2025年09月22日更新
M&Aも視野に!事業承継の戦略策定方法と成功のポイント【最新情報・事例付き】
事業承継は、後継者へ事業を円滑に引き継ぐための重要なプロセスです。本記事では、M&Aも含めた事業承継の戦略策定方法、成功のポイント、最新の支援制度、おすすめセミナーや書籍まで網羅的に解説します。
目次
1. 事業承継とは?その重要性とM&Aの活用
近年、M&Aによる事業承継の件数は増加しているため、検討しているあるいは将来のために理解を深めておきたいという経営者も多いのではないでしょうか。
事業承継で一番大切なのは、行動に移す前にしっかりと事業承継の戦略を立てることです。この記事では、事業承継の戦略策定方法、おすすめのセミナーや事業承継や戦略策定に関する本などを紹介します。
事業承継とは
事業承継とは、経営者の高齢化や後継者不足など様々な理由により、会社の経営を後継者へバトンタッチすることです。円滑な事業承継は、企業の存続、雇用の維持、地域経済の活性化に不可欠です。近年ではM&Aも事業承継の有力な選択肢として注目されており、後継者問題の解決策としてだけでなく、企業の成長戦略としても活用されています。
帝国データバンクの「全国社長年齢分析」によると、2020年の経営者の平均年齢は59.9歳となっており、経営者の現役引退年齢が約70歳であることを考えると、現在は事業承継の件数がピークであるといえるでしょう。
しかし、事業承継が進められない経営者も多く、その要因には後継者問題と事業承継の準備不足の2つが考えられます。
後継者問題は、現在行っている事業を引き継いでくれる後継者がみつからない状態をいいます。近年は、積極的に事業を引き継いでくれる人や経営者にふさわしい人物を探すことが難しくなっており、後継者問題を抱えている中小企業は増加しています。
事業承継の準備不足とは、経営者の引退年齢が近いにもかかわらず、具体的な準備がほとんど行われていない状態です。
準備が不足しておりかつ後継者がいないとなれば、倒産や廃業を選択せざるを得ない状況になってしまいます。
事業承継の戦略とは
事業承継の戦略とは、現状を把握してどのような事業承継スキームで行うのか、事業承継が完了するまでにどのくらい期間がかかるのか計画を立てることです。
事業承継の戦略は、実際に事業承継を進めるうえでの指針となります。もし事業承継戦略を策定せずに事業承継を行うと、方向性が定まっていないために各決定にブレが生じる可能性もあります。
そうなれば、事業承継がスムーズに行かなかったり、最悪は失敗してしまったりすることも考えられます。
2. 成功する事業承継のための戦略策定ステップ
事業承継を成功させるためには、綿密な戦略策定が不可欠です。以下のステップに沿って進めることで、スムーズな事業承継を実現できます。
- 現状分析:自社の強み・弱み、財務状況、事業環境などを分析します。
- 後継者選定:親族、社内、社外から適切な後継者を選定します。M&Aも視野に入れましょう。
- 計画策定:承継時期、承継方法、財務計画などを具体的に落とし込んだ事業承継計画を策定します。
- 実行・モニタリング:計画に基づき事業承継を実行し、進捗状況を定期的にモニタリング、必要に応じて計画を修正します。
- 事業の改善:事業承継を見据えて、事業の効率化や収益性向上に取り組みます。
①自社の現状の分析と把握
まずは、自社や経営者自身の現状を分析して把握することから始めます。現状を分析することで、自社の課題点や将来を見据えた問題点を抽出できます。
また、経営者自身についての現状を分析することで、事業承継における問題点などをみつけられます。ただし、これらの分析は多面的に行う必要があるため、会社経営に関する専門家やM&A仲介会社などと相談のうえ進めるとよいでしょう。
分析が済んだら、経営者は抽出した問題点を把握し、事業承継完了までにどのくらいの期間がかかるのか、どのような戦略を立てるのかなどを検討していきます。
②後継者の育成・選定
次は、後継者を選定して育成内容の検討を行います。後継者の選定は、親族内(経営者の子どもや親族)や親族外(取締役や従業員)から候補をあげ、事業を引き継ぐ意思があるかを確認しましょう。後継者に引き継ぐ意思があれば、その人を後継者として育成内容を検討します。
育成内容を検討する際は、後継者の能力と経営者として必要な能力とのギャップを抽出し、それを埋めるためにどのような教育を何カ月間行う必要があるかを確認します。
一般的に、後継者の選定から事業承継が完了するまでは数年~10年間程度かかるといわれていますので、育成内容を検討するときは、現在の後継者の能力と経営者が引退するまでに期間を考慮して戦略をたてましょう。
