2024年08月23日更新
翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継マニュアル【相場・成功事例】
翻訳会社・通訳会社のM&A・買収・売却・事業承継に関して解説します。ここ数年における翻訳会社・通訳会社のM&Aの動向やM&Aの事例、M&Aによる「買収側のメリット」「売却・譲渡側のメリット」も、詳しくまとめています。
目次
1. 翻訳・通訳業界の概要
そもそも通訳会社・翻訳会社とはどのような会社なのでしょうか。
「通訳」とは、異なる言語を扱う人同士が円滑にコミュニケーションをとれるように、言語上のサポートを提供することです。「通訳会社」はその名のとおり、通訳サービスを提供する会社です。
ビジネスの場で通訳サービスを提供する「ビジネス通訳」や、報道番組・ニュースなどで通訳サービスを提供する「放送通訳」、国際会議などの場面で貢献する「会議通訳」など、提供できるサービスは多岐に渡ります。
「翻訳」とは、ある言語で表現されたものを、他の言語に変換することです。翻訳サービスを提供する会社が「翻訳会社」です。翻訳には、映像翻訳や出版翻訳、産業翻訳などがあります。
翻訳会社の業務内容
翻訳の業務のイメージは、翻訳者が社内で黙々と翻訳作業をするものと考える人が多いでしょう。社内に何人もの翻訳者を在籍させ、実際にひたすら翻訳作業をさせている会社は少なくなっています。翻訳会社のほとんどは翻訳業務を外部委託しているため、翻訳会社が直接業務を行うケースは多くありません。
翻訳会社は「翻訳仲介会社」ともいえます。「翻訳仲介会社」は翻訳業務を受注し、それを外部の翻訳者に発注している会社のことです。翻訳仲介会社は、外部発注業務のほか、翻訳者が翻訳した内容をチェックする業務などを行うことがほとんどです。
通訳・翻訳業界の市場規模
日本翻訳連盟によると、通訳・翻訳業界の市場規模は2,000億円〜2,600億円程度といわれています。「第5回翻訳・通訳業界調査報告書」のアンケート調査では、日本の通訳・翻訳市場規模は約2,560億円でした。
この市場の中で、売上高が10億円を超えるような大手企業は全体の5%程度にとどまります。中堅・中小企業が多くひしめく業界といえるでしょう。
ここで、通訳・翻訳業界で活躍する大手企業を表にまとめます。大手翻訳会社の多くは「産業翻訳」を得意としています。
大手通訳・翻訳会社 | 事業内容 |
---|---|
ブレインウッズ |
翻訳サービス 通訳サービス 映像翻訳事業 外国語人材派遣・紹介事業 など |
ライオンブリッジジャパン |
産業翻訳サービス 海外展開のコンサル デジタルマーケティングサポート など |
サン・フレア |
翻訳サービス テクニカルライティングサービス など |
SDLジャパン |
機械翻訳 翻訳ソフトウェア 翻訳サービス など |
翻訳センター |
翻訳サービス(特許翻訳・医療翻訳など) 機械翻訳 ビザ申請書類翻訳 など |
サイマル・インターナショナル |
通訳サービス 翻訳サービス 通訳・翻訳の人材派遣・紹介サービス など |
通訳・翻訳業界の現状
翻訳会社・通訳会社業界の現状はどのようになっているのでしょうか。業界の現状を知ることは、M&A・会社売買を検討するうえで重要な要素です。
現状がわからないままM&A・会社売買を進めてしまうと、目的とは全く異なる企業を買ってしまったり、相場からかけ離れた金額での売買が実行されたりするかもしれません。そのような事態を避けるためにも、通訳会社・翻訳会社の現状をしっかり把握しましょう。
自動翻訳機以上のスキルが必要
近年では、Google翻訳をはじめとした「自動翻訳機」の性能が上がってきています。自動翻訳機は、手軽に・無料で利用できるツールであるため、簡単な通訳・翻訳が必要な場面では非常に重宝です。
一方で、翻訳会社・通訳会社には、この自動翻訳機以上のスキルが求められるようになっています。自動翻訳機でこと足りるような質のサービスしか提供できなければ、翻訳会社・通訳会社の仕事が自動翻訳機に代替されてしまうからです。
AI翻訳では再現できない顧客体験(CX)を提供する重要性
最近、CX(顧客体験/カスタマー・エクスペリエンス)という言葉を耳にする機会が増えています。これは、企業とユーザーとの接点で得られる体験を指し、日本では「顧客体験」として一般的に訳されています。
例えば、あるユーザーがパソコンの購入を検討している場合、商品の機能やサービスを比較検討する段階から購入に至るまでのすべてがCXに含まれます。CXの観点から見ると、企業が製品を紹介する際には、その製品がどのような機能を持っているかよりも、所有することで得られる利点を強調することの方が、購買意欲を引き出す上で効果的です。
