事業譲渡とM&Aの違いとは?メリットやスキーム、手続きの流れ、税金をわかりやすく解説

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企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

会社の売却方法を調べると事業譲渡やM&Aという言葉を目にしますが、どのような違いがあるのでしょうか。得られる効果も知る必要があります。この記事では、事業譲渡とM&Aのスキームや税金の違いについてわかりやすく解説します。

目次

  1. 事業譲渡とM&A
  2. 事業譲渡とM&Aの基本的な違い
  3. 事業譲渡とM&Aのスキームの違い
  4. 事業譲渡とM&Aのメリット・デメリット
  5. M&Aによる事業譲渡の流れ
  6. 事業譲渡とM&Aに関する税金の違い
  7. 事業譲渡とM&Aの相談におすすめの仲介会社
  8. 事業譲渡とM&Aの違いまとめ
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1. 事業譲渡とM&A

事業譲渡とM&A

会社の売却方法を検討する際、実際に利用する手法を知らなくてはなりません。この章では、事業譲渡M&Aの特徴やそれぞれの効果を解説します。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、事業の全部あるいは一部を譲渡(売却)する手法です。ここでいう事業とは、会社が保有する事業・資産の全てをさします。

土地や建物、設備などの固定資産もあれば、特許や商標権、人材などの無形資産も含まれます。これらの事業・資産のなかから譲渡対象を選択して、譲渡(売却)できるでしょう。

事業譲渡の持つ意義

上記でも述べたように、売却側が事業の全部あるいは一部を買収側へ譲渡(売却)するのが事業譲渡です。事業譲渡は契約に従って、譲渡対象となる事業を選択できます。資産や負債も、契約により選別可能な点も株式譲渡、会社分割、合併などと異なります。

事業譲渡を行う際の注意ポイント

事業譲渡は手続きが複雑です。手続きの費用が膨らむこともあるでしょう。対象の資産や負債などを移すために、一つずつ手続きを行わなければなりません。債権者や従業員の同意を得て切り替え、不動産を含む際は登記手続きも忘れないようにしましょう。

事業譲渡の種類

事業譲渡の種類も知っておいてください。売却側が事業のすべてを譲渡するケースと事業の一部を譲渡するケースがあり、前者を全部譲渡、後者を一部譲渡といいます。

M&Aとは

M&Aとは、会社の合併や買収の総称です。2つ以上の会社を1つにしたり、ある会社が別の会社における経営権や事業を買ったりすることをさします。

多彩な手法が存在し、大会社のグループ再編や中小会社における経営課題の解決など、経営戦略の一環として幅広く活用されているのです。

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2. 事業譲渡とM&Aの基本的な違い

事業譲渡とM&Aの基本的な違い

事業譲渡とM&Aという言葉はよく耳にしますが、どのような違いがあるのでしょうか。この章では、事業譲渡とM&Aの違いや、そのほかに用いられるM&A手法を解説します。

事業譲渡は、M&A手法の1つです。M&Aと聞くと会社売却のイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、売却対象となるのは会社だけではありません。M&A手法に事業譲渡を選択すれば、事業だけの売却も可能です。

つまり、事業譲渡は会社における事業の売却をさし、M&Aは数多く存在するM&A手法のいずれかを用いた経営戦略という広義的な意味になります。

会社売却の検討段階では手法が定まっていないことが多いので、「M&Aを検討する」という表現が多くなるでしょう。

M&Aには6つの手法がある

M&Aを検討する際は、会社の状況やM&Aの目的に合わせた最適な手法を選択することが大切です。会社売却で利用できるM&A手法は、事業譲渡を含めて6種類存在します。

【M&A手法】

  • 事業譲渡
  • 株式譲渡
  • 会社分割
  • 株式交換・移転
  • 合併
  • 第三者割当増資

事業譲渡と株式譲渡との違い

株式譲渡とは、売り手が保有する株式を売却することで経営権を移転する手法です。事業譲渡との最も大きな違いは、売買対象になります。事業譲渡は会社の有する事業を売買しますが、株式譲渡では会社の保有している株式を売買するのです。

売却益における獲得者の点でも違いがあり、事業譲渡では会社に対して、株式譲渡は経営者(株主)に支払われます。このような特徴から、会社売却や売却益を個人で獲得したい場合は、事業譲渡よりも株式譲渡が適切です。

