M&Aのスケジュールを解説!【買収までの流れ・手順】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

M&Aを行う際には、スケジュールを把握しておく必要があります。M&Aのスケジュールを把握できていないと時間がかかったり、方向性が失われる可能性があります。トラブルなく、スムーズにM&Aが行えるようにM&Aスケジュールについて紹介します。

目次

  1. M&Aのスケジュールを解説!
  2. M&Aのスケジュール(流れ)は?
  3. M&Aのスケジュール例
  4. M&Aのスケジュールを早めるには?
  5. M&Aのスケジュールまとめ
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1. M&Aのスケジュールを解説!

M&Aのスケジュールを解説!

事業承継や経営の多角化など様々な理由でM&Aを考えている経営者はいらっしゃると思います。当然のことですが、M&Aを行うには様々な準備・手続きが必要です。では、M&Aの事前準備から実施・統合完了までにどのくらい期間が必要なのでしょうか?

M&Aの案件の大きさによりますが、基本的にはそれなりの時間がかかります。この記事ではM&Aにかかる期間やスケジュール(M&Aの流れ)について紹介していきます。

  • M&Aのスケジュール(流れ)について
  • M&Aの具体的なスケジュール(流れ)の紹介
  • M&Aスケジュールを早める方法について

この記事を読んでいただけるとM&Aの大まかなスケジュール(流れ)を理解していただけると思います。M&Aを考えていらっしゃる経営者の今後の予定調整に役立つと考えています。ぜひ、最後まで記事をご覧ください。

2. M&Aのスケジュール(流れ)は?

M&Aのスケジュール(流れ)

先ほど述べた通り、M&Aは事前準備から実施・統合完了までにはそれなりの時間がかかります。M&Aの案件や規模によっては1か月という短期間で終わる案件もあります。しかし、M&Aの事前準備から実施・統合完了までには半年から1年程度かかることが一般的です。

また、条件を満たすような企業が見つからない、M&A交渉が難航している場合は2、3年かかることもあります。そのため、スムーズにM&Aの手続きを行わないとかなりの時間を要してしまうことになります。

時間をかけたほうが良い調査

M&Aはできるだけ迅速に行っていきたいものですが、M&Aを行う際にはいろいろな手続きを手順を踏んで行う必要があります。M&Aの手順・手続きの詳細については後で紹介しますが、M&Aの手順・手続きの中で特に時間をかけて調査をしたほうがよいと思われる手続きが3つあります。

M&Aを実施する際の調査はしっかりと行う必要があります。その調査がしっかり行われないとM&Aが原因で自社の経営悪化、最悪の場合、倒産に追い込まれることがあります。そのようなことにならないためにも調査をする必要があります。この記事では、特に時間をかけて調査する必要がある手続き3つを簡単に紹介します。

買収相手の探索

1つ目に紹介する手続きは、M&Aにおける買収相手の探索です。基本的にM&Aにおける買収会社の探索はM&A仲介会社もしくはFA(ファイナンシャルアドバイザー)に依頼することになります。そのため、自社・経営者自身で被買収会社を探すことはありません。

M&A仲介会社もしくはFAに条件を提示する際は、自社にあまりデメリットがないような条件を提示し、目的の買収会社を見つけるようにしましょう。しかし、あまりに条件が厳しすぎるとM&Aの買収会社が見つからず、買収相手探索で2~3年かける可能性があります。買収相手の探索条件を妥協しすぎず、しかし、時間はかけすぎないような条件を提示し、目的の買収会社を見つけるようにします。

デューデリジェンス(企業監査)

M&Aにおいて時間をかけて調査をしたほうが良い手続き2つ目はデューデリジェンス(企業監査)です。M&A買収の際、とても重要な手続きとなります。M&A買収で会社ごと買収する場合は、原則すべてを譲り受けることになります。

しかし、被買収会社が多額の借金を抱えているにもかかわらず、その情報を共有せずにM&Aを実行してしまう恐れがあります。また、被買収会社が不本意であるM&Aの場合は、買収対策(ゴールデンパラシュートなど)を行っている可能性があります。

このような買収会社にとって不利となるM&Aを避けるためにデューデリジェンスは非常に重要な手続きといえます。デューデリジェンスの詳細については、後で説明をします。

M&A契約の交渉

M&Aにおいて時間をかけて調査をしたほうが良い手続き3つ目はM&Aの契約締結時の交渉です。自社が要求する内容と被買収会社が要求する内容が異なっている可能性があります。M&A後、会社を経営していくのは自社であるため、できるだけ要求を受け入れてもらうように努力します。

