M&Aの手数料相場はいくら?仲介会社の手数料種類、計算方法、安く抑えるコツを徹底解説

取締役副社長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

M&Aでかかる手数料の相場や内訳がわからずお困りではありませんか?本記事では、仲介会社に支払う手数料の種類別の料金体系、計算方法から、費用を安く抑えるコツまで専門家が解説します。

目次

  1. M&A仲介手数料の全体相場と基本的な考え方
  2. M&A仲介手数料の主な種類と料金体系一覧
  3. 【種類別】M&A仲介手数料の具体的な相場と注意点
  4. M&A手数料を安く抑えるための3つのポイント
  5. 中小企業庁のM&Aガイドラインと手数料に関する最新動向
  6. M&Aの仲介手数料は誰が支払う?
  7. 成功報酬の料金体系「レーマン方式」とは
  8. M&A仲介手数料を買い手・売り手双方が支払う両手取引とは
  9. M&Aアドバイザリー契約における両手取引と片手取引
  10. M&Aの仲介手数料が高くなりやすい理由
  11. M&Aの仲介手数料を抑えるコツ
  12. M&Aの仲介手数料まとめ
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1. M&A仲介手数料の全体相場と基本的な考え方

M&A仲介手数料の総額は、案件の規模や契約内容に応じて変動しますが、一般的には取引金額の4%~5%程度が相場です。

M&A仲介会社は、専門知識や独自のネットワークを駆使して相手企業を探し、複雑な交渉や手続きをサポートします。手数料は、こうした専門的なサービスへの対価といえます。

計算方法には、取引金額が大きくなるほど料率が下がる「レーマン方式」が広く採用されています。手数料体系を正しく理解し、納得のいく条件で契約することがM&Aの成功には不可欠です。

M&Aについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。

2. M&A仲介手数料の主な種類と料金体系一覧

M&A仲介会社の手数料相場は一概に決められません。なぜならば、手数料にはさまざまな種類があるかつ、支払う金額や支払う時期は会社によって異なるからです。

わかりやすいように、代表的なものを以下の表にまとめました。相場と内容も含めて7つの種類がありますので、チェックしてみてください。

手数料名 内容 相場
相談料 正式な依頼をする前の相談料 0~1万円
着手金 業務の本格的な依頼をするための手数料 50万~200万円
中間金 M&A基本合意契約を締結したときに発生する手数料 50万~200万円
成功報酬 M&A成立時の最終契約を締結したときに発生する手数料 売却費用に左右される
リテイナーフィー(月額報酬) 毎月支払う月額定額手数料 30万~200万円/月
デューデリジェンス費用 企業調査費用 0~200万円
業務実行にかかる実費 出張費や弁護士相談費用など、業務実行に付加して生じる費用 実費

このように、手数料と一口にいってもその内容はさまざまです。M&Aで会社や事業を売却する前に、M&A仲介会社の費用額や支払う時期の観点から、各社を比較してみましょう。費用の内容を事前に把握しておくと、安心につながります。

また、M&Aで仲介手数料の他にどのような費用がかかるのか気になる方は、以下の記事もご一読ください。

【関連】M&Aの費用とは?相場、算出方法、安くするコツ、仲介会社ごとの報酬体系を解説!

3. 【種類別】M&A仲介手数料の具体的な相場と注意点

M&A仲介手数料は専門家次第で変わります。おおむねM&Aの取引価格に応じた手数料が発生するため、買い手や売り手にかかる負担は決して小さくありません。

本章では、仲介手数料の内訳ごとの相場を紹介します。

相談料の相場

相談料は、M&A仲介会社やアドバイザーに正式な依頼をする前の、初期相談にかかる費用です。多くの場合、無料相談を提供している専門家がほとんどですが、一部では1回あたり5,000円~1万円程度の費用が発生することもあります。依頼を検討する際は、初回の相談が無料かどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。

【関連】M&Aの相談先9種類!メリットデメリットや選び方と相談時の注意点も解説!

