2020年12月08日更新
M&Aのソーシングとは?業務内容や重要性、依頼のポイントを解説

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
M&Aにおけるソーシングとは、M&Aのニーズを掘り起こす段階から売り手企業と買い手企業の交渉段階までをさします。本記事では、M&Aにおけるソーシングの業務内容や重要性、M&A仲介会社にソーシングを依頼する際のポイントなどについて解説します。
1. M&Aのソーシングとは?
M&Aにおけるソーシングとは、M&A手続きの前半部分に当たり、M&Aが成功するか失敗するかを左右する重要な部分です。
本記事では、M&Aにおけるソーシングの業務内容や重要性、専門家に依頼するポイントなどを解説していきますが、まずはM&Aにおけるソーシングの意味について説明します。
M&Aでのソーシングとは
M&A業務は「ソーシング」「オリジネーション」「エグゼキューション」に分かれます。
M&Aのソーシングとは、M&Aのニーズを掘り起こす段階からM&Aの相手と交渉する段階までをさします。
オリジネーションは、依頼を受けているM&A案件を相手企業に提案して交渉する段階までをさし、エグゼキューションはM&Aの手続き実行からクロージングまでのことです。
M&Aの前半部分がソーシングまたはオリジネーションで、後半部分がエグゼキューションとなり、具体的なM&Aのプロセスを売却希望企業の場合でみると、以下になります。
【ソーシング・オリジネーション】
- 相談受付
- 秘密保持契約締結
- アドバイザー契約
- 各種調査・分析
- 企業価値評価
- 買い手の選定
- 交渉用資料作成・スキームの決定
- 条件交渉
- 基本合意書の締結
【エグゼキューション】
- デューデリジェンスの受け入れ
- 条件の最終調整
- 最終契約書の締結
- クロージング
いくら魅力的な会社でも、その魅力を活かせるM&A相手が見つからなければ意味がありません。また、M&A相手が見つかったとしても、交渉が破断してしまってはせっかくの機会を失うことになります。
実際に、客観的に見て売り手企業と買い手企業の事業シナジーが高いとみられるにもかかわらず、交渉が破談になるケースは少なからず発生しています。それほどM&AのソーシングはM&A業務の中でも重要な役割を担っています。
M&Aのソーシングをスムーズに行うには?
M&Aのソーシングをスムーズに行うには、まずM&Aのサポートを依頼する専門家選びが重要です。M&Aの専門家は多くの場合、以下のいずれかに強みを持っています。
【M&Aの専門家が持つ強み】
- 案件・ニーズを発掘する営業力・提案力(ソーシングに該当)
- 売り手・買い手の納得する合意内容をまとめる交渉力(ソーシング・オリジネーションに該当)
- 専門知識と経験を駆使して手続きを管理するマネジメント力(エグゼキューションに該当)
一般的に、大手の銀行や証券会社、コンサルティング会社、大企業を対象としているM&Aアドバイザリーは、エグゼキューションに当たるマネジメントが得意です。
それに対して、中小企業のM&Aサポートを主に行っているM&A仲介会社は、ソーシングやオリジネーションに当たる営業力・提案力、交渉力が高い傾向にあります。
中小企業のM&Aでは、売り手と買い手の信頼関係や相性が重視される傾向にあるので、営業力・提案力、交渉力の高いM&A仲介会社が選ばれることが多いです。
M&Aのソーシングに最適な専門家を選んだら、M&Aをスムーズに進めるためにも、依頼者はM&Aの目的や希望条件を明確に伝えることが大切です。
【売り手がM&Aを行う主な目的】
- 後継者探し
- 売却益の取得
- 事業の継続と成長を任せる
- 業績不振からの立て直し
- 事業の選択と集中
【買い手がM&Aを行う主な目的】
- 事業拡大
- 新規事業の取得
- 人材・技術・ノウハウの獲得
- M&Aによる起業
これらの目的をさらに掘り下げて、明確な希望をM&Aの専門家に伝えることで、M&Aの相手にどのようなアプローチをすればよいかが明確になります。
海外M&A案件のソーシング
海外でのM&Aを検討している場合は、M&A案件が大規模になるほど、買手と売手の組み合わせの選択が狭まります。そのため、商談でのエクゼキューション業務やMI業務(ポスト・マージャー・インテグレーション)がより重要です。
中規模以下の海外M&Aでは、買手と売手の組み合わせの選択はかなり広がります。シナジー効果は組み合わせにより変わってくるため、商談を始める前の案件ソーシング・マッチングが成功を左右するといえます。
企業がいかに有力な国内外売却案件をソーシングできるか、そして売却を行う企業はいかに有力な買収候補とマッチングできるかがポイントとなります。
2. M&Aのソーシングの業務内容