しかし、妥協しなさずぎるとM&A契約が難航し、M&A契約を中止せざるを得ないことになる場合もあります。何としてもその会社を買収したいと思う時は、条件を妥協する必要があると思われます。

これら3つの手続きを含めたM&A業務を慎重に行う必要があるため、M&Aのスケジュール(流れ)には6~12か月を要することになります。

3. M&Aのスケジュール例

M&Aのスケジュール例

ここからは、M&Aの具体的なスケジュール(流れ)について紹介します。この記事では、M&A開始から統合完了まで約1年かかる一般的なモデルのM&Aスケジュール(流れ)例を紹介します。
M&Aの手順の概要は以下のようになります。

  • 1ヶ月目(事前準備~買収相手の確定)
  • 2ヶ月目(秘密保持契約~基本合意書)
  • 3ヶ月目(デューデリジェンス)
  • 4ヶ月目(最終条件交渉~クロージング)
  • 5ヶ月目~(統合作業)

M&Aを初めて行う経営者にとっては、聞いたことがない言葉や手続きの内容ばかりだと思います。ここからM&Aスケジュール(流れ)を手順を追って解説していきます。

最初の1ヶ月目(事前準備~買収相手の確定)

M&A開始から初めの1ヶ月目では、M&Aに向けての準備を進めることになります。最初の準備段階でM&Aについてしっかりと考えておく必要があります。M&Aについて具体的に考えておかないと被買収会社とマッチングできなかったり、不利な条件でM&Aを実行せざるを得ない状況になる可能性があります。また、M&Aの交渉が長期化したり、失敗したりする可能性もあります。

初めの1ヶ月目では、具体的には以下の手続きを行います。

  • ①事前準備
  • ②仲介・FAとの契約
  • ③買収相手の探索
  • ④スキームの策定
  • ⑤買収相手の確定

ここから初めの1ヶ月で行うM&Aスケジュール(流れ)について手順を追って詳細に解説します。

①事前準備

M&Aスケジュール(流れ)の中で一番最初に行うことは、M&Aに向けて事前準備を行うことです。M&Aを行う上で重要となる業務がいくつかあるが、事前準備はその重要な業務のうちの1つです。なお、ここではM&Aでの会社の戦略・方針を決める事前準備について解説をします。M&A買収での資金調達の準備・方法についても事前準備の範囲に入りますが、この記事では割愛させていただきます。

M&Aを行う上で、会社の戦略・方針をいろいろ考えておく必要があります。その中で絶対に決めておくべき事項を3点紹介します。

まず、1つ目の決めておくべき事項はM&A目的の明確化と業界の決定です。M&A買収を行うことでどのようなメリットや効果が得られ、現在行っている業務に対してどのようなシナジー効果(相乗効果)が得られるか明確にしておく必要があります。

この段階では従業員にM&Aについて説明する必要はありませんが、M&A契約を締結した後は従業員に説明をする必要があります。M&Aによるメリットを従業員に説明できないと不安を感じてしまい、場合によってはM&Aを理由に退職する人が出る可能性があります。

また、どのような業界の会社を買収するか決めておくことも重要です。その理由は、選ぶ業界によってM&Aの戦略が変わってくるからです。自社と近い業界の会社を買収する場合は、M&A後にシナジー効果が得られるように経営戦略を考える必要があります。

一方で、自社とあまり関係のない業界を買収するときは、経営の多角化が考えられます。その場合は、自社の力を用いて被買収会社の短期的な成果を上げることは難しいと考えられるので、成長率の高い会社を買収するなど企業選定を慎重に行う必要があります。

2つ目に決めておくべき事項はM&A買収の予算です。予算が大きすぎるとM&Aで買収をした後のリスクに対処できない可能性があります。一方で、予算が小さすぎると、M&A買収後に大きな効果をあげられないと考えられます。M&Aによるリスクとリターンを考慮した予算を提示する必要があります。

最後に紹介する決めておくべき事項は、予算以外のM&Aにおける買収する会社の条件です。自社の規模や経営状態によりM&Aで買収したいと考えている会社は異なると思われます。この記事では一例として、会社の所在地を上げておきます。

