2022年06月06日更新
M&Aの失敗確率は75%?成功基準や成功確率を高める方法【事例あり】
成功基準をどこに定めるかにもよりますが、M&Aの失敗確率は75%ほどともいわれることがあります。M&Aの成功確率を上げるためには、失敗の原因を知っておかなければなりません。本記事では、M&A後の成功基準や、M&Aの成功確率を上げる方法について解説します。
1. M&Aの失敗確率は75%?
M&Aの失敗確率は75%ほどであるともいわれることがあります。M&Aの失敗・成功確率は、何をもって失敗または成功とみなすかによっても変わります。
例えば、M&Aのマッチング成功率を基準として失敗・成功確率をだすこともあれば、マッチングした相手との契約成立確率を失敗・成功確率とすることもあります。
また、M&A後に思ったような結果が享受できたかどうかによって、失敗・成功確率を判断している場合もあります。
マッチングの失敗や交渉の不成立はまた他の相手とやり直すことができますが、M&A後に思うような結果が得られなかった場合は、軌道修正に苦労するケースが多くなります。
そのため、本記事ではM&A後の成功基準や、M&A後の失敗確率を下げ、成功確率を上げる方法について解説していきます。
2. 75%の企業がM&Aに失敗する理由
75%の企業がM&Aに失敗するといわれる場合、その多くは以下5つの要因に左右されています。
【75%の企業がM&Aに失敗する理由】
- デューデリジェンスの失敗
- M&A戦略の欠如
- 買収することが目的となっている
- 統合プロセスの失敗
- 相手企業について調べが足りない
1.デューデリジェンスの失敗
デューデリジェンスに成功するか失敗するかは、M&Aにおいて重要なポイントのひとつです。デューデリジェンスとは買収監査のことで、相手企業の内情を多角的に調査します。
M&Aの際、買い手側は売り手企業からM&Aの判断材料となる企業内資料を開示してもらいますが、開示資料の内容がすべて正しいとは限らず、また一部情報が開示されないこともあります。
そのため、買い手企業はデューデリジェンスを実施することで、相手企業の現状を極力正確に把握したり、隠れたリスクを探し出したりする必要があります。
しかし、デューデリジェンスを行ったからといって、すべての情報を的確に取得できるとは限りません。
デューデリジェンスは幅広い範囲に及ぶので、デューデリジェンスの失敗がM&Aの失敗につながることもあります。
2.M&A戦略の欠如
M&Aの失敗を避けて成功確率を上げるには、M&A戦略を構築することも重要です。M&A戦略はM&Aを開始する前に構築しておき、M&A相手と交渉する初期段階からM&A後の戦略まで話し合っておく必要があります。
M&A戦略を立てるうえで重要な点のひとつが、M&Aの目的を明確にすることです。特に近年はM&Aの目的が多様化してきていることから、M&A戦略の重要性が増してきています。
M&Aの目的を明確にしたらM&A相手とお互いの目的を共有し、目的に沿った戦略を立てていくことがM&Aの失敗を減らし成功確率を上げることにつながります。
3.買収することが目的となっている
M&Aの際は目的を明確にすることが大切ですが、M&A相手がなかなかみつからなかったり交渉の失敗が続いたりすると、M&A自体が目的化してしまうことがあります。
M&Aはあくまで目的を達成するための手段です。しかし、M&A自体が目的化してしまうと、M&Aによるシナジーが得られないばかりか、逆にM&Aを行ったことによって業績が悪化する可能性もでてきます。
前述のように、M&Aの失敗を避けて成功確率を上げるには、まずM&Aの目的を明確にするなどのM&A戦略構築が重要です。
4.統合プロセスの失敗
統合プロセスの失敗もM&Aが失敗に終わるケースに多い要素です。
しかし、これまでまったく別の企業としてやってきたものを統合することは
特に、
5.相手企業について調べが足りない
M&Aの際はさまざまな情報を基に最適なM&A相手かどうかを判断しますが、その際に相手企業の一面だけでM&Aを判断してしまうケースがあります。
M&Aの失敗を回避して成功させるには、相手企業の財務状況などの目に見える数字だけでなく、数字には表れない要素も考慮する必要があります。
