要の高まりに驚くBさんでしたが、合わせて予想外だったのはタクシーの維持費でした。石油高騰などを背景に、経費が予想以上にかさんでしまいます。このような環境変化による支出の増加は、早期リタイアのリスクとして大いに考えられるのです。
生活パターンによる必要額
56歳の早期リタイアについて必要とされる資金の額をまとめました。ここでも、厚生労働省が発表した「平成30年簡易生命表の概況」より、2018年時点の日本人の平均寿命(女性87.32歳・男性81.25歳)の平均値(84.285歳)を取って、56歳から84歳までの生活費を算出しています。
最低限
まずは56歳で早期リタイアした場合に、最低限必要となる生活費についてです。55歳のケースと同様に毎月22万円を最低限の生活費と考えると、56歳で早期リタイアした後に最低限必要な金額は約7,400万円となります。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
少しゆとりがある生活
次に56歳で早期リタイアして少しゆとりがある生活を過ごす場合です。生活費として毎月30万円かかるとすると、56歳で早期リタイアした後に必要な金額は約1億100万円となります。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
余裕を持つなら
最後は56歳で早期リタイアしてゆとりがある生活を過ごす場合です。ゆとりある生活を送るために毎月35万円程度の生活費を見込むとすれば、56歳で早期リタイアした後に必要な金額は約1億1,800万円となります。
この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
9. 57歳で早期退職(アーリーリタイア)したら?
最後に紹介するケースは、57歳に早期リタイアする場合です。ここでは、57歳で早期リタイアした男性Cさんについて紹介します。
実例紹介
商社を57歳で早期退職したCさんは、早期リタイアをきっかけにタイへ移住しました。40代の頃から早期退職を考えていたCさんは、57歳の時に貯蓄が1,700万円程度あったといいます。
早期退職にあたり退職金を2,800万円受け取りました。それでも早期リタイアするうえで、決して十分な金額とはいえません。
若い頃から57歳で早期退職をするシミュレーションをしていたCさんですが、現在はタイで無職です。しかし、貯蓄を切り崩すのみで十分に生活できています。
生活費
57歳で早期リタイアをしたCさんの場合、物価の安い東南アジア地域に生活の拠点を移したため、月に10万円の生活費で十分に足りています。
リタイア後の満足度
日本で働いていたときには考えられないほどの自由な時間を持て余しているCさんですが、自分自身で好きなように時間を使える現在の生活にとても満足しています。
ただし、Cさんが早期リタイアに成功した要因の1つに、独身である状況も少なからず関係しているでしょう。妻や子供がいる場合には、早期リタイアとは違った選択肢も十分にあり得ました。
資金に関するポイント
早期退職制度を利用したため、通常の退職金よりも多くの資金を調達できました。Cさんは40代の頃から早期リタイアに向けて準備を重ねています。
リタイアに向けて計画性を持って行動できるかどうかが、早期リタイアの成否を大きく分けるポイントの1つです。
生活パターンによる必要額
60歳を定年とすると、まさに定年間近である57歳の早期リタイアで必要となる資金の額をまとめました。
ここでも、厚生労働省が発表した「平成30年簡易生命表の概況」より、2018年時点の日本人の平均寿命(女性87.32歳・男性81.25歳)の平均値(84.285歳)を取って、57歳から84歳までの生活費を算出しています。
なお、Cさんはタイに移住して月に10万円の生活費で暮らしていますが、ここでは日本で生活したものとして算出しました。
最低限
まずは57歳で早期リタイアした場合に、最低限費用な生活費です。これまでと同様に毎月22万円を最低限の生活費と考えると、57歳で早期リタイアした後に必要な金額は約7,100万円となります。
この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
少しゆとりがある生活