着手金の相場

着手金とは、M&A仲介会社と契約を締結し、業務を本格的に依頼する際に支払う手数料です。企業情報の分析や資料作成、マッチング先の探索といった初期活動の費用に充てられます。

相場は50万円~200万円程度ですが、近年は着手金無料の仲介会社も増加しています。ただし、着手金はM&Aが成立しなくても返金されないのが一般的です。着手金が無料の場合、その分が成功報酬に上乗せされているケースもあるため、手数料の総額で比較検討することが重要になります。手元の資金に不安がある場合は、着手金のない会社を選ぶのも有効な選択肢です。
 

着手金についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。

【関連】M&Aの着手金とは?相場の決まり方から支払い前の検討事項まで解説!

中間金の相場

中間金とは、特定の買い手候補企業と基本合意契約(MOU)を締結した段階で支払う手数料です。これは、交渉が具体的な段階へ進んだことに対する成功報酬の一部前払いという位置づけです。

基本合意契約は、M&Aの基本的な条件について当事者間の暫定的な合意を示すもので、最終契約を法的に拘束するものではありません。その後のデューデリジェンス(企業調査)の結果などによっては、最終契約に至らない可能性もあります。

中間金も着手金と同様に、M&Aが最終的に成立しなくても返金されないのが一般的です。相場は50万円~200万円、あるいは成功報酬の10%~20%程度に設定されることが多いですが、近年は中間金を設けない仲介会社も増えています。

M&Aの中間報酬や中間金についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください

【関連】M&Aの中間報酬とは?注意点や支払いタイミングから費用について解説!
【関連】M&Aの中間金とは?費用の相場・支払い時の注意点を解説

成功報酬の相場

成功報酬とは、M&Aが成立して最終契約締結後に支払う手数料のことをいいます。M&Aが成立しなかった場合には、当然支払う必要のないものです。

成功報酬の額は、M&A金額を元にレーマン方式といわれる計算方法で決定するM&A仲介会社がほとんどです。レーマン方式は複雑な計算を用います。

M&Aを行ううえで企業の規模に関係なく、プロセスを進めていくなかで人件費やその他の費用が発生するでしょう。小規模のM&Aでは、後述するレーマン方式により算出した成功報酬だけでは、M&A仲介会社の事業としての採算がとれません。

仲介会社の中には、最低報酬を設定しているケースもあります。その場合規模にかかわらず、最低報酬が発生します。相場は、1,500万〜2,000万円程度が多いでしょう。

ほとんどの会社は、レーマン方式といわれる、取引金額に一定の料率を掛けて算出する成功報酬の方法を採用しています。成功報酬の計算方法は、「株式価額ベース」、「オーナー受取額ベース」、「企業価値ベース」、「移動総資産ベース」です。

株式価額ベース:株式譲渡額
移動総資産ベース:株式譲渡額+役員借入金
企業価値ベース:株式譲渡額+すべての有利子負債(銀行借入金、役員借入金)
移動総資産ベース:株式譲渡額+すべての負債(銀行借入金役、買掛金など)

移動総資産ベースは、株式価額ベースに比べて売り手の総負債額まで合算するため、金額が大きくなるといえるでしょう。したがって、同じM&Aであっても取引金額の定義の違いによって、成功報酬額に大きな差が出てきます。

成功報酬には、多くの場合「最低報酬額」が設定されています。これは、取引金額が小規模なM&Aであっても、仲介会社が事業として採算を確保するために必要な金額です。

最低報酬額の相場は仲介会社によって大きく異なり、中小企業専門の仲介会社では500万円~2,500万円程度が一般的です。一方で、大手証券会社や外資系投資銀行などが手掛ける大型案件では、1億円以上に設定されることもあります。契約前には必ず最低報酬額の有無と金額を確認しましょう。
 

完全成功報酬とは

成功報酬の中でも、完全成功報酬という制度を導入しているM&A仲介会社も近年では増えています。完全成功報酬とは、M&Aが成立するまでM&A仲介会社に支払う金額が一切発生しないという報酬制度です。利用者はこれまで説明したような中間金や着手金を支払う必要がないので、気軽に進めることがメリットです。

完全成功報酬についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。

【関連】M&Aの完全成功報酬とは?報酬体系や相場、算出法のレーマン方式も紹介!

