事業承継コンサルティングとは?M&A仲介との違い、報酬や資格も解説

提携本部 ⾦融提携部 部⻑
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

事業承継を行う際は、事業承継コンサルティングのサポートを受けるとスムーズに進めることが可能です。本記事では、事業承継コンサルティングとM&A仲介やM&Aアドバイザリーとの違い、業務内容や報酬などを紹介するのでご参考ください。

目次

  1. 事業承継とは
  2. 事業承継コンサルティングとは
  3. 事業承継コンサルティングの報酬
  4. 事業承継コンサルティングに必要な資格
  5. 事業承継コンサルティングが必要とされる場面
  6. 事業承継コンサルティング選びに迷ったときの相談先
  7. 事業承継コンサルティングのまとめ
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1. 事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を現在の経営者から別の後継者へと引き継ぐことです。引き継ぐことを意味する熟語には、「承継」だけでなく「継承」もありますが、「事業継承」ではなく「事業承継」と呼ぶのが一般的です

事業を引き継ぐ相手によって、事業承継は以下の3種類に分けられます。

  • 親族内事業承継
  • 社内事業承継
  • M&Aによる事業承継(第三者承継)

かつて日本には世襲制の企業が多く、親族内事業承継を選ぶケースが一般的でした。しかし、近年は職業選択の自由が広がったことで、子息・息女が承継を希望しないケースも目立っており、従業員や役員を後継者とするケースや、広く第三者から後継者候補を探すケースも増加しています。

中小企業に立ちはだかる事業承継の課題

近年、中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化が進行する中で、事業承継は重要な経営課題として位置付けられています。

帝国データバンクの調査によると、2021年の全国企業の後継者不在率は61.5%で、60代で約半数、80代以上でも約3人に1人が後継者不在の状況にあります。

事業承継では、株式の譲渡にあたって、資金不足の問題に発展することも少なくありません。具体的には、株式を買い取るための資金や、納税資金などの不足に悩まされるケースが多く、事業承継の障壁になっています。

参考:帝国データバンク 全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)

2. 事業承継コンサルティングとは

事業承継コンサルティングとは、事業承継を円滑に行うためのアドバイスやサポート、事業承継に関する手続きや交渉などを行うことを主な業務とする専門家です。

事業承継とは、会社や個人事業の経営を他の人や企業に譲り、現経営者が引退した後も会社が存続できるようにすることです。近年は、中小企業経営者の高齢化が進んでいることもあって、中小企業を存続させる手段としてM&Aによる事業承継が注目されています。

【関連】事業譲渡のコンサルティングの仕事内容や料金!メリット・デメリットは?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業承継コンサルティングの業務内容

コンサルティングとは、厳密には相談に乗ったり解決策を提示したりする業務をさします。しかし、実際の事業承継コンサルティングでは相談だけを行うことは少なく、事業承継の具体的な手続きも行うことがほとんどです

一般的な事業承継コンサルティングでは、おおむね以下のような業務を行っています。

  • 相続・事業承継観点から現状・結果分析/課題の整理
  • 事業承継計画の策定・提案・企画
  • 交渉・打ち合わせ
  • M&Aサポート

相続・事業承継観点から現状・結果分析/課題の整理

事業承継コンサルティングでは、まず会社の現状を分析し、事業承継をするにあたってどのような課題があるか問題点を整理します

相続・事業承継の観点で重要なのは、自社株の評価額の算定です。非上場企業の事業承継では、自社株の価格が想像以上に高くなり、買い取る資金や相続税が大きな負担になることがあります。

そのようなケースでは自社株の価格引き下げや相続税対策などを実施し、スムーズな事業承継が行えるようにコンサルティングが行われます。

事業承継計画の策定・提案・企画

事業承継の手法には種類があるので、どの手法を選択するか、どのようなスケジュールで行っていくかなど、事業承継計画の策定・提案・企画を行います

M&Aを利用する場合は、株式譲渡事業譲渡などのスキーム選び、親族や従業員に事業承継する場合は株式取得の資金を捻出する方法などが重要ポイントです。

親族や従業員に事業承継する場合は後継者の育成プランを練ったり、M&Aで他社に事業承継する場合は業務システムや社風をすり合わせたりする統合プロセスも行われます。

交渉・打ち合わせ

事業承継コンサルティングでは、買い手・売り手候補の経営者との打ち合わせや、条件をすり合わせる経営者同士の交渉も行います。M&A仲介型の場合は、同じコンサルタントが買い手・売り手双方の打ち合わせを行います。

一方、アドバイザリー型の場合は、買い手・売り手に別のコンサルタントが付き、それぞれの立場から最も良い条件を提案し合って交渉を進めていく流れです。

M&Aサポート

親族や従業員でない第三者に事業承継する場合は、事業承継コンサルティング会社がM&Aのサポートも行います

事業承継コンサルティングとM&A仲介業務は厳密には区別されますが、コンサルティング会社と銘打っていても実際はM&Aサポート業務を行っていたり、またはM&A仲介業務を専門としている会社がその過程でコンサルティングも行っていたりすることも多いです。

M&A仲介との違い

事業承継コンサルティングは、事業承継に関する経営者の相談を聞き、それに対する解決策を示したり、課題を明確にしたりする業務をさします。これに対して、M&A仲介とは、M&Aを希望する経営者に最適な売買相手を探し、買い手と売り手をマッチングしてM&Aを成約させる業務のことです。

事業承継コンサルティングとM&A仲介は厳密には区別されますが、実際は事業承継コンサルティング会社がM&A仲介業務を行っていることも多くあります

M&A仲介業務を行うにはコンサルティング業務もある程度行う必要があるので、M&A仲介専門の会社だからといって、仲介だけ行って事業承継コンサルティングはまったく行わないわけではありません。

このように、事業承継コンサルティングとM&A仲介の違いは、あいまいな部分もあります。

【関連】M&A仲介会社を比較!手数料・サービス・実績を徹底比較!

