株主割当増資とは?メリット・デメリットや方法をわかりやすく解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

新規事業などを始める際の資金調達方法として、新規株式の発行という方法があり、その方法のなかに株主割当増資があります。当記事では、株主割当増資はどのような増資方法なのか、メリットやデメリットや手順をくわしく解説しています。

目次

  1. 株主割当増資とは
  2. 株主割当増資のメリット・デメリット
  3. 各増資方法のメリット・デメリット比較
  4. 株主割当増資を行う方法・流れ
  5. 株主割当増資を行う際の注意点
  6. 株主割当増資のおすすめの相談先
  7. まとめ
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1. 株主割当増資とは

株主割当増資とは

新規株式を発行する方法として、株主割当増資があります。この記事では、、株主割当増資はどのような増資方法なのか、またメリットやデメリットについても解説します。

まずこの章では、株主割当増資の概要や目的、株主割当増資と第三者割当増資の違いについて説明します。

株主割当増資の特徴

株主割当増資には、主に以下2つの特徴があります。

  1. 既存の株主に割り当てること
  2. 株式の持ち分に応じて割り当てること

1.既存の株主に割り当てること

1つ目の特徴は、株主割当増資では既存の株主に割り当てることです。新規株式を発行する場合、株式を割り当てる相手には大きく既存株主と新規株主とに分けられます。

株主割当増資では、既存株主に新規株式を割り当てますが、新規株式を引き受けるか否かは株主が判断します。

既存株主に割り当てると買い取ってもらえる可能性が高くなる(資金調達がしやすい)ため、不特定多数の株主に株式が分散しないというメリットがあります。なお、株主割当増資では自社への割り当てを行うことはできません。

2.株式の持ち分に応じて割り当てること

2つ目の特徴は、株式の持ち分に応じて割り当てることです。新規株式を発行の際に重要なことは、誰にどれだけ割り当てるかということです。

一定のルールに従って割り当てないと株主が不満に感じたり、新規発行のたびに株主総会可決が必要になります。

株主に不満がなくかつ簡便な手続きで新規株式が発行できるように、株式の持ち分に応じて割り当てることが決められています。

株主割当増資の目的

株主割当増資の目的は、事業運営の資金調達のためです。一般的な資金調達の方法には、金融機関からの融資と自己資本があります。

融資の場合、金融機関が得られるリターンは少ないですが、借主には元本と利息をすべて返済する義務があります。そのため、新規事業などリスクに対する融資は行われないケースも少なくありません。

一方で自己資本の場合、自身の資産であるため返済の必要はありません。株式も自己資本の1つにあたるため、返済の必要はありません。

新規事業について株主も魅力的であると感じる場合、返済のリスクなく資金調達がしやすいのが株式です

株主割当増資と第三者割当増資の違い

株主割当増資と第三者割当増資の大きな違いは、割り当てられる対象です。第三者割当増資とは、自社や株主ではない第三者に新株を割り当てることをいい、関係を強化したい取引先や資本提携を行う企業など将来的なビジネスパートナーに割り当てます。

資本業務提携では、互いの新規の社株を相手の企業に買い取ってもらうことで、資金調達が可能になります。

同時に互いは大株主になり、経営権をある程度掌握することになるため、協力関係を強化されます。

第三者割当増資ではそのため、第三者割当増資の主目的は資金調達ではなく、企業間の関係強化の場合が多いです。

【関連】第三者割当増資の株価への影響の理由や事例を紹介!メリット・デメリット、算出方法も解説!

株主割当増資と公募増資の違い

公募増資とは、新規株式の割当先を決めず、自社株式を購入したい人に新規株式を割り当てるという増資方法です。

株主割当増資に比べて割当先候補が増えるため、広範囲での資金調達が可能になり、新株発行に否定的な既存の株主が多い場合などに資金調達しやすい方法といえるでしょう。

ただし、株主が増えることにより、株主構成比率が変化するというデメリットもあります。大株主の株式保有比率が低下するため、公募増資では株主総会で特別決議を得なければなりません。

公募増資を行う際は、既存株主与える影響についても考慮する必要があるでしょう。

2. 株主割当増資のメリット・デメリット

株主割当増資のメリット・デメリットについて

株主割当増資を行う場合、メリットだけでなくデメリットについても正しく理解しておくことが大切です。この章では、株式割当増資を行うメリットとデメリットについて解説します。

株主割当増資のメリット

株主割当増資によるメリットには、主に以下の3つがあります。

  1. 自己資本の比率が拡大すること
  2. 株主構成の比率が変わらないこと
  3. 時価と比べて低価格で行えること

1.自己資本の比率の拡大

1つ目のメリットは、自己資本比率の拡大です。会社の財務の安全性を示す指標に自己資本比率があり、総資産(自己資本+負債)と自己資本との比率を指し、この値が高いほど安全性が高いと判断されます。

