M&Aにおける100日プランとは?手順から策定方法・成功のポイントまで解説!

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aにおける100日プランとは、企業統合後、最初の100日間の計画を立てることです。この記事では、100日プランの策定方法と成功のポイントである経営統合(PMI)の重要性やシナジー効果の確保など100日プランで成し遂げるべきことを解説します。

目次

  1. M&Aにおける100日プランについて
  2. M&Aにおける経営統合(PMI)の重要性
  3. M&Aにおける100日プランで成し遂げるべきこと
  4. M&Aにおける100日プランの手順と内容
  5. M&Aにおける100日プランを成功させるポイント
  6. M&Aにおける100日プランは専門家のサポートを受けて策定するのがおすすめ
  7. M&Aにおける100日プランの相談先となるM&A仲介会社の選び方
  8. M&Aにおける100日プランはM&A仲介会社に相談しよう
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1. M&Aにおける100日プランについて

それでは、経営統合(PMI)の重要性や、シナジー効果の確保、企業統合の成功など、M&Aにおける100日プランの基本的な概念を解説します

経営統合(PMI)とは

経営統合(PMI)は、Post Merger Integrationの略で、2つ以上の企業が統合した後の成果を最大化させるためのプロセスを指します。これは、M&Aの成功に大きく影響を与える重要な段階です。
 
また、M&Aの成功は、PMIの成功にかかっているといわれるほど重要です。PMIの業務は、経営統合、意識統合、業務統合に分類されることが多く、どれも成果の最大化やリスクを抑える効果を目的にしています。

【関連】買収・M&A後のPMIとは?重要性や手法、流れ、ポイント、事例を徹底解説!

M&Aにおける100日プランとは

M&Aにおける100日プランは、企業統合後の最初の100日間を計画するもので、新たな組織体制の確立や事業戦略の策定など、統合成功のための重要な課題を解決します。成約直後から100日間に行う作業の計画やスケジュールを指し、PMIの初期段階に集中的に行われるプロセスです。

2. M&Aにおける経営統合(PMI)の重要性

M&Aでは、企業買収だけでなく、その後の経営統合(PMI)が成功の鍵となります。PMIは新たな一体感を生むプロセスで、統合後の混乱を防ぐ役割があります。
 
不十分なPMIは問題を引き起こし、M&Aの失敗につながる可能性があるため、自社と相手企業の理解を深め、リスクや文化、慣習を調査し、働きやすい環境を整えることが重要です。

シナジー効果を確実に得るため

M&Aの目的はシナジー効果の実現です。100日プランはそのための行動計画だといえます。
 
買収後の経営統合(PMI)が成功すれば、さまざまなシナジー効果が期待できるでしょう。例えば、重複する事業や資源を整理し、事業の効率化、生産性の向上、コスト削減が挙げられます。
 
逆にいえば、PMIの計画が不十分だと、シナジー効果が得られない可能性があります。そのため、PMIの策定と統合プロセスの優先順位設定が重要です。
 
これにより、シナジー効果を得られる可能性が高まるでしょう。

企業の統合を成功させるため

企業の統合は、単に組織を一つにするだけではなく、ビジョンの共有、文化の融合、従業員のモチベーション向上など、多くの課題を伴います。100日プランは、これらの課題を解決し、統合を成功させるための重要な計画です。

3. M&Aにおける100日プランで成し遂げるべきこと

次にM&Aにおける100日プランで達成すべき具体的な目標として、PMIに取り組むリームの確立、従業員の職場環境を整えることや事業の引継ぎなどの内容を解説します。

PMIに取り組むチームの確立

M&A成功のためには、PMIに専門的に取り組むチームの確立が重要です。このチームは統合の全過程を担当し、成功へ導く役割を果たす必要があります。
 
初期段階でPMI推進者やプロジェクトチームを結成し、体制を整える必要があるでしょう。社内だけで解決が困難な場合は、支援機関からサポートを受ける検討が必要です。

従業員の職場環境を整える

企業統合後の従業員の職場環境整備は、モチベーション維持と生産性向上につながります。M&A後は従業員に不安が生じやすく、これがシナジー効果の阻害要因となります。
 
企業文化の融合、人事評価制度や就業規則の統合などを通じて、従業員の不安を解消し、ポジティブな意識を持って仕事に取り組む環境を整えることが重要です。

事業の引継ぎ

事業の引継ぎは、統合後の事業運営を円滑にするために重要です。現状把握から引継ぎ計画の策定、実行までを丁寧に行います。
 
そして、PMI初期に取引先と連絡を取り、100日プランで主要取引先への説明、及び業務フローの交渉を行います。契約交渉が難航する場合もあるため、その後のPMIでも引継ぎ対応を続けます。
 