M&Aアドバイザーとの違い

M&Aアドバイザーとは、買い手・売り手どちらか一方の立場に立ち、最も良い条件での成約を目指して売買相手と交渉する業務です。

M&AアドバイザーによるM&A・事業承継の交渉では、買い手・売り手がそれぞれ別のM&Aアドバイザーを雇い、アドバイザー同士による交渉が行われます。

M&Aアドバイザー業務を行うにはコンサルティング業務もある程度行う必要があるので、事業承継コンサルティングとM&Aアドバイザーも、厳密に区別するのは難しい面があります。

【関連】M&Aアドバイザーとは?業務内容や手数料、選び方と利用するメリットを解説!| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. 事業承継コンサルティングの報酬

事業承継コンサルティングの報酬は会社によって異なるので、最初の相談の段階で料金システムを十分に確認しておくことが重要です。M&A仲介会社の場合は本格的な仲介業務に入る時点で着手金を支払い、基本合意の時点で中間金・成約時に成功報酬を支払うことが一般的です。

士業事務所による事業承継コンサルティングの場合は、株価算定や経営アドバイスなど、各業務に対して数万円から数十万円ほどの報酬が発生するシステムが多いです。

4. 事業承継コンサルティングに必要な資格

弁護士・会計士・税理士などを営む際は資格が必要であるのに対して、事業承継コンサルティングを営むのに必要な資格はありません。しかし、何の資格もなく事業承継コンサルティングを開業しても質の高いサービスを提供することは難しく、顧客の信頼を得られないので、実際はほとんどの事業承継コンサルタントは何らかの関連資格を有しています

最も多いのは、弁護士・会計士・税理士の資格を有している人が、事業承継コンサルティング事業を始めるケースです。事業承継コンサルティングに国家資格はありませんが、民間が設立している資格は複数あるので、こういった民間資格を有しているコンサルタントもいます。

事業承継コンサルティングに役立つ民間資格

事業承継コンサルティングに役立つ民間資格は、事業承継・M&Aエキスパート試験、M&Aスペシャリスト資格などがあります。

一般社団法人事業承継協会による「事業承継士」の資格、金融機関で事業承継をアドバイスする「事業承継アドバイザー」、相続で困っている人の相談に乗って専門家へとコーディネートする「相続カウンセラー」の資格なども役立つ民間資格です。

5. 事業承継コンサルティングが必要とされる場面

小規模な個人事業や零細企業を親族に継がせるケースの場合は、事業承継を経営者自身で行うことも可能です。しかし、ほとんどの場合は事業承継コンサルティングのサポートを得ながら交渉や手続きを進めます。

事業承継コンサルティングが必要とされる主な場面は、以下のものが挙げられます。

  1. 専門的知識によるサポートが欲しいとき
  2. スムーズな事業承継を行いたいとき
  3. 後継者探し・選びに難航しているとき

①専門的知識によるサポートが欲しいとき

事業承継は経営者が自分ですべての手続きを行うことも可能ですが、幅広い専門知識が必要で手続きも複雑なため、事業承継コンサルティングのサポートなしで行うことは難しいです。

事業承継コンサルティングに依頼すれば、専門的知識によるサポートを受けられ、書類作成などの煩雑な作業をコンサルタントに任せられるので、経営者は本業に集中できます

②スムーズな事業承継が行いたいとき

小規模な店舗や零細企業の事業承継は、大企業・中堅企業の事業承継に比べて手続きが簡単であり、専門家へ依頼すると手数料が負担になります。このような理由から、経営者が自分で事業承継の手続きを行うのも、場合によってはあり得る選択肢です。

しかし、ほとんどの経営者は事業承継の専門家ではないので、手続きに戸惑ったり無駄な労力を費やしたりする可能性が高まります。スムーズな事業承継を行いたい場合は、やはり事業承継コンサルティングに依頼したほうが無難です。

③後継者探し・選びに難航しているとき

経営者自身で事業承継の後継者を探そうとすると、自分の親族や会社の従業員など、ごく限られた選択肢しかないことがほとんどです。最近は経営者が自分で承継先を探せるマッチングサイトも盛んですが、自力で最適な承継先を選定するのは敷居が高いです。

一方、事業承継コンサルティングの多くは、幅広いネットワークによる多数の承継先候補を有しており、その中から条件に最も合う相手を選定できます

【関連】事業承継の選択肢5つを徹底解説!後継者がいない社長は事業承継で会社を引継ぎする必要がある?| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

6. 事業承継コンサルティング選びに迷ったときの相談先

引退を考えていても後継者がいないなど、事業承継に関してお悩みの際はぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&Aを活用すれば幅広い情報の中から承継先を探せて、事業のさらなる発展や従業員の雇用維持も実現可能です。

M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に取り扱っており、全国に案件に対応しています。知識・支援実績豊富なアドバイザーが多数在籍しており、ご相談からクロージングまで丁寧にサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を随時、受け付けていますので、M&Aをご検討の際は電話・Webよりどうぞお気軽にお問い合わせください。

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7. 事業承継コンサルティングのまとめ

本記事では、事業承継コンサルティングの概要を解説しました。事業承継コンサルティングは、事業承継をスムーズに行うためには欠かせない存在です。業務内容や料金体系などを理解して、事業承継コンサルティングを有効活用しましょう。

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