株式交換の事例25選!M&A成功のポイントも解説!

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

企業は、どのような目的で株式交換を行っているのでしょうか。この記事では、業種・期間別に分けた株式交換に関する25の事例を取り上げています。株式交換の概要や成功のポイントにも触れているので、他社の事例や株式交換についての情報が得られます。

目次

  1. 株式交換とは
  2. 株式交換の事例25選
  3. 株式交換を使ったM&Aの成功ポイント
  4. おすすめのM&A仲介会社
  5. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 経験豊富なM&AアドバイザーがM&Aをフルサポート まずは無料相談

1. 株式交換とは

株式交換

「図解:株式交換」

株式交換とは、当事会社同士が自社の株式を交換するスキームのことです。買収側は、対象会社の株式をすべて取得し、交換比率に応じて、自社の株式や対価を、対象会社の株主に割り当てます。

株式交換は、1999年の商法改正を契機に、組織再編の手法として用いられていますが、企業はどのような目的で株式交換を選択しているのでしょうか。企業は以下のような目的を果たすために、株式交換を行っています。

株式交換を行う目的

企業が株式交換を行う目的には、次の3つが挙げられます。
 

  1. 現金を用意する必要がない
  2. 迅速なグループ化
  3. 全ての株主から賛同を得る必要がない

目的①現金を用意する必要がない

株式交換では、現金を用意する必要がありません。自社株を対象会社の株主に割り当てることで、企業買収が行えます。

対象会社の株主へ現金を交付するケースも見られますが、ほとんどの場合、交換比率に応じた自社株を割り当て、対象会社の完全子会社化を図っているといえるでしょう。

目的②迅速なグループ化

株式交換では、簡易・略式株式交換を用いれば、株主総会の承認を省略することが可能です。株主総会の特別決議を経ずに、株式交換契約を結べるため、迅速にグループ化を進められます。

手際よくグループ化が進められれば、経営資源の共有による効率的な利用のほか、意思決定の伝達速度を上げる、グループ全体で事業環境に対応するなど、企業が抱える課題に対し、素早く対応することが可能になります。

目的③全ての株主から賛同を得る必要がない

株式交換では、対象会社の株主総会における特別決議で、出席した株主の議決権のうち、2/3以上の賛同を得ていれば、スキームの実施が可能です。

上場会社を子会社化する場合は、株式譲渡やTOBで対象会社の株式のうち、2/3以上を取得し、その後株式交換に取りかかるケースが一般的です。

【関連】株式交換による買収・M&Aのやり方、メリットを解説【事例あり】

2. 株式交換の事例25選

株式交換を行う企業は、どのようなことを目的にして、スキームを実施しているのでしょうか。ここでは、他社が行った株式交換を知りたい方のために、25の事例を取り上げます。

業種・期間に分けた項目から、株式交換の事例を把握してください。株式交換の目的のほか、交換比率や交換額も取り上げています。
 

  • 2019年以降の最新株式交換の事例
  • 自動車製造業関連の株式交換事例
  • エレクトロニック関連の株式交換事例
  • 製造業関連の株式交換事例
  • エネルギー関連の株式交換事例
  • 小売業関連の株式交換事例
  • IT・メディア・通信関連の株式交換事例
  • 食品製造業関連の株式交換事例

2019年以降の最新株式交換の事例

2019年以降に行われた最新の株式交換では、8つの事例を取り上げます。

  1. フォーバルとカエルネットワークスの最新事例
  2. ヒューリックとビューホテルの株式交換事例
  3. クミアイ化学工業と理研グリーンの株式交換事例
  4. ビーイングとラグザイアの株式交換事例
  5. PHCホールディングスと生命科学インスティテュートの株式交換事例
  6. ヒューマン・アソシエイツHDとサイコム・ブレインズの株式交換事例
  7. アイビーシーとサンデーアーツの株式交換事例
  8. ジーンテクノサイエンスとセルテクノロジーの株式交換事例​​​​​​

