EC業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例15選を徹底解説【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

スマホやパソコンの普及でネット通販の需要は増え続けており、EC事業の拡大や事業基盤の強化を目的としたM&A、EC売却も増えてきました。本記事では、EC業界のM&AについてEC売却のメリットや成功ポイントなどを事例を交え解説します。

目次

  1. EC業界とは
  2. EC業界の動向
  3. EC業界のM&A動向
  4. EC業界のM&Aにおける売却側のメリット・デメリット
  5. EC業界のM&Aにおける買収側のメリット・デメリット
  6. EC業界のM&A相場
  7. EC業界のM&A成功ポイント
  8. 買い手が魅力に感じるECサイトの条件
  9. EC業界のM&Aで注意する点
  10. EC業界のM&A事例15選
  11. EC業界のM&Aにおける積極買収企業
  12. EC業界のM&Aを行う際の相談先
  13. EC業界のM&A費用
  14. EC事業の売却・M&Aにおすすめの仲介会社
  15. EC業界のM&Aまとめ
  16. ネット通販・EC業界の成約事例一覧
  17. ネット通販・EC業界のM&A案件一覧
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1. EC業界とは

オンラインショッピングやフリマサイトなど、インターネットを利用して商品・サービスを売買できるEC事業は、私たちにとって非常に身近な存在です。まずは、EC業界とはどのような業界なのか、その大義や特徴を紹介します。

EC業界の概要

EC事業とはインターネットを利用して商品やサービスの売買する事業を指し、日本語で電子商取引を意味するelectronic commerceの頭文字をとった言葉です。

ECについて、OECD(経済協力開発機構)は広義的には「コンピューターを介してネットワーク上で行われる物・サービスの売買」、狭義的には「インターネット上で行われる物・サービスの売買」と定義しています。

これを受けて、経済産業省は2020年の報告書において「ECとは、インターネットを利用してコンピューターネットワークシステム上で受発注が行われること」としました。

ECは時間と場所を選ばずに買い物ができる利便性から急速に普及し、さらにスマートフォンの普及やSNSマーケティングの効果などで市場は右肩上がりで成長しています。

また、近年はキャッシュレス決済が浸透したことで、利用者にとってECの利便性はさらに向上しました。EC業界は参入障壁が低く、個人でECサイトを立ち上げて事業を始めることが可能です。そのため、新規参入事業者数も急増しましたが、その分、競争が激化しています。

2. EC業界の動向

業界の急速な拡大とともにEC事業は参入する事業者も増えたため業界での競争が激化し、他社との差別化が図れなければ生き残りが難しいのが現状です。そのため、近年では事業規模拡大を狙ったM&Aが増加しており、業界再編の動きがみられます。
 

EC業界の市場規模

経済産業省 令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

出典:https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html#:~:text=%E4%BB%A4%E5%92%8C4%E5%B9%B4%E3%81%AE,%E3%81%AB%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

経済産業省が行った電子商取引に関する市場調査(令和4年度)によれば、2022年における国内のBtoC-EC市場規模は22.7兆円(前年度比9.91%増)であり、国内のBtoB-EC市場規模は420.2兆円(前年度比12.8%増)です。

上のグラフからもわかるように、2013年以降、国内のBtoC-ECおよびBtoB-ECの市場規模は右肩上がりが続いています。約10年の間に得C事業が急成長した要因として考えられるのは、スマートフォンの普及で利用者層が拡大したこと、SNSを活用したマーケティングの効果、キャッシュレス決済の利便性向上などです。

それに加え、多くの業界が打撃を受けたコロナ禍の影響も、EC業界には追い風となり「巣ごもり需要」や「非対面サービス」で市場規模の拡大につながりました。

EC事業のうち、飲食サービス・旅行サービス・チケット販売などはコロナ禍の影響で2021年までは売上が落ち込んでいましたが、2022年は行動制限の全面解除で大きく回復しています。

参照:経済産業省 令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

EC業界の現状

コロナによる需要増加

コロナ禍での外出自粛や時短営業要請は、多くの業界で業績が悪化するなど大きな影響を与えました。ですが、EC事業者にとってはコロナ禍での「巣ごもり需要」が追い風となり、売上拡大につながっています。

CtoC-EC市場の拡大と課題

CtoC-EC(個人間電子商取引)の市場規模は、2021年の2兆2,121億円から2022年には2兆3,630億円となり、成長率は6.8%でした。この市場規模の値は、フリマアプリ・ネットオークションの売り上げを基に推計されています。

市場の拡大には、特にフリマアプリ市場の成長が大きく寄与しています。2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、外出自粛や在宅勤務が増えたことで、家庭の整理に伴う出品が増加し、一方で実店舗の需要は減少しました。

2022年5月には、「デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」が施行されました。

この法律により、消費者に安心して利用してもらうためCtoC-ECプラットフォーム事業者は、不正出品の防止に努めることが求められました。具体的な対策としては、不正出品の監視機能の強化や、外部機関との連携による不正出品の抑制策などがあります。

さらに、プラットフォーム事業者は、出品基準やルールの厳格化など独自の強化策も実施しており、安全で安心な取引環境の整備が期待されています。

参考:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書」

EC業界におけるAI技術の活用

ECサイトは、インターネットやICT技術がなければ成り立ちません。そのため、新しいテクノロジーはEC業界に大きな影響を与えます。特に注目されているのが「AI」の活用です。