事業譲渡と株式譲渡の採用基準

会社の経営破たんが深刻だったり負債が多かったりすると、企業体を保ったままの売却は困難です。株式譲渡は債務も引き継ぐので、負債が多い会社の売却は、利益が見込める事業だけ切り出したい必要性から、事業譲渡を選ぶケースがよく見られます。

買収側が プライベート・エクイティなどのファンドであれば、買収した会社を成長させてから売却し利益を獲得するのが目的であることがほとんどです。企業体を保ったままの買収が求められるため、株式譲渡を選ぶことが多いです。

従業員の多い会社の場合は、事業譲渡を選ぶと全社員と買収側企業との間で新しい労働契約が要りコストがかなりかかるので、株式譲渡を選ぶ傾向があります。

事業譲渡と会社分割との違い

会社分割とは、事業と事業に関する権利義務を包括的に承継する手法です。売買対象を選択できる点で事業譲渡と似ていますが、包括承継の点で大きな違いがあります。

事業譲渡では従業員や取引先などの権利義務に関して個別に手続きを取る必要がありますが、会社分割は権利義務に関して包括承継が認められているのです。

支払い対価の点にも違いがあります。事業譲渡は現金支払いのみですが、会社分割は買い手の株式で支払われることがあるでしょう。

買い手にとっては買収費用を用意しなくて良い点も大きなメリットです。M&Aで転籍する従業員や引き継ぐ取引先が多い場合は、会社分割が向いているといえるでしょう。

事業譲渡とその他のM&A手法との違い

上記以外にもM&A手法は多くあります。しかし、事業譲渡とは得られる効果が全く異なるので、それぞれの違いを覚えておきましょう。

株式交換・移転

株式交換・移転とは、子会社となる会社の全発行済株式を親会社となる会社に譲渡して完全親子関係を作り出す手法です。

親会社となる会社を既存会社とするのが株式交換で、新設会社とするのが株式移転になります。原則として取得対価は親会社の株式とされていますが、株式交換は現金も可能です。

株式移転は、新設会社の株主を確保しなければならないため、株式のみになります。株式交換・移転は、グループ企業の再編や経営統合の手段として活用されているのです。

合併

合併は、複数の会社を統合して1つの会社を残し消滅させる手法です。既存会社に統合する吸収合併と、新設会社に統合する新設合併に分けられます。

独立している会社が完全に統合されるので、相互の経営資源を活用した事業シナジーを発揮しやすい点が特徴です。引き継ぎに関しては包括承継で、原則として消滅する会社の全てを引き継ぐので、従業員や取引先から個別に同意を得る必要はありません。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者へ新株における割当権利の付与を行い引き受けさせる増資手法です。株主であるか否かを問わず、広く一般の投資家を募る手法なので、中小企業の資金調達として活用されています。

基本的には、広範囲の投資家にバランスよく配分し資金調達手法として使いますが、特定個人に会社の経営権が移転する範囲まで割合を行ってM&A手法として使うことも可能です。

ほかのM&A手法と比較すると手続きが簡便なメリットがありますが、新株を発行する特性を持つため、経営権の全株式を譲渡できないデメリットもあります。

中小企業のM&Aは100%の経営権確保を目的とすることが多いので、第三者割当増資をM&A手法に選択することはほとんどありません。

3. 事業譲渡とM&Aのスキームの違い

事業譲渡とM&Aのスキームの違い

事業譲渡とそのほかのM&A手法では、活用されるシーンに違いがあるのでしょうか。この章では、事業譲渡とM&Aにおける計画性(スキーム)の違いを解説します。

事業譲渡のスキーム

事業譲渡は、譲渡対象の自由な選択が可能です。そのため、不採算事業を切り離して残存事業にリソースを集中させたり、採算事業の売却益を活用して事業資金を確保したりする使い方ができます。

事業譲渡は、事業の選択と集中をすることで企業再生の手段として、企業規模を問わず広く活用されているのです。

株式譲渡のスキーム

株式譲渡は、比較的簡便な手続きで会社の経営権を移転できます。株式譲渡の目的はさまざまですが、主に、経営者の売却益獲得や従業員の雇用先確保、大手傘下入りによる事業規模の拡大などです。

会社が抱える数多くの経営課題に対応しやすいこともあり、中小規模の会社におけるM&Aで最も広く活用されています。

会社分割のスキーム

会社分割は事業ごとに包括承継が可能な手法です。主な利用目的には、特定事業に特化した子会社の設立や廃業直前の採算事業切り離しなどがあります。

1つの会社で複数の事業を行っていると、マネジメントしにくいデメリットが起こり得るため、それぞれの事業に特化した子会社に承継させるのです。一部の事業を除いて経営状態が芳しくない会社が、事業や従業員を守るためにまとめて承継することもあります。

【関連】会社分割(吸収分割・新設分割)とは?わかりやすく解説!