①フォーバルとカエルネットワークスの最新事例

最後の事例は、2020年に実施の保守サービス提供、金融機関・官公庁系ネットワークからデータセンター構築などを行っているカエルネットワークスとフォーバルの事例です。

2020年7月1日が効力発生日で、フォーバルが株式交換完全親会社、カエルネットワークスが連結子会社として、株式交換契約を締結しています。
 

株式交換の事例
①フォーバルとカエルネットワークスの株式交換
株式交換企業 フォーバルとカエルネットワークス
株式交換に係る割当て フォーバル:カエルネットワークス=900:1
株式交換額 非公開
目的 企画・設計・構築などの能力強化・グループシナジー



 
 

②ヒューリックとビューホテルの株式交換事例

2つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、ヒューリックと日本ビューホテルの株式交換です。不動産賃貸事業などを手掛けるヒューリックは、2019年6月に、日本ビューホテルと株式交換契約を結んでいます。

ヒューリックを完全親会社、日本ビューホテルを完全子会社とする取引で、ヒューリックは簡易株式交換を選択し、手続きを進めます。また、日本ビューホテルは、効力発生日を前に、上場廃止を選択するとしています。
 

株式交換の事例
②ヒューリックとビューホテルの株式交換
株式交換企業 ヒューリックとビューホテル
株式交換比率 ヒューリック:ビューホテル=1:1.57
株式交換額 約92億円(2019/06/06の終値より算出)
目的 事業環境の変化に合わせたサービスを提供する
ホテル運営による収益の獲得

③クミアイ化学工業と理研グリーンの株式交換事例

3つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、クミアイ化学工業と理研グリーンの株式交換です。農薬の製造・販売事業などを手掛けるクミアイ化学工業は、2019年の6月に、理研グリーンと株式交換契約を結んでいます。

クミアイ化学工業を完全親会社、理研グリーンを完全子会社とする取引で、クミアイ化学工業は簡易株式交換により、手続きを進めます。

また、理研グリーンは株式交換の効力発生日を前に、上場廃止の手続きを踏むとしています。
 

株式交換の事例
③クミアイ化学工業と理研グリーンの株式交換
株式交換企業 クミアイ化学工業と理研グリーン
株式交換比率 クミアイ化学工業:理研グリーン=1:0.820
株式交換額 約25億円(2019/06/06の終値より算出)
目的 迅速な意思決定・資源などの有効活用による企業価値の向上


 

④ビーイングとラグザイアの株式交換事例

4つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、ビーイングとラグザイアの株式交換です。

建設業者向けにアプリの開発・販売サービスなどを提供するビーイングは、ラグザイアの株式を取得し、2019年6月に、対象会社と株式交換を完了させています。

ビーイングを完全親会社、ラグザイアを完全子会社とする取引で、ビーイングは簡易株式交換を選択し、契約を進めました。
 

株式交換の事例
④ビーイングとラグザイアの株式交換
株式交換企業 ビーイングとラグザイア
株式交換比率 ビーイング:ラグザイア=1:123
株式交換額 約1,200万円
目的 WEBアプリケーションの開発を促進させるため


 

⑤PHCホールディングスと生命科学インスティテュートの株式交換事例

5つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、PHCホールディングスと生命科学インスティテュートの株式交換です。

ヘルスケア機器の開発・製造・販売など手掛けるPHCホールディングスは、2019年6月に、生命科学インスティテュートと株式交換契約を結んでいます。

PHCホールディングスは、生命科学インスティテュートの全株式を取得し、生命科学インスティテュートはPHCホールディングスの株式のうち、13.7%​​​​​を取得します。
 

株式交換の事例
⑤PHCホールディングスと生命科学インスティテュートの株式交換
株式交換企業 PHCホールディングスと生命科学インスティテュート
株式交換比率 非公開
株式交換額 非公開
目的 互いの顧客領域を拡大させる
技術革新の創出