M&Aにおけるソーシング業務は、以下の手順で進めます。
【M&Aのソーシングの業務内容】
- M&A先企業の選定
- ロングリスト・ショートリストの作成
- M&A先企業との交渉
M&A先企業の選定
M&Aの専門家は依頼者がなぜM&Aを行いたいのかをよく把握したうえで、目的や希望条件に合ったM&A先企業を選定していきます。
M&A先企業の選定を行う場合、まずは業種や規模・地域・予算などを考慮しながら、対象企業をひととおりリストアップしていきます。なお、この時点で参照できる企業情報は、基本的な情報だけです。
その中からさらに絞り込みを行い、アプローチする企業を決めていきます。M&Aの専門家が保有している企業のリストは専門家ごとに異なるので、どの専門家にM&Aを依頼するかによって、出会える企業も違ってきます。
ロングリスト・ショートリストの作成
M&A先企業の絞り込みには、ロングリストとショートリストを使用します。ロングリストとショートリストのリスティングには、依頼者がM&Aを行う目的や希望条件が反映されます。
ロングリストとは
ロングリストとは、依頼者の希望条件などを満たすM&A先企業の基本情報を並べたリストです。ロングリストには最低限の情報のみ記載されています。
依頼者はロングリストの中から興味を持った企業をピックアップし、ショートリストとしてまとめます。
M&Aの専門家は、依頼者へのヒアリングをとおしてロングリストを作成していくので、依頼者は目的や希望条件を明確にしておくことが必要です。
ロングリストに何社記載するかは専門家によって違いますが、数10社程度を記載するのが一般的です。
ショートリストとは
ロングリストの企業情報から興味を持った企業をピックアップしたリストが、ショートリストです。ショートリストでは、数社程度の企業数まで絞り込みます。
ショートリストはロングリストよりも対象企業の情報量が増えています。そのため、アプローチするかどうかの判断材料が増えるとともに、情報が外部に漏れたときのリスクも高くなります。
ショートリストに記載されている企業情報を外部に漏らさないよう注意が必要です。M&Aの専門家とアドバイザー契約を結ぶ際には、同時に秘密保持契約も結びます。もし情報を漏らした場合には、トラブルに発展する可能性があります。
M&A先企業との交渉
ショートリストに対象企業を絞り込んだら、対象企業へのアプローチに向けて準備を進めていきます。
【対象企業へのアプローチに向けた主な準備】
- 相手企業の資料収集・資料作成
- 事業シナジーの検証
- 質疑応答の準備
- スケジュールの策定
- M&Aスキームの策定
- 企業価値算定
準備が完了したら、直接M&A先企業と条件交渉を行います。このとき、M&Aの専門家は交渉の日程や場所を設定したり、お互いの交渉内容をある程度まで調整したり、直接は伝えにくい要望などをあらかじめ伝えたりと、交渉が円滑に進むように動きます。
中小企業のM&A交渉は、細かい条件よりも経営者同士の信頼関係がどこまで築けるかで、成約に至るかどうかが決まるケースは少なくありません。
そのような意味でも、中小企業はソーシングを得意とするM&Aの専門家にサポートを依頼することが重要です。
3. M&Aのソーシングの重要性
ソーシングをM&Aの専門家に依頼することで、M&Aにおいて重要となる最適な相手企業探し・的確な企業価値算定・情報漏えいの防止・感情的対立の回避が可能です。
M&Aは、まず相手先企業が決まらないことには何も始まりません。最適なM&A先企業をいかに探し出して選定するかは、M&Aソーシングの大事なスタートになります。
また、ソーシングをM&Aの専門家に依頼する際に、情報漏えいの防止を考慮に入れて依頼することは少ないかもしれません。
しかし、実際にはM&Aの専門家にソーシングを依頼することで情報漏えいの防止を図ることも重要なポイントです。
専門家をとおさずにM&Aの相手を探す場合、知り合いに直接声をかけたり紹介してもらったりする過程を経るので、どうしても情報漏えいの可能性は高くなります。
企業価値算定もソーシングで大事な過程です。相手先企業が決まったら交渉に進みますが、その際に自社の客観的な企業価値を把握していないと、適切な価格交渉を行うことが困難になります。
また、交渉の際に売り手と買い手で感情的対立が起き、理性的な交渉ができなくなることも少なくありません。
特に交渉が煮詰まってくると、無理な条件を提示したり当初の条件をいくつも変更したりと、悪い方向に流れることもあります。
M&Aの専門家へソーシングを依頼し仲介役を担ってもらうことで、そのような対立を防ぐこともできます。このように、ソーシング過程のどれかが適切に行われなければ、M&A自体の成立にも影響します。
4. M&A仲介会社へソーシングを依頼する際のポイント