レコメンドエンジンやチャットツールを使ったWeb接客など、AIの活用はすでに進んでいますが、最近では「ECサイトの運営効率化」の分野でも応用が始まっています。具体例としては、需要予測による在庫の最適化や、不正発注や決済の検知などがあります。技術の進化やデータの蓄積に伴い、今後もEC業界でのAI活用はさらに進んでいくと考えられます。

越境市場の拡大

経済産業省「 令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より

出典:https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf

越境ECの日本での市場規模は年々増加傾向にあり、2022年は前年から6.1%増加となる3954億円となりました。最近では日本語で注文できるサービス(自動翻訳など)機能がある越境ECサイトも増えており、利用者にとっては以前よりも購入しやすくなっています。

日本の越境EC市場は、アメリカや中国と比較するとまだ小さいのが現状です。しかし、近年の伸びをみると、今後はさらに拡大していくと考えられます。

EC業界の動向予想

今後のEC業界は、通販サイト側がショールームを出店したり、ユニクロやセブン&アイ・ホールディングスのように、自社の店舗を生かしつつオムニチャネル化を進める小売企業も増えたりすると予想されます。

近年は若者を中心に利用者を増やしたInstagramでは、ショッピング機能が拡張されています。囲い込んだ顧客にダイレクトに販売できるので、注目が集まっているようです。

IoTの普及により、Amazon echoに代表される、音声で商品を注文する「ボイスコマース」など、スマートフォンに音声アシスタントが実装されています。近い将来普及が進むでしょう。

3. EC業界のM&A動向

EC事業の拡大により、EC業界ではM&Aも活発に行われています。ここでは、EC業界のM&A動向についてみていきましょう。

異業種によるM&A

EC業界は異業種とも多様なシナジー発揮が考えられるため、異業種間M&Aが非常に多いのが特徴です。特に中小規模のEC事業者では、異業種とM&Aを行うケースが多くみられます。

異業種とEC事業者とがM&Aを行う目的は、仕入れや配送などのコスト削減、クロスセルによる売り上げ拡大、ノウハウや販路の相互活用などさまざまです。

EC事業者のM&A相手となる異業種は、主に老舗のメーカーや有名ブランド、その他に全国的に展開している大手流通企業など様々です。EC化率は今後も上昇すると言われており、さまざまな業種業態の企業がM&Aに取り組み始めている状況です。

業界再編によるM&A

近年EC業界では大手EC事業者による業界再編が進んでおり、グループ力の強化、ITや物流システムなどのテクノロジー活用、顧客基盤・プラットフォームの総合活用による送客強化などを目的として、M&Aが活用されるケースが増えています。

最近の事例では、2019年には「ZOZO TOWN」運営のZOZOをヤフー(現:LINEヤフー)が連結子会社化しており、2022年には美容・コスメ総合サイト「@cosme」運営のアイスタイルがアメリカのAmazonと資本業務提携を締結しました。

そのほかにも、以下のような業界再編事例が報告されています。

  • DCMホールディングスによるエクスプライスのM&A(2022年2月)
  • Eストアーによる志風音のM&A(2022年7月)
  • ギフティによるpaintoryのM&A(2022年9月)

イグジットを目指したM&A

EC業界は参入障壁が低めであるため若手経営者も多く、その経営者が事業を成長させてからイグジット目的でM&Aを行うケースも多いです。

イグジットは企業創設者やファンド(投資家)が事業から離れて資本を回収することを指し、イグジット手段にはIPO(株式公開)やM&Aによる売却などがあります。

IPOは上場審査などがありハードルも高いですが、M&Aによる売却はIPOよりも実現しやすいイグジット手段です。実際にEC事業を売却して得た資金を新しいビジネスの資金に充てるといったケースも多くみられます。

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4. EC業界のM&Aにおける売却側のメリット・デメリット

この章では、EC事業における売却側のM&Aのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

売却側のメリットにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

譲渡利益の獲得

EC事業を売却すると、譲渡利益を獲得できます。会員数・売上などの目安が良ければ、出だしの出資額やM&Aアドバイザーへ払う費用を合わせた額と比較しても、かなりの利益が残せる可能性が高いです。

多くの譲渡利益を獲得すれば、主な事業や新しい事業、引退後の生活資金などに利益が使えるメリットがあるといえます。

後継者不在問題の解決

経営者が高齢の場合などは、早期から事業承継の準備を進めなければなりません。親族や社内に後継者がいなかったり、後継者がいないために、好調なEC事業を辞めたりするケースもあるでしょう。