安全性が高くなると、金融機関からの融資が受けやすくなったり、株主からの資金調達がより容易になったりするメリットがあります

2.株主構成の比率が変わらない

2つ目のメリットは、株主構成の比率が変わらないことです。公募増資のように広範囲から資金調達すると株主は増加し、割り当てる株式数も任意であるため、株主構成比率が大きく変化する可能性があります。

株主構成比率が変わると、議決権数が減る・配当金が減少するなど、株主は不利益を被る可能性があります

しかし、株主割当増資の場合、割当先は既存の株主で割り当てる数も持分に応じてなので株主構成の比率が変わることはありません。

3.時価と比べて低価格で行える

3つ目のメリットは、時価と比べて低価格で行えることです。これにより、株主はリスクを取りやすくなり、資金調達がしやすくなります。

通常、企業から株式を購入するときは自身が損をしないよう、会社の財務状況・収益力・将来性などを調査して、問題がなければ株式を購入します。

株主割当増資も同様であり、新規事業にリスクが大きいと判断されると資金調達ができなくなりますが、リスク分だけ低価格で販売することで資金調達がしやすくなります。

株主割当増資のデメリット

株主割当増資によるには、主に以下の2つがあります。

  1. すべての株主が同じ割合で増資できるわけではないこと
  2. 大きな資金調達は出来ないこと

1.すべての株主が同じ割合で増資できるわけではない

1つ目のデメリットは、すべての株主が同じ割合で増資できるわけではないことです。株主割当増資は、既存株主に持分に応じて割り当てる増資方法です。

しかし、割り当てられた株主は、すべての新規株式を購入しなければならないわけではありません。

株主が何らかの理由により購入しないという選択をすることもあるため、株主構成比率は大きく変化しなくても株主に対して均等に割り当てられないため、有利不利が出る場合があります。

2.大きな資金調達は出来ない

2つ目のデメリットは、大きな資金調達ができないことです。株主割当増資は、時価よりも安価で株式を譲渡することができます。

しかし、その差額は発行する会社が負担することになります。つまり、新規発行株式数が増えると多額の資金調達は可能になりますが、その分だけ費用が掛かるため、株主割当増資では大きな額の資金調達はできません。

3. 各増資方法のメリット・デメリット比較

各増資方法のメリット・デメリット比較について

ここでは、株主割当増資・第三者割当増資・公募増資のメリット・デメリットを比較してみましょう。下表は、それぞれのメリット・デメリットをまとめたものです。
 

  メリット デメリット
株主割当増資 ・株主構成比率は変化しない。
・時価よりも安価に新規株式を譲渡できる。
・増資により株主に有利不利が出る。
・大きな資金調達はできない。
第三者割当増資 ・取引先など関係企業との関係が強化できる。
・多額の資金調達が可能。
・株主構成比率が大きく変化する。
・割り当てられないと既存株主は新規株式を購入できない。
公募増資 ・広範囲から資金調達が可能。
・既存株主も購入可能。
・株主が増加し、株主構成比率が変化する。
・株主総会で特別議決が得られないと増資できない。

新規事業をある程度自己資本から増資したい場合は、株主割当増資を選ぶことがおすすめです。

また、多額の資金調達が必要な場合や対象企業との関係を強化したい場合は、第三者割当増資を選択するのがよいでしょう。新規事業の賛同者から資金調達したい場合は、公募増資をおすすめします。

増資する場合は、それぞれの手法のメリット・デメリットを理解しておき、どの方法が最も適しているを判断することが大切です。

4. 株主割当増資を行う方法・流れ

株主割当増資を行う方法・流れについて

続いては、株主割当増資を行う方法・流れについてみていきしょう。株主割当増資を行う際は、主に以下のような流れで進みます。

  1. 取締役会の決議
  2. 株主総会の招集
  3. 新株募集事項の公示
  4. 募集株式・引受の申込み
  5. 株式割当の決定
  6. 出資金の支払い
  7. 株式の発行・登記の変更

1.取締役会の決議

まずは、取締役会で株主割当増資について決議をします。それと同時に、新規株式に関する募集事項も決定します。

公開会社の場合、取締役会の決議で株主割当増資を行うことができ、非公開会社の場合でも定款に別段の定めがある場合は、取締役会の決議で株主割当増資が行えます

2.株主総会の招集

公開会社・非公開会社のいずれでも、定款に定めがある場合は株主総会で決議を得る必要はありません。

しかし、取締役会非設置会社や定款に別段の定めのない会社の場合は、株主総会を招集する必要があり、株主割当増資をする場合、株主総会の特別決議を得て募集事項を決定します。