M&A仲介会社へソーシングを依頼する際は、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- M&Aの目的を明確に決めておく
- 自社の資料をまとめておく
- 秘密保持契約の締結を厳守
- 自社に関心のありそうな企業をリストアップ
- 正確な情報を開示すること
①M&Aの目的を明確に決めておく
【売り手がM&Aを行う主な目的】
- 創業者利潤獲得
- 後継者問題解決
- 個人保証解除
- 会社の成長のため
- 従業員・取引先のため
【買い手がM&Aを行う主な目的】
- 新規事業への参入
- 既存事業の強化
- 人材・ノウハウの獲得
M&Aを行う際はこれらの目的と優先順位をはっきりさせることで、M&A先企業との交渉も迷うことなく行えます。
M&Aの専門家とともにM&Aの目的を明確化しておくと、専門家側も戦略が明確になり、M&Aの相手に対して明確な交渉ができるでしょう。
②自社の資料をまとめておく
自社の資料を整理することでM&A先企業は判断が行いやすくなり、ミスマッチを防いだり交渉の時間を短縮したりできます。
【資料としてまとめておくべき主な情報】
- 事業概要
- 売却・買収の経緯
- 今後の業界環境と事業見とおし
- 事業の強み・弱みを具体的なデータや改善策
- 財務データ
- その他事業に関するデータ
③秘密保持契約の締結を厳守
M&Aのソーシングを専門家に依頼する大きなメリットとして、情報漏えい対策となる点は重要です。専門家をとおさないM&A先企業探しは、情報漏えいのリスクが高くなります。
しかし、専門家をとおしているからと安心せず、秘密を厳守する意識が必要です。情報漏えいはM&Aが破談になるだけでなく、自社と相手企業の信用を著しく落とします。
そのため、M&Aの専門家にソーシングを依頼する際は、秘密保持契約を厳守することが重要です。
④自社に関心のありそうな企業をリストアップ
ロングリスト・ショートリストでM&A先企業をリストアップする際は、こちらが興味のある企業を選ぶだけでなく、相手がこちらに関心を持っているかどうかという視点も大事です。
当初リストに入れていた企業が全滅してしまい、範囲を広げて交渉した結果、意外な企業とM&Aが成立した事例は少なくありません。
M&Aはタイミングが非常に大事ですが、それは興味関心面にもいえます。関心を抱いていた企業が違う企業と成約してしまったら、もうその企業とのM&Aはないかもしれません。
⑤正確な情報を開示すること
中小企業の場合、普段から自社のデータを取っていないことも多いため、M&Aの際に提供した情報があいまいだったり間違ったりして、M&A仲介会社が情報の整理に苦労することがあります。
あいまいな情報や間違った情報は、M&A仲介会社によるソーシングの精度に影響が出るだけでなく、M&A先企業に不信感を抱かせることにもなりかねません。
普段から、いずれM&Aを行うことを意識してデータを取っておくことも必要です。
5. ソーシングを含めたM&A全般の相談におすすめの仲介会社
M&Aのソーシングは、最適な相手企業探し・的確な企業価値算定・情報漏えいの防止・感情的対立を避けるなど、M&Aにおいて重要な役割を果たします。
また、本記事では詳しく触れていませんが、エグゼキューションの精度もM&Aの成功に欠かせない要素です。
M&Aは、ソーシング・オリジネーションとエグゼキューションがうまくつながっていくことで、スムーズに進みます。
M&A仲介会社は、ソーシング・オリジネーションとエグゼキューションの両方をトータルでサポートできる専門家です。
M&A総合研究所では、ソーシングとエグゼキューションに強みを持つアドバイザーがM&Aをトータルサポートしています。
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6. まとめ
本記事では、M&Aのソーシングについて解説してきました。M&Aはソーシング・オリジネーションとエグゼキューションがうまくつながっていくことでスムーズに進んでいきます。
【M&Aのソーシングとは】
- 相談受付
- 秘密保持契約締結
- アドバイザー契約
- 各種調査・分析
- 企業価値評価
- 買い手の選定
- 交渉用資料作成・スキームの決定
- 条件交渉
- 基本合意書の締結
【M&Aにおけるソーシング業務の手順】
- M&A先企業の選定
- ロングリスト・ショートリストの作成
- M&A先企業との交渉
【M&A仲介会社へソーシングを依頼する際のポイント】
- M&Aの目的を明確に決めておく
- 自社の資料をまとめておく
- 秘密保持契約の締結を厳守
- 自社に関心のありそうな企業をリストアップ
- 正確な情報を開示すること
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