③事業承継計画の策定
現状を分析して後継者への育成内容がある程度決まったら、事業承継計画を策定します。事業承継計画には、事業承継までのスケジュールや戦略を具体的に書きます。
中小企業庁が公開している事業承継計画表には、事業承継までの事業計画、株式や会社の資産の移行計画、後継者の育成計画、事業承継に関する公表時期などが記載できるようになっています。
自身で事業承継計画や戦略策定が難しい場合は、このようなものを利用するのもおすすめです。また、作成した事業承継計画は後継者や会社関係者と共有するため、わかりやすく書くように心がけましょう。
なお、M&Aによる事業承継を行う経営者の場合、M&A仲介会社と情報共有をします。
④事業の改善
事業承継計画を策定した後は、戦略をより実行力のあるものにするため、事業の改善や磨き上げを行います。
抽出した課題解決をすべて後継者に背負わせるわけにはいきません。経営者自身もできるだけ経営課題を減らせるよう、事業の改善を図りましょう。
また、経営者自身用の計画や戦略も別途作成しておくと、効率よく進められます。事業承継計画や戦略策定に不明点があるのなら、専門家にアドバイスしてもらうとよいでしょう。
⑤事業承継戦略の決定
事業承継計画の磨き上げが完了したら、事業承継戦略を決定します。具体的には、事業承継に関する情報の共有、事業承継に向けたタスクの実行などを行います。
なお、事業承継は計画のとおりいかない場合も少なくありませんので、適度に事業承継戦略や事業承継計画を見直すようにしましょう。
3. 事業承継を取り巻く現状と課題
続いては事業承継の現状・課題について紹介します。事業承継は政府の後押しもあり、非常に実行しやすい環境になっていますが、その反面で事業承継に関してまだ解決されていない課題もいくつかあります。
- 中小M&A支援スキームの拡充(2025年度税制改正大綱にてM&A税制の特例措置の延長が盛り込まれました)
- 事業承継・引継ぎ補助金(2025年度も継続して実施されています)
- デジタル化による事業承継の円滑化推進
政府支援も増え始めている
一昔前まで、事業承継のサポートを行う公的機関には商工会・商工会議所しかありませんでした。しかし、現在は政府が支援していることもあり、事業承継支援を行う公的機関が増加しています。
代表的な機関には事業引継ぎ支援センターがあり、全国47都道府県に設置されて事業承継に関しての相談やマッチングを行っています。
また、後継者人材バンクも併設されており、事業の引継ぎを行いたいと考えている個人に対してもマッチングが可能です。
そのほかには、認定経営革新等支援機関やよろず支援拠点でも、事業承継に関する相談・支援を行っています。
補助金や税制なども用意されている
中小企業の事業承継を促すために、補助金や税制なども用意されています。それらを利用して事業承継の戦略を立てることもできます。
事業承継補助金
事業承継補助金とは、経営者の交代を契機に経営革新などを行う後継者に対して与えられる補助金のことです。
経営革新などとは業績が改善することをさし、経営に関して一定の実績や知識がある人が後継者でなければ、補助金を受け取ることはできません。
補助金の補助率は対象となる経費の3分の2で、補助金の種類によって補助金額の範囲が決まっています。
さらに、要件を満たせば補助金を上乗せしてもらうことができ、すべて合わせて最大で1,200万円の補助金を受け取れます。
事業承継税制
事業承継税制とは、一定の要件を満たした後継者に対して、自社の株式にかかる相続税や贈与税を猶予する制度のことです。
事業承継では、経営を続けていくために会社の資産を引き継ぐ必要がありますが、その際に課せられる相続税や贈与税は一般的に額が大きくなるので、なかには納税が困難になり倒産や廃業に至るケースもあります。
それを回避するために、一定の要件を満たした後継者に対して引き継ぐ会社の株式にかかる相続税や贈与税について猶予されることになりました。
ただし、事業承継税制に関しては要件がやや複雑なため、利用したい場合は専門家に相談するようにしましょう。
倒産や廃業よりM&Aを選ぶ経営者が多い
倒産や廃業より、M&Aという戦略を選ぶ経営者が増加しています。経営者としては、M&Aを選択することで売却益が得られます。
仲介会社としても売上が増加するため、両社にとってWin-Winの関係になります。そのため、M&Aによる事業承継という戦略をとる経営者は増加しています。
ただし、これは国全体で見ると自然淘汰が進んでいないことになります。必要なスキルやノウハウだけでなく、会社や事業も残してしまうとそこに人が必要になります。