リテイナーフィーの相場

リテイナーフィーとは、M&A仲介会社に毎月支払う手数料のことです。月額報酬・リテイナー報酬などの、別の呼び方をするケースもあります。リテイナーフィーが、発生しないM&A仲介会社もあります。

こちらの相場は月30万~200万円程度です。M&Aが成立するまで支払い続けるため、費用を抑えたいなら避けるのも一つの選択肢となるでしょう。

デューデリジェンス費用の相場

デューデリジェンス費用とは、M&Aをするにあたって行う企業調査費用のことです。一般的に買い手が実施するため費用負担者は買い手です。調査内容に合わせ、公認会計士弁護士税理士といった専門家へ依頼します。

デューデリジェンス費用は、たいてい着手金や成功報酬に含まれています。デューデリジェンス費用だけで設定しているM&A仲介会社はあまり多くありません。依頼をする前に、デューデリジェンス費用が別途請求されるかなど、聞いておくとよいでしょう。

対象の企業の規模や事業内容により相場は大きく異なりますが、中小企業の相場は10万~200万円程度です。

【関連】デューデリジェンス(Due Diligence)とは?種類・M&Aにおける役割・注意点・期間をわかりやすく解説

業務実行にかかる追加費用の相場

M&A仲介会社が業務を実行する際にかかる費用は、実費請求されることもありますので、注意が必要です。例えば、企業評価を行うために工場視察や社屋の視察を実施する場合、その出張費用が実費で請求されます。

それらの費用を全て着手金や成功報酬などに含めているところもあります。あらかじめ、相談時にチェックしましょう。

4. M&A手数料を安く抑えるための3つのポイント

M&Aには多額の費用がかかりますが、いくつかのポイントを押さえることで手数料を適正な範囲に抑えることが可能です。ここでは、具体的な3つの方法を紹介します。

複数の仲介会社から相見積もりを取る

M&A仲介会社を選ぶ際は、必ず複数の会社から見積もりを取りましょう。料金体系やサービス内容は会社ごとに大きく異なるため、1社だけの話で決めると相場より高額な手数料を支払う可能性があります。最低でも3社程度から話を聞き、手数料の総額や支援内容を比較検討することが重要です。

料金体系を正しく理解し総額で比較する

「着手金無料」や「完全成功報酬」といった言葉だけに注目せず、料金体系の全体像を理解しましょう。例えば、着手金が無料でも成功報酬の料率が高めに設定されていたり、計算基準となる「取引金額」の定義が会社によって異なったりします。目先の費用だけでなく、最終的に支払う手数料の総額がいくらになるかをシミュレーションして比較することが賢明です。

自社の状況に合った仲介会社を選ぶ

仲介会社には、それぞれ得意な業種や企業規模があります。自社の事業内容や売却希望額に合った実績を持つ仲介会社を選ぶことで、スムーズなマッチングが期待でき、結果として交渉期間の短縮や費用の抑制につながることがあります。中小企業であれば中小M&Aに特化した会社、特定の業界であればその業界に精通した会社を選ぶのが良いでしょう。
 

5. 中小企業庁のM&Aガイドラインと手数料に関する最新動向

近年、中小企業のM&Aを円滑かつ公正に進めるため、国によるルール整備が進んでいます。特に手数料に関しては、以下の点を理解しておくことが重要です。

中小M&Aガイドラインの改定

経済産業省・中小企業庁は、中小企業のM&Aを促進し、取引の透明性を高めるために「中小M&Aガイドライン」を策定しています。2023年9月に公表された第2版では、M&A支援機関に対して手数料体系の明確な開示や、利益相反の可能性について丁寧に説明することを強く求めています。