 

⑥ヒューマン・アソシエイツHDとサイコム・ブレインズの株式交換事例

6つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、ヒューマン・アソシエイツHDとサイコム・ブレインズの株式交換です。

人材紹介・メンタルヘルスケア事業を手掛けるヒューマン・アソシエイツHDは、2019年の5月に、サイコム・ブレインズと株式譲渡・株式交換契約を結んでいます。

株式譲渡によりサイコム・ブレインズを子会社とし、その後株式交換により、完全子会社とする予定です。ちなみに、ヒューマン・アソシエイツHDは簡易株式交換による手続きを選択するとしています。
 

株式交換の事例
⑥ヒューマン・アソシエイツHDとサイコム・ブレインズの株式交換
株式交換企業 ヒューマン・アソシエイツHDとサイコム・ブレインズ
株式交換比率 ヒューマン・アソシエイツHD:サイコム・ブレインズ=1:829.1
株式交換額 約2.2億円(2019/05/13の終値より算出)
目的 両社の顧客にそれぞれのサービスを提供し、シナジーを獲得する


 

⑦アイビーシーとサンデーアーツの株式交換事例

7つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、アイビーシーとサンデーアーツの株式交換です。

ネットワークシステム性能の監視ツールについて、開発・販売などを手掛けるアイビーシーは、2019年4月に、サンデーアーツと株式交換を完了させています。

アイビーシーを完全親会社、サンデーアーツを完全子会社とする取引で、アイビーシーは簡易株式交換の手法を選択して、株式交換契約を結びました。
 

株式交換の事例
⑦アイビーシーとサンデーアーツの株式交換
株式交換企業 アイビーシーとサンデーアーツ
株式交換比率 アイビーシー:サンデーアーツ=1:410.51
株式交換額 約1億円
目的 ブロックチェーン技術を活用し、既存事業の成長・新サービスの創出を図る


 

⑧ジーンテクノサイエンスとセルテクノロジーの株式交換事例

8つ目に紹介する2019年以降の最新事例は、ジーンテクノサイエンスとセルテクノロジーの株式交換です。

バイオ後続品・バイオ新薬事業などを手掛けるジーンテクノサイエンスは、2019年の4月に、セルテクノロジーと株式交換を完了させています。

ジーンテクノサイエンスを完全親会社、セルテクノロジーを完全子会社とする取引により、ジーンテクノサイエンスはセルテクノロジーを特定子会社としました。
 

株式交換の事例
⑧ジーンテクノサイエンスとセルテクノロジーの株式交換
株式交換企業 ジーンテクノサイエンスとセルテクノロジー
株式交換比率 普通株式   ジーンテクノサイエンス:セルテクノロジー=1:1.30
A種優先株式 ジーンテクノサイエンス:セルテクノロジー=1:1.48
株式交換額 約58億円(2019/01/16の終値より算出)
目的 再生医療をバイオ事業の主力とするため

自動車製造業関連の株式交換事例

自動車製造業関連の株式交換では、2つの事例を紹介します。自動車製造関連の事業を営む会社は、資源の有効活用・グループ内での棲み分けを目的に、株式交換を実施しているといえるでしょう。
 

  1. 日産自動車と愛知機械工業の株式交換事例
  2. トヨタ自動車とダイハツ工業の株式交換事例

①日産自動車と愛知機械工業の株式交換事例

1つ目に紹介する自動車製造業関連の事例は、日産自動車と愛知機械工業の株式交換です。日産自動車は、2012年3月に、連結子会社の愛知機械工業との、株式交換を終えています。

日産自動車を完全親会社、愛知機械工業を完全子会社とする取引で、日産自動車は、簡易株式交換を選択しました。愛知機械工業は、効力発生日を前に、上場廃止に至っています。

 