現場で相手企業の目に見えない資産もしっかりと確認することを怠ると、M&A後に思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。
3. M&Aの成功基準とは
M&Aが成功したといえるのは、どのような結果が得られた場合なのでしょうか。一般的にM&Aに成功したといえる基準には、以下の要素があります。
【M&Aの成功基準】
- 人材の交流による企業活性
- ノウハウや技術の共有
- 販売チャンネルの拡大
- スケールメリットによるコスト削減
人材の交流による企業活性
M&Aの成功基準において人材は重要な要素です。M&Aに失敗すると、人材のモチベーションが下がってしまったり、人材の大量流出が起きてしまったりすることがあります。
M&Aに成功すると、売り手企業と買い手企業の人材同士でよい交流が生まれ、企業の活性化につながる可能性が高くなります。
しかし、人材の交流による企業活性化は、組織を統合すれば自然と生まれるとは限りません。M&A後の人材交流を成功させるには、現場に任せきりにするのではなく、経営側が適切な環境づくりを行う必要があります。
人材の交流による企業活性は数字では見えにくい要素ですが、重要な成功基準のひとつです。
ノウハウや技術の共有
ノウハウや技術の共有もM&Aの成功基準となります。お互いのノウハウや技術を共有して生かすことができれば、M&Aが成功につながる確率は高くなります。
しかし、ノウハウをうまく統合できず社内が混乱したり、技術の統合がうまく進まずコストが増大してしまったりすると、逆にM&Aが業績悪化の原因となることもあります。
ノウハウや技術の共有は、売り手企業か買い手企業どちらか一方の努力で実現できるものではないため、両社の意思疎通が重要です。
そのためには、M&Aの初期段階から丁寧にコミュニケーションを図っておく必要があります。ノウハウや技術の共有によって業績の向上につながれば、成功基準はクリアしているといえます。
販売チャンネルの拡大
販売チャンネルの拡大による売上の増加も成功基準となります。現在はさまざまな販売チャンネルが活用できるようになりましたが、自社でゼロから新たな販売チャンネルを開拓していくためには、ノウハウ・人材・時間が必要です。
しかし、変化のスピードが速くなっているなかで、成功するかどうかわからない販売チャンネルの拡大に多くの経営資源を割くことができない企業も少なくありません。
そこで、M&Aによってすでに出来上がっている販売チャンネルを獲得することにより、短期間で成果を得ることが可能です。
自社でゼロから販売チャンネルを開拓するよりも、短期間・低コストでM&Aによる販売チャンネルの拡大に成功すれば、M&Aの成功基準はクリアしているといえるでしょう。
スケールメリットによるコスト削減
M&Aによってスケールメリットを獲得し、コスト削減につなげることができたかどうかも成功基準のひとつとなります。
例えば、M&Aによって商品を大量仕入れできるようになり、1商品あたりの仕入れコストを削減することができれば成功基準はクリアしたといえます。
逆に、M&Aによって規模は拡大したものの、コストの効率化につながらなかった場合はM&Aの成功基準は満たせなかったことになります。
4. M&Aの成功確率を高める方法
M&Aの失敗を避けて成功確率を高めるには、どのような点を意識して進めていけばよいのでしょうか。この章では、M&Aの成功確率を高めるポイントについて解説します。
【M&Aの成功確率を高める方法】
- M&Aに対する目的意識とM&A後のビジョンを持つ
- デューデリジェンスの徹底
- M&Aを必ず実行する思考は捨てる
- 各工程で責任者を変えない
- 専門家に相談する
1.M&Aに対する目的意識とM&A後のビジョンを持つ
M&Aの失敗を回避し成功確率を上げるには、M&Aに対する目的意識とM&A後のビジョンを持つことが重要です。
そのためには、前述のようにM&A戦略を構築することも大切です。M&A戦略はM&Aを開始する前に構築しておき、M&A相手と交渉の初期段階からM&A後の戦略まで話し合い、M&Aの目的とM&A後のビジョンを固めます。
2.デューデリジェンスの徹底
デューデリジェンスをどれだけ徹底できるかという点は、M&Aが成功するか失敗するかに大きく関わります。
しかし、デューデリジェンスを徹底しようとすると費用や時間の問題がでてくるため、資金や時間に余裕のない中小企業の場合は幅広い範囲をカバーすることは簡単なことではありません。