2024年現在、このガイドラインと連動する形で「M&A支援機関登録制度」が運用されており、登録された仲介会社は手数料体系を公表することが義務付けられています。これにより、利用者は事前に各社の料金を比較検討しやすくなり、より安心してM&Aを進められる環境が整備されつつあります。
 

M&A支援機関登録制度と手数料体系の公表義務化

中小企業庁は、一定の基準を満たすM&A専門業者を登録する「M&A支援機関登録制度」を設けています。令和6年度(2024年度)からは、登録要件として、登録支援機関が標準的な手数料体系を同制度のデータベース上で公表することが義務付けられました。これにより、M&Aを検討する事業者は、支援機関を選ぶ際に、事前に各社の標準的な手数料体系を比較検討しやすくなりました。

  • 確認方法:中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」のウェブサイト内のデータベースで確認できます。
  • 注意点:公表されているのはあくまで「標準的な」手数料体系であり、個別の案件によっては実際の金額や条件が異なる場合があります。必ず個別の支援機関に詳細を確認してください。

6. M&Aの仲介手数料は誰が支払う?

M&A仲介手数料を誰が払うのかに関してですが、両手取引であれば買い手と売り手(売主)の双方、片手取引であればM&Aの専門家と契約した買い手もしくは売り手の片方になります。

両手取引・片手取引とは、主に不動産業界で使われている用語です。同じ仲介業として共通する部分が多いため、M&A業界でも使われる頻度が高いです。

両手取引や片手取引を両方採用しているM&Aの専門家もいれば、片方に特化したM&Aの専門家もいます。M&A仲介手数料を誰が払うのかを知るためにも、その専門家が採用している契約形式を把握しましょう。

M&A仲介手数料の会計処理・税務処理

M&A仲介手数料の会計処理・税務処理は、成約前であれば一般的に「仮払金」等の勘定科目へ一時計上し、成約が決定したのち「子会社株式」などの勘定科目に買収の取得原価として含めるケースが多いです。

また成約後に発生するM&A仲介手数料であれば、付随費用としてM&Aの対価に加算して計上するのが一般的です。

ただし、実際には手数料の種類や発生タイミングによって若干異なるため、なるべく専門家に相談するのがおすすめです。

着手金ありと成功報酬型の契約の比較

近年、M&Aアドバイザーやコンサルタント会社、M&A仲介会社などの競争が激化しています。そのため、着手金や月額報酬を請求しないケースも出てきました。

しかし、M&Aを進めるうえで、中小企業の相手先をリサーチするのは大変な労力が伴います。成約まで導くにためには、大部分が担当者の能力や気力や情熱にかかっているといえるでしょう。

成功報酬の金額は、会社ごとの計算方法や料率の設定により大きく変わります。着手金、中間金、月額報酬・成功報酬の全てが必要になる場合と、成功報酬のみの場合とでどちらがよいのかは、依頼主が決定せざるを得ません。

M&Aの最終目標は、あくまでも優良な相手企業とのM&A成約が目標です。M&Aを進めるうえで合理的な契約内容なのかが重要となります。

担当者が親身に相談に乗ってくれるか、自社の経営方針なども理解しているかなど、担当者との相性も大切でしょう。

M&Aをご検討の経営者様は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

案件ごとに知識や実績豊富なM&Aアドバイザーが担当につき、M&A成約に向けフルサポートいたします。無料相談は電話・Webより随時受け付けますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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7. 成功報酬の料金体系「レーマン方式」とは

レーマン方式とは、成功報酬計算方式のことで、基準額の金額帯ごとに異なる手数料率を設定、金額帯ごとに計算した結果を合算することで手数料を計算します。M&A仲介会社のほとんどが、手数料の計算の際にレーマン方式を用いています。

M&A仲介会社の手数料に関して理解を深めるためには、レーマン方式の知識は大切です。手数料割合は一定ではなく、M&A仲介会社によって異なります。しかし、一般的に採用されている水準があります。

売却額 手数料の割合
5億円以下の部分 5%
5億円超・10億円以下の部分 4%
10億円超・50億円以下の部分 3%
50億円超・100億円以下の部分 2%
100億円超 1%