株式交換の事例
①日産自動車と愛知機械工業の株式交換
株式交換企業 日産自動車と愛知機械工業
株式交換比率 日産自動車:愛知機械工業=1:0.4
株式交換額 約142億円(2011/12/15の終値より算出)
目的 グループ内の資源を有効的に活用するため

②トヨタ自動車とダイハツ工業の株式交換事例

2つ目に紹介する自動車製造業関連の事例は、トヨタ自動車とダイハツ工業の株式交換です。トヨタ自動車は、2016年8月に、子会社のダイハツ工業と簡易株式交換によるスキームで、株式交換を完了させています。

トヨタ自動車を完全親会社、ダイハツ工業を完全子会社とする取引で、ダイハツ工業は効力発生日を前に、上場廃止に至っています。

 

株式交換の事例
②トヨタ自動車とダイハツ工業の株式交換
株式交換企業 トヨタ自動車とダイハツ工業
株式交換比率 トヨタ自動車:ダイハツ工業=1:0.26
株式交換額 約3,600億円(2016/01/26の終値より算出)
目的 商品の多様化・グローバル化に応じるため、両社の棲み分けを実施するため

エレクトロニック関連の株式交換事例

エレクトロニック関連の株式交換では、3つの事例を取り上げます。

 

  1. パナソニックと三洋電機の株式交換事例
  2. 凸版印刷と図書印刷の株式交換事例
  3. アルプス電気とアルパインの株式交換事例

①パナソニックと三洋電機の株式交換事例

1つ目に紹介するエレクトロニック関連の事例は、パナソニックと三洋電機の株式交換です。パナソニックは、2011年4月に、三洋電機と株式交換契約を結んでいます。

パナソニックを完全親会社、三洋電機を完全子会社とする取引で、パナソニックは簡易株式交換の手法を用いています。三洋電機は、株式交換の効力発生日を前に、上場廃止を選択しています。
 

株式交換の事例
①パナソニックと三洋電機の株式交換
株式交換企業 パナソニックと三洋電機
株式交換比率 パナソニック:三洋電機=1:0.115
株式交換額 約1,550億円(2010/12/20の終値から算出)
目的 グローバルに対応した競争力を身に付けるため、企業価値の最大化を図る

②凸版印刷と図書印刷の株式交換事例

2つ目に紹介するエレクトロニック関連の事例は、凸版印刷と図書印刷の株式交換です。凸版印刷は、2019年5月に、図書印刷と株式交換契約を結んでいます。

凸版印刷を完全親会社、図書印刷を完全子会社とする取引で、凸版印刷は株主総会の決議を経ずに、簡易株式交換によって契約を進めます。

図書印刷は、効力発生日を迎える前に、上場廃止の手続きを取ります。

 
株式交換の事例
②凸版印刷と図書印刷の株式交換
株式交換企業 凸版印刷と図書印刷
株式交換比率 凸版印刷:図書印刷=1:0.80
株式交換額 約280億円(2019/05/10の終値より算出)
目的 事業環境の変化に合わせ、事業構造の転換・事業領域の拡大を図る

③アルプス電気とアルパインの株式交換事例

3つ目に紹介するエレクトロニック関連の事例は、アルプス電気とアルパインの株式交換です。アルプス電気は、2018年7月に、アルパインとの株式交換契約を結んでいます。

アルプス電気は、アルパインが発行する新株予約権につき、基準日までに権利が行使された場合に、自社の新株予約権を発行するとしています。

アルプス電気を完全親会社、アルパインを完全子会社とする取引により、経営統合を実施し、アルプス電気は商号を「アルプスアルパイン株式会社」に変更しました。さらに、効力発生日を前に、上場廃止を実施しています。
 

株式交換の事例
③アルプス電気とアルパインの株式交換
株式交換企業 アルプス電気とアルパイン
株式交換比率 アルプス電気:アルパイン=1:0.68
株式交換額 約60億円(2017/07/25の終値より算出)
目的 両社のリソースを活用できる体制を整えて、素早い意思決定を行うため