その他のM&Aスキーム

M&Aの目的によっては以下3つも利用することがあります。

  • 株式交換・移転のスキーム
  • 合併のスキーム
  • 第三者割当増資のスキーム

株式交換・移転のスキーム

株式交換・移転は完全親子関係を作り出す手法で、株式交換が利用されるのは主に既存子会社の100%株式を取得したいときです。

50%を超える株式を所有していれば経営者としては認められますが、全てを独断で決めることはできません。グループの連携をより強固にするためには、100%の株式取得が不可避となるため、株式交換を実施します。

一方、株式移転が利用されるのは、複数の会社が持ち寄って共同経営を行うときです。新規に設立された親会社は、子会社がそれぞれの事業に集中できるようマネジメントを行います。

基本的には、子会社における事業活動の支配を目的とする純粋持株会社ですが、親会社自身も生産活動を行う事業持株会社タイプも存在します。

合併のスキーム

合併は、複数の会社を1つの会社に統合する手法です。主に円滑な経営統合や節税対策を目的に用いられます。

合併は包括承継となるため、引き継ぎに関する手続きにかかる手間がほとんどなく、最低限の手間で複数の会社を統合させて事業シナジーを発揮できるでしょう。

節税対策では、合併会社の利益と被合併会社の損失を相殺させることで法人税を抑えます。会社としての規模を拡大しながらも支出を抑えられるので、再スタートを切りやすいです。

適格合併の場合は被合併会社の繰越欠損金を引き継ぎできます。過去に損失として計上されたものを翌期以降に引き継ぎでき、被合併会社の繰越欠損金が大きいほど節税効果が望めるでしょう。

第三者割当増資のスキーム

第三者割当増資は、新株を発行して資金調達する手法で、主に中小企業の資金調達方法として活用されます。新株の発行なので資本金の増資となり、急激に増資しない限りは税金が課せられないので、効率的に資金調達が可能です。

資金調達以外の利用方法には、M&A・資本業務提携・安定株主の持株比率向上などがあります。

M&A手法として活用する場合は、1/2を超える割合で行えば経営権を取得させることが可能です。2/3を超えると株主総会における特別決議の単独可決権限を取得して実質的な支配者となります。

資本業務提携は、経営権に影響を与えない範囲で相互に株式を取得しあう業務提携です。独立性を維持しながらも協力関係を築く方法として活用されています。

取引先の会社や金融機関に割当を行うことで、関係性の向上も可能です。友好関係にある相手であれば、経営に関して口を出されるリスクもほとんどないので、安定した増資ができます。

【関連】第三者割当増資とは?株価への影響、メリット・デメリット、手続きを解説【事例付】

4. 事業譲渡とM&Aのメリット・デメリット

事業譲渡とM&Aのメリット・デメリット

M&Aの手法はどれを選んでもデメリットが存在するため、事前に正しく理解することが大切です。この章では、事業譲渡を始めとしたM&A手法のメリット・デメリットを解説します。

事業譲渡のメリット・デメリット

まずは、事業譲渡のメリット・デメリットを見ていきましょう。
 

メリット デメリット
・譲渡対象の選択
・不採算事業の切り離し
・経営権の維持
・手続きが煩雑
・従業員が転籍に応じるとは限らない

メリット

事業譲渡における最大のメリットは譲渡対象の選択です。不採算事業のみを切り離すことも可能なので事業の選択と集中に活用しやすい特徴があります。

事業譲渡は経営権を維持したままというのも大きなメリットです。獲得した売却益を活用して事業規模を拡大できるでしょう。

デメリット

デメリットは手続きが煩雑になる点です。引き継ぎする権利義務に関して個別の手続きが必要となるため、譲渡対象の規模が大きくなるほど時間がかかります

従業員の転籍や取引先の引き継ぎに、応じてもらえない可能性もあるでしょう。特に重要なポストの従業員が流出すると、事業譲渡のクロージング条件が満たせずに成約できなくなる可能性もあります。