このように、売却金額が大きくなればなるほど、手数料の割合(%)が減少していくのがレーマン方式です。10億円×4%と、単純に売却額に手数料の割合を掛けてしまいそうですが、そうではないので注意しましょう。

以下の例を見ながら、計算方法を確認します。

レーマン方式の計算例

一度、レーマン方式で費用を算出してみましょう。

売却額が2億円の場合

レーマン方式に則ると手数料率は5%のため、

2億円×5%=1000万円

売却額が12億円の場合

5億円 × 5%(5億円以下の部分) =  2,500万円
5億円 × 4%(5億円超・10億円以下の部分) = 2,000万円
2億円× 3%(10億円超・50億円以下の部分) = 600万円

合計5,100万円

このようにレーマン方式での報酬額算出は、やや複雑です。あくまでこれは一例であり、M&A仲介会社によって手数料の割合が変わるので、注意しましょう。レーマン方式での報酬の場合には、手数料の割合を確認して、実際に計算してみるのがおすすめです。

レーマン方式についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。

【関連】レーマン方式とは?M&A仲介会社の成功報酬や手数料の算出方法からメリットも解説!

8. M&A仲介手数料を買い手・売り手双方が支払う両手取引とは

仲介手数料を誰が払うのかは、買い手・売り手(売主)の負担に大きくかかわるため、両手取引か片手取引かどうかは非常に関心の高いポイントになります。

専門家によって採用する形式は違いますが、日本では基本的に両手取引を採用しているケースが多いです。この章では、買い手・売り手の双方が支払う両手取引を見ましょう。

両手取引とは

両手取引とは、M&Aの専門家がサポートの対価として買い手・売り手(売主)の双方から仲介手数料を受け取るアドバイザリー契約のことです。買い手・売り手の間に共通の専門家が仲介に入るため、交渉がまとまりやすい特徴があります。

両手取引は、米国では潜在的利益相反取引に該当するとして規制対象ですが、日本では民法上の代理にはならないと解釈されており、不動産業界やM&A業界で広く使用されています。

両手取引のメリット

両手取引のメリットは、買い手・売り手(売主)の双方代理であるため、M&Aが成約しやすいことです。M&Aの専門家が、買い手・売り手がそれぞれ求める条件のすり合わせを行うので、友好的なM&Aが実現しやすくなります。

買い手・売り手の双方の仲介手数料負担が軽くなるメリットもあります。両手取引の場合、専門家は買い手・売り手の双方から仲介手数料を受け取るので、片手取引と比較すると負担は約半分で済むでしょう。

両手取引のデメリット

両手取引のデメリットは、利益相反取引に該当する恐れがあることです。買い手は少しでも安く買いたい、売り手(売主)は少しでも高く売りたい要望が自然であるため、双方の利益が一致しないことも多いでしょう。

その際、M&Aの専門家はリピーター顧客になり得る買い手を優遇する恐れがあります。売り手は基本的に一度きりの取引になることが多いためです。

売り手の利益の最大化よりも、両手取引の成立を優先される恐れもあります。売り手が求める条件を満たさないまま、一方的に悪条件を押し付けて強引にM&A成約に運ぶ可能性もあるでしょう。

【関連】M&AのFA(アドバイザリー)が担う役割とは?仲介との違い、業務・費用を解説

9. M&Aアドバイザリー契約における両手取引と片手取引

M&Aのアドバイザリー契約では、両手取引のほかに片手取引があります。両手取引は買い手・売り手(売主)の双方が仲介手数料を払いますが、片手取引は誰が払うのでしょうか。

この章では、片手取引の手数料を誰が払うのか、メリット・デメリットを踏まえて買い手・売り手にとって両手取引と片手取引のどちらが得か、を解説します。

片手取引とは

片手取引とは、M&Aの専門家が専属サポートの対価として買い手もしくは売り手(売主)の片方から手数料を受け取るアドバイザリー契約のことです。買い手・売り手のどちらか片方の利益の最大化に努める特徴があります。