製造業関連の株式交換事例

製造業関連の株式交換では、3つの事例を紹介します。製造業関連の会社は、既存の資源を活用する・新しい分野への挑戦などを目的に、株式交換を選択しているので、以下の項目から、詳細を確かめてください。

 

  1. 三菱化学と日本化成の株式交換事例
  2. 太平洋セメントとデイ・シイの株式交換事例
  3. 進和とダイシンの株式交換事例

①三菱化学と日本化成の株式交換事例

1つ目に紹介する製造業関連の事例は、三菱化学と日本化成の株式交換です。三菱ケミカルHDの完全子会社・三菱化学は、2016年9月に、日本化成と株式交換契約を結んでいます。

三菱化学を完全親会社、日本化成を完全子会社とし、三角株式交換によって取引を行いました。日本化成には、三菱化学の親会社・三菱ケミカルHDの株式を割り当てています。

 

株式交換の事例
①三菱化学と日本化成の株式交換
株式交換企業 三菱化学と日本化成
株式交換比率 三菱ケミカルHD:日本化成=1:0.21
株式交換額 約47億円(2016/09/13の終値から算出)
目的 グループ内の資源を有効的に活用する
事業戦略の共有により、企業価値の向上を図る

②太平洋セメントとデイ・シイの株式交換事例

2つ目に紹介する製造業関連の事例は、太平洋セメントとデイ・シイの株式交換です。太平洋セメントは、2016年5月に、デイ・シイと株式交換契約を結んでいます。

株式交換では太平洋セメントを完全親会社、デイ・シイを完全子会社とし、太平洋セメントは簡易株式交換の手法を選択しました。株式交換の効力発生日を前に、デイ・シイは上場廃止に至っています。

 

株式交換の事例
②太平洋セメントとデイ・シイの株式交換
株式交換企業 太平洋セメントとデイ・シイ
株式交換比率 太平洋セメント:デイ・シイ=1:1.375
株式交換額 約95億円(2016/05/11の終値より算出)
目的 両社の強みを活かし、事業環境の変化に対応する

③進和とダイシンの株式交換事例

3つ目に紹介する製造業関連の事例は、進和とダイシンの株式交換です。金属接合などの事業を手掛ける進和は、2019年1月に、ダイシンと株式交換・株式譲渡契約を結んでいます。

進和を完全親会社、ダイシンを完全子会社とする取引で、進和は簡易株式交換の手法を選択しました。

 

株式交換の事例
③進和とダイシンの株式交換
株式交換企業 進和とダイシン
株式交換比率 進和:ダイシン=1:22.3
株式交換額 約9億円
目的 車載部品の製造・販売事業への進出を図る
新規ユーザーの獲得
既存の取引先から新しい需要を獲得する
地理的・人材シナジーの創出

エネルギー関連の株式交換事例

エネルギー関連の株式交換では、2つの事例を取り上げます。新しい価値を作り出したり、同業者と手を組んだりして、事業環境に対応しています。事例の詳細は、以下のとおりです。

 

  1. 出光興産と昭和シェル石油の株式交換事例
  2. 太陽誘電とエルナーの株式交換事例

①出光興産と昭和シェル石油の株式交換事例

1つ目に紹介するエネルギー関連の事例は、出光興産と昭和シェル石油の株式交換です。出光興産は、2018年10月に、昭和シェル石油と株式交換契約を結んでいます。

株式交換では、出光興産を完全親会社、昭和シェル石油を完全子会社とし、この取引と併せて、経営統合も実施しました。

 

株式交換の事例
①出光興産と昭和シェル石油の株式交換
株式交換企業 出光興産と昭和シェル石油
株式交換比率 出光興産:昭和シェル石油=1:0.41
株式交換額 約6,230億円(2018/10/15の終値から算出)
目的 短期 シナジーの創出
中長期 企業価値の向上