自社の本社と買収先の本社遠い場合、M&A後、会社同士を行き来することが大変であり、従業員に負担をかけることになります。また、会社同士を行き来する際、交通費を負担する必要があるため、自社の経営を圧迫する可能性があります。これを理由に被買収会社の所在地も買収の条件にしておくべきであると考えられます。

以上、M&Aの事前準備を行う際に考えておくべき重要なポイント3つを紹介しました。この3つ以外にもM&Aを開始する前にしっかりと考えておくようにしましょう。

②仲介・FAとの契約

次は、被買収会社を決めるためにM&A仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)と契約を結びます。M&A仲介会社やFAはいずれも被買収会社の探索・選定を行うM&Aの専門家であり、M&Aについてアドバイスなどを受けることができます。M&A仲介会社やFAは少し異なる部分があるので、簡単に解説をします。

M&A仲介会社は、主に中小企業など規模の小さいM&Aを行うときに契約を結びます。M&A仲介会社は買収会社と被買収会社の仲介を行い、双方の条件に合う会社同士をマッチングさせ、M&Aを行います。

FAは別名M&Aアドバイザリーとも呼ばれています。主な業務内容は、M&Aに関してのアドバイスやM&A買収会社の探索を行うことです。主に大企業がM&Aを行う際に契約を結びます。

M&A仲介会社やFA(M&Aアドバイザリー)については同じM&A総合研究所サイト内で詳しく紹介しています。下にリンクを載せておきますので、その記事もぜひご覧ください。

また、被買収会社が決まっていたり、M&Aの規模がとても小さい場合はM&A仲介会社・FAを利用しない場合もあります。しかし、M&Aを行う際には関係法令の対応などがいろいろな手続きが必要となるため、M&AのアドバイスをもらうためにFAと契約を結んでおくことをおすすめします。

M&A総合研究所には、M&Aに詳しい公認会計士が在籍しており、あなたのM&Aをフルサポート!着手金・中間金無料の完全成功報酬を採用しているので、M&Aが成立するまでに費用は一切発生しません。

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③買収相手の探索

次の手順は、M&A買収相手の探索を行います。M&A買収相手の探索は主にM&A仲介会社・FAに行ってもらうため、自社はこの業務をする必要はありません(M&A仲介会社・FAと契約をしていた場合)。

M&Aの買収相手の探索してもらう際、買収したい会社の業界、予算などの買収条件をM&A仲介会社・FAに提示する必要があります。その提示された条件に沿ってM&A仲介会社・FAは買収相手を探索することになります。そのため、M&Aの一番最初の手順である事前準備を入念に行っておく必要があります。

④スキームの策定

次の手順はスキームの策定です。スキーム策定とはM&A買収の仕組みを決めることです。スキームに関して大きく分けると株式取得・事業譲受・経営統合の3つあります。3つのスキームについて簡単に紹介します。

まずは、株式取得についてです。株式取得は単純に相手の会社の株式を取得し、買収する方法です。M&A買収のスキームとしては一番簡便であることがメリットです。

次に事業譲受についてです。事業譲受は、会社ごと買収するのではなく、必要な事業だけを買収することです。すべてを譲り受けるわけではないので、被買収会社の負債などすべてを受け入れる必要がないことが事業譲受のメリットです。

最後のスキームは、経営統合です。経営統合では、2社が合併し、新設会社になることがあります。また、複数社統合することが可能で、この場合はホールディングスカンパニーを設立することになります。

どのスキームを選ぶかは、自社や被買収会社の経営上・財務上などの観点から選ぶ必要があります。FAや税理士などM&A専門家の意見を聞いて慎重に選ぶ必要があります。

M&Aのスキームについては、『M&Aスキーム・手法別でメリット・デメリットを比較!』で詳しく紹介しています。参考にしてください。

⑤買収相手の確定

M&A開始1ヶ月目の最後の手順は、買収相手の確定です。M&A仲介会社やFAと契約し、買収相手の探索を依頼している場合は、M&A買収候補を複数社出してもらえていると思います。その中から、自社が希望する買収相手を選び、確定します。

基本的なM&Aスケジュール(流れ)の場合は、買収相手を確定させるまでに1ヶ月程度かかります。しかし、M&A買収の条件を厳しくしている場合などは買収相手が見つからないこともあります。このような場合、さらに時間がかかると思われます。

2ヶ月目(秘密保持契約~基本合意書)

