繰越欠損金の節税効果はある?期限や解消されるケースを解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 M&Aアドバイザー
矢吹 明大

企業の節税方法に1つに繰越欠損金があります。ルールに従って適切に利用しないと脱税と判断される場合があります。そこでこの記事では繰越欠損金による節税効果や繰り越すことができる期限、繰越欠損金が解消されるケースなどについて解説します。

目次

  1. 繰越欠損金とは
  2. 繰越欠損金の節税効果とは
  3. 繰越欠損金を適用出来る期限
  4. 繰越欠損金が解消されるケースとは
  5. 繰越欠損金の特例について
  6. 繰越欠損金と赤字企業のM&A
  7. 繰越欠損金の相談は専門家へ
  8. まとめ
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1. 繰越欠損金とは

繰越欠損金とは

節税対策の1つに、繰越欠損金というものがあります。繰越欠損金は、条件を満たせばどの企業でも使える手法です。この章では、繰越欠損金の意味や利用するメリットについて解説します。

繰越欠損金の意味

繰越欠損金とは、ある期に発生した赤字分を翌期に繰り越すことをいいます。繰越欠損金を用いるときは、要件・適用できる期間・限度額など決められているため、注意が必要です。

また、同じ意味で使用される言葉に損益通算があり、どちらも赤字を翌期に繰り越すシステムのこと指しますが、法人の場合は繰越欠損金、個人の場合は損益通算と呼びます。

繰越欠損金のメリット

繰越欠損金を利用することで得られる一番のメリットは、節税効果です。繰越欠損金は赤字部分を翌期に持ち越すことができ、相殺することで課税額が減らすことができます

繰越欠損金による節税効果については、後の章でくわしく解説します。

2. 繰越欠損金の節税効果とは

繰越欠損金の節税効果とは

先述のように、繰越欠損金を使用する最大のメリットは節税効果です。ここでは、繰越欠損金の節税効果や適用要件について解説します。

繰越欠損金の節税効果

繰越欠損金を利用することで、どの程度の節税効果が得られるかを事例を用いて説明します。

繰越欠損金を使用しないケースでは、A社が当期1億円の赤字を計上した場合の当期法人税等は0円となり、翌期A社が1.5億円の利益を計上したとすると法人税等(税率40%と仮定)の額は0.6億円になります。

一方で繰越欠損金を利用するケースでは、A社が当期1億円の赤字を繰越欠損金として計上すると法人税等の額は0円です。翌期1.5億円の利益を計上したとすると、繰越欠損金を用いると課税対象額は「1.5億円-1億円=0.5億円」となり、法人税等の額は0.2億円になります。

このように、A社が繰越欠損金を用いる場合、0.4億円の節税が可能になります。下表は、先の例をわかりやすく一覧にしたものです(法人税等の税率を40%として計算)。
 

  繰越欠損金を利用しないとき 繰越欠損金を利用したとき
当期納税額 0円(1億円赤字のため) -0円(1億円赤字のため)
翌期納税額 0.6億円(課税対象額が1.5億円のため) 0.2億円(課税対象額が1.5-1=0.5億円のため)
節税額 - 0.4億円

繰越欠損金を利用するための要件

繰越欠損金を利用するためには、以下3つの要件をすべて満たしている必要があります。

  1. 青色申告書を提出していること
  2. 繰越欠損金が発生した年度以降も決算書を提出していること
  3. 帳簿書類などを保管していること

1.青色申告書を提出していること

1つ目は、青色申告書を提出していることです。青色申告書とは、財務会計に関してきちんと管理し、決算書を提出すると宣言した個人や法人に対して認定されるものです。

青色申告の際に決算書を提出する場合はさまざまな制約がありますが、その分、優遇を受けることもできます。

そもそも、確定申告や企業の決算は自己申告制であり、申告に基づいた所得税や法人税を徴収されますが、なかには、脱税するために虚偽の申告を行う個人や法人もいます。

税務署は申告が正しく行われているかをチェックしますが、その業務量は膨大になってしまいます。その負担を軽減しスムーズな処理を行えるよう、個人や企業自身に申告をしてもらう代わりに、基礎控除額などを増やした制度が青色申告制度です。