通訳・翻訳会社としては、ユーザーを適切に導くための正確な訳文を提供することが求められます。このようなローカライズも含めた作業は、AI翻訳では再現できない人間の翻訳者ならではの重要な役割と言えるでしょう。
海外展開する企業の増加に伴う需要
「グローバル化」が叫ばれ始めてから数年経過した現在では、多くの企業が「海外展開」を視野に入れています。海外展開を目指す企業の増加に伴い、翻訳会社・通訳会社の需要も増えているのが現状です。
英語以外の言語への需要増
近年では、アジア圏からのインバウンドの増加などが要因となり、英語以外の言語の「通訳・翻訳」需要が高まっています。翻訳会社・通訳会社は、英語以外の言語における通訳・翻訳サービスの質向上が求められているでしょう。
通訳会社の業務内容
通訳の業務は大きく分けると以下のとおりです。
- 同時通訳
- 逐次(ちくじ)通訳
- ウィスパリング通訳
それぞれ簡単に説明します。
同時通訳
「同時通訳」は、ある発言者が話した内容を、数秒で違う言語に訳して伝える業務です。通訳の主な業務の一つで、テレビやインターネットなどで外国の方の近くに通訳する人がいるのを見たことがある人も多いでしょう。
逐次通訳
「逐次通訳」は、ある発言者が話している内容のメモを取りながら聞き、話が一区切りついたタイミングで通訳する業務になります。同時通訳に比べると、聞き取る時間があるため、通訳の正確性が上がるのが特徴です。
ウィスパリング通訳
「ウィスパリング通訳」は、同時通訳と流れは似ています。通訳する側は話の聞き手のそばにいて、発言者が話している内容を聞き手にささやくように伝える業務のことです。
2. 翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継の動向
ここからは、翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継の動向をまとめます。翻訳会社や通訳会社をM&Aによって買収したい・売却したいと考えている方は、現在のM&A・事業承継の動向をしっかり把握しましょう。
翻訳会社・通訳会社のM&Aは、以下のパターンから理解できます。
- 同業他社とのM&A
- 大手業者による買収
- 異業種からの参入
それぞれの特徴を知り、自社が売買先としてどのようなパートナーを選ぶべきか考えてみましょう。
同業他社とのM&A
翻訳会社・通訳会社業界のM&A動向として、「同業他社とのM&Aが増えている」といった流れがあります。通訳・翻訳サービスに対する需要の増加や、自動翻訳機の台頭などに伴って、業界内の競争が激化しているからです。
翻訳会社・通訳会社業界は、中堅・中小企業が多い業界です。競争が激化している市況において、中堅・中小企業にとっては経営環境が非常に厳しい現実があります。この状況を打破するために、大手の翻訳会社・通訳会社に会社売却・事業譲渡をする中堅・中小企業が多くいるわけです。
中堅・中小企業では、後継者不足に伴う「事業承継問題」に悩まされているケースもあります。後継者不足は翻訳会社・通訳会社以外でも広く問題となっています。経営者の高齢化や少子化を理由に事業承継ができず、廃業を選択する会社は少なくありません。
この事業承継問題を解消するために、大手企業に会社売却・事業譲渡をする中堅・中小企業も増えています。
大手業者による買収
大手通訳会社・翻訳会社が中堅・中小企業を買収するケースも増えています。上記でも触れましたが、通訳会社・翻訳会社業界は競争が激化しています。今後も需要が増加していく予測です。
大手通訳会社・翻訳会社は、中堅・中小企業を買収し、買収した会社が持つ経営資源・顧客網などを活用する動きが強まります。競合他社の大手通訳会社・翻訳会社との競争で優位に立つためにM&Aが活発化します。
特に専門性の高い中小企業を積極的に買収し、より幅広い範囲の顧客を獲得しようと考える大手通訳会社・翻訳会社は少なくありません。こうした大手企業による買収も動向の一つとして知っておく必要があるでしょう。
異業種からの参入
人材派遣会社などがM&Aを実施して、翻訳会社・通訳会社を買収するケースも増加しています。インバウンド需要の増加、事業の海外展開などを考える異業種の企業が、翻訳会社・通訳会社が持つ「通訳スキル・翻訳スキル」を求めて、翻訳会社・通訳会社を買収するのです。
例えば、以降の「M&A事例」でも紹介していますが、実際に、ある人材派遣会社は通訳・翻訳会社を買収しています。買収側の人材派遣会社は、自社のサービス拡大・充実を目指し、M&Aを実施しました。