M&Aのスケジュール(2ヶ月目)

M&A開始から2ヶ月目では、M&Aに向けてのより具体的な手続きを行っていきます。基本的にはアドバイサリーを通してM&Aの準備を進めていきます。M&Aの手続きにおいて、この段階になると買収会社・被買収会社のトップが直接面談をして契約内容のすり合わせなどを行うことになります。

M&A開始から2か月目では、具体的には以下の手続きを行います。
⑥秘密保持契約の締結
⑦アドバイザリー契約の締結
⑧ネームクリア
⑨提案資料の開示
⑩トップ面談
⑪意向表明書の提出
⑫基本合意書の締結

この1ヶ月間は、M&Aに向けてするべき手続きが最も多いです。以下詳細について紹介していますので、読んでM&Aの大まかな手順をつかんでください。

⑥秘密保持契約の締結

買収相手が決定したあとは、買収会社・被買収会社の間で秘密保持契約を締結します。秘密保持契約を締結することでM&Aを公開できる段階まで、第3者に口外しないことを約束します。これを行う理由は、M&Aは取引先や従業員に影響を与えるためです。

取引先や従業員が噂レベルでM&Aの情報を聞くと、被買収会社の経営状態が悪いのではないかと思わせる可能性があります。これにより業績悪化、従業員の退職を招く可能性があるので両社の間で秘密保持契約を締結します。

またこの理由以外にも、情報が洩れると買収側と被買収側で被害を受ける可能性があります。秘密保持契約で買収側と被買収側それぞれが注意するべきポイントを簡単にまとめたので紹介します。

買収側が注意するべきポイントは、情報漏えいにより損害を受けた場合、M&Aの契約解除ができるような契約を締結しておくことです。損害の具体例として、M&Aを理由に被買収会社の従業員の大量退職があります。M&Aの契約解除ができないまま締結すると被害を受けることになるので、秘密保持の契約内容をしっかりと確認する必要があります。

また、被買収側が注意するべきポイントは、被買収会社の情報を漏えいさせないようにすることです。デューデリジェンスにより買収会社に開示された情報を第3者に渡さないなど、M&Aのために開示した被買収会社の情報を漏らさないように締結をする必要があります。

⑦アドバイザリー契約の締結

秘密保持契約を締結した後は、アドバイザリー契約の締結します。M&Aアドバイザリー(FA)との契約は買収相手を確定させるまでの段階においては、M&A仲介業務やM&Aアドバイス業務を行ってもらうために締結していました。

ここの段階では、M&A契約を代理で行ってもらうためにアドバイザリー契約を結ぶことになります。M&Aを行うためにはかなりの労力と時間、専門的な知識が必要となります。しかし、会社の一社長や取締役が業務を行いながらM&Aを問題なく、スムーズに行うことは不可能に近いです。

アドバイザリー契約を締結することはM&Aの専門家が契約をすることになります。つまり、トラブルなくM&Aを進めることができることを意味します。また、経営者はM&A業務にかける時間を減らし、本業に専念できるメリットもあります。

⑧ネームクリア

次の手順は、ネームクリアを行うことです。ネームクリアとは、被買収会社の名前を買収会社に開示することです。M&A仲介会社やFAに買収相手の探索を依頼している場合、基本的には買収会社に企業名を明かしません。これには理由が2つあります。

1つ目は、企業名を聞いて先入観を持たないためです。企業名を聞くことで良いイメージや悪いイメージといった先入観を持つことになります。そのため、M&Aを買収する上では良い会社かどうか正しい判断ができない可能性があります。企業名を明かさずに、経営状態や財務状態などでM&Aの被買収会社として適切か不適切かを判断します。

2つ目は、情報漏えいを防ぐためです。被買収会社がM&Aに向けて動いているという情報が洩れると、その会社で働いている従業員は業績が悪いのではないかと不安になると考えられます。最悪の場合、従業員が退職する可能性があります。そのため、基本的にネームクリアは秘密保持契約を結ぶまで行わないことになっています。

⑨提案資料の開示

次の手順は、提案資料(フォーメーションパッケージ)を被買収会社に開示します。提案資料とは、M&Aの条件や買収方法など今後の流れやM&A契約内容などを説明した資料のことです。依頼しているM&A仲介会社やFAによっては企業概要書と呼んでいる場合があります。