繰越欠損金の適用を受けるためには、青色申告書を提出していることが必要ですが、欠損金が繰り越せる年度は青色申告書を提出していた年度に限られます。

青色申告書を提出する前に発生した欠損金については、繰り越せないので注意が必要です。

2.繰越欠損金が発生した年度以降も決算書を提出していること

2つ目は、繰越欠損金が発生した年度以降も決算書を提出していることです。欠損金発生年度以降も決算書を作成していることで、財務会計をしっかり管理していると判断されるため、継続して決算書を提出していることで繰越欠損金が認められます。

赤字が発生すると財務状況が悪いと判断されるため、金融機関から融資が受けにくくなる、株価が低下するなどのデメリットが考えられます。

しかし、財務会計の管理をきちんとしていると認められるためには、欠損金が発生した以降の年度も決算書を提出するようにしましょう。

3.帳簿書類などを保管していること

3つ目は、帳簿書類などを保管していることです。青色申告書に添付する帳簿や書類は、最低7年間保管することが定められています

保管するための理由には、税務調査の時に帳簿や書類などの提示が必要になるからです。税務署は、決算書や確定申告を提出した年度で、すべての虚偽申告や計算ミスなどを発見できるとは限りません。

なかには、決算書や確定申告を提出してから数年以上経過して発見される場合もあり、その時に決算書や確定申告に関する資料によって詳細の調査をします。

過去の税務調査に協力できる状態を常に作ってもらう分、繰越欠損金が認められています

繰越欠損金の法改正

平成28年に行われた税制改正によって、平成30年(2018年)4月1日以降に開始する事業年度において、発生する欠損金は最大10年まで繰り越せるようになりました

詳細は後述しますが、繰越欠損金の繰越期間は頻繁に法改正されているため、発生した欠損金をいつまで繰り越せるかということを、しっかりと把握しておく必要があります。

3. 繰越欠損金を適用出来る期限

繰越欠損金を適用出来る期限について

繰越欠損金を適用できる期限は、発生年度によって異なります。繰越欠損金を利用する場合は、いつ発生した欠損金であるかをまず把握しなければなりません。

2019年度については、5年間・7年間繰り越せる欠損金は使えません。もっとも古くて2010年度に発生した欠損金は繰り越すことができます。

2019年度であれば、2011年度以降に発生している欠損金についても繰り越して計算することができます。

【繰越欠損金を適用できる期限】

欠損金発生年度 欠損金を繰り越せる期間
~2001/3/31 5年間
2001/4/1~ 7年間
2008/4/1~ 9年間
2018/4/1~ 10年間

繰越欠損金の控除限度額

繰越欠損金の控除限度額については、中小法人等とそれ以外で異なります。中小法人等は、制限なく繰越欠損金を利用することができます

それ以外の企業は、繰越欠損金を利用できる額が年々減少しており、毎年法人税等を納税する必要があります。

詳細は後程解説しますが、M&Aによって赤字企業を買収して繰越欠損金として計上することができるので、大企業の場合はこれを利用して節税が可能です。

赤字企業の買収を繰り返すと相当額の節税が可能になってしまうため、利用できる額を減少させていると考えられます。

繰越上限が決めることは、企業に対してダメージを与える可能性もあるため、繰り越せる期間をその分延長しています
 

  中小法人等 中小法人等以外
~2008/3/31 制限なし 制限なし
2008/4/1~ 所得の80%
2015/4/1~ 所得の65%
2016/4/1~ 所得の60%
2017/4/1~ 所得の55%
2018/4/1~ 所得の50%

4. 繰越欠損金が解消されるケースとは

繰越欠損金が解消されるケースについて

繰越欠損金が解消されるとは、繰り越す赤字が消滅したことを意味します。先程の「繰越越欠損金の節税効果」で説明した企業の例でみると、A社は1年間で繰越欠損金が解消したことになります。

1年間で繰越決算金を解消るというのは稀なケースであり、通常は複数年かけて繰越欠損金が解消されます。というのは、将来的な事業リスクを回避するためです。

先ほどのA社は、翌年の利益が0.1億円しか計上できず、保有している現金が少なかった場合は法人税等を納めることはできません。しかし、繰越欠損金を残しておき0.1億円繰り越すことで、税金を支払う必要がなくなります。