このように異業種からの参入もあり、市場の激化はさらに続いていくと予想できるでしょう。
3. 翻訳会社・通訳会社のM&A・売却・買収相場
M&A・売却・買収の価格は、会社の業績や経営者の考え方によっても変わりますので、明確な相場は存在しません。もちろん会社を買収するのであれば、最低でも数百万円は必要になりますが、細かな金額は売り手と買い手との話し合いで決まります。
実際にどれくらいの金額で売却希望が出されているのか知りたい場合は、多数の案件を持つM&A仲介会社に相談した方が良いでしょう。ある程度の目安とするために、傾向は確認してみてください。
翻訳会社・通訳会社におけるM&A相場の傾向
翻訳会社・通訳会社は東京オリンピックを機にさまざまな業界から注目されています。他の業種のM&Aに比べて買収金額は高めになる傾向があります。
売り手市場にあるため、会社の売却事例が少ない翻訳会社・通訳会社では、少数の売り手に多数の買い手が殺到する状況です。売り手の取り合いが激しくなっています。
翻訳会社・通訳会社を買収したい方は、予算を多めに用意し、早めにM&A仲介会社などに相談しましょう。早く動き出すことで、希望に合ったパートナーを見つけられる可能性が高まります。
4. 翻訳会社・通訳会社がM&A・事業承継するメリット
ここからは、翻訳会社・通訳会社がM&Aを実施することで得られるメリットを解説します。翻訳会社・通訳会社の買収を検討されている方、自分の翻訳会社・通訳会社を売却しようと考えている方は、参考にしてみてください。
売却・譲渡側のメリット
M&Aによって翻訳会社・通訳会社を売却・譲渡する側のメリットは以下のとおりです。
- 後継者問題が解決する
- 雇用の維持が可能になる
- 負債を解消できる
- 買い手のリソースで経営基盤を整えられる
- まとまった売却利益が得られる
ここからはそれぞれのメリットを詳しく解説しましょう。
後継者問題が解決する
「M&A動向」の部分でも解説しましたが、近年は、中堅・中小企業が「後継者問題」に悩まされるケースが増えています。後継者がなかなか見つからないことで、廃業を余儀なくされる中堅・中小企業も多く存在します。
後継者問題に悩まされる中堅・中小企業は、M&A・会社売買によって大手企業に会社を売却・譲渡することにより、「後継者問題」が解決できるでしょう。大手企業の傘下に入れば、大手企業が持つ経営資源を活用して、自社の収益を改善することも可能です。従業員の雇用も守れるでしょう。
雇用の維持が可能になる
中堅・中小企業の翻訳会社・通訳会社は、後継者が見つからず廃業を余儀なくされると、従業員の雇用を維持できなくなってしまいます。M&A・会社売買によって大手企業のグループ会社になれれば、自社の従業員の雇用を維持できます。
負債を解消できる
メリットとして、「負債を解消できる」点も見逃せません。M&A・会社売買を実施すると、売却・譲渡側企業が抱える負債は、買収・譲受側企業が引き継ぐことになります。M&A・会社売買によって買収・譲受側の企業に負債が移転されることで「負債から解消される」のです。
必ずしも負債を引き継いでもらえるとは限りませんが、売却の内容に負債も含めるように交渉するとよいでしょう。
買い手のリソースで経営基盤を整えられる
M&Aや会社売却により大手企業の傘下に入ることで、経営基盤が安定します。今後翻訳会社・通訳会社が経営を続けていくためには、十分なお金が必要です。
中小企業の場合は十分な資本金がなく、経営が不安定になってしまうことも少なくありません。M&Aを行うことで大手の傘下に入れば、経営体制が変わり大手企業の安定した資本力を生かせます。
まとまった売却利益が得られる
M&Aを実施して会社や事業を売却すれば、まとまった利益を得られます。売却のタイミングや会社の規模によっても異なりますが、売り手市場の今であれば売却利益が数千万円に上ることも少なくありません。
会社が売却で大きな利益を得ることで、経営を安定させ新たな事業を行うことも可能になります。売却利益を老後の生活資金とする経営者も非常に多く見られます。そういったお金の面を考慮するならば、廃業よりもM&Aによる売買を選択する方が良いでしょう。
買収側のメリット
続いて、M&A・会社売買の買収側のメリットをまとめます。買収側のメリットは、以下のとおりです。
- 専門性を強化できる
- 経験ある通訳者・翻訳者を得られる
- スケールメリットを拡大できる
- エリア・事業の拡大で経営基盤を強化できる
