選択と集中とは?意味やメリット・デメリット、多角化との違いを解説【事例あり】

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企業情報第三部 部長
鎌田 実築

三菱UFJ銀行にて中堅中小企業法人担当として、企業再生支援、事業承継支援、資産活用コンサルティング等幅広く活動。その後M&Aアドバイザーとして複数の業種で成約実績を積み、規模・エリアも問わず幅広い相談に対応。

市場を取り巻く環境の変化や消費者ニーズの多様化などにより、経営戦略の見直しを迫られる企業はたくさんあります。その経営戦略の1つに事業の選択と集中があります。この記事では選択と集中の意味やメリット・デメリットさらには多角化戦略との違いについて紹介します。

目次

  1. 選択と集中とは
  2. 選択と集中の意味
  3. 選択と集中のメリット・デメリット
  4. 選択と集中、多角化との違い
  5. 選択と集中が成長を妨げている理由
  6. 選択と集中を成功させた事例
  7. 選択と集中を行う際の相談先について
  8. まとめ
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1. 選択と集中とは

選択と集中とは

選択と集中とは経営戦略の1つであり、ある事業に経営資源を集中して投入することをいいます。高度経済成長期やバブル経済期は業績がよい企業が多く、本業で得た資金を元手にほかの業界へ参入し、さらに利益を得るケースが一般的でした。

しかし、バブル経済崩壊後はリーマンショックやコロナショックなど、将来を見通せない不況が多く発生しています。

そのような状況下で生き残るためには、多くの事業を同時に展開するのではなく、自社のコアコンピタンスや経営戦略をもとにして事業を絞る「選択と集中」を採る企業も増加しています。

2. 選択と集中の意味

選択と集中の意味

記事冒頭でも触れたように、選択と集中とは自社が経営資源を投入する事業を選択し、その事業に対して集中的に経営資源を投入することをいいます。

選択と集中では事業を絞ることになるため、統合などの組織再編を行うことで効率化を図ることができます

また、自社のコアコンピタンスを強化できたり、販路を開拓するなど集中的に経営資源を投入することで当該事業での成功確率を高めることができます。

その一方で、どの事業を選ぶかという選択が非常に重要であり、誤った選択をすると経営危機に陥る可能性もあるため、専門家の意見を取り入れるなどして慎重に決定する必要があります。

3. 選択と集中のメリット・デメリット

選択と集中のメリット・デメリット

選択と集中を行う際は、どのようなメリットとデメリットがあるのかを把握しておく必要があります。この章では、選択と集中のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

選択と集中のメリット

まずは集中と選択を行う主な3つのメリットについて解説します。

【選択と集中のメリット】

  1. 業務の効率化ができること
  2. 事業価値が高まること
  3. イノベーションの創出につながること

1.業務の効率化ができること

選択と集中を行う1つ目のメリットは、業務の効率化ができることです。そもそも事業の選択と集中が行えるのは、多くの事業を展開している企業です。多角化は経営のリスクを回避するために行われるため、どの事業もうまくいくように万遍なく経営資源を投入します。

しかし、同じように経営資源を投入したとしても、必ずしもすべての事業で見合った利益が得られるわけではないため、当然その利益が得られなかった分は無駄ということになります。

選択と集中は経営資源の無駄を防ぐことが可能であり、かつ効率的に投入することができるため、業務の効率化やコスト削減を図り、収益性を向上させることができます。

2.事業価値が高まること

選択と集中を行う2つ目のメリットは、事業価値が高まることです。事業価値とは、ある事業で得られる将来的な収益をもとに算出される事業全体における価値を指します。

これを企業全体で判断する場合は企業価値になり、収益性をもとに企業価値を算出する際はインカムアプローチという方法を用います。

前述のように、選択と集中を行うことで効率的な経営資源の投入が可能になるので、収益性の低い事業に対しては経営資源をあまり投入せず、逆に収益性の高い事業に対しては集中的に経営資源を投入することができます

集中的に経営資源を投入した事業の事業価値はさらに高められ、企業全体としては企業価値を向上させることができます。

【関連】事業価値、企業価値、株式価値の違いや関係、算出方法を解説【英語も記載】

3.イノベーションの創出につながること

選択と集中を行う3つ目のメリットは、イノベーションの創出につながることです。効率化できる経営資源は資金だけではなく、企業が持つヒト・モノ・ノウハウなども含まれます。

このうち、ヒト(人材)において経営資源の選択と集中を行うと、集中的に投入された事業では人材が増えることになります。

人材が増えればさまざまな考え方が生まれるため、イノベーションを創出できる可能性を高めることができます

また、コミュニケーションも強化されるため、社員が持っている今までのノウハウが発揮され、新たな切り口を生み出し、それがイノベーションの創出のきっかけになる可能性もあります。