廃業すれば、築き上げてきたノウハウやブランド力などがなくなってしまう可能性もあります。従業員が雇用を失ったり、取引先に迷惑をかけたりするでしょう。

第三者にEC事業を売却すると、ノウハウや従業員の雇用、取引先との契約などが続けられます。つまり、後継者不在問題を解決できるでしょう。

主力事業への経営資源の集中

EC事業とは別の主力事業がある場合、EC事業に経営資源を分けると主力事業へ十分な経営資源を投入できず、主力事業の業績が悪くなることもあります。

M&Aを行うことで、EC事業に費やしていたリソースを収益性の高い主力事業に投入できます。その結果、会社全体の業績が向上しやすくなるでしょう。

特にEC事業はエンジニアの人件費など毎月のシステム管理に多くの費用がかかるため、売却すればこれらの経費が要らなくなり、資金繰り改善が見込めます。

経営基盤の安定化

中小規模事業者の場合、自社のリソースだけでは事業成長が難しいケースも少なくありません。そのような場合、M&Aを活用して大手企業の傘下となる方法は非常に有用です。

M&A後は買収側の資金を活用できるので経営基盤が安定し、自社のリソース面だけでは難しかった事業拡大にも期待できます。

従業員の雇用継続

EC事業を承継せず廃業するとなれば従業員は解雇しなければなりませんが、M&Aを活用すれば買収側へ雇用契約を買収側へ引き継ぐことが可能です。株式譲渡は売却側の資産・負債を包括的に承継するスキームなので、基本的に雇用もそのまま維持されます。

ただし、複数事業を展開していてEC事業のみを売却する場合は事業譲渡を用いるので、その場合は従業員と買収側とが雇用契約を新たに結ぶ形となるため、従業員の雇用継続を希望する場合は、交渉段階で買収側としっかり話し合っておくことが重要です。

顧客・取引先の継続

M&Aでは従業員の雇用契約だけでなく、顧客や取引先との関係も買収側へ引き継ぐことが可能です。引継ぎ方法は従業員の雇用と同様で、株式譲渡であれば基本的にそのまま継続されます。

一方、事業譲渡では顧客・取引先がM&A後に買収側と新たに契約を結びなおす必要があるので、取引先との関係を引き継ぎたい場合は交渉時に話し合っておくようにしましょう。

個人保証の解除

中小企業事業者が借り入れを行う場合、業種によらず経営者が個人保証を負うケースがほとんどです。個人保証は経営者の負担となるのはもちろんのこと、親族や従業員への事業承継を考えている場合はネックとなりやすく、計画が頓挫することも珍しくありません。

M&Aの場合、経営者の個人保証を買収側が引き継ぐかたちで個人保証が解除されるので、精神的にも非常に大きなメリットです。

デメリット

次に、売却側のデメリットを見ていきましょう。

希望どおりの条件で売却できるとは限らない

「できるだけ高値で売却したい」との思いでEC事業の売却に臨む人は多いですが、M&Aでは買収側との交渉により最終的な条件が決まります。

つまり、買収側の要望によっては、希望どおりの条件で売却できないケースもあるということです。無理やり条件をとおそうとすれば、交渉が決裂する場合もあるでしょう。買収側からニーズのない事業の場合は、M&Aの交渉相手が見つからないこともあります。

経営の自由度が制限されるおそれ

EC事業を会社ごと売却する場合は、社長から退任するとは限りません。買収側からの要望などにより、売却側経営者が残って、引き続きEC事業の運営を続けることもあります。株式を売却するため、会社の支配権は買収側が持ちます。経営の自由度が制限されるおそれがあるのです。

自分の意思決定で運営したい場合は、権限の範囲が広くなるよう、前もって買収側と交渉しましょう。経営者との立場から退いて、新事業を立ち上げるのも良いでしょう。

5. EC業界のM&Aにおける買収側のメリット・デメリット

ここからは、買収側のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

主なメリットは以下の3つです。

新規参入リスクの低減

EC事業に新規参入する際は、市場選定の誤り、システム開発の失敗、ニーズがない商品の販売、顧客が獲得できない、などいろいろなリスクがあります。自社のみでEC事業に新規参入するのは、高い危険性があるのです。

他社からEC事業を買収すると、軌道に乗ったEC事業が得られるので、自力でEC事業を立ち上げるよりも、新規参入リスクを低減できるメリットがあります。

販売網拡大・ECサイト構築の迅速化

販売網の拡大やECサイトの構築には、多くの時間が必要です。EC事業のM&Aを行うと、売れ筋商品、顧客などさまざまな経営資源を一度に取得できるので、自力で販売網拡大やECサイト構築を行うよりもEC事業が迅速に成長するメリットがあります。

ECサイトでの自社製品の販売実現

自社で製造する商品がある場合は、ECサイトにおける自社製品の販売が実現するのも、EC事業を買収するメリットです。ECサイトを利用して商品を買う消費者は増えていますが、顧客のニーズに沿う商品があっても実店舗のみで販売するのは顧客増加に限界が生じるでしょう。

多くの顧客に商品を知ってもらい買ってもらうには、実店舗だけでなくECサイトでの販売が重要です。M&AでEC事業のノウハウを得ることはかなり有用でしょう。

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デメリット

次に、買収側のデメリットです。

事業承継に多くの時間・費用が発生するおそれ

売却側が用いるシステムが古いケースでは、サイトの引き継ぎが円滑に進まなかったり、自社で使用するためにリニューアルが必要となったりするケースもあります。

引き継ぎやリニューアルにはかなりの時間や費用がかかるため、ECサイトを自社開発する方が時間や費用を抑えられることもあるかもしれません。デューデリジェンスをしっかりと行い、前もってECサイトの引き継ぎやリニューアルにかかる時間・費用を確認しておきましょう。