翻訳会社・通訳会社を買収するメリットにはどのようなものがあるか知りたい方は、チェックしてみてください。
専門性を強化できる
翻訳会社・通訳会社を買収するメリットの一つに、「専門性を強化できる」といったものがあります。業界の現状やM&A動向の部分で説明したように、競争が激化する業界で「専門性の強化」は差別化戦略です。
例えば、近年需要が高まってきている「中国語・韓国語・ベトナム語・タイ語」といった言語の通訳・翻訳を得意とする会社を買収できれば、専門性の強化が実現し、他社との差別化が可能となります。
経験ある通訳者・翻訳者を得られる
M&A・会社売買によって翻訳会社・通訳会社を買収できれば、「経験ある通訳者・翻訳者を獲得できる」メリットが得られます。M&A動向の部分で「大手通訳会社・翻訳会社による買収が増えている」と説明しました。この理由の一つが、自社の事業拡大を図るために人材確保を実現することです。
スケールメリットを拡大できる
M&A・会社売買をするメリットの一つに「スケールメリットの拡大」が挙げられます。例えば、M&A・会社売買を実施して、会社の規模が大きくなると、販売網の拡大が実現できます。
自社と買収した会社の通訳・翻訳ノウハウを組み合わせて活用することで、コスト削減・コストパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
エリア・事業の拡大で経営基盤を強化できる
売り手だけでなく、買い手もM&Aや会社売買を行うことで、経営基盤を安定させることが可能です。業界の現状・M&A動向でも触れているように、近年は翻訳会社・通訳会社業界の競争が激しくなっています。
M&A・会社売買によって、他の翻訳会社・通訳会社を買収できれば、ライバル会社を減らせます。顧客網の拡大・事業展開などを短い時間・少ない費用で実現できるため、自社の「経営基盤」の安定も期待できるでしょう。
5. 翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継を成功させるポイント
ここからは、翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継を成功させるためのポイントを説明します。
- タイミングを逃さない
- 相場を調べておく
- 手法を正しく選ぶ
紹介するポイントは翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継に限った話ではなく、他業界のM&A・事業承継の際にも当てはまるポイントといえるので、M&Aを検討している方はぜひチェックしましょう。
タイミングを逃さない
M&Aを誤ったタイミングで実施したり、タイミングを逸したりすることで、希望の条件でM&Aができないケースもあります。タイミングを間違えると、相場価格よりも高い金額で買収したり、低い金額で売却しなければいけなくなったりします。後継者獲得のチャンスを逃す可能性もあるでしょう。
特に売り手市場の翻訳会社・通訳会社は、タイミングを逃したために、希望にあったパートナーを見つけられない状況に陥りやすいものです。タイミングを逃さないように、計画的に進めることが重要です。
M&Aを決定するタイミングは、業界の景況・業界のM&A動向などによっても異なります。M&Aを検討されている方は、M&A対象企業の業界景況・M&A動向をしっかりと調べておく必要があるといえます。
相場を調べておく
M&Aを成功させるためには、「相場」をしっかりと調べて理解しておくことが重要です。相場価格を調べないままM&Aを進めてしまうと、相場よりも高い価格で買収してしまったり、反対に相場よりも低い価格で売却してしまったりする可能性があります。
M&Aの相場価格自体は、対象の業界や会社の規模によって異なってくるのが特徴です。翻訳会社・通訳会社のM&A事例、同規模のM&A事例をあらかじめ確認して、適切な相場価格をある程度理解することが、M&Aを成功させるためのポイントといえます。
相場はM&A仲介会社が多数の事例を持っていますので、近い規模のM&Aでどれくらいの売買価格になったか聞いてみると良いでしょう。
手法を正しく選ぶ
M&Aを成功させるためには、適切なM&A手法を利用することが大切です。M&Aの手法とは、「合併」「株式取得」「事業譲渡」「会社分割」などです。
それぞれの手法によって売買する範囲や目的が異なります。自社に合ったものを選ばなくてはなりません。M&A仲介会社などの専門家に依頼し、どの手法でどのように進めるべきかなどの相談をするのがおすすめです。