つまり、会社や事業をすべて残すという考えは、将来的に見込みのある業界へ人を移動させる妨げになるため、国全体にとってはマイナスにもなり得るといえるでしょう。
4. 事業承継方法の種類とそれぞれのメリット・デメリット
事業承継には、親族内承継、親族外承継、M&A、廃業など様々な方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に最適な方法を選択することが重要です。
①親族内事業承継
親族内事業承継とは、経営者の子どもや親族などを後継者にして事業を引き継ぐ方法です。中小企業では昔から多く選択されメリットも多い手法ですが、当然デメリットも存在します。
親族内事業承継のメリット
事業承継の戦略に親族内事業承継を選ぶメリットには、主に以下の2つがあります。
- 後継者の設定がしやすい
- 財産整理(生前贈与)が前もってできる
1つ目のメリットは、後継者が設定しやすいことです。後継者候補を親族に絞るため、ほかの事業承継方法に比べ、後継者を設定しやすくなります。
また、後継者が早く設定できれば相続税対策や後継者育成にかける時間に余裕があるなど、事業承継戦略を立てるうえでもメリットです。
2つ目のメリットは、財産整理(生前贈与)が前もってできることです。会社の財産を親族内に引き継ぐ場合は、経営者個人の資産整理もまとめて行えます。
親族内事業承継のデメリット
一方で、事業承継の戦略に親族内事業承継を選ぶデメリットには、主に以下の2つがあります。
- 経営リスクも引き継ぐ
- 後継者にふさわしい人が親族内から見つからない可能性がある
1つ目のデメリットは、経営のリスクも引き継ぐことです。事業承継では会社のすべてを引き継ぐため、経営者の個人保証なども引き継がなければなりません。
親族にリスクを負わせることになるため、積極的に親族内事業承継を行いにくい要因の1つにもなっています。
2つ目は、後継者にふさわしい親族がみつからない可能性があることです。後継者育成でふさわしい経営者に育てることもできますが、理想と現実とのギャップが大きすぎたり現役を引退するまでに条件に見合う後継者が親族にみつからなかったりすることも考えられます。
後継者候補を絞ることは選定がしやすい反面、ふさわしい人がいない可能性があるというデメリットもあります。
②親族外事業承継
親族外事業承継とは、自社の役員や従業員などを後継者にして会社を引き継ぐ方法です。
親族外事業承継のメリット
事業承継の戦略に親族外事業承継を選ぶメリットには、主に以下の2つがあります。
- 後継者候補の幅が広がる
- 経営理念も引き継いでもらえる可能性が高い
1つ目のメリット目は、後継者候補の幅が広がることです。親族内では後継者候補が絞られてしまうため、適任者がみつからない可能性もありますが、親族外事業承継であれば優秀な従業員や役員を後継者にできます。
2つ目のメリットは、経営理念も引き継いでもらえる可能性が高いことです。後継者候補を社内の従業員や役員にすれば、経営理念について新たに教育をする必要はありません。
また、外部から後継者を招く場合でも、年齢の若い人であれば以前の企業に染まっていない可能性も高く、経営理念を引き継ぎやすいです。戦略として事業承継方法を考えるのなら、経営理念の引継ぎについても検討しておくとよいでしょう。
親族外事業承継のデメリット
事業承継の戦略に親族外事業承継を選ぶデメリットには、主に以下の2つがあります。
- 後継者が経営者として適任でない可能性がある
- 事業承継に関して後継者が資金不足である
1つ目のデメリットは、後継者が経営者として適任でない可能性があることです。従業員として雇用されている場合、与えられる業務範囲に対してのみ結果を残せばよいと考えることもできます。
経営者と雇用される人は視野や業務内容が異なるため、従業員としては優秀であっても経営者には適さない可能性もあり、そのことを頭において後継者を選ぶことが大切です。
2つ目は、事業承継に関する後継者の資金問題です。親族外事業承継となると会社の資産は後継者が買い取ることになりますが、後継者の自己資本では買取れないケースがほとんどです。
融資などリスクを負ってまで引き継いでくれる人を選ぶ必要がありますが、厳しいのが現実です。
③M&Aによる事業承継
M&Aによる事業承継とは、M&Aによって他の企業や個人に自社を引き継ぐ方法です。近年は、中小企業の事業承継でも活用されることが多く、後継者問題を解決する手段として有効視されています。
M&Aによる事業承継のメリット
事業承継の戦略にM&Aによる事業承継を選ぶメリットには、主に以下の2つがあります。