簿外債務・偶発債務を承継するおそれ

EC事業の会社における株式を譲受する場合は、簿外債務や偶発債務を承継するおそれがあります。簿外債務は貸借対照表に載っていない債務、偶発債務は将来的に債務となるかもしれない要素です。

買収側に多大な損失をもたらすおそれがあるため、簿外債務や偶発債務は脅威といえます。前もってデューデリジェンスを実施し、簿外債務や偶発債務の有無・規模をチェックしましょう。大きな損失をもたらす可能性があるケースでは、事業譲渡を活用すると簿外債務や偶発債務を承継しません。

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6. EC業界のM&A相場

EC事業の売却額・M&Aの相場は、一般的に純資産額2~3年分の営業利益または経常利益の5年分です。事業売却と会社売却では、会社売却の方が相場は高くなります。しかし、これはあくまでも簡易的な目安を知るもので、将来の予測する期待値も含まれるため、正しいとはいい切れません。

EC事業の大まかなM&A相場

M&A手法によって、相場の計算式を分けることも可能です。株式譲渡と事業譲渡の大まかな相場を出す計算式を見ていきましょう。

株式譲渡のM&A相場

EC・事業における株式譲渡の相場は、下記の計算式により算出します。

  • 時価純資産+(営業利益+役員報酬)×2~5(年)

事業譲渡のM&A相場

EC事業における事業譲渡の相場は、下記の計算式により算出します。

  • 事業資産+事業利益×2~5(年)

M&A相場を把握しておくべき理由

M&Aの相場を把握するのは、とても重要です。相場を知れば、相場よりも安く事業や会社を売却する事態を避けられるからです。相場を計算すれば、「M&Aを行うべきかどうか」を合理的に判断できます。

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7. EC業界のM&A成功ポイント

自社の通販事業を少しでも高値で売却したいと考えるのは、売り手として当然のことでしょう。EC・事業における売却・M&Aの際に、高値で売るにはどのようにすれば良いのでしょうか。この章では、EC事業の売却・M&Aを行う際に、高値で売るためのポイントを解説します。

①競合と比較して自社の強みを明確にする

1つ目は、自社のECサイトをより高く売却するために、同業他社と比較してどこに強みがあるかを明確にしましょう。M&Aでは買い手にいかに評価してもらえるかが重要です。「もう二度と出会えない好案件である」と思わせる材料が必要となります。

改めて自社の分析を行い、他社にはない技術や特許・ブランド・ノウハウなどを洗い出しましょう。将来的に生み出す利益や事業戦略などを相手にしっかり伝えることも、自社を高値で売るために重要といえます。

②収益性と予測値を明確に提示できる

自社を買収した場合、相手企業にはどのようなシナジーが見込めるのか提示できると効果的です。具体的には、将来の収益性と予測値を明確にします。サイト収支構造に必要な数値は、売上・原価・販売管理費・営業利益です。

例えば、今後3年間の収益予測をリスクケースやアップサイドケースに分けて提示するなど、買い手が判断しやすいものを提示すると良いでしょう。

③運営に必要なデータ・資料などを用意する

売却後の引き継ぎ運営に必要なデータや資料を用意するのも重要です。必要なのは、主に以下4つの業務に関するものです。事前に自社のデータや資料の整理・確認をしましょう
 

①商品管理 商品仕入れ、在庫管理など商品に関する一連の業務
②販促・集客 集客方法やアクセス解析、季節にあわせた販促企画
③サポート業務 顧客管理や問い合わせ対応業務
④売上管理 ECサイト売上管理(入金確認・売掛金回収など)

④業界の動向を把握する

少しでも高額でECサイトの売却を考えるなら、業界の動向を把握するのも大切です。最新の動向を加味し、タイミングを逃さず売却できるよう進めましょう。

今後のECの動向を把握しておけば、これから売却する自社ECサイトの集客や売上計画をより将来性の高い事業計画に反映できます。

⑤シナジー効果の獲得が期待できる相手先を見つける

買収の目的として、経営資源とシナジー効果の獲得があります。優秀な経営資源を所持していても、収益増加やコスト削減などのシナジーが買収先と見込めなければ、高い価格でEC事業を売却するのは困難でしょう。

できるだけ高い額で売却したいなら、自社のEC事業と収益・コストなどの点で、シナジー効果が見込める買収先を探さなければなりません。買収側に期待できるシナジー効果を理解してもらうことも重要です。客観的な数値データ、資料、事業計画などの提示をしましょう。

⑥M&Aの専門家に相談する

EC事業における売却・M&Aの際に高値で売るためには、ここまで述べたポイントを意識して行う必要があります。M&A・事業承継に関する専門知識や交渉力も必要です。

買い手が行うデューデリジェンスに対して提出する資料の精査や、自社の企業価値を上げるために必要な事項の把握などにも専門家のサポートはおすすめでしょう。EC事業における売却・M&Aの際は、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら行うことが、高値での売却・M&Aを成功させるカギといえるのです。

M&A総合研究所では、EC事業のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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会社譲渡(株式譲渡)については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

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8. 買い手が魅力に感じるECサイトの条件

買い手に人気があるECサイトとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、人気があるECサイトの条件を3つ取り上げて解説します。