それぞれの手法にはメリットとデメリットがあり、会社の状況によってもベストな手法は異なります。M&Aや会社売買を実施する際には、M&A仲介会社などの専門家に相談したうえ、目的に合った手法を選ぶことが大切です。
M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。支援実績の豊富なM&Aアドバイザーが親身になってフルサポートします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談はお電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
6. 翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継の成功事例
ここからは、翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継の成功事例を紹介します。M&Aの事例を見ることで、翻訳会社・通訳会社業界の具体的なイメージを持つ参考にしてみましょう。
ポケトークによるJNSホールディングスなどからの資金調達
2022年2月、 ソースネクストは事業再編として、ポケトークを新規設立しました。そして同月、ポケトークはエクスコムグローバル、JNSホールディングス、dofより、第三者割当増資として13.8億円の資金調達を行いました。
今回の第三者割当増資により、AI通訳機「POCKETALKⓇ」(ポケトーク)をはじめとした「ポケトーク」ブランドの世界的な認知向上、売上向上の実現を目指します。そして、今後もさらなる成長を加速させるため、資金調達を継続する予定です。
インフォメーションクリエーティブによるシルク・ラボラトリのM&A
2021年10月、インフォメーションクリエーティブは、ソフトウェア開発を手掛けるシルク・ラボラトリの株式を取得し、を子会社化しました。インフォメーションクリエーティブは、ソフトウェア開発やITサービス事業を展開しています。
このM&Aにより、人員体制の拡大、技術力の向上、さらなる事業基盤強化などが見込まれます。
RWSグループによるホアン・打田特許翻訳のM&A
2021年7月、知財関連サービスを提供するRWSグループは、特許出願に関する翻訳業務を請ける知財専門の翻訳会社であるホアン・打田特許翻訳を買収しました。RWSグループは、英国に本社を置くRWS Holdings Plcの日本法人です。
このM&Aにより、ホアン・打田特許翻訳の強みである特許明細書の英訳に特化した品質管理と、RWSグループのグローバル言語に対応できる強みを掛け合わせることで、これまで以上に顧客のグローバル展開のニーズに対応できる体制が強化されました。
Link-UによるComikey Mediaとの資本業務提携
2021年6月、サーバープラットフォームビジネスを展開するLink-Uは、アメリカのComikey Media Inc.とライセンス契約を締結したことを発表しました。Comikey Mediaは、アジアのマンガコンテンツを、英語・スペイン語・ポルトガル語などのさまざまな言語に翻訳・ローカライズするビジネスを展開しています。
このM&Aにより、Link-Uは、両者の強みを生かした新事業として、日本マンガを含むアジアコンテンツの全世界配信プラットフォームサービス「Comikey」を立ち上げる模様です。
「Comikey」立ち上げに伴い、事業の成長促進と連携強化の目的で、Link-UはComikey Mediaの第三者割当増資を引き受け、約1億円出資する予定です。
ロゼッタによるVoiceAppとの資本業務提携
2020年11月、文書翻訳ツール開発を手掛けるロゼッタは、VoiceAppとの間で、J-KISS型新株予約権による資本業務提携を行うことを決議しました。VoiceAppは、AIによる会議音声の同時通訳と議事録作成のための自動文字起こしを可能とするリアルタイム音声翻訳ツール「オンヤク」の開発パートナーです。
このM&Aにより、両社のより強固な関係を築き上げると供に、ツール提供形態の拡大や、ユーザビリティやAI精度の向上といった課題解決の早期実現を図ることを目的としています。
ブリックス経営陣によるブリックスのMBO
2020年6月、オウケイウェイヴは、通訳・翻訳の連結子会社であるブリックスの全所有株式76.85%を、MBO(マネジメント・バイ・アウト)方式により、ブリックス出資組合に譲渡しました。譲渡価額は3億円です。これに伴い、ブリックスは連結子会社から除外されます。