株式譲渡のメリット・デメリット

株式譲渡のメリット・デメリットは、以下です。
 

メリット デメリット
・手続きが簡便
・会社の事業規模拡大
・従業員の雇用先確保
・簿外債務の引き継ぎリスク
・会社の経営権喪失

メリット

株式譲渡は包括承継のため権利義務に関して個別の手続きを取る必要がありません。成約からクロージングの間で行わなければならない手続き負担を大幅に軽減できます。

大手グループに傘下入りすることで経営資源を活用した事業規模拡大のメリットもあり、豊富な資金や広大な販路を活用して急激な成長を計ることも可能です。

デメリット

株式譲渡のデメリットは、簿外債務の引き継ぎリスクです。財務状況からはわからない潜在的なリスクのことで、買い手の負担となります。実質的な負担は買い手ですが、成約後にトラブルに発展することもあるので売り手にとってもリスクです。

交渉前に潜在的リスクの洗い出しを行って、正確な情報提供に努める必要があります。

会社分割のメリット・デメリット

会社分割のメリット・デメリットは、以下です。
 

メリット デメリット
・税負担が軽い
・買収資金が不要
・包括承継
・簿外債務の引き継ぎリスク
・株式の現金化が難しい

メリット

会社分割は適格分割を行うことで税制面で大幅な優遇措置を受けられます。会社の体力を削ることなく事業整理を行えるのは大きなメリットです。

また、支払い対価を株式にできるため買い手は現金を用意する必要がありません。資金の準備に時間をかけないので円滑な進行が期待できるでしょう。

デメリット

買い手にとってはメリットの株式による対価の支払いですが、売り手にとってはデメリットになる可能性があります。

上場会社の株式であれば株式市場で簡単に売却できますが、非上場会社の株式は売却手段が限られてしまい現金化が非常に難しいです。資金調達が急務の場合は、金銭による払込を申し出るもしくは別の手法を検討するなどの対策が要ります。

その他のM&Aスキームのメリット・デメリット

続いて、株式交換・移転、合併、第三者割当増資のメリット・デメリットを見ていきましょう。

株式交換・移転のメリット・デメリット

メリット デメリット
・少数株主の排除
・買収資金が不要
・手続きが煩雑

株式交換・移転は、買収対象会社における2/3以上の賛成が得られれば、少数株主を排除することが可能です。100%の株式を取得できるので、より強い支配力と連携力を発揮できます。一方で、少数株主の株式買取請求や債権者保護手続きなどの段取りが必要です。

合併のメリット・デメリット

メリット デメリット
・事業シナジーの創出
・繰越欠損金の引き継ぎ
・経営理念や社内文化の違い
・規模拡大によるリスク増加

合併における最大のメリットは、双方の経営資源を掛け合わせることによる事業シナジーの創出です。単独で活動するよりも効果的に業績が伸びます。繰越欠損金の引き継ぎによる節税効果も得られるので、法人税の負担が抑えられるでしょう。

デメリットは、経営理念や社内文化の違いです。それぞれが独立していた会社なので環境の違う者同士で衝突する可能性があります。従業員がトラブルを起こせば事業シナジーどころではなくなるので、適切な統合プロセスを実施しなければなりません。

第三者割当増資のメリット・デメリット

メリット デメリット
・円滑な資金調達
・M&A手法としても活用可能
・税負担が軽い
・株式の希薄化
・増資後の資本金次第で税負担が重い

第三者割当増資における最大のメリットは円滑な資金調達です。通常の手順でも十分に早いですが、総数引受契約を活用すればさらに短縮できます。

増資扱いなので税金が課せられないメリットもあり、増資を受けた分、会社の資金として活用できるので中小規模の会社における資金調達手法として便利です。

デメリットは新株発行による既存株主の持分比率低下で、発行株式の増加は既存株式の権利・価値の低下を意味するので既存株主にとっては好ましくありません。新株の割当が有利発行によるものであれば、反対を受ける可能性もあります。

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5. M&Aによる事業譲渡の流れ

M&Aによる事業譲渡の流れ

この章では、M&Aによる事業譲渡の流れを見ていきましょう。

①M&Aニーズの発生

まず、M&Aによる事業譲渡の流れでは、M&Aニーズが発生します。売却側は財務上の状況による理由や主な事業に集中するためなどの理由、買収側は規模を広げたり新規事業に参入したりするなどの理由で、M&Aニーズが生まれるのです。