②太陽誘電とエルナーの株式交換事例

2つ目に紹介するエネルギー関連の事例は、太陽誘電とエルナーの株式交換です。太陽誘電は、2018年9月に、コンデンサ事業を営むエルナーと株式交換契約を結んでいます。

太陽誘電を完全親会社、エルナーを完全子会社とする取引により、エルナーは上場廃止に至っています。

ちなみに、太陽誘電は、簡易株式交換のスキームを選択しました。

 

株式交換の事例
②太陽誘電とエルナーの株式交換
株式交換企業 太陽誘電とエルナー
株式交換比率 株式併合前 太陽誘電:エルナー=1:0.025
株式併合後 太陽誘電:エルナー=1:0.250
株式交換額 約35億円(2018/09/27の終値から算出)
目的 エルナーが単独で事業を続けた場合の業績悪化を回避する
再建・再生を加速させる
販売を拡大させる
シナジーの創出

小売業関連の株式交換事例

小売業関連の株式交換では、4つの事例を紹介します。小売業関連の会社は、会社の持株化や、変化する事業環境への対応などを目的に、株式交換を選択しているといえるでしょう。詳細は、以下のとおりです。
 

  1. クスリのアオキのHD化による株式交換事例
  2. サンデーとジョイの株式交換事例
  3. ユニーとUCSの株式交換事例

①クスリのアオキのHD化による株式交換事例

1つ目に紹介する小売業関連の事例は、クスリのアオキのHD化による株式交換です。クスリのアオキは、持株会社への移行に伴い、2016年11月に、クスリのアオキHDと株式交換を完了させています。

株式交換では、クスリのアオキHDを完全親会社、クスリのアオキを完全子会社として、契約を結びました。

クスリのアオキは上場廃止し、持株会社となったクスリのアオキHDが、東京証券取引所市場第一部への上場を果たしています。

 

株式交換の事例
②クスリのアオキのHD化による株式交換
株式交換企業 クスリのアオキHDとクスリのアオキ
株式交換比率 クスリのアオキHD:クスリのアオキ=1:1
株式交換額 約1,820億円(2016/06/29の終値より算出)
目的 管理と業務機能を切り離すことで、迅速な意思決定・事業規模の拡大を図る

②サンデーとジョイの株式交換事例

2つ目に紹介する小売業関連の事例は、サンデーとジョイの株式交換です。イオンのグループ企業でホームセンター事業を展開するサンデーは、2011年11月に、連結子会社のジョイと、株式交換を終えています。

サンデーを完全親会社、ジョイを完全子会社とする取引で、簡易・略式株式交換によって、実施されました。
 

株式交換の事例
③サンデーとジョイの株式交換
株式交換企業 サンデーとジョイ
株式交換比率 サンデー:ジョイ=1:0.2
株式交換額 5.14万円
目的 資源の集中と組織の効率化により、東北地区の強化を図る

③ユニーとUCSの株式交換事例

3つ目に紹介する小売業関連の事例は、ユニーとUCSの株式交換です。ショッピングセンターやスーパーなどを営むユニーは、2018年の5月に、グループ企業のUCSと、株式交換を済ませています。

ユニーを完全親会社、UCSを完全子会社とする契約で、ユニーは簡易株式交換によって承認の手続きを終えました。UCSは、効力発生日を前に、上場廃止を行っています。

 

株式交換の事例
④ユニーとUCSの株式交換
株式交換企業 ユニーとUCS
1株あたりの交付額 1,830円/UCS株
株式交換額 約64億円
目的 事業環境の変化に対応し、シナジーの獲得・事業価値の向上を図る

IT・メディア・通信関連の株式交換事例

IT・メディア・通信関連の株式交換では、以下の3例を取り上げます。

 