提案資料では、M&Aの方針・流れ以外にも、M&A買収後、どのようなシナジー効果やメリットが考えられるかなども記載します。M&Aにおいてはかなり機密性の高い情報であるため、秘密保持契約を結んだ後でないと開示することができません。

⑩トップ面談

この段階で初めて、経営トップ同士での顔合わせを行います。提案資料やM&Aにおいて今まで開示された資料をもとに、経営方針、M&A買収額、M&A買収後の従業員の処遇、さらには今後のM&Aの流れなどお互いが納得するまで質問し合います。

また、買収会社から説明をするばかりではなく、被買収会社から提案やお願いをされることもあります。例として、M&A後の被買収会社の従業員の雇用保持やM&A買収額などです。トップ面談のあと、納得できない点やわからなかった点などはM&Aアドバイザリーを通じて質問をする場合があります。

この後からM&Aの契約・実行を行っていくことになります。そのため、買収会社・被買収会社ともに納得いくまで質問をするようにしましょう。

⑪意向表明書の提出

トップ面談後、両社は意向表明書の手続きを行います。トップ面談での説明内容を受けて、両社がM&Aを進めたいをいう意向を示した場合、意向表明書を提出します。なお、意向表明書とはM&Aにおける買収方法、M&A買収価額などの提案条件が書かれた書面のことを指します。

⑫基本合意書の締結

意向表明書が両社から提出されると次は基本合意書を締結します。基本合意書とは、M&Aを進める意向、独占交渉権、独占交渉期間などを規定した書面のことであり、それまでに合意している内容が記載されています。

なお、基本合意書には法的拘束力はありません。そのため、基本合意書締結のあと、M&Aの準備を進める中で合意書を破棄することができます。そのため、この手続きは絶対的なものではないので、場合によっては基本合意書を締結しないこともあります。

基本合意書・意向表明書については『LOI(意向表明書)とは?MOU(基本合意書)との違いは?【契約書サンプル/雛形あり】』で詳しく解説しています。参考にしてください・

3ヶ月目(デューデリジェンス)

M&A開始後3ヶ月目からは、デューデリジェンス(買収監査)を行います。約1ヶ月かけて被買収会社の監査を行います。先ほども述べた通り、デューデリジェンスは、M&Aを行う上で、重要な手順となります。ここではデューデリジェンスについて解説します。

⑬デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、M&Aを実施する前に買収会社が被買収会社の調査を行うことです。デューデリジェンスは別名、企業監査と呼ばれています。被買収会社の経営状況や財務状況は、基本的に基本合意書を締結するまでに基本的な調査・分析を終えています。

しかし、被買収会社に対して不安な点がある場合やさらなる詳細な調査が必要な場合などはこの段階でデューデリジェンスの実施します。また、被買収会社の企業価値算定のためにもデューデリジェンスが実施され、この調査によりM&A契約時に提示する買収額を決定します。

デューデリジェンスでは、短期間で調査を行う必要があるため、M&Aや財務、法務の専門家に依頼することが一般的です。ビジネス、財務、法務の観点から調査を行い、M&Aを実施しても問題がないか調査します。

デューデリジェンスの結果、M&Aを実施したときに問題が発生すると考えられる場合は、M&A買収額を調整したり、買収会社・被買収会社の双方でその問題を解決をするよう打ち合わせを行います。場合によってはM&Aを中止することもあります。

デューデリジェンスには主に3つあります。それは、ビジネスデューデリジェンス、財務デューデリジェンス、法務デューデリジェンスです。この3つのデューデリジェンスについて簡単に紹介します。

まずは、ビジネスデューデリジェンスについて紹介します。ビジネスデューデリジェンスでは、被買収会社の戦略、組織、業務内容を調査したり、経営データを分析します。また、必要に応じて被買収会社の事業所や工場を視察に行くことがあります。経営コンサルタントや中小企業診断士など経営についての専門家に依頼をし、問題がないか調査してもらいます。

次に、財務デューデリジェンスについてです。財務デューデリジェンスでは、被買収会社の過去の決算書や税務申告書などを解析し、データの正確性を調べ、被買収会社の過去と現在の財務状況を把握します。税理士など財務についての専門家に依頼し、調査してもらいます。また、被買収会社が監査法人の監査を受けている場合は、その監査人からの意見書をもらうことができます。