- 複雑な手続きが不要である
- 経営者は売却益が獲得できる
1つ目のメリットは、複雑な手続きが不要なことです。通常、後継者に事業を引き継ぐときは、まず後継者を探してから育成を行わなければなりません。
しかし、M&Aによる事業承継で必要になるのは、株式の譲渡に関する手続きのみです。相手先企業を探したり交渉をしたりするのは仲介会社などの専門家に依頼できるので、手間と時間を大幅に省けます。
2つ目は、経営者は売却益が獲得できることです。親族内・親族外事業承継の場合、後継者側の資金面に配慮して、企業価値よりも低価格で売却するケースが多いです。
M&Aによる事業承継の場合、企業価値とおりの取引金額での売却が可能であるため、経営者は売却益を得られます。
M&Aによる事業承継のデメリット
M&Aによる事業承継にも、もちろんデメリットがあります。戦略としてM&Aによる事業承継を選ぶデメリットには、主に以下の2つがあります。
- 株式が分散している場合、成功しにくい
- 買い手側は包括承継によるリスクを背負う
1つ目のデメリットは、株式が分散している場合M&Aに成功しにくいことです。中小企業で多いのは、株式を親族内で保有しているパターンです。
そうなれば、経営者だけの株式だけでは経営権が譲渡できずに事業承継を行えないことになります。全株式の譲渡が条件のM&Aもあるため、M&A前には株式を集める必要がでてきます。
2つ目は、買い手側は包括承継によるリスクを負うことです。包括承継では企業のすべてを引き継ぐことになるため、必要な事業や資産だけでなく簿外債務やトラブルも引き継いでしまうリスクがあります。
リスクを最小限にするため、買い手はデューデリジェンス(企業監査)を徹底的に行うことが大切です。
④廃業・倒産
何らかの理由により、事業承継ではなく廃業・倒産を選択するケースもあります。廃業・倒産というとデメリットしかないようにも思えますが、少なからずメリットも存在します。
廃業・倒産のメリット
廃業・倒産のメリットは、会社経営を終わらせられることです。企業が赤字経営の場合、後継者に引き継いだとしても迷惑をかけることが容易に想像がつくため、廃業・倒産が最善の選択であるとも考えられます。
廃業・倒産のデメリット
廃業・倒産を選択することによって想定されるデメリットには、以下の2つがあります。
- 従業員や取引先に迷惑をかける
- 廃業や倒産にもコストがかかる
1つ目のデメリットは、従業員や取引先に迷惑をかけることです。廃業・倒産により従業員は解雇されるため、すぐに就職先がみつからない可能性も考えられます。
また、取引先も売り上げ減少などの影響が出ることが考えられ、特に廃業・倒産企業への依存度が高い場合、取引先も倒産に追い込まれる可能性があります。
2つ目は、廃業・倒産にもコストがかかることです。廃業・倒産時は廃業の登記が必要になるので、その手数料や行政書士への依頼料がかかります。売却益が獲得できないため、事業承継に比べて赤字になります。
5. 事業承継におすすめのセミナー・本
ここからは、事業承継を検討されている人におすすめのセミナーや本を紹介します。
事業承継におすすめのセミナー
事業承継について理解を深めるためには、セミナーに参加するのも効果的です。以下では、おすすめのセミナーを紹介します。
東京都中小企業振興公社主催の戦略的事業承継セミナー
東京都中小企業振興公社主催の戦略的事業承継セミナーです。このセミナーは年間4回行われており、経営者や後継者に対する早期の事業承継の重要さや後継者に必要なスキルなどについての講義が受けられます。
事業承継におすすめの本
次は、事業承継におすすめの本を紹介します。
中小企業の事業承継戦略(今仲清ら著)
今仲清ら著『中小企業の事業承継戦略』です。著者は税理士であり、中小企業経営承継円滑化法の活用方法についてわかりやすく解説されています。
また、事業承継計画書の作成方法を通して、事業承継の進め方についても詳しく説明されています。
6. M&Aによる事業承継の進め方
M&Aは、事業を売却したい企業と買収したい企業をマッチングさせることで、事業承継を実現する方法です。以下、M&Aによる事業承継の進め方を解説します。
M&A仲介会社への相談
まずはM&A仲介会社に相談し、自社の状況や希望を伝えましょう。M&A仲介会社は、適切な相手企業の探索、交渉、契約締結までをサポートしてくれます。
候補企業の選定とデューデリジェンス
M&A仲介会社から紹介された候補企業の中から、自社の条件に合う企業を選定します。選定後、デューデリジェンスと呼ばれる企業調査を実施し、買収対象企業の財務状況や法務リスクなどを精査します。