MBOとは、経営陣が参加する買収のことです。AI・ブロックチェーン・情報セキュリティの各技術を組み合わせたプラットフォーム事業に経営資源を集中させるため、好条件でブリックスを売却するタイミングを模索していました。
Mantraによる第三者割当増資
2020年6月、マンガ翻訳技術開発を手掛けるMantraは、ディープコアやDMM、レジェンド・パートナー、および個人投資家などを引受先とする第三者割当増資により、8,000万円の資金調達を実施しました。
Mantraは、この資金調達を活用し、マンガの多言語自動翻訳システム「Mantra Engine」の開発・提供を行っています。
TAKARA&COMPANYがベネッセホールディングスの通訳・翻訳事業を行う子会社を子会社化
2020年3月、TAKARA&COMPANYが、ベネッセホールディングスの100%子会社であるサイマル・インターナショナルの完全子会社化において、ベネッセ社との株式譲渡契約を締結しました。
TAKARA&COMPANYは、通訳・翻訳事業を行いアジアでの拠点網を広げています。サイマル・インターナショナルは、通訳・翻訳で政府官公庁、財界、企業での国際コミュニケーション活動をサポートしている会社です。2,000人を超える多言語に対応する登録通訳者が在籍しています。
このM&Aで、TAKARA&COMPANYは、グローバルビジネスの強化、持続的な成長の実現を見込んでいます。
M&A事例:同業他社のM&A
次に紹介するM&A事例は、翻訳会社・通訳会社同士のM&Aです。売却側・買収側の情報やM&Aスキーム、M&Aによる双方のメリットを説明します。
売却側と買収側
この事例の売却側企業は、「翻訳サービス」を主な事業内容とする企業です。売上高はおよそ1億円です。後継者不在による廃業を防ぐために売却を希望しました。
一方、買い手企業も「翻訳サービス」を主な事業内容としている企業です。売上高は「数十億円」を超えており、事業規模を拡大する目的でM&Aを実施しました。
スキーム:株式譲渡
売却側の企業は、後継者不足を解消するために売却を検討していました。買い手企業は、売却側企業が持つ顧客網や翻訳者人材に魅力を感じ、「株式譲渡」によって、M&Aを実施しています。
双方のメリット
このM&A事例による売却側のメリットは、後継者不足問題を解消できたことです。従業員の雇用も守れました。一方、買い手側は、売り手企業が持つ「顧客網」や「スキル・ノウハウを持つ翻訳者」を獲得するメリットを得ました。
M&Aは、こうした双方にメリットがあることが大きな特徴といえます。
M&A事例:人材派遣会社によるM&A
続いて紹介する事例は、人材派遣会社による通訳・翻訳会社のM&Aです。近年、人材派遣会社をはじめとした異業種による通訳・翻訳会社のM&Aが増えています。
例えば、人材派遣会社は通訳・翻訳会社を買収することで、サービス内容の拡大・充実を目指すことなどが可能です。
売却側と買収側
売却側の企業は、「通訳・翻訳サービス」を提供する企業でした。売上高は約10億円で、業界での実績も十分です。買収企業は、上場している人材派遣会社です。売上高は約2,000億円にもおよびます。
スキーム:株式譲渡
売却側の企業は、業界でも実績が豊富で、ブランド力も高い通訳・翻訳会社でした。そこに魅力を感じた「買い手の人材派遣会社」は、「株式譲渡」のスキームを利用して、M&Aを実施しています。
双方のメリット
人材派遣会社が通訳・翻訳会社を買収したこの事例では、両社にM&Aのメリットがありました。
売却側の通訳・翻訳会社は、後継者不足に悩まされていましたが、売却することで後継者を選出してもらえました。これにより、会社は今後も存続していくことになります。
買収側の人材派遣会社は、売却側企業の「スキル・ノウハウを持った翻訳者」の獲得に成功し、サービスの拡大・充実が実現しました。
ここで紹介した事例以外にも、多くの企業がM&Aを実施しています。しかし、M&Aは必ずしも成功するとは断言できません。専門知識を必要とすることから、失敗するとトラブルが起きてしまうことがあるからです。
予想外のトラブルなどを未然に防ぐためにも専門家への相談をすると良いでしょう。
7. 翻訳会社・通訳会社のM&A・事業承継まとめ
今回は、翻訳会社・通訳会社のM&Aをまとめました。翻訳会社・通訳会社のM&Aを検討している方は、M&A仲介会社の利用を検討してみましょう。より安心・スピーディーにM&A手続きを進められます。
8. 通訳・翻訳業界の成約事例一覧
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