これにより、円滑な事業引継ぎが可能です。

コミュニケーション・交流の場を設ける

新たな組織の一体感を形成するためには、コミュニケーションと交流の場の設定が重要です。これにより、従業員間の信頼関係を築き、組織の一体感を高められるでしょう。

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4. M&Aにおける100日プランの手順と内容

続いて、M&Aにおける100日プランの策定と実行の手順を解説します。この流れ、手順を把握し、実行すればM&Aの成功につながる可能性が高まるため、まずはM&A成功に向けた手順をつかみ取る様にしましょう。

①担当者の決定

まずは、100日プランの策定と実行を担当するメンバーの選定が必要です。これらのメンバーは統合の成功に向けて、課題解決に取り組みます。
 
そして、買収側と売却側から選ばれた混成チームで、PMIの計画を策定します。M&Aの実施は機密情報であるため、信頼できるメンバーの選定が必要不可欠でしょう。

②現状把握と課題の明確化

事業統合に向けて、現状のビジネス環境や組織の状況を把握し、課題を明確にすることが重要です。買収側が主導で、現行のシステムや管理体制を基に100日プランを策定します。
 
しかし、売却側のシステムやルールが合理的な場合もあるため、現状分析を行い、課題を洗い出すことも必要です。

③100日プランの策定

100日プランの策定は、現状把握と課題の明確化に基づきます。このプランは統合成功を目指す具体的な行動計画です。
 
組織の統合・再編と事業の統合という2つの課題について、「何を」「どんな順番で」「誰が」「どのように」行うかを決めます。M&Aに慣れていない場合は、M&A仲介会社やコンサルティング会社に相談し、課題の洗い出し、アクションプランの策定をおすすめします。

④プランの実行と効果の検証

策定した100日プランの実行とその効果の検証は、統合の進捗管理とプラン修正に必要です。クロージング後に計画に沿ってアクションプランを実行します。
 
計画を進めるにあたって、PDCAを回していくと、より統合の円滑な進行と成功を目指せるでしょう。

5. M&Aにおける100日プランを成功させるポイント

次に達成すべき目標の明確化、担当者間の連携、早期スタート、M&A専門家への相談など、100日プランを成功させるための重要なポイントを解説します。

達成すべき目標を明確にする

100日プランの成功には、達成すべき目標の明確化が重要です。これにより、具体的な行動計画の策定と進捗管理が可能です。
 
100日プランは、優先度の高い課題に集中的に対策し、短期的な目標と中長期的な目標を明確にしなければなりません。それぞれを適切に分けて取り組むことが求められるでしょう。

担当者同士の連携

100日プランの実行は、担当者間の密接な連携により支えられます。そして、各担当者が情報を共有し、協力しながらプランを遂行しなければなりません。
 
計画作成者と実行者が連携を密にし、実行者が策定段階に関与することで、プランの理解度が深まり、質の高いアクティブプランが策定できる可能性が高まるでしょう。

出来るだけ早くスタートさせる

100日プランは、統合後すぐに始めることをおすすめします。そうすることで統合の効果を早期に実感できるし、仮にトラブルが発生したとしても調整を迅速に行うことが可能です。
 
M&Aの検討段階から統合後のイメージを明確にし、必要な課題を検討することも忘れないようにしましょう。

M&A専門家に相談する

100日プランの策定や実行には、M&Aの専門家の助けが有効的です。専門家は必要な知識と経験を持ち、適切なアドバイスを提供してくれます。
 
特に中小企業では、人員や人材が不足している場合があり、プランニングの方向性や優先順位の決定が困難な場合もあります。そのため、不明な点がある場合は、M&Aの専門会社や支援機関に相談することを検討しましょう。

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6. M&Aにおける100日プランは専門家のサポートを受けて策定するのがおすすめ

M&Aの100日プランでは金融機関、公的支援機関への相談をおすすめします。それでは、専門家のサポートを受けて100日プランを策定するメリットを解説します。

M&A仲介会社に相談する

M&A仲介会社は、企業間のM&Aをスムーズに進めるための専門家です。彼らは適切なアドバイスを提供し、譲渡企業と譲受企業のマッチング支援やM&A手続きの支援を行います。
 