②事前の準備

次の流れとして、事前の準備を行います。売却側は買収先における条件の絞り込みなどを実施し、買収側は売却先を探すための準備として決算書三期分を用意します。

③マッチング・交渉

次に、マッチング・交渉です。売却側は事業の概要や売上、従業員数などを匿名で載せたノンネームシートを、M&A仲介者などをとおして買収先候補に示し相手を探します。買収側は買収先となる可能性がある会社のリスト(ロングシート)を作り、その可能性を確認します。

④秘密保持契約の締結

次の流れは、見つかった交渉先とのNDA(秘密保持契約)締結です。締結したら、売却側の基本的な情報が開示されるので、買収側はそれらの分析をしてM&Aが現実的かどうかを検討します。

⑤経営トップの面談

次に、経営トップの面談です。M&Aによる事業譲渡を実施する実現性が高まると、次の流れとして経営トップの面談を行い、人間関係を築きます。経営理念や人生観などを確認し、協力関係が構築できるかどうかを見極めます。

⑥基本合意契約の締結

次の流れは、基本合意契約の締結です。経営トップの面談が終わったら、M&Aを進める基本合意を書面に記します。内容は、独占的交渉権の付与やデューデリジェンスの実施などです。今後の過程やスケジュールをはっきりさせます。

⑦デューデリジェンス(買収監査)

次の流れは、デューデリジェンス(買収監査)です。譲渡対象事業を調査して基本的な情報のやり取りではわからなかった実態を知り、正しく価値を算出するために行います。

事業譲渡の場合、財産だけでなく技術やノウハウ、従業員、取引先との関係など無形財産も含めて譲渡するので、のれんの価値をプラスすることが多いです。

⑧取締役会の決議

次の流れは、売却側による取締役会の決議です。事業譲渡は、取締の業務運営に関する基本的事項なので、取締役会での決議が必要です

決議が終わったら、事業譲渡日程表や事業譲渡覚書などを作り、代表取締役が株主総会の承認を得ることを条件に次の流れへ移ります。

⑨事業譲渡契約の締結

次の流れは、事業譲渡契約の締結です。合併などとは違い、事業譲渡契約書は会社法上における記載事項についての取り決めがないため、公序良俗や法律に反しない範囲で定められます

事業譲渡契約書には、譲渡内容や対価、支払い方法、譲渡日、従業員の引き継ぎ、競業避止義務などを記すことが多いです。

⑩クロージング

次の流れは、クロージングです。クロージングで法律上必要な手続きは、事業譲渡にはありません。資産の譲渡や契約における移管などのための手続きがあるといえます。

⑪事業譲渡に必要な手続き

事業譲渡に必要な手続きは3つです。

1つ目の手続きでは、有価証券報告書を提出する義務のある会社は、事業譲渡契約を締結すると遅れることなく臨時報告書を内閣総理大臣に提出します。

2つ目の手続きは株主総会での承認です。事業譲渡承認株主総会は、取締役会で招集、株主名簿の閉鎖、株主総会の日程などを決め、株主総会で事業譲渡契約書の承認を受けます。

3つ目の手続きは、公正取引委員会への届け出です。株主総会での承認が終わり、公正取引委員会へ事業譲渡届出書を提出したら事業譲渡の手続きが終了します。

6. 事業譲渡とM&Aに関する税金の違い

事業譲渡とM&Aに関する税金の違い

M&Aは手法を変えることで大きな節税効果を得られることもあります。ケースによっては数百万単位で変わることもあるため、1つの検討材料として覚えておきましょう。

事業譲渡にかかる税金

事業譲渡で発生する税金は、法人税・消費税・不動産取得税・登録免許税の4つです。法人税は、譲渡事業の売却価格から譲渡事業の簿価を差し引いた譲渡所得に対して30%~40%前後が課せられます。

消費税は、譲渡事業の課税資産(土地以外の有形固定資産・無形固定資産・棚卸資産・営業権)に対して課せられる税金です。なお、消費税の納税者は売り手ですが、買い手が取得対価と同時に支払うので消費税の実質的な負担者は買い手となります。