そこで、デューデリジェンスに精通した専門家の力を借りながら、ここだけは外せないというポイントを押さえてもらい、的確なデューデリジェンスを行えるかが鍵になってきます。
3.M&Aを必ず実行する思考は捨てる
M&Aを実行すると決めると、いかにしてM&Aを成功させるか、
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自分だけの判断だけでなく、
4.各工程で責任者を変えない
M&A手続きの過程でよくある失敗は、途中で担当者が変わることで混乱が生じるというものです。M&Aは売り手企業と買い手企業、間に入る専門家の信頼関係が重要です。
しかし、途中で何度も責任者が変わってしまうとM&A手続きに支障がでるだけでなく、信頼関係も損なわれM&Aが失敗に終わる可能性もあります。
M&Aの成功確率を上げるためには、極力同じ責任者同士で一貫したM&A手続きを行うほうが効果的です。
5.専門家に相談する
M&Aの失敗を回避し成功確率を上げるには、ここまで取り上げたポイントを押さえながらM&
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5. M&Aの失敗事例
- ライザップグループによるM&Aの失敗
- パナソニックによる三洋電機のM&A失敗
- ソフトバンクによるアームのM&A失敗
1.ライザップグループによるM&Aの失敗
パーソナルトレーニングジムの運営で大成功を収めたライザップグループは、さらにグループを成長させようと2017年頃からM&Aに積極的に取り組み始めました。
当初は本業と関連のある事業を獲得していましたが、徐々に本業とは関連性の薄い事業も獲得するようになります。また、ライザップグループは短期間で買収を繰り返したことから、買収した企業への対応が疎かになってしまいました。
ライザップグループは早急に立て直しが必要な企業を買収し続けたため、買収した企業がグループの負担になっていきます。
結果的にライザップグループは買収した企業のいくつかを手放し、グループを立て直さなければならなくなりました。
2.パナソニックによる三洋電機のM&A失敗
パナソニックは、三洋電機の保有するリチウムイオン電池事業に将来性を見出し、2009年に買収に至りました。
この時点で三洋電機は業績が厳しい状況にあり、パナソニックによる三洋電機の買収を危険視する専門家もいました。
しかし、パナソニックは三洋電機の事業立て直しに成功すれば世界でも戦える電機メーカーになれると踏んで、買収を決断します。
ところが、パナソニックによる三洋電機の立て直しはうまくいかず、多くの時間と費用を費やした結果、三洋電機は実質消滅するまでに追い込まれてしまいました。
3.ソフトバンクによるアームのM&A失敗
ソフトバンクグループは2016年、イギリスの半導体大手であるアームを多額の資金をかけて買収しました。
買収額の大きさから当時は各方面から批判もありましたが、ソフトバンクグループはアームの将来性を見越して買収を実行します。
しかし、アームの業績が伸び悩んだことや事業環境が変化したこと、ソフトバンクグループが他事業へ経営資源を大幅にシフトするなどの転換を決断したことにより、ソフトバンクグループはアームの売却へと至っています。
アームの買収自体は失敗に終わりましたが、ソフトバンクグループは売却益をほかの有望事業へ再投資しています。
6. まとめ
M&Aの成功には戦略策定やデューディリジェンスの実施範囲など、専門家のアドバイスが有効なものも多いため、M&A仲介会社などに相談しながら進めていくとよいでしょう。
- デューデリジェンスの失敗
- M&A戦略の欠如
- 買収することが目的となっている
- 統合プロセスの失敗
- 相手企業について調べが足りない
- 人材の交流による企業活性
- ノウハウや技術の共有
- 販売チャンネルの拡大
- スケールメリットによるコスト削減
- M&Aに対する目的意識とM&A後のビジョンを持つ
- デューデリジェンスの徹底
- M&Aを必ず実行する思考は捨てる
- 各工程で責任者を変えない
- 専門家に相談する
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