最後は、法務デューデリジェンスについてです。法務デューデリジェンスでは、被買収会社の株主総会議事録、労務関係、コンプライアンスなど法務面の資料や情報を調べます。弁護士などの法律の専門家に調査を依頼するのが一般的です。

4ヶ月目(最終条件交渉~クロージング)

M&A開始後4ヶ月目でようやくM&Aの最終契約を締結します。具体的には以下のような手順を踏んで行います。
⑭最終条件交渉
⑮最終契約書の締結
⑯クロージング(M&Aによる対価の支払い)

M&Aの契約締結までの流れを以下詳細に紹介します。

⑭最終条件交渉

デューデリジェンス実施後は、買収会社・被買収会社間で最終条件交渉を行います。買収会社はデューデリジェンスに基づいたM&A買収額やM&Aを実施する前に解決してほしいことなどを提示します。一方、被買収側はその提示を受けて疑問や不満がある点について納得がいくまで交渉します。

交渉が難航するとM&Aを実施することができないため、時間がかかることもあります。

⑮最終契約書の締結

最終条件の交渉で両社が納得すれば、最終契約書の締結を行います。最終的なM&A条件をまとめた「最終契約書」を作成し、M&A契約を締結します。最終契約書の締結することでM&A契約が成立したことになります。なお、最終契約書は法的拘束力があるため、最終契約書締結後以降の取り消しはできません。

⑯クロージング

最終契約書の締結が終わると次はクロージングを行います。クロージングとは、M&Aの手続きを開始したり、M&Aによる買収の対価を支払うことです。クロージングを行うには時間がかかるため、最終契約書の締結日から少し期間を開けてクロージングを行うことが一般的です。

クロージングで買収会社・被買収会社が行う内容について紹介します。買収側が行うことは、M&Aの買収対価を支払うための資金調達やM&A買収後の被買収会社の運営の準備を行います。一方、被買収側が行うことは、自社株式を買収会社に移転させる手続きを行ったり、自社の重要書類の引き渡しなどを行います。

また、買収会社・被買収会社はここで初めて従業員や取引先の会社にM&Aについての情報を開示します。株式会社の場合は、株主総会でM&Aについての承認を得る必要があります。

5ヶ月目~(統合作業)

M&A開始5か月目からは、統合作業を行います。クロージングが行われてようやく新しい会社・新体制がスタートして行きます。クロージングの後の統合作業は一般的に半年以上かかります。

M&A後の統合作業は、M&Aを行う上で、重要な作業のうちの1つと言われてます。もし、統合ができないということは、会社がばらばらのままであることを示しています。つまり、M&Aによる効果を得ることができないことから、M&Aに失敗したという結果になります。以上のことから、M&A後の統合作業は慎重に行う必要があります。

⑰統合作業

M&A後の統合作業では、買収会社・被買収会社のハード面・ソフト面を統合していくことになります。ハード面の統合作業は、作業開始から完了するまでに約半年程度掛かる場合がほとんどです。そのため、このM&Aモデルだと、M&A開始から統合完了まで1年程度掛かるということになります。

ここからはM&A後の統合作業の内容について具体的に紹介していきます。まずは、統合作業のハード面から紹介します。ハード面では、買収会社・被買収会社の経理や総務、人事、システムなど実務的な調整を必要とする作業のことです。経理の支払日・決済日、また人事評価や退勤管理などの人事システムなどを統一していきます。

ハード面の統合作業に関係する部署は、日常業務を行ないながら統合作業を行っていきます。そのため、M&A後は統合作業のために、かなり大きな負担を強いることになります。問題なく、スムーズに統合作業を完了させるためには、クロージングの時に関係する部署の理解を得ておく必要があります。

次に、ソフト面の統合作業について紹介します。M&A後のソフト面の統合とは、人や企業文化を融合させていく作業のことです。当然のことですが、買収会社・被買収会社の企業文化は異なっています。異なっている企業文化をどのように統一させていくかが経営者の腕の見せどころとなります。

もし、M&A後にソフト面で統一できない場合、社内分裂が起こることになり、業績が低下すると予想されます。M&A後、会社のソフト面は、短期間で融合させることが理想的です。しかし、従業員が主体となって、作り上げていくものなので統合完了するまでに時間がかかると思われます。

統合作業のことを、PMIとも呼びます。PMIはとても難しく、成功させなければM&Aは成功したと言えないでしょう。PMIについて詳しく知りたい人は『買収後のPMIとは?手法や流れ、ポイントを解説!』で詳しく解説しているので、参考にしてください。

M&A総合研究所であれば、スピーディーにM&Aを進めることができます。最初のスケジュールや戦略も経営者と一緒に考えていきましょう!