選択と集中のデメリット

続いて、集中と選択を行う主な3つのデメリットについて解説します。

【選択と集中のデメリット】

  1. 選択により優秀な人材が流出してしまう恐れがあること
  2. 従業員や株主から反発される恐れがあること
  3. 選択と集中への対応が難しいこと

1.選択により優秀な人材が流出してしまう恐れがあること

選択と集中を行う1つ目のデメリットは、選択することにより優秀な人材が流出する恐れがあることです。

事業の選択と集中を行うことにより人材を流動化させると、解雇や社員の自発的離職を生む可能性があります

選択と集中により効率的に経営資源を投入することができますが、逆にいえば効率的ではない部分においては切り捨てる必要性もでるということになります。

切り捨てる経営資源がヒト(人材)の場合はリストラしなければならないケースもでてくるため、優秀な人材を失ってしまうこともあり得ます。

また、事業の選択と集中によって組織再編が行われた場合、社員の希望と合わないケースも当然でてきます。

従業員によっては離職を考えるケースもでてくるため、優秀な人材が流出するリスクもあります。事業の選択と集中を行う際は、ヒトという経営資源に対するリスクがあることも理解したうえで進める必要があります。

2.従業員や株主から反発される恐れがあること

選択と集中を行う2つ目のデメリットは、従業員や株主から反発される恐れがあることです。

選択と集中では特定事業に経営資源を集中させるため、力を入れていたプロジェクトなどができなくなる従業員もでてくる可能性があり、反発が起こることもあるでしょう。

また、一般的に、選択と集中は短期的に業績が改善する方向へと動くため、中長期的に自社の支援を行っている株主とは考え方が異なり反発されることが予想されます。また、短期的な利益を目的とした株主が増加する可能性もあります

反発する従業員に対しては十分な説明を行ったり、事業の選択と集中後のキャリアパスを一緒に考えることで離職対策を講じておく必要があります。

事業の選択と集中を行う経営方針を理解してくれる株主に対しては、新規株式発行や第三者割当増資を行うなどの対策や、中長期的な視点で支援してもらえる株主への丁寧な説明も必要になるでしょう。

【関連】株主割当増資とは?メリット・デメリットや方法をわかりやすく解説

3.選択と集中への対応が難しいこと

選択と集中を行う3つ目のデメリットは、選択と集中への対応が難しいことです。選択と集中を行うことは売上における特定事業の割合を高めることになります。

それは経営上のリスクを高めることを意味するため、事業の選択と集中を行う際は、慎重な事業の選択と選択と集中後の慎重なかじ取りが求められます。

また、特定の事業へ経営資源を集中させると事業戦略を変更せざるを得ない可能性があります。例えば、ある事業の市場シェアが5%で業界内では上位10位であったとします。

この場合、その業界で生き残るため、他社製品との差別化を図る差別化集中戦略を取ることが一般的です。

しかし、事業の選択と集中を行い当該事業に経営資源を集中させれば、事業規模拡大や顧客の認知度向上につながり、市場シェアが拡大して業界内でトップ5位まで浮上する可能性もあります。

この状況で同じ戦略を取っていると、上位企業の模倣や価格競争でシェアを奪われる恐れもでてくるため、あらたに模倣困難品の開発や価格競争に打ち勝つ戦略を取る必要があります。

このように、事業戦略から見直す必要性がでるなど、選択と集中への対応が難しいことはデメリットのひとつといえるでしょう。

4. 選択と集中、多角化との違い

選択と集中、多角化との違い

事業の多角化は、選択と集中とは全く逆の経営戦略です。選択と集中は、成長が見込まれる事業を選択し、その事業に対して経営資源を集中させる戦略です。

無駄な事業への経営資源の投入を減らして効率性が高めたり、経営資源を集中させた事業の成功確率を大幅に上げることができますが、特定の事業への依存度が高くなるため経営のリスクも大きくなります。

一方、多角化とはさまざまな事業を行って利益額を向上させようとする戦略であり、事業間のシナジー効果獲得や経営のリスクヘッジが可能になります。しかし、事業間で部門を重複させる必要があるため、体制を維持するためのコストがかかります。

どちらの戦略を取るのかは、それぞれのメリットとデメリットを理解したうえでよく検討することが大切です。

5. 選択と集中が成長を妨げている理由

選択と集中が成長を妨げている理由

選択と集中には多くのメリットがありますが、成長を妨げる可能性もあります。この章では、選択と集中が成長を妨げる主な理由を解説します。

【選択と集中が成長を妨げている理由】

  1. ハイリスクハイリターンの可能性があるから
  2. 長期的な視点を持つことが難しいから

1.ハイリスクハイリターンの可能性

選択と集中が成長を妨げている理由の1つ目は、ハイリスクハイリターンの可能性があるからです。事業の選択と集中では集中的に経営資源を投入するので、当該事業での成功確率を高めることができ、投入分のリターンを得ることができます。

その一方で、特定の事業が不調になると会社全体で営業成績が悪化する可能性が高くなるため、ハイリスクの経営戦略でもあります。

もし、選択と集中という経営戦略をすべての企業がとった場合、1企業が1事業しか行わなくなるため、社会全体としては成長を阻害する方向に働きます。このような点が選択と集中は成長を妨げている要因のひとつともいえます。

