2023年09月21日更新
EPSとは?仕組みから計算方法・PERとの関係性まで徹底解説!
EPSとは、1株当たりの純利益(当期利益や当期純利益)とも呼ばれ、企業を評価する際に使用される指標のひとつで1株当たりの利益がどれだけあるのかを示すものです。投資をする際に知っておきたいEPSの、仕組みから計算方法など徹底解説していきます。
1. EPS(1株当たり利益)とは?
EPSとは、Earnings Per Shareの略語で、1株当たりの純利益(当期利益や登記純利益など)といわれ、企業を評価する際に使用される指標のひとつで、1株当たりの利益がどれだけあるのかを示すものです。
株式投資をする際、1株あたりどれだけ利益がでるのかを調査する際に使用されます。
株式投資において覚えておくべき用語になるので、理解した上でESPを活用できるように見ていきましょう。
EPSは何の指標?
EPSの数値は主に投資の判断基準として使用されます。
1株あたりの利益を示す指標であるため、EPSが高ければ高いほど株価は上昇しやすくなり、少なくなればなるほど低くなります。
そのため、EPSの推移によって、企業の株価が割高か割安か判断ができるのです。
企業の1株当たりの利益を確認したいときは、EPSを確認しましょう。
EPSの仕組み
EPSは「当期純利益」と「発行済株式総数」を使用して計算ができます。
ESPの計算をすることで、一株で会社がどれだけ利益を生み出したか判断することが可能です。
投資家(株主)はこの仕組みを理解し、自分の利益を生み出そうとしているのです。
そのため、投資家にとって重要な1株あたりのESPを常に確認しています。
利益だけでなくESPが上がることで、企業にとっても投資家にとってもメリットがあるため、投資をする場合はESPの仕組みを理解する必要があります。
EPSの計算方法
EPSの計算方法について解説していきます。
EPSは以下の計算式で算出できます。
EPS=当期純利益÷発行済株式総数
例えば、A社とB社がそれぞれ1億5,000万円の純利益を出した場合を仮定して比較していきましょう。
A社の発行株式数は10万株でした。
以上のことを計算式に当てはめると以下の通りです。
当期純利益(1億5,000万)÷発行済株式総数(10万株)=1,500円
となります。
一方、B社の発行株式総数は20万株でした。
同じように計算式に当てはめてみましょう。
当期純利益(1億5,000万円)÷発行済株式総数(20万株)=750円
となります。
上記のように計算すると、A社の方がB社より利益が高いことが分かります。
EPSと株価の関係は?
EPSと株価の関係は密接に関わっています。
EPSをみることで、1株当たりの利益がわかるので、その企業にどれだけ投資をできるのか判断をすることができるからです。
EPSを確認しなければ、1株当たりの利益が分からないため、その株に投資をしていいのか分かりません。
もし、分からないまま投資をしてしまうと、損をする可能性があるのです。
だからこそ、EPSは株価との関係においても密接だと考えられます。
2. EPSとPER(株価収益率)の関係性
ここからは、EPSとPERの関係性について解説していきます。
株式投資をしていると、PERという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
株式投資にはさまざまな投資用語が使用されますが、PERは、株式投資を行う上でも知っておかなければいけない用語です。
PERを理解していないと、投資をするときに苦労する可能性があるため、しっかりと確認していきましょう。
PERとは?
PERとは、Price Earnings Ratioの略語で、株価収益率といわれており、企業の収益に対する株価が1株あたり割安か割高か判断するための指標のひとつです。
PERは以下のようなタイミングで活用することができます。
・投資する株を探すとき
・株を手放すタイミングが知りたいとき
・市場全体が値下がりしているとき
株式投資をするにあたって、PERを活用しなければ得られるはずの利益も見逃してしまい、損益が出てしまうことがあるので理解しておく必要があります。
このPERとEPSを組み合わせることで、「いま1株当たりの当期純利益の何倍で、株が購入されているのか」判断することができます。
EPSが大きくなるほどPERは小さくなる
PERは、株価をEPSで割るので、EPSが大きくなればなるほどPERは小さくなります。
このEPSの増加によってPERが下落する状況は一時的なものにはなりますが、PERの倍率が低い株は購入するということになるのです。
そして、投資家がこの株を購入することによって株価が上昇します。
上記のことからもEPSとPERが密接な関係にあることも理解できるのではないでしょうか。
3. EPSとROEの違いは?
株式投資をしているとROEという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ROEも、株式投資をする上で重要な用語となり、活用する場面が多くなります。
株式投資は、株を購入した企業の利益が上がれば、株の価値も上がります。
このように、株を購入した先の企業が、どれだけの利益を出したのかをみるときに使うのがROEです。
それでは、ROEとEPSについて見ていきましょう。
ROEとは?