①評判がよく安定的な利用者がいる

評判が良く安定的な利用者がいるECサイトといえば、Amazonや楽天、yahooショッピングなど大手巨大モール系ECサイトがあります。しかし、大手だから安定的な利用者がいるわけではありません。

サイトの使い勝手はさることながら、即日配送・決済方法・ポイント付与など全てにおいて利便性が非常に高く、ユーザーにとっても多くのメリットがあります。

これに対抗したサービスを急に始めるのは非常に難しいですが、利用者側に立って満足度を向上するために、常にサイトの改善を行うことが重要といえるでしょう。

②UI・UXの品質が高い

買い手はECサイトでの取扱商品や顧客層だけでなく、売れるECサイトを考えるうえで、サイト自体のUI・UXも重視します。UIとは、スマホ・PC・タブレットで表示される、サイト上で目にするデザインで、UXはサイトのサービスを通して体験しうるものをいいます。

売れるECサイトは、バナーボタンや、アイコンを複合的に組み合わさった設計されており、商品コンセプトや魅力が消費者に伝わります。一方で、購入ページまで到達しにくいECサイトや商品の情報が見づらいサイトは、サイト訪問者の離脱率を高め、再訪問の可能性を下げてしまう可能性が高いです。

したがって、買収価格の評価を下げる要素とならないように、ECサイトのUIとUXを高めておく必要があります。

③取扱商品に今後も需要がある

取扱商品は、今後も需要がある商品構成であることが求められます。そもそもEC市場は参入障壁が低いためコモディティ化しています。他サイトと同じ品ぞろえでは生き残るのも厳しいです。

自社ECサイトの顧客満足度が高い商品構成にするのが大切です。Amazonのロングテールを狙った商品ラインアップは有名ですが、ある特定のカテゴリーに絞り込んで一定の顧客層に需要がある商品ラインアップにするのも一つの方法といえるでしょう。

9. EC業界のM&Aで注意する点

EC業界のM&Aで注意すべき代表的な内容は、以下の3点です。

取引基本契約書を確認

取引基本契約書とは、企業間で行われる継続的な取引に共通適用される基本的な条件(契約条件)について、あらかじめ合意した内容をまとめたものです。

EC業界のM&Aにおいては、取引基本契約書のなかでも特にCOC条項の内容をしっかり確認しておく必要があります。COC条項は、一方の当事者にM&Aなどで支配権あるいは経営権の移動や変更が生じたときに、契約内容の制限や契約の解除を可能にする取り決めです。

COC条項は販売先や販売先との間で結んだ基本契約書などに盛り込まれており、既存取引先に対する通知義務の有無が記載されている場合もあるので内容をよく確認し理解しておく必要があります。

ロックアップ期間の確認

M&A後は譲渡側の経営者が引き継ぎのために一定期間にわたり買収側企業で業務にあたることが多いです。この引継ぎ期間は「ロックアップ」とよばれ、その期間は譲渡側・買収側の話し合いで決まります。

EC業界は若い経営者が多いため、買収側がロックアップ期間を5年や10年など長めに希望するケースもある一方で、譲渡側の経営者は次の事業をできるだけ早く始めたいと考えることもあるでしょう。ロックアップ期間をどのくらいにするかは譲渡側・買収側とでしっかり話し合っておき、条件面も併せて確認しておくことが重要です。

PMIの進め方

M&Aの成功はPMIにかかっているといわれることも多く、シナジーなどの効果を最大化するためにはPMIの進め方が重要です。EC業界は異業種とのM&Aが多く、特に買収側が新規参入目的でM&Aを行った場合はPMIがうまくいかなければ新規事業は失敗する可能性が高くなります。

PMIを計画的かつ慎重に進めていかなければM&A後の事業成長が難しくなるため、買収側だけでなく譲渡側も交渉段階から話し合っておくことが重要です。

10. EC業界のM&A事例15選

EC事業の売却事例について15選を見ていきましょう。売却事例の多くは、新規買収ではなく、自社ECの事業拡大を目的としたEC事業の売却であることが特徴です。

①クウゼンによるアルファコムのM&A

IKホールディングスは、2024年5月20日に開催された取締役会で、連結子会社であるアルファコム(東京都千代田区)の発行済株式の全てを株式会社クウゼン(東京都千代田区)に譲渡することを決定しました。

2024年5月20日現在、IKホールディングスはアルファコムの発行済株式の97.9%にあたる184万株を所有しており、譲渡までに他の株主から残りの2.1%を取得した後、全株式を譲渡する予定です。この株式譲渡により、アルファコムは2025年5月期からIKホールディングスの連結子会社から外れることになります。

IKホールディングスは、食品、化粧品、雑貨など幅広いジャンルの商品を企画、製造、物流まで一貫して行うマーケティングメーカーです。

アルファコムは、通話音声録音システム「Voistore」とチャットシステム「M-TALK」を主力商品とするITソリューション事業を展開しています。

クウゼンは、対話デザインプラットフォーム「クウゼン(KUZEN)」の開発、販売、運用を行っています。

ITソリューション事業は技術の進歩に伴い急速に変化しており、また、IKホールディングスグループの他の事業との親和性が低いため、IKホールディングスは事業の選択と集中および経営資源の中長期的な最適配分の観点から、この株式譲渡を決定しました。