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4. M&Aのスケジュールを早めるには?

M&Aのスケジュールを早めるには?

先ほど紹介した通り、M&A開始から統合完了までのスケジュールには一般的に1年程度かかることを紹介しました。また、被買収会社の選定に時間をかけたり、M&Aの交渉が難航したりするとM&A開始から統合完了まで2~3年かかる場合があります。

しかし、近年では時代の流れが速いため、M&Aに2~3年もかけているとその業界のブームが過ぎ去ってしまい、M&Aによるメリット・効果を受けられない場合も考えられます。ここからは、M&A開始から統合完了までの期間をできるだけ短くする方法を3つ紹介します。

M&Aを行う際に、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

M&Aの流れのシミュレーション

M&Aの流れのシミュレーションは、M&Aの期間を短くする方法として効果的です。事前準備の段階でM&A開始から統合完了までの手順の見通しを立ておくことで、M&Aの手続きをスムーズに行うことができます。

M&Aの手続きを行う際にトラブルが起こった場合には、臨機応変に対応する必要があります。しかし、行き当たりばったりな行動を取ってしまうとM&A統合完了までに時間が掛かる上、M&Aの方向性がぶれる可能性があります。つまり、M&Aが失敗するリスクが高くなってしまいます。

M&A交渉時の条件の譲歩

M&Aの期間を短くするためには、M&A交渉時において譲歩できる条件を考えておく必要があります。

M&Aで失敗しないように買収したい会社の条件を絞ることやM&Aの交渉条件を考えておく必要があります。しかし、条件を絞りすぎると買収したいと思える会社が少なくなるため、なかなか被買収会社を見つけることができません。また、M&Aの交渉条件についても厳しい条件を被買収会社に提示しても最終交渉の段階で難航する恐れがあります。

M&Aでどこまで譲歩しても問題はないか、デメリットが少ないかを考えておくことでM&Aの期間を短くすることができる可能性があります。

M&A後の統合作業の効率化・対策案

M&Aの期間を短くするための方法3つ目は、M&A後の統合作業の効率化・対策案を考えておくことです。M&A後の統合作業は、M&Aの中で一番時間がかかり、先ほども紹介した通り、一般的に半年程度かかります。

ハード面での統合作業では、経理や人事など関係部署の負担が大きくなります。M&A後の統合作業を短期化させるためには関係部署への人員を増やすなど、統合作業を効率化させる方法を考えておく必要があります。

ソフト面での統合作業では、経営者自身が先導して行う必要があります。具体的には、経営者が被買収会社を訪問した際に、企業文化や社内の雰囲気を把握しておきます。そして、どうすれば自社とソフト面で統合できるかという案をM&Aの手続きを行っている間にいくつかか考えておきます。

ソフト面を統合させるための対策案を、M&A後の統合開始直後からすぐに実行します。実行後、定期的に調査し、問題があるようならば修正、その修正案を実行していきます。経営者自身でソフト面の統合についてPDCAサイクルをできるだけ回すことで、早く統合させることができると考えられます。

以上、M&Aの期間を短くするための方法を3つ紹介してきましたが、ほかにも方法がたくさんあります。また、M&Aの規模や案件内容によっても方法は異なってきます。M&Aを行われる方は、M&Aの期間を短くするためにいろいろな方法を試してください。

統合作業を成功させるためには、事前のデューデリジェンスでの調査も大切となります。統合作業に向けてデューデリジェンスをどのように行うべきかは、『M&Aにおける人事DD(デューデリジェンス)からPMIまでを徹底解説!』で詳しく解説しています。参考にしてください。

5. M&Aのスケジュールまとめ

M&Aを行うためには、準備期間〜クロージング期間まで考えると半年〜1年程度かかると考えておきましょう。事前にいつまでにM&Aを成立させたいのかスケジュールを立てておくとスムーズに進めることができるでしょう。

M&Aは慎重に行う必要がある上に、それが約1年近くかけて行う必要があります。事業継承や経営の多角化など何らかの理由でM&Aを行おうと思ったら、すぐに行動するようにしましょう。

M&Aについて、相談・指導の依頼がございましたら、M&A総合研究所までご連絡ください。

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