交渉と契約締結
デューデリジェンスの結果を踏まえ、買収条件などを交渉します。合意に至れば、最終的な契約を締結します。
7. 事業承継を成功させるためのポイント
事業承継を成功させるためには、早期の準備、専門家との連携、そして柔軟な対応が重要です。
最後に、事業承継を行う際のポイントについて紹介します。注意するべきポイントはいくつかありますが、ここでは以下の5点について解説します。
【事業承継を行う際のポイント】
- 経営者による方針決め
- 専門家とともに事業承継計画の準備
- 事業承継先を幅広く考える
- 事業承継は時間がかかると理解する
- 相続での事業承継に注意
①経営者による方針決め
1つ目のポイントは、経営者が方針を決めることです。会社のことを一番把握しているのは経営者であるため、経営者自身が事業承継について方針を決めなければなりません。
後継者は誰にするのか、どのくらいの期間をかけて事業承継を行うかなど、具体的に方針を決めていきます。
なお、経営者自身で方針を決めるのが難しい場合や方向性が正しいのかを確認したいときは、専門家の意見を聞きながら進めていくようにしましょう。
②専門家とともに事業承継計画の準備
2つ目のポイントは、専門家とともに事業承継計画の準備をすることです。事業承継は正しく行わないと法令違反になることもあります。また、事業承継に活用できる補助金や納税の猶予などの制度もあります。
これらは知らないと違反したり損をしたりすることになるので、専門家に相談しながら計画を立てていくのがおすすめです。
なかでもM&A仲介会社などの専門家は、会社のことを一番に考えた事業承継を行えるようにサポートしてくれます。事業承継に関する経験や実績もあるので、安心して任せられます。
③事業承継先を幅広く考える
3つ目のポイントは、事業承継先を幅広く考えることです。一昔前であれば、後継者に事業を引き継ぐことが一般的な方法でした。
しかし、近年は後継者がみつからない中小企業も多く、事業承継ができないために廃業を選ばざるを得ないケースもみられます。
親族内事業承継と親族外事業承継では、まず後継者となる人物を探さなくてはなりません。しかしM&Aによる事業承継を選べば、後継者が周りにいなくても仲介会社のネットワークから承継先を探すことが可能です。
経営者自身が後継者は絶対に親族あるいは役員・従業員でなければならないという固定観念をなくして事業承継先を幅広く考えることができれば、スムーズな事業承継が可能になります。
④事業承継は時間がかかると理解する
4つ目のポイントは、事業承継には時間がかかるものであると理解しておくことです。親族内事業承継・親族外事業承継のように後継者がいる場合は育成期間として5年程度を見越しておき、後継者の選定から考えると長ければ10年程度かかるケースもあります。
M&Aによる事業承継でも後継者の選定や育成の必要はありませんが、事業承継先の選定・交渉などを行うため平均して6カ月程度はかかり、自社の売却後は後継者育成などのために数年間売却先の企業に残る場合もあります。
このように、事業承継が完了するまでには相当の時間がかかることを理解しておき、できるだけ早い段階から準備するようにしましょう。
⑤相続での事業承継に注意
5つ目のポイントは、相続での事業承継に注意することです。相続の場合、経営者名義の資産は遺言書がなければ法律で決められている割合で相続されます。
また、遺言書があったとしても法律で決められている割合は相続人が受け取れる権利があり、この権利を遺留分減殺請求権といいます。
親族外事業承継でも、民法により会社の資産の一部を親族に相続させる必要がありますが、事業承継の阻害とならないよう特例法があります。
相続での事業承継に関する対策には専門的な知識が不可欠となるため、専門家と相談のもと固定合意や除外合意などを検討しましょう。
8. まとめ:M&Aも視野に入れ、最適な事業承継を実現
事業承継は、企業の未来を左右する重要な経営課題です。M&Aを含む様々な選択肢を検討し、自社に最適な方法を選択することで、持続的な成長と発展を実現しましょう。
【事業承継の戦略策定方法】
- 自社の現状の分析と把握
- 後継者の育成・選定
- 事業承継計画の策定
- 事業の改善
- 事業承継戦略の決定
【事業承継を行う際のポイント】
- 経営者による方針決め
- 専門家とともに事業承継計画の準備
- 事業承継先を幅広く考える
- 事業承継は時間がかかると理解する
- 相続での事業承継に注意
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