次に、57歳で早期リタイアして少しゆとりがある生活を過ごす場合です。毎月30万円を生活費として考えると、57歳で早期リタイアした後に必要な金額は約9,700万円となります。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
余裕を持つなら
最後は57歳で早期リタイアしてゆとりがある生活を過ごす場合です。ゆとりある生活を送るために毎月35万円程度の生活費を見込むとすれば、57歳で早期リタイアした後に必要な貯蓄額は約1億1,130万円となります。この全体額のうち、どれほどの額を貯蓄・退職金・不労所得などで賄えるかがポイントです。
10. 早期退職(アーリーリタイア)が失敗するケース
早期退職では、資金が底をついて失敗するケースも少なくありません。「想定よりも生活費がかかってしまった」「資産運用に失敗した」などの理由により、生活に必要な資金が底をついてしまうおそれがあります。
再就職を希望しても年齢を重ねてしまっているために仕事が見つかりにくく、そのまま生活が破綻する可能性は十分に考えられるのです。
なお、生活が破綻してしまうケースは、豊富な資金を持っていても起こり得ます。不労所得の獲得を目的とする資産運用に失敗すると資産は大幅に減ってしまうほか、浪費が激しいと資金はいくらあっても足りません。資金が底をつくことを防ぐためにも、資金と支出のバランスを常に考えておくべきです。
11. 早期退職(アーリーリタイア)を成功させるポイント
ここでは、失敗ケースを踏まえて、早期退職・早期リタイアを成功させるポイントを紹介します。
- 思わぬ事態が発生したときの対策を練っておく
- 生活費をできる限り抑える
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
①思わぬ事態が発生したときの対策を練っておく
必要最低限の生活費の金額のみを見ると、早期退職・早期リタイアは一見簡単そうに感じるケースもありますが、早期退職をして早期リタイア生活を開始すると想定外の出費が発生するケースが多いです。
早期リタイア後の生活を安心して送るには、家族構成の変化や医療費に関するリスクなどを想定したうえで、余裕を持って資金を準備しなければなりません。ここでは資金の確保だけでなく、いざとなったときに頼れる親族や相談先などの確保も大切です。
②生活費をできる限り抑える
資金の確保と合わせて生活費の削減も、早期リタイア後の生活を成功させるうえで同様に大切なポイントとなります。たとえ即座に資金が底をつきてしまうといったケースでなくとも、貯蓄額が徐々に減少していく様子を見ると不安・ストレスを感じてしまう人は多いです。
こうした不安・ストレスなどの不安を抱えたままでは、早期リタイア後の生活を悠々自適に過ごしているとはいえません。早期退職をして早期リタイア生活を送る際には、生活費をできる限り抑えながら、資産にゆとりがある状態をキープすることが望ましいです。
12. 早期退職(アーリーリタイア)の資金は1歳違っても変わってくる
早期リタイアを考える場合、年齢によって必要となる資金の額は大幅に変わります。ここでは、いかなる部分で必要な資金の額に違いが出てくるのか、以下の項目に分けてまとめました。
- リタイアする年齢と年金の受給金額は連動
- 退職金額の違い
- 年金受給までの年数の違い
それぞれの項目について詳しく解説します。
①リタイアする年齢と年金の受給金額は連動
リタイアする年齢によって年金の受給金額は変動するため、早期リタイアで必要となる資金の額も変わるでしょう。
日本経済新聞が提示する一例によると、2歳年下の妻を持つ男性(入社以来の標準報酬月額の平均が44万円)が55歳で早期退職した場合、夫婦とも平均寿命まで生きたとすると年金の減収総額は約640万円になるといった試算が挙がっています。
早期退職の年齢が若くなればなるほど、大きく差が開いてしまうのです。そして年金受給額の変動に伴って、早期リタイアで必要となる資金の金額も変わる点には注意しなければなりません。
②退職金額の違い
次に退職金額の違いについてです。基本的に、1つの会社に勤めた年数に比例して退職金は増加します。会社の規定によりもらえる金額には差が生じますが、年齢と金額の関係性はいかなる会社でも変わらず、年齢が若いほど受け取れる退職金は少なくなってしまうでしょう。