M&A仲介会社は中立的な立場で、ファイナンシャル・アドバイザーは契約した企業の立場に立ってM&Aをサポートします。これらの専門家の助けを借りることで、M&Aのプロセスを円滑に進めることが可能です。

金融機関に相談する

金融機関はM&Aの資金調達や財務分析に関する専門知識を持っているため、頼もしいパートナーです。取引のある金融機関は経営相談を行い、支援は業態や規模により異なります。
 
小規模な金融機関は基本的な相談を受け付け、実務は専門家へ紹介します。一方、大規模な金融機関は専門部署を設置し、実務的な支援を提供します。

公的支援機関に相談する

公的支援機関はM&Aのための支援制度や補助金を提供し、M&Aの負担を軽減できます。また、独立行政法人中小企業基盤整備機構の事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継を支援します。
 
他にも全国の商工会議所や商工会、中小企業団体中央会なども支援を行っており、基本的に無料で相談が可能です。これらの支援を活用することで、M&Aの成功につながるでしょう。

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7. M&Aにおける100日プランの相談先となるM&A仲介会社の選び方

それでは、仲介会社とアドバイザリー会社の違い、M&Aの知識と経験、業種の精通度、担当者との相性、報酬や手数料の明確さなど、M&A仲介会社を選ぶ際のポイントを解説します。

仲介会社と(FA)アドバイザリー会社の違いを確認する

M&Aに関わる会社には仲介会社と(FA)アドバイザリー会社があり、それぞれの役割を理解することで最適なパートナーを選べます。仲介会社は売手と買手の双方と契約し、仲介します。
 
一方、アドバイザリー会社は売手または買手のどちらかと契約し、助言します。日本の中堅・中小企業のM&Aでは仲介取引が主流で、大手や上場企業のM&Aではアドバイザリー契約が一般的です。
 
どちらが自社に合っているかは、それぞれの特性を知った上、判断しましょう。

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M&Aの知識と経験が豊富かどうか

M&A仲介会社を選ぶ際は、その会社のM&Aに関する知識と経験の確認が大切です。注意しなければならないことは、仲介会社だからといって、実績が豊富にある会社だとは限りません。
 

必ず仲介会社を選ぶ際には、その会社の実績を確認の上、知識や経験が信頼に値するのか判断しましょう。評判や口コミの確認はもちろん、直接打ち合わせをして、どのような会社なのか肌で感じることも効果的です。

自分の会社の業種に精通しているか

M&A仲介会社を選ぶときの指標として、自社の業種に精通しているかを確認する必要があります。業種特有の課題やトレンドを理解している会社こそが、改善に向けての適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。
 
特に、M&Aが活発な業種では、その業種専門の仲介会社も存在します。また、全業種対応の仲介会社でも、特定の業種の経験が豊富なアドバイザーがいる場合もあります。
 
それぞれ、仲介会社の特徴を見定めて選択しましょう。

担当者との相性

M&Aは長期的なプロジェクトとなるため、担当者との相性が成功に大きく影響します。それゆえに信頼関係を築ける担当者を選ぶことで、スムーズなコミュニケーションと協力関係が確立できます。
 
担当者との相性が合わない場合は、遠慮せずに別の担当者に変更することも必要です。相性が合わない担当者と一緒に仕事を進めることはストレスになったり、コミュニケーション不足による業務の失敗に繋がりかねません。

成功報酬や手数料が明確か

M&A仲介会社を選ぶ際は、成功報酬や手数料が明確であるかを確かめましょう。これにより、予期せぬコストを防ぎ、適切な予算計画が可能にできます。
 
報酬体系がわかりにくい場合は、明確なシステムを提示している機関を選ぶ必要があります。完全成功報酬制でも、報酬の計算方法が公開されている仲介会社は信頼できるでしょう。

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8. M&Aにおける100日プランはM&A仲介会社に相談しよう

M&Aにおける100日プランは、企業統合を成功させるための重要なステップです。担当者の決定から現状把握、課題の明確化、プランの策定と実行、効果の検証まで、具体的な手順の理解が重要です。
 
また、達成すべき目標の明確化、担当者間の連携、早期スタート、M&A専門家への相談など、プランを成功させるためのポイントも押さえておきましょう。M&Aについて、悩むことがあれば、仲介会社などの専門家のサポートを受けて、効果的な100日プランを策定することをおすすめします。

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