ROEとは、Return On Equityの略語で「自己資本利益率」ともいわれており、株主が出資したお金を元手に、企業がどれだけのリ機器を上げたのか数値化したものです。
そのため、企業がどれぐらい効率良くお金を稼いでいるのかを示す指標でもあります。
ROEの計算方法は以下の通りです。
ROE=当期純利益÷自己資本×100
例えば、A社とB社が共に自己資本100億円保有しており、当期純利益が異なった場合において計算してみましょう。
A社ROE=当期純利益(5億円)÷自己資本100億円×100=5%
b社ROE=当期純利益(10億円)÷自己資本100億円×100=10%
上記のように、当期純利益が大きいB社の方がROEが高くなり、経営効率がいいと判断できます。
EPSとROEとの関係性
EPSとROEの関係について紹介します。
ROEは、EPSでも計算することができるのです。
計算方法は以下の通りです。
ROE=EPS(1株当たりの当期純利益)÷BPS(1株当たり純資産)×100
上記のように算出することができます。
つまり、ROEを計算するためにはEPSを理解する必要があるということです。
4. EPSの活用方法
EPSは、企業の収益力を見るのに役立つ指標のひとつです。
そのため、投資においてEPSは以下のような場面で活用することができます。
・EPSを株式投資の判断基準にする
・株価の上昇・下落率を予想する
・M&A実施後の株式購入の際に活用する
・PER・ROEを計算する際に活用する
それでは、それぞれについて見ていきましょう。
EPSを株式投資の判断基準にする
EPSは、1株当たりの利益がどれだけあるのか示す指標であるため、株式投資の判断位は必要不可欠です。
もちろん投資家は、1株あたりの利益が高い方が得をし、1株当たりの利益が少ない方が損をします。
そのため、EPSを見て企業の状況を確認した上で投資を検討することが可能になります。
1株当たりの利益を確認したいときに活用しましょう。
株価の上昇・下落率を予想する
投資をしていると、株価の上昇や下落率が事前に分かれば投資がしやすいと思う方も多いのではないでしょうか。
株価の上昇や下落率を確実に判断することはできませんが、少しでも利益を上げるための予想は可能です。
EPSの増減は純利益に比例するため、純利益が減少すれば、EPSも減少します。
そのため、EPSが順調に上がっているようであれば、将来的にみて株価が上昇する確率があります。
一方、EPSがどんどん減少していくようであれば、将来的にみて下落する確率が高いと考えられるでしょう。
EPSは、株価の上昇・下落率を予想することができる判断材料でもあるため、確認を行うようにしましょう。
M&A実施後の株式購入の際に活用する
EPSは、1株当たりの利益を確認する指標であるため、M&A実施後の株式を確認し購入の検討をすることができます。
また、M&Aにおいて合併など行った後、株式を統一するために株式交換を行う際に、判断材料としてEPSが用いられることがあるのです。
M&Aを行うことで、売り手企業の株価と同じ価値分の自社株を新規発行して株式交換を行う意外にも、自社株を会社が買い取って保有している株と交換するケースなどの方法があります。
発行済株式総数が増加する場合、EPSが下がるようになるので買い時になるということです。
このように、M&A実施後の株式購入の際に活用することができます。
PER・ROEを計算する際に活用する
EPSでは、PER(株価収益率)とROE(自己資本利益率)を計算する際に活用できます。
ROEは、前述でも解説した通り、株主が投資した資金に対してどれだけの利益が生み出されているのか、を判断することができます。
PERでは、1株当たり利益の何倍まで株価が購入されいてるのか、を判断することができます。
計算方法に関しては以下の通りです。
ROE=EPS(1株当たりの当期純利益)÷BPS(1株当たりの純資産)×100
PER=株価÷EPS(1株当たりの当期純利益)
EPSは、様々な場面で活用することができるので、理解をしておくと株式投資の際に役立つでしょう。
5. EPSを確認する際の注意点
ここからは、EPSを確認する際の注意点について解説していきます。
注意点は以下の通りです。
・EPSが上がる=会社の利益ではない
・EPS成長率も重要
・株式分割や株式併合の影響を受ける
注意点について理解をしていないと、思いもよらぬことで損をする可能性があるので、必ず確認しましょう。
EPSが上がる=会社の利益ではない
EPSにおいて注意しなければならないのは、EPSが上がったからといって会社の利益が上がったとは限らないことです。
EPSには、会社の利益以外にもEPSが上がる方法があります。
それは、自社株買いなどによりESPが上昇することです。
その企業の業績は向上していなくても。自社株を購入することでESPが上がります。
そのため、EPSが上昇したからといって投資判断をするのではなく、なぜ上昇したのか理由を考えてから投資を行いましょう。
EPS成長率も重要
EPS成長率とは、EPSが毎年何%成長したかを示す指標です。
計算方法は以下の通りです。
(当期EPSー前期EPS)÷前期EPS×100
EPS成長率が高ければ高いほど、成長性が高いと判断できます。
一般的に、成長率が0%を超えなければ成長性があり、0%を下回れば後退していると考えられます。
EPSだけで判断するのではなく、EPS成長率も同時にみて判断することで、リスク回避をすることができるのです。
株式分割や株式併合の影響を受ける
株式分割や株式合併によって、EPSが上下する場合があります。
M&Aを行うということは、少なくとも株には何かしらの動きがあるため、EPSに影響する可能性が高いです。
株式分割や株式合併によって、EPSが上昇する可能性もありますが、減少する可能性があるため、M&Aが起きたときは、EPSの動きを必ず確認しましょう。
6. 純利益ではなく一株あたりのEPSに着目しよう!
株式投資は、投資による利益を増やしたからといって、利益ばかり出ている企業に投資するケースが多いです。
利益が出ている企業に投資をするのは間違いではありません。
しかし、利益が出ているからといって投資をすると、損をする可能性もあります。
投資をするからには損を無くし、利益を得るためにはEPSに着目し、なぜEPSが上昇しているのかなど確認する必要があります。
ただ単に、EPSが上昇しているから大丈夫、と考えてしまうと実は利益が全然得られていないケースもあります。
EPSに着目し、しっかりと分析をすることで、優良企業でなくても、しっかりと利益を生むことができます。
一概に利益が出ているから投資をするのではなく、客観的になぜ利益が出ているのか分析をした上で株式投資を行いましょう。
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