連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

②GMOペパボによるONEのM&A

2022年10月、GMOペパボは、ONEよりNFT(非代替性トークン)のオリジナルグッズ購入サービスである「Super NFT Products」事業を取得しました、

ONEは、インターネット事業を運営する会社です。GMOペパボは、GMOインターネットの子会社で、ハンドメイドマーケット「minne」やレンタルサーバー「ロリポップ!」、ネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」などを運営する会社です。

今回のM&Aにより、GMOペパボはさらなるクリエイターの創作活動の機会や場を創出する取り組み、活動支援に注力する予定です。

GMOペパボ、ONE株式会社のNFTオリジナルグッズ購入サービス「Super NFT Products」事業を譲受 〜運営サービスにおけるWeb3関連技術適用の取り組み加速と、クリエイターの活動支援によるクリエイター・エコノミー拡大への寄与を目的に〜

③ギフティによるpaintoryのM&A

2022年9月、ギフティは、paintoryのすべての株式を取得し、子会社化しました。ギフティは、eギフトの発券から流通・販売まで一気通貫で提供するプラットフォーム事業を展開する会社です。

paintoryは、岡山県津山市に拠点を置くオリジナル衣料品の制作・販売プラットフォームを運営する会社です。paintoryはクリエイターによるオリジナルの商品、ストア開設、販売などの支援を行うWebサービスを展開しています。

今回のM&Aにより、ギフティはオリジナル衣料品を新たな商品コンテンツとして、法人の福利厚生領域における新規需要を獲得する見込みです。

株式会社paintoryの株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

④Eストアーによる志風音のM&A

2022年7月、Eストアーは、志風音の株式50.17%を取得し、子会社化しました。志風音は、2004年創業のファッション、スキー・スノーボードなどのスポーツ、ランドセルなどの企画、生産、小売りなど展開するアパレル企業です。

Eストアーは、ECサイトの構築、ネット通販の運営コンサルティングから各種代行サービスまで行う企業です。今回のM&Aにより、志風音が保有する商品力・企画力と、Eストアーが得意とするECのノウハウを融合し、事業拡大を図ります。

⑤楽天と日本郵政のM&A

2021年3月、EC事業だけでなく、金融や旅行などさまざまなサービスを提供するIT企業である楽天は、日本郵政と資本業務提携を締結しました。これに伴い、日本郵政は楽天からの第三者割当増資を引き受けています。

両社は、モバイル事業の強化や、DXの推進、物流拠点の構築などを目的としてこのM&Aを行いました。今後は、EC事業や金融面での協業も視野に入れています。

日本郵政グループと楽天グループ、資本・業務提携に合意

⑥ロコンドによるFashionwalkerのM&A

2020年7月、靴とファッションのECサイト「LOCONDO.jp」を運営するロコンドは、株式譲渡により、ワールドの子会社であるFashionwalkerの全株式を取得し、子会社化しました。

ロコンドは、アパレル領域のEC事業強化をつなげるのが狙いです。売り手側のワールドは、自社ブランドの「WORLD ONLINE STORE」を中心とした事業の収益向上に集中します。

株式会社 Fashionwalker(完全子会社)との吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

⑦TSIホールディングスによるEfuego CorpのM&A

2020年3月、アパレル企業のTSIホールディングスは、アメリカでスノーボードなどを中心としたスポーツ専門のECサイトを運営するEfuego Corpの株式88%を取得し、子会社化しました。

TSIホールディングスは、アメリカ現地子会社とのシナジー効果やアメリカ進出の際の共通プラットフォームとしての機能を果たすことを期待しています。

参考:株式会社TSIホールディングス「Efuego Corp 社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

Efuego Corp 社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

⑧ヴィーダによるインタートレードヘルスケアのM&A

2020年1月、ヴィーダは、健康補助食品や化粧品販売のインタートレードヘルスケアの通信販売事業を事業譲渡により取得しました。

ヴィーダは会員コミュニティーの運営や冠婚葬祭事業を展開しています。

インタートレードヘルスケアはインタートレードの子会社です。主力商品である、機能性キノコ「ITはなびらたけ」などの自社商品販売に経営資源を集中させます。

連結子会社の一部事業譲渡に関するお知らせ

⑨ナガホリによるジェイウェルのM&A

2019年6月、ナガホリは宝飾品 EC サイトの企画・運営を行うジェイウェルと資本業務提携および一部株式を譲受により取得しました。

ナガホリは販売チャネルの拡大を目指し、ECサイトでノウハウのあるジェイウェルと共同で商品企画や人材交流を行い、EC市場での商品企画力と販売力の強化を図ります。

ジェイウェル株式会社との資本業務提携および普通株式の譲受けについて

⑩ロコンドによる千趣会の運営の「モバコレ」のM&A

2019年3月、靴とファッションのECサイト「LOCONDO.jp」を運営するロコンドは、千趣会より取得価額4億4,800万円でモバコレの全株式を取得し、完全子会社化しました。