  1. ドワンゴとCELLの株式交換事例
  2. メルカリとマイケルの株式交換事例
  3. 日本無線と長野日本無線の株式交換事例

①ドワンゴとCELLの株式交換事例

1つ目に紹介するIT・メディア・通信関連の事例は、ドワンゴとCELLの株式交換です。ドワンゴは、2012年3月に、連結子会社・CELLとの株式交換を終えています。

ドワンゴは簡易株式交換を選択し、自社を完全親会社、CELLを完全子会社としました。

 

株式交換の事例
①ドワンゴとCELLの株式交換
株式交換企業 ドワンゴとCELL
株式交換比率 ドワンゴ:CELL=1:1.53
株式交換額 約16億円(2012/02/08の終値より算出)
目的 素早い意思決定を図る
グループ内でのシナジー効果を高める

②メルカリとマイケルの株式交換事例

2つ目に紹介するIT・メディア・通信関連の事例は、メルカリとマイケルの株式交換です。フリマアプリを提供するメルカリは、2018年の11月に、マイケルと株式交換を完了させています。

メルカリを完全親会社、マイケルを完全子会社とする取引で、メルカリは簡易株式交換により、株主総会の承認を経ずに、株式交換契約を結びました。

 

株式交換の事例
②メルカリとマイケルの株式交換
株式交換企業 メルカリとマイケル
株式交換比率 メルカリ:マイケル=1:194.83
株式交換額 約15億円
目的 協業により、フリマアプリで取り扱う自動車部門の強化を図る

③日本無線と長野日本無線の株式交換事例

3つ目に紹介するIT・メディア・通信関連の事例は、日本無線と長野日本無線の株式交換です。日本無線は、2016年の3月に、長野日本無線と株式交換を済ませています。

日本無線を完全親会社、長野日本無線を完全子会社とし、日本無線は簡易株式交換によって手続きを進めたため、株主総会の決議を経ずに、株式交換契約を締結しました。

また、長野日本無線は、効力の発生日を迎える前に、東京証券取引所市場第二部より上場廃止の手続きを踏んでいます。

 

株式交換の事例
③日本無線と長野日本無線の株式交換
株式交換企業 日本無線と長野日本無線
株式交換比率 日本無線:長野日本無線=1:0.698
株式交換額 約70億円(2015/12/17の終値より算出)
目的 コスト競争力の強化
技術交流によって、効率的に新技術を開発する

食品製造業関連の株式交換事例

食品製造業関連からは、1つの事例を取り上げます。以下の項目から、詳細を確認してください。
 

  1. 味の素とカルピスの株式交換事例

①味の素とカルピスの株式交換事例

食品製造業関連の事例は、味の素とカルピスの株式交換です。味の素は、2007年の10月に、カルピスとの株式交換を終えています。

味の素を完全親会社、カルピスを完全子会社とする取引で、カルピスは効力の発生日を前に、上場廃止を済ませました。

 

株式交換の事例
①味の素とカルピスの株式交換
株式交換企業 味の素とカルピスの株式交換
株式交換比率 味の素:カルピス=1:0.95
株式交換額 約280億円(2007/6/06の終値より算出)
目的 意思決定の速度を上げる
戦略分野における経営資源の効果的な投入
健康を高める製品・サービスの拡大と提供速度の加速化

3. 株式交換を使ったM&Aの成功ポイント

株式交換を用いたM&Aを実行し、成功に導くためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。株式交換では、以下の成功ポイントを押さえることが重要です。順に見ていきましょう。

 

  1. プレミアム支払いを有効に活用する
  2. ストックオプションを有効利用する
  3. それぞれの会社にメリットがあるようにする
  4. 会社法や金融商品法などの規定を理解する
  5. M&Aの専門会社に相談する

①プレミアム支払いを有効に活用する

1つ目に挙げる株式交換を使ったM&Aの成功ポイントは、プレミアム支払いの有効活用です。株式交換では、対象会社の株主から一定数の賛同を得なければいけません。そこで、M&Aを成功させるために、株式の交換比率に、プレミアムを上乗せします。

買収側は、株式交換によって得られるキャッシュ・フローの増加を見込んでいます。自社が得られる効用を株式交換の比率に反映させることで、対象会社の株主へも付加価値を提供できるため、株式交換の賛同を得られやすくなります。

【関連】株式交換比率とは?決め方・計算方法を解説!例も紹介!