③年金受給までの年数の違い
早期リタイアする年齢によって、年金の受給額だけでなく、年金を受給できるまでの年数も変動します。つまり、早期リタイアする年齢が若いほど、年金受給までに多くの年数がかかるのです。
早期リタイア生活を送る資金を考えるとき、年金受給までの期間をもとに必要な資金を計算するため、必然的に若いほど早期退職に必要な貯蓄などの資金は増額します。
13. 年代別に見る早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金と資産
早期退職・早期リタイアにおける資金は個人の生活プランだけでなく、年代によっても変動します。ここでは、30代・40代の年代別に早期退職を行った場合に必要な資金をまとめました。
30代で早期退職(アーリーリタイア)を行う際の貯蓄と資産
30代で早期退職をする場合に必要となる資金は非常に多いです。もともと、30代での早期退職はリスクが高いといえます。まだ働き盛りの年代であるほか年金受給が始まるまで長い期間があるタイミングでの早期退職は、その後の生活に支障が出ない強い自信がない限り実行は困難です。
完全リタイアを目指すのであれば、基本的に1億円以上の貯蓄がないと不安になります。そのうえで、資産運用などで資金を増やす選択肢も検討しなければなりません。
たとえセミリタイアする場合であっても、長期休暇を取っても生活できるだけの手腕が必要です。最低でも5,000万円以上の貯蓄を確保しておかなければ、生活は困難といえます。
実家暮らしをして住居費を節約したり、徹底した節約で生活コストを抑えたりする方法もありますが、「自由を求める」といった早期退職の目的を考えると本末転倒といわざるを得ません。
投資で資産を増やす方法もありますが、収入が限られている状態でリスクの高い手段により資金を得ようとすると、失敗時の穴埋めが非常に困難です。以上のことから、生活資金や自身の能力に自信がない場合には、早期退職を選択すべきとはいえません。
40代で早期退職(アーリーリタイア)を行う際の貯蓄と資産
40代では必要な資金が減るため、30代と比較すると早期退職がしやすいです。しかし、それでも年金受給までの期間が長いため、完全リタイアを行うのは厳しいといわざるを得ません。
早期退職後の生活プランにもよりますが、30代と同様に1億円ほどの貯蓄がなければ難しいです。ただし、40代以降であれば、セミリタイアの形を取ることで必要資金を減らせる可能性があります。
アルバイトやパートなどで働いて収入を得れば、3,000万円~4,000万円ほどの貯蓄でも生活していけるケースは少なくありません。
しかし、既婚者であったり子供がいたりする場合のほか、趣味やレジャーなどに打ち込みたい人などは、5,000万円以上の貯蓄が必要となるので、なるべく多めに資金を確保しましょう。
経営者は会社を売却して早期退職(アーリーリタイア)を狙える
もしも、会社を経営しているのであれば、M&Aによる会社の売却で資金を作り早期退職・早期リタイアを目指す方法もあります。会社を売却すれば大きな売却利益の獲得が狙えるため、早期退職が実現する可能性が高いです。
ただし、M&Aにより会社を売却するには、会社が所属する業界の知識だけでなく、M&Aの専門知識や実務能力なども求められます。
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14. 早期退職(アーリーリタイア)に必要な資金のまとめ
本記事では、早期退職について幅広く解説しました。最後に、早期退職を検討するときに大切なポイントをまとめて紹介します。
早期リタイアでは、その後の生活環境により必要な資金が変動します。居住地域だけでなく、自身の生活にどこまでゆとりを持たせられるかで、必要な資金は大きく変動するのです。
早期退職する年齢が1歳でも違うだけで、必要な資金に大きな差が生まれます。早期リタイアを目指す年齢を考えたうえで、自身に必要な資金を確保する計画を立てなければなりません。セミリタイアも視野に入れながら、リタイア後の生活を具体的にイメージしてみましょう。
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