モバコレは20代女性向けのファッションを主力商品とし、ロコンドが訴求できなかった層を取り込んで効率的な運営を行うためにM&Aを実施しています。

株式会社モバコレの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

⑪ナックによるインフィニティービューティーのM&A

2018年12月、ナックは子会社のJIMOSを通じてインフィニティービューティーの株式を譲受し、子会社化しました。

ナックは、インフィニティービューティーが運営しているEC事業におけるノウハウの取得およびJIMOS社から販売しているオリジナルブランドの化粧品販路拡大、インフィニティービューティーの商品ラインアップ拡充や販売力強化を目的として当M&Aを実施しています。

当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

⑫エイジアによるハモンズ(ベビー服EC事業)のM&A

2018年9月、エイジアはハモンズからベビー服ECサイトの事業譲受を行いました。

エイジアは、ハモンズにおけるベビー服EC運営のノウハウを収集・活用し、主力製品の「WEBCAS」シリーズの強化改善や自社マーケティングコンサルティングサービスのノウハウ確立を目指します。

EC 事業の譲受けおよび子会社設立に関するお知らせ

⑬BEENOSによる帝国酒販のM&A

2018年3月、「Buyee」「セカイモン」などグローバルなEコマースを展開するBEENOSは、帝国酒販の全株式を取得し、完全子会社化しました。

帝国酒販の持つ酒類販売店や自社ECサイト「銘酒専門店 帝国酒販」、国内大手ECモールなど、仕入れ・販売網と自社が持つクロスボーダー部門のノウハウなどを合わせることで相乗効果を得ることが目的です。

酒類の買取専門店「JOY LAB」の運営とインターネット販売を行う「株式会社帝国酒販」を完全子会社化

⑭TGビジネスサービスによるアウトレットプラザのM&A

2018年2月、トランスジェニックの子会社であるTGビジネスサービスは、アウトレットプラザの全株式を取得し、完全子会社化しました。

トランスジェニックグループは、アウトレットプラザの販売システムやノウハウを生かし、新規ビジネスモデルに向けた事業展開や各種検査サービスの販売力強化を目的とします。

当社子会社による株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ

⑮アエリアによる株式交換によりECサイト「Hybrid Mind Market」キャラクターコンテンツ企画・販売のGG7のM&A

2017年10月、ITサービス事業を主軸にコンテンツ開発配信を行っているアエリアは、GG7を株式交換により完全子会社化しました。

アエリアは、GG7のアニメやゲーム関連の商品開発、ECサイト「Hybrid Mind Market」の商品企画力や販売ノウハウを活用し、グループの事業基盤強化と企業価値向上を図ります。

簡易株式交換による株式会社GG7の完全子会社化に関するお知らせ

11. EC業界のM&Aにおける積極買収企業

ここでは、EC事業の売却・M&Aを積極的に買収している企業を紹介します。

①いつも

主にECサイトの総合支援事業でトップクラスの実績をあげる「いつも」をご紹介します。

買収対象領域は、ECにて販売可能な商品やサービスを提供している企業や、ECサポートを全般的にサポートする企業、Amazonや楽天市場などのプラットフォーム、自社ECサイトに出店しているブランドや企業などです。

赤字不問、オンライン面談が可能で、事業提携や出資も検討している点が特徴です。

②オズビジョン

主に運営サービスで業界トップクラスの流通総額を記録する「オズビジョン」をご紹介します。

買収対象領域は、美容・コスメ、健康やダイエット、食品全般、医薬・介護、ベビー・キッズ・マタニティ、ペット関連などです。オンライン面談も実施し、事業提携を検討するのが特徴です。

③ファインドスターグループ

豊富なグループ企業育成ノウハウをもつ「ファインドスターグループ」をご紹介します。

買収対象領域は、EC企業、BtoB企業を主な対象とするダイレクトマーケティング支援、EC商品に同梱(どうこん)されるチラシやサンプル、DMチラシ、Web広告などです。「起業家を輩出する」といった独自のグループ経営スタイルをとっているのが特徴的です。

④メディエア

インターネット通販分野に特化した運用・分析・マーケティングなどを提供するECコンサルティング企業である「メディエア」を紹介します。

ECコンサルティング事業、EC運営代行事業、自社EC事業の3領域を展開しています。これまでに培ってきた実績を基に、今後発展が見込まれるD2C市場におけるプラットフォーム企業を目指したい考えです。

⑤ブループリント

主にスマホの修理や買取専門店を行っている「ブループリント」をご紹介します。

買収対象領域は、ECサイト運営企業、Webメディア運営企業、ブランド品・ガジェット系のリユースを行っている店舗所有の企業などです。事業提携や出資を検討し、2カ月でクロージングが可能です。

⑥バリューコマース

コマース事業者の新規顧客の獲得や売上アップなどのパフォーマンスを最大化するために、トータルソリューションを提供する「バリューコマース」を紹介します。

バリューコマースは、アフィリエイト・サービス・プロバイダー事業のほか、さまざまなサービスを展開しています。ソフトバンクグループ傘下のZホールディングスグループの一員として、主にYahoo!ショッピングやPayPayモールに出店するストア向けなどにサービスを提供しています。

⑦丸井織物

1937年創業の織物生産で業界をリードする「丸井織物」を紹介します。

丸井織物は2015年にネット事業部を立ち上げ、Eコマースビジネスを中心とするIT事業を新しい軸として、繊維製品をメインとするECシステムの開発・運営を行っています。繊維×ITの組み合わせによって、イノベーティブな事業の創出を目指しているのです。

オリジナルTシャツやラインスタンプ作成などの新規サービスに参入し、システム開発体制とリスティング広告などを活用したWeb集客を行っています。

会社売却のメリットとデメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社売却とは?手続きの流れやメリットデメリットなど徹底解説!