それぞれに専門家がつき、日本におけるM&Aでは、大手企業同士のM&Aで使われることが多いです。

片手取引のメリット

片手取引のメリットは、M&A取引の公平性が高いことです。両手取引のように不当な肩入れが起きる可能性がないため、依頼主と専門家が一丸となってM&A交渉に取り組めます。

片手取引には、M&A先を広範囲から探せるメリットもあります。一つのM&A案件に対して複数の専門家が介入するので、それぞれの専門家が保有するネットワークを使って、広範囲から取引相手を探せるでしょう。

片手取引のデメリット

片手取引のデメリットは、買い手・売り手(売主)それぞれの手数料負担が重くなることです。M&Aの専門家は、買い手・売り手の片方から手数料を受け取るため、両手取引の約2倍の金額を設定することが多いでしょう。

M&A交渉が長期化する可能性が高いデメリットもあります。買い手・売り手の双方が要望を主張するので、交渉が平行線になり、最悪の場合は決裂する恐れもあるでしょう。

両手取引と片手取引はどちらが得か

両手取引と片手取引は、それぞれにメリット・デメリットがあります。買い手・売り手(売主)がそれぞれ抱えている問題やM&Aに求める条件によって適切な取引方法は変わります。

例えば、売り手が後継者問題を抱えていて会社の存続を重視する場合は両手取引が得です。買い手・売り手同士で友好的な関係を構築できれば、従業員の雇用条件なども前向きに検討しやすくなります。

大手企業同士のM&Aの場合は、買い手・売り手の双方が利益の最大化を目的とすることが多いため、片手取引が一般的です。

M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

M&Aにお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、M&A仲介会社として豊富な経験を積んでおりますので、両手取引で友好的なM&Aを目指せます。M&Aに精通したM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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10. M&Aの仲介手数料が高くなりやすい理由

M&A仲介会社の手数料が高くなりやすい主な理由は、人件費です。

M&A成約までには、企業の適正な価値を算出する企業価値評価や、企業の潜在的リスクを調査するデューデリジェンスなど法律・会計・税務など幅広い分野の知識が必要になります。また適宜、弁護士や公認会計士、税理士などのサポートも必要になります。このように、専門性の高い人材は人件費が高くなるため、手数料が高くなります。

また、会社規模が大きくなるほど評価や調査の範囲が広くなるため手数料が高くなる傾向にあります。

M&Aの手数料が高くなりがちな理由については、以下の記事をご参照ください。

 

【関連】M&Aの手数料が高い理由は?相場や手数料の種類、安く抑える方法も解説

11. M&Aの仲介手数料を抑えるコツ

ここでは、M&A仲介会社に支払う手数料・報酬を抑えるコツを見ていきましょう。主なものは、以下のとおりです。

手数料以外の観点で数社に絞る

まずは、手数料が安い点だけに着目するのではなく、その他の観点で自社に合っていると思われる数社に絞り込むことがおすすめです。M&A仲介会社の公式ホームページには、これまでの実績や経験談、得意な業種や実績数、相談件数などが掲載されています。

それらを参考に、手数料が安く、かつ自社に最適と思われるM&A仲介会社を挙げていきましょう。

各社に手数料見積もりを依頼する

M&A仲介会社を数社に絞り込んだら、次に、各社に手数料見積もりを依頼します。電話やウェブで無料相談を受け付けているところが多いので、それを利用して聞いてみるとよいでしょう。

すべての観点を検討し最終的な1社を決める

ここまでのすべての情報を総合的に検討し、自社に最適な1社を決めましょう。たとえ一番手数料が安いところではなかったとしても、それ以外の観点も加味して判断できれば、納得のいくM&A仲介会社を探せるでしょう。

12. M&Aの仲介手数料まとめ

M&Aで必要な手数料は、会社や事業の売却価格によって大きく異なります。M&A仲介会社によっても報酬体系が異なるため、一概に金額を決められません。

手数料があることを理解したうえで、相談時におおよその概算を出してもらうようにしましょう。

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