②ストックオプションを有効利用する

2つ目に挙げる株式交換を使ったM&Aの成功ポイントは、ストックオプションの有効利用です。ストックオプションは、役員・従業員に与えられる権利のことで、権利を持っていると、一定の価格で自社の株式を取得することが認められています。

株式交換では、完全子会社となる企業がストックオプションを与えていると、株式の交換を行っても、すべての株式を取得できない事態も考えられます。

株式交換を済ませた後に、ストックオプションが行使されれば、対象会社の株式が取得されかねません。

そのため、完全子会社となる企業がストップオプションを発行している場合は、ストックオプションを買い取る・自社のストックオプションを与えることで、株主からの買取請求を回避しましょう。
 

③それぞれの会社にメリットがあるようにする

3つ目に挙げる株式交換を使ったM&Aの成功ポイントは、両社へのメリットを考慮する点です。買収側のみに、メリットがあると、株式交換は成立しにくいといえます。

完全子会社となる相手企業についても、株式交換の実施により、メリットが得られるようにしましょう。
 

【関連】株式交換とは?手法やメリット・デメリットを解説【成功事例あり】

④会社法や金融商品取引法などの規定を理解する

4つ目に挙げる株式交換を使ったM&Aの成功ポイントは、会社法・金融商品法などの規定を理解することです。会社法では、株式譲渡契約の締結・株主総会・反対株主からの買取請求などに関する規定を設けています。

金融商品取引法では、有価証券の開示義務や、臨時・訂正報告書の提出・有価証券届出書の提出などが義務付けられているため、株式交換を成功させるには、関連する規定について理解しておくことが求められるでしょう。

⑤M&Aの専門会社に相談する

5つ目に挙げる株式交換を使ったM&Aの成功ポイントは、M&Aの専門会社への相談です。

株式交換では、契約の締結や契約書の作成はもちろんのこと、適正な株式の交換比率・プレミアム支払いの額や守るべき法律などがあるため、専門性の高いスキームといえます。

そのため、株式交換を行う場合は、専門知識と経験を備えたM&Aの専門会社に依頼することをおすすめします

4. おすすめのM&A仲介会社

株式交換を検討されている場合は、M&A総合研究所へご相談ください。経験豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

M&A総合研究所の料金体系は完全成功報酬制(譲渡企業様のみ)です。着手金は譲渡企業様・譲受企業様ともに無料となっておりますので、安心してご相談いただけます。

株式交換を検討されている場合は、無料相談をお受けしてますのでお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
0120-401-970
WEBから無料相談
M&Aのプロに相談する

5. まとめ

企業が実施する株式交換について、25の事例を紹介しました。株式交換は、対象会社を完全子会社とするスキームですが、成功させるには対象会社・株主の理解が必要といえます。また、規定されている法律にも気を配り、法に則して手続きを済ませなければいけません。

【株式交換を使ったM&Aの成功ポイント】

  • プレミアム支払いを有効に活用する
  • ストックオプションを有効利用する
  • それぞれの会社にメリットがあるようにする
  • 会社法や金融商品法などの規定を理解する
  • M&Aの専門会社に相談する

 

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 譲渡企業様完全成功報酬!
  2. 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
  3. 上場の信頼感と豊富な実績
  4. 譲受企業専門部署による強いマッチング力
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

>>完全成功報酬制のM&A仲介サービスはこちら(※譲渡企業様のみ)

関連する記事

新着一覧

最近公開された記事