2.長期的な視点を持つことが難しい

選択と集中が成長を妨げている理由の2つ目は、長期的な視点を持つことが難しいからです。事業の選択と集中では、特定事業に経営資源を投入して短期的に利益をあげることが可能です。さらに会社全体の利益を確保することもできます。

しかし、長期的な視点でみた場合、特定の事業に依存することは経営上の大きなリスクを抱えることになります。

さらに、経営資源を集中的に投入した事業がいつまで利益をあげ続けられるのか、それを予測することは極めて困難です。

つまり、選択と集中は長期的な視点を持つことが難しいため、会社全体の成長を妨げる可能性があります。会社としては倒産や廃業を回避するために、事業成功後は経営のリスクを回避する経営戦略を取ることが必須といえるでしょう。

【関連】廃業とは?閉店、倒産、休業との違いや理由、廃業を回避する方法を解説

6. 選択と集中を成功させた事例

選択と集中を成功させた事例

最後に選択と集中の経営戦略を取った結果、成功した事例を3つ紹介します。

1.日立製作所

日立製作所

出典:https://www.hitachi.co.jp/

日立製作所は家電製品など電子機器を取り扱う日本の製造メーカーであり、バブル期まで好調でしたがバブル崩壊で業績は低迷し、さらにリーマンショックの影響で2009年3月期の決算で過去最大の赤字額を計上しました。

この状態の日立製作所がとった経営戦略が選択と集中です。まずは、日立製作所のグループ子会社を完全子会社化し、非上場化しました。目的は重複事業統合による効率化や配当金などの利益剰余金流出を防ぐためです。

また、海外で展開する関連企業は現地の会社に売却し、日立製作所のスリム化を図りました。さらに、発電事業、原子力事業、鉄道事業を主力事業とするため、これに関連する海外の企業を買収しました。

この一連の事業の選択と集中を行うことで、日立製作所は業績を改善だけでなく、業態の変更にも成功しています

2.武田薬品工業

武田薬品工業

出典:https://www.takeda.com/ja-jp/

日本の医薬品のトップメーカーである武田薬品工業も、1995年から2000年にかけて事業の選択と集中の戦略を取っています。

当時の武田薬品工業は、新薬を開発するためのコストが徐々に増加している状態でした。そのため、武田薬品は選択と集中を行って医薬品事業に経営資源を集中させることを決め、そのほかの事業を売却することにしました

この結果、武田薬品工業は、現在もなお日本の新薬メーカーのトップの位置に君臨しています。

3.キャノン

キャノン

出典:https://canon.jp/

キャノンはプリンター大手のメーカーですが、「キャノンといえばプリンター」というイメージがついたのもキャノンが行った事業の選択と集中の結果であるともいえます

90年代頃、キャノンはパソコン事業も展開していましたが、赤字であっために全社の経営状況に響いている状態でした。

この時取られた戦略が選択と集中です。赤字であったパソコン事業を廃止し、プリンターやインクカードリッジの事業に経営資源を集中させることに決めました。

この際、従業員の解雇は一切行いませんでしたが、代わりに年功序列を撤廃して実力主義の賃金体系に変更しています。

7. 選択と集中を行う際の相談先について

選択と集中を行う際の相談先について

選択と集中を行う際の相談先について

選択と集中を行うことは特定の事業への依存度が上がるため、経営リスクを高めることになります。そのため、選択と集中を行う際は、専門家など第三者の目線から客観的に判断する必要があります。

M&A総合研究所では、M&Aに関する知識やノウハウを活かし、選択や集中など重要な経営判断のお手伝いをいたします。その際にM&Aが必要となれば、M&Aアドバイザーが親身になってフルサポートいたします。

料金体系は完全成功報酬制を採用しており、初期費用を抑えることができます。無料相談は24時間お受けしておりますので、選択と集中・M&Aなど重要な経営判断を必要とされている場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

8. まとめ

選択と集中 まとめ

景気の影響などのさまざまな理由により、事業の選択と集中を検討するケースは少なくありません。選択と集中にはメリットだけでなくデメリットも存在するため、よく理解したうえで実施することが重要です。

事業の選択と集中を行うべきか、どのように進めればよいかなどを判断するためには、第三者の客観的な視点も必要となるので、M&A仲介会社などの専門家に相談するとよいでしょう。

【選択と集中のメリット】

  • 業務の効率化ができること
  • 事業価値が高まること
  • イノベーションの創出につながること
【選択と集中のデメリット】
  • 選択により優秀な人材が流出してしまう恐れがあること
  • 従業員や株主から反発される恐れがあること
  • 選択と集中への対応が難しいこと
【選択と集中が成長を妨げている理由】
  • ハイリスクハイリターンの可能性があるから
  • 長期的な視点を持つことが難しいから

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