3.新株募集事項の公示

取締役会・株主総会で決議した後は、新株募集事項の公示を行います。既存株主に対して新株募集事項の通知は、引受申し込みの2週間前までに行わなければなりません

なお、株主へ通知する内容は、募集事項・当該株主が割当てを受ける募集株式の数・引受けの申込みの期日の3点になります。

4.募集株式・引受の申込み

新株募集事項の公示・既存株主への通知後は、募集株式・引受の申し込みを開始します。

引受申し込みをする際、株主は自身の氏名又は名称及び住所・引き受けようとする募集株式の数を記載した書面を株式会社へ提出します

5.株式割当の決定

株式会社は、引受申し込みを受けて株式割当を決定します。決定後は、株式割当通知や出資金の振込用紙を、当該株主に送付します

6.出資金の支払い

株主は、通知を受けて払込期限までに出資金を支払います。なお、金銭出資の場合、期日までに発行会社の金融機関の口座に振り込まれていなければなりません

そのため、実質のタイムリミットは金融機関の窓口が閉まる15時までとなるため、払い込みを行う株主は注意が必要です。

7.株式の発行・登記の変更

株式を発行することで、資本金の額や発行済株式数が増加するため、登記変更を行います。

登記変更は、効力が発生してから2週間以内に行うことが義務付けられているため、新株発行後はできるだけ速やかに登記変更を行いましょう。

5. 株主割当増資を行う際の注意点

株主割当増資を行う際の注意点について

最後に株主割当増資を行う際の注意点について以下の2点を紹介します。

  1. 株価に影響を与える可能性があること
  2. 発行可能株式総数を確認すること

1.株価に影響を与える可能性がある

1つ目の注意点は、株価に影響を与える可能性があることです。通常、株価は株式の需給関係によって決まります。

つまり、会社の業績から株式が欲しいという人が増えると株価は上がり、逆に売却したい株主が増えると株価は下がります。

新株を発行すれば、発行される株式数が増加するため供給量が増え、一時的に株価が下がります

そのあと新規事業に成功したり、業績が上がったりすれば再び株価は上昇しますが、一時的な株価下落の可能性があることは覚えておくとよいでしょう。

2.発行可能株式総数を確認する

2つ目の注意点は、発行可能株式総数を確認することです。会社法により、定款で発行可能株式総数を記載することが義務付けられており、発行可能株式総数を超えると会社法違反になります。

発行可能株式総数が定められている理由は、新株発行は取締役会の決議だけで行えるため、取締役が職権を乱用して株式を大量に発行する恐れがあるからです。

上記のような理由で大量に株式が発行されてしまえば、株価の大幅な下落や議決権割合の低下などのより株主に大きな影響を及ぼし得るため、発行可能株式総数を決めることにより防止をしています。

したがって、新株を発行するときには発行可能数の上限に注意する必要があります。また、上限数よりも発行したい場合は、株主総会で特別決議を得なければなりません。

6. 株主割当増資のおすすめの相談先

株主割当増資のおすすめの相談先について

株主割当増資を行うためには、専門的な知識が必要になるため、会社法や金融商品取引法など会社経営に関する法律に精通しているM&A仲介会社などの専門家によるサポートは不可欠ともいえるでしょう。

M&A総合研究所では、M&Aだけでなく社内に関する相談に関しても豊富な実績を持っているアドバイザー・財務や経営法務に精通している会計士・弁護士3名によるフルサポートを行っています

また、料金体系は、相談料などの手数料が無料の完全成功報酬型を採用しているため、初期費用を抑えることができます

相談は24時間年中無休でお受けしていますので、M&Aだけでなく株主割当増資についても相談したい方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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7. まとめ

株主割当増資 まとめ

今回は株主割当増資について紹介しました。株主割当増資は比較的手続きが簡便な増資方法ですが、株主に影響を及ぼすため、メリット・デメリットを理解した上で株主割当増資を行うようにしましょう。

【株主割当増資のメリット・デメリット】
〇メリット

  • 自己資本の比率が拡大すること
  • 株主構成の比率が変わらないこと
  • 時価と比べて低価格で行えること
〇デメリット
  • すべての株主が同じ割合で増資できるわけではないこと
  • 大きな資金調達は出来ないこと

【株主割当増資を行う方法・流れ】

  1. 取締役会の決議
  2. 株主総会の招集
  3. 新株募集事項の公示
  4. 募集株式・引受の申込み
  5. 株式割当の決定
  6. 出資金の支払い
  7. 株式の発行・登記の変更

株主割当増資を行う際は、専門的な知識や経験を持っている専門家に相談しながら進めていく必要があります。

M&A総合研究所では、M&Aだけでなく社内に関する相談に関しても豊富な実績を持っているアドバイザー・財務や経営法務に精通している会計士・弁護士がチームを編成し、フルサポートいたしますので、スムーズな課題解決が可能です。

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