不動産所得税は、取得した事業に土地や建物などの不動産が含まれる場合に課せられる税金です。課税標準額に対して原則4%の税率を掛けて算出します。

登録免許税は、不動産の所有者を変更するための登記手数料です。土地と建物にそれぞれ2%の税率が課せられます。
 

売り手 買い手
・法人税
・消費税(買い手負担)
・不動産取得税
・登録免許税

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株式譲渡にかかる税金

株式譲渡で発生する税金は、所得税・住民税・復興特別所得税・法人税の4つです。全て売り手に課せられる税金で、株式譲渡で買い手に課せられる税金はありません。

株式の譲渡価格から必要経費(取得費+手数料)を差し引いた譲渡所得に対して、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%が課せられます。

法人税は、売り手が法人である場合、譲渡所得に対して税率30%~40%前後が課せられ、中小企業におけるM&Aでは経営者の個人所有がほとんどなので、基本的に株式譲渡の税率は20.315%です。
 

売り手 買い手
・所得税
・住民税
・復興特別所得税
なし

会社分割にかかる税金

会社分割で発生する税金は、不動産所得税・登録免許税・法人税・所得税の4つです。不動産所得税は原則課税対象ですが、適格分割の場合は非課税対象で原則不動産評価額の4%が課せられます。

登録免許税は不動産の所有変更登記にかかる手数料なので売り手と買い手の双方に課せられ、売り手は3万円、買い手は資本金の0.7%と不動産評価額の2%です。

法人税・所得税は、適格分割の場合は非課税対象ですが、非適格分割の場合は売り手に最大49.44%の税率が課せられる可能性があるので注意しなければなりません。
 

売り手 買い手
・法人税
・所得税
・不動産取得税
・登録免許税

その他のM&A手法にかかる税金

続いて、株式交換・移転、合併、第三者割当増資で発生する税金について解説します。

株式交換・移転にかかる税金

株式交換・移転で発生する税金は、登録免許税・法人税・所得税の3つです。登録免許税は、買い手に対して資本金の0.7%と不動産評価額の2%が課せられます。

法人税・所得税は、非適格かつ支払い対価に金銭が含まれる場合、売り手個人に所得税20.315%、法人に法人税30%~40%前後が課せられます。

株式移転の場合、支払い対価は株式のみが一般的なので、課税されることはめったにありません。
 

売り手 買い手
・法人税
・所得税
・登録免許税

合併にかかる税金

合併で発生する税金は、登録免許税・法人税・所得税の3つです。登録免許税は、買い手に対して資本金の0.7%と不動産評価額の2%が課せられます。

法人税・所得税は非適格合併の場合、売り手個人に対しては最大49.44%の税金が課せられます。譲渡所得の算出が特殊で、ほかのM&A手法よりも高めに算出される仕組みに注意が必要です。
 

売り手 買い手
・法人税(買い手に引き継ぎして納税)
・所得税
・登録免許税

第三者割当増資にかかる税金

第三者割当増資で発生する税金は、法人税・所得税・贈与税の3つです。資本金増資の形なので、売り手は課税されません。ただし、時価よりも安い有利発行の場合、買い手の個人に対して贈与税・所得税、法人に対して法人税が課せられます。
 

売り手 買い手
なし ・贈与税
・所得税
・法人税

7. 事業譲渡とM&Aの相談におすすめの仲介会社

事業譲渡とM&Aの相談におすすめの仲介会社

事業譲渡・M&Aを検討する際は、各手法の特徴を把握することが大切です。選択する手法によっては税金負担が極端に増えたり、売却益が少なくなったりするなどの不都合が考えられます。

M&A総合研究所では、豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、ご相談からクロージングまで丁寧に案件をサポートいたします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、事業譲渡・M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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8. 事業譲渡とM&Aの違いまとめ

事業譲渡とM&Aの違いまとめ

当記事では、事業譲渡やそのほかのM&A手法の特徴を解説しました。いずれも特徴があり、必要な手続きや得られる効果も全く異なります。

事業譲渡など外のM&A手法は自力で情報収集できますが、相手との交渉まで絡むと複雑化するのも事実です。無理に当事者で進めようとせず、必要に応じて事業譲渡・M&Aの専門家に相談すると良い結果が得られる可能性も高くなります。

【事業譲渡とM&Aの違いまとめ】

  • 事業譲渡は会社の事業を売却するM&A手法の1つ
  • M&Aは会社の合併や買収の総称

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