繰越欠損金は、将来の業績予想を踏まえて計画的に解消させるほうがよいでしょう

5. 繰越欠損金の特例について

繰越欠損金の特例について

繰越欠損金には、特例が設けられています。この章では、具体的な特例について解説します。

中小法人等への特例

1つ目は、中小法人等への特例であり、具体的には、繰越欠損金の上限額が定められていないことです。この特例の対象となる企業には、主に以下のようなものがあります。
 

  • 資本金または出資金が1億円以下の普通法人(100%の子会社法人は除く)
  • 公益法人等
  • 協同組合等
  • 人格のない社団法人等

その他の特例

中小法人等・それ以外を問わず以下の条件を満たす法人は、所得の100%分まで繰越欠損金を利用することができます

この特例は、新設法人や再建中の法人に対して、財務や再建に影響を与えないように配慮して決められています。

  • 新設法人(設立から7年の事業年度に関しては利用できる)
  • 事業再生や更生手続きを行っている法人(開始日から7年の事業年度に関しては利用できる)

6. 繰越欠損金と赤字企業のM&A

繰越欠損金と赤字企業のM&Aについて

最後に、繰越欠損金とM&Aの関係について解説します。M&Aにより買収を行う場合、対象企業が赤字であるケースも考えられます。

スキルやノウハウなどの強みがあっても、多額の負債を抱えている企業を買収することは、大きなリスクを伴います。

そこで、赤字企業を買収へのリスクを低減するため、M&Aでも繰越欠損金のルールが適用されます。

1.赤字企業の買収と繰越欠損金

赤字企業を買収し、買収した企業の事業を継続させていれば、原則として繰越欠損金が利用することができます

買収企業が、計上する利益に対して売却企業が保有していた繰越欠損金を利用すると、課税対象額が減少するため法人税等の額も減少し、多額の利益をあげることができます。

ただし、税務署に繰越欠損金目的の買収と判断された場合は、繰越欠損金の利用はできません。そのため、繰越欠損金による節税のメリットは、あくまで副次的なものとして考えるようにしましょう。

M&Aを行うにあたり最も重要なのは、赤字企業であっても買収したいと考えるか否かです。繰越欠損金は、あくまでもそのリスクを軽減するために利用できる制度です。

2.赤字企業の子会社化と繰越欠損金

赤字企業を子会社化して、繰越欠損金を利用するケースもあり、主に企業を再建させる目的で赤字企業を買収したときに利用されます。

繰越欠損金を持っている企業を子会社化すると、その繰越欠損金を節税のために利用することができます。

繰越欠損金目的による子会社の場合、繰越欠損金は利用できません。繰越欠損金目的の子会社化を防ぐために、繰越欠損金を利用するためには厳しい制約を設けられています

例えば、買収前の5年間に、事業売上の5倍以上の融資を受けていないなどです。子会社に伴う繰越欠損金についても、副次的なものとしてとらえるようにしましょう。

7. 繰越欠損金の相談は専門家へ

繰越欠損金の相談は専門家へ

繰越欠損金を利用するには、専門的な知識が必要になります。そのため、会社法や金融商品取引法など、会社経営に関する法律に精通している専門家によるサポートは不可欠だといえるでしょう。

M&A総合研究所では、M&Aに豊富な経験と実績を持つアドバイザー・財務や経営法務に精通している会計士・弁護士3名による親身になってフルサポートを行います

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無料相談は24時間年中無休でお受けしていますので、M&A・事業承継のご相談はもちろん、繰越欠損金の取り扱いに関するご相談の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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8. まとめ

繰越欠損金 まとめ

この記事では、繰越欠損金の節税効果や適用条件について解説しました。繰越欠損金を利用すれば節税効果をえることができますが、適用条件に該当しているだけでなく、日頃から財務会計についてしっかりと整理しておくことが大切です。

【繰越欠損金を利用するための要件】

  • 青色申告書を提出していること
  • 繰越欠損金が発生した年度以降も決算書を提出していること
  • 帳簿書類などを保管していること

【繰越欠損金が利用できるM&Aケース】

  • 赤字企業の買収したとき
  • 赤字企業を子会社化したとき

繰越欠損金を利用する際は、専門的な知識や経験を持っている専門家に相談しながら進めていく必要があります。

M&A総合研究所では、M&Aだけでなく社内に関する相談に関しても豊富な実績を持っているアドバイザー・財務や経営法務に精通している会計士・弁護士がチームを編成し、フルサポートいたしますので、スムーズな課題解決が可能です。

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