12. EC業界のM&Aを行う際の相談先

EC事業の売却・M&Aを行う際、どこに相談すべきか悩む人も少なくありません。M&Aの相談先には、M&Aアドバイザリー・M&A仲介会社・マッチングサイトがあります。ここでは、これら3つの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。

①M&Aアドバイザリー

M&Aアドバイザリーは、M&Aに関する専門的な知識を持ち、買収側・売却側いずれかの側に立って助言・戦略策定・交渉を行い、依頼主の利益が最大になるよう業務を行います。M&Aコンサルタントやファイナンシャルアドバイザーと呼ばれることもあります。

M&Aアドバイザリーの業務範囲は、財務会計や税務・法律関連、M&A戦略策定・デューデリジェンス・バリュエーション・PMIなどの業務に加え、代理人としての交渉を行うなど多岐です。

依頼するM&Aアドバイザリー会社によって料金は異なります。大手アドバイザリー会社に依頼した場合は、成功報酬以外に着手金や各種手数料などがかかることも多いです。

費用は数百万~数千万になることもあります。依頼する場合は費用に見合った規模であるか検討したうえで行いましょう。

②マッチングサイト

マッチングサイトでは、買い手と売り手それぞれが募集をかけ、自身で相手先を探せます。手軽に利用できて相手先と直接交渉を行えるため、費用を抑えられる点がメリットです。しかし、情報漏えいのリスクや交渉が難航する可能性などデメリットも存在します。

特に交渉ではM&Aに関する専門的な知識が必要となるため、経験や知識が乏しければ成功させるのは非常に難しいといえるでしょう。

マッチングサイトには、交渉したい相手先が見つかったら、仲介サポートに切り替えができるサービスを行うところもあります。心配な場合はこのようなマッチングサイトを活用しましょう。

③M&A仲介会社

M&Aアドバイザリーは、買い手売り手どちらかの利益が最大限になるよう業務を遂行します。M&A仲介会社は、両社の間に立って双方にメリットがあるよう中立的な仲介を行います。

両社のマッチングを行い、最終条件の落しどころを探るよう交渉を進めるので、仲介会社に依頼するのが最も成約しやすいといわれているのです。

M&A仲介会社には、中小規模案件のサポートに特化しているところが多く見られます。料金面でもアドバイザリーに比べると安く設定されていることが少なくありません。

無料相談を行う会社も多いです。どのような案件実績があるか、サポート体制はどのようなものかなど、まずは相談してみることをおすすめします。

13. EC業界のM&A費用

EC事業の売却・M&Aを行う際は、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。成約したときに発生する成功報酬以外に、相談料・着手金・中間金・デューデリジェンス費用などの手数料があります。

一般的にかかる費用は以下のとおりです。どの費用がかかるのか、手数料率の割合はどの程度かといった点は、依頼する会社により異なるため、事前確認が必要です。

  • 相談料:最初の依頼に関する相談する料金、無料のところが多いがかかる場合は5,000円~1万円程度が相場
  • 着手金:M&Aを仲介会社に依頼する際に発生する支度金、かかる場合の相場は100万円程度
  • 中間金:売却先と基本合意書を締結したときに発生する料金、相場は相場は50万~200万円程度
  • リティナーフィー(月額報酬):M&Aが終了するまで毎月払う報酬、相場は月額30万〜300万円程度
  • デューデリジェンス費用:M&A買収先の調査費用、中小企業の相場は50万〜300万円程度(調査範囲によっても変わる)
  • 成功報酬:M&Aの契約が成立し最終契約書を結ぶ際に支払う手数料、レーマン方式を採用している会社が多い
  • 実務実行費用:業務を行ううえでかかる経費(実費)

会社買収にかかる費用の目安については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】会社買収にかかる費用の目安を徹底解説!M&A仲介手数料を抑える方法は?

14. EC事業の売却・M&Aにおすすめの仲介会社

EC事業の売却・M&Aを成功させるためには、M&Aに関する幅広い知識に加え、高い交渉力も必要となるため、M&A仲介会社など専門家のサポートがおすすめです。

M&A総合研究所では、案件ごとに知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーが専任で就きます。戦略策定・交渉・クロージングまでフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、EC事業の売却・M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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15. EC業界のM&Aまとめ

EC業界は拡大を続けており、将来性も高いだけに業界再編のM&Aも活発化しているのが現状です。EC事業はITとの融合でビジネストレンドの流れが速いため、売却する事業の評価が下がる前に売却したい人もいるでしょう。

その際は、成功させるポイントを意識して売却を行うことが重要です。EC事業の売却・M&Aを行う際は、自社に合った戦略策定や相手先との交渉など、専門的な知識や経験が必要です。専門家のサポートを受けながら行いましょう。

16. ネット通販・EC業界の成約事例一覧

17. ネット通販・EC業界のM&A案件一覧

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